JP4922518B2 - アクチュエータおよびワイパ装置 - Google Patents

アクチュエータおよびワイパ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動体が回転軸を中心に揺動若しくは回転運動するアクチュエータに関し、特に、自動車や野外監視カメラ等に取り付けられるワイパ装置やスピードメータ等の計器類等に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用ワイパブレードやスピードメータ、時計の針等、棒状の部材を駆動させることにより、ガラス面の払拭や数値指示等の一定の作用効果を得ることは、産業分野のみならず日常生活においても多く見受けられる。そして、このような棒状部材の駆動には、軸部に電磁モータや油空圧にて回転駆動するアクチュエータなどが用いられるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような電磁モータ等は、それ自体が相当の大きさを有しているため、デザイン上や設置上の制限を受けるなどの問題がある。このため、例えば、小型CCDカメラの前面などでは、視界確保のためワイパ装置を取り付けることが望ましいにもかかわらず、スペースの関係からワイパ装置の設置を断念せざるを得ないなどの弊害が生じていた。また、従来の電磁モータ等を用いた駆動構造は、モータに加えて減速機構やリンク機構等が必要となることが多く、装置重量が大きく重くなりがちであり、その分コスト高にもなるという問題もあった。
【0004】
本発明の目的は、電磁モータ等を用いることなく簡易な構造にて棒状部材を駆動可能なアクチュエータ等を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクチュエータは、先端部が左右方向に屈曲変形する平板状のバイモルフ圧電素子にて形成された駆動体と、前記駆動体が取り付けられた回転軸と、前記回転軸を回転自在に支持するホルダと、前記回転軸の回転に際し前記回転軸に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段と、を有し、前記駆動体に対し鋸歯状の波形を有する電圧を印加し、該印加電圧の変化の緩急に伴う前記バイモルフ圧電素子の屈曲変形速度の差に基づいて、前記駆動体に生じる慣性力に差が生じ、該慣性力と前記回転抵抗力との差違によって前記駆動体が前記回転軸を中心として所定方向に移動することを特徴とする。
【0006】
本発明のアクチュエータにあっては、駆動体の振動に応じて、軸受部に支持された軸部材が回転運動し、駆動体が回転運動や揺動運動を行う。すなわち、基本構成として、駆動体と軸部材、軸受部、抵抗力付与手段の4点からなる簡単な構成にて駆動体を回転運動させることが可能となる。従って、電磁モータやリンク機構を用いることなく、棒状の部材などに形成した駆動体を回転駆動させる小型・軽量のアクチュエータを実現することができる。これにより、アクチュエータの設置場所にモータやリンクによる制約がなくなり、装置のレイアウト性の向上が図られ、狭く小さな場所にも回転駆動するアクチュエータを取り付けることが可能となる。
【0007】
前記アクチュエータにおいて、前記抵抗力付与手段は、前記軸部材に対し摩擦力によって回転抵抗力を付与する構成としても良い。この場合、前記抵抗力付与手段を前記軸受部に設けても良く、前記抵抗力付与手段として、前記軸部材に弾性的に接する板ばねを採用し、それを前記軸部材の端部若しくは側部に弾性的に接するように配設しても良い。また、前記抵抗力付与手段を前記軸部材に設けても良く、前記抵抗力付与手段として、前記軸受部に弾性的に接する係合片を用いることも可能である。
【0008】
また、前記アクチュエータにおいて、前記駆動体を、例えばバイモルフ型などの圧電素子にて形成してもよい。この場合、前記圧電素子に対し鋸歯状の波形を有する電圧を印加しても良い。
【0009】
さらに、前記アクチュエータにおいて、前記軸部材の内部に軸方向に延びる空隙を形成し、この空隙を介して前記駆動体に対する給電用の配線を行っても良い。加えて、前記アクチュエータにおいて、前記駆動体を前記軸部材に複数個取り付けても良い。
【0010】
