JP4921754B2 - メラニン産生促進剤及び中性脂肪蓄積抑制剤 - Google Patents

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本発明は、メラニン生成促進剤、中性脂肪蓄積抑制剤、頭皮頭髪用組成物、及び機能性食品に関する。さらに詳しくは、樟芝(Antrodia camphorata)の抽出物を含有するメラニン生成促進剤、中性脂肪蓄積抑制剤、頭皮頭髪用組成物、及び機能性食品に関する。
メラニンの生成が減少することによって生じる白髪化は、老化現象のひとつであり、多くの人が悩みを抱えている。また、過剰な食物の摂取、運動不足、ストレスなどが原因で生じる肥満や高脂血症を始めとする様々な疾患は、社会的にも大きな問題となっている。
このような白髪化や肥満等を改善するために、メラニン生成促進作用や中性脂肪蓄積抑制作用を有する種々の成分が報告されている。メラニン生成促進作用を有する成分としては、イワヒバ科セラギネラ属イヌカタヒバ抽出物(特許文献1参照)、脂肪蓄積抑制作用を有する成分としては、哺乳動物の乳由来のリン脂質(特許文献2参照),褐藻の酵素分解物(特許文献3参照)が知られている。
特開平9−263542号公報 特開2001−275614号公報 特開平7−278005号公報
天然由来成分は、様々な薬理作用や美容効果を有することが知られ、これまでにも数多くの植物や菌類などが頭皮頭髪用組成物や飲食品などの分野に幅広く応用されている。また、上記の通り、メラニン生成促進作用や中性脂肪蓄積抑制作用を有するものも報告されているが、天然由来成分の中には未だその効果が知られていないものも数多く存在し、優れた保湿作用、メラニン生成促進作用、中性脂肪蓄積抑制作用などを有する有効成分の開発が期待されていた。本発明は、このような有効成分を見出すためになされたものであり、頭皮頭髪用組成物や飲食品などの分野に幅広く応用が可能なメラニン生成促進剤及び中性脂肪蓄積抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、頭皮頭髪用組成物や飲食品などの分野に幅広く応用が可能なメラニン生成促進剤及び中性脂肪蓄積抑制剤を見出すために、天然由来の種々の物質について検討を行った。その結果、樟芝の抽出物に優れたメラニン生成促進作用及び中性脂肪蓄積抑制作用を見出し、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、樟芝の抽出物を有効成分とするメラニン生成促進剤及び中性脂肪蓄積抑制剤、並びに樟芝の抽出物を含有する頭皮頭髪用組成物、及び機能性食品を提供するものである。
本発明によれば、優れた効果を有するメラニン生成促進剤及び中性脂肪蓄積抑制剤を提供することができ、これらを頭皮頭髪用組成物や食品等の組成物に配合することにより、白髪化、肥満、高脂血症といった様々な老化現象や疾患に優れた効果を発揮する種々の組成物を提供することができる。
本発明の原料として用いられる植物である樟芝(Antrodia camphorata)は、薄孔菌科Antrodia属の菌類である。樟芝を使用する際は、そのまま粉砕して使用することもできるが、抽出物を用いるとよい。抽出には、樟芝の菌糸、胞子、子実体などいずれの部位を用いても構わないが、簡便に利用するには、菌糸の培養物や子実体を用いるとよく、有効性の点からは子実体を用いるとよい。抽出の際は、生のまま用いてもよいが、抽出効率を考えると、細切、乾燥、粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。抽出は、抽出溶媒に浸漬するか、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出方法でも行うことができる。抽出効率を上げるため、撹拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
抽出溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、1、3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類などの溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。また、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。さらに、水や二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタノール、メタノール、アンモニアなどの1種又は2種以上の超臨界流体や亜臨界流体を用いてもよい。
