JP4921460B2 - 無線伝送システム並びにそれに用いられる無線局及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、互いに近接する複数の無線局がデータを複局同時送信する無線伝送システム並びにそれに用いられる無線局及び方法に関する。
一般的に、無線通信において、送信された信号が複数の伝搬路を経由し、異なる伝搬時間で受信機へ到達することによって、マルチパスフェージングが生じる。マルチパスフェージングによる伝送特性の劣化を防止するために、耐マルチパス性を有する変復調方式が用いられている。
耐マルチパス性を有する変復調方式には、例えば、スペクトル拡散方式や、広い周波数に渡って配置された多数のサブキャリアに情報を分散させて伝送する直交周波数分割多重方式(OFDM; Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、伝送シンボル内に位相や振幅の冗長を加えることで耐マルチパス性を発揮させる耐マルチパス変調方式等がある。
スペクトル拡散方式には、例えば、元の信号より広い帯域の拡散信号を掛け合わせる直接拡散方式(DSSS; Direct Sequence Spread Spectrum)、周波数を広い帯域に渡ってホップさせる周波数ホッピング方式(FHSS; Frequency Hopping Spread Spectrum)、帯域の広いインパルスで拡散するタイムホッピング方式(THSS; Time Hopping Spread Spectrum)がある。
耐マルチパス変調方式には、凸状の位相冗長を加えるPSK−VP(Phase Shift Keying with Varied Phase)方式(非特許文献1)や、振幅冗長を加えるPSK−RZ(Return to Zero Phase Shift Keying)方式(非特許文献2)がある。
また、通常のシングルキャリア変調方式を用いて無線通信した場合であっても、受信側で等化器を用いることによって、耐マルチパス性を持たせることができる。シングルキャリア変調方式を用いて無線通信し、受信側で等化器を用いる変復調方式も、耐マルチパス性を有する変復調方式である。
このような耐マルチパス性を有する変復調方式を用いて通信することによって、マルチパス波形歪みによる伝送特性の劣化を防止することができる。さらに、マルチパスを構成する各素波(遅延波)の受信機への到来時間差が適度にある場合、複数の遅延波をダイバーシチ受信(パスダイバーシチ受信)することによって、遅延波成分を分離合成することによって、伝送特性を積極的に改善することができる。
以下、パスダイバーシチ効果が得られる到来時間差の下限値を遅延分解能と、上限値を遅延上限と呼ぶ。遅延分解能及び遅延上限は、用いられる変復調方式の原理上定まる場合もあり、また、変復調方式のパラメータや実装上の制約から定まる場合もある。
例えば、DSSS方式において、受信側で受信信号を複数遅延波成分(パス)に分離して合成(RAKE受信)し、パスダイバーシチ効果を得るための遅延分解能は、拡散符号の1チップ長に相当し、遅延上限は、拡散符号長未満に相当する。
また、OFDM方式の場合、信号に設定したガード区間で遅延波成分を吸収するために、遅延上限はガード時間に相当する。遅延波の伝搬時間差がガード区間以内であればシンボル間干渉が生じない、また、通常、複数のサブキャリアにまたがって誤り訂正処理を施すので、一部のサブキャリアがマルチパス歪みで誤りを生じても情報を再現することができる。一方、遅延分解能は、周波数帯域幅の逆数程度に相当する。このように、OFDM方式を用いる場合、ガード区間による効果と、広い周波数帯に渡って情報を散在させて回収することによる周波数ダイバーシチ効果とによって、パスダイバーシチ効果を得ることができる。
また、PSK−VP方式やPSK−RZ方式を用いる場合、遅延分解能はシンボル長の数分の1程度の時間に相当し、遅延上限は1シンボル長未満の時間に相当する。また、送信側にPSK方式やQAM方式等のシングルキャリア方式を用い、受信側にタップ付き遅延線を用いた等化器を利用する場合、遅延分解能は1シンボル長に相当し、遅延上限はタップ数によって定まる時間に相当する。
以上のような耐マルチパス性を有する変復調方式を用いて、複数の基地局のアンテナから同一の信号を複局同時送信する際に人為的に信号を遅延させ、パスダイバーシチ効果を得ることにより、伝送特性の積極的な改善や通信エリアの拡大等を図った無線伝送システムが、セルラー系や放送系の分野において提案されている。ただし、このような複局システムにおいても、各アンテナからの到来波の到来時間差が、遅延分解能以上かつ遅延上限以下となる範囲を逸脱する地点では、パスダイバーシチ効果を得ることができない。
それどころか、例えば、2つの局からの到来波の到来時間差が極端に短い場合、等電力の2つの遅延波が逆位相で同時に受信される地点では、信号が互いに打ち消し合ってしまうため、伝送特性が大きく劣化してしまう。一方、2つの局からの到来波の到来時間差が遅延上限を越える地点においても、パスダイバーシチ効果が得られないばかりか、伝送特性が劣化してしまうことになる。そこで、従来の複局システムでは、この問題を生じさせないために、複局同時送信させる複数のアンテナ間の送信タイミングに適度な差を設け、パスダイバーシチ効果を確実に発揮できるようにしている(例えば特許文献1)。
図48Aは、特許文献1に記載の従来の複局同時送信システムの構成を示す図である。図48Aにおいて、基地局50は、CDMA(Code Division Multiple Access)方式を用いて移動端末と通信する。遠隔アンテナシステム52−1〜52−nは、基地局と図示しない移動端末との間に介在し、基地局及び移動局間で送信される信号を中継する。遠隔アンテナシステム52−1〜52−nは、基地局50から遠く離れた所定の位置に配置されている。遠隔アンテナシステム52−1〜52−nは、高利得アンテナ54−1〜54−nと、遅延素子56−1〜56−nと、遠隔アンテナ58−1〜58−nとを含む。
基地局50から送信された信号は、高利得アンテナ54−1〜54−nで受信され、増幅された後、遅延素子56−1〜56−nで各々所定時間遅延され、遠隔アンテナ58−1〜58−nから送信される。このシステムでは、拡散符号の1チップ時間より若干大きい時間τの倍数で各々異なる遅延時間となる遅延素子56−1〜56−nを各遠隔アンテナシステム52−1〜52−nに設けている。これにより、例えば遠隔アンテナ58−1〜58−5の各々がカバーするエリアを図48BのE58−1〜E58−5のように形成した場合に、隣接するローカルアンテナから信号がほぼ等電力で到来するローカルアンテナからほぼ等距離のエリアオーバーラップ地点における到来波の到来時間差を適度な値(この場合には、τ〜3τ程度)にして、複局同時送信によるパスダイバーシチを確実に得ることができる。
また、シンボル波形(シンボル内の位相波形)に着目した特許文献2に記載された伝送方法の変調方式は、シンボル波形の位相についてシンボル周期Tに同期させた凸型の位相遷移を有し、遅延検波によって検波出力を得る方法で、マルチパスによって検波出力が消失してしまう状況を回避し、逆にパスの合成効果を得て伝送特性を改善することができる。この改善効果は、原理的に遅延波の遅延量τが所定の範囲(0<τ<T)において効果を発揮する。
図49は、特許文献2に記載されたシンボル波形の位相遷移を示す概略図である。図49において、この位相遷移は、1シンボルの時間長(シンボル長)Tでの遷移幅を最大位相遷移量φMAXで規定し、下記式(1)に示す関数に基づいて放物線状に位相を変化させる。
Figure 0004921460
図50は、特許文献2に記載された伝送信号生成回路700の構成を示す図である。図53に示すように、伝送信号生成回路700は、差動符号化回路701と、波形発生回路702と、直交変調器704と、発振器703とを備える。そして、伝送信号生成回路700は、送信データを差動符号化回路701で差動符号化し、波形発生回路702で凸型の位相冗長性を有するシンボル波形を用いて変調し、直交変調器704で搬送波周波数帯の信号に変換する。
次に、このような凸型の位相冗長性を持たせたシンボル波形を用いる場合の到来信号間の位相関係について示す。
図51は、凸型の位相冗長性を持たせたシンボル波形を用いる場合における2つの到来信号A及びBの位相関係を示す概略図である。図51において、位相差αを180度とすると、到来信号間に遅延が生じる場合でも位相が凸状に遷移するので、有効区間内で打ち消し合って受信波が消失する区間(図51のb点)があっても、打ち消し合わずに受信波が残存する区間(図51のa点及びc点)がある。この到来信号A及びBを遅延検波と低域通過フィルタとの組み合わせによって処理することで、有効な検波出力を得ることができる、よって、結果的にパスダイバーシチ効果を得て伝送特性が改善される。
図52は、特許文献2に記載される変調方式による送信ダイバーシチを用いた従来の無線伝送システムの構成を示す模式図である。図52に示すように、伝送信号生成回路700と第1及び第2空中線904及び905との間に遅延器901を設け、第1及び第2空中線904及び905から送信する信号間に、遅延を挿入する。このとき、パスダイバーシチ効果が良好に発揮される遅延量に設定して送信することで、伝送特性の改善が図られる。
一方で、近年、複数の無線局がお互いにデータを中継し合うことによって無線通信を行うマルチホップシシステムが研究されている。図53は、特許文献3に記載の従来の無線伝送システムの構成を示す図である。図53において、無線伝送システムは、6つの無線局17−1〜17−6を備える。図54は、図53に示す各無線局が伝送するパケットの送信タイミングを模式的に示す図である。
まず、無線局17−1は、ブロードキャスト用のパケットを送信する。無線局17−1が送信したパケットを受信することができるのは、無線局17−1の近傍に位置する無線局17−2及び17−3である。無線局17−2及び17−3は、パケットの受信が完了したタイミングから所定の送信タイミングまで送信待ちし、同時にパケットを送信する。
次に、無線局17−2及び17−3が送信したパケットを受信することができるのは、無線局17−4及び17−5である。無線局17−4及び17−5も、パケットの受信が完了したタイミングから所定の送信タイミングまで送信待ちし、同時にパケットを送信する。そして、無線局17−6が、無線局17−4及び17−5が送信したパケットを受信する。このように、特許文献3では、マルチホップシステムにおいて、耐マルチパス性を有するOFDMを用いることによって、複数の無線局が同時に同じパケットを送信しても干渉が生じない。また、無線局17−1から無線局17−6の順に1局ずつマルチホップ伝送する場合に比べて、ブロードキャスト用のパケット伝送に要する時間を短縮することができるため、伝送効率を向上させることができる。
このように、特許文献3に記載された従来の無線伝送システムによれば、複数の無線局が耐マルチパス性を有する変復調方式を用いて、効率良くマルチホップ伝送することができる。
特許第3325890号明細書 特許第2506748号明細書 特開2000−115181号公報 エッチ.タカイ、「ビーイーアール・パフォーマンス・オブ・アンチマルチパス・モジュレーション・スキーム・ピーエスケー−ブイピー・アンド・イッツ・オプティマム・フェーズ−ウェーブフォーム」、アイトリプルイー・トランス・ブイイーエイチ.テクノロジー(H. Takai, "BER Performance of Anti-Multipath Modulation Scheme PSK-VP and its Optimum Phase-Waveform",IEEE, Trans. Veh. Technol.), Vol. VT-42、1993年11月、p625−639 エス.アリヤビスタクル、エス.ヨシダ、エフ.イケガミ、ケイ.タナカ、ティー.タケウチ、「ア・パワーエフィシェント・リニア・ディジタル・モジュレータ・アンド・イッツ・アプリケーション・トゥー・アン・アンチマルチパス・モジュレーション・ピーエスケー−アールゼット・スキーム」、プロシーディングズ・オブ・アイトリプルイー・ビークラー・テクノロジー・カンファレンス(S. Ariyavisitakul, S. Yoshida, F. Ikegami, K. Tanaka, T. Takeuchi, "A Power-efficient linear digital modulator and its application to an anti-multipath modulation PSK-RZ scheme", Proceedings of IEEE Vehicular Technology Conference)、1987年6月、p66−71
通常、マルチホップシステムは、互いに近接する無線局を用いて構築されるため、パケットを複局同時送信する無線局から受信局までの伝搬行路長は、どの局からもほぼ同一となる。従って、特許文献3に記載の従来の無線伝送システムにおいても、複局同時送信する無線局(例えば、無線局17−4及び17−5)において、パケットを送信するタイミングに適度な差を設けていない場合、上述のように2つの遅延波が逆位相であると互いに打ち消し合うため、パスダイバーシチ効果を得ることができない。
しかしながら、特許文献3は、パケット伝送に要する時間を短縮し、伝送効率を高めることを目的としているため、パスダイバーシチ効果を確実に得ることについてはなんら考慮されていない。それ故、特許文献3には、無線局間に適度な送信タイミング差を確実に設ける方法についてはなんら述べられていない。
また、特許文献1に記載の従来の複局同時送信システムは、放送系やセルラー系の無線システムのように、信号の送信元が常に1つの基地局であり、基地局から送信された信号を複局同時送信するアンテナの配置や、伝送ルートが固定されているシステムを意図したものである。従って、送信元となる無線局や信号を中継する無線局が移動することによって、複局同時送信する無線局の数(複局数)や、伝送ルートが変動したりする場合については、なんら考慮されていない。従って、特許文献1に記載の従来の複局同時送信システムを、複局同時送信する無線局や伝送ルートが変動するマルチホップシステムに適用した場合、以下のような問題が生じる。
図55A〜Cは、特許文献1に記載の複局同時送信システムを、複局数や伝送ルートが変動するマルチホップシステムに適応した場合の問題点を説明するための図である。図55Aに示す無線局17−1〜17−n(n:1以上の自然数)は、図55B又はCに示すように、それぞれ通信エリアE17−1〜17−m(m:1以上n以下の自然数)を形成する。
例えば、図55Aのように、n個の無線局17−1〜17−nには、それぞれτの倍数の遅延時間が割り当てられており、無線局17−1〜17−nは、割り当てられた遅延時間をパケットに与えて中継伝送するものとする。遅延時間τは、遅延分解能以上の時間である。
各無線局17−1〜17−6が、図55Bに示す位置関係にある場合、無線局17−1が送信した中継伝送されるべきパケット(以下、ブロードキャストパケットと呼ぶ)は、無線局17−2及び17−3によって複局同時送信され、次いで無線局17−4及び17−5によって再度複局同時送信される。この場合、無線局17−2〜17−5には、それぞれ2τ〜5τの遅延が設定されているため、複局同時送信時の各パスの到来時間差はτとなって、パスダイバーシチ効果を得ることができる。
しかしながら、無線局の移動や交換等によって、無線局17−1〜17−5及び17−mが、図55Cの位置関係で存在する場合も起こり得る。この場合、無線局17−2が送信したブロードキャストパケットは、無線局17−1及び17−5によって複局同時送信される。しかしながら、無線局17−1に割り当てられた遅延時間τと、無線局17−5に割り当てられた遅延時間5τとでは、4τの時間差があるため、4τが遅延上限を超える場合、パスダイバーシチ効果を得ることができない。従って、無線局17−1及び17−5から送信されてきたパケットを受信するはずの無線局17−3及び17−mは、ブロードキャストパケットを受信することができなくなってしまう。一方、4τが遅延上限以下である場合、無線局17−3及び17−mが送信するブロードキャストパケットは、時間差(m−3)τで再度複局同時送信される。しかしながら、この場合においても、(m−3)τが遅延上限を超える場合、やはりパスダイバーシチ効果を得ることができず、無線局17−4は、ブロードキャストパケットを受信することができない。
また、無線局の位置関係に関わらず、複局同時送信時に、上述のような遅延上限を越える問題を生じさせないために、例えば、無線局17−1〜17−k(k:1以上n以下の自然数)に、遅延上限がkτ以上(k+1)τ未満となるような変復調方式を用いて、パケットをマルチホップ伝送することが考えられる。この場合、図56Aに示すように、無線局ID番号がmである無線局17−mに対して、遅延時間jτ(j:mをkで割った余り)を割り当てることも考えられる。しかしながら、この場合にも、同じ遅延時間に設定される無線局が生じ得るため、例えば、図56Bのように、パケットを複局同時送信する無線局17−a及び17−bに同一の遅延時間が割り当てられていた場合、無線局17−4及び17−5に無線局17−a及び17−bからの到来波が到来するタイミングが同一になってしまうため、パスダイバーシチ効果を得ることができない。
上記方法で設定できる遅延量の数(最大有効ブランチ数)は、遅延上限を遅延分解能で除した値程度に抑えられる。従って、遅延上限が無限に大きいか又は遅延分解能が無限に小さい場合、上記問題は生じない。しかしながら、実際には、変復調方式のパラメータや実装上の制約から、遅延分解能と遅延上限とが変復調方式毎に必ず存在するため、マルチホップシステムの複局同時送信に特許文献1の従来の複局同時送信システムを適用すると、上述のようにパスダイバーシチ効果を得ることができない場合が生じてしまう。
特に、上述した耐マルチパス性を有する変復調方式では、下記の事情にて、パスダイバーシチ効果に寄与する独立なブランチについて、有効となる最大のブランチ数(最大有効ブランチ数)が少数に限られる場合がある。パスダイバーシチ効果に寄与する最大有効ブランチ数は、遅延上限を遅延分解能で除した値以下になるが、遅延上限が遅延分解能に近接すると、これがごく小さな値になる。
例えば、最大有効ブランチ数が2つの場合、遅延分解能だけ離れた到来遅延を有する2波に、さらに3波目が間の到来遅延に加わると、3波目は元の2波の両方に重畳され、受信機でのパス分解後も共通して残留することとなって、パスダイバーシチにおけるブランチ(枝)間の相関を増し、劣化が生じてしまう。このように、遅延上限が遅延分解能に近接し、パスダイバーシチ効果に寄与する最大有効ブランチ数が少数に限られるような場合においては、遅延を有するパスを付け加えさえすれば良いというわけにはいかないが、特許文献1から3を含め、この問題を解決する方法は未だに提案されていない。
遅延上限が遅延分解能に近接し、パスダイバーシチ効果に寄与する最大有効ブランチ数が少数に限られるような場合について、各々の変復調方式に対して、さらに詳述すると以下のようになる。
DSSS方式を用いる場合、遅延上限は拡散符号長未満に相当するため、拡散符号長が短くなり、遅延分解能に相当する拡散チップ長に近づくと、最大有効ブランチ数が少数になる。例えば、拡散符号長が4チップ長であって、拡散率が4倍、すなわち、1シンボルが4チップの拡散符号で拡散されている場合、遅延分解能は1チップ長、遅延上限は3チップ長となるため、ブランチ数は高々4つ程度になる。FHSS方式を用いる場合、遅延分解能は拡散帯域幅に相当し、遅延上限は、ホップシーケンス長によって定まる。従って、拡散帯域幅が狭く、ホップシーケンス長が短い場合、最大有効ブランチ数が少数に限られる。
また、THSS方式を用いる場合、遅延分解能はパルス幅に相当し、遅延上限はパルスシーケンス長によって定まる。従って、パルス幅が広く、パルスシーケンス長が短い場合、ブランチ数が少数に限られる。同様に、OFDM方式では、遅延分解能はサブキャリアが分散配置された周波数帯域幅に相当し、遅延上限はガード区間長によって定まる。従って、周波数帯域幅が狭く、ガード区間が短い場合、最大有効ブランチ数が少数に限られる。PSK−VP方式やPSK−RZ方式を用いる場合、原理的に、遅延上限がシンボル長を越えられないため、元々、遅延分解能と遅延上限が近接している。
また、等化器を用いる場合、遅延分解能はシンボル長、遅延上限は等化フィルタのタップ長で決まる。従って、シンボル長に比べ、フィルタタップの時間長が短い場合、同様のケースとなる。なお、等化器においては、タップ数は回路規模を大きく左右するため、回路規模の制約から遅延上限が制限される場合が多い。
また、特許文献2に記載されたシンボルに同期した位相遷移を有する変調方式を遅延の挿入なしで送信ダイバーシチに適用した伝送方法では、遅延分散性が無視できる伝搬路の場合、たとえ複数の送信アンテナからの到来波のレベルが確保されても、2つの到来信号間の位相関係が逆相になると打ち消し合ってパスダイバーシチ効果が発揮されない。
図57は、特許文献2に記載された変調方式において到来信号の位相関係が逆相の場合を示した模式図である。図57に示すように、たとえ位相遷移が凸状であっても2つの到来信号間に遅延がない場合、逆相になってしまうと検波出力が無くなってしまい、改善効果を失ってしまう。
