[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1には、第1実施形態の取引一任勘定取引システム10の全体構成が示されている。図2には、注文データ記憶手段41の各レコードの構成が示されている。図3には、取引一任勘定取引システム10による取引一任勘定取引の処理の流れがフローチャートで示されている。図4には、余裕率を構成するベース率の更新処理の流れがフローチャートで示されている。図5には、仮総額算出処理の流れがフローチャートで示されている。図6は、注文入力から総額条件の合否判定に至るまでの処理およびデータの流れを概念的に示す説明図である。図7および図8には、注文入力画面およびこの画面への入力例が示されている。
図1において、取引一任勘定取引システム10は、取引一任勘定取引に関する各種処理およびこれらの処理に必要な各種データの記憶保存を行う取引一任勘定取引サーバ20と、顧客が操作する1台または複数台の顧客端末装置50とを備えて構成され、これらの取引一任勘定取引サーバ20と顧客端末装置50とは、ネットワーク1を介して接続されている。また、取引一任勘定取引サーバ20は、専用線2を介して証券取引所システム等の市場システム60に接続されている。なお、取引一任勘定取引サーバ20と市場システム60とは、ネットワーク1を介して接続してもよい。
ここで、ネットワーク1は、例えば、LAN、MAN、WAN、インターネット、イントラネット、エクストラネット、あるいはこれらの組合せ等、様々な形態のものが含まれ、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わず、要するに、複数地点(距離の長短は問わない。)間で、ある程度の速度をもって情報を伝送することができるものであればよい。
取引一任勘定取引サーバ20は、取引一任勘定取引に関する各種処理を実行する処理手段20Aと、この処理手段20Aに接続された注文データ記憶手段41、相場情報蓄積記憶手段42、変動指標値記憶手段43、余裕率記憶手段44、約定データ記憶手段47、および差額比率蓄積記憶手段48とを含んで構成されている。
処理手段20Aは、注文受付処理手段21と、総額履歴表示処理手段22と、相場情報取得処理手段23と、仮総額データ算出処理手段24と、変動指標値算出処理手段25と、大幅変動銘柄割合算出処理手段26と、適用余裕率決定処理手段27と、総額条件判定処理手段28と、発注処理手段29と、約定データ受信処理手段30と、差額比率蓄積処理手段31と、ベース率更新処理手段32と、顧客別補正率更新処理手段33とを含んで構成されている。
注文受付処理手段21は、顧客による顧客端末装置50からの注文入力画面100(図7、図8参照)の表示要求信号をネットワーク1を介して受信すると、この要求に応じて注文入力画面100の表示用データを顧客端末装置50へネットワーク1を介して送信するとともに、顧客により入力されて顧客端末装置50からネットワーク1を介して送信されてくる注文データを受信し、受信した注文データを注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて注文データ記憶手段41(図2参照)に記憶保存する処理を実行するものである。なお、顧客識別情報(口座番号等)は、事前に受信していてもよく、注文データと同時に受信してもよい。また、注文識別情報(注文番号等)は、注文受付処理手段21により自動採番される。
この注文受付処理手段21が顧客端末装置50から受信する注文データには、注文種別により、以下のような形態がある。すなわち、先ず、単価一任の注文(注文種別=種別1)の場合には、注文した顧客を識別する顧客識別情報と関連付けて、売買の別を示す売買区分情報(「買」または「売」)と、売買する複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)と、複数の銘柄を売買する際の資金総額を指定する指定総額データ(「買」の場合には、指定総額データXといい、「売」の場合には、指定総額データYという。)とを受信する(図2の左から1列目、および図7の左上部分を参照)。
次に、単価一任・銘柄組合せの注文(注文種別=種別2)の場合には、注文した顧客を識別する顧客識別情報と関連付けて、売買の別を示す売買区分情報(「買」または「売」)と、売買する複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)と、複数の銘柄の中の全部または一部の銘柄をそれぞれ異なる組合せ状態で組み合わせた複数組の銘柄組合せの各々についての銘柄組合せ情報(銘柄識別情報の組合せ)と、これらの複数組の銘柄組合せの各々について銘柄組合せを構成する全銘柄を売買する際の資金総額を指定する複数の組合せ別指定総額データ(「買」の場合には、組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…といい、「売」の場合には、組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…という。)とを受信する(図2の左から2列目、および図8の左上部分を参照)。
また、単価一任・買い成立後売りの注文(注文種別=種別3)の場合には、注文した顧客を識別する顧客識別情報と関連付けて、売買の別を示す売買区分情報(「買のち売」)と、売買する複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)と、複数の銘柄を購入する際の資金総額を指定する買いの指定総額データXとを受信し、かつ、購入した複数の銘柄を売却する際の資金総額(売りの指定総額データYに相当する。)を、利益確定のための約定金額の総額データZに対するプラスの差額データとして指定する利益確定用総額ベース差額データα(本実施形態では、金額による指定であるが、Zに対するパーセンテージによる指定でもよい。)、および/または損切りのための約定金額の総額データZに対するマイナスの差額データとして指定する損切り用総額ベース差額データβ(本実施形態では、金額による指定であるが、Zに対するパーセンテージによる指定でもよい。)を受信する(図2の左から3列目、および図7の右上部分を参照)。
さらに、単価一任・銘柄組合せ・買い成立後売りの注文(注文種別=種別4)の場合には、注文した顧客を識別する顧客識別情報と関連付けて、売買の別を示す売買区分情報(「買のち売」)と、売買する複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)と、複数の銘柄の中の全部または一部の銘柄をそれぞれ異なる組合せ状態で組み合わせた複数組の銘柄組合せの各々についての銘柄組合せ情報(銘柄識別情報の組合せ)と、これらの複数組の銘柄組合せの各々について銘柄組合せを構成する全銘柄を購入する際の資金総額を指定する複数の買いの組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…とを受信し、かつ、購入した銘柄組合せを構成する全銘柄を売却する際の資金総額(売りの組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…に相当する。)を、利益確定のための約定金額の総額データZに対するプラスの差額データとして指定する利益確定用総額ベース差額データ(組合せ別利益確定用総額ベース差額データα1,α2,α3,α4…または各銘柄組合せに共通の利益確定用総額ベース差額データα:本実施形態では、金額による指定であるが、Zに対するパーセンテージによる指定でもよい。)、および/または損切りのための約定金額の総額データZに対するマイナスの差額データとして指定する損切り用総額ベース差額データ(組合せ別損切り用総額ベース差額データβ1,β2,β3,β4…または各銘柄組合せに共通の損切り用総額ベース差額データβ:本実施形態では、金額による指定であるが、Zに対するパーセンテージによる指定でもよい。)を受信する(図2の左から4列目、および図8の右上部分を参照)。
総額履歴表示処理手段22は、顧客による顧客端末装置50からの総額履歴表示画面200(図7参照)および組合せ別総額履歴表示画面300(図8参照)の表示要求信号をネットワーク1を介して受信すると、この要求に応じて総額履歴表示画面200および組合せ別総額履歴表示画面300の表示用データを作成し、作成した表示用データを顧客端末装置50へネットワーク1を介して送信する処理を実行するものである。
具体的には、注文受付処理手段21による注文データの入力受付処理時に、注文入力画面100(図7参照)において、顧客が複数の銘柄およびそれらの数量(株式の場合には、株数)を入力し、かつ、銘柄組合せの入力指定をしていない状態で、総額履歴表示画面200の表示要求を行った場合には、総額履歴表示処理手段22は、顧客端末装置50からネットワーク1を介して送信されてくる、複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)を受信し、受信した各銘柄の数量データと、相場情報蓄積記憶手段42に記憶されたそれらの銘柄の過去から現在に至るまでの各時点での単価データとを乗じた金額データを、受信した複数の銘柄の全てについて各時点毎に加算することにより、過去から現在に至るまでの各時点での総額データとして算出し、算出した各時点での総額データを用いて作成した総額履歴表示画面200(図7参照)の表示用データを、ネットワーク1を介して顧客端末装置50へ送信する。
また、注文受付処理手段21による注文データの入力受付処理時に、注文入力画面100(図8参照)において、顧客が複数の銘柄およびそれらの数量(株式の場合には、株数)を入力し、かつ、銘柄組合せの入力指定をしている状態で、組合せ別総額履歴表示画面300の表示要求を行った場合には、総額履歴表示処理手段22は、顧客端末装置50からネットワーク1を介して送信されてくる、複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)、並びに複数組の銘柄組合せ情報を受信し、受信した複数組の銘柄組合せ情報の銘柄組合せの各々について、受信した各銘柄の数量データと、相場情報蓄積記憶手段42に記憶されたそれらの銘柄の過去から現在に至るまでの単価データとを乗じた金額データを、銘柄組合せを構成する全銘柄について各時点毎に加算することにより、過去から現在に至るまでの各時点での組合せ別総額データとして算出し、算出した各時点での組合せ別総額データを用いて作成した組合せ別総額履歴表示画面300(図8参照)の表示用データを、ネットワーク1を介して顧客端末装置50へ送信する。
相場情報取得処理手段23は、市場システム60またはその他の相場情報提供システム(例えば、市場システム60から直接または間接に通信回線を介して相場情報を取得し、取得した相場情報を通信回線を介して他のシステムへ提供するシステム)から、専用線2またはネットワーク1を介して相場情報(本実施形態では、本システム10で取り扱う全ての銘柄についての相場情報)を、例えば定期的に繰り返して取得し、取得した相場情報を、銘柄識別情報に関連付けて相場情報蓄積記憶手段42に記憶保存する処理を実行するものである。
仮総額データ算出処理手段24は、銘柄組合せの入力指定がない注文(種別1,3)の場合には、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄識別情報の銘柄について相場情報蓄積記憶手段42に記憶された最新の相場情報(複数の気配値データ並びにこれらの気配値データに対応する売気配数量データまたは買気配数量データ、図6参照)と、注文データ記憶手段41に記憶されたそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)とを用いて、仮の資金総額を示す仮総額データMを算出する処理を実行するものである。なお、仮総額データMに、手数料や税金等を含めてもよい。
また、仮総額データ算出処理手段24は、銘柄組合せの入力指定がある注文(種別2,4)の場合には、複数組の銘柄組合せの各々について、注文データ記憶手段41に記憶された銘柄組合せ情報を構成する各銘柄識別情報の銘柄について相場情報蓄積記憶手段42に記憶された最新の相場情報(複数の気配値データ並びにこれらの気配値データに対応する売気配数量データまたは買気配数量データ、図6参照)と、注文データ記憶手段41に記憶されたそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)とを用いて、各銘柄組合せ毎の仮の資金総額を示す組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…を算出する処理を実行する。なお、組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…に、手数料や税金等を含めてもよい。
具体的には、図5に示すように、仮総額データ算出処理手段24は、購入処理時には、相場情報(図6参照)を構成する気配値データが安い順に、気配値データに対応する売気配数量データを加算していくとともに、気配値データとこの気配値データに対応する売気配数量データとを乗じた金額データを加算していく。そして、売気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)と一致したときには、一致したときの金額データを最後に加算することにより各銘柄毎の累計金額データを算出し、売気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)を超えたときには、注文データ記憶手段41に記憶された数量データから、超える直前の売気配数量データの累計数量データを減じた数量データを、超えたときの気配値データに乗じた金額データを最後に加算することにより各銘柄毎の累計金額データを算出し、さらに各銘柄毎の累計金額データを合計して仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…を算出する。
また、仮総額データ算出処理手段24は、売却処理時には、相場情報(図6参照)を構成する気配値データが高い順に、気配値データに対応する買気配数量データを加算していくとともに、気配値データとこの気配値データに対応する買気配数量データとを乗じた金額データを加算していく。そして、買気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)と一致したときには、一致したときの金額データを最後に加算することにより各銘柄毎の累計金額データを算出し、買気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)を超えたときには、注文データ記憶手段41に記憶された数量データから、超える直前の買気配数量データの累計数量データを減じた数量データを、超えたときの気配値データに乗じた金額データを最後に加算することにより各銘柄毎の累計金額データを算出し、さらに各銘柄毎の累計金額データを合計して仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…を算出する。
変動指標値算出処理手段25は、相場情報取得処理手段23により取得されて相場情報蓄積記憶手段42に記憶されている各銘柄(本実施形態では、本システム10で取り扱う全ての銘柄)の相場情報を用いて、それらの各銘柄の単価の変動の大小を示す変動率データ、ボラティリティデータ(予想変動率データ)、またはその他の変動指標値データを算出し、算出した各銘柄の最新の変動指標値データを、銘柄識別情報と関連付けて変動指標値記憶手段43(図6参照)に記憶させる処理を実行するものである。例えば、相場情報取得処理手段23により、相場情報として、4本値データ(始値データ、高値データ、安値データ、終値データ)等が取得されて相場情報蓄積記憶手段42に記憶されている場合には、変動率データ=(高値データ−安値データ)/始値データ、あるいは、変動率データ=(高値データ−安値データ)/前日の終値データ等の式により、変動率データを算出することができる。なお、このような変動率データやボラティリティデータ等の変動指標値データが他のシステムにより算出され、それらの算出データを通信回線(ネットワーク1や専用線)を介して取得可能な場合には、変動指標値算出処理手段25を設ける代わりに、変動指標値取得処理手段を設けてもよい。
大幅変動銘柄割合算出処理手段26は、変動指標値記憶手段43に記憶された各銘柄の変動指標値データを用いて、銘柄組合せの入力指定がない注文(種別1,3)の場合には、売買する複数の銘柄のうち変動指標値が一定値以上(一定値超過、すなわち一定値よりも大きいでもよい。)の銘柄の占める割合を示す大幅変動銘柄割合データを算出し、銘柄組合せの入力指定がある注文(種別2,4)の場合には、各銘柄組合せ毎に、銘柄組合せを構成する銘柄のうち変動指標値が一定値以上の銘柄の占める割合を示す大幅変動銘柄割合データを算出する処理を実行するものである。
適用余裕率決定処理手段27は、余裕率記憶手段44のベース率記憶手段45(図6参照)に記憶されたベース率データの中から、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により算出された大幅変動銘柄割合データの属する割合区分に対応するベース率データを取得するとともに、余裕率記憶手段44の顧客別補正率記憶手段46(図6参照)に記憶された顧客別補正率データの中から、顧客識別情報をキーとして売買注文を行った顧客の顧客別補正率データを取得し、取得したベース率データに、取得した顧客別補正率データを加算することにより、適用する余裕率データを算出して決定する処理を実行するものである。
なお、本実施形態では、余裕率データを、全ての顧客について同一に適用されるベース率データと、各顧客毎に個別に適用される顧客別補正率データとにより構成しているが、余裕率データをベース率データに相当するものだけとして顧客別の補正を行わない構成としてもよく、この場合には、適用余裕率決定処理手段の処理は、本実施形態のベース率データに相当する余裕率データの取得処理だけとなる。
総額条件判定処理手段28は、単価一任の注文(種別1)の場合には、仮総額データ算出処理手段24により算出した仮総額データMと、注文データ記憶手段41に記憶された指定総額データXまたはYとを比較し、注文データ記憶手段41に記憶された売買区分情報が買情報の場合には、仮総額データMが指定総額データX以下(X未満でもよい。)という購入条件を満たすか否かを判断し、注文データ記憶手段41に記憶された売買区分情報が売情報の場合には、仮総額データMが指定総額データY以上(Y超過でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断する処理を実行するものである。
また、総額条件判定処理手段28は、単価一任・銘柄組合せの注文(種別2)の場合には、複数組の銘柄組合せの各々について、仮総額データ算出処理手段24により算出した組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…と、注文データ記憶手段41に記憶された組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…とを比較し、注文データ記憶手段41に記憶された売買区分情報が買情報の場合には、組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…以下(X1,X2,X3,X4…未満でもよい。)という購入条件を満たすか否かを判断し、注文データ記憶手段41に記憶された売買区分情報が売情報の場合には、組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…以上(Y1,Y2,Y3,Y4…超過でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断する処理を行う。
