JP4914742B2 - 効果音発生装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両等の移動体のエンジン回転周波数に応じた効果音を移動体内で発生する効果音発生装置に関する。
従来から、運転者による加減速操作を検出し、加減速量に応じた効果音を車室内スピーカを通じて車室内に発生する効果音発生装置が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
これらの効果音発生装置では、例えば加速操作に応じてエンジン回転数が増加すると、そのエンジン回転数の増加に応じた高周波数で大音量の効果音をスピーカから発生させて車室内の演出効果を高めている。
前記3件の特許文献のうち、特許文献3では、エンジン回転周波数[Hz]の単位時間当たりの変化量(以下「エンジン回転周波数変化量」という。)[Hz/秒]に応じて効果音の音圧レベル(ゲイン)を変化させることで、すなわち、前記エンジン回転周波数変化量が小さいときは音圧レベルを小さくし、前記エンジン回転周波数変化量が大きいときは音圧レベルを大きくするようにすることで、より好ましい効果音を発生させている(特許文献3の図14参照)。
特開昭54−8027号公報(図1) 特表平4−504916号公報(図1) 特開2006−301598号公報(図12、図14、図15)
しかし、本発明者の研究の結果、より好ましい効果音、すなわち、ユーザ(運転手や搭乗者)の様々な好みに応じることのできる効果音を発生させるためには、図20で示される特許文献3に開示される、エンジン回転周波数変化量にのみ依存させて音圧レベルを変化させる構成では限界があることがわかった。例えば、ハイギア側(高変速段、4速段)でエンジン回転数が3000rpmを超える中高回転時高速クルーズ走行では、アクセルを踏み込んで速度が増加してもエンジン回転周波数変化量は比較的小さくなる。このため、中高回転域でより効果音を望むユーザの要望には十分に応えることができないことがあった。そこで、図20に記載される特許文献3の音圧調整器70の補正量を全体的にかさ上げすると、発進時のようにローギア側(低変速段、1速段)でアクセルを踏み込むと、エンジン回転数が1000〜3000rpmの低回転域では、速度の増加が小さくてもエンジン回転周波数変化量は比較的大きくなり、その結果、必要以上に効果音が発生し、ユーザに違和感を与えてしまう。
また、車速が変化すると、吸排気音や風等の周囲音圧が変化するが、特許文献3では、エンジン回転周波数変化量のみに基づいて出力音圧が決定される。このため、特許文献3では、このような周囲音圧の変化に対して、十分な音量調節ができない場合があった。
さらに、特許文献3では、アクセル空ぶかしや走行中のキックダウンに関する対策が行われているが、この対策は必ずしも十分とはいえなかった。すなわち、1速全開加速相当(アクセル6/8開度程度)の空ぶかしでは、車速が0にもかかわらず大きな音が発生して違和感が生じる可能性がある。
さらにまた、トルクコンバータを用いる車両では、シフトチェンジ時やキックダウン時に、変速ショックを和らげる等の理由から、トルクを徐々に伝達する制御が行われている。このため、エンジン回転数を急激に増加させた場合、一部のトルクは伝達されない。このような場合、エンジン回転周波数変化量に応じて効果音の音圧レベルを変化させる構成では、エンジン回転周波数変化量は、車両の実際の車速変化量との間にずれを生じる。このようなずれは、ローギアでエンジン回転数を高くしている場合に特に顕著となる(図13の波形90参照)。
この発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、きめ細かい演出効果を提供することができる効果音発生装置の提供を目的とする。
また、この発明の別の目的は、エンジン回転周波数変化量が、車速変化量を反映しない場合でも、運転手や同乗者にとって違和感の少ない効果音を発生することができる効果音発生装置の提供を目的とする。
この項では、理解の容易化のために添付図面中の符号を付けて説明する。この項に記載した内容がその符号を付けたものに限定して解釈されるものではない。
この発明に係る車両用効果音発生装置(101、101A、101B、101C)は、1周期分の波形データを格納する波形データテーブル(16)と、エンジンの回転周波数(fe)を検出する回転周波数検出手段(23)と、前記波形データテーブルから順次前記波形データを読み出して、前記回転周波数に基づく調波の基準信号(Sr1、Sr2、Sr3)を生成する基準信号生成手段(18)と、前記基準信号から制御信号(Sc)を生成する制御手段(201)と、前記回転周波数の単位時間当たりの変化量である回転周波数変化量(Δaf)を演算する回転周波数変化量演算手段(68)と、前記制御信号を効果音として出力する出力手段(14)と、車速(v)を検出する車速検出手段(30)と、を備え、前記制御手段は、前記回転周波数変化量と、前記車速又はこの車速の変化量(Δav)の少なくとも一方に応じた調整値(Y2)を用いて前記基準信号の振幅を調整することにより前記制御信号の振幅を決定することを特徴とする。
この発明によれば、制御信号の振幅特性の調整に用いる調整値が、回転周波数変化量に加え、車速若しくは車速変化量又はその両方に基づいて変化されることで、制御信号の振幅が決定される。これにより、車速若しくは車速変化量又はその両方に応じた周囲音圧の変化に対応した効果音を生じさせることができる。
前記調整値としては、前記基準信号に用いるゲインの値等を用いることができる。
上記において、前記制御手段は、前記回転周波数変化量と前記調整値との関係を規定する振幅調整特性を複数備え、前記複数の振幅調整特性のうちの一つを、前記車速又は前記車速の変化量に応じて択一的に選定する選定手段(54)を有し、前記選定手段で選定された振幅調整特性を用いて前記調整値を変化させることが好ましい。
また、前記選定手段は、前記車速の変化量について設定された所定の閾値(X1)や前記車速の範囲に基づいて、前記複数の振幅調整特性のうちの一つを選定することができる。
前記選定手段は、前記車両が停止中であるときの前記振幅調整特性の値を、前記車両が走行中であるときの前記振幅調整特性の値よりも低く設定することが好ましい。
車両が停止中である場合、ギアがニュートラルに入れられた状態でアクセルが踏まれていると考えられる。このような状態では、ゲインの値など振幅調整特性を低く設定することで、違和感を防止することができる。
