JP5047225B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、調理鍋が加熱コイルからはみ出していたり、加熱コイルの内側にあったとしても、鍋側面温度から正確な内容物温度を検出でき、ムラのない温度制御が可能な誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
図1は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。
図1において、本体11の上部に取り付けられたトッププレート3は、耐熱強化ガラスとそのガラスの外周に取り付けられた金属の枠体(図示せず)とにより構成されている。トッププレート3の耐熱強化ガラスの表面には、調理鍋1の加熱位置を示す円形の加熱口(図示せず)が表示されている。また、トッププレート3の下には、前述の加熱口に対向して設けられた環状の加熱コイル4が設置されている。加熱コイル4は、後述する駆動回路6からの高周波電流に基づいてトッププレート3上の調理鍋1を誘導加熱する。
図5は鍋側面温度の微分値と鍋側面温度を補正する係数との相関を示す図である。
鍋側面温度の微分値が所定値T1以下の場合は、鍋側面温度が図4のBに示すように内容物温度と同じになるので、鍋側面温度を内容物温度とする。一方、微分値が所定値T1より大きいときは、その微分値に応じて設定された係数を選定し、鍋側面温度に乗算して内容物温度とする。図5に示す所定値T1及び微分値に応じて設定された係数は、予め制御回路7にデータとして保存されている。このデータは、微分値が大きくなるにつれ係数の値が小さくなっている。
P=σ(εTa4 −εTo4 )…(1)
図6は実施の形態2における鍋側面温度の微分値と鍋側面温度を補正する減算値との相関を示す図である。なお、実施の形態2の誘導加熱調理器は、実施の形態1と同様であるため、図1を用いて説明する。
実施の形態2における制御回路7は、図6に示すように、鍋側面温度Taの微分値が所定値T1以下のとき鍋側面温度Taを内容物温度とし、微分値が所定値T1より大きいときは、その微分値に応じて設定された減算値を選定し、鍋側面温度Taを減算値で補正して内容物温度とする。図6に示す所定値T1及び微分値に応じて設定された減算値は、予め制御回路7にデータとして保存されている。このデータは、微分値が大きくなるにつれ減算値が大きくなっている。
制御回路7は、鍋側面温度Taを時間微分して得られた微分値が予め設定された所定値T1より大きいかどうかを判定し、微分値が所定値T1以下のときは、調理鍋1が赤外線センサー5側にズレていると判定する。この場合は、減算値がゼロであるため、その減算値を選定することなく、操作部によって設定された加熱電力で調理鍋1が誘導加熱されるように駆動回路6を制御する。そして、赤外線センサー5によって検出された赤外線量Pを読み込み、前述の式(1)から鍋側面温度Taを算出し、その鍋側面温度Taを補正することなく内容物温度とし、例えばユーザーが設定した温度と比較する。内容物温度が設定温度と異なるときは、内容物温度が設定温度になるように駆動回路6を制御する。
図7は実施の形態3における鍋側面温度の微分値と鍋側面温度を補正する赤外線放射率との相関を示す図である。なお、実施の形態3の誘導加熱調理器は、実施の形態1と同様であるため、図1を用いて説明する。
実施の形態3における制御回路7は、前述した式(1)により鍋側面温度Taを算出する際、赤外線放射率εに約0.2を用いて演算する。これは、例えばステンレス製の鏡面鍋における赤外線放射率εである。また、制御回路7は、図7に示すように、鍋側面温度Taの微分値が所定値T2以下のとき鍋側面温度Taを内容物温度とし、微分値が所定値T2より大きいときは、その微分値に応じて設定された前記0.2より高い赤外線放射率εを選定する。そして、赤外線センサー5の赤外線量Pを基に鍋側面温度Taを算出する際、先に選定した赤外線放射率εを用いて鍋側面温度Taを算出し、それを内容物温度とする。図7に示す所定値T2及び微分値に応じて設定された赤外線放射率εは、予め制御回路7にデータとして保存されている。このデータは、微分値が大きくなるにつれ赤外線放射率εの値が高くなる。
制御回路7は、鍋側面温度Taを時間微分して得られた微分値が予め設定された所定値T1より大きいかどうかを判定し、その微分値が所定値T2以下のときは、調理鍋1が赤外線センサー5側にズレていると判定する。この場合は、赤外線放射率εに0.2を用いているため、その赤外線放射率εを選定することなく、操作部によって設定された加熱電力で調理鍋1が誘導加熱されるように駆動回路6を制御する。そして、赤外線センサー5によって検出された赤外線量Pを読み込み、前述の式(1)から鍋側面温度Taを算出して、その鍋側面温度Taを内容物温度とし、例えばユーザーが設定した温度と比較する。内容物温度が設定温度と異なるときは、内容物温度が設定温度になるように駆動回路6を制御する。
図8は実施の形態4を説明するための電力休止時の鍋側面温度の変化を示す図、図9は鍋側面温度の微分値と温度制御時のフィードバック量との相関を示す図である。なお、実施の形態3の誘導加熱調理器は、実施の形態1と同様であるため、図1を用いて説明する。
図8に示すように、所定時間t1での加熱では、調理鍋1の内容物2の熱伝達係数よりも調理鍋1自体の熱伝達係数が大きいため、内容物2より先に調理鍋1が加熱される。休止時間t2では、調理鍋1と加熱コイル4との位置関係で変わるが、調理鍋1の熱が内容物2に奪われて温度が低下する。調理鍋1の内容物2が多い場合は、鍋側面温度Taの低下速度が図8のDに示すように早くなり、内容物2が少ない場合は、同図のCに示すように遅くなる。調理鍋1と加熱コイル4との位置関係で所定時間t1での上昇値が異なるため、C、Dの始まりポイントは変わるが、鍋側面温度Taの低下速度は、調理鍋1と加熱コイル4との位置関係よりも内容物量の影響が大きい。