さらに、総額条件判定処理手段28は、単価一任・買い成立後売りの注文(種別3)の場合には、複数の銘柄の購入処理時には、仮総額データ算出処理手段24により算出した買いの仮総額データMと、注文データ記憶手段41に記憶された買いの指定総額データXとを比較し、買いの仮総額データMが買いの指定総額データX以下(X未満でもよい。)という購入条件を満たすか否かを判断する。そして、購入した複数の銘柄の売却処理時には、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて、各銘柄毎に約定単価データと約定数量データとを乗じた金額データを合計することにより、購入した複数の銘柄についての約定金額の総額データZを算出し、算出した約定金額の総額データZと、注文データ記憶手段41に記憶された利益確定用総額ベース差額データαおよび/または損切り用総額ベース差額データβとを用いて、利益確定用の指定総額データ(Z+α)および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)を算出し、仮総額データ算出処理手段24により算出した売りの仮総額データMと、利益確定用の指定総額データ(Z+α)および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)とを比較し、売りの仮総額データMが利益確定用の指定総額データ(Z+α)以上((Z+α)超過でもよい。)という売却条件および/または売りの仮総額データMが損切り用の指定総額データ(Z−β)以下((Z−β)未満でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断する処理を行う。
また、総額条件判定処理手段28は、単価一任・銘柄組合せ・買い成立後売りの注文(種別4)の場合には、銘柄組合せを構成する銘柄の購入処理時には、複数組の銘柄組合せの各々について、仮総額データ算出処理手段24により算出した買いの組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…と、注文データ記憶手段41に記憶された買いの組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…とを比較し、買いの組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が買いの組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…以下(X1,X2,X3,X4…未満でもよい。)という購入条件を満たすか否かを判断する。そして、購入した銘柄組合せを構成する銘柄の売却処理時には、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて、各銘柄毎に約定単価データと約定数量データとを乗じた金額データを合計することにより、購入した銘柄組合せを構成する全銘柄についての約定金額の総額データZを算出し(複数組の銘柄組合せのうち、購入した銘柄組合せについての約定金額の総額データをZとする。)、算出した約定金額の総額データZと、注文データ記憶手段41に記憶された利益確定用総額ベース差額データα1,α2,α3,α4…[のうちのいずれか]および/または損切り用総額ベース差額データβ1,β2,β3,β4…[のうちのいずれか]とを用いて、利益確定用の指定総額データ(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…[のうちのいずれか]および/または損切り用の指定総額データ(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…[のうちのいずれか]を算出し、仮総額データ算出処理手段24により算出した売りの仮総額データM1,M2,M3,M4…[のうちのいずれか]と、利益確定用の指定総額データ(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…[のうちのいずれか]および/または損切り用の指定総額データ(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…[のうちのいずれか]とを比較し、売りの仮総額データM1,M2,M3,M4…[のうちのいずれか]が利益確定用の指定総額データ(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…[のうちのいずれか]以上((Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…[のうちのいずれか]超過でもよい。)という売却条件および/または売りの仮総額データM1,M2,M3,M4…[のうちのいずれか]が損切り用の指定総額データ(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…[のうちのいずれか]以下((Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…[のうちのいずれか]未満でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断する処理を行う。
なお、上記の単価一任・銘柄組合せ・買い成立後売りの注文(種別4)の場合の説明において、利益確定用総額ベース差額データは、組合せ別利益確定用総額ベース差額データα1,α2,α3,α4…となっているが、各銘柄組合せに共通の利益確定用総額ベース差額データαとし、利益確定用の指定総額データを一律に(Z+α)としてもよい。同様に、損切り用総額ベース差額データは、組合せ別損切り用総額ベース差額データβ1,β2,β3,β4…となっているが、各銘柄組合せに共通の損切り用総額ベース差額データβとし、損切り用の指定総額データを一律に(Z−β)としてもよい。但し、一律に(Z+α)、(Z−β)とすると言っても、約定金額の総額データZが各銘柄組合せ毎に異なるのは当然であるから、約定金額の総額からの差額分を一律にするという意味である。
また、総額条件判定処理手段28は、以上に述べた購入条件や売却条件の合否判定処理を行う際に、適用余裕率決定処理手段27により算出決定された余裕率データを用いて、余裕を持たせた判定処理を行う。すなわち、購入処理時には、指定総額データXまたは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…に(1−余裕率データ)を乗じて指定総額データXまたは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…を減額してから、仮総額データMが、余裕率データを用いて減額された指定総額データX以下(X未満でもよい。)という購入条件、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、余裕率データを用いて減額された組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…以下(X1,X2,X3,X4…未満でもよい。)という購入条件を満たすか否かを判断する。なお、仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…に(1+余裕率データ)を乗じて仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…を増額してから、余裕率データを用いて増額された仮総額データMが、指定総額データX以下(X未満でもよい。)という購入条件、あるいは余裕率データを用いて増額された組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…以下(X1,X2,X3,X4…未満でもよい。)という購入条件を満たすか否かを判断してもよい。
一方、売却処理時には、指定総額データYまたは組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…に(1+余裕率データ)を乗じて指定総額データYまたは組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…を増額してから、仮総額データMが、余裕率データを用いて増額された指定総額データY以上(Y超過でもよい。)という売却条件、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、余裕率データを用いて増額された組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…以上(Y1,Y2,Y3,Y4…超過でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断する。なお、仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…に(1−余裕率データ)を乗じて仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…を減額してから、余裕率データを用いて減額された仮総額データMが、指定総額データY以上(Y超過でもよい。)という売却条件、あるいは余裕率データを用いて減額された組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…以上(Y1,Y2,Y3,Y4…超過でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断してもよい。
また、買い成立後の利益確定用の売却処理時には、利益確定用の指定総額データ(Z+α)または(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…に(1+余裕率データ)を乗じて利益確定用の指定総額データ(Z+α)または(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…を増額してから、仮総額データMが、余裕率データを用いて増額された利益確定用の指定総額データ(Z+α)以上((Z+α)超過でもよい。)という売却条件、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、余裕率データを用いて増額された利益確定用の指定総額データ(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…以上((Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…超過でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断する。なお、仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…に(1−余裕率データ)を乗じて仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…を減額してから、余裕率データを用いて減額された仮総額データMが、利益確定用の指定総額データ(Z+α)以上((Z+α)超過でもよい。)という売却条件、あるいは余裕率データを用いて減額された仮総額データM1,M2,M3,M4…が、利益確定用の指定総額データ(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…以上((Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…超過でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断してもよい。
さらに、種別3,4の注文のときに、本実施形態では、利益確定用総額ベース差額データαまたはα1,α2,α3,α4…、あるいは損切り用総額ベース差額データβまたはβ1,β2,β3,β4…は、金額データとして指定されるようになっているが(図7、図8参照)、パーセンテージ(割合)データとして指定してもよく、この場合には、利益確定用の指定総額データは、(Z+α)または(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…のような加算処理ではなく、また、損切り用の指定総額データも、(Z−β)または(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…のような減算処理ではなく、次のような乗算処理(加算処理または減算処理も一部に含まれる。)で算出される。すなわち、利益確定用の指定総額データは、Z*(1+α)(例えば、α=15%という指定であれば、Z*(1+0.15)となる。)、またはZ*α(例えば、α=115%という指定であれば、Z*1.15となる。)という乗算処理で算出される。また、損切り用の指定総額データは、Z*(1−β)(例えば、β=15%という指定であれば、Z*(1−0.15)となる。)、またはZ*β(例えば、β=85%という指定であれば、Z*0.85となる。)という乗算処理で算出される。
発注処理手段29は、総額条件判定処理手段28により購入条件または売却条件を満たすと判断された場合に、注文データ記憶手段41に記憶された注文データを用いて、市場システム60への買いまたは売りの発注処理を実行するものである。具体的には、発注処理手段29は、注文データ記憶手段41に記憶された注文データを用いて、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、売買区分情報(売買の別)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、数量データ(株数データ等)などを含む発注データを、売買する各銘柄について作成し、作成した発注データを、専用線2またはネットワーク1を介して市場システム60へ送信する処理を行う。この際、発注処理は、成行でも指値でもよいが、本実施形態では、成行で発注するものとする。
また、発注処理手段29は、発注処理を行った注文(種別1,2)について、注文データ記憶手段41の当該注文についての発注処理済フラグを立てて発注処理済とする。例えば、フラグを「0」から「1」に変える。買い成立後売りの注文(種別3,4)については、買いの発注処理を行ったときに、買いの発注処理済フラグを立て、売りの発注処理を行ったときに、売りの発注処理済フラグを立てる。なお、単価一任・銘柄組合せ・買い成立後売りの注文(種別4)について、買いの発注処理を行ったときには、買いの発注処理済フラグを立てるとともに、いずれの銘柄組合せについて買いの発注処理を行ったのか(つまり、いずれの銘柄組合せが売りの発注処理の対象となるのか)を示す発注処理済銘柄組合せ情報を記憶させる。
約定データ受信処理手段30は、市場システム60から専用線2またはネットワーク1を介して送信されてくる約定データを受信し、受信した約定データを、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて約定データ記憶手段47に記憶保存する処理を実行するものである。この約定データには、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、売買区分情報(売買の別)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、約定数量データ(約定株数データ等)、約定単価データなどが含まれ、注文識別情報(注文番号等)により発注データとの関連付けを行うことが可能となっている。
差額比率蓄積処理手段31は、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて、各銘柄毎に約定単価データと約定数量データとを乗じた金額データを合計して約定金額の総額データZを算出し(銘柄組合せの売買の場合には、売買された銘柄組合せを構成する全銘柄について約定単価データと約定数量データとを乗じた金額データを合計する。)、算出した約定金額の総額データZ(Zは、買いの約定金額の総額データでも、売りの約定金額の総額データでもよい。)と、仮総額データ算出処理手段24により算出した仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…との差額データ|Z−M|または|Z−M1|,|Z−M2|,|Z−M3|,|Z−M4|…を算出し、仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…に対する差額データの比率データ|Z−M|/Mまたは|Z−M1|/M1,|Z−M2|/M2,|Z−M3|/M3,|Z−M4|/M4…、または約定金額の総額データZに対する差額データの比率データ|Z−M|/Zまたは|Z−M1|/Z,|Z−M2|/Z,|Z−M3|/Z,|Z−M4|/Z…を算出し、算出した比率データを、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により算出した大幅変動銘柄割合データの属する割合区分と対応させて差額比率蓄積記憶手段48に記憶させる処理を実行するものである。
ベース率更新処理手段32は、差額比率蓄積記憶手段48に記憶された比率データについて、例えば定期的に時間間隔を置いて割合区分毎に平均値データを算出し、算出した平均値データまたはこの平均値データに一定比率を乗じた値データにより、余裕率記憶手段44のベース率記憶手段45に記憶されたベース率データを更新する処理を実行するものである。平均値データの算出処理は、毎回独立した平均値データを算出する処理としてもよく、移動平均値データを算出する処理としてもよい。算出処理のタイミングで仕切られて形成される時間区画がT1,T2,T3…であるとすると、前者の毎回独立した平均値データとする場合は、時間区画T1の間に記憶された比率データのみの平均値データ、時間区画T2の間に記憶された比率データのみの平均値データ…を算出し、後者の移動平均値データとする場合は、例えば5つの時間区画でずらしていくときには、時間区画T1〜T5の間、時間区画T2〜T6の間、時間区画T3〜T7の間、時間区画T4〜T8の間…にそれぞれ記憶された比率データの平均値データを算出する。なお、本実施形態では、余裕率データを、全ての顧客について同一に適用されるベース率データと、各顧客毎に個別に適用される顧客別補正率データとにより構成しているが、余裕率データをベース率データに相当するものだけとして顧客別の補正を行わない構成としてもよく、この場合においても、ベース率データに相当するものだけからなる余裕率データを更新する処理を実行する余裕率更新処理手段を設けることができる。
顧客別補正率更新処理手段33は、余裕率記憶手段44の顧客別補正率記憶手段46に記憶された顧客別補正率データを更新する処理を実行するものである。具体的には、顧客別補正率更新処理手段33は、先ず、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて、各銘柄毎に約定単価データと約定数量データとを乗じた金額データを合計して約定金額の総額データZを算出し、算出した約定金額の総額データZと、指定総額データXまたはYあるいは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…との差額データ|Z−X|または|Z−Y|あるいは|Z−X1|,|Z−X2|,|Z−X3|,|Z−X4|…または|Z−Y1|,|Z−Y2|,|Z−Y3|,|Z−Y4|…を算出する。そして、指定総額データXまたはYあるいは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…に対する差額データの比率データ|Z−X|/Xまたは|Z−Y|/Yあるいは|Z−X1|/X1,|Z−X2|/X2,|Z−X3|/X3,|Z−X4|/X4…または|Z−Y1|/Y1,|Z−Y2|/Y2,|Z−Y3|/Y3,|Z−Y4|/Y4…を算出する。また、約定金額の総額データZに対する差額データの比率データ|Z−X|/Zまたは|Z−Y|/Zあるいは|Z−X1|/Z,|Z−X2|/Z,|Z−X3|/Z,|Z−X4|/Z…または|Z−Y1|/Z,|Z−Y2|/Z,|Z−Y3|/Z,|Z−Y4|/Z…を算出してもよい。