図58は、2波到来モデルにおいて、特許文献2に記載された伝送方式のビット誤り率と遅延量τとの関係を模式的に示したものである。図58において、横軸は2波到来モデルの到来信号間の遅延量、縦軸はビット誤り率を示す。到来波間の遅延量τが少ないと、図57で述べたように、2波の位相が逆相で到来した場合に改善効果が失われて、誤り率が劣化する。遅延量τが相対的に大きくなるにつれて改善され、シンボル長Tに近づくにつれて有効区間が短くなり、最終的には消滅して再度誤り率は劣化する。
次に、PSK−VP方式を例に、特性評価結果を基に具体的に説明する。
図59は、4相PSK−VP方式(以下、QPSK−VP方式)の2波ライスモデルにおける、2波の到来時間差に対する実際のビット誤り率特性を示す図である。横軸は到来時間差をシンボル長Tで規格化した値を示し、縦軸はビット誤り率を示している。なお、伝送路はEb/No=25dBの2波ライスフェージング環境である。図59より、到来時間差が0.3シンボル長から0.7シンボル長の範囲でパスダイバーシチ効果による積極的な改善が行われて、1E−5以下の良好なビット誤り率になる。つまり、パスダイバーシチによる積極的な改善効果が得られる遅延分解能は0.3シンボル長程度、遅延上限は0.7シンボル長程度である。
特許文献2には、送信信号に意図的な所定遅延を挿入することで、送信ダイバーシチを構成する方法が記載されている(図52)。遅延器901で挿入する遅延量は、給電線を含め伝搬路での行路差、加えて各々行路内での遅延分散が相加することを想定して、例えば、図58のτSで示すように、誤り率特性曲線の底(良好な誤り率の区間)の中央に設定することになる。しかし、この従来の送信ダイバーシチだと、伝搬路で生じる遅延分散に対する耐性(遅延耐性)の観点で見るならば、「良好な誤り率の区間」で示された本来の方式の能力に対して、送信側で比較的大きな遅延τSを予め挿入しなければならないために、耐遅延量は大幅に目減りしてしまう問題があった。
以上のような耐遅延量への制約下において、図60は、QPSK−VP方式における受信波が2波(受信タイミングが2つ)と3波(受信タイミングが3つ)の場合のビット誤り率特性を示す図であり、図61は、図60における2波と3波の時間関係を示している。なお、各受信波はライスフェージング波で、3波は、2波の場合にさらに中間の時間位置に3波目を挿入した伝送路モデルである。図60に示すように、受信波が2波である場合に比べ、2波の間に3波目が挿入された場合のビット誤り率が劣化していることがわかる。これは、3波の場合、3波目は、両側の2波に対して分離されず、同じ干渉を与える、あるいは、相関を高めることとなって、劣化を招くことが確認できる。つまり、図52のように2つまでの遅延を持たせた送信波では良いが、さらに、3つ目の送信波を加えると逆に特性が劣化してしまう問題があった。
このように、遅延波成分を分離できる遅延分解能と遅延上限とが有意に接近するような場合、パスダイバーシチ効果に寄与する最大有効ブランチ数が少数に限られるため、不用意に遅延を有するパスを付け加えると、伝送特性の劣化を招いてしまうことが課題となる。
それ故に、本発明の目的は、パスダイバーシチ効果に寄与する最大有効ブランチ数を増加させ、また、それが少数に限られる場合であっても、近接して配置されている複数の無線局が同一データを伝送する複局同時送信システムにおいて、無線局の位置関係や、データを複局同時送信する無線局数が変化しても、パスダイバーシチ効果を最大限に、かつ、確実に得ることができる無線伝送システム並びにそれらに用いられる無線局及び方法を提供することである。
本発明は、複数の無線局と、無線局間に形成されるマルチパス伝送路とによってパスダイバーシチのためのシステムを構成し、データを無線によって複局同時送信することができる無線伝送システム、このシステムに用いられる無線局及び方法に向けられている。そして、本発明では、上記目的を達成するために、複数の無線局は、複局同時送信される送信信号に用いられるシンボル波形と基準タイミングからの遅延量とを組とする複数の組み合わせを、自局又は他局が送信する複局同時送信要求パケットに対する応答パケットに応じて決定する少なくとも1つの無線局と、少なくとも1つの無線局で決定された複数の組み合わせを用いて複局同時送信される送信信号を受信する宛先の無線局とを含んでいる。
好ましくは、少なくとも1つの無線局は、シンボル波形が同一かつ遅延量が異なる2つ以上の組み合わせについて、相互の遅延量の差を所定の遅延分解能以上に設定し、遅延量の最大値と最小値との差を所定の遅延上限以下に設定する。この所定の遅延分解能及び所定の遅延上限は、それぞれ、宛先の無線局が複数の遅延波をパスダイバーシチ受信することができる値が望ましい。宛先の無線局は、遅延検波によって検波信号を得る。
複数の無線局が、各々の通信エリア内に存在する少なくとも1つの端末局を管理する機能を持つ複数の管理局を含み、複数の管理局が、それぞれ、通信に先立って通信可能な状態を確立するためのネゴシエーションパケットとして、複局同時送信要求パケット及び応答パケットを送受信する送受信部を備える場合、少なくとも1つの無線局を、複局同時送信する管理局に対してデータを送信する送信元の管理局とし、ネゴシエーションパケットに基づいて、複局同時送信可能な管理局を認識し、認識した管理局によって送信信号が複局同時送信される際に用いられる組み合わせを決定するか、又はネゴシエーションパケットに基づいて複局同時送信可能となった管理局とし、自局が送信信号を複局同時送信する際に用いる組み合わせを決定する、シンボル波形・遅延量決定部を備えてもよい。
また、無線伝送システムが、送信元の無線局からの送信信号を、他の無線局に中継させて宛先の無線局に伝送するシステムである場合、複数の無線局に、それぞれ、複局同時送信すべき送信信号があれば複局同時送信要求パケットを他の無線局に送信し、複局同時送信要求パケットを受信すれば応答パケットを送信する送信部と、応答パケットを受信する受信部と、受信した応答パケットに基づいて、複局同時送信が可能な中継局を決定し、決定した中継局によって送信信号が複局同時送信される際に用いられる組み合わせを決定するシンボル波形・遅延量決定部とを含ませる。そして、自局が送信元の無線局である場合、中継局のいずれかから宛先の無線局からの応答パケットを受信した旨の通知を受信するか、又は宛先の無線局から応答パケットを自局で直接受信した場合には、中継伝送を取りやめることを中継局に通知する機能を、送信部に含んでもよい。
また、送信元の無線局からの複局同時送信要求パケットの受信に応じて、自局が送信元の無線局から送信される送信信号を中継することができるか否かを判断する中継可否判断部をさらに含め、送信部が、応答パケットに中継可否判断部の判断結果を含めて送信するか、中継可否判断部によって中継送信可能であると判断された場合に、応答パケットを生成して送信することもできる。
なお、複数の無線局送の送受信部は、それぞれ、複局同時送信要求パケットに対する他の無線局が送信した応答パケットを最大有効ブランチ数よりも多く受信すれば、応答パケットを送信しないようにしてもよい。
好ましくは、複局同時送信要求パケットは、複数の無線局が使用する通信チャネルに関するチャネル情報パケット、複局同時送信に関わらず送信される送信要求パケットRTS、又は複局同時送信すべき送信信号の全部又は一部である。応答パケットは、送信要求パケットRTSに対する応答パケットCTSである。
また、少なくとも1つの無線局は、複局同時送信可能な無線局の数に応じて複数の組み合わせを決定するか、複局同時送信可能な無線局に対して複数の組み合わせの少なくとも1つを通知するか、応答パケットを受信した順に複数の組み合わせを決定する。このとき、少なくとも1つの無線局は、複局同時送信が可能な無線局の数を最大有効ブランチ数以下に決定する、又は、複局同時送信が可能な無線局の数が最大有効ブランチ数よりも多い場合、複数の組み合わせの数を最大有効ブランチ数以下に決定することが好ましい。
また、送信元の無線局は、複数の組み合わせの内、自局に割り当てられている組み合わせに基づいて送信信号を再送信することが好ましい。ここで、複数の組み合わせの内、送信信号を複局同時送信可能な無線局に送信する送信元の無線局に対して送信信号を再送信する際に割り当てるべき組み合わせは、送信元の無線局によって決定され、送信元の無線局は、自局以外の複局同時送信が可能な無線局の組み合わせを所定の組とし、送信信号を割り当てられた組み合わせに基づいて再送信することが好ましい。
また、複局同時送信する無線局は、少なくとも1つの無線局によって決定された複数の組み合わせを記録するための記録テーブルを格納する格納部を含み、記録テーブルを参照して、自局に割り当てられている組み合わせに応じて、複局同時送信すべき送信信号を送信してもよい。この記録テーブルには、自局に割り当てられた組み合わせのみが記録されているか、複局同時送信する全ての無線局に割り当てられた組み合わせが記録されている。
また、少なくとも1つの無線局は、所定のシンボル数だけ離れた任意の2つのシンボルのシンボル波形が、送信データにかかわらず同一であり、かつ、当該任意の2つのシンボルの位相差が、送信データに基づいて決定される送信信号を生成する。所定のシンボル数を1とし、位相差に2πを2の累乗の数で均等に分割した角度のいずれかを用いる。
また、少なくとも1つの無線局は、1シンボル期間において、位相が時間方向に増加し、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第1シンボル波形と、位相が時間方向に減少し、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第2シンボル波形とを、又は1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が減少し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が増加する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、又は1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が増加し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が減少する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、又は1シンボル期間の全てで位相の時間変化量が減少する位相遷移を有する第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、又は1シンボル期間において、位相が時間方向に増加した後減少に転じ、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第1シンボル波形と、位相が時間方向に減少した後増加に転じ、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第2シンボル波形とを、又は1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が減少し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が増加する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、あるいは所定点を1シンボル期間の中心点とし、中心点以前の位相と中心点以後の位相とが対称的に変化する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくともシンボル波形の所定の数の候補に含むことが好ましい。
以上、本発明によれば、近接して配置されている複数の無線局が同一データを伝送する複局同時送信システムにおいて、無線局の位置関係や、データを複局同時送信する無線局数が変化しても、パスダイバーシチ効果を最大限にかつ確実に得ることができる無線伝送システム並びにそれに用いられる無線局及び方法が提供される。
(第1の実施形態)
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る無線伝送システムの構成の一例を示す図である。図1Aにおいて、無線伝送システムは、無線局である管理局1〜3と、無線局である端末局10−1〜10−n、20−1〜20−n、及び30−1〜30−nとを備える。図1Bは、図1Aに示す各管理局と各端末局との位置関係を示す図である。
管理局1〜3は、それぞれ通信エリアE1〜E3を形成し、各通信エリア内に存在する端末局と、無線を介して接続されている。また、管理局1〜3は、各通信エリア内に存在する端末局に対して、チャネル割り当て等を行う。なお、通信エリアE1〜E3は、管理局1〜3が単局でパケットを送信する場合(単局送信)の通信エリアを示す。通信エリアE1には、端末局10−1〜10−nが存在し、通信エリアE2には、端末局20−1〜20−nが存在する。また、通信エリアE3には、端末局30−1〜30−nが存在する。なお、各端末局10−1〜10−n、20−1〜20−n、及び30−1〜30−nを特に区別する必要がない場合、端末局11と総称する。また、端末局と管理局とを特に区別する必要がない場合、無線局と総称する。
管理局1〜3は、ネゴシエーション区間(以下、ネゴ区間と呼ぶ)において、システム間調停(以下、ネゴシエーションと呼ぶ)し、通信エリア間におけるチャネル干渉を回避する。ネゴ区間は、共通チャネル上に定期的に設けられている区間である。具体的には、管理局1〜3は、管理局1〜3間で共通に用いられる共通チャネルを用い、通信に先立ち、通信可能な状態を確立するためのネゴシエーションパケット(以下、チャネル情報パケットと呼ぶ)を送受信する。このチャネル情報パケットは、互いに自局の通信エリアで使用するチャネル情報、自局IDの情報、自局が管理する端末局IDの情報、及びシステムを同期させるためのビーコン情報等を含む。なお、チャネル情報パケットは、上述した情報を全て含んでいる必要はなく、1つの情報のみを含んでいてもよい。共通チャネルは、システムを制御するためのチャネルであり、一般的な無線伝送システムにおいて用いられるシステム制御用の共通チャネルと同様である。また、共通チャネルは、一般的なデータ伝送に用いられてもよい。チャネル情報パケットを受信した管理局は、チャネル情報パケットを正常に受信できたことを周囲に通知する応答パケットを生成し、チャネル情報パケットの送信元の管理局に送信する。なお、応答パケットはネゴ区間において送受信されるパケットであるので、ネゴシエーションパケットである。
なお、本実施形態では、管理局同士は、FDMAシステムの周波数チャネルを用いて通信するものとして説明するが、TDMAシステムのタイムスロットを用いてもよい。
また、本実施形態では、管理局は、自局が管理する端末局同士が通信する場合に常に介在する集中制御局であるものとして説明する。ただし、管理局が有する機能はこれに限られず、例えば、管理局は他のシステムとのネゴシエーションや、他のシステムへのデータの中継のみを行い、同じ管理局下に存在する端末同士は管理局を介さずに通信することとしてもよい。また、管理局は、最初から決まっている必要はなく、例えば、1つの無線伝送システムを構成する無線局のうち、管理局になり得る機能を有する無線局が管理局となることを宣言することで決めればよい。なお、1つの無線伝送システム内に管理局になり得る機能を有する無線局が複数ある場合には、例えば、最初に管理局となることを宣言した無線局が管理局となればよい。
管理局1〜3は、自局が形成する通信エリア内に、新たにシステムを構築する管理局が発生し、パケットの中継送信が可能な管理局の数が2つ以上になると、パケットの複局同時送信が可能であると判断する。管理局1〜3は、他の管理局がパケットを中継送信する際に複局同時送信が可能である場合、後述する変調信号を生成する時に用いるシンボル波形とパケット送信タイミングの基準タイミングからの遅延量との組を、複数の候補の組み合わせから選択して決定する。そして、管理局1〜3は、複局同時送信が可能な他の管理局に、決定した組み合わせを通知する。このとき、管理局1〜3が決定する複数の組み合わせに関して、同じシンボル波形の組同士の各遅延量の差が所定の遅延分解能以上になり、かつ、複数の遅延量の内の最大値と最小値との差が所定の遅延上限以下になるように設定されている。所定の遅延分解能及び所定の遅延上限は、それぞれ、受信側においてパスダイバーシチ効果が得られる値、すなわち、受信側の無線局が複数の遅延波をパスダイバーシチ受信することができる値に設定されている。以下、管理局1〜3が、パケットを複局同時送信する他の管理局に決定した組み合わせを通知するために生成して送信するパケットを、通知パケットと呼ぶ。
また、管理局1〜3は、他の管理局又は端末局から受信したパケットが中継送信する必要があるブロードキャストパケットである場合、ブロードキャストパケットを送信する基準となるタイミング(以下、基準タイミングと呼ぶ)から、他局から通知されてきた遅延量だけ遅延させたタイミングを、送信開始タイミングとする。そして、管理局1〜3は、送信開始タイミングになると、ブロードキャストパケットを中継送信する。これにより、複局同時送信による中継送信時に、任意の受信点においてシンボル波形毎に適度な到来時間差を持つマルチパスを発生させることができるため、ブロードキャストパケットを受信する無線局(以下、受信局と呼ぶ)において、パスダイバーシチ効果を最大限かつ確実に得ることができる。
図2は、本無線伝送システムにおいて送受信されるパケットの構成例を示す図である。図2に示すパケットは、プリアンブル(PR)と、ユニークワード(UW)と、パケット識別子と、宛先局アドレスと、送信元アドレスと、送信元管理局アドレスと、情報データと、CRCとからなる。
プリアンブルは、利得制御、クロック再生、及び周波数制御等のために用いられる。ユニークワードは、フレーム種別の判定やフレーム同期に用いられる。送信元アドレスは、パケットの送信元である無線局のアドレスである。宛先局アドレスは、パケットの送信先である無線局のアドレスである。送信元管理局アドレスは、他の管理局に複局同時送信させるためのパケットを送信する管理局のアドレスである。本実施形態では、送信元管理局アドレスとして、送信元管理局のIDが記録されるものとして説明する。以下、複局同時送信が可能な管理局のうち、最も早くパケットを受信した管理局のIDを送信元管理局IDと呼ぶ。情報データは、送信すべきデータの本体である。パケット識別子は、パケットを識別するために用いられる。CRCは、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号であって、誤り検出に用いられる。
図3A及びBは、本実施形態におけるマルチホップ伝送の一例を示す図である。図3A及びBにおいて、管理局1〜3は、パスダイバーシチ効果が発揮できる到来時間差(τ)に比べ、伝搬時間が無視できる程近傍に位置している。また、管理局1〜3は、互いの通信エリアの中に位置している。図4A〜図4Cは、図3Aにおいて送受信されるパケットの構成を示す図である。
図3Aは、パケットの送信元である端末局10−1が、端末局20−n宛のブロードキャストパケットを送信した場合のパケットの流れを示す図である。端末局10−1は、図4Aに示すパケットを生成して送信する。ここで、パケット識別子は、「0」が中継不要パケット、「1」がブロードキャストパケット、「2」がチャネル情報パケット、「3」が応答パケット、「4」が通知パケットを示すものとする。この場合、端末局10−1が生成するパケットの識別子には、当該パケットがブロードキャストパケットであることを示す「1」が記録される。また、宛先局アドレスには、パケットの宛先である端末局20−nのアドレスが記録され、送信元アドレスには、端末局10−1のアドレスが記録される。また、端末局10−1がパケットを送信する時点では、パケットがまだ管理局によって中継送信されていないため、送信元管理局アドレスには「0」が記録される。
管理局1は、端末局10−1から送信されてきたパケットを受信すると、図4Bに示すブロードキャストパケットを生成して送信する。図4Bは、管理局1が送信するパケットの構成を示す図である。管理局1は、端末局10−1から送信されてきたパケットの送信元管理局IDを、自局のIDに書き換えて送信する。管理局2及び3は、管理局1から送信されてきたブロードキャストパケットを受信すると、当該ブロードキャストパケットを中継送信する。図4Cは、このとき管理局2及び3が送信するパケットの構成を示す図である。このように、1つの管理局(ここでは、管理局1)から送信されたブロードキャストパケットは、複数の管理局(ここでは、管理局2及び3)によって複局同時送信される。管理局2及び3が複局同時送信したブロードキャストパケットは、宛先局である端末局20−nで受信される。
