JP4915663B2 - 射出成形装置及び射出成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂を射出成形する射出成形装置及び射出成形方法に関するものである。
従来、熱可塑性樹脂の射出成形は種々の成形品を得るために広く利用されている。この成形時には、溶融された熱可塑性樹脂を金型に射出するにあたり、未充填やひけ等の発生を防止して一定の品質の製品を得るためには、熱可塑性樹脂が一定の粘度で射出される必要がある。
ところで、1つの射出成形装置において、金型を交換するなどして、複数の品種の製品を作製する場合がある。このような場合、金型におけるキャビティやスプルー、ランナー等の寸法が変わることから、一回の射出で射出される樹脂の量が増減する。すなわち、金型のキャビティ等の寸法が小さくなると、一度に射出する熱可塑性樹脂の量が低減することから、熱可塑性樹脂が溶融された状態で射出成形装置内に滞留している時間が長くなり、逆にキャビティ等の寸法が大きくなると、熱可塑性樹脂の射出量が増大して、前記滞留時間が短くなる。また、キャビティ等の寸法変動以外にも、他の理由により成形サイクルが変動したり、射出成形機内の樹脂の内容積が変動したりした場合にも、前記滞留時間が変動する。
このように溶融した熱可塑性樹脂の滞留時間に変動が生じると、射出時の熱可塑性樹脂の粘度が変動することとなる。これは、溶融状態の熱可塑性樹脂中では分解反応と重合反応とが競合して生じることになるが、このとき分解反応が優勢となり、分子量が低減して粘度が徐々に低下するためである。
そのため、射出時の熱可塑性樹脂の粘度を一定に保つことが困難である。このように射出時の粘度が変動すると、射出時の粘度が高くなる場合は熱可塑性樹脂の流動性が悪くなって金型への充填性が下がり、粘度が低くなる場合には射出前の樹脂の計量精度が悪くなって一定量の熱可塑性樹脂を射出することが困難となって、製品品質を一定に保つことが困難となる場合がある。また、金型設計時の流動解析(CAE)において設定した粘度と実際の粘度との間にずれが生じることにより、金型設計時に設定されていた所望の品質の製品が得られなくなるおそれがある。
また、熱可塑性樹脂の粘度調整のために、熱可塑性樹脂が接触する雰囲気中の水分や酸素の濃度を低減することにより分解反応を抑制することも提案されているが(特許文献1参照)、これらのガスの濃度を単に低減しても、熱可塑性樹脂の加熱履歴の相違により生じる粘度の変動は生じてしまい、滞留時間の変動により生じる粘度の変動の問題を解決することはできないものであった。
特開2005−280064号公報
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、溶融された熱可塑性樹脂の滞留時間が変動しても射出される熱可塑性樹脂の粘度を一定の値に保つことができ、製品品質を一定に保つことができる射出成形装置及び射出成形方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、熱可塑性樹脂1の射出成形装置であって、熱可塑性樹脂1が供給される材料受け部2と、材料受け部2から熱可塑性樹脂1の供給を受けてこの熱可塑性樹脂1を加熱溶融し、金型6に向けて射出する射出手段3と、材料受け部2内の雰囲気を制御する雰囲気制御手段4とを具備し、前記雰囲気制御手段4が、熱可塑性樹脂1の種類と、熱可塑性樹脂1が射出手段3に供給されてから射出されるまでの滞留時間と、射出手段3での熱可塑性樹脂1の加熱条件とに基づいて、射出手段3から射出される熱可塑性樹脂1が所定の粘度となるように材料受け部2の雰囲気を調整するものであることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記雰囲気制御手段4が、材料受け部2内の雰囲気中における、溶融状態の熱可塑性樹脂1の分解反応に関与する気体の濃度を調整するものであることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、材料受け部2内の雰囲気を測定する雰囲気測定手段5を具備し、上記雰囲気制御手段4が、前記雰囲気測定手段5による測定結果に基づいて材料受け部2内の雰囲気を調整するものであることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