さらに、前記選定手段は、前記車速の変化量が負であるときの前記振幅調整特性の値を、前記車速の変化量が正であるときの前記振幅調整特性の値よりも低く設定することが好ましい。
回転周波数変化量が大きい場合であっても、車速の変化量が負の場合は、効果音を小さくする方が自然である場合が多い。このため、違和感の低減を図ることができる。
この発明によれば、制御信号の振幅特性の調整に用いる調整値が、回転周波数変化量に加え、車速又は車速変化量に基づいて変化されることで、制御信号の振幅が決定される。これにより、車速又は車速の変化量に応じて効果音を生じさせることが可能となり、きめ細かい演出効果を提供することができる。
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
(1)効果音発生の仕組みの概要
図1は、この発明の第1実施形態に係る効果音発生装置101の構成を示すブロック図である。
この効果音発生装置101は、オートマチック・トランスミッション車両(AT車両)用のものであり、車両におけるエンジン(図示せず)の回転周波数に応じた効果音を発生させて、運転時の演出効果を高めるものである。この効果音を発生させるための仕組みの概要は以下のようなものである。
すなわち、エンジンの出力軸の回転毎にホール素子等のセンサから得られるエンジンパルスEpの周波数(エンジン回転周波数fe)[Hz]を周波数カウンタ等のエンジン回転周波数検出器23で検出する。次に、周波数変換器としての3つの倍数器24、25、26において、エンジン回転周波数検出器23で検出されたエンジン回転周波数feに基づいてより高周波の周波数信号である調波信号4fe、5fe、6feを生成する。次いで、3つの基準信号生成器18において、前記調波信号4fe、5fe、6feと、波形データテーブル16に記憶されている波形データとに基づいて基準信号Sr1、Sr2、Sr3を生成する。制御手段201において、前記基準信号Sr1、Sr2、Sr3に各種の処理を加えた上で、1つの制御信号Scを生成する。この制御信号Scをデジタル/アナログ変換器(D/A変換器)22によりアナログ変換して制御信号Sdを生成する。この制御信号Sdに基づく効果音をスピーカ14から出力する。なお、図示していないが、D/A変換器22とスピーカ14との間には出力増幅器が挿入され、乗員によりそのゲインを変更することができるようになっている。
また、本実施形態では、エンジン回転周波数変化量演算器68によりエンジン回転周波数feの単位時間当たりの変化量であるエンジン回転周波数変化量Δaf[Hz/秒]が演算される。このエンジン回転周波数変化量Δafは、制御手段201に出力され、制御信号Scを生成する際の処理に用いられる。
さらに、本実施形態では、エンジン回転周波数検出器23で検出されたエンジン回転周波数feは、制御手段201にも出力され、制御信号Scを生成する際の処理に用いられる。
さらにまた、本実施形態では、車速センサ30で検出された車速v[km/時]が、制御手段201に出力される。この速度vは、基準信号Sr1、Sr2、Sr3から制御信号Scを生成する際の処理に用いられる。
エンジン回転周波数検出器23、倍数器24、25、26、基準信号生成器18、波形データテーブル16、制御手段201、D/A変換器22、エンジン回転周波数変化量演算器68、及び、車速センサ30は、車両のダッシュボードに配置され、総合制御手段としてのECU(electric control unit)121を構成する。
スピーカ14は、運転席や助手席等の乗員位置29の乗員に対して音響を聞かせるためのものであり、両サイドのフロントドア内パネル、あるいは両サイドのキックパネル(運転者レッグスペースのドア側内側)に固定配置される。また、ダッシュボード中央下部に配置される場合もある。
(2)調波信号4fe、5fe、6fe(倍数器24、25、26)について
上述の通り、倍数器24、25、26は、エンジン回転周波数検出器23で検出されたエンジン回転周波数feに基づいてより高周波の周波数信号である調波信号4fe、5fe、6feを生成する。調波信号4fe、5fe、6feは、基本次数の周波数としてのエンジン回転周波数feの4次、5次、6次の周波数である。倍数器24、25、26による倍数は、2、3、7、8、9、…等の他の整数倍でもよく、2.5、3.3…等の実数倍でもよい。
本実施形態では、3つの倍数器24、25、26が並列にエンジン回転周波数検出器23と接続されている。倍数器の数は必要に応じて変更可能であり、また、倍数器を設けない構成も可能である。
(3)基準信号Sr1、Sr2、Sr3(基準信号生成器18及び波形データテーブル16)について
上述の通り、基準信号生成器18は、調波信号4fe、5fe、6feと、波形データテーブル16に記憶されている波形データとに基づいて基準信号Sr1、Sr2、Sr3を生成する。
ここで、基準信号Sr1、Sr2、Sr3の生成の仕方について説明すると、上述した波形データテーブル16は所定のメモリに格納されている。
図2A及び図2Bに模式的に示すように、波形データテーブル16は、正弦波1周期分の波形を時間軸方向(=位相軸方向)に所定数(N)で等分したときの各瞬時値を表すように、各瞬時値データをアドレス毎に波形データとして記憶している。なお、前記アドレス(i)は0からN−1までの整数(i=0、1、2、…、N−1)であり、図2A及び図2Bに記載されるアルファベットAは1又は任意の正の実数である。従って、アドレスiの波形データは、Asin(360°×i/N)で算出される。換言すれば、1サイクルの正弦波を時間方向にN分割して標本化し、各標本化点を順次メモリのアドレスとし、各標本化点における正弦波の瞬時値を量子化したデータを波形データとして、対応するメモリのアドレス位置に格納したものである。
基準信号生成器18(図1)は、入力される調波信号4fe、5fe、6feの周期に応じて読み出しアドレス周期(読み出しアドレス間隔)を変化させて、波形データテーブル16から波形データを読み出すことで、調波信号4fe、5fe、6feに対応する周波数の正弦波信号である基準信号Sr1、Sr2、Sr3を生成する。
(4)制御信号Sc(制御手段201)について
図1に示すように、基準信号Sr1、Sr2、Sr3を音響変化させて制御信号Scを出力する制御手段201は、それぞれが音響調整手段としての第1音響調整器51、第2音響調整器52、第3音響調整器53、及び第4音響調整器54を備えている。第1音響調整器51は、後述する「音場調整処理」(「平坦化処理」ともいう。)を行う。第2音響調整器52は、後述する「周波数強調処理」を行う。第3音響調整器53は、後述する「次数毎補正処理」を行う。第4音響調整器54は、後述する「重み付け音圧調整処理」を行う。