なお、システムによっては、端末局10−1において、宛先局までパケットを伝送するために、多段中継が必要か否かを判断することができない場合がある。このような場合、端末局10−1は、パケット識別子を「0」としてパケットを送信することとしてもよい。この場合、管理局1は、端末局10−1から受信したパケットに含まれる宛先局アドレスから中継の要否を判定し、中継が必要な場合にパケット識別子を「1」に書き換えて中継伝送すればよい。例えば、宛先アドレスからパケットの宛先がエリアE1内の無線局であると判断できる場合、管理局1は、パケット識別子を「0」としたままパケットを中継すればよい。この場合、管理局2及び3は、パケット識別子「0」のパケットを受信しても中継しないため、不要な多段中継を防止できる。
また、管理局1においても、宛先局までパケットを伝送するために多段中継が必要か否かを判断できない場合、管理局1は、とりあえずパケット識別子「1」のブロードキャストパケットを送信すればよい。そして、宛先局がそのブロードキャストパケットを正常に受信した場合に、その旨を通知する応答パケットを送信すればよい。また、管理局1は、その応答パケットを直接受信するか、管理局2又は3からの応答パケットを受信した旨の通知を受けた場合に、管理局2又は3に対してパケットの中継を中止するように通知してもよい。
本実施形態に係る無線伝送システムでは、先に述べたネゴ区間において通知パケットを送信する。これにより、管理局2及び3がブロードキャストパケットを複局同時送信した場合に、シンボル波形毎に、任意の受信点に適度な到来時間差を持つマルチパスが到来する。従って、パスダイバーシチ効果により、単局送信時に比べて、同じ通信エリアでみれば伝送品質が改善され、また見方を変えれば、同じ伝送特性が得られる通信エリアを拡大することができる。管理局2及び3が複局同時送信する場合の通信エリアは、図3Aに示す通信エリアE23に相当する。このように、単局送信時の通信エリアE1〜E3に比べ、複局同時送信することによって、通信エリアを拡大することができる。従って、図3Aに示すように、宛先端末局20−nが管理局2の単局通信エリアE2外に移動してしまった場合でも、端末局20−nは、パケットを正常に受信することができる。
なお、本実施形態に係る無線伝送システムでは、図3Bに示すように、管理局1自身が送信元として送信したブロードキャストパケット(例えば、通信エリアE1で使用する、又は使用しようとしているチャネルの情報等を含むパケット)が、管理局2及び3によって、複局同時送信される場合もある。また、例えば、管理局1〜3が共有する情報を、管理局1〜3が所定の周期で複局同時送信する場合もある。共有する情報とは、例えば、各通信エリアで使用されるチャネルの情報や、各通信エリアに位置する端末局のID、システムを同期させるためのビーコン情報等である。
図3Bの場合も図3Aと同様に、管理局1が送信したパケットは、管理局2及び3によって複局同時送信され、適度な到来時間差で管理局9で受信される。従って、単局通信エリア外に他の無線システムを構築しようとする管理局9が発生した場合、当該他の無線システムを管理する管理局9が図3Bのように通信エリアE23内に位置すれば、管理局9は、管理局1のチャネル情報等を正常に受信することができる。
図5は、管理局1の機能的な構成例を示すブロック図である。図5に示すように、管理局1は、アンテナ31、RF部32、復調部33、パケット判定部34、自局パケット処理部35、シンボル波形・遅延量決定部36、送信タイミング制御部38、送信パケット処理部40、変調部21、及びテーブル格納部42を備える。なお、管理局2及び3も、管理局1と同様の構成を有する。テーブル格納部42は、記録テーブル37を格納する。
パケット判定部34は、復調部33によって復調された復調データ中に含まれるCRC符号等の誤り検出符号を用いて、パケットを正常に受信することができたか否かを判断する。パケットを正常受信できた場合、パケット判定部34は、パケット中に含まれるパケット識別子と、宛先局アドレスと、送信元アドレスと、送信元管理局IDとを解析する。
受信したパケットがチャネル情報パケットである場合、パケット判定部34は、送信パケット処理部40に、復調データ中に含まれる送信元アドレスを応答先の管理局のアドレスとして通知し、応答パケットを生成するよう指示する。また、パケット判定部34は、応答パケットの送信開始タイミングを決定するように送信タイミング制御部38に通知する。
受信したパケットが応答パケットである場合、パケット判定部34は、応答パケットに含まれる送信元アドレス(管理局ID)を周辺局情報としてシンボル波形・遅延量決定部36に渡す。また、受信したパケットが通知パケットである場合、パケット判定部34は、通知パケットをシンボル波形・遅延量決定部36に渡す。受信したパケットがブロードキャストパケットである場合、パケット判定部34は、ブロードキャストパケットの受信が完了したことを示す受信完了信号を生成し、送信元管理局ID及びパケット識別子と共に受信完了信号を送信タイミング制御部38に渡す。また、このとき、パケット判定部34は、ブロードキャストパケット中のUW以降のデータを中継データとして送信パケット処理部40に渡し、中継送信するためのブロードキャストパケットを生成するよう指示する。また、受信したパケットが自局宛のパケットである場合、パケット判定部34は、復調データを自局パケット処理部35に渡す。
自局パケット処理部35は、パケット判定部34から受け取った自局宛パケットに対する処理を行う。
シンボル波形・遅延量決定部36は、後述する応答区間の終了時刻までに通知された周辺局情報を元に、自局が送信したブロードキャストパケットの中継送信が可能な管理局のID及び数を認識する。中継送信が可能な管理局数が複数の場合、すなわち、複局同時送信可能な管理局が存在する場合、シンボル波形・遅延量決定部36は、複局同時送信可能な管理局の数に応じて、各管理局に割り当てるシンボル波形及び遅延量を決定する。そして、シンボル波形・遅延量決定部36は、決定したシンボル波形及び遅延量を記録テーブル37に記録すると共に、決定したシンボル波形及び遅延量を宛先アドレスと共に送信パケット処理部40に渡す。また、シンボル波形・遅延量決定部36は、通知パケットを受け取ると、自局及び他局に割り当てられたシンボル波形及び遅延量を抽出して記録テーブル37に記録する。
送信タイミング制御部38は、基準タイミングと、記録テーブル37に記録されている遅延量とに基づいて、ブロードキャストパケットを送信するタイミングを制御する。具体的には、送信タイミング制御部38は、パケット判定部34から受信完了信号を受け取ってから所定時間経過後を基準タイミングとし、当該基準タイミングから遅延量だけ遅延させたタイミングを、ブロードキャストパケットを中継送信する際の送信開始タイミングとする。そして、送信タイミング制御部38は、送信開始タイミングになると、送信開始を指示するための送信開始信号を生成して変調部21に渡す。また、送信タイミング制御部38は、応答パケットの送信をパケット判定部34から通知されると、所定の応答区間において、ランダムなタイミングで送信開始信号を生成し、変調部21に渡す。
送信パケット処理部40は、定期的に設けられたネゴ区間において、図示しない制御部から自局が管理する端末局IDや自局エリアで使用するチャネル情報等を含む自局データを受け取り、自局データに所定のヘッダ(プリアンブルやユニークワード)やフッダ(CRC符号等)を付加したチャネル情報パケットを生成し、保持する。また、送信パケット処理部40は、シンボル波形・遅延量決定部36から遅延量及び宛先アドレスを受け取ると、宛先アドレスと遅延量に所定のヘッダやフッダを付加した通知パケットを生成し、保持する。また、送信パケット処理部40は、パケット判定部34から中継データを受け取ると、中継データに所定のヘッダを付加し、ブロードキャストパケットを生成し、保持する。また、送信パケット処理部40は、パケット判定部34から応答パケットを生成するよう指示を受けると、応答パケットを生成し、保持する。
変調部21は、送信パケット処理部40によって生成されたパケット中の送信データで変調した変調ベースバンド信号を生成し、出力する。図6は、変調部21の構成を示すブロック図である。図6において、変調部21は、読み出し制御部22と、波形記憶部23と、D/A変換器24とを有する。図8は、さらに、変調部21の各ブロックの内部構成例を示したものである。
読み出し制御部22は、ベースクロックで動作するカウンタで構成されている。読み出し制御部22は、送信開始信号を受け取ると、カウンタ値に基づいて、送信データを読み出すためのデータ読み出しクロックと、変調波形のデータを読み出すためのアドレスを示すアドレス信号とを生成する。読み出し制御部22は、生成したデータ読み出しクロックを送信パケット処理部40に渡し、アドレス信号を波形記憶部23に渡す。送信パケット処理部40は、受け取ったデータ読み出しクロックに同期して、送信データを読み出して変調部21の読み出し制御部22に渡す。波形記憶部23は、受け取ったアドレス信号に基づいて、送信データに応じた変調波形のデータを内部の波形メモリから読み出し出力する。D/A変換器24は、波形記憶部23から入力された変調波形データをアナログ信号に変換し、変調ベースバンド信号として出力する。
変調部21は、送信開始信号を受け取ると、変調波形を波形メモリから読み出すためのアドレス信号を生成する。これにより、変調ベースバンド信号を出力するタイミングは、送信開始信号を受け取ったタイミングに応じてベースクロック単位で変化する。また、ベースクロックは、通常、シンボル周波数(シンボル長の逆数)の数倍から十数倍の周波数が用いられることが多い。従って、シンボル長の数分の1から十数分の1の単位で、変調ベースバンド信号を出力するタイミングを調整することができる。
図7及び図8を用いて、本発明の無線伝送システムが用いる送信信号、及びその生成方法、並びに具体的な構成例についてさらに詳しく説明する。図7は、本発明の無線伝送システムの差動符号化規則の一例及び信号空間ダイアグラムを示す図である。図8は、図6に示す変調部21の各ブロックの内部構成例を示した図である。この変調部21では、所定のシンボル波形を記憶しており、差動符号化信号121に応じたベースバンド変調信号122及び123を出力する。
入力される送信データは、シリアルパラレル変換によって入力ビット系列がシンボル形式に変換され、かつ、差動符号化が施されて、各シンボルの同相軸信号I及び直交軸信号Q(差動符号化信号121)が求められる。一般には、2のべき乗の位相数によって差動符号化を行うことが可能である。さらには、隣接シンボル毎に一定量右回りか左回りにさらにシフト(いわゆる対称配置)する方式であってもよく、送信データに応じて振幅方向にも情報を載せる差動振幅位相変調(DAPSK)を用いてもよい。以下、4相(非対称配置)で差動符号化を行う場合を一例に挙げて、本発明を説明する。この場合、具体的には、第kシンボル(kは0以上の整数)の同相軸信号Ik及び直交軸信号Qkを、Mシンボル前(Mは1以上の整数)である第k−Mシンボルの同相軸信号Ik-Mと直交軸信号Qk-Mとを用いて、下記式(2)に従って求める。なお、Δθkは位相回転量である。
Figure 0004921460
まず、図7の(a)に従って、送信データの連続する2ビットの組(シンボル形式)X1(k)及びX2(k)の位相回転量Δθkが決まる。次に、第kシンボルの信号点Sk(Ik、Qk)の信号ダイアグラムは、初期値S0(I0、Q0)が決まれば式(2)によって決まるが、図示すると図7の(b)のように表せる。そして、図7の(b)の信号点Sk(1、0)、Sk(0、1)、Sk(−1、0)及びSk(0、−1)から、図7の(c)に従って差動符号化信号(D1(k)、D2(k))を求める。
図8において、変調部21は、ベースクロック発振器1801と、L分周器1802、Lカウンタ1803、Mカウンタ1804、シフトレジスタ1805及び1806で構成される読み出し制御部22と、波形記憶部23と、D/A変換器1808及び1809、及び低域通過フィルタ1810及び1811で構成されるD/A変換部24とを備える。
図9は、変調部21が生成するベースバンド変調信号122及び123の基本となる、シンボル波形の位相遷移の様々な例を示したものである。シンボル波形の条件としては、その変化の2次微係数がシンボル内において常時ゼロ「0」でないことである。そして、異なる無線局の変復調部が用いるシンボル波形が、例えば、図9の(a)において、第1シンボル波形が実線で示される位相遷移を有し、第2シンボル波形が点線で示される位相遷移を有する場合のように異なる変化の組み合わせであれば、後述する特有のダイバーシチ効果が現れる。なお、図9の(a)〜(e)は、位相遷移の一例に過ぎず、上記条件を満足すれば他の位相遷移であっても構わない。また、第1シンボル波形の位相遷移と第2シンボルの位相遷移とが対称的である必要は必ずしもなく、図9の(a)〜(e)において実線と点線との全ての組み合わせや、実線同士や点線同士の組み合わせであってもよい。
また、シンボル波形は、1つの無線局の送信信号について最大M種類のシンボル波形を周期的に用いることができる。このM種類のシンボル波形の中には、同じものが繰り返し含まれても良く、また、M=1の場合は1種類のシンボル波形の繰り返しとなる。ただし、後述する特有のダイバーシチ効果を得るには、異なる無線局の同じ送信データに対応するシンボルで用いるシンボル波形は、互いに異ならせる必要がある。複数の無線局でシンボル波形を使い分ける場合、シンボル波形W1、W2、…と記述することがあるが、M=1の場合はシンボル波形は1つなのでそのものを表し、M>1の場合はM個のシンボル波形系列がW1、W2、…として読み替えれば同様の動作効果となる。よって、以降では、シンボル波形系列も含む意味でシンボル波形W1、W2、…と記述説明することとする。
第1の無線局の変調部21が生成するベースバンド変調信号のm番目(1≦m≦M)のシンボル波形の位相遷移ΦA m(t)、及び第1の無線局とは異なる第2の無線局の変調部21が生成するベースバンド変調信号のm番目のシンボル波形の位相遷移ΦB m(t)は、シンボル長Tにおけるシンボル内(0<t<T)では、図9の(a)のような波形の組み合わせを選んだ場合、例えば下記式(3)及び式(4)のように表される。
Figure 0004921460
Figure 0004921460
ここで、差動符号化を介した送信データを表す位相θ(t)は、第qシンボル(qは整数)について図7の(b)における信号点の位相をθqとすると、ステップ関数U(t)を用いて下記式(5)のように表される。
Figure 0004921460
位相遷移ΦA m(t)が0<t<Tでのみ定義され、これ以外の区間では0とすると、ベースバンド変調信号の位相遷移ΨA(t)は、下記式(6)で表される。
Figure 0004921460
従って、ベースバンド変調信号の位相遷移ΨA(t)から、同相変調信号YA I(t)及び直交変調信号YA Q(t)は、下記式(7)で表される。
Figure 0004921460
基本的には、これらの信号で搬送波を直交変調することでRF帯域の変調信号が得られる。なお、このままでは信号が広帯域になるので、帯域制限フィルタで帯域制限を行ってもよい。この場合、帯域制限フィルタのインパルス応答をh(t)として、帯域制限後の同相変調信号YA I(t)と直交変調信号YA Q(t)は、上記式(7)ではなく下記式(8)を用いて表される。
Figure 0004921460
また、同様に、第2の無線局の変調部21についても、図9の(a)に示すシンボル波形の位相遷移ΦB m(t)に基づいて、ベースバンド変調信号の位相遷移ΨB(t)は、下記式(9)で表される。
Figure 0004921460
そして、同相変調信号YA I(t)及び直交変調信号YA Q(t)は、下記式(10)で表される。
Figure 0004921460
なお、上記式(8)及び式(10)の積分範囲−t0〜t0は、インパルス応答h(t)の広がりの範囲である。また、帯域制限フィルタは、低域通過型であればよく、様々な特性(コサインロールオフ、ルートナイキスト、ガウス等)及びパラメータ(カットオフ、ロールオフ率等)を用いることができる。ここでは、一例として、カットオフ角周波数ω0、ロールオフ係数γのコサインロールオフフィルタのインパルス応答h(t)を、下記式(11)に示す。
Figure 0004921460
さて、波形記憶部23には、上記式(8)に従って、同相変調信号YA I(t)及び直交変調信号YA Q(t)が記憶される。図8に示す変調部21では、一例として、帯域制限フィルタのインパルス応答h(t)の広がりの範囲−t0〜t0を前後1シンボルとした場合で説明している。この場合、波形記憶部23には、現在及び前後1シンボルの全ての送信データパタン分について計算して、各々変調信号の素片が記憶されている。入力された差動符号化信号121は、シフトレジスタ1805又は1806で遅延され、第kシンボルを中心に前後の第k−1シンボル及び第k+1シンボルを含めて、変調信号の素片の選択信号として波形記憶部23に入力される。
ベースクロック発振器1801は、シンボル周波数Fsのクロック信号を発振し、各シフトレジスタ1805又は1806に動作クロックとして入力される。Mカウンタ1804は、シンボル周波数Fsで動作して、M通りの波形選択信号1823を波形記憶部23に入力する。これにより、波形記憶部23は、Mシンボルを1周期として複数のシンボル波形の選択が可能となる。波形記憶部23は、シンボル毎の変調信号素片の波形テーブルを記憶したメモリであるが、その各変調信号素片は1シンボル当たりLサンプルで記憶されている。L分周器1802が出力する周波数L・Fsのクロックを読み出しクロックとし、カウンタ信号1822を読み出しアドレスとして、シンボル内の信号点を順次読み出し動作する。両軸の変調信号は、それぞれD/A変換器1808及び1809でアナログ値に変換され、低域通過フィルタ1810及び1811で折り返し成分が除去されて、ベースバンド変調信号122及び123として出力される。他の無線局の変調部21も、記憶されている波形は異なるものの、構成動作は全く同じである。
なお、上記式(7)で示したように、帯域制限を行わない場合は、シフトレジスタ1805及び1806は不要であり、差動符号化信号121は、波形記憶部23に直接入力される。また、1シンボル遅延の差動符号化が行われる場合(M=1)又はシンボル波形が1種類の場合は、Mカウンタ1804は不要である。
図10は、図5に示す復調部33の詳細な構成例を示すブロック図である。復調部33は、Mシンボル遅延器1601と、乗算器1602及び1603と、−45度移相器1604と、+45度移相器1605と、低域通過フィルタ1606及び1607とを備える。Mシンボル遅延器1601は、受信信号をMシンボル長だけ遅延させる。低域通過フィルタ1606及び1607は、乗算器1602及び1603で生じる搬送波の2倍の周波数成分を除去するだけでなく、後述する複数の検波出力を合成する役割も果たす。なお、図10において、復調部33は、前段のRF部32でベースバンド帯域に変換された受信信号131を処理するが、RF帯受信信号が直接入力されて処理するものであってもよい。
次に、上記構成による本第1の実施形態に係る無線伝送システムで行われる伝送方法が、特有のダイバーシチ効果を発揮する原理を説明する。ここでは、図17において、2つの管理局(以下、無線局A及びBと記す)が、各々第1シンボル波形(又はM長のシンボル波形系列)W1及び第2シンボル波形(又はM長のシンボル波形系列)W2に基づいて送信信号を生成かつ送信し、受信局がこれらの送信信号を受信する場合を例に挙げて説明する。
はじめに、伝搬路の遅延分散が無視できる場合を説明する。具体的には、各無線局A及びBからそれぞれ送信される信号が、伝搬路でそれぞれのマルチパス(多重経路伝搬)が発生するものの、それらのマルチパス波間の相対的な遅延がシンボル長に対して無視できる場合である。無線局Aからの到来信号Aと無線局Bからの到来信号Bとがそれぞれ独立なレイリー変動をする場合等がこれに相当し、これは伝送帯域内での伝搬路周波数特性が一様なフラットフェージングと呼ばれる。そして、位相差αは、無線局A及びBと受信局との距離関係にも依存するパラメータである。
図11は、受信局での到来信号A及びBの位相を、シンボル毎に示した模式図である。図11は、第k−Mシンボル、第k−M+1シンボル、第kシンボル、及び第k+1シンボルの位相を示す。なお、送信データに応じた信号点の位相をθkと、無線局Aの送信信号A(到来信号A)の第mシンボル波形の位相遷移をΦA m(t)と、無線局Bの送信信号B(到来信号B)の第mシンボル波形の位相遷移をΦB m(t)とする。
到来信号Aは、第kシンボルにおいて、シンボル内で一定の位相θkを起点に、シンボル波形の位相遷移ΦA m(t)が加わる。同様に、到来信号Bは、第kシンボルにおける信号点の位相θkと到来信号間の位相関係αとの合成位相を起点に、シンボル波形の位相遷移ΦB m(t)が加わる。第kシンボルよりMシンボル前の第k−Mシンボルには、信号点の位相θk-Mを起点に、第kシンボルと同じシンボル波形の位相遷移ΦA m(t)あるいはΦB m(t)が加わる。そして、復調部33では、第kシンボルと第k−Mシンボルとで遅延検波が行われる。
図12は、到来信号Aと到来信号Bとの位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図である。なお、この例では、送信信号A(到来信号A)及び送信信号B(到来信号B)のシンボル波形が、図9の(a)に示した位相遷移する場合を示す。