一方、本発明のワイパ装置は、CCDカメラの前面に配設されるワイパ装置であって、前記CCDカメラの前面に設けられた払拭面上に配置され、先端部が左右方向に屈曲変形する平板状のバイモルフ圧電素子にて形成された駆動体を備えたワイパブレードと、前記ワイパブレードが取り付けられた回転軸と、前記回転軸を回転自在に支持するホルダと、前記回転軸の回転に際し前記回転軸に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段と、を有し、前記駆動体に対し鋸歯状の波形を有する電圧を印加し、該印加電圧の変化の緩急に伴う前記バイモルフ圧電素子の屈曲変形速度の差に基づいて、前記駆動体に生じる慣性力に差が生じ、該慣性力と前記回転抵抗力との差違によって前記駆動体が前記回転軸を中心として所定方向に移動し、前記ワイパブレードが前記払拭面上にて揺動運動を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明のワイパ装置にあっては、駆動体の振動に応じて、軸受部に支持されたワイパブレードが回転運動し、ワイパブレードが回転運動や揺動運動を行う。従って、電磁モータやリンク機構を用いることなく、ワイパブレードを回転駆動させる小型・軽量のワイパ装置を実現することができる。これにより、ワイパ装置の設置場所にモータやリンクによる制約がなくなり、装置のレイアウト性の向上が図られ、狭く小さな場所にもワイパ装置を取り付けることが可能となる。
【0012】
また、前記ワイパ装置をCCDカメラの前面に配設するようにしても良く、前記ワイパ装置をCCDカメラの前面に取付可能なワイパユニット内に収容するようにしても良い。さらに、前記ワイパ装置を自動車に搭載されたCCDカメラに適用しても良い。
【0013】
さらに、本発明の表示装置は、少なくともその一部に振動する部位を有する駆動体によって形成された指針と、前記指針が取り付けられた軸部材と、前記軸部材を回転可能に支持する軸受部と、前記軸部材の回転に際し前記軸部材に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の表示装置にあっては、駆動体の振動に応じて、軸受部に支持された指針が回転運動し、指針が回転運動や揺動運動を行う。従って、電磁モータを用いることなく、指針を回転駆動させる小型・軽量の表示装置を実現することができる。なお、本発明においては、指針自体を駆動体によって形成する場合のみならず、別途形成した指針に駆動体を付加する形態も可能である。また、軸部材には指針を直接取り付ける場合のみならず、指針を取り付けた駆動体を取り付ける形態も可能である。
【0015】
この場合、前記表示装置として、前記指針によって車速を表示するスピードメータを対象とすることも可能である。また、前記表示装置に前記指針の位置を検出する指針位置検出センサをさらに設置することも可能である。
【0016】
さらに、本発明のモータは、少なくともその一部に振動する部位を有する駆動体と、前記駆動体が取り付けられた回転軸と、前記回転軸を回転可能に支持する軸受部と、前記回転軸の回転に際し前記回転軸に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明のモータにあっては、駆動体の振動に応じて、回転軸が所定の方向に回転運動する。この場合、駆動体には例えばバイモルフ型の圧電素子等が使用され、回転軸に駆動力を与える部位を軽量に構成することができる。このため、小型軽量でしかもイナーシャの小さい応答性に優れたモータを形成することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明によるアクチュエータの基本構成を示す概念図、図2は本発明の実施の形態1である揺動形のアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【0019】
本発明によるアクチュエータは、図1に示すように、平板状の駆動体1と、駆動体1が取り付けられた回転軸(軸部材)2と、回転軸2を支持する軸受部3とから構成されている。駆動体1は、電気−機械変換素子の一つであるバイモルフ圧電素子によって形成されており、配線4を介してドライバ5から電圧が適宜印加される。これにより、駆動体1は全体が回転軸2との取付部を基部として曲がり、その先端が図1のX方向に作動する。また、回転軸2は軸受部3に回転可能に支持されていると共に、その回転に際し、回転を規制する方向に回転抵抗力が付与されている。この回転抵抗力は、例えば摩擦力の形で付与され、図2のアクチュエータでは板ばね13によって付与されている。
【0020】
