本発明の遊技機は、以下の構成をとる。
手段1.
本発明の遊技機は、
音響制御信号を生成する音響信号制御部を有する主制御装置と、
音声情報を保持する音声情報保持部、音量設定情報を一時的に保持する音量情報保持部、前記音響制御信号に基づいて、前記音声情報を参照して音声信号を生成する音声信号生成部、及び、前記音響制御信号に基づいて、前記音量設定情報を参照して音量信号を生成する音量信号生成部を有するサブ制御装置と、
前記音量設定情報を変更する音量調節情報を入力する音量調節装置と、
前記音声信号に応じた音声を前記音量信号に応じた音量で出力する音響装置と、
を備えた遊技機であって、
前記音響制御信号の種類と第1の音量系統及び第2の音量系統を含む複数種類の音量系統との対応を表わす音量系統テーブルを保持する音量系統テーブル保持部を更に備え、
前記主制御装置が、前記音量調節情報に基づいて音量変更信号を生成する音量変更信号生成部を更に有し、
前記サブ制御装置が、前記音量変更信号に基づいて前記音量設定情報を変更する音量変更部を更に有し、
前記音量設定情報が、前記複数種類の音量系統の各々に対応する音量情報を含み、
前記音量信号が、前記複数種類の音量系統のうち前記音量系統テーブルに基づいて前記音響制御信号の種類に対応付けられた1つの音量系統に対応する音量情報を含み、
前記音量調節情報の入力に応じて、前記第1の音量系統に対応する音量情報が、前記第2の音量系統の音量情報と独立して変更されることを特徴とする。
「音響制御信号」とは、音響制御コマンドを電気信号化したものである。ここで、「音響制御コマンド」とは、主制御装置からサブ制御装置に送信されるすべてのコマンドのうち、音声の出力を命令するコマンドのみを意味する。例えば、音響制御コマンドには、音声の出力のみを命令するコマンドや、音声の出力と共に表示制御や払い出し制御を命令するコマンドも含まれる。また、音響信号制御部において、従来と同様に図柄表示又は払い出しと共に音声の出力を命令する制御コマンドを生成してもよいし、図柄表示又は払い出しと音声の出力と分離して、音声の出力のみを命令するコマンドを生成してもよい。
本明細書において、「音量系統」とは、音量調節において同一の調整を受ける出力音の種別を意味する。遊技機において音響装置から様々な出力音(音声、音楽、単純機械音等)が出力されるが、全ての出力音は、複数種類の音量系統のうちのいずれか1つの音量系統に属している。複数種類の音量系統には、第1の音量系統及び第2の音量系統のみであってもよいし、他の音量系統が含まれていてもよい。複数種類の音量系統には、音量調節において音量情報(音響装置の出力)が変化しない音量系統が含まれていてもよい。
また、本明細書において、「一時的に保持される」とは、電源のオフによって消去されることを意味する。したがって、音量設定情報保持部は、不揮発性のメモリ又はその一部の領域である。なお、一時的と記載されず、単に「保持される」と記載された場合には、電源のオフによって消去されないことを意味することとする。
また、本明細書において、「第1の音量系統に対応する音量情報が第2の音量系統の音量情報と独立して変更される」とは、第1の音量系統に対応する音量情報を第2の音量系統の音量情報に依存せずに変更できることを意味する。具体的には、第1の音量系統に対応する音量と第2の音量系統に対応する音量との音量比率を変更できることを意味する。なお、可能な音量調節の全てにおいて、音量比率が変更されることを意味するのではない。
上記の構成であれば、第2の音量系統の音量情報に対して第1の音響系統の音量情報を独立して変更できる。例えば、第1の音量系統の音量情報と第2の音量系統の音量情報との組み合せが「8(第1の音量系統),9(第2の音量系統)」である場合に、その組み合せを「6,9」、「4,7」等に変更できる。音響装置においては、例えば、音量情報の数値(種類)に比例した音量で音声を出力する。これによって、第1の音量系統に対する音量と第2の音量系統に対する音量とを相対的に変化させることができ、遊技機の設置環境に柔軟に対応した音量調整ができる。なお、音量系統テーブル保持部は、主制御装置又はサブ制御装置に含まれていてもよいし、主制御装置及びサブ制御装置とは異なる装置であってもよい。
手段2.
