JP4918294B2 - グロメットのバンド締め付け構造 - Google Patents

Description

本発明は、例えば、自動車のダッシュパネルの貫通孔を通して、ワイヤハーネスをエンジンルーム側から車室内に配索する場合に、ワイヤハーネスの外周とパネル貫通孔の間に配設されることで、ワイヤハーネスとパネルの隙間を封じることのできるグロメットのバンド締め付け構造に関する。

従来、自動車のエンジンルームに配索するワイヤハーネスには、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルの貫通孔を通す部分にグロメットを外装し、当該グロメットをパネルの貫通孔に嵌着することで、車室への浸水防止を図っている。

このグロメットには、エンジンルーム側にワイヤハーネスを無理なく配索するために、蛇腹状のチューブを一体に連設してあり、当該チューブの一部にバンドクランプを取り付け、当該バンドクランプで車体にワイヤハーネスを固定している（例えば、特許文献１参照）。

図４（ａ）は従来のバンドクランプを取り付けたグロメットの部分の断面図、図４（ｂ）は図４（ａ）のＩＶｂ部の拡大図である。

従来は、図４（ａ）に示すように、バンドクランプのバンド１０を、電線束Ｗの挿通されたチューブ２０のストレート部分２０ａの外周に巻き付けた上で締め付けているが、締め付け状態において、バンド１０の幅方向の両端縁（エッジ部）１０ａがチューブ２０の外周面に当たっているので、車両の振動等に伴い、その部分〔図４（ｂ）の矢印Ｓで示す部分〕に応力が集中しやすく、それにより、チューブ２０の外周に傷が付きやすいという問題があった。

特開２０００−３１１５３４号公報

本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バンド巻き付け部に傷が付きやすいという問題を解消することのできるグロメットのバンド締め付け構造を提供することにある。

上記目的を達成するため、本発明に係るグロメットのバンド締め付け構造は、下記（１）及び（２）を特徴としている。
（１） パネルの貫通孔に装着されるグロメット本体部と、該グロメット本体部に連設されたチューブと、を有するグロメットに電線束を挿通させた状態で、前記チューブの外周にバンドを巻き付けて締め付け固定したグロメットのバンド締め付け構造であって、
前記バンドを巻き付けた位置の前記チューブは、前記電線束を挿通させた内周面が、軸線方向に径が一定の円筒状であり、前記バンドを巻き付けた位置の外周面に環状の凸部が形成され、前記バンドは、前記凸部の頂部に巻き付けられ、当該バンドの幅方向の両端縁が前記チューブの外周面から浮いた状態で前記チューブを締め付けていること。
（２） 前記チューブの外周面に、前記環状の凸部の外径よりも大きな外径を有するリブが前記環状の凸部の側方に形成され、前記リブによって前記バンドが所定以上に動くことを防止していること。

上記（１）の構成のグロメットのバンド締め付け構造によれば、バンドの幅方向の両端縁をチューブの外周面から浮かせた状態で締め付けているので、チューブの外周面にバンドの両端縁が強く干渉するのを防止することができ、チューブの外周面に極力傷が付いたり亀裂が発生したりしないようにすることができる。また、バンドの巻き付け位置に環状の凸部があるので、バンドの巻き付け位置を目視で確認しやすくなる。
上記（２）の構成のグロメットのバンド締め付け構造によれば、環状の凸部の側方に、該環状の凸部の外径よりも大きな外径のリブを設けたので、バンドを正しい巻き付け位置に位置決めすることができる。

本発明によれば、グロメットのバンド巻き付け部に傷が付きやすいという問題を解消できる。

以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。

以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

図１（ａ）は実施形態のグロメットの取付状態を示す側面図、図１（ｂ）は図１（ａ）のＩｂ部の拡大断面図、図２は図１（ｂ）のチューブの部分を示す外観図、図３は図２のチューブの部分の変形例を示す斜視図である。

本実施形態のグロメット１は、ダッシュパネル３０の貫通孔３１に装着されるグロメット本体部２と、該グロメット本体部２に連設された長尺のチューブ３と、を有している。チューブ３の主要長さ部分は、周壁が薄肉化されている上に蛇腹状に形成されることで、可撓性を付与されている。