図12において、第k−Mシンボルにおける到来信号Aの位相は、位相遷移a1のように変化し、到来信号Bの位相は、位相遷移a1の起点に対して位相差αだけシフトした位相値を起点に位相遷移b1のように変化する。そして、第kシンボルにおいて、到来信号Aの位相は第k−Mシンボルの位相遷移a1の起点より差動符号化による位相Δθkだけシフトした位相値を起点に位相遷移a2のように変化し、到来信号Bの位相は位相遷移a2の起点に対して位相差αだけシフトした位相値を起点に位相遷移b2のように変化する。よって、第k−Mシンボルの位相遷移a1及びb1と第kシンボルの位相遷移a2及びb2との関係は、差動符号化による位相Δθkだけシフトしたものとなる。従って、第kシンボルを第k−Mシンボルで遅延検波すれば、差動符号化による位相Δθkが得られるので、データを復調できる。
さらに、到来信号Aと到来信号Bとの間の位相関係をベクトル図で説明する。
今、図13に示すように、到来信号Aの信号レベルを1、到来信号Bの信号レベルをρとし、到来信号間の位相差がαであるとする。
この場合、図14に示すように、第k−Mシンボルでは、到来信号BのベクトルS1Bは、到来信号AのベクトルS1Aに対してαだけ位相が異なる。到来信号Aは、ベクトルS1Aを起点に時間と共にΦA m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS1A'であるとする。到来信号Bは、ベクトルS1Bを起点に時間と共にΦB m(t)に応じて位相が変化し、時刻tにおいてベクトルS1B'であるとする。このとき、時刻tにおける受信波のベクトルはVk-Mとなる。
同様に、第kシンボルでは、到来信号AのベクトルS2Aは、ベクトルS1Aに対してΔθkだけ位相が異なり(ここでは、検波対象とするシンボル間の位相差Δθkがπとなる場合を示している)、到来信号BのベクトルS2Bは、ベクトルS2Aに対してαだけ位相が異なる。到来信号Aは、ベクトルS2Aを起点に時間と共にΦA m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS2A'であるとする。到来信号Bは、ベクトルS2Bを起点に時間と共にΦB m(t)に応じて位相が変化し、ある時刻tにおいてベクトルS2B'であるとする。このとき、時刻tにおける受信波ベクトルはVkとなる。
このように、到来信号A及び到来信号Bについて、第k−Mシンボルと第kシンボルとは、それぞれシンボル内で同じように位相が遷移するので、2つの受信波ベクトルVkとVk-Mとの位相関係も任意の時刻tにおいて常にΔθkとなる。
次に、検波出力が有効に得られるシンボル波形の位相遷移について説明する。
図14から、任意の時刻tにおける受信波ベクトルVk-M(t)とVk(t)とは、第k−M及び第kシンボルにおける信号点をそれぞれSk-M及びSkとすると、下記式(12)で表される。
Figure 0004921460
従って、遅延検波による検波出力Dk(t)は、下記式(13)で表される。なお、*は複素共役を示す。
Figure 0004921460
ここで、ΦA m(t)=u及びΦB m(t)+α=vとおくと、上記式(12)は、下記式(14)のように表される。
Figure 0004921460
従って、Dk(t)は、下記式(15)のように表現される。
Figure 0004921460
この式(15)において、[1+ρ2+2ρ・COS(ΦA m(t)−ΦB m(t)−α)]及び|Sk|2の項は常に非負であり、exp(j・Δθk)項は送信データを担う位相Δθkに対応する検波信号を示しており、常に正しい検波出力が得られることを示している。式(15)がゼロになるのは、第3項がゼロになる時であるが、それは、ρ=1、かつ、cosの項が−1になる時の瞬間に限られる。2つのシンボル波形の位相差ΦA m(t)−ΦB m(t)が、時間間隔0<t<Tにおいて変化する限りにおいて、任意のρ、αについて、決して常にゼロにならず、到来信号Aと到来信号Bとが合成された検波出力が完全に消失することはなく、ダイバーシチ効果が得られることを意味する。なお、変化量が大きくなる程、シンボル内の0<t<Tにおいて有効な検波出力が複数得られ、より高いパスダイバーシチ効果が得られるが、好ましくは2π以上に変化すれば、cos(ΦA m(t)−ΦB m(t)−α)}が必ず1になり、検波出力が最大になるtが必ず存在することになる。
従って、本実施形態に係る無線伝送システムにおける、無線局Aの変調部21と無線局Bの変調部21とが記憶する各々のシンボル波形(又はM長のシンボル波形系列の各々対応するシンボル波形)としては、例えば図9の(a)に示した位相遷移ΦA及びΦBのような、同じ時間領域で位相遷移の増減方向が互いに異なるようなものにすれば、受信側で高いパスダイバーシチ効果が得られる。
次に、受信局における到来信号Aと到来信号Bとの位相関係によって、検波信号が変化する様子を説明する。
図15は、伝搬路の遅延分散性が無視できる場合に受信局で受信された到来信号A及びBの位相関係を示した模式図である。図15の(a)〜(d)は、それぞれα=0度、90度、180度及び270度の場合における到来信号A及びBのシンボル波形の位相関係を示す。図15の縦軸は、図12における第kシンボルの位相を、到来信号Aの位相遷移a2の起点を0度として0〜360度の範囲で示したもので、上記式(3)及び式(4)においてφMAX=720度とした場合である。また、到来信号Aと到来信号Bとの位相が逆相になる逆相点を×印で示し、同相になる同相点を○印で示している。
図15に示すように、伝搬路に遅延がない場合、到来信号Aと到来信号Bとがベクトル合成された受信波の振幅が打ち消し合ってゼロになる逆相点は、αの大きさにかかわらず1シンボル内で一瞬である。よって、この到来信号A及びBを遅延検波することで、検波振幅は受信波の2乗に比例し、ほぼ同様の形となる。この様子を図示したものが、図16の実線で示した曲線である。図16の実線に示すように、極性(図16では正極性となる例)が送信データに対して常に正しい有効な検波出力が得られる。また、図16の点線は、低域通過フィルタ1810及び1811通過後の検波出力を示している。低域通過フィルタ1810及び1811を通すことで、一瞬ゼロとなって欠損したとしても、シンボル内で複数の時間位置で得られる有効な出力を合成した検波出力が得られて、ダイバーシチ効果が発揮される。
次に、伝搬路の遅延分散が無視できない場合を説明する。
ここでは、説明を容易にするために、図17に示すような2つの無線局A及びBからの到来信号が各々2波となる2波到来モデルで考える。まず、送信信号Aの直接波と遅延波とが受信される場合、及び送信信号Bの直接波と遅延波とが受信される場合をそれぞれ考察し、その後に全ての4つの到来波が受信される状況を考察する。
図18Aは、送信信号Aの直接波と遅延波との位相の変化をシンボル毎に示した模式図である。ここで、直接波と遅延波との各々の搬送波同士の受信点における位相差をβAとする。遅延波の位相は、第k番目のシンボルでは、送信データに応じた信号点の位相θkと信号間の位相差βAとの合成位相を起点に、直接波に対してτだけ遅延した送信信号Aのシンボル波形の位相遷移ΦA m(t-τ)が加わる。同様に、遅延波の位相は、第k−Mシンボルにおいては、信号点の位相θk-Mを起点に、第kシンボルと同じ送信信号Aの位相遷移ΦA m(t-τ)が加わる。
従って、第kシンボルと第k−Mシンボルとで遅延検波を行う際に、正しい検波極性が得られてかつ正しい復調データが得られる有効区間は、第kシンボルにおける領域(ii)又は第k−Mシンボルにおける領域(ii)'である。その前後の領域(i)、(iii)、(i)'及び(iii)'は、隣接シンボルの異なるデータ信号が混入するためにシンボル間干渉が生じ、必ずしも正しい復調データが得られない領域である。
図18Bは、送信信号Bの直接波と遅延波との位相の変化をシンボル毎に示した模式図である。送信信号Bについては、上記の説明中、直接波と遅延波との各々の搬送波同士の受信点における位相差をβBと、直接波に対してτだけ遅延した送信信号Bのシンボル波形の位相遷移をΦB m(t-τ)と置き換えることで、原理は全く同じである。なお、ここでは、送信信号Aに関する直接波と遅延波との遅延差と、送信信号Bに関する直接波と遅延波との遅延差とを、共に同じτとしているが、これらは異なっていても同様の改善効果が得られる。
図19は、送信信号A及びBの直接波及び遅延波について、各々の搬送波の受信点での位相関係を示した図である。上述のβA及びβBに加えて、送信信号Aの直接波と送信信号Bの直接波との各々搬送波間の位相差をα'としている。また、送信信号A及びBの各直接波に対する遅延波の振幅をρA及びρBとした。直接波同士の振幅については、この後の動作・改善効果の説明には差はないので、ここでは簡単のために同じとしている。
図20Aは、送信信号Aの直接波と遅延波との位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図である。なお、送信信号Aのシンボル波形として図9の(a)に示すΦAを用いた場合を示す。図20Aにおいて、第k−Mシンボルにおける直接波の位相は、位相遷移a1のように変化し、遅延波の位相は、位相遷移a1の起点に対してβAだけシフトした位相値を起点に位相遷移c1のように遷移する。そして、第kシンボルにおいて、直接波の位相は第k−Mシンボルの位相遷移a1の起点より差動符号化によるΔθkだけシフトした位相値を起点に位相遷移a2のように遷移し、遅延波の位相は、位相遷移a2の起点に対してβAだけシフトした位相値を起点に位相遷移c2のように遷移する。よって、第k−Mシンボルの位相遷移a1及びc1と第kシンボルの位相遷移a2及びc2との関係は、差動符号化によるΔθkだけシフトしたものとなる。従って、第kシンボルを第k−Mシンボルで遅延検波すれば、差動符号化によるΔθkが得られるので、データを復調できる。この関係は、図20Bに示す、送信信号Bの直接波と遅延波との位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図でも同様である。
次に、送信信号Aの直接波と遅延波との間の位相関係をベクトル図で説明する。
図21Aは、送信信号Aの直接波と遅延波との位相遷移をベクトルで表した模式図である。ここでは、図18Aにおける有効区間(ii)又は(ii)'についてのみ考える。図21Aは、送信データを表し、検波対象となるMシンボルだけ離れた2つのシンボル間の位相差Δθkがπとなる場合を一例として示しており、第k−Mシンボルの信号点をS1Aと、第kシンボルの信号点をS2Aとする。
第k−Mシンボルでは、直接波のベクトルS1Aに対し、遅延波のベクトルS1AdはβAだけ位相が異なる。直接波は、ベクトルS1Aを起点に時間と共にΦA m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS1A’で表される。遅延波は、ベクトルS1Adを起点に時間と共にΦA m(t-τ)に応じて位相が変化し、時刻tにおいてベクトルS1Ad’で表される。このとき、時刻tにおける受信波のベクトルはVA k-Mとなる。
同様に、第kシンボルについて、直接波のベクトルS2AはベクトルS1Aに対してΔθkだけ異なり、遅延波のベクトルS2AdはベクトルS2Aに対してβAだけ位相が異なる。そして、直接波はベクトルS2Aを起点に時間と共にΦA m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS2A’で表される。遅延波は、ベクトルS2Adを起点に時間と共に、ΦA m(t-τ)に応じて位相が変化し、ある時刻tにおいてベクトルS2Ad’で表される。このとき、時刻tにおける受信波ベクトルはVA kとなる。
このように、送信信号Aの直接波及び遅延波について、第k−Mシンボルと第kシンボルとは、それぞれシンボル内で同じように位相が遷移するので、2つの受信波ベクトルVA kとVA k-Mとの位相関係も任意の時刻tにおいて常にΔθkとなる。
図21Bは、送信信号Bの直接波と遅延波との位相遷移をベクトルで表した模式図である。ここでも、図18Bにおける有効区間(ii)又は(ii)'についてのみ考える。図21Bも、送信データを表し、検波対象となるMシンボルだけ離れたシンボル間の位相差Δθkがπとなる場合を一例として示している。送信信号Aの第k−Mシンボルの信号点S1Aから位相差α’だけ回った所に、送信信号Bの信号点S1Bがあり、さらに、Δθkだけ回転した所に、第kシンボルの信号点S2Bがある。
第k−Mシンボルでは、直接波のベクトルS1Bに対し、遅延波のベクトルS1BdはβBだけ位相が異なる。直接波は、ベクトルS1Bを起点に時間と共にΦB m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS1B'で表される。遅延波は、ベクトルS1Bdを起点に時間と共にΦB m(t-τ)に応じて位相が変化し、時刻tにおいてベクトルS1Bd'で表される。このとき、時刻tにおける受信波のベクトルはVB k-Mとなる。
同様に第kシンボルについて、直接波のベクトルS2BはベクトルS1Bに対してΔθkだけ異なり、遅延波のベクトルS 2Bd はベクトルS2Bに対してβBだけ位相が異なる。そして、直接波はベクトルS2Bを起点に時間と共にΦB m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS2B'で表される。遅延波は、ベクトルS2Bdを起点に時間と共に、ΦB m(t-τ)に応じて位相が変化し、ある時刻tにおいてベクトルS2Bd'で表される。このとき、時刻tにおける受信波ベクトルはVB kとなる。このように、送信信号Bの直接波と遅延波について、第k−Mシンボルと第kシンボルとは、それぞれシンボル内で同じように位相が遷移するので、2つの受信波ベクトルVB kとVB k-Mとの位相関係も任意の時刻tにおいて常にΔθkとなる。
結局、図17に示す4つ全ての到来波がある場合、図22に示すように、第k−MシンボルではVA k-MとVB k-Mとのベクトル和VAB k-Mが、第kシンボルではVA kとVB kのベクトル和VAB kが、結局受信されることになるが、両者の位相差は、やはり有効区間内の任意の時刻tにおいて常にΔθkとなる。このことは、この受信信号から遅延検波した検波出力は、両ベクトルVA kとVB k(又はVA k-MとVB k-M)が打ち消し合うか、2つのアンテナからの各々直接波と遅延波が同時に打ち消し合って両ベクトルVA kとVB k(又はVA k-MとVB k-M)とが同時に消失するかしない限り、つまり一瞬消失するようなことがあったとしても、その他では、送信データに対応した、常に正しい極性の出力が得られることを意味する。つまり、図15及び図16で説明した通り、一瞬はゼロになる場合があったとしてもそれ以外ではゼロにはならない検波出力が得られ、さらに低域通過フィルタを通すことで、一部がゼロとなって欠損したとしてもシンボル内の有効区間内で複数の時間位置で得られる有効な出力を合成した検波出力が得られて、パスダイバーシチ効果が発揮される。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る無線伝送システムは、複数の無線局において、同じ送信データを差動符号化して互いに異なるシンボル波形で各々変調して送信し、受信局において、遅延検波によって検波する。これにより、より広い遅延範囲(到来タイミングの差異)でも、特有のパスダイバーシチ効果による誤り率の改善効果が得られる。これに伴って、帯域制限等の具体的な変調パラメータ等にも左右されるが、他が同じ条件であれば、シンボル波形を異ならせることで、遅延許容範囲が増大することに従って最大有効ブランチ数も増加する。
図23は、図58と同様に、本発明の伝送方法によるビット誤り率と遅延量τとの関係を模式的に示した図である。遅延量τがシンボル長T(又は−T)に近づくにつれて有効区間が短くなり、最終的には消滅して誤り率が劣化する所は同じだが、遅延量τが0付近でも誤り率が改善される所が異なる。従って、本発明の伝送方法では、特許文献1のように、到来信号間に意図的な所定遅延を挿入することは必ずしも必要でなく、むしろ到来タイミングが同じであっても特有のダイバーシチ効果性が得られる。図23には、この様子を図示しているが、図58と比べると大きく遅延耐性範囲が改善される。
以上のように、異なるシンボル波形と到来タイミング(遅延差)とを組み合わせることにより、さらなるパスダイバーシチの効果を引き出す(最大有効ブランチ数を増加させる)ことができる。
ここで、無線伝送システムにおいて、異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数を最大限に活用してパスダイバーシチ効果を発揮させるために必要となるシンボル波形と到来タイミングの条件について説明する。以下では、無線伝送システム内で異なるシンボル波形(又はシンボル波形系列)がW1及びW2の2種類で、かつ、シンボル波形毎に最大有効ブランチ数に相当する到来タイミングがT1及びT2である場合を想定して説明する。
タイミングT1及びT2と許容遅延量(良好な誤り率の区間)との関係は、図23内に示した設定が好ましい。つまり、T2>T1とすると、3種類の到来時間差T1−T2、0(T1−T1又はT2−T2)、及びT2−T1を生じるが、これらが許容遅延量内にある必要がある。また、到来時間差がT1−T2及びT2−T1においては、同一シンボル波形同士でもパスダイバーシチ効果を生じるが(図58を参照)、到来時間差0においては、異なるシンボル波形を用いた信号同士である必要がある。
この場合、異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数は4つで、シンボル波形と到来タイミングの組は、W1T1、W1T2、W2T1、及びW2T2の4種類の中から選ばれる必要がある。つまり、同時送信する無線局の数が最大有効ブランチ数(この場合は4つ)以下の場合、各無線局はこれら4つの組の中から互いに異なる組を用いて送信を行う必要がある。また、同時送信する無線局の数が最大有効ブランチ数を超える場合でも、これら4つの組以外の組み合わせを作らず、各無線局のうち4つの無線局は4つの組の中から互いに異なる組を用いて送信を行い、残りの無線局はこれら4つの組のいずれかを選んで送信を行う必要がある。
図24は、上記構成による管理局1〜3が行う動作の概要を示すシーケンス図である。
まず、管理局1が送信するチャネル情報パケットは、管理局2及び3によって受信される。管理局2及び3は、管理局1に応答パケットを送信する。管理局1は、応答パケットを受信すると、管理局1が送信元管理局となるブロードキャストパケットを管理局2及び3が複局同時送信する際に、管理局2及び3が使用するシンボル波形及び遅延量を決定する。そして、管理局1は、決定したシンボル波形及び遅延量を、通知パケットを用いて管理局2及び3に通知する。このように、チャネル情報パケットは、複局同時送信を要求するためのパケットと言える。
図25は、図5に示す管理局1の既存周辺管理局探索モード時の動作を示すフローチャートである。この既存周辺管理局探索モードとは、電源投入時等の新たにシステムの構築を開始する場合等のモードである。
管理局1は、既存周辺管理局探索モード時、パケットの受信を所定時間待って、中継送信が可能な管理局(周辺管理局)が存在するか否かを判断する。管理局1は、パケットの受信を所定時間待つための待機タイマーをリセットし(ステップS31)、受信状態で待機する(ステップS32)。そして、所定時間が経過するまでの間にパケットを受信すると(ステップS33及びS34)、管理局1は、受信したパケットを復調する(ステップS35)。具体的には、アンテナ31で受信されかつRF部32で周波数変換された受信ベースバンド信号が、復調部33で復調されて復調データとなる。
パケット判定部34は、復調データにCRCチェックを施し、パケットを正常に受信できたか否かを判断する(ステップS36)。パケットを正常に復調することができない場合、管理局1は、再び受信状態で待機する(ステップS32)。一方、パケットを正常に復調することができた場合、パケット判定部34は、受信したパケットのパケット識別子を参照し、チャネル情報パケットであるか否かを判断する(ステップS37)。
パケットがチャネル情報パケットでない場合、管理局1は、再び受信状態で待機する(ステップS32)。一方、パケットがチャネル情報パケットである場合、パケットの送信元アドレス(送信元ID)を認識し、シンボル波形・遅延量決定部36に渡す(ステップS38)。シンボル波形・遅延量決定部36は、受け取った送信元IDを、自局よりも以前から存在する周辺管理局のID(既存周辺管理局ID)として保存する(ステップS39)。
一方、ステップS34において、所定時間が経過した場合、処理は図26のステップS51に進む。
図26は、既存周辺管理局探索モードが終了した後の管理局1が行う動作を示すフローチャートである。
管理局1において、シンボル波形・遅延量決定部36は、応答パケットの送信回数をゼロにし(ステップS51)、既存周辺管理局数が応答パケット送信回数よりも多いか否かを判断する(ステップS52)。既存管理局数が応答送信回数よりも少ない場合、シンボル波形・遅延量決定部36は、チャネル情報パケットを生成するよう、送信パケット処理部40に指示する。送信パケット処理部40は、チャネル情報パケットを生成して変調部21に渡す。変調部21は、チャネル情報パケットから変調信号を生成し、RF部32及びアンテナ31を介して送信する(ステップS53)。