(a)音場調整処理(平坦化処理)
音場である車室内では、場所毎に異なる音響特性(音場特性、周波数伝達特性、又はゲイン特性ともいう。)があり、乗員位置、例えば、運転席と後部座席に応じて聞き取り易い周波数と聞き取り難い周波数とが存在する。すなわち、図3のゲイン特性39に示すように、スピーカ位置と乗員位置との間の音響特性にはピークやディップが存在することが分かっている。
そのため、たとえ加速に応じてリニアに(直線的に)スピーカから発生される効果音の周波数を高くし且つ音量を大きくしても、乗員の耳元では、音響特性により処理された効果音となるので、リニア感がなくなり、息継ぎ感が発生し、却って商品性が悪くなっている。
この点を考慮して音響特性にリニア感を発生させるための処理が音場調整処理(平坦化処理)である。この音場調整処理は、第1音響調整器51を用いて以下のように行われる。
第1音響調整器51は、フィルタとしての機能を有し、このフィルタのゲイン特性(横軸はエンジン回転周波数、縦軸はゲイン)は、スピーカ14から乗員位置29までの基準信号Sr1、Sr2、Sr3の周波数に応じて変化するゲイン特性C00(図4A)を反転させたゲイン特性(反転ゲイン特性)Ci00(図4B)にしている。
反転させたゲイン特性とは、音響的に伝わりにくいディップとなっている周波数の出力信号は大きくなるようにし、音響的に伝わりやすいピークとなっている周波数の出力信号は小さくなるようにする特性であり、式(伝達関数)で表現すると、Ci00=B/C00(Bは基準値)となる。
ここで、第2音響調整器52、第3音響調整器53及び第4音響調整器54のゲインが1、すなわち0dBであると仮定すると、効果音発生装置101では、基準信号生成器18により一定振幅で30[Hz]〜970[Hz]までの基準信号Sr1、Sr2、Sr3を生成したとき、乗員位置29では、第1音響調整器51の補正用のゲイン特性Ci00と音場のゲイン特性C00とが乗算されて、図4Cのゲイン特性C1に示すように、エンジン回転周波数に対して音圧が平坦な音響が聞こえるゲイン特性C1となる。
従って、乗員による加速操作、減速操作、一定速保持操作に応じて、エンジンパルスEpの周期が変化し、あるいは一定値に保持されたとき、エンジン回転周波数検出器23で検出されるエンジン回転周波数feの倍数器24、25、26による4次、5次及び6次の高調波周波数を有する調波信号4fe、5fe、6feに対して、略リアルタイムに周波数が増加し、減少し、あるいは一定周波数に保持される正弦波の基準信号Sr1、Sr2、Sr3が基準信号生成器18により生成される。
そして、この基準信号Sr1、Sr2、Sr3は、第1音響調整器51のゲイン特性Ci00で補正された中間信号Si11、Si21、Si31に変換される。よって、乗員位置29では、スピーカ14から出力された効果音が車室内音響特性C00により乗員位置29で周波数に応じて変動することを防止できる。すなわち、乗員位置29において、周波数特性が平坦な特性となる。このため、エンジン回転周波数fe(本実施形態ではエンジン回転周波数feの4倍、5倍及び6倍の周波数)に応じた、換言すれば、騒音源の状態に応じたリニア感のある効果音を乗員位置29で発生させることができる。
図3は、補正前後の乗員位置29における音圧レベルの周波数特性を示している。但し、この図3のゲイン特性40を得る際に、よりリニア感を増すために、基準信号Sr1、Sr2、Sr3又は制御信号Scは、エンジン回転周波数feに比例して振幅が大きくなる信号を発生するようにしている。
図3から分かるように、補正前のディップとピークのあるあばれ(エンジン回転周波数の変化に対する音圧の変化が一定でないこと)が存在するゲイン特性39に比較して、補正後のゲイン特性40は、エンジン回転周波数feに対して音圧レベルがリニアに変化していることが分かる。
以上のように、音場調整処理(平坦化処理)とは、加速操作に対してリニア感のある効果音を乗員位置29で発生させる処理である。
(b)周波数強調処理
周波数強調処理は、基準信号Sr1、Sr2、Sr3における所定範囲の周波数の大きさ(ゲイン)を調整する、いわゆるイコライザの機能を実行する処理である。周波数強調処理は、以下のように行われる。
第2音響調整器52において、例えば、図4Dに実線で示すように、所定周波数範囲、例えば、300[Hz]〜450[Hz]帯のゲインが増加するゲイン特性Cehをゲイン特性Ci00に直列に接続することにより、合成ゲイン特性Ci00ehが、図4Eに示すように、図4Bに示した反転ゲイン特性Ci00に対して、300[Hz]〜450[Hz]帯の周波数範囲が強調される(この例では、音が大きくされる)ゲイン特性Ci00ehとされる。
なお、乗員位置29で図4Dに点線で示したゲイン特性Ceh´となるように構成することで所定周波数範囲の音を弱める(小さくする)こともできる。また、本実施形態のように複数の倍数器24、25、26を設けた場合、それぞれの倍数器24、25、26からの出力に周波数強調処理が行われる。第2音響調整器52は、周波数強調処理を行った後、中間信号Si12、Si22、Si32を出力する。
(c)次数毎補正処理
図5A〜図5Cには、次数毎補正処理において中間信号Si12、Si22、Si32を増幅するゲインY1とエンジン回転数Ne[rpm](エンジン回転周波数fe[Hz]の60倍の数値)の関係を、中間信号Si12、Si22、Si32それぞれについて示すゲイン特性61、62、63が示されている。ゲイン特性61(図5A)は、中間信号Si12を増幅するのに用いられ、ゲイン特性62(図5B)は、中間信号Si22を増幅するのに用いられ、ゲイン特性63(図5C)は、中間信号Si32を増幅するのに用いられる。
各基準信号Sr1、Sr2、Sr3に基づく中間信号Si12、Si22、Si32をエンジン回転数Neに応じて各次数の寄与度を変化させることで、演出効果を向上させることができる。
(d)重み付け音圧調整処理
(i)重み付け音圧調整処理の基本的な内容
重み付け音圧調整処理は、第3音響調整器53から出力される中間信号Si13、Si23、Si33(図1)が加算器56により合成されることで生成された中間信号Si4を増幅するゲインY2を、エンジン回転周波数変化量Δafに基づいて変化させて、スピーカ14から出力される効果音の音圧レベルを調整するものである。