樟芝の上記溶媒による抽出物は、そのままでも使用することができるが、濃縮、乾固した物を水や極性溶媒に再度溶解して使用することもでき、これらの生理作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩等の精製処理やカラムクロマトグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよい。樟芝の前記抽出物やその処理物及び分画物は、各処理及び分画後に凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。
樟芝の抽出物は、優れたメラニン生成促進作用及び中性脂肪蓄積抑制作用を有し、メラニン生成促進剤及び中性脂肪蓄積抑制剤として利用することができる。また、樟芝の抽出物を有効成分とするメラニン生成促進剤及び中性脂肪蓄積抑制剤は、頭皮頭髪に塗布するだけではなく経口摂取や皮膚への外用も可能であり、飲料を含む食品や医薬品などにも幅広く応用することが可能である。なお、本発明の食品には飲料が含まれる。
樟芝の抽出物を有効成分とするメラニン生成促進剤は、メラノサイトにおけるメラニン生成促進作用に優れ、白髪抑制剤として白髪の予防・改善にも優れた効果を期待することができる。
樟芝の抽出物を有効成分とする中性脂肪蓄積抑制剤は、優れた中性脂肪蓄積抑制作用を有し、中性脂肪蓄積抑制剤として利用することができる。中性脂肪の過剰な蓄積が原因として起こる疾患としては、高脂血症,動脈硬化,脂肪肝などが知られており、上記抽出物を有効成分とする中性脂肪蓄積抑制剤は、肥満の予防・改善だけでなく、このような疾患の予防・改善にも効果を期待することができる。
また、樟芝の抽出物を頭皮頭髪用組成物に配合することにより、白髪改善用頭皮頭髪用組成物としても用いることができる。さらに、樟芝の抽出物は、美容、健康維持、あるいは栄養補給を目的とするような食品や飲料にも用いることもできるが、特に白髪の改善や脂質代謝改善のための機能性食品として利用するのに適している。
樟芝の抽出物を頭皮頭髪用組成物や機能性食品等の組成物に配合する際の配合量は、組成物の種類や使用目的等によって調整することができるが、効果や安定性などの点から、全量に対して0.0001〜50.0重量%が好ましく、より好ましくは、0.001〜25.0重量%である。
樟芝の抽出物を配合する組成物の剤型は任意であるが、頭皮頭髪用組成物の場合にはローションなどの可溶化系、クリームや乳液などの乳化系、カラミンローション等の分散系、エアゾール、軟膏剤、粉末、顆粒などの種々の剤型で提供することもできる。また、組成物が経口用医薬品や食品の場合には、ドリンク剤・点滴剤などの液剤、ガム・飴のような固形剤、カプセル、粉末、顆粒、錠剤などの一般的な剤型とすることができる。
なお、樟芝の抽出物を配合する組成物には、樟芝の抽出物の他に、必要に応じて、通常医薬品、医薬部外品、皮膚化粧料、毛髪用化粧料、洗浄料、及び食品に配合される油性成分、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤、香料、樹脂、防菌防黴剤、アルコール類、調味料、賦形剤等を適宜配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の保湿剤、中性脂肪蓄積抑制剤、ヒアルロン酸産生促進剤との併用も可能である。
以下に、樟芝の抽出物の製造例、各作用を評価するための試験、頭皮頭髪用組成物や食品の処方例、使用試験についてさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
[製造例1]
樟芝の乾燥粉砕物1kgに50重量%エタノール水溶液を10リットル加え、室温で7日間浸漬した。抽出液をろ過して回収し、溶媒を除去した後、樟芝抽出物を得た。
[製造例2]
樟芝の乾燥粉砕物1kgに水を9リットル加え、90℃にて6時間還流して抽出した。抽出液をろ過して回収し、溶媒を除去した後、樟芝抽出物を得た。
[製造例3]
樟芝の乾燥粉砕物1kgにメタノールを9リットル加え、室温で7日間浸漬した。抽出液をろ過して回収し、溶媒を除去した後、樟芝抽出物を得た。
[製造例4]
超臨界抽出装置に樟芝を投入し、40℃において15MPaの気圧下で二酸化炭素の超臨界流体を用いて抽出した。抽出物を回収し、樟芝抽出物を得た。
まず、樟芝抽出物の真皮線維芽細胞の賦活作用について示す。試料には、樟芝の子実体を製造例2により抽出したものを試料1として評価を行った。
まず、樟芝抽出物のメラニン生成促進作用の評価を示す。試料には、樟芝の菌糸体を製造例1により抽出したものを試料1として評価を行った。
評価は、以下の手順で行った。B16メラノーマ細胞を1ディッシュ当り1.8×10個となるように播種し、24時間後に各濃度に調整した試料添加培地に交換した。さらに7日間培養し、培養終了後にトリプシンにより細胞を剥離して回収した。回収した細胞を一定量分取して遠心し、上清除去した後、沈殿物にSoluen−350を加えて煮沸し、分光光度計により400nmにおける吸光度を測定した。評価結果を、試料が無添加の場合のメラニン産生量を100とした場合の相対値にて表1に示す。