このグロメット１は、内部に電線束Ｗを貫通させた状態で、グロメット本体部２をダッシュパネル３０の貫通孔３１に嵌着させることにより、ダッシュパネル３０に固定される。また、このグロメット１には長尺のチューブ３が一体に設けられているので、電線束Ｗを覆ったチューブ３の適当な位置にバンド１０を取り付けることで、チューブ３と共に中の電線束Ｗを車体に固定することができるようになっている。バンド１０による固定部は、第１固定部Ｋ１と第２固定部Ｋ２の２箇所設けられている。

主要長さ部分が蛇腹状に形成されたチューブ３には、バンド１０を巻き付ける部分に、蛇腹部分のように山部４ａや谷部４ｂの無いストレートなバンド巻き付け部５が設けられており、当該バンド巻き付け部５の外周面上に、頂部にバンド１０が巻き付けられたときに、バンド１０の幅方向の両端縁１０ａをチューブ３の外周面（より詳細には、バンド巻き付け部５の外周面）から浮かせるための環状（より具体的には、リング状）の凸部７が設けられている。

環状の凸部７は、図１および図２の例では、チューブ３の軸線方向に間隔をおいて複数（図１および図２の例では２個）設けられている。この場合の環状の凸部７は、図２に示すように、全周連続した凸部７ａとして形成してあってもよいし、図３に示すように、周方向に間隔的に並んだ多数の凸部７ｂの配列として形成してあってもよい。

また、チューブ３の外周面の環状の凸部７の側方には、環状の凸部７の外径よりも大きな外径を有し、バンド１０が所定以上に動くことを防止するリブ８が設けられている。

このグロメット１のチューブ３の外周にバンド１０を巻き付けて固定する場合は、図１（ｂ）に示すように、環状の凸部７の頂部上に該環状の凸部７に沿ってバンド１０を巻き付けて締め付けることにより、バンド１０の幅方向の両端縁１０ａを、チューブ３の外周面から浮かせた状態で保持する。

このように、バンド１０の幅方向の両端縁１０ａをチューブ３の外周面から浮かせた状態で締め付けた場合、チューブ３の外周面にバンド１０の両端縁１０ａが強く干渉するのを防止することができる。従って、チューブ３の外周面に極力傷が付いたり亀裂が発生したりしないようにすることができる。

また、バンド３の巻き付け位置に環状の凸部７を設けている場合、バンド１０の巻き付け位置を目視で確認しやすくなるという利点もある。

また、使用状態によっては、バンド１０の位置がすれてくることもあるが、環状の凸部７の側方に、環状の凸部７の外径よりも大きな外径のリブ８を設けているので、常にバンドを正しい巻き付け位置に保持しておくことができる。

尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。

例えば、環状の凸部７の本数や断面形状等は任意に選択可能である。

（ａ）は本発明の実施形態のグロメットの取付状態を示す側面図、（ｂ）は（ａ）のＩｂ部の拡大断面図である。 前記グロメットのチューブの一部を示す外観図である。 チューブの一部の変形例を示す斜視図である。 （ａ）は従来のバンドクランプを取り付けた部分の断面図、（ｂ）は（ａ）のＩＶｂ部の拡大図である。

符号の説明

１：グロメット
２：グロメット本体部
３：チューブ
５：バンド巻き付け部
７：環状の凸部
８：リブ
１０：バンド
１０ａ：両端縁
Ｗ：電線束
３０：パネル
３１：貫通孔

Claims (2)

1. パネルの貫通孔に装着されるグロメット本体部と、該グロメット本体部に連設されたチューブと、を有するグロメットに電線束を挿通させた状態で、前記チューブの外周にバンドを巻き付けて締め付け固定したグロメットのバンド締め付け構造であって、
   前記バンドを巻き付けた位置の前記チューブは、前記電線束を挿通させた内周面が、軸線方向に径が一定の円筒状であり、前記バンドを巻き付けた位置の外周面に環状の凸部が形成され、前記バンドは、前記凸部の頂部に巻き付けられ、当該バンドの幅方向の両端縁が前記チューブの外周面から浮いた状態で前記チューブを締め付けていることを特徴とするグロメットのバンド締め付け構造。
2. 前記チューブの外周面に、前記環状の凸部の外径よりも大きな外径を有するリブが前記環状の凸部の側方に形成され、前記リブによって前記バンドが所定以上に動くことを防止していることを特徴とする請求項１に記載のグロメットのバンド締め付け構造。

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