次に、顧客別補正率更新処理手段33は、購入処理時に、約定金額の総額データZが指定総額データXまたは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…を超えた場合(但し、前述した総額条件判定処理手段28における購入条件の合否判定処理がXまたはX1,X2,X3,X4…以下ではなく、未満で判断されるときには、ここでの顧客別補正率更新処理手段33による判断は、ZがXまたはX1,X2,X3,X4…以上であった場合となる。)には、顧客にとって損失となる側の結果になったわけであるから、その顧客についての次回の処理で、現時点よりも大きな余裕を持たせた状態で条件合否判定を行うことができるように、現時点での顧客別補正率に対し、比率データをプラスのデータとして加算する。一方、約定金額の総額データZが指定総額データXまたは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…以下であった場合(但し、前述した総額条件判定処理手段28における購入条件の合否判定処理がXまたはX1,X2,X3,X4…以下ではなく、未満で判断されるときには、ここでの顧客別補正率更新処理手段33による判断は、ZがXまたはX1,X2,X3,X4…を下回った場合となる。)には、顧客にとって利益になる側の結果になったわけであるから、その顧客についての次回の処理で持たせる余裕を現時点よりも小さくするために、現時点での顧客別補正率に対し、比率データをマイナスのデータとして加算する。但し、顧客別補正率の初期値はゼロであり、比率データをマイナスのデータとして加算(つまり、減算)した結果、初期値であるゼロを下回った場合には、更新後の顧客別補正率はゼロとする。すなわち、顧客別補正率をマイナス値にならないようにすることで、余裕率として、いつでもベース率の値は確保できるようにする。
また、顧客別補正率更新処理手段33は、売却処理時に、約定金額の総額データZが指定総額データYまたは組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…を下回った場合(但し、前述した総額条件判定処理手段28における売却条件の合否判定処理がYまたはY1,Y2,Y3,Y4…以上ではなく、超過で判断されるときには、ここでの顧客別補正率更新処理手段33による判断は、ZがYまたはY1,Y2,Y3,Y4…以下であった場合となる。)には、顧客にとって損失となる側の結果になったわけであるから、その顧客についての次回の処理で、現時点よりも大きな余裕を持たせた状態で条件合否判定を行うことができるように、現時点での顧客別補正率に対し、比率データをプラスのデータとして加算する。一方、約定金額の総額データZが指定総額データYまたは組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…以上であった場合(但し、前述した総額条件判定処理手段28における売却条件の合否判定処理がYまたはY1,Y2,Y3,Y4…以上ではなく、超過で判断されるときには、ここでの顧客別補正率更新処理手段33による判断は、ZがYまたはY1,Y2,Y3,Y4…を超えた場合となる。)には、顧客にとって利益になる側の結果になったわけであるから、その顧客についての次回の処理で持たせる余裕を現時点よりも小さくするために、現時点での顧客別補正率に対し、比率データをマイナスのデータとして加算する。但し、売却処理時も購入処理時と同様に、比率データをマイナスのデータとして加算(つまり、減算)した結果、初期値であるゼロを下回った場合には、更新後の顧客別補正率はゼロとする。
注文データ記憶手段41は、注文受付処理手段21により受け付けた顧客の注文データを、注文を識別する注文識別情報(注文番号等)および注文した顧客を識別する顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて記憶するものである(図2参照)。
具体的には、注文データ記憶手段41を構成する各レコードには、単価一任の注文(注文種別=種別1)の場合の注文データとして、図2の上部に示すように、注文識別情報(注文番号等)と、顧客識別情報(口座番号等)と、注文種別データ(「種別1」)と、売買の別を示す売買区分情報(「買」または「売」)と、売買する複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)とが記憶されるとともに、図2の下部の左から1列目に示すように、複数の銘柄を売買する際の資金総額を指定する指定総額データ(「買」の場合の指定総額データX、または「売」の場合の指定総額データY)と、この注文データによる発注処理が済んでいるか否かを示す発注処理済フラグ(例えば、未済は「0」で、済は「1」等)とが記憶されている。
また、注文データ記憶手段41を構成する各レコードには、単価一任・銘柄組合せの注文(注文種別=種別2)の場合の注文データとして、図2の上部に示すように、注文識別情報(注文番号等)と、顧客識別情報(口座番号等)と、注文種別データ(「種別2」)と、売買の別を示す売買区分情報(「買」または「売」)と、売買する複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)とが記憶されるとともに、図2の下部の左から2列目に示すように、複数の銘柄の中の全部または一部の銘柄をそれぞれ異なる組合せ状態で組み合わせた複数組の銘柄組合せの各々についての銘柄組合せ情報(銘柄識別情報の組合せ)と、これらの複数組の銘柄組合せの各々について銘柄組合せを構成する全銘柄を売買する際の資金総額を指定する複数の組合せ別指定総額データ(「買」の場合の組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…、または「売」の場合の組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…)と、この注文データによる発注処理が済んでいるか否かを示す発注処理済フラグ(例えば、未済は「0」で、済は「1」等)とが記憶されている。なお、図2において、銘柄組合せ情報1〜4という記載部分は、各銘柄組合せのヘッダー部分(各銘柄組合せを識別する銘柄組合せ識別情報)である。
さらに、注文データ記憶手段41を構成する各レコードには、単価一任・買い成立後売りの注文(注文種別=種別3)の場合の注文データとして、図2の上部に示すように、注文識別情報(注文番号等)と、顧客識別情報(口座番号等)と、注文種別データ(「種別3」)と、売買の別を示す売買区分情報(「買のち売」)と、売買する複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)とが記憶されるとともに、図2の下部の左から3列目に示すように、複数の銘柄を購入する際の資金総額を指定する買いの指定総額データXと、購入した複数の銘柄を売却する際の資金総額(売りの指定総額データYに相当する。)を、利益確定のための約定金額の総額データZに対するプラスの差額データとして指定する利益確定用総額ベース差額データα(本実施形態では、金額による指定であるが、Zに対するパーセンテージによる指定でもよい。)と、購入した複数の銘柄を売却する際の資金総額(売りの指定総額データYに相当する。)を、損切りのための約定金額の総額データZに対するマイナスの差額データとして指定する損切り用総額ベース差額データβ(本実施形態では、金額による指定であるが、Zに対するパーセンテージによる指定でもよい。)と、この注文データによる買いの発注処理が済んでいるか否かを示す買いの発注処理済フラグ(例えば、未済は「0」で、済は「1」等)と、この注文データによる売りの発注処理が済んでいるか否かを示す売りの発注処理済フラグ(例えば、未済は「0」で、済は「1」等)とが記憶されている。
また、注文データ記憶手段41を構成する各レコードには、単価一任・銘柄組合せ・買い成立後売りの注文(注文種別=種別4)の場合の注文データとして、図2の上部に示すように、注文識別情報(注文番号等)と、顧客識別情報(口座番号等)と、注文種別データ(「種別4」)と、売買の別を示す売買区分情報(「買のち売」)と、売買する複数の銘柄を識別する各銘柄識別情報およびそれらの各銘柄の数量データ(株式の場合には、株数データとなる。)とが記憶されるとともに、図2の下部の左から4列目に示すように、複数の銘柄の中の全部または一部の銘柄をそれぞれ異なる組合せ状態で組み合わせた複数組の銘柄組合せの各々についての銘柄組合せ情報(銘柄識別情報の組合せ)と、これらの複数組の銘柄組合せの各々について銘柄組合せを構成する全銘柄を購入する際の資金総額を指定する複数の買いの組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…と、購入した銘柄組合せを構成する全銘柄を売却する際の資金総額(売りの組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…に相当する。)を、利益確定のための約定金額の総額データZに対するプラスの差額データとして指定する利益確定用総額ベース差額データ(組合せ別利益確定用総額ベース差額データα1,α2,α3,α4…または各銘柄組合せに共通の利益確定用総額ベース差額データα:本実施形態では、金額による指定であるが、Zに対するパーセンテージによる指定でもよい。)と、購入した銘柄組合せを構成する全銘柄を売却する際の資金総額(売りの組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…に相当する。)を、損切りのための約定金額の総額データZに対するマイナスの差額データとして指定する損切り用総額ベース差額データ(組合せ別損切り用総額ベース差額データβ1,β2,β3,β4…または各銘柄組合せに共通の損切り用総額ベース差額データβ:本実施形態では、金額による指定であるが、Zに対するパーセンテージによる指定でもよい。)と、この注文データによる買いの発注処理が済んでいるか否かを示す買いの発注処理済フラグ(例えば、未済は「0」で、済は「1」等)と、いずれの銘柄組合せについて買いの発注処理を行ったのか(つまり、いずれの銘柄組合せが売りの発注処理の対象となるのか)を示す発注処理済銘柄組合せ情報(例えば、銘柄組合せ情報1〜4のいずれか)と、この注文データによる売りの発注処理が済んでいるか否かを示す売りの発注処理済フラグ(例えば、未済は「0」で、済は「1」等)とが記憶されている。なお、図2において、銘柄組合せ情報1〜4という記載部分は、各銘柄組合せのヘッダー部分(各銘柄組合せを識別する銘柄組合せ識別情報)である。
相場情報蓄積記憶手段42は、相場情報取得処理手段23により市場システム60またはその他の相場情報提供システムから例えば定期的に繰り返して取得した各銘柄(本実施形態では、本システム10で取り扱う全ての銘柄)の過去から現在に至るまでの各時点での相場情報を、銘柄識別情報と関連付けて蓄積記憶するものである。記憶する相場情報としては、図6に示すような各銘柄についての複数の気配値データおよびこれらの気配値データに対応する売気配数量データまたは買気配数量データ、あるいは4本値データ(始値データ、高値データ、安値データ、終値データ)等がある。各時点での相場情報は、取得順に並べて記憶されるとともに、取得日時と関連付けられて記憶されているので、仮総額データ算出処理手段24による処理で使用される最新(直近)の相場情報は、格納場所で特定することができ、また、取得日時を参照して特定することもできる。なお、一定時間が経過した過去のデータについては、総額履歴表示画面200(図7参照)や組合せ別総額履歴表示画面300(図8参照)を表示するのに必要なデータ、例えば各銘柄の毎日の終値データのみを記憶しておいてもよい。また、総額履歴の表示を行わず、かつ、取得した相場情報を用いての変動指標値の算出も行わない構成とする場合には、仮総額データ算出処理手段24による処理で使用される最新(直近)の相場情報が記憶(上書き保存)されていればよいので、その場合には、蓄積は必要ないため、単に「相場情報記憶手段」と称すべきものを設けておけばよい。さらに、仮総額データ算出処理手段24による処理で使用される最新(直近)の相場情報が記憶(上書き保存)される「相場情報記憶手段」と、本実施形態のような蓄積保存を行う相場情報蓄積記憶手段42とを併設してもよい。また、相場情報蓄積記憶手段42のうち、最新(直近)の相場情報の格納場所を「相場情報記憶手段」と称してもよい。
変動指標値記憶手段43は、図6に示すように、変動指標値算出処理手段25により算出した現時点での各銘柄の単価の変動の大小を示す変動率データ、ボラティリティデータ(予想変動率データ)、またはその他の変動指標値データを、銘柄識別情報と関連付けて記憶するものである。
余裕率記憶手段44は、全ての顧客について同一に適用されるベース率データを記憶するベース率記憶手段45と、各顧客毎に個別に適用される顧客別補正率データを記憶する顧客別補正率記憶手段46とにより構成されている。
ベース率記憶手段45は、図6に示すように、売買する複数の銘柄(銘柄組合せの売買の場合には、売買する銘柄組合せを構成する全銘柄)のうち変動指標値が一定値以上の銘柄の占める割合を示す大幅変動銘柄割合データの属する割合区分と、余裕率データの基礎部分を構成するベース率データとの対応関係を記憶するものである。ベース率データは、時間間隔を置いて、例えば定期的にベース率更新処理手段32により更新される。
顧客別補正率記憶手段46は、図6に示すように、余裕率データの付加部分を構成する顧客別補正率データを、顧客識別情報と関連付けて記憶するものである。各顧客の顧客別補正率データの初期値は、ゼロであり、各顧客についての売買が行われる都度に、各顧客の顧客別補正率データは、顧客別補正率更新処理手段33により各顧客毎に個別に更新される。
約定データ記憶手段47は、約定データ受信処理手段30により市場システム60から専用線2またはネットワーク1を介して受信した約定データを、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて記憶するものである。この約定データには、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、売買区分情報(売買の別)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、約定数量データ(約定株数データ等)、約定単価データなどが含まれる。
差額比率蓄積記憶手段48は、差額比率蓄積処理手段31により算出した仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…に対する差額データの比率データ|Z−M|/Mまたは|Z−M1|/M1,|Z−M2|/M2,|Z−M3|/M3,|Z−M4|/M4…、または約定金額の総額データZに対する差額データの比率データ|Z−M|/Zまたは|Z−M1|/Z,|Z−M2|/Z,|Z−M3|/Z,|Z−M4|/Z…を、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により算出した大幅変動銘柄割合データの属する割合区分と対応させて蓄積記憶するものである。この比率データは、いずれの顧客についての売買が行われたのかを区別することなく、全ての顧客についての売買が行われる都度に、算出されて蓄積保存される。
そして、以上において、取引一任勘定取引サーバ20を構成する処理手段20Aに含まれる各処理手段21〜33は、取引一任勘定取引サーバ20を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラムにより実現される。
また、取引一任勘定取引サーバ20を構成する各記憶手段41〜48は、例えばハードディスク等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこれらの組合せ等を採用してもよい。
さらに、取引一任勘定取引サーバ20は、1台のコンピュータあるいは1つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数のコンピュータ等で分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。
顧客端末装置50は、コンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボード等の入力手段と、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の表示手段と、例えばプリンタやプロッタ等の出力手段とを備えている。なお、顧客端末装置50は、例えば、携帯電話機(PHSも含む。)や携帯情報端末(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタンス)等のモバイル端末であってもよい。
市場システム60は、証券取引所システム等の既存のコンピュータシステムである。なお、新興市場が形成された場合には、新興市場のコンピュータシステムも含まれる。
このような第1実施形態においては、以下のようにして取引一任勘定取引システム10により、取引一任勘定取引のコンピュータ処理が実現される。
図3において、顧客が、顧客端末装置50を操作して注文入力画面100(図7、図8参照)の表示要求信号(顧客識別情報である口座番号を含む。)をネットワーク1を介して取引一任勘定取引サーバ20へ送信すると、取引一任勘定取引サーバ20では、注文受付処理手段21により、表示要求信号を受信し、この要求に応じて注文入力画面100(例えばWeb画面)の表示用データを顧客端末装置50へネットワーク1を介して送信する(ステップS1)。
顧客端末装置50では、取引一任勘定取引サーバ20から送信されてきた注文入力画面100の表示用データを受信すると、顧客端末装置50の表示手段の画面上に、図7、図8に示すような注文入力画面100が表示される(ステップS2)。
図7、図8において、注文入力画面100には、顧客名表示部101と、口座番号表示部102と、売買区分(「買」、「売」、または「買のち売」)を選択する売買区分選択部103と、売買する複数の銘柄を入力(銘柄コードの入力でもよく、銘柄名の選択入力でもよい。)する銘柄入力部110と、銘柄入力部110で入力した各銘柄の売買数量(株式の場合には、売買株数)を入力する数量入力部111と、銘柄組合せの指定をしない注文(種別1,3)の場合に売買の資金総額(「買」の場合の指定総額X、または「売」の場合の指定総額Y)を入力指定する指定総額入力部120と、銘柄組合せの指定なしで、かつ、買い成立後売りの注文(種別3)の場合に利益確定用総額ベース差額データαを入力指定する利益確定用総額ベース差額データ入力部121と、銘柄組合せの指定なしで、かつ、買い成立後売りの注文(種別3)の場合に損切り用総額ベース差額データβを入力指定する損切り用総額ベース差額データ入力部122とが設けられている。
また、注文入力画面100には、銘柄組合せの指定をする注文(種別2,4)の場合に銘柄組合せの指定をするための入力(本実施形態では、チェックを入れると、その銘柄が選択指定される。)を行う銘柄組合せ入力部130と、銘柄組合せの指定をする注文(種別2,4)の場合に各銘柄組合せ毎の売買の資金総額(「買」の場合の組合せ別指定総額X1,X2,X3,X4…、または「売」の場合の組合せ別指定総額Y1,Y2,Y3,Y4…)を入力指定する指定総額入力部140と、銘柄組合せの指定をし、かつ、買い成立後売りの注文(種別4)の場合に利益確定用総額ベース差額データα1,α2,α3,α4…を入力指定(各銘柄組合せに共通のα=α1=α2=α3=α4としてもよく、あるいは共通のαしか入力できないようにしてもよい。)する利益確定用総額ベース差額データ入力部141と、銘柄組合せの指定をし、かつ、買い成立後売りの注文(種別4)の場合に損切り用総額ベース差額データβ1,β2,β3,β4…を入力指定(各銘柄組合せに共通のβ=β1=β2=β3=β4としてもよく、あるいは共通のβしか入力できないようにしてもよい。)する損切り用総額ベース差額データ入力部142とが設けられている。なお、図7、図8の注文入力画面100の例では、入力指定することができる銘柄組合せの組数は、8組までとされているが、これに限定されるものではなく、組数は任意である。