ここで、図2のアクチュエータ11では、駆動体1が取り付けられた回転軸2は、ホルダ12に取り付けられている。このホルダ12は、図1における軸受部3の役割を果たしており、そこに回転軸2が回転自在に取り付けられる。なお、アクチュエータ11では、駆動体1として長さ20mm×高さ3mmの圧電素子を使用しており、回転軸2は直径4mmに形成されている。
【0021】
ホルダ12の上端には板ばね(抵抗力付与手段)13が取り付けられており、回転軸2の頂部(端部)にて摩擦力により回転抵抗力を付与するようになっている。後述するように、当該アクチュエータでは回転軸2に付与される回転抵抗力が、その作動を司るポイントとなっており、回転抵抗力を如何に安定的に付与できるかが大きな課題である。この場合、回転軸にビスを挿通し、その締め込み具合によって回転抵抗力を調節することも可能ではあるが、調整代が小さく安定した抵抗力を得ることができない。そこで、アクチュエータ11では、板ばね13を用いて摩擦力により回転軸2に回転抵抗力を付与し、適度で安定した荷重を回転軸に与え、回転抵抗力の安定化を図っている。
【0022】
この場合、板ばね13は、止めねじ24によってホルダ12に固定されている。板ばね13の先端部には嵌合孔14が形成されており、そこには回転軸2の上部に形成された小径部15が嵌合するようになっている。そして、回転軸2における小径部15が形成された段部端面に板ばね13の下面が弾性的に接触し、回転軸2に回転抵抗力を付与している。これにより、簡易でコンパクトな構成で安定した荷重を回転軸2に加えることができ、安定した回転抵抗力を付与することが可能となる。
【0023】
また、ここでは回転抵抗力を付与する部位として回転軸2と軸受部3を用いているため、元来必要な部品を用いて抵抗力の付与が行えるため、専用部品を多数追加することなく、回転抵抗力付与構造を実現できる。さらに、抵抗力付与構造が回転軸2の部分にあるため、例えばワイパ装置に本アクチュエータを適用した場合でも、埃などがかかりにくくシールも行い易い。従って、板ばね13と回転軸2との間の摩擦係数を安定させることができ、安定した回転抵抗力を付与することができる。
【0024】
なお、板ばねは、図3に示すように、回転軸2の側部に弾性的に接触するようにしても良い。この場合、回転軸2には小径部16およびフランジ部17が形成される。また、ホルダ12には凹部18が形成されており、ホルダ12の上面にフランジ部17を載せるようにして凹部18に小径部16を収容する。そして、凹部18の開口部を塞ぐ形で板ばね19が配設され、この板ばね19を小径部16に弾接することにより、回転軸2に回転抵抗力が付与される。
【0025】
また、回転軸2に回転抵抗力を付与するに際しては、前述のように軸受部3側に付与手段を設ける構成のみならず、回転軸2側にそれを配設する構成も可能である。すなわち、図4に示すように、回転軸2にクリップ形状の係合片20を設け、これを軸受部3に形成した取付孔21に嵌め込み摩擦力を得ることもできる。この場合、係合片20は回転軸2の先端部に4個分割形成されており、取付孔21内に内側にすぼむように撓みながら挿入される。そして、先端の係止部22が取付孔21外へ突出し、軸受部3の下面に係合する。このとき、係合片20が弾発的に戻り、その外面が取付孔21の内面側に弾性的に接触する。これにより、係合片20と取付孔21との間に摩擦力が発生し、回転軸2に回転抵抗力が付与される。
【0026】
図5は、図2のアクチュエータにおける給電構造を示す説明図である。アクチュエータ11では、回転軸2は中空状になっており、その内部には軸方向に沿って空隙23が形成されている。この空隙23中には、図5に示すように、駆動体1に電力を供給するための配線4が通されている。すなわち、アクチュエータ11では、駆動体1の外部に配線が引き回されず、装置内部に配線が収容されている。従って、駆動体1の動作に伴って配線4自身は多少ねじれるものの、駆動体1と共に連れ回されることはなく、配線4の損傷を防止することができる。また、装置本体内部に配線4をスムーズに通すことができ、装置外部に配線4が露出しないため、電気系統の防水性を向上させることも可能となる。
【0027】
一方、アクチュエータ11は、図6に示すような鋸歯状の電圧を印加することにより回転軸2を中心とした回転運動を行う。図6はアクチュエータ11に印加される電圧の波形を示す説明図、図7は図6の電圧が印加された場合の駆動体1の挙動を示す説明図である。この場合、駆動体1は、+電圧のときには図7において右方に変位し、−電圧のときには図中左方に変位する。
【0028】
