JP4920662B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
また、鍋放射率を固定値とし、赤外線センサが受光した赤外線量に基づいて算出された鍋の側面温度と、サーミスタによって検出された鍋の底面温度の高い方を採用することによって、同じ材質でもその表面状態によって放射率が異なる鍋においても、正確な温度検出が可能となる。
さらに、非鏡面の塗装鍋等の放射率が高い鍋については、赤外線センサによって受光した赤外線量に基づいて算出された鍋の側面温度が採用されることで、サーミスタに比べて応答遅れがなく、正確な温度検出が可能となる。
また、鏡面鍋等の放射率が低い鍋については、サーミスタによって検出された鍋底面温度が採用されることで、従来と同じ精度で温度検出が可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の概略構成図である。
実施の形態1に係る誘導加熱調理器において、被加熱物である鍋1は、トッププレート3の上に載置されている。そのトッププレート3を介して鍋1を加熱する加熱コイル4は、トッププレート3の下方に設けられている。その加熱コイル4は、駆動回路6に接続されており、その駆動回路6は制御回路8に接続されている。
使用者は、被加熱物である鍋1をトッププレート3の上に載置する。その後、使用者は、誘導加熱調理器本体に設置されている操作パネル(図示せず)を操作することによって、その操作情報が制御回路8に出力される。その操作情報を入力した制御回路8は、駆動回路6に加熱指令を出力する。その加熱指令を入力した駆動回路6は、加熱コイル4に高周波電流を流し、その加熱コイル4によって鍋1の加熱が開始される。そして、鍋1の加熱が開始されると、トッププレート3の下方に設置されているサーミスタ5は、そのトッププレート3を介して鍋底面温度を検出し、その鍋底面温度情報を制御回路8に出力する。また、トッププレート3の上側に設置されている赤外線センサ2は、鍋1の側面から放射される赤外線を受光し、その赤外線量を温度算出部7に出力する。そして、温度算出部7は、入力した赤外線量に基づいて鍋側面温度を算出し、その鍋側面温度情報を制御回路8に出力する。制御回路8は、入力した鍋底面温度情報及び鍋側面温度情報に基づいて、鍋1に対する加熱制御を実施する。
駆動回路6が、制御回路8から出力された加熱指令に従って、加熱コイル4に高周波電流を流すことによって、鍋1への誘導加熱が開始されると、温度算出部7は、赤外線センサ2が受光した鍋1の側面から放射される赤外線量P及びその赤外線センサ2に内蔵された温度センサによって検出された赤外線センサ2自体の温度Toを読み込む(ステップS11)。鍋1の赤外線放射率(以下、鍋放射率という)をε、ステファン・ボルツマン定数をσ、そして、鍋側面温度をTaとすると、赤外線量P=σ(εTa^4−εTo^4)となる。この式に基づいて、温度算出部7は、鍋側面温度Taを算出し、その鍋側面温度Taを制御回路8に出力する(ステップS12)。図3で示されるように、ラッカー及びペンキの放射率は0.92〜0.97である。鉄鍋は塗装が施されているため、放射率はラッカー又はペンキと同じ値をとる。それを踏まえてステップS12においては、鍋放射率εを0.94の固定値として鍋側面温度Taを算出する。そして、サーミスタ5によって検出される鍋底面温度Tbを読み込む(ステップS13)。
また、鍋放射率εを0.94の固定値とし、赤外線センサ2が受光した赤外線量Pに基づいて温度算出部7によって算出された鍋側面温度Taと、サーミスタ5によって検出された鍋底面温度Tbの高い方を採用することによって、同じ材質でもその表面状態によって放射率が異なる鍋においても、正確な温度検出が可能となる。
さらに、非鏡面の塗装鍋等の鍋放射率εが高い鍋1については、赤外線センサ2によって受光した赤外線量Pに基づいて温度算出部7によって算出された鍋側面温度Taが採用されることで、サーミスタ5に比べて応答遅れがない正確な温度検出が可能となる。
また、鏡面鍋等の鍋放射率εが低い鍋1については、サーミスタ5によって検出された鍋底面温度Tbが採用されることで、従来と同じ精度で温度検出が可能となる。
図4は、本発明の実施の形態2に係る誘導加熱調理器の概略構成図である。以下、前述の実施の形態1のものとは相違する構成及び動作について説明する。