例えば、図6に示すように、本実施形態の重み付け音圧調整処理では、ゲインY2とエンジン回転周波数変化量Δafの関係を規定するゲイン特性74が、基準となるゲイン特性として用いられる。
エンジン回転周波数変化量Δafは、ECU121に設けられたエンジン回転周波数変化量演算器68により算出される。エンジン回転周波数変化量演算器68は、エンジン回転周波数検出器23で順次検出されるエンジンパルスEp(図7)における前後のパルスの周波数f1(1つ前の周波数)及び周波数f2(今回の周波数)の差Δf(Δf=f2−f1)を採り、この差Δfに今回の周波数f2を乗算することでエンジン回転周波数変化量Δafを求める。Δaf=Δf×f2[Hz/秒]であり、Δafはエンジン回転周波数feの加速度である。
このエンジン回転周波数変化量Δafは、同じアクセル開度で加速した場合、図8に示すように変速機が何速に入っているかにより異なる値となることが分かっている。ローギア側ではエンジン回転周波数変化量Δafが大きく、ハイギア側ではエンジン回転周波数変化量Δafが小さい。
エンジン回転周波数変化量Δafに応じた効果音を演出するため、エンジン回転周波数変化量Δafに応じて効果音の音量が大きくなることが好ましい。これに加え、車速を自動的に一定に保持するクルーズ走行時や減速時においては、効果音が小さくなることが好ましい。さらに、1速全開加速に対応するエンジン回転周波数変化量Δafを上回る空ぶかし時あるいはキックダウン時には、不快音とならないように効果音を低減させることが好ましい。
図6のゲイン特性74は、このような考察に基づいて、第4音響調整器54に設定される音響調整特性である重み付けのゲイン特性を示している。
ゲイン特性74では、1速全開周波数変化量X1(図8)における重み付けゲインY2を最大(例えば、0[dB])とし、1速全開周波数変化量X1よりエンジン回転周波数変化量Δafが小さくなるに従い4速全開周波数変化量X0(図8)まで徐々に重み付けゲインY2が小さくなるようにしている。つまり、ローギア側での加速時には大きな効果音となり、ハイギア側での加速時には小さな効果音となる。また、クルーズ走行時、減速時といったエンジン回転周波数変化量Δafがゼロ近傍の正の所定値以下である場合、重み付けゲインY2が最小(例えば、−20[dB])となるようにしている。さらに1速全開周波数変化量X1を上回る空ぶかし領域(キックダウン時も含む)では、不快音を発生しないように急激に重み付けゲインY2が小さくなるようにしている。
(ii)車速v及び車速変化量Δavに応じたゲイン特性の切替え
本実施形態における重み付け音圧調整処理は、車速v[km/時]及び車速変化量Δav[km/時/秒]に応じてそのゲイン特性を切り替える。車速変化量Δavは、車速センサ30からの車速信号に基づいて第4音響調整器54において演算される。
図9には、上記ゲイン特性の切替え処理を説明するための概念図が示されている。図9において、図1の構成要素に対応するものには同一の参照符号を付す。なお、基準信号生成器18、波形データテーブル16、第1音響調整器51、第2音響調整器52等の構成要素の記載を省略している。
第4音響調整器54中に示されるゲイン特性A〜Dは、車速vに応じて切り替えられるゲイン特性である。すなわち、ゲイン特性Aは、0<v≦a[km/時]のときに用いられるゲイン特性であり、ゲイン特性Bは、a<v<b[km/時]のときに用いられるゲイン特性であり、ゲイン特性Cは、b≦v[km/時]のときに用いられるゲイン特性であり、ゲイン特性Dは、v=0[km/時]のときに用いられるゲイン特性である。a及びbは正の実数であり、例えば、a=40、b=60である。また、ゲイン特性Eは、車速変化量Δavが所定値(例えば、Δav=0)未満のときに用いられるゲイン特性であり、ゲイン特性A〜Dと組み合わせて利用される。
ゲイン特性Aは、基準となるゲイン特性である。ゲイン特性Bは、その最高値が、ゲイン特性Aの最高値から3.5dB増加した特性を示す。ゲイン特性Cは、その最高値が、ゲイン特性Aの最高値から6.0dB増加した特性を示す。ゲイン特性Dは、ゲイン特性Aを一律に10dB低減させた特性を示す。ゲイン特性Eは、その最高値をゲイン特性Aの最高値から6dB低減させた特性を示す。ゲイン特性B、C、Eの最低値は、ゲイン特性Aの最低値と同じである。
第4音響調整器54は、車速vに基づいてゲイン特性A〜Dを選択し、車速変化量Δavに基づいてゲイン特性Eの利用の要否を決定する。
車速vは、ECU121に設けられた車速センサ30により検出され、速度信号(図10)として第4音響調整器54に出力される。また、各ゲイン特性のデータは、図示しないメモリに記憶されている。
なお、各ゲイン特性が相互に切り換えられる際、切換え前のゲイン特性に対しては、フェードアウト処理が、切換え後のゲイン特性に対しては、フェードイン処理が行われる。
また、各ゲイン特性が相互に切り換わる際、切換え処理は、ヒステリシス特性を持って行われる場合もある。例えば、ゲイン特性Aからゲイン特性Bに切り換える際、車速vがa[km/時]を越えたら直ぐにゲイン特性Bに切り換えるのではなく、例えば、a+5km/時になったとき初めてゲイン特性Bに切り換える。また、ゲイン特性Bからゲイン特性Aに切り換える際、車速vがakm/時以下になったら、直ぐにゲイン特性Aに切り換えるのではなく、例えば、a−5km/時になったとき初めてゲイン特性Aに切り換える。
さらに、各ゲイン特性を切り換える車速vは、エンジン回転周波数feに応じて変化させることができる。例えば、エンジン回転周波数feが所定値(例えば、80Hz)以上である場合、ゲイン特性Aからゲイン特性Bへの切換えをa+3km/時で行う。また、エンジン回転周波数feが別の所定値(例えば、20Hz)未満である場合、ゲイン特性Aからゲイン特性Bへの切換えをa−3km/時で行うことができる。
(5)第1実施形態における処理フロー
図11には、第1実施形態に係る効果音発生装置101における重み付け音圧調整処理のフローチャートが示されている。
ステップS1において、図示しないバッテリがECU121に対して接続されると、第4音響調整器54は、車速センサ30からの車速信号に基づいて車速vが0km/時であるか否か、すなわち、車両が走行中であるか否かを判定する。速度vが0km/時である場合、第4音響調整器54は、車両が停止状態にあると判定し、図9のゲイン特性Dを用いて重み付け音圧調整処理を行う(ステップS2)。