そこで、図6のように印加電圧を変化させると、まず図6の(1)のときは電圧は±0であり、駆動体1は初期位置P0にて停止状態にある。次に、図6(2)の状態に電圧を変化させると、+電圧であることから、図7(1→2)のように駆動体1は右方に変位する。その後、図6の(2→3)のように電圧が+から−に変化させると、駆動体1もまたそれに応じて図7(2→3)のように左方に変位する。
【0029】
この場合、図6の(2→3)の電圧変化が急激であるため、図6(1→2)のようにゆっくりと電圧が変化する場合とでは駆動体1の変形速度に差が生じる。すなわち、(1→2)では駆動体1はゆっくりと曲がり、(2→3)では急激に曲がる。その際、駆動体1には、その重量によってその場に残ろうとする慣性力が発生する。そして、駆動体1の変形速度差から、(1→2)のときの慣性力よりも(2→3)のときの慣性力の方が大きくなる。
【0030】
この慣性力に対しては、回転軸2に付与される回転抵抗力が作用する。すなわち、駆動体1の変形に伴い慣性力と摩擦力とが対抗する形となる。当該アクチュエータでは、回転抵抗力Frが、(1→2)のときの慣性力F12よりも大きく、(2→3)のときの慣性力F23よりも小さくなるよう設定されている(F12<Fr<F23)。従って、(1→2)の場合の慣性力F12は、回転抵抗力Frによって打ち消される形となり、駆動体1は電圧値に応じた角度だけゆっくりと変位する。これに対して、(2→3)の場合には、慣性力F23は、回転抵抗力Frによって打ち消されない。このため、駆動体1は電圧変化に伴い急激に反対方向へと変位するが、電圧値に応じた角度は変位できず、戻り切れない状態となる。
【0031】
すなわち、(2→3)の際には、駆動体1自体の慣性の影響が大きくなり、駆動体1の左方への変位量は(1→2)における右方への変位量より少なくなる。従って、駆動体1はその変位量の差分だけ図中右方側へと移動する。図7において線分Qは、1往復振動後における駆動体1の中心位置を示しており、図7の(2→3),(4→5)に示すように、駆動体1の振動と共にこの線分Qも右方へ移動していることが分かる(Q1→Q2)。なお、図7における一点鎖線P0は、図7(1)の場合の駆動体1の位置(初期位置)を示している。
【0032】
鋸歯状の印加電圧では、図6(2)→(3)にて急激に電圧が変化した後、(3)→(4)では電圧が徐々に+側へと変化し、駆動体1は、電圧変化に合わせて、図7(3→4)のように右方に変位する。この場合は、電圧変化率が小さいため、駆動体1の慣性の影響は小さく、電圧に応じた変位量だけ駆動体1は右方に変位する。電圧が図6(4)に至ると、電圧は再び急変して(5)に至る。このときも前述のように、駆動体1の変形の速度差に基づき慣性力が発生し、図7(4→5)における駆動体1の左方への変位量は、図7(3→4)での右方への変位量よりも小さくなる。従って、駆動体1は変位量の差分だけ図中右方側へと移動し、線分Qもまた右方へと移動する。
【0033】
このように鋸歯状電圧を印加すると、駆動体変形の速度差に基づく慣性力の働きにより、駆動体1は図7のように徐々に右方へと移動し、反時計回りに回転する(線分Qの動作参照)。すなわち、ゆっくり曲げて急激に戻す動作の繰り返しにより、ゆっくり曲げたときの変位側に駆動体1が自走する。そして、電圧変化を図6とは逆に、ゆっくりと−側へと変化させ、急激に+側へと変化させることにより、駆動体1は図7において左方(時計回り)に回転することになる。従って、電圧変化パターンの切り換えにより、駆動体1を適宜往復動させることが可能となり、モータやリンク機構を用いることなく揺動するアクチュエータを構成することが可能となる。
【0034】
このように当該アクチュエータ11では、簡単な構成にて駆動体1を回転運動させることが可能となる。この場合、駆動体1を駆動するために電磁モータやリンク機構は不要であり、これらを用いることなく棒状の部材を回転駆動させる小型・軽量のアクチュエータを実現することができる。これにより、アクチュエータの設置位置にモータやリンクによる制約がなくなり、装置のレイアウト性の向上が図られ、狭く小さな場所にも回転駆動するアクチュエータを取り付けることが可能となる。
【0035】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2として、図2のアクチュエータ11をCCDカメラのワイパ装置に適用した例について説明する。図8は、その構成を示す説明図であり、その一部を破断して示したものである。なお、以下の実施の形態では実施の形態1と同様の部材、部品等については同一の符号を付しその説明は省略する。