さらに、注文入力画面100には、総額履歴表示画面200(図7参照)や組合せ別総額履歴表示画面300(図8参照)を表示させるための「総額履歴表示」ボタン150と、注文入力画面100で入力した注文データを取引一任勘定取引サーバ20へ送信するための「注文送信」ボタン151と、注文入力画面100での入力を取り消すための「キャンセル」ボタン152とが設けられている。
図7に示すように、注文入力画面100において、顧客が、銘柄入力部110に複数の銘柄を入力し、かつ、数量入力部111に各銘柄の数量を入力し(図3のステップS3)、この状態で「総額履歴表示」ボタン150をクリックすると、総額履歴表示画面200の表示要求信号とともに、銘柄入力部110に入力された複数の銘柄についての各銘柄識別情報と、数量入力部111に入力された各銘柄の数量データとが、ネットワーク1を介して取引一任勘定取引サーバ20へ送信される(ステップS4)。
また、図8に示すように、注文入力画面100において、顧客が、銘柄入力部110に複数の銘柄を入力し、かつ、数量入力部111に各銘柄の数量を入力し、かつ、銘柄組合せ入力部130で銘柄組合せの指定のための入力をし(図3のステップS3)、この状態で「総額履歴表示」ボタン150をクリックすると、組合せ別総額履歴表示画面300の表示要求信号とともに、銘柄入力部110に入力された複数の銘柄についての各銘柄識別情報と、数量入力部111に入力された各銘柄の数量データと、銘柄組合せ入力部130で入力指定された複数組の銘柄組合せの各々についての銘柄組合せ情報(銘柄識別情報の組合せ)とが、ネットワーク1を介して取引一任勘定取引サーバ20へ送信される(ステップS4)。
取引一任勘定取引サーバ20では、総額履歴表示処理手段22により、顧客端末装置50から送信されてきた総額履歴表示画面200(図7参照)の表示要求信号および入力データを受信すると(図3のステップS5)、受信した各銘柄(例えば、銘柄A、銘柄B、銘柄Cとする。)の数量データ(例えば、a1、b1、c1とする。)と、相場情報蓄積記憶手段42に記憶されたそれらの銘柄(銘柄A、銘柄B、銘柄C)の過去から現在に至るまでの各時点t1,t2,t3…での単価データa3(t1),a3(t2),a3(t3)…、b3(t1),b3(t2),b3(t3)…、c3(t1),c3(t2),c3(t3)…とを乗じた金額データを、受信した複数の銘柄の全てについて各時点毎に加算する。すなわち、N(t1)=a1*a3(t1)+b1*b3(t1)+c1*c3(t1)により時点t1での総額データN(t1)を算出し、N(t2)=a1*a3(t2)+b1*b3(t2)+c1*c3(t2)により時点t2での総額データN(t2)を算出し、N(t3)=a1*a3(t3)+b1*b3(t3)+c1*c3(t3)により時点t3での総額データN(t3)を算出し、同様にして時点t4以降の各時点での総額データN(t4),N(t5),N(t6)…も算出する。そして、このようにして算出した過去から現在に至るまでの各時点t1,t2,t3…での総額データN(t1),N(t2),N(t3)…を用いて、総額履歴表示画面200(図7参照)の表示用データを作成し、ネットワーク1を介して顧客端末装置50へ送信する(図3のステップS6)。
顧客端末装置50で、取引一任勘定取引サーバ20から送信されてきた総額履歴表示画面200(図7参照)の表示用データを受信すると、顧客端末装置50の表示手段の画面上に、図7に示すような総額履歴表示画面200(例えばWeb画面)が表示される(図3のステップS7)。この総額履歴表示画面200には、横軸を時間(時点t1,t2,t3…)とし、縦軸を総額データN(t1),N(t2),N(t3)…とする総額履歴グラフを表示する総額履歴グラフ表示部201が設けられるとともに、総額データの現在値表示部202が設けられている。
従って、顧客は、図7の総額履歴表示画面200の総額履歴グラフ表示部201で総額データの変動状況を把握し、現在値表示部202で総額データの現在値を把握することができ、把握した情報を参考にして、図7に示すように、注文入力画面100において、単価一任の注文(種別1)をする場合には、指定総額入力部120に指定総額(「買」の場合の指定総額X、または「売」の場合の指定総額Y)を入力することができ、単価一任・買い成立後売りの注文(種別3)をする場合には、指定総額入力部120に指定総額(「買」の場合の指定総額X)を入力し、かつ、利益確定用総額ベース差額データ入力部121に利益確定用総額ベース差額データαを入力(本実施形態では、αは、金額で入力するが、パーセンテージで入力してもよい。)し、かつ、損切り用総額ベース差額データ入力部122に損切り用総額ベース差額データβを入力(本実施形態では、βは、金額で入力するが、パーセンテージで入力してもよい。)することができる(図3のステップS8)。
また、取引一任勘定取引サーバ20では、総額履歴表示処理手段22により、顧客端末装置50から送信されてきた組合せ別総額履歴表示画面300(図8参照)の表示要求信号および入力データを受信すると(図3のステップS5)、受信した複数組の銘柄組合せ情報の銘柄組合せ(例えば、銘柄A,Bを組み合わせた銘柄組合せ1、銘柄A,Cを組み合わせた銘柄組合せ2、銘柄B,Cを組み合わせた銘柄組合せ3、銘柄A,B,Cを組み合わせた銘柄組合せ4という4組の銘柄組合せとする。)の各々について、受信した各銘柄(例えば、銘柄A、銘柄B、銘柄Cとする。)の数量データ(例えば、a1、b1、c1とする。)と、相場情報蓄積記憶手段42に記憶されたそれらの銘柄(a1、b1、c1)の過去から現在に至るまでの各時点t1,t2,t3…での単価データa3(t1),a3(t2),a3(t3)…、b3(t1),b3(t2),b3(t3)…、c3(t1),c3(t2),c3(t3)…とを乗じた金額データを、銘柄組合せを構成する全銘柄について各時点毎に加算する。すなわち、銘柄A,Bを組み合わせた銘柄組合せ1について、N1(t1)=a1*a3(t1)+b1*b3(t1)により時点t1での組合せ別総額データN1(t1)を算出し、N1(t2)=a1*a3(t2)+b1*b3(t2)により時点t2での組合せ別総額データN1(t2)を算出し、N1(t3)=a1*a3(t3)+b1*b3(t3)により時点t3での組合せ別総額データN1(t3)を算出し、同様にして時点t4以降の各時点での組合せ別総額データN1(t4),N1(t5),N1(t6)…も算出する。また、銘柄A,Cを組み合わせた銘柄組合せ2について、N2(t1)=a1*a3(t1)+c1*c3(t1)により時点t1での組合せ別総額データN2(t1)を算出し、N2(t2)=a1*a3(t2)+c1*c3(t2)により時点t2での組合せ別総額データN2(t2)を算出し、N2(t3)=a1*a3(t3)+c1*c3(t3)により時点t3での組合せ別総額データN2(t3)を算出し、同様にして時点t4以降の各時点での組合せ別総額データN2(t4),N2(t5),N2(t6)…も算出する。さらに、銘柄B,Cを組み合わせた銘柄組合せ3について、N3(t1)=b1*b3(t1)+c1*c3(t1)により時点t1での組合せ別総額データN3(t1)を算出し、N3(t2)=b1*b3(t2)+c1*c3(t2)により時点t2での組合せ別総額データN3(t2)を算出し、N3(t3)=b1*b3(t3)+c1*c3(t3)により時点t3での組合せ別総額データN3(t3)を算出し、同様にして時点t4以降の各時点での組合せ別総額データN3(t4),N3(t5),N3(t6)…も算出する。また、銘柄A,B,Cを組み合わせた銘柄組合せ4について、N4(t1)=a1*a3(t1)+b1*b3(t1)+c1*c3(t1)により時点t1での組合せ別総額データN4(t1)を算出し、N4(t2)=a1*a3(t2)+b1*b3(t2)+c1*c3(t2)により時点t2での組合せ別総額データN4(t2)を算出し、N4(t3)=a1*a3(t3)+b1*b3(t3)+c1*c3(t3)により時点t3での組合せ別総額データN4(t3)を算出し、同様にして時点t4以降の各時点での組合せ別総額データN4(t4),N4(t5),N4(t6)…も算出する。そして、このようにして算出した銘柄A,Bを組み合わせた銘柄組合せ1についての過去から現在に至るまでの各時点t1,t2,t3…での組合せ別総額データN1(t1),N1(t2),N1(t3)…、銘柄A,Cを組み合わせた銘柄組合せ2についての過去から現在に至るまでの各時点t1,t2,t3…での組合せ別総額データN2(t1),N2(t2),N2(t3)…、銘柄B,Cを組み合わせた銘柄組合せ3についての過去から現在に至るまでの各時点t1,t2,t3…での組合せ別総額データN3(t1),N3(t2),N3(t3)…、および銘柄A,B,Cを組み合わせた銘柄組合せ4についての過去から現在に至るまでの各時点t1,t2,t3…での組合せ別総額データN4(t1),N4(t2),N4(t3)…を用いて、組合せ別総額履歴表示画面300(図8参照)の表示用データを作成し、ネットワーク1を介して顧客端末装置50へ送信する(図3のステップS6)。
顧客端末装置50で、取引一任勘定取引サーバ20から送信されてきた組合せ別総額履歴表示画面300(図8参照)の表示用データを受信すると、顧客端末装置50の表示手段の画面上に、図8に示すような組合せ別総額履歴表示画面300(例えばWeb画面)が表示される(図3のステップS7)。この総額履歴表示画面300には、横軸を時間(時点t1,t2,t3…)とし、縦軸を組合せ別総額データN1(t1),N1(t2),N1(t3)…とする銘柄A,Bを組み合わせた銘柄組合せ1についての組合せ別総額履歴グラフと、同じく横軸を時間(時点t1,t2,t3…)とし、縦軸を組合せ別総額データN2(t1),N2(t2),N2(t3)…とする銘柄A,Cを組み合わせた銘柄組合せ2についての組合せ別総額履歴グラフと、同じく横軸を時間(時点t1,t2,t3…)とし、縦軸を組合せ別総額データN3(t1),N3(t2),N3(t3)…とする銘柄B,Cを組み合わせた銘柄組合せ3についての組合せ別総額履歴グラフと、同じく横軸を時間(時点t1,t2,t3…)とし、縦軸を組合せ別総額データN4(t1),N4(t2),N4(t3)…とする銘柄A,B,Cを組み合わせた銘柄組合せ4についての組合せ別総額履歴グラフとを表示する組合せ別総額履歴グラフ表示部301が設けられるとともに、各組合せ別総額データN1,N2,N3,N4の現在値表示部302が設けられている。
従って、顧客は、図8の組合せ別総額履歴表示画面300の組合せ別総額履歴グラフ表示部301で各組合せ別総額データN1,N2,N3,N4…の変動状況を把握し、現在値表示部302で各組合せ別総額データN1,N2,N3,N4…の現在値を把握することができ、把握した情報を参考にして、図8に示すように、注文入力画面100において、単価一任・銘柄組合せの注文(種別2)をする場合には、各指定総額入力部140に指定総額(「買」の場合の組合せ別指定総額X1,X2,X3,X4…、または「売」の場合の組合せ別指定総額Y1,Y2,Y3,Y4…)を入力することができ、単価一任・銘柄組合せ・買い成立後売りの注文(種別4)をする場合には、各指定総額入力部140に指定総額(「買」の場合の組合せ別指定総額X1,X2,X3,X4…)を入力し、かつ、各利益確定用総額ベース差額データ入力部141に利益確定用総額ベース差額データα1,α2,α3,α4…を入力(本実施形態では、α1,α2,α3,α4…は、金額で入力するが、パーセンテージで入力してもよい。)し、かつ、各損切り用総額ベース差額データ入力部142に損切り用総額ベース差額データβ1,β2,β3,β4…を入力(本実施形態では、β1,β2,β3,β4…は、金額で入力するが、パーセンテージで入力してもよい。)することができる(図3のステップS8)。
このようにして注文入力画面100において注文データの入力を終えてから、注文入力画面100の「注文送信」ボタン151をクリックすると、注文データがネットワーク1を介して取引一任勘定取引サーバ20へ送信される(ステップS8)。
取引一任勘定取引サーバ20では、注文受付処理手段21により、顧客端末装置50からネットワーク1を介して送信されてきた注文データを受信し、受信した注文データを、自動採番した注文識別情報(注文番号等)および注文した顧客の顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて注文データ記憶手段41(図2参照)に記憶保存する(ステップS9)。この際、注文受付処理手段21は、受信した注文データの形式に応じて、種別1〜4のいずれの注文であるのかを判断し、判断結果として得られた注文種別データも注文データ記憶手段41に記憶させる。
以上に述べた図3のステップS1〜S9の処理は、顧客からの注文がある都度に行われる。また、これと並行して、以下のような図3のステップS10〜S20の処理が、例えば定期的に繰り返し行われる。
図3において、取引一任勘定取引サーバ20では、相場情報取得処理手段23により、市場システム60またはその他の相場情報提供システムから、専用線2またはネットワーク1を介して相場情報(本実施形態では、本システム10で取り扱う全ての銘柄についての相場情報)を取得し、取得した相場情報を、銘柄識別情報に関連付けて相場情報蓄積記憶手段42に記憶保存する(ステップS10)。
続いて、変動指標値算出処理手段25により、相場情報蓄積記憶手段42に記憶されている各銘柄(本実施形態では、本システム10で取り扱う全ての銘柄)の相場情報を用いて、それらの各銘柄の単価の変動の大小を示す変動指標値データ(本実施形態では、一例として変動率データとする。)を算出し、算出した各銘柄の最新の変動指標値データ(変動率データ)を、銘柄識別情報と関連付けて変動指標値記憶手段43(図6参照)に記憶させる(ステップS11)。例えば、変動指標値算出処理手段25は、各銘柄について、変動率データ=(高値データ−安値データ)/始値データ、あるいは、変動率データ=(高値データ−安値データ)/前日の終値データ等の式により、変動率データを算出する。
その後、取引一任勘定取引サーバ20では、処理手段20Aにより、大幅変動銘柄割合算出処理手段26、適用余裕率決定処理手段27、仮総額データ算出処理手段24、総額条件判定処理手段28、および発注処理手段29による各処理を行う対象となる注文データを抽出するために、先ず、注文データ記憶手段41(図2参照)の注文種別データを参照して、各注文データが種別1〜4のいずれであるかという情報を取得する。そして、種別1,2の注文データの場合には、発注処理済フラグを参照して発注処理が未済(例えば「0」)である注文データを抽出し、抽出した注文データの売買区分情報を参照して、買い注文であるか、売り注文であるかの情報を取得する。種別3の注文データの場合には、買いの発注処理済フラグを参照して買いの発注処理が未済(例えば「0」)である注文データを抽出し、買いの発注処理が済(例えば「1」)であるときには、売りの発注処理済フラグを参照して売りの発注処理が未済(例えば「0」)である注文データを抽出する。種別4の注文データの場合には、買いの発注処理済フラグを参照して買いの発注処理が未済(例えば「0」)である注文データを抽出し、買いの発注処理が済(例えば「1」)であるときには、売りの発注処理済フラグを参照して売りの発注処理が未済(例えば「0」)である注文データを抽出するとともに、発注処理済銘柄組合せ情報を参照していずれの銘柄組合せについて買いの発注処理を行ったのか(つまり、いずれの銘柄組合せについて売りの発注処理を行うのか)という情報を取得する。
それから、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により、変動指標値記憶手段43に記憶された各銘柄の変動指標値データ(変動率データ)を用いて、銘柄組合せの入力指定がない注文(種別1,3)の場合には、売買する複数の銘柄のうち変動指標値(変動率)が一定値以上(一定値超過でもよい。)の銘柄の占める割合を示す大幅変動銘柄割合データを算出し、銘柄組合せの入力指定がある注文(種別2,4)の場合には、各銘柄組合せ毎に、銘柄組合せを構成する銘柄のうち変動指標値(変動率)が一定値以上(一定値超過でもよい。)の銘柄の占める割合を示す大幅変動銘柄割合データを算出する(ステップS12)。例えば、図6に示すように、顧客が、銘柄A、銘柄B、銘柄Cを入力し、かつ、銘柄組合せの指定をしなかった場合において、銘柄Aの変動率を3%、銘柄Bの変動率を8%、銘柄Cの変動率を4%とし、大幅変動銘柄であるか否かの判定の閾値となる一定値を5%とすると、3つの銘柄A,B,Cのうち、1つの銘柄Bの変動率が5%以上(5%を超過でもよい。)であり、残りの2つの銘柄A,Cの変動率は5%未満(5%以下でもよい。)であるから、大幅変動銘柄割合データは、1/3=33.3%となる。また、顧客が、銘柄A、銘柄B、銘柄Cを入力し、かつ、銘柄組合せ1として、銘柄Aと銘柄Bとの組合せを指定している場合には、その銘柄組合せ1を構成する2つの銘柄A,Bのうち、1つの銘柄Bの変動率が5%以上(5%を超過でもよい。)であり、残りの1つの銘柄Aの変動率は5%未満(5%以下でもよい。)であるから、大幅変動銘柄割合データは、1/2=50%となる。
続いて、適用余裕率決定処理手段27により、余裕率記憶手段44のベース率記憶手段45(図6参照)に記憶されたベース率データの中から、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により算出された大幅変動銘柄割合データの属する割合区分に対応するベース率データを取得する。例えば、大幅変動銘柄割合データが33.3%であれば、「20%以上、40%未満」の割合区分に属するので、その割合区分に対応するベース率データ2%が、適用するベース率データとなる。また、余裕率記憶手段44の顧客別補正率記憶手段46(図6参照)に記憶された顧客別補正率データの中から、顧客識別情報をキーとして売買注文を行った顧客の顧客別補正率データを取得する。例えば、売買注文を行った顧客が、大和太郎であれば、大和太郎の顧客識別情報(口座番号=KKKK)に関連付けて記憶されている顧客別補正率データである0%(初期値)を取得する。そして、取得したベース率データ(例えば2%)に、取得した顧客別補正率データ(例えば0%)を加算することにより、適用する余裕率データ(例えば2%+0%=2%)を算出して決定する(図3のステップS13)。
それから、仮総額データ算出処理手段24により、銘柄組合せの入力指定がない注文(種別1,3)の場合には、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄識別情報の銘柄(例えば、銘柄A、銘柄B、銘柄Cとする。)について相場情報蓄積記憶手段42に記憶された最新の相場情報(図6参照)と、注文データ記憶手段41に記憶されたそれらの各銘柄(銘柄A、銘柄B、銘柄C)の数量データ(a1、b1、c1)とを用いて、仮の資金総額を示す仮総額データMを算出する(ステップS14)。なお、仮総額データMに、手数料や税金等を含めてもよい。