そして、管理局1は、受信状態で待機し、他の管理局から応答パケットが送信されてくるのを待つ(ステップS54)。管理局1は、応答区間が終了するまでパケットを受信したか否かを判断する。パケットを受信して正常に復調できた場合、パケット判定部34は、受信したパケットが応答パケットであるか否かを判断する。受信したパケットが応答パケットである場合、シンボル波形・遅延量決定部36は、応答パケットに含まれる送信元IDを周辺管理局IDとして保存する。ここまでのステップS56〜S60の動作は、図25に示すステップS35〜S39の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
一方、ステップS61において、応答区間が終了して応答パケットの受信待ち時間が経過すると、シンボル波形・遅延量決定部36は、応答パケット送信回数をゼロにする(ステップS62)。そして、シンボル波形・遅延量決定部36は、中継可能局数が2つ以上であるか否かを判断する(ステップS63)。具体的には、シンボル波形・遅延量決定部36は、応答区間に応答があった中継可能局の数を、応答区間に保存した周辺管理局IDの数から判断する。中継可能局数が2つ未満であった場合(ステップS63、No)、管理局1は処理を終了する。一方、中継可能局数が2つ以上であった場合(ステップS63、Yes)、シンボル波形・遅延量決定部36は、ブロードキャストパケットを中継可能局に割り当てるシンボル波形及び遅延量を決定し、記録テーブル37に記録すると共に、中継可能局のIDと決定したシンボル波形及び遅延量とを送信パケット処理部40に渡し、通知パケットの生成を指示する(ステップS64)。
送信パケット処理部40は、通知パケットを生成して変調部21に渡す(ステップS65)。変調部21は、通知パケットから変調信号を生成し、RF部32及びアンテナ31を介して送信する(ステップS66)。シンボル波形・遅延量決定部36は、応答区間に保存した周辺管理局IDの数と、既存周辺管理局探索モード時に得た既存周辺管理局IDの数とを比較して、自局よりも後に発生した後発周辺管理局の数を認識し、後発周辺管理局の数が応答パケット送信回数よりも多いか否かを判断する(ステップS67)。後発周辺管理局の数が応答パケット送信回数よりも少ない場合(ステップS67、No)、管理局1は、処理を終了する。一方、後発周辺管理局の数が応答パケット送信回数よりも多い場合(ステップS67、Yes)、管理局1は、図28に示すステップS81の動作に進む。
一方、ステップS52において、既存周辺管理局数が応答パケット送信回数よりも多い場合、管理局1は、図27に示すステップS81の動作に進む。
図27は、既存周辺管理局の数が応答パケットの送信回数よりも多い場合における管理局1が行う動作を示すフローチャートである。
管理局1は、待機タイマーをリセットし(ステップS81)、チャネル情報パケットの待ち時間が経過するまで(ステップS94、No)、パケットの受信を待つ(ステップS82)。パケットを受信すると(ステップS83、Yes)、復調部33がパケットを復調し(ステップS84)、パケット判定部34が復調データにCRCチェックを施す。パケットを正常に受信できた場合(ステップS83)、パケット判定部34は、パケットのパケット識別子を参照し、受信したパケットがチャネル情報パケットであるか否かを判断する(ステップS86)。受信したパケットがチャネル情報パケットでない場合、管理局1は再び待機状態に戻る(ステップS82)。
一方、受信したパケットがチャネル情報パケットである場合、パケット判定部34は、送信元管理局IDを認識して(ステップS87)、シンボル波形・遅延量決定部36に渡す。シンボル波形・遅延量決定部36は、受け取った送信元管理局IDが既に保存している既存周辺管理局IDと一致しているか否かを判断する(ステップS88)。送信元管理局IDが一致しない場合には再び受信待機状態に戻るが(ステップS82)、送信元管理局IDが一致した場合、シンボル波形・遅延量決定部36は、送信パケット処理部40に応答パケットを生成するよう指示する。
送信パケット処理部40は、応答パケットを生成して保存する(ステップS89)。一方、送信タイミング制御部38は、ランダムなタイミングで送信開始信号を生成し、変調部21に渡す(ステップS90)。変調部21は、送信開始信号を受け取ると、応答パケットの送信データを読み出して変調信号を生成する。変調部21によって生成された変調信号は、RF部32及びアンテナ31を介して無線信号として送信される(ステップS91)。そして、シンボル波形・遅延量決定部36は、応答パケット送信回数を1つ増加させる(ステップS92)。そして、管理局1は、応答区間の終了時刻まで待機し(ステップS93)、図26に示すステップS52の動作に戻る。
一方、チャネル情報パケットの待ち時間が経過しても既存周辺管理局からのチャネル情報パケットを受信できなかった場合(ステップS94、Yes)、シンボル波形・遅延量決定部36は、保存している既存周辺管理局数を1つ減らす(ステップS95)。そして、管理局1は、図26に示すステップS52の動作に戻る。
図28は、後発周辺管理局の数が応答パケットの送信回数よりも多い場合における管理局1が行う動作を示すフローチャートである。
図28のステップS88において、シンボル波形・遅延量決定部36は、受け取った送信元管理局IDが既に保存している周辺管理局IDと一致しているか否かを判断し、送信元管理局IDが一致しない場合にはステップS82に戻り、一致する場合には送信パケット処理部40に応答パケットを生成するよう指示する。その他、図28におけるステップS81〜S94の動作は、図27と同一の符号を付したステップと同様であるため、説明を省略する。チャネル情報パケットの待ち時間が経過しても、既にIDを保存した周辺管理局からのチャネル情報パケットを受信できなかった場合(ステップS94、Yes)、シンボル波形・遅延量決定部36は、保存している後発周辺管理局数を1つ減らす(ステップS101)。そして、管理局1は、図26に示すステップS67の動作に戻る。以上、図25〜図28のフローチャートを用いて、管理局1の動作について説明したが、管理局2及び3も管理局1と同様に動作する。
図29は、図26のステップS66において送信された通知パケットを受信した管理局2が行う動作を示すフローチャートである。
まず、シンボル波形・遅延量決定部36は、復調部33によって復調されかつパケット判定部34によって正常に受信できたと判断されたパケットが、通知パケットであるか否かを判断する(ステップS111〜S113)。受信したパケットが通知パケットである場合、シンボル波形・遅延量決定部36は、パケットからシンボル波形及び遅延量を抽出して記録テーブル37に記録する(ステップS114、S115)。なお、図29において、管理局2の動作について説明したが、管理局1及び3も同様に動作する。
図30は、図26〜図29の動作によって、各管理局に割り当てるべきシンボル波形及び遅延量が決定した後における、パケット受信時の管理局1が行う動作を示すフローチャートである。
管理局1において、復調部33は、アンテナ31によって受信されかつRF部32から出力される受信ベースバンド信号を復調し、復調データとする(ステップS131)。パケット判定部34は、復調データにCRCチェックを施し、パケットを正常に受信できたか否かを判断する(ステップS132)。パケットを正常に復調することができない場合、管理局1は処理を終了する。一方、パケットを正常に復調することができた場合、パケット判定部34は、受信したパケットのパケット識別子を参照し、中継不要なパケットであるか否かを判断する(ステップS133)。
受信したパケットが中継不要なパケットである場合、パケット判定部34は、パケットの宛先アドレスを参照し、当該パケットが自局宛であるか否かを判断する(ステップS134)。パケットが自局宛でない場合、管理局1は処理を終了するが、パケットが自局宛である場合、パケット判定部34は、復調データを自局パケット処理部35に渡す。管理局1は、自局パケット処理部35で復調データに対して所定の処理を行い(ステップS135)、処理を終了する。
一方、ステップS133において、受信したパケットが中継不要なパケットでない場合、パケット判定部34は、パケット識別子を参照し、受信したパケットがブロードキャストパケットであるか否かを判断する(ステップS136)。受信したパケットがブロードキャストパケットでない場合、管理局1は処理を終了する。一方、受信したパケットがブロードキャストパケットである場合、パケット判定部34は、受信完了信号を生成し、パケットの識別子と共に送信タイミング制御部38に渡す(ステップS137)。
そして、パケット判定部34は、パケットの送信元IDを参照し、送信元管理局IDがゼロであるか否かを判断する(ステップS138)。送信元管理局IDがゼロでない場合、パケット判定部34は、送信元管理局IDを送信タイミング制御部38に出力する(ステップS140)。一方、送信元管理局IDがゼロである場合、パケット判定部34は、送信元管理局IDを自局IDに変換し(ステップS139)、変換したIDを送信元管理局IDとして送信タイミング制御部38に出力する(ステップS140)。
また、パケット判定部34は、復調データから図2に示すユニークワード以降のデータをペイロードデータとして抽出し、必要に応じてペイロードデータ中の送信元管理局IDを自局IDに変換したペイロードデータを中継データとして、送信パケット処理部40に渡す(ステップS141)。送信パケット処理部40は、所定のヘッダを付加してブロードキャストパケットを生成し、保存する(ステップS142)。
送信タイミング制御部38は、受信完了信号を受け取ると、基準タイミングを決定する(ステップS143)。そして、シンボル波形・遅延量決定部36は、記録テーブル37を参照し(ステップS144)、選択するシンボル波形を波形バンク選択信号として変調部21に指示すると共に、自局に割り当てられた遅延量だけ基準タイミングから遅延させたタイミングを送信開始タイミングとして決定する(ステップS145)。送信タイミング制御部38は、送信開始タイミングになると、送信開始信号を生成して変調部21に渡す。変調部21は、送信開始信号を受け取ると、ブロードキャストパケットの送信データを読み出して変調信号を生成する。変調部21によって生成された変調信号は、RF部32及びアンテナ31を介して無線信号として送信される(ステップS146)。
なお、図30において、管理局1の動作について説明したが、管理局2及び3も同様に動作する。また、ステップS139において、送信元管理局IDを書き換えた場合、ブロードキャストパケットは単局送信されるため、送信タイミング制御部38は、所定の基準タイミングを送信開始タイミングとして、送信開始信号を生成してもよい。
図31A〜Cは、1つの無線システムが発生してから図1に示すシステム構成になるまでのネゴシエーション手順の一例を示す図である。図32A〜Cは、それぞれ図31A〜のシステム構成における管理局1〜3及び端末局11の位置関係を示す図である。以下、図31A〜C及び図32A〜Cを参照して、図5に示す管理局1〜3がネゴシエーションし、各管理局に割り当てるシンボル波形及び遅延量を決定する手順について説明する。なお、図31A〜Cでは、既存周辺管理局探索モードにおいて管理局2及び3がチャネル情報パケットを受信する際の手順を示すパケットの図示を省略している。
まず、管理局1の無線伝送システムしか存在しない場合、管理局1は、図26に示す手順でネゴ区間にチャネル情報パケットを送信する(図31A、図32A)。
次に、管理局1の通信エリアE1内に、無線伝送システムを構築できる管理局2が新たに発生した場合、管理局2は、共通チャネルを所定期間観測し、図25に示す手順に従って既存周辺管理局を探索する(図31B、図32B)。所定期間は、例えば、ネゴ区間の1周期時間以上である。その後、管理局2は、管理局1が送信したチャネル情報パケットを受信すると(図31B:B−11)、図27に示す手順に従い、チャネル情報パケットを正常に受信できたことを周囲に通知するための応答パケットを生成して所定の応答区間に送信する(図31B:B−12)。
管理局1は、応答区間に、管理局2から送信されてきた応答パケットを受信し、図26に示す手順で中継可能局数を認識する(図31B:B−12)。このとき、無線伝送システムに存在する管理局は、管理局1及び2の2つであるため、管理局1が応答区間内に受信する応答パケットは1つである。従って、ブロードキャストパケットを中継送信する際に複局同時送信することはできないため、管理局1は、管理局2の送信タイミングを特に決めなくても良い。この場合、管理局1から送信されたブロードキャストパケットは、管理局2で受信され、予めシステムで定めた時間T1後の基準タイミングT0に、単純に単局で中継送信される。
管理局2は、管理局1から受信したチャネル情報パケットを元に、管理局1との干渉が生じないように、自局システムでの使用チャネルを決定する。そして、管理局2は、応答区間(図31B:B−11、B−12)終了後の所定時間後に、図26に示す手順でチャネル情報パケットを送信する(図31B:B−21)。管理局1は、図28に示す手順に従い、管理局2が送信したチャネル情報パケットを受信すると(図31B:B−21)、応答区間に応答パケットを送信する(図31B:B−22)。管理局2は、応答区間に応答パケットを受信することによって(図31B:B−22)、管理局1が存在することを再認識する。その後、管理局1及び2は、定期的に設けられたネゴ区間においてチャネル情報パケット及び応答パケットを送受信する。
次に、図32B〜Cに示すように、管理局1及び2が形成する通信エリアE1及びE2内に、無線伝送システムを構築できる管理局3が新たに発生した場合について説明する。
まず、管理局3は、共通チャネルを所定期間観測し、図25に示す手順に従って、既存周辺管理局を探索する。その後、管理局2及び3は、管理局1から送信されてきたチャネル情報パケットを受信する(図31C:C−11)。管理局3は、図27に示す手順に従い、管理局1が送信したチャネル情報パケットに対する応答パケットを生成する。なお、この区間において、管理局2も応答パケットを作成する。応答区間において、管理局2及び3は、ランダムなタイミングで応答パケットを送信する(図31C:C−12)。図32Cは、同様にしてさらに、管理局4及び5が発生した場合を示している。なお、管理局4及び5の通信エリアは、E4及びE5で表している。
管理局1は、図26に示す手順で、管理局2〜5が送信した応答パケットを応答区間に受信すると、管理局2〜5に割り当てるシンボル波形及び遅延量を決定し、記録テーブル37に記録する。そして、応答区間終了直後から他の管理局のチャネル情報パケットが送信されるまでの区間において、管理局1は、決定したシンボル波形及び遅延量を含む通知パケットを生成して各管理局2〜5に送信する(図31C:C−13)。管理局2〜5は、図29に示す手順で管理局1が送信した通知パケットを受信すると、複局同時送信時における自局及び他局に割り当てられたシンボル波形及び遅延量を抽出し、記録テーブル37に記録する(図31C:C−13)。なお、図31Cでは、管理局1〜3が送受信するパケットを代表的に示し、管理局4及び5が送受信するパケットの図示は省略している。
次に、管理局2が送信したチャネル情報パケットを管理局1及び3が、各々図28及び図27に示す手順で受信する(図31C:C−21)。そして、図31CのC−22及びC−23において、C−12及びC−13と同様の手順で、管理局2の送信パケットを複局中継送信する際のシンボル波形及び遅延量が、各管理局の記録テーブル37に記録される。次に、管理局1及び2は、管理局3から送信されてくるチャネル情報パケットを図28に示す手順で受信する(図31C:C−31)。そして、図31CのC−12及びC−13と同様の手順で、管理局3の送信パケットを複局中継送信する際のシンボル波形及び遅延量が、各管理局の記録テーブル37に記録される(図31C:C−32、C−33)。管理局4及び5に対しても同様に行われ、その後、管理局1〜5は、定期的に設けられたネゴ区間においてチャネル情報パケット及び応答パケットを送受信する。
図33Aは、管理局1〜5が保持する記録テーブル37の構成を示す図である。例えば、管理局1がパケットの送信元である場合、管理局2は、パケットを中継送信する際にシンボル波形W1を用い、送信元のパケットからT1だけ遅延した基準タイミングT0を送信開始タイミングとする。一方、管理局3は、パケットを中継送信する際にシンボル波形W1を用い、送信元のパケットからT2だけ遅延した、基準タイミングT0から遅延量τ(=T2−T1)だけ遅延したタイミングを送信開始タイミングとする。なお、遅延量τは、受信側において、パスダイバーシチ効果が得られる適度な値、すなわち、所定の遅延分解能以上、かつ所定の遅延上限以下の値である。同様に、管理局4は、シンボル波形W2を用い、基準タイミングT0を送信開始タイミングとし、管理局5は、シンボル波形W2を用い、基準タイミングT0から遅延量τだけ遅延したタイミングを送信開始タイミングとする。
このように、同じシンボル波形に対しては、適度な遅延τだけずれたタイミングT1及びT2で受信側の無線局に到来し、同じタイミングの到来波ではシンボル波形が異なるようにすれば、4種類の組み合わせに相当する最大限のパスダイバーシチ効果を得ることができる。このように、管理局1〜5のシンボル波形・遅延量決定部36は、複局同時送信可能な管理局を認識し、認識した管理局によって複局同時送信される際の複数のシンボル波形及び遅延量を決定し、他の管理局に通知する。当該他の管理局は、通知されたシンボル波形及び遅延量を記録テーブルに記憶する。
図33Bは、図32Bに示す位置関係において、管理局1が送信したブロードキャストパケットを管理局2のみが中継送信する場合のパケットの送受信タイミングを示す図である。管理局2は、パケットを中継送信する際、基準タイミングT0からの遅延量を与えることなくパケットを送信する。シンボル波形はいずれでも良いが、図33BではW1の例を示している。
図33Cは、図32Cに示す位置関係において、管理局1が送信したブロードキャストパケットを管理局2〜5が中継送信する場合のパケットの送受信タイミングを示す図である。管理局2〜5は、図33Aの記録テーブルに従ってブロードキャストパケットを複局同時送信する。
図33Cに示すように、管理局2及び4の送信開始タイミングは、基準タイミングT0となり、管理局3及び5の送信開始タイミングは、基準タイミングT0から遅延量τだけ経過したタイミングとなる。管理局2〜5は、遅延量差τに比べて伝搬時間が無視できる程度近傍に位置しているので、同じシンボル波形を用いる2つの管理局から送信されたパケットは、パスダイバーシチ効果が発揮できる適度な送信時間差τに極めて近い値で受信局(例えば、管理局9)に到来する。従って、受信局は、シンボル波形毎の最大有効ブランチ数のパスダイバーシチ効果(ここでは2パス)が得られ、異なるシンボル波形を用いることで、この例では計4パスに増大した最大限のパスダイバーシチ効果が得られて、パケットを一層確実に受信することができる。
以上のように、第1の実施形態によれば、各管理局は、複局同時送信が行われる前にネゴシエーションし、複局同時送信時における各管理局のシンボル波形及び送信タイミングを決定する。送信タイミングの決定に用いられる複数の遅延量は、各シンボル波形毎に、その差が所定の遅延分解能以上であり、かつ最大値と最小値との差が所定の遅延上限以下であるように設定される。従って、管理局が移動して位置関係が変化した場合や、複局同時送信する管理局の数が変化した場合においても、複局同時送信されたデータは、パスダイバーシチ効果を確実に発揮することができる到来時間差で、受信局で受信される。しかも、異なるシンボル波形を用いることで増倍させたブランチ数の最大限のパスダイバーシチ効果が得られる。従って、近接して配置されている複数の無線局が同一データを伝送する複局同時送信システムにおいて、無線局の位置関係や、データを複局同時送信する無線局数が変化しても、パスダイバーシチ効果を最大限かつ確実に得ることができる。
なお、上記第1の実施形態において、管理局の内の少なくとも1つの管理局(例えば、管理局1)が、自局又は他局が送信したチャネル情報パケットに対する応答パケットに応じて、無線伝送システムにおいて複局同時送信に用いられるシンボル波形と基準タイミングからの遅延量との組み合わせを決定すれば、管理局1が送信元となるデータを管理局2〜5に複局同時送信させることができる。