項において、上記雰囲気制御手段4が、材料受け部2内が所定の雰囲気になるように組成及び流量が調整されたガスを材料受け部2内に噴射するものであることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、熱可塑性樹脂1を加熱溶融し、金型6に向けて射出する熱可塑性樹脂1の射出成形方法であって、熱可塑性樹脂1が加熱溶融される前に曝露される雰囲気を、熱可塑性樹脂1の種類、熱可塑性樹脂1の加熱条件、及び熱可塑性樹脂1が加熱溶融されてから射出されるまでに要する時間に応じて調整することにより、熱可塑性樹脂1が所定の粘度に調整された状態で射出されるようにすることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5において、上記雰囲気の調整にあたり、溶融状態の熱可塑性樹脂1の分解反応に関与する気体の濃度を調整することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項5又は6において、熱可塑性樹脂1を減圧乾燥した後に、この熱可塑性樹脂1を調整された雰囲気中に曝露することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、金型6を交換するなどして射出手段3における熱可塑性樹脂1の滞留時間が変動したり、或いは熱可塑性樹脂1の種類、加熱条件等が変動したりしても、それに応じて材料受け部2の雰囲気を調整することで、射出手段3から所定の粘度の熱可塑性樹脂1を射出して金型6に充填することができ、未充填やひけ等の不良の発生が抑制された一定の品質を有する製品を得ることができるものである。
請求項2に係る発明によれば、分解反応に関与する気体の濃度を調整することで、溶融状態の熱可塑性樹脂の分解による粘度低下速度を制御することができ、これにより射出手段3にて射出される熱可塑性樹脂1が所定の粘度を有するようにすることができる。
請求項3に係る発明によれば、雰囲気測定手段5による測定結果に基づき、材料受け部2内の雰囲気を正確に調整することができる。
請求項4に係る発明によれば、組成及び流量が調整されたガスを材料受け部2に供給することで、この材料受け部2内の雰囲気を所望のものに調整することができる。
請求項5に係る発明によれば、金型6を交換するなどして、熱可塑性樹脂1が溶融加熱された後射出されるまでに要する時間が変更され、或いは熱可塑性樹脂1の種類、加熱条件等が変動したりしても、それに応じて熱可塑性樹脂1が曝露される雰囲気を調整することで、所定の粘度の熱可塑性樹脂1を射出して金型6に充填することができ、未充填やひけ等の不良の発生が抑制された一定の品質を有する製品を得ることができるものである。
請求項6に係る発明によれば、分解反応に関与する気体の濃度を調整することで、溶融状態の熱可塑性樹脂の分解による粘度低下速度を制御することができ、これにより射出手段3にて射出される熱可塑性樹脂1が所定の粘度を有するようにすることができる。
請求項7に係る発明によれば、減圧乾燥によって、熱可塑性樹脂1中に吸着しているガス等を除去することができ、前記ガス等が熱可塑性樹脂1の分解反応に関与して、熱可塑性樹脂1が所定の粘度で射出されなくなるような事態を防止することができるものであり、また、このように減圧乾燥された熱可塑性樹脂1には、材料受け部2内でその内部の雰囲気ガスが吸着し、当該雰囲気の制御による熱可塑性樹脂1の粘度の制御を確実に行うことができるようになる。
以下本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1に示す射出成形装置は、金型6と、金型6を開閉する型締め装置7と、熱可塑性樹脂1が供給される材料受け部2と、材料受け部2から熱可塑性樹脂1の供給を受けてこの熱可塑性樹脂1を加熱溶融し、金型6に向けて射出する射出手段3と、材料受け部2内の雰囲気を制御する雰囲気制御手段4とを備えている。
材料受け部2はホッパー2aにて形成されている。このホッパー2aは、下記可塑化部3aのバレル8に材料供給口12を介して接続されている。
射出手段3は、材料受け部2から供給される熱可塑性樹脂1を可塑化溶融する可塑化部3aと、可塑化溶融された熱可塑性樹脂1を金型6内に射出する射出部3bとを具備する。