また、銘柄組合せの入力指定がある注文(種別2,4)の場合には、複数組の銘柄組合せ(例えば、銘柄A,Bを組み合わせた銘柄組合せ1、銘柄A,Cを組み合わせた銘柄組合せ2、銘柄B,Cを組み合わせた銘柄組合せ3、銘柄A,B,Cを組み合わせた銘柄組合せ4という4組の銘柄組合せとする。)の各々について、注文データ記憶手段41に記憶された銘柄組合せ情報を構成する各銘柄識別情報の銘柄について相場情報蓄積記憶手段42に記憶された最新の相場情報(図6参照)と、注文データ記憶手段41に記憶されたそれらの各銘柄の数量データとを用いて、各銘柄組合せ毎の仮の資金総額を示す組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4を算出する(ステップS14)。例えば、銘柄A,Bを組み合わせた銘柄組合せ1については、注文データ記憶手段41に記憶された銘柄組合せ情報1を構成する各銘柄識別情報の銘柄(銘柄A、銘柄B)について相場情報蓄積記憶手段42に記憶された最新の相場情報(図6参照)と、注文データ記憶手段41に記憶されたそれらの各銘柄(銘柄A、銘柄B)の数量データ(a1、b1)とを用いて、組合せ別仮総額データM1を算出する。他の銘柄組合せ2,3,4についての組合せ別仮総額データM2,M3,M4も同様に算出する。なお、組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…に、手数料や税金等を含めてもよい。
具体的には、仮総額データ算出処理手段24は、購入処理時には、注文データ記憶手段41に記憶された複数の銘柄の各々(銘柄組合せの場合には、その銘柄組合せを構成する複数の銘柄の各々)について、相場情報(図6参照)を構成する気配値データが安い順に、気配値データに対応する売気配数量データを加算していくとともに、気配値データとこの気配値データに対応する売気配数量データとを乗じた金額データを加算していき、売気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)に達するまで加算を続け、達したときまでの気配値データとこの気配値データに対応する売気配数量データとを乗じた金額データの累計金額データを算出する。そして、算出した各銘柄毎の累計金額データを合計して仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…を算出する。
一方、仮総額データ算出処理手段24は、売却処理時には、注文データ記憶手段41に記憶された複数の銘柄の各々(銘柄組合せの場合には、その銘柄組合せを構成する複数の銘柄の各々)について、相場情報(図6参照)を構成する気配値データが高い順に、気配値データに対応する買気配数量データを加算していくとともに、気配値データとこの気配値データに対応する買気配数量データとを乗じた金額データを加算していき、買気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)に達するまで加算を続け、達したときまでの気配値データとこの気配値データに対応する買気配数量データとを乗じた金額データの累計金額データを算出する。そして、算出した各銘柄毎の累計金額データを合計して仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…を算出する。
例えば、銘柄Aの相場情報を構成する気配数量データ(売気配数量データまたは買気配数量データ)をa11、a12、a13…とし、対応する気配値データをa21、a22、a23…とすると、a11+a12+a13+…=a1(a1は、注文データ記憶手段41に記憶された銘柄Aの数量データ)となるまで加算を続け、このとき、気配数量データ×気配値データで得られる金額データの累計金額データは、a11*a21+a12*a22+a13*a23+…となる。同様にして銘柄B,Cについても、気配数量データ×気配値データで得られる金額データの累計金額データを算出する。そして、これらを合計して仮総額データMを、M=(a11*a21+a12*a22+a13*a23+…)+(銘柄Bについても同様)+(銘柄Cについても同様)という式により算出する。
具体的数値例を挙げて説明すれば、銘柄Aの相場情報が図6に示す状態であり、かつ、注文データ記憶手段41に記憶された銘柄Aの数量データがa1=8000株で、買い注文である場合には、仮総額データMを、M=(497(円)*2000(株)+498(円)*5000(株)+499(円)*1000(株))+(銘柄Bについても同様)+(銘柄Cについても同様)という式により算出する。一方、銘柄Aの相場情報が図6に示す状態であり、かつ、注文データ記憶手段41に記憶された銘柄Aの数量データがa1=11000株で、売り注文である場合には、仮総額データMを、M=(496(円)*5000(株)+495(円)*4000(株)+494(円)*2000(株))+(銘柄Bについても同様)+(銘柄Cについても同様)という式により算出する。
なお、上記の買い注文である場合の式中において、銘柄Aについての累計金額データの算出部分の最後の項が、499円*1000(株)となっており、銘柄Aの相場情報を構成する気配値データ=499円に対応する売気配数量データ=2000株を用いていないが、これは、2000株の全てを加算すると、a1=8000株を超えてしまうからであり、499円*{8000(株)−(2000(株)+5000(株))}という計算を行ったものである。また、上記の売り注文である場合の式中において、銘柄Aについての累計金額データの算出部分の最後の項が、494(円)*2000(株)となっており、銘柄Aの相場情報を構成する気配値データ=494円に対応する買気配数量データ=3000株を用いていないが、これは、3000株の全てを加算すると、a1=11000株を超えてしまうからであり、494(円)*{11000(株)−(5000(株)+4000(株))}という計算を行ったものである。このように気配数量データを加算していったときに端数が生じるので、実際には、例えば、図5に示すような処理を行う。
図5において、仮総額データ算出処理手段24は、仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…の算出処理において、気配数量データ×気配値データで得られる金額データの累計金額データを各銘柄毎に算出する処理を開始する(ステップS1401)。この際、気配数量データ(売気配数量データまたは買気配数量データ)の累計数量データを初期化してゼロとしておき、ゼロからスタートして気配数量データを加算していく。また、気配数量データ×気配値データで得られる金額データの累計金額データも初期化してゼロとしておき、ゼロからスタートして気配数量データ×気配値データで得られる金額データを加算していく。
続いて、買い注文の場合には、最初に、最も安い気配値データに対応する売気配数量データ(売気配数量データがゼロまたはNULLのときには、順次、その次に安い気配値データに対応する売気配数量データ)を加算する。一方、売り注文の場合には、最初に、最も高い気配値データに対応する買気配数量データ(買気配数量データがゼロまたはNULLのときには、順次、その次に高い気配値データに対応する買気配数量データ)を加算する(ステップS1402)。すなわち、加算により、気配数量データ(売気配数量データまたは買気配数量データ)の累計数量データの更新を行う。
そして、ステップS1402の加算により、気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄の数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)と一致したか否かを判断し(ステップS1403)、一致していた場合には、気配数量データ(売気配数量データまたは買気配数量データ)と気配値データとを乗じた金額データを加算する(ステップS1404)。すなわち、加算により、気配数量データ×気配値データで得られる金額データの累計金額データの更新を行う。なお、このステップS1404の処理は、最後の加算処理、すなわち最終の更新処理となるので、このステップS1404の処理後に、現在処理対象としている銘柄についての気配数量データ×気配値データで得られる金額データの累計金額データの算出処理を終了する(ステップS1405)。
一方、ステップS1403で、一致していなかった場合には、気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄の数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)を超えたか否かを判断し(ステップS1406)、超えていた場合には、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄の数量データから、超える直前の気配数量データの累計数量データを減じた数量データに、超えたときの気配値データを乗じた金額データを加算する(ステップS1407)。すなわち、加算により、気配数量データ(但し、最後は気配数量データの一部)×気配値データで得られる金額データの累計金額データの更新を行う。上記の具体的数値例においては、499円*{8000(株)−(2000(株)+5000(株))}、あるいは、494(円)*{11000(株)−(5000(株)+4000(株))}という項を加算する処理が、ステップS1407の処理に該当する。なお、このステップS1407の処理は、最後の加算処理、すなわち最終の更新処理となるので、このステップS1407の処理後に、現在処理対象としている銘柄についての気配数量データ×気配値データで得られる金額データの累計金額データの算出処理を終了する(ステップS1405)。
また、ステップS1403で、一致していなかった場合であり、かつ、ステップS1406で、超えていなかった場合には、気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄の数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)に未だ達していない状態(未満の状態)であるから、気配数量データに気配値データを乗じた金額データを加算する(ステップS1408)。すなわち、加算により、気配数量データ×気配値データで得られる金額データの累計金額データの更新を行う。
そして、ステップS1408の処理後に、ステップS1402の処理に戻り、買い注文の場合には、ステップS1408の処理で用いられた気配値データの次に安い気配値データに対応する売気配数量データを加算する。一方、売り注文の場合には、ステップS1408の処理で用いられた気配値データの次に高い気配値データに対応する買気配数量データを加算する。このようにして、気配数量データの累計数量データが、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄の数量データ(顧客が入力指定した各銘柄の数量データ)と一致するか、または超えるまで、S1402,S1408の処理を繰り返す。
その後、総額条件判定処理手段28により、ステップS13で適用余裕率決定処理手段27により算出決定された余裕率データを用いて、次のようにして総額ベースで購入条件や売却条件の合否判定処理を行う(図3のステップS15)。すなわち、購入処理時には、指定総額データXまたは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…に(1−余裕率データ)を乗じて指定総額データXまたは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…を減額してから、仮総額データMが、余裕率データを用いて減額された指定総額データX以下(X未満でもよい。)という購入条件、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、余裕率データを用いて減額された組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…以下(X1,X2,X3,X4…未満でもよい。)という購入条件を満たすか否かを判断する。例えば、余裕率データが2%(0.02)の場合には、M≦X*(1−0.02)(M<X*(1−0.02)でもよい。)、あるいはM1≦X1*(1−0.02)、M2≦X2*(1−0.02)、M3≦X3*(1−0.02)、M4≦X4*(1−0.02)…(M1<X1*(1−0.02)、M2<X2*(1−0.02)、M3<X3*(1−0.02)、M4<X4*(1−0.02)…でもよい。)を判断する。
一方、売却処理時には、指定総額データYまたは組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…に(1+余裕率データ)を乗じて指定総額データYまたは組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…を増額してから、仮総額データMが、余裕率データを用いて増額された指定総額データY以上(Y超過でもよい。)という売却条件、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、余裕率データを用いて増額された組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…以上(Y1,Y2,Y3,Y4…超過でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断する。例えば、余裕率データが2%(0.02)の場合には、M≧Y*(1+0.02)(M>Y*(1+0.02)でもよい。)、あるいはM1≧Y1*(1+0.02)、M2≧Y2*(1+0.02)、M3≧Y3*(1+0.02)、M4≧Y4*(1+0.02)…(M1>Y1*(1+0.02)、M2>Y2*(1+0.02)、M3>Y3*(1+0.02)、M4>Y4*(1+0.02)…でもよい。)を判断する。
また、買い成立後の利益確定用の売却処理時には、利益確定用の指定総額データ(Z+α)または(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…に(1+余裕率データ)を乗じて利益確定用の指定総額データ(Z+α)または(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…を増額してから、仮総額データMが、余裕率データを用いて増額された利益確定用の指定総額データ(Z+α)以上((Z+α)超過でもよい。)という売却条件、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、余裕率データを用いて増額された利益確定用の指定総額データ(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…以上((Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…超過でもよい。)という売却条件を満たすか否かを判断する。例えば、余裕率データが2%(0.02)の場合には、M≧(Z+α)*(1+0.02)(M>(Z+α)*(1+0.02)でもよい。)、あるいはM1≧(Z+α1)*(1+0.02)、M2≧(Z+α2)*(1+0.02)、M3≧(Z+α3)*(1+0.02)、M4≧(Z+α4)*(1+0.02)…(M1>(Z+α1)*(1+0.02)、M2>(Z+α2)*(1+0.02)、M3>(Z+α3)*(1+0.02)、M4>(Z+α4)*(1+0.02)…でもよい。)を判断する。
さらに、本実施形態では、総額条件判定処理手段28により、買い成立後の損切り用の売却処理時には、余裕率データを用いずに、総額ベースで売却条件の合否判定処理を行う。すなわち、仮総額データMが、損切り用の指定総額データ(Z−β)以下((Z−β)未満でもよい。)という売却条件、M≦(Z−β)(M<(Z−β)でもよい。)、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…が、損切り用の指定総額データ(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…以下((Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…未満でもよい。)という売却条件、M1≦(Z−β1)、M2≦(Z−β2)、M3≦(Z−β3)、M4≦(Z−β4)…(M1<(Z−β1)、M2<(Z−β2)、M3<(Z−β3)、M4<(Z−β4)…でもよい。)を満たすか否かを判断する。なお、買い成立後の損切り用の売却処理時にも、余裕率データを用いて合否判定処理を行ってもよく、この場合には、損切り用の指定総額データ(Z−β)または(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…を、より下げてZから遠ざける処理としてもよく、あるいは上げてZに近づける処理としてもよい。
ステップS15で、総額条件判定処理手段28により購入条件または売却条件を満たすと判断された場合には(ステップS16)、発注処理手段29により、注文データ記憶手段41に記憶された注文データを用いて、市場システム60への買いまたは売りの発注処理を行う(ステップS17)。すなわち、発注処理手段29により、注文データ記憶手段41に記憶された注文データを用いて、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、売買区分情報(売買の別)、銘柄識別情報(銘柄コード等)、数量データ(株数データ等)などを含む発注データを、売買する各銘柄について作成し、作成した発注データを、専用線2またはネットワーク1を介して市場システム60へ送信する。なお、本実施形態では、成行で発注するものとする。
この際、発注処理手段29は、銘柄組合せの指定がある種別2,4の注文の場合には、組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…のいずれかが購入条件または売却条件を満たすと判断した場合に、その条件を満たした銘柄組合せについてのみ市場システム60への買いまたは売りの発注処理を行う。なお、組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…のうちの複数が同時に購入条件または売却条件を満たした場合には、図8のように銘柄組合せ1〜8の入力指定を行った順番に従って優先順位を決めることにより(例えば、銘柄組合せ1の優先順位を最も高くし、銘柄組合せ8の優先順位を最も低くする。)、同時に条件を満たした銘柄組合せのうち、いずれか1つの銘柄組合せの発注処理を行うようにしてもよく、あるいは別途に各銘柄組合せの優先順位を入力指定するようにしてもよい。
また、発注処理手段29により、発注処理を行った注文データ(種別1,2)について、注文データ記憶手段41の当該注文データについての発注処理済フラグを立てて発注処理済とする。例えば、フラグを「0」から「1」に変える。買い成立後売りの注文データ(種別3,4)については、買いの発注処理を行ったときに、買いの発注処理済フラグを立て、売りの発注処理を行ったときに、売りの発注処理済フラグを立てる。なお、単価一任・銘柄組合せ・買い成立後売りの注文データ(種別4)について、買いの発注処理を行ったときには、買いの発注処理済フラグを立てるとともに、いずれの銘柄組合せについて買いの発注処理を行ったのか(つまり、いずれの銘柄組合せが売りの発注処理の対象となるのか)を示す発注処理済銘柄組合せ情報を、注文データ記憶手段41に記憶させる。
その後、約定データ受信処理手段30により、市場システム60から専用線2またはネットワーク1を介して送信されてくる約定データを受信し、受信した約定データを、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて約定データ記憶手段47に記憶保存する(ステップS18)。
