JP4911912B2 - 燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐久性が高く、低加湿条件下においても高い発電性能を示す固体高分子電解質型燃料電池に関するものである。
固体高分子電解質型燃料電池の最小発電単位である単位セルは、一般に固体電解質膜の両側に触媒電極層が接合されている膜電極複合体を有し、この膜電極複合体の両側には拡散層が配されている。さらに、その外側にはガス流路を備えたセパレータが配されており、拡散層を介して膜電極複合体の触媒電極層へと供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスを通流させるとともに、発電により得られた電流を外部に伝える働きをしている。
このような固体高分子電解質型燃料電池(以下、単に燃料電池と称する場合がある。)に用いられる触媒電極層は、触媒がカーボンに担持された触媒担持カーボンと電解質材料とを混ぜ合わせて形成されるのが一般的である。このようなカーボンとしては、通常、カーボンブラックが多く用いられてきた。しかしながら、カーボンブラックは耐食性が十分でないために、触媒電極層に用いた際、カーボンが腐食してしまうといった問題があった。また、このようなカーボンブラックに形成されている細孔は、ガスの透過には適しているものの、水分を保持するには適していないため、低加湿条件下の運転においては発電性能が十分ではないといった問題があった。
このような問題を解決するために、耐食性が高いカーボンを触媒電極層に用いる方法が考えられる。耐食性の高いカーボンとしては、例えば、ガラス状カーボン等が挙げられる。しかしながら、ガラス状カーボンは細孔が非常に少なく緻密な構造を有する表面積の小さいカーボンであるため、カーボンブラックに触媒を担持させた場合の触媒担持量と比較して、触媒の担持量が少ない等の問題が生じ、触媒電極層に用いるカーボンとしての使用は困難であった。
なお、特許文献1では、メソカーボンマイクロビーズを賦活し、かつ黒鉛化することでメソカーボンマイクロビーズの表面積を増大させる方法が提案されている。しかしながら、このような方法を用いた場合、メソカーボンマイクロビーズの表面積は増大するものの、メソカーボンマイクロビーズの耐食性はそれほど高いものではないため、触媒電極層が劣化するおそれがあるといった問題を有するものである。
特開平5−166513号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐久性が高く、低加湿条件下においても高い発電性能を示す燃料電池を提供することを主目的とするものである。
本発明は、触媒と上記触媒が担持された担体と電解質材料とを少なくとも含む触媒電極層を備えた燃料電池であって、上記担体は、ガラス状カーボンを賦活処理することにより得られた多孔質ガラス状カーボン粉末からなることを特徴とする燃料電池を提供する。
本発明によれば、上記担体は、ガラス状カーボンを賦活処理することにより得られた多孔質ガラス状カーボン粉末からなることにより、耐食性が高く、保湿に適した細孔を有する担体とすることができる。したがって、耐久性が高く、かつ低加湿条件下において高い発電性能を示す燃料電池とすることができる。
上記発明においては、上記多孔質ガラス状カーボン粉末の平均粒子径が、2μm以下であることが好ましい。これにより、表面積がより増大した担体とすることが可能となり、上記担体の触媒の担持量を増やすことが可能となるからである。
また、本発明において、上記触媒電極層は、上記ガラス状カーボンより導電性の高い導電性材料を含有することが好ましい。これにより、触媒電極層内の導電性を高めることができ、発電性能がさらに向上した燃料電池とすることができる。
さらに本発明においては、前記導電性材料が、多層カーボンナノチューブであることが好ましい。多層カーボンナノチューブは耐食性が高いため、多孔質ガラス状カーボン粉末と組み合わせることにより、触媒電極層全体の耐食性が向上し、さらに耐久性の高い燃料電池とすることができる。
さらにまた、本発明において、上記触媒電極層は、造孔材として繊維状カーボンを含有することが好ましい。これにより、触媒電極層内のガス拡散および生成水等の排出に適した空隙を上記触媒電極層内に形成することが可能となり、触媒電極層内のガス拡散性の向上およびフラッディングの防止を可能とすることができる。
本発明は、耐久性が高く、低加湿条件下においても高い発電性能を示す燃料電池を提供することができるといった効果を奏する。