図1で示される実施の形態1に係る誘導加熱調理器に対して、図4で示される実施の形態2に係る誘導加熱調理器においては、10〜13が新たに加えられている。交流電源10と駆動回路6との間に、駆動回路6の入力電流を検出する電流センサ11、及び、その入力電圧を検出する電圧センサ12が接続されている。その電流センサ11及び電圧センサ12は、制御回路8に接続されており、それぞれ、駆動回路6に対する入力電流及び入力電圧情報を制御回路8に出力する。また、駆動回路6と加熱コイル4との間に、駆動回路6の出力電流であって加熱コイル4に流れる高周波電流を検出する電流センサ13が接続されている。その電流センサ13は、制御回路8に接続されており、加熱コイル4に流れる高周波数電流情報を制御回路8に出力する。
駆動回路6が、制御回路8から出力された加熱指令に従って、加熱コイル4に高周波電流を流すことによって、鍋1への誘導加熱が開始されると、制御回路8は、電流センサ11及び電圧センサ12によって検出された駆動回路6の入力電流及び入力電圧を読み込み、入力電力Wを演算する(ステップS21)。そして、電流センサ13によって検出された駆動回路6の出力電流である加熱コイル電流Icを読み込む(ステップS22)。ここで、入力電力W及び加熱コイル電流Icに基づいて、加熱コイル4側から見た鍋インピーダンスZを演算する(ステップS23)。さらに、温度算出部7は、赤外線センサ2が受光した鍋1の側面から放射される赤外線量P及びその赤外線センサ2に内蔵された温度センサによって検出された赤外線センサ2自体の温度Toを読み込む(ステップS24)。
また、塗装が施されて、放射率が高くなったステンレス材の鍋がトッププレート3に載置された場合は、鍋側面温度Taは実際の温度より高くなるが、鍋底面温度Tbよりも所定値β以上高くなった場合は、鍋底面温度Tbを採用するため、従来と同じ精度で温度検出が可能となる。
図6は、本発明の実施の形態3に係る誘導加熱調理器の温度制御動作を示すフローチャート図である。実施の形態3に係る誘導加熱調理器の構成は、図4で示される実施の形態2に係る誘導加熱調理器と同様である。以下、図4及び図6を参照しながら実施の形態3に係る誘導加熱調理器の温度制御動作について説明する。
駆動回路6が、制御回路8から出力された加熱指令に従って、加熱コイル4に高周波電流を流すことによって、鍋1への誘導加熱が開始されると、所定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS41)。そして、所定時間経過していれば、ステップS42〜ステップS59を実施する。すなわち、ステップS42〜ステップS59は所定時間ごとに実施される。前述の所定時間経過後、まず、前回演算した駆動回路6の入力電力積算値Wtを前回入力電力積算値Wtoldとして記憶する(ステップS42)。なお、鍋1への誘導加熱の開始後、初めてステップS42を実施する場合は、前回入力電力積算値Wtoldにはゼロが記憶される。そして、電流センサ11及び電圧センサ12によって検出された駆動回路6の入力電圧及び入力電流を読み込み、新たな入力電力Wを演算し、この入力電力Wに、ステップS41における所定時間を乗じて入力電力積算値Wtを演算する(ステップS43)。
また、サーミスタ5の異常を検知して加熱コイル4の通電を止めることによって鍋1が異常に加熱されるのを防止できる。
図8は、本発明の実施の形態4に係る誘導加熱調理器の温度制御動作を示すフローチャート図である。実施の形態4に係る誘導加熱調理器の構成は、図1で示される実施の形態1に係る誘導加熱調理器と同様である。以下、図1及び図8を参照しながら実施の形態4に係る誘導加熱調理器の温度制御動作について説明する。
駆動回路6が、制御回路8から出力された加熱指令に従って、加熱コイル4に高周波電流を流すことによって、鍋1への誘導加熱が開始されると、温度算出部7は、赤外線センサ2が受光した赤外線量P及びその赤外線センサ2に内蔵された温度センサによって検出された赤外線センサ2自体の温度Toを読み込む(ステップS61)。そして、温度算出部7は、鍋放射率εを0.94の固定値として鍋側面温度TaHを算出し、その鍋側面温度TaHを制御回路8に出力する(ステップS62)。さらに、温度算出部7は、鍋放射率εを0.16の固定値として鍋側面温度TaLを算出し、その鍋側面温度TaLを制御回路8に出力する(ステップS63)。そして、サーミスタ5によって検出される鍋底面温度Tbを読み込む(ステップS64)。