【0036】
最近、見通しの悪い交差点やT字路などにおいて、車両を交差点に深く進入させることなく接近中の車両や人を視認することができるようにCCDカメラを設置した自動車が登場している。そこでは、CCDカメラはサイドバンパーやフロントグリル内に配置され、そこで得た左右の映像は車内ディスプレイ上に表示される。ところが、雨天時などにおいてはCCDカメラ前面のガラス面に付着した水滴により視界確保の機能が十分に果たせない場合がある。この場合、CCDカメラ前面にワイパ装置を取り付けることにより視界確保は可能である。ところが、前述のように、ワイパブレードを駆動するにはモータが必要となるため装置全体が大きくなり、狭い場所には取り付けることができないという問題があった。
【0037】
これに対し、本発明によるアクチュエータを用いたワイパ装置は、モータが不要であり、装置全体を小さくまとめることが可能である。図8に示すように、当該ワイパ装置31は、図2のアクチュエータ11をカバー32に取り付けた構成となっており、ワイパユニットとしてCCDカメラ33の前面に外付け可能に形成されている。
【0038】
この場合、駆動体1にはゴム製のブレードラバー34が取り付けられており、ワイパブレード35を形成している。そして、ワイパブレード35は、CCDカメラ33の前面に配設したガラス面(払拭面)36上を回転軸2を中心として揺動自在に設けられている。そして、図示しないドライバから駆動体1に対し適宜電圧を印加することにより、ワイパブレード35がガラス面36上にて揺動運動し、面上の水滴や埃が除去される。
【0039】
このように、ワイパ装置31では、ブレード駆動用の電磁モータやリンク機構が不要となり、ワイパ装置の小型・軽量化が図られる。また、ブレード位置にモータやリンクによる制約がないため、装置のレイアウト性も向上する。従って、狭く小さな場所にワイパ装置を取り付けることができるようになり、車載用のCCDカメラに限らず、従来、取り付けスペースの関係からワイパ装置が設置されていなかった部位にもワイパ装置を取り付けることが可能となる。また、ワイパ装置31は、カバー32と一体化されたユニット構造となっているため、CCDカメラ33本体に追加工することなく、CCDカメラ33の前面に組み付けることができる。
【0040】
なお、前述のワイパ装置31では、アクチュエータ11として、図2の構成を用いたものを適用した例を示したが、アクチュエータ部分を図3の構成とすることも可能である。また、ワイパ装置31では、ブレードラバー34により回転抵抗力が付与される場合には、板ばね13を廃することも可能である。
【0041】
(実施の形態3)
さらに、本発明の実施の形態3として、図2のアクチュエータ11をスピードメータに適用した例について説明する。図9は、その構成を示す説明図であり、(a)はスピードメータの正面図、(b)は指針部分の断面図である。
【0042】
当該実施の形態では、図9に示すように、駆動体1がスピードメータ41の指針42として使用されている。すなわち、指針42自体が圧電素子によって形成されている。この場合、指針42はメータ表示板43から突出する形で配設された回転軸2に固定される。回転軸2は、メータ表示板43の裏面側に設けられたリング状の軸受部3に回転可能に支持される。回転軸2は軸受部3に若干圧入気味に挿入され、そこで回転軸2に回転抵抗力が付与される。すなわち、ここでは軸受部3自体が抵抗力付与手段となっている。
【0043】
回転軸2の下端部には、周方向に沿って複数の磁極が着磁されたセンサプレート44が設けられている。また、センサプレート44の近傍には回転センサ(指針位置検出センサ)45が設置されている。この回転センサ45は、駆動体1に通電した結果、指針42がどの位置に移動したかを検出するセンサであり、センサプレート44の回転に伴う磁極変化を捉えて指針42の回転角度を検出する。
【0044】
そして、ドライバ5から駆動体1に対し、車速に応じた電圧を印加することにより、指針42がメータ表示板43上にて回転軸2を中心として回転移動する。また、その際、回転センサ45により指針42の回転角度が検出され、指針42が適正な位置に移動するよう制御される。
【0045】