以下、本発明の燃料電池について説明する。
図1は、一般的な燃料電池の最小単位である単位セルの構造の一例を示すものである。このような単位セルは、電解質膜1の両側に触媒電極層2が接合されている膜電極複合体3を有し、この膜電極複合体3の両側にはガス拡散層4が配され、さらに、その外側にはセパレータ5が配されている。本発明の燃料電池は、図1における触媒電極層2に特徴を有するものである。
本発明の燃料電池は、触媒と上記触媒が担持された担体と電解質材料とを少なくとも含む触媒電極層を備えた燃料電池であって、上記担体は、ガラス状カーボンを賦活処理することにより得られた多孔質ガラス状カーボン粉末からなることを特徴とするものである。
一般的に、燃料電池を構成する触媒電極層に用いられる担体としては、カーボンブラックが広く用いられている。しかしながら、カーボンブラックは耐食性が低いことから、カーボンブラックに代わる耐食性の高いカーボンの使用が強く望まれていた。一方、ガラス状カーボンは耐食性の高い性質を有するカーボン素材として知られている。しかしながら、ガラス状カーボンは、細孔が非常に少なく緻密な構造を有しているため、触媒を担持させるための表面積が小さく、触媒電極層の担体としてそのまま用いるには不向きであった。
本発明は、このような耐食性の高いガラス状カーボンを賦活処理することにより、触媒電極層の担体として用いることを可能としたものである。本発明によれば、ガラス状カーボンに賦活処理を施すことにより、ガラス状カーボンが酸化して、ガラス状カーボンに細孔が形成され、またその細孔をより深くすることができるため、ガラス状カーボンの表面積を増大させることができる。したがって、このようなガラス状カーボンを触媒電極層の担体として用いた場合、良好な触媒の担持量を有し、かつ耐食性の高い担体とすることができる。また、このようにガラス状カーボンを賦活処理することにより形成された細孔は、一般的に担体として用いられるカーボンブラックの細孔と比較して小さいため、保湿に適した細孔を有する担体とすることができる。したがって、耐久性が高く、かつ低加湿条件下において高い発電性能を示す燃料電池とすることができる。
以下、本発明の燃料電池の各構成について説明する。
1.触媒電極層
まず、本発明における触媒電極層について説明する。本発明における触媒電極層は、触媒と上記触媒が担持された担体と電解質材料とを少なくとも含むものである。
以下、本発明における触媒電極層に含有される各成分について詳しく説明する。
(1)担体
本発明に用いられる担体は、ガラス状カーボンを賦活処理することにより得られた多孔質ガラス状カーボン粉末からなる点に特徴を有するものである。これにより、耐食性が高く、かつ保湿に適した細孔を有する担体とすることができるといった利点を有する。
本発明に用いられるガラス状カーボンは、特に限定されるものではなく、当業者がガラス状カーボンと称して用いているものを用いることができる。このようなガラス状カーボンは、熱硬化性樹脂を800℃以上の温度にて焼成炭化したもので、ガラスの様に気体不透過性で緻密な等方性組織のカーボンであり、例えば燃料電池のセパレータの材料等として用いられているものである。
本発明に用いられる担体は、上述したようなガラス状カーボンを賦活処理することにより得られたものである。本発明における賦活処理は、カーボンを賦活する際に一般的に用いられる方法を用いて行うものであれば、特に限定されるものではない。このような賦活処理は、例えば活性炭を製造する際に用いられるものである。
ここで、このような賦活処理とは、カーボンを適宜の温度、例えば400〜1200℃程度に昇温し、水蒸気、炭酸ガスまたは空気を用いて酸化反応を行う方法を用いて行うものである。また、賦活助剤を用いて賦活処理を行う方法も用いられ、この場合、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で反応を行ってもよい。
本発明においては、このような賦活処理を行う方法としては、例えば上記ガラス状カーボンを炭酸ガス雰囲気下で950度まで昇温し、酸化反応させる方法を用いることができる。
本発明においては、上述したようにガラス状カーボンを賦活処理した後、上記ガラス状カーボンを粉砕し、多孔質ガラス状カーボン粉末を得るものである。本発明において、ガラス状カーボンを粉砕する方法は、上記ガラス状カーボンを粉砕することが可能な方法であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、ボールミル等を用いて粉砕する方法が挙げられる。