手段1の遊技機において、
前記主制御装置が、前記音量変更信号生成部及び前記音量変更部を介して前記音量情報保持部と接続された音量関連情報保持部を更に有し、
前記音量関連情報保持部が、前記複数種類の音量系統の各々に対応する音量情報を初期設定するための音量関連情報を保持することを特徴とする。
音量調節装置には、機構的に設定を保持できるものもあれば、一接点式のスイッチ(ボタン)のように入力情報を保持できないものもある。また、パチンコ機等の遊技機のサブ制御装置には、材料コストを下げるために不揮発性のRAMが搭載されておらず、また、電源装置のOFF時に電源装置からバックアップ電力が供給されないために、電源装置のOFFによって、不揮発性のRAMの一部である音量情報保持部の情報は消去されてしまう。しかし、上記の構成であれば、音量調節装置の種類に依存せず、音量関連情報を用いて、音量情報保持部における複数種類の音量系統に対応する音量情報を自動的に初期設定できる。また、上記の構成はソフトウェア上の改良によって実現できるために、既存の装置の設計を変更することなく簡便に実現できる。なお、パチンコ機等の遊技機の主制御装置には、不揮発性のRAMが搭載されていたり、揮発性のRAMであっても電源装置からバックアップ電力が供給されていたりするために、電源装置のOFF時に不揮発性のRAM又は揮発性のRAMの一部である音量情報保持部における音量関連情報は、消去されない。ただし、音量情報保持部が揮発性のRAMの一部である場合には、電源装置は、そのOFF時にRAMの内容を消去させないためのバックアップ電力を供給できるバックアップ電源供給部を有していなければならない。
手段3.
手段1又は2の遊技機において、
前記サブ制御装置が、前記音量系統テーブル保持部を含み、
前記音量信号生成部が、前記音響制御信号に基づいて、前記音量系統テーブル及び前記音量設定情報を参照して、前記音量信号を生成することを特徴とする。
上記の構成であれば、サブ制御装置において、音響制御信号の種類に応じた音量系統を決定できるために、主制御装置からの音響制御コマンドを変更することなく音響制御信号の種類に応じた音量調節ができる。これによって、主制御装置における音量調節に関する処理負担を減少できる。
手段4.
手段3の遊技機において、
前記複数種類の音響制御信号の各々が、コマンド識別子の情報を有し、
前記音量系統テーブルが、前記コマンド識別子の種類と前記複数種類の音量系統のいずれか1つとの対応を表わし、
前記音量信号生成部が、前記コマンド識別子の情報に基づいて、前記複数種類の音量系統から1つの音量系統を選択することを特徴とする。
上記の構成であれば、音響制御信号から抽出された音響制御コマンドの一部の情報(コマンド識別子の情報)のみを利用するために、音響制御コマンドの全体の情報を利用する場合に比べて音量信号生成部における処理負担を低減できる。また、音量系統テーブルのデータ量を減少させることができる。なお、音響制御コマンドは、一般的に、命令の大枠を決定するコマンド識別子と微細な相違を指定する補助パラメータとを含んでいる。例えば、大当たり中の各ラウンドの音響及び画面表示を制御する開放中コマンドの場合、開放中コマンドは、大当たり中のラウンド数と同一個の種類(例えば15種)のコマンドの総称であり、各開放中コマンドのコマンド識別子は同一であり、補助パラメータはラウンドごとに異なる。コマンド識別子は、大当たり中の各ラウンドに共通の制御(例えば、可変入賞装置が稼動中は、画像を表示させ、かつ音響を出力させる)を命令し、補助パラメータは、ラウンドごとに異なる制御(例えば、ラウンドごとの画像の選択やラウンドごとの音声の選択)を命令する。
手段5.