このようにスピードメータ41では、指針部分の体積を利用して指針駆動機構を組み込むことができると共に、指針42駆動用の電磁モータが不要となる。従って、メータの小型・軽量化が図られると共に、装置のレイアウト性も向上する。また、駆動体1にて形成された指針42を、メータ表示板43から突出した回転軸2に差し込むだけで設置できるため、組み付け性の向上も図られる。この場合、回転軸2を図4のような構成を採用し、メータ表示板43の裏に設けた軸受部3に差し込むようにすることも可能である。
【0046】
なお、当該実施の形態では、指針42を駆動体1にて構成する形態のみならず、合成樹脂製や金属製の指針に駆動体1を取り付ける形態も可能である。また、当該構成は指針を有する計器類一般や時計などにも使用可能である。特に、指針42は、通電を停止しても回転抵抗力によりその場にて保持されるため、数値変化が少ない計器や、置き針式に測定値を表示する計器などに好適である。さらに、常時通電しなくとも数値表示が可能であるため、電力の節減を図ることも可能である。
【0047】
(実施の形態4)
加えて、本発明の実施の形態4として、図2のアクチュエータ11を用いたモータについて説明する。図10は、その構成を示す説明図である。アクチュエータ11では、ワイパ装置の揺動運動のみならず、それを旋回形のアクチュエータとして構成し、図10のようなモータ51を形成することも可能である。また、そこで使用される駆動体1の設置個数は1個には限定されず、回転軸2に複数個の駆動体1を取り付け出力増強を図ることも可能である。
【0048】
モータ51では、回転軸2に2個の駆動体1が取り付けられており、それを覆うようにハウジング52が設けられている。回転軸2は、ベースプレート53に取り付けられたベアリング(軸受部)54と、ハウジング52の上面に取り付けられたメタル軸受55によって回転可能に支持される。この場合、回転軸2はメタル軸受55に対して若干圧入気味に装着され、メタル軸受55によって回転抵抗力が付加される。
【0049】
回転軸2は中空となっており、その内部の空隙23中には駆動体1に電力を供給するための配線4が通されている。また、回転軸2の上部には、配線4と接続されたスリップリング56が取り付けられており、このスリップリング56を介してドライバ5から電圧が印加される。なお、スリップリング56は、ハウジング52の上部に取り付けられたケース57に収容される。
【0050】
このようなモータ51に対し前述のような鋸歯状電圧を印可すると、図7に示したような駆動体1の働きにより、回転軸2を所望の方向に回転させることができる。この場合、駆動体1に対する印可電圧値により、回転軸2の出力トルクを制御することができる。また、鋸歯電圧の周波数を変化させることにより、回転軸2の回転速度(回転数)を変化させることができる。さらに、駆動体1の設置個数によっても出力トルクを適宜変更することができる。この場合、例えば、スリップリング56を各駆動体1ごとに設け、電圧を印可する駆動体1の個数を変更して出力調整を行うことも可能である。
【0051】
また、モータ51では、バイモルフ型の圧電素子等からなる駆動体1にて回転軸2を駆動させるので、回転軸2に駆動力を与える部位を軽量に構成することができる。このため、小型軽量でしかもイナーシャの小さい応答性に優れたモータを形成することが可能となる。
【0052】
なお、モータ51における駆動体1の設置個数は2個には限定されない。また、回転抵抗力付加手段として、板ばねやゴム等を回転軸2に摺接させる構成を採ることも可能である。さらに、スリップリング56は、回転する対象物に電力を供給できるもであれば良く、例えば、それに代えて整流子を取り付けても良い。
【0053】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施の形態では回転抵抗力を摩擦力にて付与する例を示したが、これを磁気を用いたブレーキや電磁式のブレーキによって行うことも可能である。また、摩擦力による場合も、その付与手段は板ばねには限定されず、回転軸中に内装若しくは外装したコイルスプリングやゴムなどによって回転抵抗力を付与することも可能である。さらに、回転抵抗力を付与する板ばねは、軸受部のみならず、アクチュエータ外部に取り付けたものを用いることも可能である。例えば、図8のワイパ装置31などでは、カバー32に板ばね13を取り付けても良い。
【0054】
加えて、駆動体1は、必ずしもその全体が振動しなくとも良く、図7のような運動が実現できるものであれば、例えば先端部のみなど、その一部が振動する形態も可能である。また、駆動体1の寸法はあくまでも一例であり、前述の寸法には限定されないことは言うまでもない。さらに、駆動体1に印可する電圧も前述のような鋸歯状のものには限定されない。