ステップS1において速度vが0km/時でない場合、ステップS3において、第4音響調整器54は、車速vがakm/時以下であるか否か(v≦a)を判定する。v≦aである場合、第4音響調整器54は、車両が低速走行状態にあると判定し、図9のゲイン特性Aを用いて重み付け音圧調整処理を行う(ステップS4)。
次いで、ステップS5において、第4音響調整器54は、車両の車速変化量Δav[km/時/秒]が所定値X1(例えば、5km/時/秒)以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X1以下でない場合、ゲイン特性Aをそのまま使用する。車速変化量Δavが所定値X1以下である場合、ゲイン特性Aを6dB下げる(又はゲイン特性Eを加える。)(ステップS6)。
ステップS3において車速vがaより大きい場合、第4音響調整器54は、ステップS7において車速vがb以上であるか否かを判定する。車速vがb未満の場合、第4音響調整器54は、車両が中速走行状態にあると判定し、図9のゲイン特性Bを用いて重み付け音圧調整処理を行う(ステップS8)。
次いで、ステップS9において、第4音響調整器54は、車両の車速変化量Δavが所定値X1以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X1以下でない場合、ゲイン特性Bをそのまま使用する。車速変化量Δavが所定値X1以下である場合、ゲイン特性Bを6dB下げる(ステップS10)。
ステップS7において車速vがb以上の場合、第4音響調整器54は、車両が高速走行状態にあると判定し、図9のゲイン特性Cを用いて重み付け音圧調整処理を行う(ステップS11)。
次いで、ステップS12において、第4音響調整器54は、車両の車速変化量Δav[km/時/秒]が所定値X1以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X1以下でない場合、ゲイン特性Cをそのまま使用する。車速変化量Δavが所定値X1以下である場合、ゲイン特性Cを6dB下げる(ステップS13)。
ステップS2、S5、S6、S9、S10、S12又はS13でゲイン特性を決定した後、第4音響調整器54は、ステップS1に戻る。ステップS1〜S13は、車両のエンジンが停止するまで繰り返される。
(6)本実施形態の実施例と比較例
図12A及び図12Bは、この発明の一実施形態に係る効果音発生装置を用いて能動音響制御(ASC:Active Sound Control)を行った場合{ASC ON(対策後)}、上記実施形態に係る効果音発生装置以外の効果音発生装置を用いて能動音響制御を行った場合{ASC ON(対策前)}、及びいずれの効果音発生装置も用いない場合(ASC OFF)それぞれについて、スピーカからの出力Frの音圧[Pa]を示す図である。
図12Aは、車速vが0km/時の状態でアクセルを空ぶかししたときの音圧を示す。この場合、音圧は比較的低い方が好ましいといえる。図12Aからわかるように、ASC ON(対策前)の場合、音圧が非常に高くなっているのに対し、ASC ON(対策後)及びASC OFFの場合、音圧は低く抑えられている。
図12Bは、車速vが0km/時より大きく、akm/時以下であるときの音圧を示す。この場合、音圧は比較的高い方が好ましいといえる。図12Bからわかるように、ASC ON(対策前)及びASC ON(対策後)いずれの場合も、音圧は比較的高くなっている。これに対し、ASC OFFの場合、音圧は低く抑えられている。
以上のように、上記実施形態に係る効果音発生装置を用いることで、車両が実際に走行状態であるときには十分な効果音を出力しつつ、空ぶかし時の違和感を解消することができる。
図13には、従来の効果音発生装置から発生される効果音の出力の波形90と、この発明の一実施形態に係る効果音発生装置から発生される効果音の出力の波形91とが示されている。
図13に示されるように、車両が加速している状態では、本実施形態に係る効果音発生装置による出力は、従来の効果音発生装置による出力よりも大きい。また、アクセルが踏まれているものの車両が加速しない状態、すなわち、エンジンで発生したトルクの一部が、トルクコンバータの特性に起因して、ホイールシャフトに伝達されない状態では、本実施形態に係る効果音発生装置による出力は、従来の効果音発生装置による出力よりも小さい。さらに、車両が一定速で走行している状態(今回は低速走行状態)では、本実施形態に係る効果音発生装置による出力は、従来の効果音発生装置による出力と略同じである。さらにまた、車両が減速している状態では、本実施形態に係る効果音発生装置による出力は、従来の効果音発生装置による出力よりも小さい。
(7)第1実施形態における効果
以上説明したように第1実施形態によれば、制御手段201は、エンジン回転周波数変化量Δaf及び車速vに応じたゲインY2を用いて基準信号Sr1、Sr2、Sr3を調整することにより制御信号Scの振幅を決定する(図9参照)。
この構成では、ゲインY2の値が、エンジン回転周波数変化量Δafに加え、車速vに基づいて変化されることで、制御信号Scの振幅が決定される。これにより、車速vに応じた周囲音圧の変化に対応した効果音を生じさせることが可能となり、きめ細かい演出効果を提供することができる。
制御手段201は、ゲイン特性A〜Dを切り換える際にフェードイン処理及びフェードアウト処理を行っている。フェードイン処理及びフェードアウト処理を行うことで、運転手又は同乗者にゲイン特性の切換えが判別しづらくなり、より自然な効果音を発生させることができる。
制御手段201は、ゲイン特性A〜Dの切換え処理にヒステリシス特性を持たせている。ヒステリシス特性を持たせることで、ゲイン特性の切換え速度周辺で頻繁に速度変化が起こったとき、又は速度信号にノイズが発生したときでもゲイン特性の切換えが容易に起こらなくなる。従って、ゲイン特性が頻繁に切り換わることによる違和感を防止することができる。
制御手段201は、エンジン回転周波数feに応じて速度区分を変化させる。これにより、ゲイン特性A〜Dの切換えを、車速vのみでなく、エンジン回転周波数feに応じて行うことが可能となり、より精緻に効果音を発生させることができる。
制御手段201は、車速vがゼロ(車両が停止中)であるときのゲインY2の値を、速度vが正(車両が走行中)であるときのゲインY2の値よりも低く設定している(図9参照)。
車速vがゼロである場合、ギアがニュートラルに入れられた状態でアクセルが踏まれていると考えられる。このような状態では、ゲインY2の値を低く設定することで、違和感を防止することができる。