本発明に用いられる多孔質ガラス状カーボン粉末は、上述したようにガラス状カーボンを賦活処理し、粉砕することによりそのガラス状カーボンの表面積を増大させたものであるが、その比表面積は、300〜1800m/gの範囲内、中でも500〜1200m/gの範囲内であることが好ましい。比表面積が上述した範囲内であることにより、多孔質ガラス状カーボン粉末の触媒担持量をより良好なものとすることが可能となるからである。ここで、このような比表面積は、例えば窒素吸着法を用いて測定することができる。
本発明においては、上記多孔質ガラス状カーボン粉末の平均粒子径が、2μm以下であることが好ましく、中でも0.5〜1.5μmの範囲内であることが好ましい。これにより、表面積がより増大した多孔質ガラス状カーボン粉末とすることが可能となり、上記多孔質ガラス状カーボン粉末の触媒の担持量を増やすことができるからである。このように、上記多孔質ガラス状カーボン粉末の平均粒子径を所定の範囲内とする方法としては、特に限定されるものではないが、例えば所定の値以下の粉末を通すことの可能なふるいを用いる方法等を挙げることができる。
本発明においては、担体として、上述した多孔質ガラス状カーボン粉末のみを用いることが好ましいものであるが、上記多孔質ガラス状カーボン粉末に加え、燃料電池の触媒電極層に一般的に用いられる担体を用いることも可能である。このような燃料電池の触媒電極層に一般的に用いられる担体としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばカーボンブラック等を用いることができる。
本発明においては、上述したように、担体として上記多孔質ガラス状カーボン粉末に加え、カーボンブラックを用いた場合、上記多孔質ガラス状カーボン粉末の担体全体に対する割合は、10〜98質量%の範囲内、中でも50〜95質量%の範囲内が好ましい。上述した範囲内であることにより、耐食性がより高く、保湿により適した細孔を有する担体とすることができるからである。
なお、本発明における多孔質ガラス状カーボン粉末に、後述する触媒を担持させる方法としては、燃料電池の触媒電極層に用いられるカーボンブラックに触媒を担持させる方法として一般的に用いられている方法を用いることができる。
(2)触媒
本発明に用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、燃料電池の触媒電極層に一般的に用いられる触媒を用いることができる。具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、およびこれらの合金等を挙げることができ、本発明においては、中でも白金を用いることが好ましい。一般的な燃料電池の触媒電極層に用いられる触媒として汎用されているからである。
(3)電解質材料
本発明に用いられる電解質材料は、特に限定されるものではなく、燃料電池の触媒電極層を形成する際に一般的に用いられる電解質材料を用いることができる。具体的には、パーフルオロスルホン酸系ポリマーのようなフッ素系の樹脂やプロトン伝導基を有するポリイミドなどの炭化水素系の樹脂が好ましく、特にパーフルオロスルホン酸系ポリマーが好ましく、中でもNafion(商品名、デュポン株式会社製)が好ましい。
(4)導電性材料
本発明において、上記触媒電極層は、上述したような担体、触媒および電解質材料を含有する他に、上記ガラス状カーボンより導電性の高い導電性材料を含有することが好ましい。担体として多孔質ガラス状カーボン粉末を用いた際、上記多孔質ガラス状カーボン粉末は触媒電極層内で凝集体を形成せず、上記多孔質ガラス状カーボン粉末の粒子が個々に分離した状態となるため、触媒電極層内の電気抵抗が高くなり、導電性が低下してしまう可能性がある。そこで、触媒電極層にガラス状カーボンより導電性の高い導電性材料を上記触媒電極層に添加することにより、触媒電極層内の導電性を高めることができ、燃料電池の発電性能をさらに向上させることができるからである。
本発明に用いられる導電性材料は、ガラス状カーボンより導電性の高い導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、多層カーボンナノチューブ、高結晶化カーボンブラック等が挙げられる。このような導電性材料を用いることにより、触媒電極層内の導電性を高めることができ、発電性能がさらに向上した燃料電池とすることができるからである。