Claims (5)
- 鍋を載置するトッププレートと、
該トッププレートの下方に設けられ、前記鍋を加熱する加熱コイルと、
交流電圧を高周波電圧に変換して前記加熱コイルに高周波電流を流す駆動回路と、
前記駆動回路の入力又は出力電力を測定する駆動回路電力測定手段と、
前記加熱コイルの電流を測定する加熱コイル電流測定手段と、
前記トッププレートの下方に設けられ、鍋底面温度を前記トッププレートを介して検出するサーミスタと、
前記トッププレートより上側に設けられ、前記鍋の側面から放射される赤外線を受光する赤外線センサと、
該赤外線センサが受光した赤外線量から鍋側面温度を算出する温度算出部と、
前記駆動回路を制御して、前記鍋に対する加熱量を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記加熱コイルによる加熱開始時に、前記駆動回路電力測定手段によって測定された前記駆動回路の入力又は出力電力と、前記加熱コイル電流測定手段によって測定された前記加熱コイルの電流との比から鍋材質を判定し、
前記鍋材質がステンレスであると判定した場合は、前記温度算出部に前記鍋が取りうる放射率の最小値近傍の固定値に基づいて前記鍋側面温度を算出させ、該鍋側面温度が前記サーミスタによって検出された前記鍋底面温度よりも所定値以上高い場合は、前記鍋底面温度に基づき、そうでない場合は、前記鍋側面温度に基づいて前記鍋の温度制御を実施し、
前記鍋材質がステンレス以外であると判定した場合は、前記温度算出部に前記鍋が取りうる放射率の最大値近傍の固定値に基づいて前記鍋側面温度を算出させ、該鍋側面温度と前記サーミスタによって検出された前記鍋底面温度とを比較して高い方の温度に基づいて前記鍋の温度制御を実施する
ことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記鍋が取りうる赤外線放射率の最小値近傍の固定値は、0.01から0.3までのいずれかの値である
ことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記駆動回路によって前記加熱コイルに電流を流して前記鍋が加熱されている状態で、前記サーミスタによって検出された前記鍋底面温度が所定時間内に所定変化量以上変化しないと判定した場合は、前記駆動回路に加熱停止指令を出力して前記鍋の加熱を停止させ、使用者に報知する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御部は、
前記駆動回路電力測定手段によって測定された前記駆動回路の入力又は出力電力の積算値の所定時間における差分と、前記鍋の該所定時間における温度上昇推定幅との相関に基づいて、前記差分に対応する前記温度上昇推定幅を導出し、該温度上昇推定幅を前記所定変化量とする
ことを特徴とする請求項3記載の誘導加熱調理器。 - 鍋を載置するトッププレートと、
該トッププレートの下方に設けられ、前記鍋を加熱する加熱コイルと、
交流電圧を高周波電圧に変換して前記加熱コイルに高周波電流を流す駆動回路と、
前記トッププレートの下方に設けられ、鍋底面温度を前記トッププレートを介して検出するサーミスタと、
前記トッププレートより上側に設けられ、前記鍋の側面から放射される赤外線を受光する赤外線センサと、
該赤外線センサが受光した赤外線量から鍋側面温度を算出する温度算出部と、
前記駆動回路を制御して、前記鍋に対する加熱量を制御する制御部と、
を備え、
前記温度算出部は、前記鍋が取りうる赤外線放射率の最大値近傍及び最小値近傍の固定値に基づいて、それぞれ前記鍋側面温度を算出し、
前記制御部は、
前記サーミスタによって検出された前記鍋底面温度と、前記最大値近傍の固定値に基づいて算出された前記鍋側面温度との差が所定の上下限値で定まる所定範囲内の場合は、該鍋側面温度に基づいて前記鍋の温度制御を実施し、
前記鍋底面温度と、前記最小値近傍の固定値に基づいて算出された前記鍋側面温度との差が所定の上下限値で定まる所定範囲内の場合は、該鍋側面温度に基づいて前記鍋の温度制御を実施し、
それ以外の場合は、前記鍋底面温度に基づいて前記鍋の温度制御を実施する
ことを特徴とする誘導加熱調理器。
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