制御手段201は、車速変化量Δavが負であるときのゲインY2の値を、車速変化量Δavが正であるときのゲインY2の値よりも低く設定している。
エンジン回転周波数変化量Δafが大きい場合であっても、車速変化量Δavが負の場合は、効果音を小さくする方が自然である場合が多い。このため、違和感の低減を図ることができる。
[B.第2実施形態]
(1)第1実施形態との相違点
図14は、この発明の第2実施形態に係る効果音発生装置101Aの構成を簡易的に示すブロック図である。
第2実施形態の効果音発生装置101Aは、第1実施形態の効果音発生装置101と同様の構成を有するが、第4音響調整器54は、ゲイン特性としてゲイン特性Aのみを有し、代わりに、ゲイン調整回路55を備える点で第1実施形態の効果音発生装置101と異なる。
(2)ゲイン調整回路55
第2実施形態のゲイン調整回路55は、ゲイン特性Aに対して付加するゲインを、エンジン回転周波数変化量演算器68からのエンジン回転周波数変化量Δafと、車速センサ30からの車速信号とから決定する。換言すると、第1実施形態では、車速v及び車速変化量Δavに応じて複数のゲイン特性の中から1つのゲイン特性を選択したのに対し、第2実施形態では、ゲイン特性は1つのみ備え、車速v及び車速変化量Δavに応じて前記1つのゲイン特性におけるゲインの値を調整する。
(3)第2実施形態における処理フロー
図15には、第2実施形態に係る効果音発生装置101Aにおける第4音響調整器54でゲインを決定するフローチャートが示されている。
ステップS21において、図示しないバッテリがECU121に対して接続されると、第4音響調整器54は、車速センサ30からの車速信号に基づいて車速vが0km/時であるか否か、すなわち、車両が走行中であるか否かを判定する。速度vが0km/時である場合、第4音響調整器54は、車両が停止状態にあると判定し、ゲイン特性Aの値を10dB低下させる(ステップS22)。
ステップS21において速度vが0km/時でない場合、ステップS23において、第4音響調整器54は、車速vがakm/時以下であるか否か(v≦a)を判定する。v≦aである場合、第4音響調整器54は、車両が低速走行状態にあると判定し、ステップS24において、車両の車速変化量Δav[km/時/秒]が所定値X1(例えば、5km/時/秒)以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X1以下でない場合、ゲイン特性Aの値をそのまま用いる(ステップS25)。ステップS24において、車速変化量Δavが所定値X1以下である場合、ゲイン特性Aの値を6dB下げる(ステップS26)。
ステップS23において、車速vがakm/時より大きい場合、第4音響調整器54は、ステップS27において車速vがb以上であるか否かを判定する。車速vがb未満の場合、第4音響調整器54は、車両が中速走行状態にあると判定し、ステップS28において、車両の車速変化量Δafが所定値X1以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X1以下でない場合、ゲイン特性Aの値を3.5dB増加させる(ステップS29)。車速変化量Δavが所定値X1以下である場合、ゲイン特性Aの値を6dB下げる(ステップS30)。
ステップS27において、車速vがb以上の場合、第4音響調整器54は、車両が高速走行状態にあると判定し、ステップS31において、第4音響調整器54は、車両の車速変化量Δavが所定値X1以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X1以下でない場合、ゲイン特性Aの値を6dB増加させる(ステップS33)。車速変化量Δavが所定値X1以下である場合、ゲイン特性Aの値を6dB下げる(ステップS33)。
ステップS22、S25、S26、S29、S30、S32又はS33でゲイン特性を特定した後、第4音響調整器54は、ステップS21に戻る。ステップS21〜S33は、車両のエンジンが停止するまで繰り返される。
[C.第3実施形態]
(1)第1実施形態との相違点
図16は、この発明の第3実施形態に係る効果音発生装置101Bの構成を示すブロック図である。
第3実施形態の効果音発生装置101Bは、第1実施形態の効果音発生装置101と同様の構成を有するが、車速センサ30からの車速信号が第3音響調整器53に供給され、第3音響調整器53の次数毎補正処理にこれらの信号が用いられる点で第1実施形態の効果音発生装置101と異なる。
(2)第3実施形態における次数毎補正処理
第1実施形態において説明したように、次数毎補正処理は、第2音響調整器52から出力される中間信号Si12、Si22、Si32(図16)を増幅するゲインY1を、基準信号Sr1、Sr2、Sr3の次数及びエンジン回転数Ne[rpm](エンジン回転周波数fe[Hz]を60倍したもの)に基づいて変化させて、スピーカ14から出力される効果音の音圧レベルを調整するものである。
図17に示すように、第3実施形態の次数毎補正処理では、次数の相違に加えて、車速v[km/時]に応じてゲイン特性が変化する。すなわち、車速vが0<v<aのとき、4次の基準信号Sr1に対しては、ゲイン特性71−1が用いられ、5次の基準信号Sr2に対しては、ゲイン特性71−2が用いられ、6次の基準信号Sr3に対しては、ゲイン特性71−3が用いられる。また、車速vがa≦v<bのとき、4次の基準信号Sr1に対しては、ゲイン特性72−1が用いられ、5次の基準信号Sr2に対しては、ゲイン特性72−2が用いられ、6次の基準信号Sr3に対しては、ゲイン特性72−3が用いられる。さらに、車速vがv≧bのとき、4次の基準信号Sr1に対しては、ゲイン特性73−1が用いられ、5次の基準信号Sr2に対しては、ゲイン特性73−2が用いられ、6次の基準信号Sr3に対しては、ゲイン特性73−3が用いられる。
また、車速vがv=0のときは、各ゲイン特性71−1、71−2、71−3を10dBずつ下げたゲイン特性が用いられる。さらに、第3音響調整器53において車速vに基づき演算された車速変化量Δafが、所定の閾値値X2未満であるときは、図9のゲイン特性Eと同様のゲイン特性を用いて、各ゲイン特性71−1、71−2、71−3、72−1、72−2、72−3、73−1、73−2、73−3を最大6dB下げる。
なお、第3実施形態の次数毎補正処理では、第1実施形態の重み付け音圧調整処理と同様に、フェードイン処理及びフェードアウト処理が行われ、さらに、各ゲイン特性の切替え処理がヒステリシス特性を持って行われる。