Figure 0004921754
表1より明らかなように、樟芝抽出物を添加した培地を用いた場合には、メラニン生成量の増加が認められた。このことより、樟芝抽出物は、優れたメラニン生成促進作用を有することが明らかとなった。
次に、樟芝抽出物の脂肪細胞における中性脂肪の蓄積抑制作用の評価について示す。試料には、樟芝の菌糸体を製造例1により抽出したものを試料2として評価を行った。
評価は、以下の手順で行った。培養細胞として通常ヒト前駆脂肪細胞を使用した。まず、10%牛血清を含むDMEM培地にて培養皿が飽和状態になるまで細胞増殖を行った後、0.25μMキサメタゾン,0.5mMイソブチルメチルキサンチン,6μg/mLインスリンを含む培地で2日間培養した。培養終了後、インスリンのみを含む培地に任意の濃度となるように試料を添加し、10日後に脂肪細胞中の脂肪滴の観察を行った。脂肪滴の観察は、10%ホルマリンで細胞を固定した後、オイルレッドOにて脂肪滴を染色し、550nmにおける吸光度を測定して、中性脂肪の生成量を評価した。それぞれの評価結果を、試料無添加のブランクにおける中性脂肪蓄積量を100とした相対値にて表2に示す。なお、表中の*及び**は、t検定における有意確率P値に対し、有意確率5%未満(P<0.05)を*で、有意確率1%未満(P<0.01)を**で表したものである。
Figure 0004921754
表2より明らかなように、樟芝抽出物を添加した培地では、有意な中性脂肪蓄積抑制作用が認められた。このことから、樟芝抽出物は、優れた中性脂肪蓄積抑制作用を有することが明らかとなった。
続いて、本発明に係る樟芝抽出物を配合した組成物として、頭皮頭髪用組成物と食品の処方例を示す。
[処方例1]ローション
(1)エタノール 15.0(重量%)
(2)ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.3
(3)香料 0.1
(4)精製水 78.38
(5)クエン酸 0.02
(6)クエン酸ナトリウム 0.1
(7)グリセリン 1.0
(8)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(9)樟芝抽出物[製造例3] 5.0
製法:(1)に(2)及び(3)を溶解する。溶解後、(4)〜(8)を順次添加した後、十分に攪拌し、(9)を加え、均一に混合する。
[処方例2]ワックス
(1)ステアリン酸 3.0(重量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.0
(3)セチルアルコール 3.0
(4)高重合メチルポリシロキサン 2.0
(5)メチルポリシロキサン 5.0
(6)ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)
メチルポリシロキサン共重合体 1.0
(7)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(8)1、3−ブチレングリコール 7.5
(9)アルギニン 0.7
(10)精製水 70.6
(11)樟芝抽出物[製造例1] 5.0
(12)香料 0.1
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解後する。一方、(7)〜(10)の水相成分を75℃にて加熱溶解し、前記油相成分を加え、ホモミキサーにて乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、40℃にて(11)と(12)の成分を加え、均一に混合する。
[処方例3]トニック
(1)エタノール 46.0(重量%)
(2)精製水 48.9
(3)樟芝抽出物[製造例3] 5.0
(4)香料 0.1
製法:(1)〜(4)の成分を混合、均一化する。
[処方例4]内服液
(1)樟芝抽出物[製造例1] 5.0(重量%)
(2)クエン酸 0.1
(3)ステビア 0.01
(4)精製水 94.89
製法:(1)〜(5)を均一に混合する。
[処方例13]錠剤
(1)樟芝抽出物[製造例1] 0.30(重量部)
(2)還元麦芽糖水飴 0.53
(3)トウモロコシデンプン 0.15
(4)グリセリン脂肪酸エステル 0.02
製法:(1)〜(3)を篩過して混合し、さらに(4)を添加して混合した。打錠機にて打錠を行い、全量300mgの錠剤を得た。

Claims (3)

  1. 樟芝抽出物を有効成分とするメラニン生成促進剤。
  2. 樟芝抽出物を有効成分とする中性脂肪蓄積抑制剤。
  3. 樟芝抽出物を含有する頭皮頭髪用組成物。
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