制御回路7は、所定電力を所定時間t1投入すると休止時間t2に入る。この時、赤外線センサー5が受ける調理鍋1の側面からの赤外線量P、赤外線センサー5自体の温度TO を読み込んで、前述した式(1)から鍋側面温度Taを算出する。そして、前述の休止時間t2経過したときに、前記と同様に、調理鍋1の側面から放射される赤外線量Pを赤外線センサー5を介して受光し、赤外線センサー5自体の温度TO を読み込んで、前述の式(1)から鍋側面温度Taを算出する。次いで、先に算出した鍋側面温度Taとで時間微分し、鍋側面温度Taの微分値を算出し、その微分値に応じて設定されたフィードバック量Kを選定する。
これにより、特に調理鍋1の内容物2が少ないときには最大投入電力量が少なくなるので、調理鍋1の内容物2を焦がしたり、空焚きを防止できる。
Claims (7)
- 調理鍋が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下に設置され、当該トッププレートに載置された調理鍋を加熱する加熱コイルと、
交流電圧を高周波電圧に変換して前記加熱コイルに高周波電流を供給する駆動回路と、 前記加熱コイルに投入される電力を検知し当該電力が設定電力になるように前記駆動回路を制御する制御回路と、
前記トッププレートより上側に設けられ、調理鍋の側面から放射される赤外線を受光する赤外線センサーと、
前記赤外線センサーによって受光された赤外線量に基づいて鍋側面温度を算出する鍋温度算出部とを備え、
前記制御回路は、加熱開始の際に所定電力を所定時間投入し、その間の前記赤外線センサーからの赤外線量あるいは前記鍋温度算出部の算出による鍋側面温度を時間微分し、その微分値が所定値以下のときには調理鍋が前記赤外線センサー側にズレているとして、前記鍋温度算出部により算出される鍋側面温度を調理鍋の内容物温度とし、
前記微分値が所定値より大きいときには調理鍋が前記加熱コイルの内側あるいは前記赤外線センサーの反対側にズレているとして、前記鍋温度算出部により算出される鍋側面温度を前記微分値に応じて設定された係数で補正して調理鍋の内容物温度とし、
前記係数の値は、前記微分値が所定値より大きくなるに連れ小さくなるように設定されていることを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記制御回路は、前記係数に代えて、前記微分値が所定値より大きくなるに連れ値が大きくなる減算値をデータとして有し、前記微分値が所定値以下のときには調理鍋が前記赤外線センサー側にズレているとして、前記鍋温度算出部により算出される鍋側面温度を調理鍋の内容物温度とし、
前記微分値が所定値より大きいときには調理鍋が前記加熱コイルの内側あるいは前記赤外線センサーの反対側にズレているとして、前記鍋温度算出部により算出される鍋側面温度を前記微分値に応じて設定された減算値で補正し、調理鍋の内容物温度とすることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。 - 前記鍋温度算出部は、前記赤外線センサーによって受光された赤外線量にステンレス製の鏡面鍋における赤外線放射率を用いて鍋側面温度を算出し、
前記制御回路は、前記係数に代えて、前記微分値が所定値より大きくなるに連れ前記赤外線放射率より大きくなる赤外線放射率をデータとして有し、前記微分値が所定値以下のときには調理鍋が前記赤外線センサー側にズレているとして、前記鍋温度算出部により算出される鍋側面温度を調理鍋の内容物温度とし、
前記微分値が所定値より大きいときには調理鍋が前記加熱コイルの内側あるいは前記赤外線センサーの反対側にズレているとして、前記微分値に応じて設定された赤外線放射率を前記鍋温度算出部に設定して鍋側面温度を算出させ、算出された鍋側面温度を調理鍋の内容物温度とすることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御回路は、所定電力を所定時間投入した後、その加熱を所定の休止時間のあいだ停止し、その間の前記赤外線センサーの赤外線量あるいは前記鍋温度算出部の算出による鍋側面温度を時間微分し、その微分値に基づいて温度フィードバック制御時の加熱電力あるいは加熱時間を決定し、
前記微分値は、調理鍋の内容物量が少なくなるほど小さくなり、
前記微分値が小さいほど、温度フィードバック制御時の加熱電力が小さくあるいは加熱時間が短くなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御回路は、前記微分値が大きくなるに連れ値が大きくなる最大投入電力量をデータとして有し、前記微分値に応じて設定された最大投入電力量を選定し、この最大投入電力量に達したときに、調理鍋の内容物量に応じた加熱終了と推定して前記加熱コイルの加熱を停止させることを特徴とする請求項4記載の誘導加熱調理器。
- 前記休止時間を10秒以上2分以内としたことを特徴とする請求項4又は5記載の誘導加熱調理器。
- 前記所定電力を1kW以上、前記所定時間を30秒以内としたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。
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