(3)第3実施形態における処理フロー
図18には、第3実施形態に係る効果音発生装置101Bにおける次数毎補正処理でゲイン特性を決定するフローチャートが示されている。
ステップS41において、図示しないバッテリがECU121に対して接続されると、第3音響調整器53は、車速センサ30からの車速信号に基づいて車速vが0km/時であるか否か、すなわち、車両が走行中であるか否かを判定する。速度vが0km/時である場合、第3音響調整器53は、車両が停止状態にあると判定し、図17のゲイン特性71−1、71−2、71−3を10dB下げた特性を用いて次数毎補正処理を行う(ステップS42)。
ステップS41において速度vが0km/時でない場合、ステップS43において、第3音響調整器53は、車速vがakm/時以下であるか否か(v≦a)を判定する。v≦aである場合、第3音響調整器53は、車両が低速走行状態にあると判定し、図17のゲイン特性71−1、71−2、71−3を用いて次数毎補正処理を行う(ステップS44)。
次いで、ステップS45において、第3音響調整器53は、車両の車速変化量Δav[km/時/秒]が所定値X2(例えば、5km/時/秒)以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X2以下でない場合、ゲイン特性71−1、71−2、71−3をそのまま使用する。車速変化量Δavが所定値X2以下である場合、ゲイン特性71−1、71−2、71−3をそれぞれ6dB下げる(ステップS46)。
ステップS43において、車速vがakm/時より大きい場合、第3音響調整器53は、ステップS47において車速vがb以上であるか否かを判定する。車速vがb未満の場合、第3音響調整器53は、車両が中速走行状態にあると判定し、図17のゲイン特性72−1、72−2、72−3を用いて次数毎補正処理を行う(ステップS48)。
次いで、ステップS49において、第3音響調整器53は、車両の車速変化量Δafが所定値X2以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X2以下でない場合、ゲイン特性72−1、72−2、72−3をそのまま使用する。車速変化量Δavが所定値X2以下である場合、ゲイン特性72−1、72−2、72−3を6dB下げる(ステップS50)。
ステップS47において、車速vがb以上の場合、第3音響調整器53は、車両が高速走行状態にあると判定し、図17のゲイン特性73−1、73−2、73−3を用いて次数毎補正処理を行う(ステップS51)。
次いで、ステップS52において、第3音響調整器53は、車両の車速変化量Δavが所定値X2以下であるか否かを判定する。車速変化量Δavが所定値X2以下でない場合、ゲイン特性73−1、73−2、73−3をそのまま使用する。車速変化量Δavが所定値X2以下である場合、ゲイン特性73−1、73−2、73−3を6dB下げる(ステップS53)。
ステップS42、S45、S46、S49、S50、S52又はS53でゲイン特性を特定した後、第3音響調整器53は、ステップS41に戻る。ステップS41〜S53は、車両のエンジンが停止するまで繰り返される。
[D.この発明の応用]
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下に示す(a)〜(f)の構成を採ることができる。
(a)移動体
上記各実施形態では、本発明に係る効果音発生装置を搭載する車両として、オートマチック・トランスミッション車両(AT車両)を用いたが、マニュアル・トランスミッション車両(MT車両)を用いてもよい。また、エンジン回転周波数に基づいて効果音を発生させることが可能な移動体であれば、車両以外でも、本発明に係る効果音発生装置を搭載することができる。例えば、ヘリコプター、飛行機、プレジャーボート等の移動体にも用いてもよい。
(b)エンジン回転周波数fe
上記各実施形態では、エンジン回転周波数feを検出するためにエンジンパルスEpを用いたが、エンジン回転周波数feを検出することができるものであれば、これに限られない。例えば、マイクロフォンを介して得られたエンジン音、アクセル開度、スロットル開度に基づいてエンジン回転周波数feを判定することもできる。
(c)基準信号及び各構成要素の数
上記各実施形態では、3つの基準信号Sr1、Sr2、Sr3を用いたが、効果音発生装置の仕様に応じて基準信号の数は任意に設定可能である。必要とされる基準信号の数に応じて、その他の構成要素(倍数器、基準信号生成器等)の数も変化する。
また、上記各実施形態では、倍数器24、25、26、基準信号生成器18等の構成要素の数を、基準信号Sr1、Sr2、Sr3の数と同じ3つとしたが、1つ又は2つの構成要素で処理させることも可能である。
(d)車速vの検出
上記各実施形態では、車速vを検出するために車速センサ30を用いたが、車速vを求めることができるものであれば、これに限られない。例えば、カウンタシャフトパルス、メインシャフトパルス、プロペラシャフト回転パルスから車速vを検出してもよい。さらに、GPSにより車両の位置を検出し、単位時間毎の車両の走行距離を演算してこの演算結果から車速vを判定することもできる。
(e)車速変化量Δavの判定
上記各実施形態では、車速変化量Δavを判定するために車速センサ30で検出した車速vから車速変化量Δavを演算したが、車速変化量Δavを判定することができるものであれば、これに限られない。例えば、車速変化量Δavを直接検出する加速度センサを設けてもよい。また、カウンタシャフトパルス、メインシャフトパルス、プロペラシャフト回転パルスから車速変化量Δavを判定してもよい。さらに、GPSにより車両の位置を検出し、単位時間毎の車両の走行距離を演算してこの演算結果から車速変化量Δavを判定することもできる。
(f)その他
上記各実施形態では、フェードイン処理及びフェードアウト処理の両方を用いたが、片方のみでもよい。また、これらの処理を全く用いない構成も可能である。さらに、上記実施形態では、ゲイン特性の切換え処理にヒステリシス特性を持たせたが、持たせないことも可能である。加えて、制御手段201は、エンジン回転周波数feに応じて速度区分を変化させたが、変化させない構成もとり得る。