本発明に用いられる導電性材料は、中でも多層カーボンナノチューブであることが好ましい。多層カーボンナノチューブは、耐食性が高いため、多孔質ガラス状カーボン粉末と組み合わせることにより触媒電極層全体の耐食性が向上し、さらに耐久性の高い燃料電池とすることができるからである。
また、本発明に用いられる導電性材料の含有量は、触媒電極層全体に対して、1〜20質量%の範囲内、中でも2〜10質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、触媒電極層内の導電性を良好なものとすることができるからである。
(5)造孔材
本発明において、上記触媒電極層は、造孔材を含有することが好ましい。担体としてカーボンブラックを用いた場合、上記カーボンブラックは、触媒電極層内で凝集体を形成するため、触媒電極層内に空隙が形成される。しかしながら、上述したように、担体として多孔質ガラス状カーボン粉末を用いた場合、上記多孔質ガラス状カーボン粉末は触媒電極層内で凝集体を形成しないため、触媒電極層内における空隙が、担体としてカーボンブラックを用いた場合と比較して、少なくなる可能性がある。そこで、触媒電極層に造孔材を添加することにより、ガスの拡散および生成水等の排出に適した空隙を上記触媒電極層内に形成することができ、触媒電極層内のガスの拡散性を向上させ、フラッディングを防止することが可能となるからである。
本発明に用いられる造孔材は、燃料電池の触媒電極層の造孔材として一般的に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、繊維状カーボン、無機繊維、高分子繊維等の繊維状物質や発泡剤等が挙げられる。このような造孔材を用いることにより、触媒電極層内にガス拡散および生成水等の水の排水に適した空隙を形成することが可能となり、触媒電極層内のガス拡散性の向上およびフラッディングの防止を可能とすることができるからである。
本発明に用いられる造孔材としては、中でも、繊維状カーボンを用いることが好ましい。繊維状カーボンは導電性に優れた性質を有しているため、触媒電極層内のガス拡散性の向上およびフラッディングの防止に加え、触媒電極層内の電子伝導性がさらに向上するからである。
このような繊維状カーボンは、特に限定されるものではなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、金属繊維等が挙げられる。
2.その他の構成
本発明の燃料電池の構成において、上述した触媒電極層以外の構成に関しては、特に限定されるものではなく、一般的な燃料電池の構成と同様のものを用いることができる。一般的な燃料電池の構成としては、例えば、固体電解質膜の両側の表面に触媒電極層が接合され、その外側の表面にはガス拡散層が配され、さらに、その外側にはセパレータが配されているもの等を挙げることができる。
以下、本発明の燃料電池を構成する、上記触媒電極層以外の構成について説明する。
本発明に用いられる固体電解質膜は、プロトン伝導性に優れ且つ電流を流さない材料からなるものであれば特に限定されるものではない。現在汎用されている材料としてはパーフルオロスルホン酸系ポリマー(商品名:Nafion、デュポン株式会社製)等のフッ素系樹脂や、プロトン伝導基を有するポリイミド等の炭化水素系樹脂等を挙げることができる。
また、本発明に用いられるガス拡散層およびセパレータとしては、通常の燃料電池に用いられているものを用いることができる。具体的には、ガス拡散層としては、カーボン繊維から成るカーボンクロスやカーボンペーパーなどの多孔体が好適に用いられ、セパレータとしては、カーボンタイプのもの、金属タイプのもの等を用いることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(多孔質ガラス状カーボン粉末担体の作製)
α−セルロース90%以上、太さ5.5デシテックス、長さ5mmのレーヨンパルプ80重量部および針葉樹パルプ(NBKP)20重量部を混合し、水に分散させた後長網式抄紙機を用いて抄紙した。得られた平均径110μm、気孔径50%の抄造紙を一辺900mmの正方形に切断し、その縦方向と横方向を交互に直行させて積層し、基材を作製した。
この基材を、残炭率45%のフェノール樹脂をエタノールに溶解した樹脂濃度50wt%のフェノール樹脂液に浸漬して、フェノール樹脂液を含浸させた後、乾燥機に入れて60℃の温度で2時間保持してエタノールを揮散除去した。その後、0.5kg/cmの圧力で加圧しながら加熱し、80℃から20℃/hrの昇温速度で140℃に加熱して、フェノール樹脂を硬化した。