また、上記第1の実施形態では、各管理局が、ネゴシエーション区間においてチャネル情報パケットを伝送し、そのパケットに対する応答パケットを返すというような、複局同時送信の可否に関わらず存在する管理局間のやり取り領域が存在するシステムについて説明した。当該システムでは、一例として、チャネル情報パケットに対する応答パケットを返すという、図31CのC−12、C−22、及びC−32のチャネル情報確認区間を、自局が送信した際に、幾つの管理局が中継送信可能であるかを確認するための複局状況確認区間として利用していた。また、チャネル情報パケットに対する応答パケットを、複局状況を確認するための応答パケットとしても利用し、各管理局が同時送信を行う際に用いられるシンボル波形と基準タイミングからの遅延量との組み合わせを決定するものとして説明した。ここで、同時送信できる管理局を探すための複局同時送信要求パケットを、ネゴシエーション区間内に送信し、そのパケットに対する応答パケットを返す領域を別に設け、上記した手順と同様にして複局同時送信時の各管理局のシンボル波形と送信タイミングとを適切に設定することももちろん可能である。ただし、そのような方法に比べて、第1の実施形態は、各管理局がネゴシエーション区間において複局同時送信に関わらず使用するネゴシエーションパケットを複局同時送信要求パケットとその応答パケットとしても用いて、複局同時送信を行う際に用いられるシンボル波形と基準タイミングからの遅延量との組み合わせの設定にも利用しているので、別に設定することによる伝送効率の低下が抑えられる。
また、上記第1の実施形態では、互いの通信エリア内に位置する複数の管理局は、他の管理局から送信されたブロードキャストパケットを必ず中継送信するものとして説明していた。ここで、各管理局は、ブロードキャストパケットを受信できても自局の都合で中継送信できない状況が生じるものであってもよい。その場合には、上述した応答パケット中に、中継送信できるか否かを示す情報を含むこととすればよい。
また、上記第1の実施形態では、互いに通信可能な管理局の数が5つである場合について説明したが、管理局の数が6つ以上になった場合にも、図31CのC−11〜C−13、C−21〜C−23、及びC−31〜C−33の手順を管理局の数だけ繰り返すことによって、各管理局のシンボル波形と遅延量を決定することができる。
また、上記第1の実施形態では、チャネル情報パケットを受信した各管理局は、応答区間において、ランダムなタイミングで応答パケットを送信していた。従って、応答区間において、稀に応答パケットが衝突する場合がある。図34は、応答パケットの衝突が生じる際のパケットの送受信タイミングを示す図である。図34に示すように、N−m2の応答区間において、複数の管理局が送信した応答パケットが衝突すると、パケットを正常受信できない場合が起こり得る。その場合、例えば、チャネル情報パケットを送信した管理局mが、図34のN−m3のように、応答区間終了直後に応答パケット再送要求パケットを送信し、管理局mに対して中継送信可能局な管理局は、再度ランダムなタイミングで応答パケットを送信すればよい。チャネル情報パケットを送信した管理局が全ての中継送信可能な管理局の応答パケットを正常受信できるまでこの手順を繰り返すことにより、自局が送信したパケットを中継する全ての管理局に割り当てるべきシンボル波形及び遅延量を決定することができる。ただし、衝突が連続してネゴ区間内に全ての管理局のネゴシエーションが完了しなくなることを避けるため、応答パケットの再送回数には上限を設けることが望ましい。
なお、応答区間内に正常受信できた周辺の管理局からの応答パケットの数が、シンボル波形とタイミングとの組み合わせで増倍されたパスダイバーシチ効果が得られる最大有効ブランチ数を超える場合、上述のように、シンボル波形毎のタイミング(ここではT1、T2)の種類を超えて、間のタイミングの値を与えると、逆に、劣化を招くことがある。そのような場合は、シンボル波形と遅延量との組の中から重複して与えるのが良い。又は、そのような場合で、チャネル情報パケットを送信した管理局mは、応答区間での応答パケットの衝突が発生しても、応答パケット再送要求パケットを送信しないことが望ましい。この場合、管理局mは、正常受信できた周辺の管理局に対してのみ、シンボル波形及び遅延量を含む通知パケットを送信すればよい。このように、シンボル波形及び遅延量を決定する管理局は、複局同時送信が可能な管理局の数が増倍された最大有効ブランチ数よりも多い場合、複局同時送信が可能であると決定する無線局の数を最大有効ブランチ数以下にするのも良い。なお、通知パケットを受信した管理局は、パケット内に自局に対するシンボル波形及び遅延量が存在しない場合、そのパケットを送信した管理局からブロードキャストパケットを受信しても中継伝送しないこととすればよい。
また、上記第1の実施形態では、管理局は、自局の通信エリア内に存在する端末局を管理するものとして説明したが、管理局は、端末局を管理する能力を有していればよく、必ずしも管理局が管理する対象の端末局が存在していなくてもよい。これは、例えば、管理局が新たに無線伝送システムを構築する過程で、管理局が形成する通信エリア内に、端末局が存在していない場合もあり得るためである。
さらに、複数の管理局によって複局同時送信されるデータ列は、必ずしも完全一致である必要はなく、復局同時送信することで伝送特性を向上させて、データ伝送の確実性を増したい部分が同一であればよい。
(第1の実施形態の変形例)
上記第1の実施形態では、各管理局は、他の管理局から応答パケットを受信するたびに、シンボル波形・遅延量通知パケットを毎回送信するものとして説明した。ここで、シンボル波形及び遅延量の送信は、新たに管理局が発生する際や、既存の管理局が消失する際にのみ行われてもよい。本変形例において、各管理局は、新たに管理局が発生する際や、既存の管理局が消失する際にのみシンボル波形・遅延量通知パケットを生成する。なお、管理局1〜5の構成は、第1の実施形態と同様であるため、図5を援用する。
図35は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る管理局1の動作を示すフローチャートである。まず、管理局1は、他の管理局からチャネル情報パケットを受信したか否かを判断する(ステップS151)。チャネル情報パケットを受信していない場合、管理局1は、所定の待ち時間が終了したか否かを判断し(ステップS155)、待ち時間が終了していない場合、ステップS151の動作に戻る。一方、待ち時間が終了している場合、管理局1は、ステップS156の動作に進む。
一方、ステップS151において、チャネル情報パケットを受信した場合、管理局1は、応答パケットを生成して送信する(ステップS152)。そして、管理局1は、シンボル波形及び遅延量を含む通知パケットを受信したか否かを判断する(ステップS153)。通知パケットを受信した場合、管理局1は、通知パケットから周辺管理局IDとシンボル波形と遅延量とを抽出し、記録テーブル37に記録して(ステップS154)、ステップS156の動作に進む。
管理局1は、チャネル情報パケットを送信するか否かを判断する(ステップS156)。ここで、記録テーブル37にシンボル波形及び遅延量が記録されていない場合、ステップS156において、管理局1は、既存周辺管理局が1つ以下しかないとみなし、自局がチャネル情報パケットを送信すべきであると判断する。一方、記録テーブル37にシンボル波形及び遅延量が記録されている場合、ステップS156において、管理局1は、既存周辺管理局が2つ以上あるとみなし、記録テーブル37に記録されている全ての他の管理局からチャネル情報パケットを受信するまで、自局がチャネル情報パケットを送信しないと判断する。
チャネル情報パケットを送信すると判断した場合、管理局1は、チャネル情報パケットを生成して送信し(ステップS157)、応答パケットを受信したか否かを判断する(ステップS158)。応答区間において、応答パケットを受信しない場合、管理局1は、ステップS151の動作に戻る。一方、応答パケットを受信した場合、管理局1は、受信した応答パケットの数から中継可能局数が2つ以上であるか否かを判断する(ステップS159)。中継可能局数が1つ以下である場合、管理局1は、ステップS151の動作に戻る。
一方、中継可能局数が2つ以上である場合、管理局1は、自局が送信元管理局となった場合における他の管理局のシンボル波形及び遅延量を決定済みであるか否かを判断する(ステップS160)。他の管理局のシンボル波形及び遅延量が決定済みである場合、管理局1は、記録テーブルに記録している管理局IDと、ステップS158で受信した応答パケットの送信元IDから得た中継可能局のIDとが、一致するか否かを判断する(ステップS161)。IDが一致する場合、管理局1は、処理を終了するが、IDが一致しない場合、管理局1は、通知パケットを生成して、他の管理局に送信する(ステップS162)。また、ステップS160において、他の管理局のシンボル波形及び遅延量が決定済みでない場合にも、同様に、ステップS162において、通知パケットを生成する。
以上のように、本発明の第1の実施形態の変形例によれば、管理局は、中継可能局数が2つ以上であっても、他の管理局のシンボル波形及び遅延量をまだ決定していない場合、又は応答パケットの送信元の管理局のIDが記録テーブルに記録されているIDと異なる場合にのみ、通知パケットを生成して送信する。すなわち、他の管理局のシンボル波形及び遅延量が最初に決定された場合と、周辺管理局の増減又は入れ替えが発生し、記録していた周辺管理局のIDと受信した応答パケットの送信元IDとが異なった場合にのみ、通知パケットが送信されることとなる。上記第1の実施形態では、ネゴシエーション区間内に図31CのC−13、C−23、及びC−33のように、通知パケットを伝送するための領域を用意する必要があるため、複局同時送信時におけるシンボル波形及び遅延量を決定することによる伝送効率の低下が若干生じる。しかしながら、この変形例によれば、ネゴシエーション区間内に通知パケットを伝送するための領域を毎回設ける必要がないため、上記第1の実施形態に比べ、伝送効率の低下が抑えられる。
(第2の実施形態)
本第2の実施形態に係る無線伝送システムは、管理局がパケットを送信した後、他の管理局がパケットを中継送信する際に、送信元局である管理局も再度同じパケットを送信する点で、上記第1の実施形態と相違する。
図36A及びBは、本発明の第2の実施形態に係る無線伝送システムにおけるマルチホップ伝送の一例を示す図である。図36A及びBに示すように、送信元管理局である管理局1は、管理局2〜4に中継送信すべきパケットを送信した後、当該パケットを宛先局に再送信する。なお、本第2の実施形態に係る無線伝送システム及び管理局の構成は、上記第1の実施形態と同様であるため、それぞれ図1A、図1B、及び図5を援用する。
パケットを中継送信する管理局は、ブロードキャストパケットを受信完了したタイミングから所定時間T1の経過後を基準タイミングT0とする。また、パケットの送信元管理局である管理局は、パケットを一旦送信したタイミングから所定時間T1の経過後を基準タイミングT0とする。この2つの基準タイミングT0は、一致している。
図37A〜Cは、第2の実施形態に係る管理局が行うネゴシエーションの手順の一例を示す図である。システム構成の移行は、第1の実施形態と同様の例を用いて説明するため、図32A〜Cを援用する。以下、図32A〜C及び図37A〜Cを参照して、本第2の実施形態における管理局1〜4がネゴシエーションし、複局同時送信時における各管理局のシンボル波形及び遅延量を決定するまでの各管理局の動作及び手順について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
まず、図32Aに示すように、管理局1のシステムしか存在しない場合における管理局1の動作は、第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態に係る管理局1〜4の動作が第1の実施形態と異なるのは、図26に示すフローチャートにおけるステップS63の動作である。第2の実施形態に係る管理局1〜3は、ステップS63において、中継可能局数が1つ以上であるか否かを判断する。そして、中継可能局数が1つ以上である場合、ステップS64以降の動作に進み、シンボル波形及び遅延量を含む通知パケットを生成して送信する。それ以外の動作は、第1の実施形態と同様であるため、図26〜図30を援用する。
次に、図32Aの状態から図32Bの状態にシステム構成が移行した場合、新たにシステムを構築する管理局2は、管理局1が送信したチャネル情報パケットを受信すると、応答パケットを生成し、応答区間に応答パケットを送信する(図37B:B−12)。管理局1は、応答区間の終了時刻までに通知された周辺局情報を元に、自局の送信パケットを中継送信できる管理局の数が1つであることを認識する。
第1の実施形態では、中継送信が可能な管理局が1つである場合、他の管理局に割り当てるシンボル波形及び遅延量を決定しない。しかし、第2の実施形態では、送信元管理局である管理局がパケットを再送信するため、中継送信が可能な管理局が1つであっても、中継送信時に複局同時送信することができる。従って、管理局1において、シンボル波形・遅延量決定部36は、管理局2の遅延量を基準タイミングから適度τだけずらしたタイミングT2に決定し、記録テーブル37に記録すると共に送信パケット処理部40に通知する。また、このとき、シンボル波形・遅延量決定部36は、自局に割り当てるシンボル波形及び遅延量も決定する。
そして、管理局1は、応答区間終了直後から管理局2のチャネル情報パケットが送信されるまでの区間において、決定したシンボル波形及び遅延量を含む通知パケットを管理局2に送信する(図37B:B−13)。この点が、第1の実施形態と相違する。本第2の実施形態では、図32Bの状態で既に図31Cの動作及び手順を行い、複局同時送信時に、各管理局がパケットに与えるべきシンボル波形及び遅延量を決定する。図37BのB−13以降の動作及び手順については、複局同時送信時に、自局に割り当てるシンボル波形及び遅延量をも決定し、その値も含んだ通知パケットを図37BのB−13、B−23で送信すること以外は、第1の実施形態の図31CのC−13以降の動作及び手順と同じであるため、詳細な説明は省略する。
次に、図32Bの状態から図32Cの状態にシステム構成が移行した場合についても、複局同時送信時の送信タイミングとして送信元管理局自身に割り当てるシンボル波形及び遅延量も決定すること以外は、第1の実施形態(図37C)と同様であるため、説明を省略する。
図38Aは、図32Bに示す位置関係にある管理局1及び2が、図37Bに示す手順でシンボル波形及び遅延量を設定した場合における記録テーブルの一例を示す図である。
管理局1及び2は、図38Aに示す記録テーブルを参照して、他局がパケットを中継送信する際にパケットに与えるべきシンボル波形及び遅延量を決定する。例えば、管理局1がパケットの送信元管理局である場合、管理局2は、管理局1から受信したパケットを中継送信する際に、シンボル波形W1で、基準タイミングT0に対してτだけ遅延させたタイミングT2で送信する。
図38Bは、図38Cに示す位置関係にある管理局1、2、及び9において、ブロードキャストパケットが管理局1から送信され、管理局2で中継されて管理局9に到達するまでのパケットの送信タイミングを示す図である。ここで、管理局1及び2は、図38Aの記録テーブルを保持しているものとする。
図38Bに示すように、管理局2は、管理局1から送信されてきたブロードキャストパケットを受信すると、第1の実施形態と同様の手順で送信開始タイミングを決定する。管理局1は、シンボル波形W1で、ブロードキャストパケットを送信したタイミングから所定時間T1後の基準タイミングT0を送信タイミングとして、ブロードキャストパケットを送信する。管理局1と管理局2とは、パスダイバーシチ効果が発揮できる適度な時間差τに比べて伝搬時間が無視できる程度近傍に位置している。よって、管理局9は、パスダイバーシチ効果が得られる適度な送信時間差τに極めて近い値の到来時間差で、2つの管理局から送信されたパケットを受信する。従って、管理局9は、パスダイバーシチ効果を最大限に得ることができる。
図39Aは、図36Bに示す位置関係にある管理局1〜4が、図37Cに示す手順によってシンボル波形及び遅延量を設定した場合における、記録テーブルの一例を示す図である。なお、本第2の実施形態においても、無線伝送システムは、パスダイバーシチ効果に寄与するシンボル波形毎の最大の有効ブランチ数が2で(タイミングT1、T2)、シンボル波形が2種(W1、W2)の計4組あるシステムとして説明する。
図39Bは、図36Bに示す位置関係にある管理局1〜4が、図39Aに示す記録テーブルに従って、ブロードキャストパケットを複局同時送信する際のタイミングを示す図である。
図39Bに示すように、ブロードキャストパケットの送信元である管理局1は、ブロードキャストパケットを送信したタイミングから所定時間T1後を基準タイミングT0とする。そして、管理局1は、基準タイミングT0を送信開始タイミングとし、シンボル波形W1を用いてブロードキャストパケットを送信する。管理局2は、管理局1から送信されてきたブロードキャストパケットを、基準タイミングT0から遅延量τだけ遅延させたタイミングを送信開始タイミングとして、シンボル波形W1を用いて送信する。管理局3は、基準タイミングT0を送信開始タイミングとし、シンボル波形W2を用いてブロードキャストパケットを送信する。管理局4は、基準タイミングT0から遅延量τだけ遅延させたタイミングを送信開始タイミングとし、シンボル波形W2を用いてブロードキャストパケットを送信する。
管理局1〜4は、パスダイバーシチ効果が発揮できる適度な時間差τに比べて伝搬時間が無視できる程近傍に位置しているので、4つの管理局から送信されたパケットは、どの2つをとっても、適度な時間差で管理局9に到来する。すなわち、同じシンボル波形に対しては、適度な遅延τだけずれたタイミングT1及びT2で受信側の無線局に到来し、同じタイミングの到来波ではシンボル波形が異なるので、4種類の組み合わせに相当する最大限のパスダイバーシチ効果を得ることができる。従って、管理局9は、パスダイバーシチ効果を最大限かつ確実に得ることができる。
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、複局同時送信可能な管理局として決定された各管理局は、自局のデータに与えるシンボル波形及び遅延量も決定し、送信元管理局がブロードキャストパケットを再送信する。よって、中継送信が可能な管理局が1つしかない場合であっても、適度な時間差を設けて複局同時送信することができ、パスダイバーシチ効果を最大限に、かつ、確実に得ることができる。また、中継送信が可能な管理局の数がパスダイバーシチ効果に寄与する最大の有効ブランチ数よりも少ない場合にも、第1の実施形態に係る無線伝送システムに比べて、大きなパスダイバーシチ効果を得ることができる。
なお、上記第2の実施形態では、互いに通信可能な管理局が4局の場合について述べたが、5局以上になった場合にも、図37Cに示したC−11〜C−13、C−21〜C−23、及びC−31〜C−33の手順を局数分繰り返すことにより、各管理局に対して複局同時送信時の適切な遅延量を確実に設定することができる。ただし、シンボル波形の種類で増倍された最大有効ブランチ数を越える管理局数の場合は、第1の実施形態のように、シンボル波形毎のタイミング(ここではT1、T2)の種類を超えて、間のタイミングの値を与えると、逆に、劣化を招くことがあるので、そのような場合は、シンボル波形と遅延量の組の中から重複して与えるのが良い。あるいは、複局同時送信が可能であると決定する無線局の数を増倍された最大有効ブランチ数以下にするのも良い。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る無線伝送システムは、中継伝送時に複局同時送信が可能な場合の送信元管理局が中継送信するパケットに与える遅延量を、予め基準タイミングT0から適度にずらした値に決めている点で、第2の実施形態と相違する。それ以外の、無線伝送システム及び管理局の構成、システム間におけるチャネル情報のネゴシエーションの手順は、第1及び第2の実施形態と同様である。
図40Aは、1つの無線システムが発生した図32Aのシステム構成から図32Bのシステム構成になるまでの第3の実施形態に係る管理局が行うネゴシエーションの手順の一例を示す図である。本第3の実施形態に係る管理局は、B−13及びB−23の区間において、通知パケットを送信しない点で、図37Bと相違する。
各管理局は、ブロードキャストパケットを他局によって中継送信させる際、自局(送信元管理局)がパケットを再送する時に、パケットに与えるシンボル波形及び遅延量を予め保持している。例えば、その各管理局は、自局がパケットの送信元管理局となる場合、送信元パケットの終わりから所定時間T1後の基準タイミングT0から遅延量τだけ遅延させた(送信元パケットの終わりから所定時間T2後)タイミングに、デフォルトのシンボル波形W1で再送信するか、又は基準タイミングT0でシンボル波形をW2に変えて送信する。従って、図40Aに示すように、その他局によって中継送信させようとする各管理局(ここでは管理局1)は、通知パケットを生成しない。
通知パケットを受信しない中継送信を担う管理局2は、ブロードキャストパケットを中継送信する際、ブロードキャストパケットに遅延量を与えない(すなわち基準タイミングT0)で、デフォルトのシンボル波形W1で送信する。つまり、管理局2は、予め定められた基準タイミングT0を中継送信時の送信開始タイミングとする。従って、管理局2がブロードキャストパケットを中継送信し、管理局1がパケットを再送信した場合、管理局9に到達するパケットには、各管理局が図32Cに示すように近傍した位置関係にある限り、τの到来時間差があるか、同タイミングで到来するがシンボル波形が異なるかになる。従って、到来タイミング又はシンボル波形が異なるので、管理局9は、パスダイバーシチ効果を最大限に発揮させてパケットを正常に受信することができる。