上記各実施形態では、第4音響調整器54を加算器56の下流側に配置したが、加算器56の上流側に配置することもできる。例えば、図19の効果音発生装置101Cに示すように、第3音響調整器53と加算器56の間に第4音響調整器54を配置することもできる。この場合、第4音響調整器54は、第3音響調整器53からの中間信号Si13、Si23、Si33それぞれに対して重み付け音圧調整処理を行い、中間信号Si14、Si24、Si34を出力する。この場合のゲイン特性は、各基準信号Sr1、Sr2、Sr3の次数に応じて変化させることが好ましい。これにより、次数毎の重み付け音圧調整処理が可能となり、効果音の制御をより詳細に行うことができる。
上記実施形態では、第1音響調整器51による音場調整処理、及び第2音響調整器52による周波数強調処理を行ったが、乗員位置29のゲイン特性C00に応じて音場調整処理、及び周波数強調処理を行わないことも可能である。すなわち、基準信号Sr1、Sr2、Sr3に対して第1重み付け音圧調整処理又は第2重み付け音圧調整処理を直接行うこともできる。
図1は、この発明の第1実施形態に係る効果音発生装置の構成を示すブロック図である。 図2Aは、波形データメモリの内容を示す説明図である。図2Bは、波形データメモリを参照して生成された正弦波を示す説明図である。 図3は、音場調整処理が行われる前後の音圧レベルの周波数特性を示している。 図4Aは、乗員位置において測定したゲイン特性図である。図4Bは、図4Aのゲイン特性を反転したゲイン特性図である。図4Cは、図4A及び図4Bのゲイン特性を合成したゲイン特性図である。図4Dは、所定の周波数範囲を強調するゲイン特性図である。図4Eは、所定の周波数範囲が強調された反転ゲイン特性図である。 図5A〜図5Cは、第1実施形態の次数毎補正処理で用いる複数のゲイン特性テーブルを示す図である。 図6は、第1実施形態の重み付け音圧調整処理で用いる基準ゲイン特性を示す図である。 図7は、エンジンパルスの波形図である。 図8は、AT車両の変速特性図である。 図9は、第1実施形態におけるゲイン特性の切替え処理を説明するための概念図である。 図10は、車速信号の波形図である。 図11は、第1実施形態の重み付け音圧調整処理で用いるゲイン特性を決定するためのフローチャートである。 図12A及び図12Bは、この発明の一実施形態としての効果音発生装置の効果を示す図である。 図13は、この発明の別の実施形態としての効果音発生装置の効果を示す図である。 図14は、この発明の第2実施形態に係る効果音発生装置の構成を簡略的に示す図である。 図15は、第2実施形態のゲイン調整回路においてゲインを決定するためのフローチャートである。 図16は、この発明の第3実施形態に係る効果音発生装置の構成を示す図である。 図17は、第3実施形態の次数毎補正処理で用いられるゲイン特性を示す図である。 図18は、第3実施形態の次数毎補正処理においてゲイン特性を決定するためのフローチャートである。 図19は、この発明に係る効果音発生装置の変形例である。 図20は、従来技術としての効果音発生装置の構成を簡略的に示すブロック図である。
符号の説明
14…スピーカ(出力手段) 16…波形データテーブル
18…基準信号生成器(基準信号生成手段)
23…エンジン回転周波数検出器(回転周波数検出手段)
30…車速センサ(車速検出手段) 51…第1音響調整器
52…第2音響調整器 53…第3音響調整器
54…第4音響調整器(選定手段)
68…エンジン回転周波数変化量演算器(回転周波数変化量演算手段)
101、101A、101B、101C…効果音発生装置
201…制御手段
fe…エンジン回転周波数 Sc…制御信号
Sr1、Sr2、Sr3…基準信号 v…車速
X1、X2…閾値 Y2…ゲイン(調整値)
Δaf…エンジン回転周波数変化量 Δav…車速変化量

Claims (5)

  1. 1周期分の波形データを格納する波形データテーブルと、
    エンジンの回転周波数を検出する回転周波数検出手段と、
    前記波形データテーブルから順次前記波形データを読み出して、前記回転周波数に基づく調波の基準信号を生成する基準信号生成手段と、
    前記基準信号から制御信号を生成する制御手段と、
    前記回転周波数の単位時間当たりの変化量である回転周波数変化量を演算する回転周波数変化量演算手段と、
    前記制御信号を効果音として出力する出力手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    を備えた車両用効果音発生装置において、
    前記制御手段は、前記回転周波数変化量と、前記車速又はこの車速の変化量の少なくとも一方に応じた調整値を用いて前記基準信号の振幅を調整することにより前記制御信号の振幅を決定し、
    さらに、前記制御手段は、前記回転周波数変化量と前記調整値との関係を規定する振幅調整特性を複数備え、前記複数の振幅調整特性のうちの一つを、前記車速又は前記車速の変化量に応じて択一的に選定する選定手段を有し、前記選定手段で選定された振幅調整特性を用いて前記調整値を変化させる
    ことを特徴とする効果音発生装置。
  2. 請求項記載の効果音発生装置において、
    前記選定手段は、前記複数の振幅調整特性のうちの一つを、前記車速の変化量について設定された所定の閾値に基づいて選定する
    ことを特徴とする効果音発生装置。
  3. 請求項又は記載の効果音発生装置において、
    前記選定手段は、前記複数の振幅調整特性のうちの一つを、前記車速の範囲に基づいて選定する
    ことを特徴とする効果音発生装置。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の効果音発生装置において、
    前記選定手段は、前記車両が停止中であるときの前記振幅調整特性の値を、前記車両が走行中であるときの前記振幅調整特性の値よりも低く設定する
    ことを特徴とする効果音発生装置。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載の効果音発生装置において、
    前記選定手段は、前記車速の変化量が負であるときの前記振幅調整特性の値を、前記車速の変化量が正であるときの前記振幅調整特性の値よりも低く設定する
    ことを特徴とする効果音発生装置。
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JP4173891B2 (ja) * 2005-03-22 2008-10-29 本田技研工業株式会社 移動体用効果音発生装置
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