硬化後の成形体を窒素ガス雰囲気に保持された加熱炉に入れて、1000℃の温度でレーヨンパルプおよび針葉樹パルプを熱揮散させ、並びにフェノール樹脂を焼成炭化処理した後、賦活炉に移し、炭酸ガス雰囲気下で950℃の温度で賦活処理を施して多孔質ガラス状カーボンを作製した。
得られた多孔質ガラス状カーボンをボールミルで12時間微粉砕して、多孔質ガラス状カーボン粉末を得た。
(Pt/C触媒の作製)
水やアルコールからなる溶液中に本発明の多孔質ガラス状カーボン粉末を分散させ、Pt薬液(一般的なPt薬液として、塩化白金酸や白金硝酸薬液等がある。)を滴下してPtを浸漬させた後、還元処理(その他、熱分解を行ってもよい。)、乾燥を行い、Pt/C触媒粉末を得た。
(膜電極複合体の作製)
作製した上記Pt/C触媒粉末とNafion(商品名、デュポン株式会社製)とを水−アルコール系の溶媒に超音波ホモジナイザーを用いて分散させ、触媒層形成用塗工液を作製し、これを拡散層にスプレー塗布後、固体電解質膜であるNafion(商品名、デュポン株式会社製)に熱圧着することで膜電極複合体を作製した。なお、上記Pt/C触媒粉末を溶媒中に分散させる方法としては、超音波ホモジナイザーを用いる方法の他、ロールミルやビーズミル等を用いる方法を挙げることができる。
[実施例2]
実施例1と同様に作製したPt/C触媒粉末とNafion(商品名、デュポン株式会社製)とを水−アルコール系の溶媒に超音波ホモジナイザーを用いて分散させた後、多層カーボンナノチューブを加え、さらに超音波ホモジナイザーを用いて分散させ、触媒層形成用塗工液を作製した。これを拡散層にスプレー塗布後、固体電解質膜であるNafion(商品名、デュポン株式会社製)に熱圧着することで膜電極複合体を作製した。
[実施例3]
実施例1と同様に作製したPt/C触媒粉末とNafion(商品名、デュポン株式会社製)とを水−アルコール系の溶媒に超音波ホモジナイザーを用いて分散させた後、繊維状カーボンを加え、さらに超音波ホモジナイザーを用いて分散させ、触媒層形成用塗工液を作製した。これを拡散層にスプレー塗布後、固体電解質膜であるNafion(商品名、デュポン株式会社製)に熱圧着することで膜電極複合体を作製した。
[比較例]
担体としてカーボンブラックを用いたこと以外は、実施例1と同様に膜電極複合体を作製した。
[低加湿条件下での発電特性試験]
上記実施例および比較例において作製した膜電極複合体の発電特性試験を、低加湿条件下(セル温度:80℃、アノード:45℃の加湿した水素、カソード:55℃の加湿した空気)で行った。その結果を図2に示す。図2から、極めて低加湿の発電特性試験において、担体として、カーボンブラックを用いた比較例よりも本発明の多孔質ガラス状カーボン粉末を用いた実施例1、2および3の方が高い発電性能を示した。
本発明の燃料電池の最小単位である単位セルの構造の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施例および比較例において作製された膜電極複合体の発電性能を示すグラフである。
符号の説明
1…固体電解質膜
2…触媒電極層
3…膜電極複合体
4…拡散層
5…セパレータ

Claims (4)

  1. ガラス状カーボンを賦活処理してから粉砕することにより多孔質ガラス状カーボン粉末を作製する賦活処理工程と、
    前記多孔質ガラス状カーボン粉末に触媒を担持させる触媒担持工程と、
    前記触媒が担持された前記多孔質ガラス状カーボン粉末と、電解質材料と、造孔材とを少なくとも含む触媒電極層を形成する触媒電極層形成工程と、
    を有し、
    前記ガラス状カーボンの賦活処理が、酸化反応を行う方法を用いて行うものであることを特徴とする燃料電池の製造方法。
  2. 前記多孔質ガラス状カーボン粉末の平均粒子径が、2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の製造方法。
  3. 前記触媒電極層は、前記ガラス状カーボンより導電性の高い導電性材料を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池の製造方法。
  4. 前記導電性材料が、多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の燃料電池の製造方法。
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