可塑化部3aは、先端側に向かって下り傾斜した姿勢で配された可塑化シリンダ(バレル8)と、バレル8に内装したスクリュー9と、スクリュー9を回転駆動するモータからなるスクリュー駆動部10とを備えている。材料受け部2とバレル8とを連通する材料供給口12はバレル8の基端側に設けられており、この材料供給口12を介してバレル8内に熱可塑性樹脂1が供給されるようになっている。そしてスクリュー駆動部10によりスクリュー9を軸廻りに回転駆動すると共にバレル8の外周に設けたシリンダヒータ(バンドヒータ11)によりバレル8内を加熱することで、材料受け部2から材料供給口12を介してバレル8内に供給された樹脂材料をスクリュー9の回転に伴う剪断力とバンドヒータ11の加熱により先端側に送りながら溶融できるようになっている。
射出部3bは、水平姿勢でバレル8に対して並べて配置された射出シリンダ13と、射出シリンダ13に軸方向に進退自在に内装した射出プランジャ14と、射出プランジャ14を射出シリンダ13の軸方向に駆動するプランジャ駆動部15とを備えている。射出シリンダ13の先端面部には一端をバレル8の先端に連通接続した連通路16の他端を連通接続してあり、これにより射出シリンダ13の先端部の内部はバレル8の先端部の内部に連通路16を介して連通している。また射出シリンダ13の先端面部の連通路16と別の箇所には射出ノズル17を設けている。この射出シリンダ13の外面と、射出ノズル17の外面にもバンドヒータ11が設けられている。
金型6は、型締め装置7の固定盤18に設けた固定型19と可動型20とからなり、射出シリンダ13の前方に配設され、型締め装置7により固定型19に対して相対的に可動型20を移動することで金型6の型締め及び型開きを行えるようになっている。この金型6には必要に応じて、金型6の温度を調整するためのヒータ等の制御を行う金型温調機21が設けられている。
上記射出部3bと型締め装置7とは、同一の基台22上に設置されている。型締め装置7の固定盤18は基台22上に固定され、射出部3bは基台22上にレール23を介して水平方向に駆動可能に設置されている。射出部3bが前進した状態では、前述の射出ノズル17の先端に設けた射出口19aは型締め装置7の固定盤18を介して金型6のキャビティに連通する。そしてプランジャ駆動部15により射出プランジャ14を前進することで射出ノズル17を固定盤18を介して金型6内のキャビティ接続し、射出シリンダ13の先端部内に充填された溶融された熱可塑性樹脂1を射出ノズル17を介して金型6内に射出充填できるようになっている。
雰囲気制御手段4は材料受け部2内に向けてガスを噴出するガス噴出機構にて構成されている。図示のガス噴出機構では、窒素、二酸化炭素、酸素、水蒸気等のガスを供給するガスボンベ等のガス供給部24と、複数の各ガス供給部24から供給されるガスを混合すると共にガスの供給量を調整する流量調整ガスブレンダ25とが、各ガス供給部24と流量調整ガスブレンダ25とを接続する供給路26を介して接続されている。流量調整ガスブレンダ25は材料受け部2内に雰囲気ガス供給路27を介して接続され、組成及び流量が調整されたガスが材料受け部2内に噴出されるようになっている。流量調整ガスブレンダ25としては、例えば各ガス供給部24側にこの各ガス供給部24からのガスの供給流量を調整する調整弁を設け、材料受け部2側に材料受け部2へ供給するガスの供給流量を調整する調整弁を設けたものを挙げることができ、このとき各ガス供給部24からのガス供給流量をそれぞれ調整することによりガスの組成を調整して混合することができると共に、この混合されたガスの材料受け部2への供給流量を調整することができる。
また、材料受け部2内にはこの材料受け部2内の雰囲気を測定する雰囲気測定手段5が設けられている。雰囲気測定手段5としては、例えば酸素ガスセンサや水蒸気センサ等が設けられる。
また、このガス噴出機構を制御する制御部28も設けられている。この制御部28はマイクロコンピュータ等で構成され、材料受け部2内の雰囲気を設定し、雰囲気測定手段5による測定結果に基づいて、材料受け部2内の雰囲気が前記設定された雰囲気となるように、流量調整ガスブレンダ25を制御する機能を有する。
上記雰囲気の設定は、熱可塑性樹脂1の種類と、熱可塑性樹脂1が射出手段3に供給されてから射出されるまでの滞留時間と、この間の熱可塑性樹脂1の加熱条件とに基づいて、射出手段3から射出される熱可塑性樹脂1が所定の粘度となるように為される。