【0055】
【発明の効果】
本発明のアクチュエータによれば、振動する部位を有する駆動体が取り付けられた軸部材と、この軸部材を回転可能に支持する軸受部と、軸部材に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段とを設けたので、簡単な構成にて駆動体を回転運動させることが可能となる。従って、電磁モータやリンク機構を用いることなく、駆動体を回転駆動させる小型・軽量のアクチュエータを実現することができる。これにより、アクチュエータの設置場所にモータやリンクによる制約がなくなり、装置のレイアウト性の向上が図られ、狭く小さな場所にも回転駆動するアクチュエータを取り付けることが可能となる。
【0056】
また、本発明のワイパ装置によれば、払拭面上に配置され、少なくともその一部に振動する部位を有する駆動体を備えたワイパブレードが取り付けられた軸部材と、この軸部材を回転可能に支持する軸受部と、軸部材に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段とを設けたので、電磁モータやリンク機構を用いることなく、ワイパブレードを回転駆動させる小型・軽量のワイパ装置を実現することができる。これにより、ワイパ装置の設置場所にモータやリンクによる制約がなくなり、装置のレイアウト性の向上が図られ、狭く小さな場所にもワイパ装置を取り付けることが可能となる。
【0057】
さらに、本発明の表示装置によれば、少なくともその一部に振動する部位を有する駆動体によって形成された指針が取り付けられた軸部材と、この軸部材を回転可能に支持する軸受部と、軸部材に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段とを設けたので、電磁モータを用いることなく、指針を回転駆動させる小型・軽量の表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアクチュエータの基本構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態1である揺動形のアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図3】図2のアクチュエータにおける回転抵抗力付与構造の他の例を示す説明図である。
【図4】図2のアクチュエータにおける回転抵抗力付与構造のさらに他の例を示す説明図である。
【図5】図2のアクチュエータにおける給電構造を示す説明図である。
【図6】図2のアクチュエータに印加される電圧の波形を示す説明図である。
【図7】図6の電圧が印加された場合の駆動体の挙動を示す説明図である。
【図8】図2のアクチュエータを適用した本発明の実施の形態2であるワイパ装置の構成を示す説明図であり、その一部を破断して示したものである。
【図9】図2のアクチュエータを適用した本発明の実施の形態3であるスピードメータの構成を示す説明図であり、(a)はスピードメータの正面図、(b)は指針部分の断面図である。
【図10】図2のアクチュエータを適用した本発明の実施の形態4であるモータの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 駆動体
2 回転軸(軸部材)
3 軸受部
4 配線
5 ドライバ
11 アクチュエータ
12 ホルダ
13 板ばね(抵抗力付与手段)
14 嵌合孔
15 小径部
16 小径部
17 フランジ部
18 凹部
19 板ばね
20 係合片
21 取付孔
22 係止部
23 空隙
24 止めねじ
31 ワイパ装置
32 カバー
33 CCDカメラ
34 ブレードラバー
35 ワイパブレード
36 ガラス面(払拭面)
41 スピードメータ
42 指針
43 メータ表示板
44 センサプレート
45 回転センサ
51 モータ
52 ハウジング
53 ベースプレート
54 ベアリング(軸受部)
55 メタル軸受(抵抗力付与手段)
56 スリップリング
57 ケース

Claims (9)

  1. 先端部が左右方向に屈曲変形する平板状のバイモルフ圧電素子にて形成された駆動体と、
    前記駆動体が取り付けられた回転軸と、
    前記回転軸を回転自在に支持するホルダと、
    前記回転軸の回転に際し前記回転軸に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段と、を有し、