それから、顧客別補正率更新処理手段33により、余裕率記憶手段44の顧客別補正率記憶手段46に記憶された顧客別補正率データを更新する(ステップS19)。すなわち、先ず、約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて、各銘柄毎に約定単価データと約定数量データとを乗じた金額データを合計して約定金額の総額データZを算出する。そして、算出した約定金額の総額データZと、指定総額データXまたはYとの差額データ|Z−X|または|Z−Y|、あるいは約定金額の総額データZと、組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…との差額データ|Z−X1|,|Z−X2|,|Z−X3|,|Z−X4|…または|Z−Y1|,|Z−Y2|,|Z−Y3|,|Z−Y4|…を算出する。さらに、指定総額データXまたはYに対する差額データの比率データ|Z−X|/Xまたは|Z−Y|/Y、あるいは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…に対する差額データの比率データ|Z−X1|/X1,|Z−X2|/X2,|Z−X3|/X3,|Z−X4|/X4…または|Z−Y1|/Y1,|Z−Y2|/Y2,|Z−Y3|/Y3,|Z−Y4|/Y4…を算出する。
次に、顧客別補正率更新処理手段33により、購入処理時に、約定金額の総額データZが指定総額データXまたは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…を超えた場合(但し、前述した総額条件判定処理手段28における購入条件の合否判定処理がXまたはX1,X2,X3,X4…以下ではなく、未満で判断されるときには、ここでの顧客別補正率更新処理手段33による判断は、ZがXまたはX1,X2,X3,X4…以上であった場合となる。)には、顧客にとって損失となる側の結果になったわけであるから、その顧客についての次回の処理で、現時点よりも大きな余裕を持たせた状態で条件合否判定を行うことができるように、現時点での顧客別補正率データに対し、上記で算出した比率データをプラスのデータとして加算する。一方、約定金額の総額データZが指定総額データXまたは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…以下であった場合(但し、前述した総額条件判定処理手段28における購入条件の合否判定処理がXまたはX1,X2,X3,X4…以下ではなく、未満で判断されるときには、ここでの顧客別補正率更新処理手段33による判断は、ZがXまたはX1,X2,X3,X4…を下回った場合となる。)には、顧客にとって利益になる側の結果になったわけであるから、その顧客についての次回の処理で持たせる余裕を現時点よりも小さくするために、現時点での顧客別補正率データに対し、上記で算出した比率データをマイナスのデータとして加算する。但し、顧客別補正率データの初期値はゼロであり、上記で算出した比率データをマイナスのデータとして加算(つまり、減算)した結果、初期値であるゼロを下回った場合には、更新後の顧客別補正率データはゼロとする。すなわち、顧客別補正率データをマイナス値にならないようにすることで、余裕率データとして、いつでもベース率データの値は確保できるようにする。
また、顧客別補正率更新処理手段33により、売却処理時に、約定金額の総額データZが指定総額データYまたは組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…を下回った場合(但し、前述した総額条件判定処理手段28における売却条件の合否判定処理がYまたはY1,Y2,Y3,Y4…以上ではなく、超過で判断されるときには、ここでの顧客別補正率更新処理手段33による判断は、ZがYまたはY1,Y2,Y3,Y4…以下であった場合となる。)には、顧客にとって損失となる側の結果になったわけであるから、その顧客についての次回の処理で、現時点よりも大きな余裕を持たせた状態で条件合否判定を行うことができるように、現時点での顧客別補正率データに対し、上記で算出した比率データをプラスのデータとして加算する。一方、約定金額の総額データZが指定総額データYまたは組合せ別指定総額データY1,Y2,Y3,Y4…以上であった場合(但し、前述した総額条件判定処理手段28における売却条件の合否判定処理がYまたはY1,Y2,Y3,Y4…以上ではなく、超過で判断されるときには、ここでの顧客別補正率更新処理手段33による判断は、ZがYまたはY1,Y2,Y3,Y4…を超えた場合となる。)には、顧客にとって利益になる側の結果になったわけであるから、その顧客についての次回の処理で持たせる余裕を現時点よりも小さくするために、現時点での顧客別補正率データに対し、上記で算出した比率データをマイナスのデータとして加算する。但し、売却処理時も購入処理時と同様に、上記で算出した比率データをマイナスのデータとして加算(つまり、減算)した結果、初期値であるゼロを下回った場合には、更新後の顧客別補正率データはゼロとする。
ここで、ある1人の顧客(例えば、大和太郎)についての余裕率の変遷の様子を、具体的数値例を挙げて説明すると、次のようになる。
1回目の注文で、大和太郎は、指定総額X=300万円以下で、銘柄A、銘柄B、銘柄Cを買うという入力指定をした。このとき、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により、大幅変動銘柄割合33.3%(1/3)を算出し、ベース率記憶手段45(図6参照)から、余裕率のベース率2%(0.02)を取得したとする。そして、総額条件判定処理手段28により、300万円×(1−0.02)=294万円以下になる時点を捉え、発注処理手段29により成行で発注したとする。しかし、実際の約定金額の総額Zは、Z=309万円になってしまったとする。これを|Z−X|/X=(309万円−300万円)÷300万円=3%(0.03)の逸脱とし、大和太郎の顧客別補正率として記憶する。なお、3%(0.03)に係数を乗じてもよい。顧客別補正率の初期値は0%であるから、0%+3%=3%(0.03)で、大和太郎の顧客別補正率は3%(0.03)となる。
2回目の注文で、大和太郎は、指定総額X=200万円以下で、銘柄D、銘柄E、銘柄Fを買うという入力指定をした。このとき、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により、大幅変動銘柄割合66.6%(2/3)を算出し、ベース率記憶手段45(図6参照)から、余裕率のベース率6%(0.06)を取得し、さらに、大和太郎のその時点での顧客別補正率3%(0.03)を加算し、余裕率を6%+3%=9%(0.09)と算出したとする。そして、総額条件判定処理手段28により、200万円×(1−0.09)=182万円以下になる時点を捉え、発注処理手段29により成行で発注したとする。しかし、実際の約定金額の総額Zは、Z=196万円になったとする。これを|Z−X|/X=(200万円−196万円)÷200万円=2%の良好度とし、大和太郎の顧客別補正率を修正する。この修正処理では、今まで3%(0.03)であったので、3%−2%=1%(0.01)とし、この1%(0.01)を大和太郎の新たな顧客別補正率として記憶する。
3回目の注文で、大和太郎は、指定総額X=500万円以下で、銘柄A、銘柄B、銘柄Cを買うという入力指定をした。このとき、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により、大幅変動銘柄割合33.3%(1/3)を算出し、ベース率記憶手段45(図6参照)から、余裕率のベース率2%を取得し、さらに、大和太郎のその時点での顧客別補正率1%(0.01)を加算し、余裕率を2%+1%=3%(0.03)と算出したとする。そして、総額条件判定処理手段28により、500万円×(1−0.03)=485万円以下になる時点を捉え、発注処理手段29により成行で発注したとする。しかし、実際の約定金額の総額Zは、Z=490万円になったとする。これを|Z−X|/X=(500万円−490万円)÷500万円=2%の良好度とし、大和太郎の顧客別補正率を修正する。この修正処理では、今まで1%(0.01)であったので、1%−2%=−1%となるが、マイナスになってしまうため、大和太郎の新たな顧客別補正率を0%とする。つまり、顧客別補正率をマイナスにしないので、余裕率として、ベース率の分は、いつでも確保されることになる。
4回目の注文で、大和太郎は、今まで買ってきたものを売ろうと考え、Y=350万円以上で、銘柄A、銘柄B、銘柄Cを売るという入力指定をした。このとき、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により、大幅変動銘柄割合33.3%(1/3)を算出し、ベース率記憶手段45(図6参照)から、余裕率のベース率2%を取得し、さらに、大和太郎のその時点での顧客別補正率0%を加算し、余裕率を2%+0%=2%(0.02)と算出したとする。そして、総額条件判定処理手段28により、350万円×(1+0.02)=357万円以上になる時点を捉え、発注処理手段29により成行で発注したとする。しかし、実際の約定金額の総額Zは、Z=336万円になってしまったとする。これを|Z−Y|/Y=(350万円−336万円)÷350万円=4%の逸脱とし、大和太郎の顧客別補正率を修正する。この修正処理では、今まで0%であったので、0%+4%=4%(0.04)とし、この4%(0.04)を大和太郎の新たな顧客別補正率として記憶する。
5回目の注文で、大和太郎は、また買いたくなり、X=300万円以下で、銘柄D、銘柄E、銘柄Fを買うという入力指定をした。このとき、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により、大幅変動銘柄割合66.6%(2/3)を算出し、ベース率記憶手段45(図6参照)から、余裕率のベース率6%を取得し、さらに、大和太郎のその時点での顧客別補正率4%を加算し、余裕率を6%+4%=10%(0.10)と算出したとする。そして、総額条件判定処理手段28により、300万円×(1−0.10)=270万円以下になる時点を捉え、発注処理手段29により成行で発注したとする。しかし、実際の約定金額の総額Zは、Z=273万円になったとする。これを|Z−X|/X=(300万円−273万円)÷300万円=9%の良好度とし、大和太郎の顧客別補正率を修正する。この修正処理では、今まで4%であったので、4%−9%=−5%となるが、マイナスになってしまうため、大和太郎の新たな顧客別補正率を0%とする。つまり、顧客別補正率をマイナスにしないので、余裕率として、ベース率の分は、いつでも確保されることになる。
続いて、差額比率蓄積処理手段31により、約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて、各銘柄毎に約定単価データと約定数量データとを乗じた金額データを合計して約定金額の総額データZを算出し(銘柄組合せの売買の場合には、売買された銘柄組合せを構成する全銘柄について約定単価データと約定数量データとを乗じた金額データを合計する。)、算出した約定金額の総額データZ(Zは、買いの約定金額の総額データでも、売りの約定金額の総額データでもよい。)と、仮総額データ算出処理手段24により算出した仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…との差額データ|Z−M|または|Z−M1|,|Z−M2|,|Z−M3|,|Z−M4|…を算出する。そして、仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…に対する差額データの比率データ|Z−M|/Mまたは|Z−M1|/M1,|Z−M2|/M2,|Z−M3|/M3,|Z−M4|/M4…を算出する。さらに、算出した比率データを、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により算出した大幅変動銘柄割合データの属する割合区分と対応させて差額比率蓄積記憶手段48に記憶させる(ステップS20)。例えば、大幅変動銘柄割合算出処理手段26により算出した大幅変動銘柄割合データが1/3(33.3%)である場合には、「20%以上、40%未満」の割合区分と対応させて、算出した比率データを差額比率蓄積記憶手段48に記憶させる。なお、差額比率蓄積記憶手段48の割合区分は、ベース率記憶手段45の割合区分(図6参照)と同じである。
一方、ステップS15で、総額条件判定処理手段28により購入条件または売却条件を満たさないと判断された場合には(ステップS16)、ステップS17〜S20の処理は行わずに、ステップS10に戻り、次回のステップS10以降の処理を行う。
また、以上に述べた図3の処理と並行して、取引一任勘定取引サーバ20では、図4に示すような余裕率データを構成するベース率データの更新処理を、例えば定期的等、時間間隔を置いて行う。
図4において、取引一任勘定取引サーバ20では、ベース率更新処理手段32により、ベース率データの更新時期が到来したか否かを判断し(ステップS31)、更新時期が到来したと判断した場合には、ベース率更新処理手段32により、差額比率蓄積記憶手段48に記憶された比率データについて、割合区分毎に平均値データを算出する。そして、算出した平均値データまたはこの平均値データに一定比率を乗じた値データにより、余裕率記憶手段44のベース率記憶手段45に記憶されたベース率データを更新する(ステップS32)。一方、ステップS31で、更新時期が到来していないと判断した場合には、ステップS32の更新処理は行わずに、ステップS31の処理に戻る。なお、ベース率データの更新処理のタイミングは、上記のような自動化処理で与えるのではなく、例えば図示されない運用者端末装置から取引一任勘定取引サーバ20の運用者による手動操作で与えるようにしてもよい。
ここで、ベース率の更新処理に統計結果が反映される様子を、具体的数値例を挙げて説明すると、次のようになる。
前述した大和太郎の1回目の注文では、総額条件判定処理手段28により、294万円以下になる時点を捉え(仮総額Mは、294万円になったものとする。)、発注処理手段29により成行で発注したのに、実際の約定金額の総額Zは、Z=309万円になってしまった。これは、仮総額Mと実際の約定金額の総額Zとの間に、|Z−M|/M=(309万円−294万円)÷294万円=5.1%の乖離が生じたことになる。このとき、幅変動銘柄割合算出処理手段26により、大幅変動銘柄割合33.3%(1/3)を算出し、ベース率記憶手段45(図6参照)から、割合区分「20%以上、40%未満」に対応するベース率2%(0.02)を取得しているので、割合区分「20%以上、40%未満」のときに、実際には、5.1%の乖離が生じたということを差額比率蓄積記憶手段48に記憶する。
前述した大和太郎の2回目の注文では、総額条件判定処理手段28により、182万円以下になる時点を捉え(仮総額Mは、182万円になったものとする。)、発注処理手段29により成行で発注したのに、実際の約定金額の総額Zは、Z=196万円になってしまった。これは、仮総額Mと実際の約定金額の総額Zとの間に、|Z−M|/M=(196万円−182万円)÷182万円=7.7%の乖離が生じたことになる。このとき、幅変動銘柄割合算出処理手段26により、大幅変動銘柄割合66.6%(2/3)を算出し、ベース率記憶手段45(図6参照)から、割合区分「60%以上、80%未満」に対応するベース率6%(0.06)を取得しているので、割合区分「60%以上、80%未満」のときに、実際には、7.7%の乖離が生じたということを差額比率蓄積記憶手段48に記憶する。
以上のような処理を、大和太郎以外の顧客についても行い、仮総額Mと実際の約定金額の総額Zとの乖離を示す比率データを、差額比率蓄積記憶手段48に蓄積して記憶させる。そして、例えば定期的に各割合区分毎に、乖離を示す比率データの平均値を算出し、その平均値をそのまま、または係数を乗じて新たなベース率データとする。
このような第1実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、取引一任勘定取引システム10では、顧客が、複数の銘柄を売買する際に、銘柄及び数量(株数等)を指定するとともに、個々の銘柄の価格(単価)を指定せずに売買の総額を指定する注文を行うことで、コンピュータ処理による取引一任勘定取引の売買の発注処理を実現することができる。このため、顧客は、複数の銘柄を目的の資金総額で売買するにあたり、自分で個々の銘柄の単価の変動を監視し、売却タイミングを判断する必要はなくなるので、顧客の監視や判断の手間を省くことができ、顧客にとっての利便性を高めることができるとともに、目的の資金総額での売買も実現することができるので、顧客の満足度を高めることもでき、顧客へのサービス向上を図ることができる。
また、取引一任勘定取引システム10では、複数の銘柄の売買をまとめて行うので、急激な単価の変動の影響を受けやすい単一銘柄の売買を行う場合に比べ、顧客の指定した売買の資金総額(指定総額データ)と、発注して実際に約定した約定金額の総額データとの間に差額が生じたとしても、その乖離の度合いを小さく抑え込むことができる可能性が高まることから、取引に対する顧客の安心感を高めることもできる。
さらに、仮総額データ算出処理手段24は、買いのときには相場情報を構成する気配値データが安い順にデータ加算処理を行い、売りのときには相場情報を構成する気配値データが高い順にデータ加算処理を行うので、安く買うための顧客の指定、あるいは高く売るための顧客の指定に沿う形で仮総額Mまたは組合せ別仮総額M1,M2,M3,M4…の算出処理を行うことができる。
そして、取引一任勘定取引システム10は、変動指標値記憶手段43、大幅変動銘柄割合算出処理手段26、余裕率記憶手段44、および適用余裕率決定処理手段27を備えているので、総額条件判定処理手段28による条件合否の判定処理を行う際に、仮総額データMと指定総額データXまたはYとを、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…と組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…とを、さらには、仮総額データMと利益確定用の指定総額データ(Z+α)とを、あるいは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…と利益確定用の指定総額データ(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…とを、余裕率データを用いて安全サイドにずらして余裕を持たせた状態で比較することができる。このため、顧客が指定した指定総額データXまたはY、あるいは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…、さらには利益確定用の指定総額データ(Z+α)または(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…に対し、実際の約定金額の総額データZが、顧客にとって不利になる方向にずれてしまうという事態が発生する可能性を低減させることができる。
また、取引一任勘定取引システム10は、余裕率データをベース率データおよび顧客別補正率データで構成し、かつ、顧客別補正率更新処理手段33を備えているので、本システム10で売買を行った顧客が、自己の指定した指定総額XまたはY、あるいは組合せ別指定総額X1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…と、約定金額の総額Zとに差額が生じることにより受けた利益・不利益に応じて、その顧客に適用する余裕率データを補正することができる。このため、顧客に対し、より細かな配慮を行ってサービスの向上を図ることができる。
さらに、取引一任勘定取引システム10は、差額比率蓄積処理手段31、差額比率蓄積記憶手段48、およびベース率更新処理手段32を備えているので、実際の約定金額の総額データZと、仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…との差額データに基づく統計をとり、その統計データをベース率データに反映させることができる。このため、顧客に対し、より適切な余裕率データを適用することができる。