図40Bは、図32Bに示す位置関係にある管理局1及び2が、図40Aに示す手順によってシンボル波形及び遅延量を決定した場合における記録テーブルの一例を示す図である。管理局1及び2がブロードキャストパケットを再送信する際に、パケットに与えるべきシンボル波形及び遅延量は予め設定されている。従って、ブロードキャストパケットを中継送信可能な管理局が1つしかない場合、通知パケットを送信しなくても、図40Bに示す記録テーブルを各管理局が決定して保持することができる。
以上のように、本発明の第3の実施形態によれば、パケットの中継送信が可能な管理局が送信元を含む2つである場合、通知パケットを送信することなく、送信元の管理局が自局のパケットに与える遅延量を基準タイミングから適度にずらした値又は同じ基準タイミングだがシンボル波形を変えることにより、他の管理局にシンボル波形又は遅延量を与えることなく基準タイミングでデフォルトのシンボル波形で、送信元局と共に中継送信させる。従って、通知パケットを送受信するための区間を用意する必要がないため、第2の実施形態の方法に比べ、伝送効率の低下を抑えながら、パスダイバーシチ効果を確実に発揮させることができる。
なお、本第3の実施形態では、管理局の数が2つである場合について説明した。ここで、管理局の数が3つ以上である場合は、間のタイミングの値を与えると、逆に、劣化を招くことがあるので、増加した管理局は全て同じシンボル波形(デフォルト)と遅延量(タイミング)との組み合わせを有することで、本第3の実施形態は有用である。図41は、管理局が保持する記憶テーブルの一例を示す図である。この場合にも、各管理局は、他の管理局に通知パケットを送信することなく、各管理局がパケットに与えるシンボル波形及び遅延量を最適に決定することができる。従って、通知パケットを送受信するための区間を用意する必要がないため、第2の実施形態の方法に比べ、伝送効率の低下を抑えながら、パスダイバーシチ効果を確実に発揮させることができる。
なお、パスダイバーシチ効果を最大限に得るためには、送信元管理局以外の管理局も、適度に送信開始タイミングをずらす、又はシンボル波形を変える必要がある。この場合、第2の実施形態における図37Cの手順と同様に、通知パケットを送信し、例えば、図42に示す記録テーブルを各管理局に持たせることとすればよい。ただし、本第3の実施形態では、送信元管理局に割り当てられるシンボル波形及び遅延量は予めW2T1に定めているため、通知パケットは送信元管理局の遅延量を示すデータを含む必要がない。従って、第2の実施形態に比べ、通知パケット長を若干短くすることができる。よって、図37CのC−13やC−23に示す、通知パケットを送信するための区間を若干短くすることができる。従って、第2の実施形態に比べて、伝送効率の低下を抑えながら、パスダイバーシチ効果を最大限に得ることができる。
(第4の実施形態)
上記第1の実施形態において、チャネル情報パケットに対する応答パケットを受信するのは、チャネル情報パケットの送信元の管理局のみであった。これに対し、第4の実施形態では、チャネル情報パケットの送信元以外の管理局も、他の管理局が送信した応答パケットを受信する。それ以外の無線伝送システムの構成及び管理局のブロック構成、システム間のチャネル情報のネゴシエーション手順は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以下、図32A〜C及び図43A〜Cを参照して、本第4の実施形態に係る管理局1〜5がネゴシエーションを行って、複局同時送信時に各管理局がパケットに与えるシンボル波形と遅延量を決定する手順について、第1の実施形態との違いを中心に説明する。
図43A〜Cは、1つの無線伝送システムが発生してから、図1A及びBに示すシステム構成になるまでのネゴシエーションの手順の一例を示す図である。図43A〜Cは、図32A〜Cに対応しており、管理局におけるパケットの送受信タイミングを示す。
まず、図32A又はBに示すシステム構成である場合の管理局1〜5の動作は、第1の実施形態と同様である。
次に、図32Bの状態から図32Cの状態にシステム構成が移行した場合、新たにシステムを構築する管理局3は、管理局1から送信されてきたチャネル情報パケットを受信すると、応答パケットを生成し、ランダムなタイミングで送信する(図43C:C−11)。また、この応答区間において、管理局2も応答パケットを生成し、ランダムなタイミングで送信する。管理局4、5も同様に動作する。
管理局1は、管理局2〜5から送信されてきた応答パケットを受信する。また、この応答区間において、例えば、管理局2は、管理局3が送信した応答パケットを受信し、管理局3は、管理局2が送信した応答パケットを受信するように、各管理局は相互に応答パケットを受信する。これが、第1の実施形態との相違点である。
これにより、例えば、管理局2において、シンボル波形・遅延量決定部36は、管理局3からのチャネル情報パケットを受信することなく、管理局3を周辺管理局として認識することができる。また、管理局3においても同様に、管理局1のみならず管理局2も周辺管理局として記憶することができる。管理局4、5も加えて同様に動作することができる。
このように、管理局2〜5は、管理局1が送信したチャネル情報パケットに対して、他の管理局が送信した応答パケットを受信することにより、管理局1が送信したブロードキャストパケットを中継送信できる管理局の数が自局を含めて4つであることを認識する。そして、各管理局は、管理局1が送信元管理局となった場合に、各管理局に割り当てるシンボル波形及び遅延量を決定する。なお、各管理局は、同一の管理局に対して決定する遅延量が異なる値にならないようにするため、予め定めたシンボル波形・遅延量決定規則に従って、各管理局に割り当てるシンボル波形及び遅延量を決定する。
次に、管理局1及び3は、管理局2から送信されてきたチャネル情報パケットを受信する(図43C:C−21)。そして、図43CのC−12と同様の手順で、各管理局は、管理局2の送信パケットを中継送信する際のシンボル波形及び遅延量を決定し、記録テーブル37に記録する(図43C:C−22)。
このように、各管理局は、個々にシンボル波形及び遅延量を決定する。従って、第1の実施形態(図31C:C−13)のように、通知パケットを送信するための領域を用意する必要がないため、伝送効率の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、シンボル波形・遅延量決定規則として、応答区間の終了時刻までに通知された周辺局情報から得られる中継送信できる管理局の数と、パスダイバーシチ効果に寄与する最大の有効ブランチ数とに応じて予め定めた基準タイミングに対する複数の遅延量とシンボル波形との組の候補の内から、例えば、これらに順番を付けておき、応答パケットを先に送信した順に管理局に与えることとすれば良い。
例えば、パスダイバーシチ効果に寄与する最大有効ブランチ数が4つである場合、シンボル波形と遅延量の組として、W1T1、W1T2、W2T1、及びW2T2の4種類があるなら、応答パケットを先に送信した順番で管理局に与えることとする。このシンボル波形・遅延量決定規則に従えば、図43Cのように、管理局1のチャネル情報パケットに対して管理局2〜5が順に応答パケットを返し、管理局2のチャネル情報パケットに対して管理局1、3〜5が順に応答パケットを返し、管理局3のチャネル情報パケットに対して管理局1、2、4、5が順に応答パケットを返した場合、第1の実施形態の場合と同じく、図33Aの記録テーブルが各管理局で保持されることになる。なお、シンボル波形・遅延量決定規則として、これに限らず、例えば、応答パケットを先に送信した逆順に管理局に与えるようにしてもよいし、応答パケットを送信した管理局のID番号の順に管理局に与えるようにしてもよい。
なお、本第4の実施形態では、互いに通信可能な管理局が5つの場合について述べたが、5つ以上になった場合にも、図43Cに示したC−11〜C−13、C−21〜C−23、及びC−31〜C−33の手順を局数分繰り返すことにより、各管理局における複局同時送信時の適切なシンボル波形及び遅延量を確実に設定することができる。この場合、シンボル波形と遅延量との組W1T1、W1T2、W2T1、及びW2T2は、例えば、終わりまでいけば最初に戻って、繰り返し重複して与えれば良い。
なお、上記第1〜第4の実施形態において、ネゴ区間は、共通チャネル上に定期的に設けられるものとしたが、新たに管理局が発生する際や既存の管理局が消失する際にのみその管理局が既存の管理局に対してネゴシエーション要求を出して、設けられるものであってもよい。いずれにせよ、ネゴシエーションは管理局数が変化する際、すなわち複局数が変化する際には必ず行われるものであるため、本発明によれば、複局数が変化しても複局同時送信時にシンボル波形毎に適度な到来時間差のマルチパスを発生できるため、パスダイバーシチ効果を確実に発揮させることができる。
また、上記第1〜第4の実施形態において、共通チャネルは、予め1つのチャネルが定められているものとし、新たに発生した管理局は、まず共通チャネルを観測するものとして説明したが、共通チャネルは、予め1つのチャネルに定められている必要はない。例えば、最初に存在する管理局が、複数の通信チャネルのうちの1つを、後に発生する他の管理局とネゴシエーションするための共通チャネルとして専用に定めてもよいし、自局の端末との通信に使用する通信チャネルと共通チャネルを共用させてもよい。なお、その場合、管理局は、まず共通チャネルが複数の通信チャネルのうちのどのチャネルであるかを認識するためのチャネル探索を周辺管理局の探索と併せて行えばよい。
また、第1〜第4の実施形態では、基準タイミングT0は、管理局がブロードキャストパケットを受信完了したタイミングから所定時間T1の経過後のタイミングであるものとして説明した。ここで、管理局が、パケットに含まれるユニークワードを検出したタイミングから所定時間T1の経過後を基準タイミングT0としてもよい。また、管理局間の同期をとるためのビーコン信号を用いて、ビーコン信号を受信完了したタイミングから所定時間経過後を基準タイミングとしてもよい。又は、各管理局が電波時計から得られる時刻情報等から基準タイミングを得てもよいし、各管理局がGPS(Global Positioning System)を有し、GPS信号に含まれる時刻情報から基準タイミングを得てもよい。
また、第1〜第4の実施形態では、複局同時送信を行う各管理局が保持する記録テーブル37には、図33A、図39A、及び図42に示すように、全ての管理局に割り当てられたシンボル波形及び遅延量が記録されていた。ここで、各管理局は、自局に割り当てられたシンボル波形及び遅延量のみを記録テーブルに記録することとしてもよい。これにより、記録テーブルを格納するために必要なメモリの容量を小さくすることができる。従って、複局同時送信可能な局数が増加した場合であっても、記録テーブルを格納するために必要なメモリの容量の増加を抑制することができる。
なお、管理局のメモリ容量に余裕がある場合、記録テーブルとして、第1〜第4の実施形態で記録テーブルの一例として挙げたように、図33A、図39A、及び図42のような全ての管理局のシンボル波形及び遅延量を記録した同一の記録テーブルを各管理局に持たせることが望ましい。なぜなら、無線システムを構成する管理局の数が図44Aから図44Bに示すように減少した場合でも、残存する管理局のシンボル波形・タイミング変更規則を予め決めておけば、第1〜第3の実施形態で説明した通知パケットの伝送を行わずに各管理局の送信タイミングを適切に決めることができるので、通知パケットを送るための領域を必要とせずに、伝送効率の低下を抑えながら、最大限のパスダイバーシチ効果を確実に発揮させることができるからである。このことについて以下説明する。
図44Aに示す5つの管理局が存在するシステム構成から管理局が1つ減り、図44Bに示すシステム構成となった場合を例に説明する。なお、図44A及びBのシステムにおいて、これまでと同様、シンボル波形の種類で増倍された最大の有効ブランチ数は4つである場合を例に説明する。また、図44Aのシステム構成時に、各管理局は、第1の実施形態の図33Aと同様の、図45Aに示す記録テーブルを保持しているものとする。
このシステムにおいて、管理局数が減少した時のシンボル波形・タイミング変更規則を、例えば次のように予め決めておく。
(1)システムに残存する管理局数が、パスダイバーシチ効果に寄与し得るシンボル波形で増倍された有効なブランチの最大数(以下、最大許容数と略す)以上の場合
システムから消失した管理局と同一のシンボル波形と遅延量との組み合わせが割り当てられた管理局が存在する場合、各管理局に割り当てたシンボル波形及び遅延量を変更しない。
システムから消失した管理局と同一のシンボル波形と遅延量との組み合わせが割り当てられた管理局が存在しない場合、システムに残存する管理局のうち、同一のシンボル波形と遅延量との組み合わせが割り当てられた複数の管理局が存在する。従って、同一の組み合わせが割り当てられた管理局のうち、管理局IDが大きい管理局に割り当てるシンボル波形及び遅延量を、システムから消失した管理局に割り当てられていたシンボル波形及び遅延量に変更する。
(2)システムに残存する管理局数が、最大許容数未満の場合
システムに残存する管理局のうち、同一のシンボル波形と遅延量との組み合わせが割り当てられた複数の管理局が存在する場合、同一の組み合わせが割り当てられた複数の管理局のうち、例えば管理局IDが大きい管理局に割り当てるシンボル波形と遅延量との組み合わせを、システムから消失した管理局に割り当てられていたシンボル波形と遅延量との組み合わせに変更する。
システムに残存する管理局のうち、同一のシンボル波形と遅延量との組み合わせが割り当てられている管理局が存在しない場合、各管理局に割り当てたシンボル波形及び遅延量を変更しない。
上記規則(1)及び(2)に従えば、例えば、図44Aから図44Bのように管理局数が5つから4つに減少した場合でも、各管理局が独立して同じ記録テーブルを、例えば管理局3が消失して減少した場合は図45Aから図45Bのように変更することができる。
なお、上記のように、闇雲に複局数が増えることを制限し、例えば、管理局の数が最大許容数より多い場合、最大許容数に等しい複局数で送信させることとしたシステムでは、次のように管理局数が減少した際のタイミング変更規則を予め決めておく。
(3)システムに残存する管理局数が、最大許容数以上の場合
システムに残存する管理局のうち、複局同時送信能力を持ちながらそれまで複局同時送信に参加していなかった管理局の中で、例えば最も管理局IDの大きい管理局に割り当てるシンボル波形と遅延量との組み合わせを、減少した管理局のうち最も管理局IDの大きい管理局に割り当てられていたシンボル波形と遅延量との組み合わせに変更する。
上記規則(3)に従えば、例えば、図44Aに示すシステム構成である各管理局が、図45Aに示す記録テーブルを保持している場合、図44Bに示すように、管理局の数が5つから4つに減少しても、各管理局が独立して自局が保持する記録テーブルを変更することができる。
図46は、管理局3が消失した場合の記録テーブルの一例を示す図である。図45Aで「−」で示された複局同時送信に参加していなかった管理局は、消失欠損した組み合わせを補うことで、図46ではなくなり、4つの管理局で4種類全てのシンボル波形と遅延量との組み合わせを用いて複局同時送信されるようになる。
このように、各管理局は、複局同時送信できる全ての管理局のシンボル波形と遅延量とを記憶する記録テーブルを保持し、複局数等の複局状況が変化した際のシンボル波形と送信タイミングの組み合わせの変更手順を予め決めておく。これにより、初期のネゴシエーション時の組み合わせ設定手順に比べ、複局状況が変化した場合であっても、簡素な手順で複局同時送信を行い得る管理局のシンボル波形及び遅延量を再設定することができる。従って、伝送効率の低下を抑えながら、最大限のパスダイバーシチ効果を確実に発揮させることができる。
また、本実施形態では、チャネル情報パケットの送信を、無線伝送システムに存在する管理局数分繰り返すことによって、複局同時送信する際のシンボル波形及び遅延量を決定していた。ここで、最初に送信されたチャネル情報パケットと、当該チャネル情報パケットに対して送信される応答パケットとの数に基づいてシンボル波形及び遅延量を決定することとしてもよい。
図47は、一度のチャネル情報パケットの送信によって、各管理局が複局同時送信時にパケットに与えるべきシンボル波形及び遅延量を決定する際の管理局1〜3の動作を示すシーケンス図である。管理局2及び3は、管理局1が送信したチャネル情報パケットを受信すると、応答パケットを生成して送信する。管理局1は、管理局2及び3が送信した応答パケットを受信する。また、管理局2は、管理局3が送信した応答パケットを受信し、管理局3は、管理局2が送信した応答パケットを受信する。管理局1〜3は、受信したチャネル情報パケット及び応答パケットの合計数がブロードキャストパケットを中継送信する際に、複局同時送信できる管理局数であると判断する。そして、管理局1〜3は、上述した所定の規則に従い、自局が複局同時送信する際に、パケットに与えるべきシンボル波形及び遅延量を決定する。このように、一度のチャネルパケットの送信で、各管理局がシンボル波形及び遅延量を決定することとすれば、シンボル波形及び遅延量を決定するための手順をより簡易なものとすることができる。
なお、図5の無線局1の構成において、遅延量を制御するには、変調部21の後ろで遅延を挿入したり、様々な方法及び構成が考え得るが、無線局が基準タイミングから所定の遅延量を付加してデータを送信する方法であれば、以上説明した例に限られない。
また、第1〜第4の実施形態における無線伝送システムでは、以下の点が共通する。無線伝送システムは、データを無線によって複局同時送信することができる。また、無線伝送システムは、データを送受信するための複数の無線局を備えている。また、無線伝送システムは、送信側の無線局とマルチパス伝送路と受信側の無線局とによってパスダイバーシチのためのシステムを構成している。この複数の無線局の内、少なくとも1つの無線局は、自局又は他局が送信する複局同時送信要求パケットに対する応答パケットに応じて、無線伝送システムにおいて複局同時送信が行われる際の、シンボル波形と、基準タイミングからの複数の遅延量とを決定する。複数の遅延量において、各遅延量の差は、シンボル波形毎に所定の遅延分解能以上に設定されている。複数の遅延量の内、シンボル波形毎に最大値と最小値との差は、所定の遅延上限以下に設定されている。
また、上記第1〜第4の実施形態では、複局同時送信を行う無線局を管理局として説明したが、対等分散型システムにおいて端末と管理局の区別なく、無線局が上述の方法によりシンボル波形及び遅延量を決定することももちろん可能である。
なお、第1〜第4の実施形態で説明したシンボル波形・遅延量決定部や送信タイミング制御部等の無線局が備える各機能ブロックは、典型的には、集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、第1〜第4の実施形態で説明した動作を実現することができるのであれば、図面に示した機能ブロック以外の機能ブロック及び/又は手段によって、本発明の無線局を構成してもよいことは言うまでもない。
本発明は、近接して配置されている複数の無線局が同一データを伝送する複局同時送信システムにおいて、無線局の位置関係や、データを複局同時送信する無線局数が変化しても、パスダイバーシチ効果を最大限に、かつ、確実に得ることができ、無線通信等の分野に有用である。