この雰囲気の設定にあたっては、この雰囲気中における、溶融状態の熱可塑性樹脂1の分解反応に関与する気体の濃度を設定するようにする。ここで、射出手段3において熱可塑性樹脂1が加熱されて溶融すると熱可塑性樹脂1の分解反応が生じ、また分解反応と重合反応とが競合する場合には熱可塑性樹脂1の分解反応が重合反応に比して優勢となり、溶融状態の熱可塑性樹脂1の粘度が経時的に低下する傾向が生じる。このため、滞留時間の長短によって、射出手段3から射出される際の熱可塑性樹脂1の粘度が異なることとなる。そこで、溶融状態の熱可塑性樹脂1の分解反応に関与する気体の濃度を調整することで、熱可塑性樹脂1の分解反応の反応速度を増減し、或いは熱可塑性樹脂1の化学平衡を分解反応側又は重合反応側に移動することによって、熱可塑性樹脂1の粘度の低下速度を変更し、射出手段3から射出される際に熱可塑性樹脂1組成物が所定の粘度となっているようにする。
例えばポリアミド等のようなアミド結合を有する熱可塑性樹脂1や、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂といった、エステル結合を有する熱可塑性樹脂1の場合には、加水分解や酸化分解により分解反応が生じるため、雰囲気中の水蒸気濃度や酸素濃度を調整する。ポリアミド樹脂の場合は、前記水蒸気濃度や酸素濃度を低減すれば重合反応が優勢となる方向に化学平衡が移動して溶融した熱可塑性樹脂1の粘度低下が抑制され、水蒸気濃度や酸素濃度を増大させると分解反応の方が優勢となる方向に化学平衡が移動して溶融した熱可塑性樹脂1の粘度低下が促進される。また、ポリエステル樹脂の場合は重合反応は生じずに分解反応のみが生じるが、この場合も前記水蒸気濃度や酸素濃度を低減すれば分解反応の反応速度が遅くなって溶融した熱可塑性樹脂1の粘度低下が抑制され、水蒸気濃度や酸素濃度を増大させると分解反応の反応速度が速くなって溶融した熱可塑性樹脂1の粘度低下が促進される。
また、ポリフェニレンサルファイドの場合は、酸素存在下での加熱架橋反応により重合反応が生じるため、雰囲気中の酸素濃度を調整する。この酸素濃度を増大させると重合反応が優勢となる方向に化学平衡が移動して溶融した熱可塑性樹脂1の粘度低下が抑制され、酸素濃度を低減すれば分解反応が優勢となる方向に化学平衡が移動して溶融した熱可塑性樹脂1の粘度低下が促進される。
図2に示すものは、熱可塑性樹脂1としてポリアミド樹脂を用い、加熱温度を340℃とした場合に、加熱溶融前に曝露される雰囲気を変更した場合の、滞留時間に対する粘度の変化を測定した結果を示すグラフである。このグラフで、横軸は経時時間を示す。また縦軸は粘度を示すものであるが、ここでは加熱溶融された熱可塑性樹脂1をスクリューフィーダで輸送する際の負荷を粘度の指標としている。この熱可塑性樹脂1としては、予め120℃、0.1MPa、240分間の条件で減圧乾燥を施したものを用いている。図中のAは雰囲気を大気曝露とした場合、Bは熱可塑性樹脂1の周囲の雰囲気に窒素ガスを吹き込むことでこの雰囲気の酸素濃度を1vol%以下とした場合の結果を示す。このように、雰囲気中の酸素の濃度を調整することによって、熱可塑性樹脂1の経時的な粘度低下が抑制されている。尚、この試験結果によれば、酸素濃度を1vol%以下とすることで粘度はむしろ経時的に増大しているが、材料受け部2への窒素ガスの吹き込み量を低減するなどして、熱可塑性樹脂1の周囲の雰囲気中の酸素濃度を1vol%以上大気中の酸素濃度以下の範囲で調整すれば、大気曝露の場合よりも粘度がなだらかに低減する条件を見出すことができる。そして、滞留時間が長くなった場合、その滞留時間の変化に応じて、滞留時間が変化する前後で粘度が変化しないように、熱可塑性樹脂1の周囲の雰囲気に窒素ガスを所定の流量や濃度で吹き込む等して雰囲気を調整し、溶融した熱可塑性樹脂1の滞留時間の変動の前後での粘度を、一定に保つことができるものである。