そして、取引一任勘定取引システム10は、総額履歴表示処理手段22を備えているので、顧客は、自己が操作する顧客端末装置50で注文を入力する際に、過去から現在に至るまでの各時点での総額の変動履歴を参照して、指定総額データXまたはY、あるいは組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…またはY1,Y2,Y3,Y4…、さらには、利益確定用総額ベース差額データαまたはα1,α2,α3,α4…、あるいは損切り用総額ベース差額データβまたはβ1,β2,β3,β4…の入力を行うことができる。このため、適切な金額の指定総額等を容易に決定して入力指定することができ、顧客にとっての利便性を向上させることができる。
[第2実施形態]
図9には、本発明の第2実施形態の取引一任勘定取引システム400の一部の構成が示され、図10には、取引一任勘定取引システム400による指値の変更処理の流れがフローチャートで示されている。
前記第1実施形態の取引一任勘定取引システム10では、発注処理手段29は、成行による発注処理を行う構成とされていたが、本第2実施形態の取引一任勘定取引システム400では、発注処理手段426は、顧客の選択により成行による発注処理と指値による発注処理とが行われる構成とされている。
本第2実施形態の取引一任勘定取引システム400による処理は、顧客が成行による発注処理を選択した場合は、前記第1実施形態の取引一任勘定取引システム10による処理と同様であり、また、顧客が指値による発注処理を選択した場合は、余裕率に関する処理がない点、および指値の変更処理がある点を除き、前記第1実施形態の取引一任勘定取引システム10による処理と同様であるため、同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下には異なる部分を中心として説明を行う。なお、本第2実施形態の取引一任勘定取引システム400は、顧客の選択により成行による発注処理と指値による発注処理とが行われる構成とするが、指値による発注処理のみ(但し、損切りのときは、成行でもよい。)を行う構成としてもよい。
本第2実施形態では、注文受付処理手段21は、前記第1実施形態の処理に加え、顧客からの注文データとして、成行か指値かの選択情報を受け付ける処理(注文種別=種別1〜4のいずれについても同様)も行う構成とされている。この場合、図7および図8の注文入力画面100に、成行か指値かを選択する選択部が設けられた状態の注文入力画面(図示は省略)が顧客端末装置50の画面上に表示されるので、顧客は、この選択部で成行か指値かの選択入力を行い、「注文送信」ボタン151(図7、図8参照)に相当するボタンをクリックして、他の注文データとともに成行か指値かの選択情報を、ネットワーク1を介して取引一任勘定取引サーバ420へ送信する。そして、取引一任勘定取引サーバ420では、注文受付処理手段21により、他の注文データとともに成行か指値かの選択情報を受信し、注文を識別する注文識別情報(注文番号等)および注文した顧客を識別する顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて注文データ記憶手段41に記憶させる。
また、本第2実施形態では、総額条件判定処理手段28は、前記第1実施形態の処理に加え、算出した利益確定用の指定総額データ(Z+α)若しくは(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…、および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)若しくは(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…を、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて指定総額データ記憶手段441に記憶させる処理も行う。
図9において、本第2実施形態の取引一任勘定取引システム400は、取引一任勘定取引サーバ420を備えている。この取引一任勘定取引サーバ420は、前記第1実施形態の取引一任勘定取引サーバ20の構成要素を全て備えるとともに、さらに指値の更新処理に必要な構成要素を備えている。すなわち、取引一任勘定取引サーバ420を構成する処理手段420Aは、前記第1実施形態の処理手段20Aの各処理手段21〜28,30〜33に加え(図示は省略)、取引成否判断処理手段421と、新指値算出処理手段422と、注文残データ算出処理手段423と、残銘柄用仮総額データ算出処理手段424と、残銘柄用総額条件判定処理手段425と、発注処理手段426とを含んで構成されている。また、処理手段420Aには、前記第1実施形態の各記憶手段41〜48に加え(図示は一部省略)、指定総額データ記憶手段441と、注文残データ記憶手段442とが接続されている。
取引成否判断処理手段421は、発注処理手段426による指値での発注処理が行われた場合(注文データ記憶手段41に、成行か指値かの選択情報として、指値を示す情報が記憶されている場合)に、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定数量データを各銘柄毎に合計し、合計して得られた銘柄別合計約定数量データと、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄の数量データとを各銘柄毎に比較することにより、発注処理手段426により発注した各銘柄についての全取引が約定したか否かを各銘柄毎に判断する処理を実行するものである。また、取引成否判断処理手段421は、約定していない取引がある(全取引が約定した状態ではない)と判断された残銘柄について、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて、各残銘柄の銘柄識別情報および銘柄別合計約定数量データを注文残データ記憶手段442に記憶させる。
新指値算出処理手段422は、取引成否判断処理手段421により約定していない取引があると判断された残銘柄が1銘柄の場合に、その残銘柄についての新しい指値データを算出する処理を実行するものである。すなわち、新指値算出処理手段422は、先ず、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて約定金額の総額データZp(約定していない取引があるので、完全な約定金額の総額データZではなく、部分的な約定金額の総額データZpとなる。)を算出する。次に、新指値算出処理手段422は、注文データ記憶手段41に記憶された指定総額データX若しくはY、または組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…若しくはY1,Y2,Y3,Y4…から、約定金額の総額データZpを減じることにより、残総額データRを算出するか、あるいは注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の売却処理時には、総額条件判定処理手段28により算出されて指定総額データ記憶手段441に記憶されている利益確定用の指定総額データ(Z+α)若しくは(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)若しくは(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…から、約定金額の総額データZpを減じることにより、残総額データRを算出する。ここで、Zは、注文種別=種別3,4の場合における購入処理の完了時の買いの約定金額の総額データであり、Zpは、買い成立後の売りの部分的な約定金額の総額データである。なお、利益確定用の指定総額データ(Z+α)若しくは(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)若しくは(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…は、総額条件判定処理手段28による算出結果を指定総額データ記憶手段441に記憶しておくのではなく、新指値算出処理手段422により再計算してもよい。さらに、新指値算出処理手段422は、注文データ記憶手段41に記憶された残銘柄についての数量データから、取引成否判断処理手段421により算出されて注文残データ記憶手段442に記憶されているその残銘柄についての銘柄別合計約定数量データ(新指値算出処理手段422により再計算してもよい。)を減じることにより、その残銘柄についての残数量データを算出し、残総額データRを残数量データで除することにより、その残銘柄についての新しい指値データを算出する。そして、新指値算出処理手段422は、残総額データRと、その残銘柄についての銘柄識別情報および残数量データとを、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて注文残データ記憶手段442に記憶させる。
なお、取引成否判断処理手段421により約定していない取引があると判断された残銘柄が1銘柄の場合と、2銘柄以上の場合とを、分けないで処理する構成とする場合には、新指値算出処理手段422は設けなくてもよい。
注文残データ算出処理手段423は、取引成否判断処理手段421により約定していない取引があると判断された残銘柄が2銘柄以上の場合に、残総額データRと、各残銘柄についての残数量データを算出する処理を実行するものである。すなわち、注文残データ算出処理手段423は、先ず、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて約定金額の総額データZp(約定していない取引があるので、完全な約定金額の総額データZではなく、部分的な約定金額の総額データZpとなる。Zp=0もあり得る。)を算出する。次に、注文残データ算出処理手段423は、注文データ記憶手段41に記憶された指定総額データX若しくはY、または組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…若しくはY1,Y2,Y3,Y4…から、約定金額の総額データZpを減じることにより、残総額データRを算出するか、あるいは注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の売却処理時には、総額条件判定処理手段28により算出されて指定総額データ記憶手段441に記憶されている利益確定用の指定総額データ(Z+α)若しくは(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)若しくは(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…から、約定金額の総額データZpを減じることにより、残総額データRを算出する。なお、利益確定用の指定総額データ(Z+α)若しくは(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)若しくは(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…は、注文残データ算出処理手段423により再計算してもよい。さらに、注文残データ算出処理手段423は、注文データ記憶手段41に記憶された各残銘柄についての数量データから、取引成否判断処理手段421により算出されて注文残データ記憶手段442に記憶されている各残銘柄についての銘柄別合計約定数量データ(注文残データ算出処理手段423により再計算してもよい。)を減じることにより、各残銘柄についての残数量データを算出する。そして、注文残データ算出処理手段423は、残総額データRと、各残銘柄についての銘柄識別情報および残数量データとを、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて注文残データ記憶手段442に記憶させる。
残銘柄用仮総額データ算出処理手段424は、注文残データ記憶手段442に記憶された各銘柄識別情報の残銘柄について相場情報取得処理手段23により取得されて相場情報蓄積記憶手段42に記憶されている最新の相場情報と、注文残データ記憶手段442に記憶された各残銘柄についての残数量データとを用いて、残銘柄についての仮の資金総額を示す残銘柄用の仮総額データMpを算出する処理を実行するものである。この残銘柄用仮総額データ算出処理手段424によるMpの算出処理は、仮総額データ算出処理手段24による仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…の算出処理と同様である。
残銘柄用総額条件判定処理手段425は、残銘柄用仮総額データ算出処理手段424により算出した残銘柄用の仮総額データMpと、注文残データ記憶手段442に記憶された残総額データRとを比較し、購入処理時には、残銘柄用の仮総額データMpが残総額データR以下または未満という購入条件を満たすか否かを判断し、売却処理時には、残銘柄用の仮総額データMpが残総額データR以上または超過という売却条件を満たすか否かを判断し、あるいは注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の利益確定のための売却処理時には、残銘柄用の仮総額データMpが残総額データR以上または超過という売却条件を満たすか否かを判断し、注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の損切りのための売却処理時には、残銘柄用の仮総額データMpが残総額データR以下または未満という売却条件を満たすか否かを判断する処理を実行するものである。この残銘柄用総額条件判定処理手段425による購入条件や売却条件の合否判定処理は、総額条件判定処理手段28による購入条件や売却条件の合否判定処理と同様であるが、余裕率データは用いない。
なお、取引成否判断処理手段421により約定していない取引があると判断された残銘柄が1銘柄の場合と、2銘柄以上の場合とを、分けないで処理する構成とする場合には、注文残データ算出処理手段423、残銘柄用仮総額データ算出処理手段424、および残銘柄用総額条件判定処理手段425による各処理は、残銘柄が2銘柄以上の場合だけでなく、1銘柄の場合も含めて行う。
発注処理手段426は、処理対象の注文についての注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)に対応して注文データ記憶手段41に記憶されている成行か指値かの選択情報を参照し、成行で発注する場合には、前記第1実施形態の発注処理手段29と同様な処理を行い、指値で発注する場合には、仮総額データ算出処理手段24による仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…の算出処理で用いた各銘柄についての相場情報を構成する気配値データを、指値データとして含むとともに、気配値データに対応する気配数量データまたはその一部を、売買する数量データとして含む発注データを作成し、購入処理時には、安い指値データを含む発注データから順に発注し、売却処理時には、高い指値データを含む発注データから順に発注する処理を実行するものである。
また、発注処理手段426は、新指値算出処理手段422により算出された残銘柄についての新しい指値データを含み、かつ、指値変更対象となる約定していない残銘柄についての既発注データを特定することができる情報、例えば、指値変更対象の既発注データに含まれていた注文識別情報(注文番号等)を含む指値変更データを作成し、この指値変更データによる指値変更処理も行う。なお、市場システム60(新たに形成される新興市場のための市場システム60を含む。)で採用されている電文形式によっては、発注処理手段426は、新指値算出処理手段422により算出された残銘柄についての残数量データおよび新しい指値データを含む新しい発注データ、および約定していない残銘柄についての発注を取り消すための発注取消データを作成し、この発注取消データによる発注取消処理および新しい発注データによる発注処理を行う構成としてもよく、要するに、市場システム60で採用されている電文形式に応じて、残銘柄についての残数量データ(複数の既発注データに跨って残っている場合と、1つの既発注データに残っている場合とが含まれる。)の指値を、新しい指値に変更することができればよい。
さらに、発注処理手段426は、取引成否判断処理手段421により約定していない取引があると判断された残銘柄が2銘柄以上の場合に、約定していない各残銘柄についての発注を取り消すための発注取消データを作成し、これらの発注取消データによる発注取消処理を行い、かつ、残銘柄用総額条件判定処理手段425により残総額データRについての購入条件または売却条件を満たすと判断された場合に、残銘柄用仮総額データ算出処理手段424による残銘柄用の仮総額データMpの算出処理で用いた各残銘柄についての相場情報を構成する気配値データを、指値データとして含むとともに、気配値データに対応する気配数量データまたはその一部を、売買する数量データとして含む新しい発注データを作成し、購入処理時には、安い指値データを含む新しい発注データから順に発注し、売却処理時には、高い指値データを含む新しい発注データから順に発注する処理も行う。
指定総額データ記憶手段441は、総額条件判定処理手段28により算出された利益確定用の指定総額データ(Z+α)若しくは(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…、および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)若しくは(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…を、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて記憶するものである。
注文残データ記憶手段442は、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて、新指値算出処理手段422または注文残データ算出処理手段423により算出された残総額データRと、各残銘柄についての銘柄識別情報と、取引成否判断処理手段421により算出された各残銘柄についての銘柄別合計約定数量データと、新指値算出処理手段422または注文残データ算出処理手段423により算出された各残銘柄についての残数量データとを記憶するものである。
このような第2実施形態においては、以下のようにして取引一任勘定取引システム400により、取引一任勘定取引のコンピュータ処理が実現される。
先ず、図3のステップS1〜S20の処理を行う。但し、顧客により指値による発注処理が選択されている注文については、余裕率データは用いないので、図3のステップS12の大幅変動銘柄割合の算出処理およびステップS13の適用余裕率の決定処理は行わず、また、ステップS15の総額条件の合否判定処理では、余裕率データを用いた合否判定処理は行わず、さらに、ステップS19,S20の処理も行わない。
また、図3のステップS17の発注処理では、顧客により成行による発注処理が選択されている注文については、発注処理手段426により、前記第1実施形態の発注処理手段29と同様な発注処理が行われ、顧客により指値による発注処理が選択されている注文については、発注処理手段426により、次のような処理が行われる。すなわち、発注処理手段426は、仮総額データ算出処理手段24による仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…の算出処理で用いた各銘柄についての相場情報を構成する気配値データを、指値データとして含むとともに、気配値データに対応する気配数量データまたはその一部を、売買する数量データ(株数データ等)として含み、その他、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、売買区分情報(売買の別)、銘柄識別情報(銘柄コード等)などを含む発注データを作成する。この際、顧客の1つの注文が複数に分けられて市場システム60に送信発注される場合には、注文識別情報(注文番号等)に、さらに複数に分けられた1つ1つの発注データを識別することができるようにサブの注文識別情報を付加するようにしてもよい。