第1〜第4の実施形態に係る無線伝送システム構成例を示す図 第1〜第4の実施形態に係る無線伝送システム構成例を示す図 第1〜第4の実施形態で送信されるパケットの構成例を示す図 第1の実施形態に係るマルチホップ伝送方法を示す図 第1の実施形態に係るマルチホップ伝送方法を示す図 図3Aの端末局10−1が送信するパケットの構成を示す図 図3Aの管理局1が送信するパケットの構成を示す図 図3Aの管理局2及び3が送信するパケットの構成を示す図 管理局1の機能的な構成例を示すブロック図 変調部21の構成を示すブロック図 本発明の無線伝送システムの差動符号化規則の一例及び信号空間ダイアグラムを示す図 変調部21の各ブロックの内部構成例を示す図 変調部21が記憶するシンボル波形の位相遷移の一例を示す模式図 図5の復調部33の詳細な構成例を示す図 受信局の到来信号A及びBの位相をシンボル毎に示した模式図 到来信号Aと到来信号Bとの位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図 到来信号A及びB間の位相関係をベクトルで表した図 到来信号A及びB間の位相遷移をベクトルで表した図 伝搬路の遅延分散性が無視できる場合に受信局で受信された到来信号A及びBの位相関係を示した模式図 図15の到来信号A及びBの低域通過フィルタ1810及び1811通過後の検波出力を示す図 2つの送信アンテナを用いた2波到来モデルの概念図 送信信号Aの直接波と遅延波との位相変化をシンボル毎に示した模式図 送信信号Bの直接波と遅延波との位相変化をシンボル毎に示した模式図 送信信号A及びBの直接波及び遅延波について、各々の搬送波の受信点での位相関係を示した図 送信信号Aの直接波と遅延波との位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図 送信信号Bの直接波と遅延波との位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図 送信信号Aの直接波と遅延波との位相遷移をベクトルで表した模式図 送信信号Bの直接波と遅延波との位相遷移をベクトルで表した模式図 全ての到来波の位相遷移をベクトルで表した模式図 本発明の伝送方法によるビット誤り率と遅延量τとの関係を模式的に示した図 管理局1〜3が行う動作の概要を示すシーケンス図 既存周辺管理局探索モード時の管理局1の動作フローチャート 周辺管理局探索モード終了後の管理局1の動作フローチャート 既存周辺管理局の数が応答パケットの送信回数よりも多い場合における管理局1の動作フローチャート 後発周辺管理局の数が応答パケットの送信回数よりも多い場合における管理局1の動作フローチャート 通知パケットを受信した管理局2の動作フローチャート 各管理局に割り当てるべきシンボル波形及び遅延量が決定した後における、パケット受信時の管理局1の動作フローチャート 第1の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 第1の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 第1の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 図31Aに対応した無線伝送システムの構成図 図31Bに対応した無線伝送システムの構成図 図31Cに対応した無線伝送システムの構成図 第1の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第1の実施形態における複局同時送信タイミングの一例を示す図 第1の実施形態における複局同時送信タイミングの一例を示す図 応答パケット衝突時のパケットの送受信タイミングを示す図 第1の実施形態の変形例に係る管理局1の動作フローチャート 第2の実施形態に係るマルチホップ伝送方法を示す図 第2の実施形態に係るマルチホップ伝送方法を示す図 第2の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 第2の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 第2の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 第2の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第2の実施形態における複局同時送信タイミングの一例を示す図 第2の実施形態における複局同時送信の様子を示す図 第2の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第2の実施形態における複局同時送信タイミングの一例を示す図 第3の実施形態における複局同時送信タイミングの一例を示す図 第3の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第3の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第3の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第4の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 第4の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 第4の実施形態の管理局が行うネゴシエーション手順の一例を示す図 第4の実施形態に係る無線伝送システム構成の移行例を示す図 第4の実施形態に係る無線伝送システム構成の移行例を示す図 第4の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第4の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第4の実施形態の管理局が保持する記録テーブルの構成例を示す図 第4の実施形態の管理局が行う動作の概要を示すシーケンス図 特許文献1に記載の従来の複局同時送信システムの構成を示す図 特許文献1に記載の従来の複局同時送信システムの構成を示す図 従来のシンボル波形の位相遷移を示す概略図 特許文献2に記載の伝送信号生成回路の構成を示す図 遅延を伴う場合の到来信号A及びBの位相関係を示す概略図 従来の伝送システムの構成を示す模式図 特許文献2に記載の従来の無線伝送システムの構成を示す図 図53の各無線局が伝送するパケットの送信タイミングを模式的に示す図 従来技術を用いてマルチホップシステムで複局同時送信した時の課題を説明する図 従来のマルチホップシステムで複局同時送信した時の課題を説明する図 従来のマルチホップシステムで複局同時送信した時の課題を説明する図 従来のマルチホップシステムで複局同時送信した時の課題を説明する図 従来のマルチホップシステムで複局同時送信した時の課題を説明する図 従来の変調方式において到来信号の位相関係が逆相の場合を示した模式図 従来の伝送方法によるビット誤り率と遅延量τとの関係を模式的に示す図 QPSK−VP方式を用いた場合における2波の到来時間差に対するビット誤り率特性を示す図 QPSK−VP方式における2遅延波と3遅延波の場合のビット誤り率特性を示す図 図60における2遅延波と3遅延波の時間関係を示す図
符号の説明
1〜5、9 管理局
10−1、10−n、20−1、20−n、30−1、30−n 端末局
17−1〜17−6 無線局
21 変調部
22 読み出し制御部
23 波形記憶部
24、1808、1809 D/A変換器
31 アンテナ
32 RF部
33 復調部
34 パケット判定部
35 自局パケット処理部
36 シンボル波形・遅延量決定部
37 記録テーブル
38 送信タイミング制御部
40 送信パケット処理部
42 テーブル格納部
700 伝送信号生成回路
701 差動符号化回路
702 波形発生回路
703、1801 発振器
704 直交変調器
901、1601 遅延器
902、903 レベル調整器
904、905 空中線
1602、1603 乗算器
1604、1605 移相器
1606、1607、1810、1811 低域通過フィルタ
1802 L分周器
1803、1804 カウンタ
1805、1806 シフトレジスタ

Claims (36)

  1. 複数の無線局と、無線局間に形成されるマルチパス伝送路とによってパスダイバーシチのためのシステムを構成し、データを無線によって複局同時送信することができる無線伝送システムであって、
    前記複数の無線局は、
    自局又は他局が送信する複局同時送信を要求する複局同時送信要求パケットに対する応答パケットを受信し、当該応答パケットの受信から得られる周辺局情報に基づいて、複局同時送信される送信信号に用いられるシンボル波形と基準タイミングからの遅延量とを組とする複数の組み合わせを決定する少なくとも1つの無線局と、
    前記少なくとも1つの無線局で決定された前記複数の組み合わせ用いて複局同時送信される送信信号を受信する宛先の無線局とを含む、無線伝送システム。
  2. 前記少なくとも1つの無線局は、前記シンボル波形が同一かつ前記遅延量が異なる2つ以上の組み合わせについて、相互の遅延量の差を所定の遅延分解能以上に設定し、遅延量の最大値と最小値との差を所定の遅延上限以下に設定する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  3. 前記所定の遅延分解能及び前記所定の遅延上限は、それぞれ、前記宛先の無線局が複数の遅延波をパスダイバーシチ受信することができる値である、請求項2に記載の無線伝送システム。
  4. 前記複数の無線局は、各々の通信エリア内に存在する少なくとも1つの端末局を管理する機能を持つ複数の管理局を含み、
    前記複数の管理局は、それぞれ、通信に先立って通信可能な状態を確立するためのネゴシエーションパケットとして、前記複局同時送信要求パケット及び前記応答パケットを送受信する送受信部を備え、
    前記少なくとも1つの無線局は、複局同時送信する管理局に対してデータを送信する送信元の管理局であり、前記応答パケットを受信することで複局同時送信可能な管理局を認識し、当該認識した管理局によって送信信号が複局同時送信される際に用いられる前記組み合わせを、当該認識した管理局の数に応じて決定するシンボル波形・遅延量決定部を備える、請求項1に記載の無線伝送システム。
  5. 前記複数の無線局は、各々の通信エリア内に存在する少なくとも1つの端末局を管理する機能を持つ複数の管理局を含み、
    前記複数の管理局は、それぞれ、通信に先立って通信可能な状態を確立するためのネゴシエーションパケットとして、前記複局同時送信要求パケット及び前記応答パケットを送受信する送受信部を備え、
    前記少なくとも1つの無線局は、前記ネゴシエーションパケットに基づいて複局同時送信可能となった管理局であり、前記応答パケットの受信によって認識される複局同時送信可能な管理局の数に応じて自局が送信信号を複局同時送信する際に用いる前記組み合わせを決定するシンボル波形・遅延量決定部を備える、請求項1に記載の無線伝送システム。
  6. 前記無線伝送システムは、送信元の無線局からの送信信号を、他の無線局に中継させて前記宛先の無線局に伝送するシステムであり、
    前記複数の無線局は、それぞれ、
    複局同時送信すべき送信信号があれば前記複局同時送信要求パケットを他の無線局に送信し、前記複局同時送信要求パケットを受信すれば前記応答パケットを送信する送信部と、
    前記応答パケットを受信する受信部と、
    記応答パケットを受信することで複局同時送信が可能な中継局を決定し、当該決定した中継局によって送信信号が複局同時送信される際に用いられる前記組み合わせを、当該決定した中継局の数に応じて決定するシンボル波形・遅延量決定部とを含む、請求項1に記載の無線伝送システム。
  7. 前記複数の無線局の各送信部は、自局が前記送信元の無線局である場合、前記中継局のいずれかから前記宛先の無線局から前記応答パケットを受信した旨の通知を受信するか、又は前記宛先の無線局から前記応答パケットを直接受信した場合、中継伝送を取りやめることを前記中継局に通知する、請求項6に記載の無線伝送システム。
  8. 前記複数の無線局は、それぞれ、前記送信元の無線局からの前記複局同時送信要求パケットの受信に応じて、自局が前記送信元の無線局から送信される送信信号を中継することができるか否かを判断する中継可否判断部をさらに含み、
    前記複数の無線局の各送信部は、前記応答パケットに前記中継可否判断部の判断結果を含めて送信する、請求項6に記載の無線伝送システム。
  9. 前記複数の無線局は、それぞれ、前記送信元の無線局からの前記複局同時送信要求パケットの受信に応じて、自局が前記送信元の無線局から送信される送信信号を中継することができるか否かを判断する中継可否判断部をさらに含み、
    前記複数の無線局の各送信部は、前記中継可否判断部によって中継送信可能であると判断された場合に、前記応答パケットを送信する、請求項6に記載の無線伝送システム。
  10. 前記複数の無線局の送受信部は、それぞれ、前記複局同時送信要求パケットに対する前記他の無線局が送信した前記応答パケットを最大有効ブランチ数よりも多く受信すれば、前記応答パケットを送信しない、請求項6に記載の無線伝送システム。
  11. 前記複局同時送信要求パケットは、前記複数の無線局が使用する通信チャネルに関するチャネル情報パケットである、請求項1に記載の無線伝送システム。
  12. 前記複局同時送信要求パケットは、複局同時送信の可否に関わらず送信される送信要求パケットRTS(Request To Send)であり、
    前記応答パケットは、前記送信要求パケットRTSに対する応答パケットCTS(Clear To Send)である、請求項1に記載の無線伝送システム。
  13. 前記複局同時送信要求パケットは、前記複局同時送信すべき送信信号の全部又は一部である、請求項1に記載の無線伝送システム。
  14. 前記少なくとも1つの無線局は、複局同時送信可能な無線局の数に応じて、前記複数の組み合わせを決定する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  15. 前記少なくとも1つの無線局は、複局同時送信可能な無線局に対して、前記複数の組み合わせの少なくとも1つを通知する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  16. 前記送信元の無線局は、前記複数の組み合わせの内、自局に割り当てられている組み合わせに基づいて前記送信信号を再送信する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  17. 前記複数の組み合わせの内、前記送信信号を複局同時送信可能な無線局に送信する送信元の無線局に対して前記送信信号を再送信する際に割り当てるべき組み合わせは、前記送信元の無線局によって決定され、
    前記送信元の無線局は、自局以外の複局同時送信が可能な無線局の組み合わせを所定の組とし、前記送信信号を割り当てられた組み合わせに基づいて再送信する、請求項16に記載の無線伝送システム。
  18. 前記少なくとも1つの無線局は、前記応答パケットを受信した順に前記複数の組み合わせを決定する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  19. 前記少なくとも1つの無線局は、複局同時送信が可能な無線局の数を最大有効ブランチ数以下に決定する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  20. 前記少なくとも1つの無線局は、複局同時送信が可能な無線局の数が最大有効ブランチ数よりも多い場合、前記複数の組み合わせの数を最大有効ブランチ数以下に決定する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  21. 複局同時送信する無線局は、
    前記少なくとも1つの無線局によって決定された前記複数の組み合わせを記録するための記録テーブルを格納する格納部を含み、
    前記記録テーブルを参照して、自局に割り当てられている組み合わせに応じて、前記複局同時送信すべき送信信号を送信する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  22. 前記記録テーブルには、自局に割り当てられた組み合わせのみが記録されている、請求項21に記載の無線伝送システム。
  23. 前記記録テーブルには、複局同時送信する全ての無線局に割り当てられた組み合わせが記録されている、請求項21に記載の無線伝送システム。
  24. 前記少なくとも1つの無線局は、所定のシンボル数だけ離れた任意の2つのシンボルのシンボル波形が、送信信号にかかわらず同一であり、かつ、当該任意の2つのシンボルの位相差が、送信信号に基づいて決定される前記送信信号を生成する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  25. 前記少なくとも1つの無線局は、前記所定のシンボル数を1として、前記送信信号を生成する、請求項24に記載の無線伝送システム。
  26. 前記少なくとも1つの無線局は、前記位相差に、2πを2の累乗の数で均等に分割した角度のいずれかを用いる、請求項24に記載の無線伝送システム。
  27. 前記宛先の無線局は、遅延検波によって前記検波信号を得る、請求項1に記載の無線伝送システム。
  28. 前記少なくとも1つの無線局は、1シンボル期間において、位相が時間方向に増加し、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第1シンボル波形と、位相が時間方向に減少し、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第2シンボル波形とを、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含む、請求項1に記載の無線伝送システム。
  29. 前記少なくとも1つの無線局は、1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が減少し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が増加する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含む、請求項1に記載の無線伝送システム。
  30. 前記少なくとも1つの無線局は、1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が増加し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が減少する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形とを、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含む、請求項1に記載の無線伝送システム。
  31. 前記少なくとも1つの無線局は、1シンボル期間の全てで位相の時間変化量が減少する位相遷移を有する第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含む、請求項1に記載の無線伝送システム。
  32. 前記少なくとも1つの無線局は、1シンボル期間において、位相が時間方向に増加した後減少に転じ、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第1シンボル波形と、位相が時間方向に減少した後増加に転じ、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第2シンボル波形とを、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含む、請求項1に記載の無線伝送システム。
  33. 前記少なくとも1つの無線局は、1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が減少し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が増加する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含む、請求項1に記載の無線伝送システム。
  34. 前記少なくとも1つの無線局は、前記所定点を1シンボル期間の中心点とし、中心点以前の位相と中心点以後の位相とが対称的に変化する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含む、請求項1に記載の無線伝送システム。
  35. 複数の無線局と、無線局間に形成されるマルチパス伝送路とによってパスダイバーシチのためのシステムを構成し、データを無線によって複局同時送信することができる無線伝送システムに用いられる無線局であって、
    自局又は他局が送信する複局同時送信を要求する複局同時送信要求パケットに対する応答パケットを受信する応答パケット受信部と、
    複局同時送信される送信信号に用いられるシンボル波形と基準タイミングからの遅延量とを組とする複数の組み合わせを、前記応答パケット受信部における前記応答パケットの受信に応じて、同じ前記シンボル波形の組同士の各遅延量の差が所定の遅延分解能以上になり、かつ、複数の前記遅延量の内の最大値と最小値との差が所定の遅延上限以下になるように、決定するシンボル波形・遅延量決定部とを備える、無線局。
  36. 複数の無線局と、無線局間に形成されるマルチパス伝送路とによってパスダイバーシチのためのシステムを構成し、データを無線によって複局同時送信することができる無線伝送システムに用いられる無線局が行う方法であって、
    自局又は他局が送信する複局同時送信を要求する複局同時送信要求パケットに対する応答パケットを受信する応答パケット受信ステップと、
    複局同時送信される送信信号に用いられるシンボル波形と基準タイミングからの遅延量とを組とする複数の組み合わせを、前記応答パケット受信ステップにおける前記応答パケットの受信に応じて、同じ前記シンボル波形の組同士の各遅延量の差が所定の遅延分解能以上になり、かつ、複数の前記遅延量の内の最大値と最小値との差が所定の遅延上限以下になるように、決定するステップとを備える、方法。
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