制御部28としては、作業者による入力動作等に応答して、熱可塑性樹脂1の種類及び射出手段3における加熱条件に応じ、熱可塑性樹脂1を所定の粘度で射出するために必要な、材料受け部2内の雰囲気中の分解反応に関与するガスの濃度を導出するものを設けることができる。このとき、例えば射出成形装置での射出成形に供される熱可塑性樹脂1の種類ごとに、それぞれの加熱条件ごとに、雰囲気中の分解反応に関与するガスの濃度を変えた場合の滞留時間と粘度との関係を実測等により導出して、制御部28に記憶しておき、作業者による入力動作等により熱可塑性樹脂1の種類、滞留時間及び加熱条件が指定された場合に、熱可塑性樹脂1が所定の粘度で導出されるために必要な雰囲気中の分解反応に関与するガスの濃度を、制御部28が導出するようにすることができる。
雰囲気制御手段4により、材料受け部2内の雰囲気を設定された通りに調整するにあたっては、例えばアミド結合を有する熱可塑性樹脂1や、エステル結合を有する熱可塑性樹脂1のように反応に関与するガスが水蒸気である場合には、雰囲気制御手段4によりポッパー内に噴出されるガス中の水蒸気濃度及びこのガスの噴出量を調整することで、材料受け部2内の水蒸気濃度を調整する。
すなわち、流量調整ガスブレンダ25によって、窒素ガスと二酸化炭素のうち少なくとも一方と水蒸気と混合し、これを材料受け部2内に噴出する。このとき材料受け部2内の雰囲気を雰囲気測定手段5にて測定する。そして、制御部28は、雰囲気測定手段5により測定される水蒸気濃度が所定の設定値に満たない場合には流量調整ガスブレンダ25により材料受け部2へ供給されるガス中の水蒸気濃度を増大させることにより、材料受け部2内の雰囲気中の水蒸気濃度を増大させる。一方、前記測定される水蒸気濃度が所定の設定値を超える場合には流量調整ガスブレンダ25により材料受け部2へ供給されるガス中の水蒸気濃度を低減することで、材料受け部2内の雰囲気中の水蒸気濃度を低減する。
このようにして材料受け部2内の雰囲気中の水蒸気濃度を、所定の設定値に維持することができる。
また、ポリフェニレンサルファイドのように反応に関与するガスが酸素である場合には、雰囲気制御手段4により材料供給部2内に噴出されるガス中の酸素濃度及びこのガスの噴出量を調整することで、材料受け部2内の酸素濃度を調整する。
すなわち、流量調整ガスブレンダ25によって、窒素ガスと二酸化炭素のうち少なくとも一方と酸素と混合し、これを材料受け部2内に噴出する。このとき材料受け部2内の雰囲気を雰囲気測定手段5にて測定する。そして、制御部28は、雰囲気測定手段5により測定される酸素濃度が所定の設定値に満たない場合には流量調整ガスブレンダ25により材料受け部2へ供給されるガス中の酸素濃度を増大させることにより、材料受け部2内の雰囲気中の酸素濃度を増大させる。一方、前記測定される水蒸気濃度が所定の設定値を超える場合には流量調整ガスブレンダ25により材料受け部2へ供給されるガス中の酸素濃度を低減することで、材料受け部2内の雰囲気中の酸素濃度を低減する。
また、上記酸素濃度の設定値が大気中の酸素濃度よりも低い場合には、流量調整ガスブレンダ25によって、窒素ガスと二酸化炭素のうち少なくとも一方のみを材料受け部2内に噴出しても良い。このとき制御部28は、雰囲気測定手段5により測定される酸素濃度が所定の設定値に満たない場合には流量調整ガスブレンダ25により材料受け部2へ供給されるガス中の噴出量を低減することにより材料受け部2内の雰囲気中の酸素濃度を増大させる。一方、前記測定される水蒸気濃度が所定の設定値を超える場合には流量調整ガスブレンダ25により材料受け部2へ供給されるガス中の噴出量を増大させることで、材料受け部2内の雰囲気中の酸素濃度を低減する。
このようにして材料受け部2内の雰囲気中の酸素濃度を、所定の設定値に維持することができる。
このような射出成形装置を用いた射出成形に用いられる熱可塑性樹脂1としては、既述のように、ポリアミド等のようなアミド結合を有する熱可塑性樹脂1や、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂といった、エステル結合を有する熱可塑性樹脂1、或いはポリフェニレンサルファイド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、この熱可塑性樹脂1中には適宜の添加物が含有されていても良い。
この射出成形装置にて熱可塑性樹脂1の射出成形を行うにあたっては、予め上記のように熱可塑性樹脂1に減圧乾燥を施しておくことが好ましい。この場合、減圧乾燥によって、熱可塑性樹脂1中に吸着しているガスや水分を除去することができ、前記ガス等が熱可塑性樹脂1の分解反応に関与して、熱可塑性樹脂1が所定の粘度で射出されなくなるような事態を防止することができる。また、このように減圧乾燥された熱可塑性樹脂1には、材料受け部2内でその内部の雰囲気ガスが吸着し、当該雰囲気の制御による熱可塑性樹脂1の粘度の制御を確実に行うことができるようになる。