そして、発注処理手段426は、購入処理時には、安い指値データを含む発注データから順に市場システム60に送信発注し、売却処理時には、高い指値データを含む発注データから順に市場システム60に送信発注する。なお、複数の発注データをまとめて同時に送信発注する場合であっても、順序付けをしておくか、あるいは市場システム60において所定の順序で処理されるようなデータ配列としておく。
具体的数値例を挙げて説明すれば、銘柄Aの相場情報が図6に示す状態であり、かつ、注文データ記憶手段41に記憶された銘柄Aの数量データがa1=8000株で、買い注文である場合には、仮総額データ算出処理手段24は、仮総額データMを、M=(497(円)*2000(株)+498(円)*5000(株)+499(円)*1000(株))+(銘柄Bについても同様)+(銘柄Cについても同様)という式により算出するので、「497(円)以下で2000(株)の買い」の発注データ、「498(円)以下で5000(株)の買い」の発注データ、「499(円)以下で1000(株)の買い」の発注データの順に、市場システム60に送信発注する。一方、銘柄Aの相場情報が図6に示す状態であり、かつ、注文データ記憶手段41に記憶された銘柄Aの数量データがa1=11000株で、売り注文である場合には、仮総額データ算出処理手段24は、仮総額データMを、M=(496(円)*5000(株)+495(円)*4000(株)+494(円)*2000(株))+(銘柄Bについても同様)+(銘柄Cについても同様)という式により算出するので、「496(円)以上で5000(株)の売り」の発注データ、「495(円)以上で4000(株)の売り」の発注データ、「494(円)以上で2000(株)の売り」の発注データの順に、市場システム60に送信発注する。
なお、注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の損切りのための売却処理時には、顧客の指値の選択指定にかかわらず、成行による発注処理としてもよい。
次に、図10に示す指値の変更処理を行う。図10において、先ず、取引一任勘定取引サーバ420で指値の変更処理を開始し(ステップS41)、取引成否判断処理手段421により、発注処理手段426による指値での発注処理が行われた場合(注文データ記憶手段41に、成行か指値かの選択情報として、指値を示す情報が記憶されている場合)に、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定数量データを各銘柄毎に合計し、合計して得られた銘柄別合計約定数量データと、注文データ記憶手段41に記憶された各銘柄の数量データとを各銘柄毎に比較してこれらが一致しているか否かを判断することにより、発注処理手段426により発注した各銘柄についての全取引が約定したか否かを各銘柄毎に判断する(ステップS42)。つまり、一致している場合には、その銘柄についての全取引が約定していると判断し、一致していない場合には、その銘柄についての全取引が約定した状態にはない(約定していない取引がある残銘柄である)と判断する。
そして、取引成否判断処理手段421は、約定していない取引があると判断された残銘柄について、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて、各残銘柄の銘柄識別情報および銘柄別合計約定数量データを注文残データ記憶手段442に記憶させる。
続いて、取引成否判断処理手段421により残銘柄があると判断された場合には(ステップS43)、残銘柄が1銘柄か否かを判断する(ステップS44)。ここで、残銘柄が1銘柄であると判断された場合には、注文識別情報をキーとして注文残データ記憶手段442を参照し、残銘柄についての残数量データが記憶されているか否かを判断することにより、処理対象の注文について、指値の変更処理が済んでいるか否かを判断する(ステップS45)。つまり、残数量データが記憶されていれば、指値の変更処理が済んでいると判断し、残数量データが記憶されていなければ、指値の変更処理が済んでいないと判断する。
ステップS45で、指値の変更処理が済んでいないと判断された場合には、新指値算出処理手段422により、残銘柄についての新しい指値データ等を算出する(ステップS46)。すなわち、新指値算出処理手段422は、先ず、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて約定金額の総額データZpを算出する。具体的には、各銘柄の各取引についての約定単価データと約定数量データとを乗じて得られる金額データを合計することにより、約定金額の総額データZpを算出する。
次に、新指値算出処理手段422は、注文データ記憶手段41に記憶された指定総額データX若しくはY、または組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…若しくはY1,Y2,Y3,Y4…から、約定金額の総額データZpを減じることにより、残総額データRを算出する。注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の売却処理時には、図3のステップS15で総額条件判定処理手段28により算出されて指定総額データ記憶手段441に記憶されている利益確定用の指定総額データ(Z+α)若しくは(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)若しくは(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…から、約定金額の総額データZpを減じることにより、残総額データRを算出する。
さらに、新指値算出処理手段422は、注文データ記憶手段41に記憶された残銘柄についての数量データから、取引成否判断処理手段421により算出されて注文残データ記憶手段442に記憶されているその残銘柄についての銘柄別合計約定数量データを減じることにより、その残銘柄についての残数量データを算出し、残総額データRを残数量データで除することにより、その残銘柄についての新しい指値データを算出する。これにより、約定した取引が、指値に対して余裕を持った状態で(買いの場合には、より安い単価で、売りの場合には、より高い単価で)約定していれば、その余裕分を約定していない取引に回し、約定していない取引の指値データを、約定し易い方向に変更することができる。例えば、496円以上で5000株の売りという発注をしていたときに、実際に498円という良い条件で5000株売れれば、(498円−496円)×5000株=1万円の余裕ができるので、この1万円の余裕分を、約定していない取引に回し、約定していない取引の指値データを、下方修正することができる。
そして、新指値算出処理手段422は、残総額データRと、その残銘柄についての銘柄識別情報および残数量データとを、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて注文残データ記憶手段442に記憶させる。
その後、発注処理手段426により、新指値算出処理手段422により算出された残銘柄についての新しい指値データを含み、その他、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、売買区分情報(売買の別)、銘柄識別情報(銘柄コード等)などを含み、かつ、指値変更対象となる約定していない残銘柄についての既発注データを特定することができる情報、例えば、指値変更対象の既発注データに含まれていた注文識別情報(注文番号等)を含む指値変更データを作成し、この指値変更データを市場システム60に送信する指値変更処理を行う(ステップS47)。
なお、市場システム60(新たに形成される新興市場のための市場システム60を含む。)で採用されている電文形式によっては、発注処理手段426により、発注取消処理を行った後、新しい発注処理を行う。すなわち、先ず、発注処理手段426により、約定していない残銘柄についての発注を取り消すための発注取消データを作成し、この発注取消データを市場システム60に送信する発注取消処理を行う。発注取消データには、取り消す発注データを特定することができる情報が含まれており、例えば、取り消す発注データに含まれていた注文識別情報(注文番号等)や顧客識別情報(口座番号等)などが含まれる。
さらに、発注処理手段426により、新指値算出処理手段422により算出された残銘柄についての残数量データおよび新しい指値データを含み、その他、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、売買区分情報(売買の別)、銘柄識別情報(銘柄コード等)などを含む新しい発注データを作成し、この新しい発注データを市場システム60に送信する発注処理を行う。なお、新しい指値データに変更しても、直ぐに約定しない場合もあり得るが、残銘柄は1銘柄であるため、影響は小さく抑えることができる。残銘柄が1銘柄の場合も、指値データの変更を繰り返すようにするには、残銘柄が1銘柄の場合と2銘柄以上の場合とを分けて処理するのではなく、残銘柄が1銘柄の場合も2銘柄以上の場合も、後述するステップS49〜S54の処理を行うようにすればよい。また、注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の損切りのための売却処理時には、顧客の指値の選択指定にかかわらず、成行による発注処理としてもよい。
そして、取引一任勘定取引サーバ420での指値の変更処理を終了する(ステップS48)。また、ステップS43で残銘柄がないと判断された場合、およびステップS45で指値の変更処理が済んでいると判断された場合にも、指値の変更処理を終了する(ステップS48)。
一方、ステップS44で残銘柄が2銘柄以上と判断された場合には、注文残データ算出処理手段423により、残総額データRと、各残銘柄についての残数量データを算出する(ステップS49)。すなわち、注文残データ算出処理手段423は、先ず、市場システム60から受信して約定データ記憶手段47に記憶されている各銘柄の約定単価データおよび約定数量データを用いて約定金額の総額データZpを算出する。具体的には、各銘柄の各取引についての約定単価データと約定数量データとを乗じて得られる金額データを合計することにより、約定金額の総額データZpを算出する。
次に、注文残データ算出処理手段423は、注文データ記憶手段41に記憶された指定総額データX若しくはY、または組合せ別指定総額データX1,X2,X3,X4…若しくはY1,Y2,Y3,Y4…から、約定金額の総額データZpを減じることにより、残総額データRを算出する。また、注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の売却処理時には、図3のステップS15で総額条件判定処理手段28により算出されて指定総額データ記憶手段441に記憶されている利益確定用の指定総額データ(Z+α)若しくは(Z+α1),(Z+α2),(Z+α3),(Z+α4)…および/または損切り用の指定総額データ(Z−β)若しくは(Z−β1),(Z−β2),(Z−β3),(Z−β4)…から、約定金額の総額データZpを減じることにより、残総額データRを算出する。
さらに、注文残データ算出処理手段423は、注文データ記憶手段41に記憶された各残銘柄についての数量データから、取引成否判断処理手段421により算出されて注文残データ記憶手段442に記憶されている各残銘柄についての銘柄別合計約定数量データを減じることにより、各残銘柄についての残数量データを算出する。そして、注文残データ算出処理手段423は、残総額データRと、各残銘柄についての銘柄識別情報および残数量データとを、注文識別情報(注文番号等)および顧客識別情報(口座番号等)と関連付けて注文残データ記憶手段442に記憶させる(ステップS49)。
続いて、残銘柄用仮総額データ算出処理手段424により、注文残データ記憶手段442に記憶された各銘柄識別情報の残銘柄について相場情報取得処理手段23により取得されて相場情報蓄積記憶手段42に記憶されている最新の相場情報と、注文残データ記憶手段442に記憶された各残銘柄についての残数量データとを用いて、図3のステップS14の仮総額データ算出処理手段24による仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…の算出処理と同様にして、残銘柄についての仮の資金総額を示す残銘柄用の仮総額データMpを算出する(ステップS50)。この残銘柄用仮総額データ算出処理手段424によるMpの算出処理は、図3のステップS14の仮総額データ算出処理手段24による仮総額データMまたは組合せ別仮総額データM1,M2,M3,M4…の算出処理と略同期して行われる。
それから、残銘柄用総額条件判定処理手段425により、図3のステップS15の総額条件判定処理手段28による購入条件や売却条件の合否判定処理と同様にして(但し、余裕率データは用いない。)、残銘柄用仮総額データ算出処理手段424により算出した残銘柄用の仮総額データMpと、注文残データ記憶手段442に記憶された残総額データRとを比較し、購入処理時には、残銘柄用の仮総額データMpが残総額データR以下または未満という購入条件を満たすか否かを判断し、売却処理時には、残銘柄用の仮総額データMpが残総額データR以上または超過という売却条件を満たすか否かを判断する(ステップS51)。また、注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の利益確定のための売却処理時には、残銘柄用の仮総額データMpが残総額データR以上または超過という売却条件を満たすか否かを判断し、注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の損切りのための売却処理時には、残銘柄用の仮総額データMpが残総額データR以下または未満という売却条件を満たすか否かを判断する(ステップS51)。この残銘柄用総額条件判定処理手段425による購入条件や売却条件の合否判定処理は、図3のステップS15の総額条件判定処理手段28による購入条件や売却条件の合否判定処理と略同期して行われる。これにより、約定した取引が、指値に対して余裕を持った状態で(買いの場合には、より安い単価で、売りの場合には、より高い単価で)約定していれば、その余裕分を約定していない取引に回し、約定していない取引の指値データを、約定し易い方向に変更することができる。
そして、残銘柄用総額条件判定処理手段425により、購入条件または売却条件を満たさないと判断した場合には(ステップS52)、ステップS50の処理に戻り、以降、ステップS52で購入条件または売却条件を満たすと判断されるまで、ステップS50〜S52の処理を繰り返す。なお、ステップS50の処理で用いられる最新の相場情報は、更新されるので、ステップS52で購入条件または売却条件を満たすと判断される機会は生じることとなる。
一方、ステップS52で購入条件または売却条件を満たすと判断された場合には、発注処理手段426により、約定していない残銘柄についての発注を取り消すための発注取消データを作成し、この発注取消データを市場システム60に送信する発注取消処理を行う(ステップS53)。発注取消データには、取り消す発注データを特定することができる情報が含まれており、例えば、取り消す発注データに含まれていた注文識別情報(注文番号等)や顧客識別情報(口座番号等)などが含まれる。
さらに、発注処理手段426により、ステップS50の残銘柄用仮総額データ算出処理手段424による残銘柄用の仮総額データMpの算出処理で用いた各残銘柄についての相場情報を構成する気配値データを、指値データとして含むとともに、気配値データに対応する気配数量データまたはその一部を、売買する数量データとして含み、その他、注文識別情報(注文番号等)、顧客識別情報(口座番号等)、売買区分情報(売買の別)、銘柄識別情報(銘柄コード等)などを含む新しい発注データを作成し、購入処理時には、安い指値データを含む新しい発注データから順に市場システム60に送信発注し、売却処理時には、高い指値データを含む新しい発注データから順に市場システム60に送信発注する(ステップS54)。なお、注文種別=種別3,4の場合における購入した複数の銘柄の損切りのための売却処理時には、顧客の指値の選択指定にかかわらず、成行による発注処理としてもよい。
そして、取引一任勘定取引サーバ420での指値の変更処理を終了する(ステップS48)。以上の図10のステップS41〜S54の処理は、図3のステップS10〜S20の処理の繰り返しと同様にして(同期して)繰り返して行われる。
このような第2実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、前記第1実施形態で得られる効果に加え、指値による発注処理を実現することができ、この際、指値の変更処理を行うので、顧客が指定した条件での売買取引を、より確実に実行することができるという効果がある。
[変形の形態]
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
すなわち、前記第1実施形態では、余裕率データを、全ての顧客について同一に適用されるベース率データと、各顧客毎に個別に適用される顧客別補正率データとにより構成していたが、余裕率データをベース率データに相当するものだけとして顧客別の補正を行わない構成としてもよく、あるいは余裕率データを顧客別補正率データに相当するものだけとする構成としてもよい。但し、余裕率として、ベース率の分は全ての顧客について確保しつつ、さらに顧客別のきめ細かな補正を行うことができるという点で、前記実施形態のように余裕率データをベース率データおよび顧客別補正率データで構成することが好ましい。
また、前記第1実施形態では、ベース率更新処理手段32および顧客別補正率更新処理手段33が設けられていたが、ベース率データおよび顧客別補正率データの一方または双方の更新処理を行わない構成としてもよい。但し、適用する余裕率を、より適切な値にするという観点から、少なくとも一方の更新処理を行う構成とすることが好ましく、双方の更新処理を行う構成とすることが、より好ましい。
さらに、前記第1実施形態では、余裕率データを構成するベース率データは、大幅変動銘柄割合についての割合区分とベース率データとを対応させたテーブルを記憶するベース率記憶手段45(図6参照)から取得していたが、余裕率算出用関数を用いてベース率データを算出する構成としてもよい。例えば、各銘柄の変動指標値(変動率、ボラティリティ等)をa4、b4、c4…とすると、余裕率=f(a4、b4、c4…)により、適用する余裕率が算出される余裕率算出用関数fを用いてもよい。
そして、前記各実施形態では、相場情報取得処理手段23による相場情報の取得処理(図3のステップS10参照)と、仮総額データ算出処理手段24による仮総額データの算出処理(図3のステップS14参照)とは、同期して行われていたが、すなわち一連の処理として、相場情報取得処理手段23により相場情報の取得処理を行う都度に、仮総額データ算出処理手段24による仮総額データの算出処理を行う構成とされていたが(一回の取得処理につき、一回の算出処理となる。)、本発明は、このような同期をとる構成に限定されるものではなく、例えば、相場情報取得処理手段23の処理と仮総額データ算出処理手段24の処理とを、同期をとらない別のプログラムで実行することにより、非同期の処理を行う構成としてもよく、要するに、相場情報取得処理手段23により相場情報の取得処理が繰り返し行われ、かつ、仮総額データ算出処理手段24による仮総額データの算出処理も、市場へ未だ発注されていない注文がある限り、最新(直近)の相場情報を用いて繰り返し行われる構成となっていればよい。