    前記駆動体に対し鋸歯状の波形を有する電圧を印加し、該印加電圧の変化の緩急に伴う前記バイモルフ圧電素子の屈曲変形速度の差に基づいて、前記駆動体に生じる慣性力に差が生じ、該慣性力と前記回転抵抗力との差違によって前記駆動体が前記回転軸を中心として所定方向に移動することを特徴とするアクチュエータ。
  2. 請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記回転抵抗力は、前記印加電圧の変化が緩やかな状態のとき生じる前記慣性力よりも大きく、前記印加電圧の変化が急な状態のとき生じる前記慣性力よりも小さく設定されることを特徴とするアクチュエータ。
  3. 請求項2記載のアクチュエータにおいて、前記駆動体は、前記印加電圧の変化が緩やかな状態のときは、前記慣性力が前記回転抵抗力によって打ち消されることにより電圧値に応じた角度だけ変位し、前記印加電圧の変化が急な状態のときは、前記慣性力が前記回転抵抗力によって打ち消されず電圧値に応じた角度よりも少なく変位し、
    前記変位の差違により、前記駆動体は、前記印加電圧の変化が緩やかな状態のときの前記バイモルフ圧電素子の屈曲方向に向かって移動することを特徴とするアクチュエータ。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記抵抗力付与手段は、前記ホルダに取り付けられ前記回転軸に対し弾性的に接する板ばねであり、該板ばねは、摩擦力によって前記回転軸に前記回転抵抗力を付与することを特徴とするアクチュエータ。
  5. 請求項4記載のアクチュエータにおいて、前記板ばねは、前記回転軸の上端部に突出形成された小径部に嵌合する嵌合孔を備え、該嵌合孔を前記小径部に嵌合させつつ前記ホルダに固定され、
    前記回転軸は、下端部が前記ホルダに回転自在に支持されると共に、上端部は前記板ばねによって回転自在に保持され、
    前記回転軸の前記小径部が形成された段部端面に前記板ばねの下面が弾性的に接触することにより、前記回転軸に回転抵抗力が付与されることを特徴とするアクチュエータ。
  6. 請求項4記載のアクチュエータにおいて、前記回転軸は、前記ホルダの凹部に収容される小径部と、前記ホルダの上面に載せられるフランジ部とを備え、
    前記板ばねは、前記凹部の開口部を塞ぐ形で前記ホルダに取り付けられ、前記小径部に側方から弾接することにより、前記回転軸に回転抵抗力が付与することを特徴とするアクチュエータ。
  7. 請求項1〜3の何れか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記抵抗力付与手段は、前記軸部材の端部に設けられ、前記ホルダに弾性的に接するクリップ形状の係合片であり、
    前記係合片は、前記ホルダに形成された取付孔内に内側にすぼむように撓みながら挿入され、先端部に設けられた係止部が前記取付孔外へ突出し、前記ホルダの下面に係合すると共に、該係合片が弾発的に戻ることによりその外面が前記取付孔の内面側に弾性的に接触し、前記回転軸に回転抵抗力が付与されることを特徴とするアクチュエータ。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記回転軸はその内部に軸方向に延びる空隙を有し、前記空隙を介して前記駆動体に対する給電用の配線を行うことを特徴とするアクチュエータ。
  9. CCDカメラの前面に配設されるワイパ装置であって、
    前記CCDカメラの前面に設けられた払拭面上に配置され、先端部が左右方向に屈曲変形する平板状のバイモルフ圧電素子にて形成された駆動体を備えたワイパブレードと、
    前記ワイパブレードが取り付けられた回転軸と、
    前記回転軸を回転自在に支持するホルダと、
    前記回転軸の回転に際し前記回転軸に対して回転抵抗力を付与する抵抗力付与手段と、を有し、
    前記駆動体に対し鋸歯状の波形を有する電圧を印加し、該印加電圧の変化の緩急に伴う前記バイモルフ圧電素子の屈曲変形速度の差に基づいて、前記駆動体に生じる慣性力に差が生じ、該慣性力と前記回転抵抗力との差違によって前記駆動体が前記回転軸を中心として所定方向に移動し、前記ワイパブレードが前記払拭面上にて揺動運動を行うことを特徴とするワイパ装置。
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