熱可塑性樹脂1の減圧乾燥は、熱可塑性樹脂1の種類等に応じ、吸着したガス等を十分に除去することができる適宜の条件で行うことが好ましいが、例えば熱可塑性樹脂1としてポリアミド樹脂を用いる場合には、0.08〜0・10kPaの圧力下、110〜130℃の温度で、240分以下の時間行うことが好ましい。
次いで、上記のように雰囲気制御手段4により、熱可塑性樹脂1の種類と、熱可塑性樹脂1が射出手段3に供給されてから射出されるまでの滞留時間と、この間の熱可塑性樹脂1の加熱条件とに基づいて、射出手段3から射出される熱可塑性樹脂1が所定の粘度となるように材料受け部2の雰囲気を調整する。
このように材料受け部2の雰囲気が調整された状態で、熱可塑性樹脂1を材料受け部2に供給する。この熱可塑性樹脂1は材料受け部2からバレル8内に共有され、スクリュー9が回転駆動することにより搬送されると共にバンドヒータ11により加熱溶融される。この熱可塑性樹脂1は更に射出シリンダ13に供給され、この射出シリンダ13内でもバンドヒータ11により加熱されて溶融状態が保持される。次いで、射出プランジャ14を前進駆動することで熱可塑性樹脂1が射出ノズル17から射出され、型締めされた金型6のキャビティに充填される。このキャビティ内で熱可塑性樹脂1が冷却固化した後、金型6を型開きして製品が取り出される。
本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。 ポリアミド樹脂を、異なる雰囲気に曝露した後、340℃で加熱溶融した場合の、粘度の経時変化を示すグラフである。
符号の説明
1 熱可塑性樹脂
2 材料受け部
3 射出手段
4 雰囲気制御手段
5 雰囲気測定手段
6 金型

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂の射出成形装置であって、熱可塑性樹脂が供給される材料受け部と、材料受け部から熱可塑性樹脂の供給を受けてこの熱可塑性樹脂を加熱溶融し、金型に向けて射出する射出手段と、材料受け部内の雰囲気を制御する雰囲気制御手段とを具備し、前記雰囲気制御手段が、熱可塑性樹脂の種類と、熱可塑性樹脂が射出手段に供給されてから射出されるまでの滞留時間と、射出手段での熱可塑性樹脂の加熱条件とに基づいて、射出手段から射出される熱可塑性樹脂が所定の粘度となるように材料受け部の雰囲気を調整するものであることを特徴とする射出成形装置。
  2. 上記雰囲気制御手段が、材料受け部内の雰囲気中における、溶融状態の熱可塑性樹脂の分解反応に関与する気体の濃度を調整するものであることを特徴とする請求項1に記載の射出成形装置。
  3. 材料受け部内の雰囲気を測定する雰囲気測定手段を具備し、上記雰囲気制御手段が、前記雰囲気測定手段による測定結果に基づいて材料受け部内の雰囲気を調整するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形装置。
  4. 上記雰囲気制御手段が、材料受け部内が所定の雰囲気になるように組成及び流量が調整されたガスを材料受け部内に噴射するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の射出成形装置。
  5. 熱可塑性樹脂を加熱溶融し、金型に向けて射出する熱可塑性樹脂の射出成形方法であって、熱可塑性樹脂が加熱溶融される前に曝露される雰囲気を、熱可塑性樹脂の種類、熱可塑性樹脂の加熱条件、及び熱可塑性樹脂が加熱溶融されてから射出されるまでに要する時間に応じて調整することにより、熱可塑性樹脂が所定の粘度に調整された状態で射出されるようにすることを特徴とする射出成形方法。
  6. 上記雰囲気の調整にあたり、溶融状態の熱可塑性樹脂の分解反応に関与する気体の濃度を調整することを特徴とする請求項5に記載の射出成形方法。
  7. 熱可塑性樹脂を減圧乾燥した後に、この熱可塑性樹脂を調整された雰囲気中に曝露することを特徴とする請求項5又は6に記載の射出成形方法。
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