手段1又は2の遊技機において、
前記主制御装置が、前記音量系統テーブル保持部を含み、
前記音響信号制御部が、前記音量系統テーブルを参照して、前記音響制御信号を生成し、
前記音響制御信号が、前記複数種類の音量系統の各々に対応する音量情報を含むことを特徴とすることを特徴とする。
上記の構成であれば、主制御装置において、生成すべき音響制御コマンドの種類に応じた音量系統を決定できるために、音量情報を含む音量制御信号を生成できる。これによって、サブ制御装置では音量制御信号から音量系統の情報を抽出するだけでよいので、サブ制御装置における音量調節に関する処理負担を減少できる。音響制御信号は、本来の主制御装置で生成されるコマンドに対して音量情報を付加した新たなコマンドを信号化したものであってもよいし、本来の主制御装置で生成されるコマンドを信号化したコマンド信号と音量情報を信号化した音量情報信号とを含む複合信号であってもよい。なお、複合信号の送信においては、コマンド情報信号と音量情報信号とを一体的化した合成信号を送信してもよいし、コマンド信号と音量情報信号とが個別に送信されてもよいこととする。
手段6.
手段1又は2の遊技機において、
前記サブ制御装置が、前記複数種類の音量系統の各々に対応する音量情報の種類の組み合せが互いに異なる複数の音量セットと前記複数の音量セットを識別する音量セット識別子との対応を表わす音量テーブルを保持した音量テーブル保持部を更に有し、
音量変更信号が、音量セット識別子の情報を含み、
前記音量変更部が、前記音量セット識別子の情報に基づいて、前記音量テーブル保持部を参照して前記複数の音量セットのいずれか1つを選択音量セットとして選択し、前記選択音量セットの情報に基づいて前記音量設定情報を変更することを特徴とする。
上記の構成であれば、音量セット識別子(セット番号)を指定するだけで、複数種類の音量系統に対する全ての音量情報を一括して変更できるために、簡便な音量調整処理ができる。また、サブ制御装置において音量セット識別子と音量設定情報との対応を決定できるために、主制御装置における処理負担を低減できる。
手段7.
手段1又は2の遊技機において、
前記主制御装置が、前記複数種類の音量系統の各々に対応する音量情報の種類の組み合せが互いに異なる複数の音量セットと前記複数の音量セットを識別する音量セット識別子との対応を表わす音量テーブルを保持した音量テーブル保持部を更に有し、
前記音量調節情報が音量セット識別子の情報を含み、
前記音量変更信号生成部が、前記音量セット識別子の情報に基づいて、前記音量テーブル保持部を参照して前記複数の音量セットのいずれか1つを選択音量セットとして選択し、前記選択音量セットの情報を含む音量変更信号を生成し、
前記音量変更部が、前記音量変更信号から前記選択音量セットの情報を抽出し、前記選択音量セットの情報に基づいて前記音量設定情報を変更することを特徴とする。
上記の構成であれば、音量セット識別子(セット番号)を指定するだけで、複数種類の音量系統に対する全ての音量情報を一括して変更できるために、簡便な音量調整処理ができる。
手段8.
手段1〜5のいずれか1つの遊技機において、
前記複数種類の音量系統が、前記第1の音量系統及び前記第2の音量系統のみを含み、
前記第2の音量系統に対応する音量情報が、常に同一であることを特徴とする。
遊技機から発生する音声は、主に、エラー音、大当たり遊技中の演出音、通常遊技中の演出音及び賞球払出の際の演出音である。遊技機の設置ホール等においては、遊技機のエラーの迅速な解消や遊技球貯留箱の迅速な配布等の快適な遊技環境を提供するために、エラー音と大当たり遊技中の演出音が、通常遊技中の演出音や賞球払出の際の演出音に比べて常に一定の大音量であることが好ましい。上記の構成であれば、簡単な構成ながら、効果的な音量調整が簡便に行える。また、不用意な操作によって、エラー音と大当たり遊技中の演出音が変更されることを防止できる。
手段9.
手段8の遊技機において、
前記サブ制御装置が、前記第1の音量系統に対応する音量情報の種類と前記第1の音量系統に対応する音量情報の種類を識別する音量識別子との対応を表わす音量テーブルを保持した音量テーブル保持部を更に有し、
前記音量変更信号が、前記音量識別子の情報を含み、
前記音量変更部が、前記音量識別子の情報に基づいて、前記音量テーブル保持部を参照して前記第1の音量系統に対応する音量情報の種類を選択し、前記第1の音量系統に対応する音量情報を変更することを特徴とする。
上記の構成であれば、音量テーブル保持部が、音量が変更可能な音量系統(第1の音量系統)に対応する音量情報のみを保持すればよいために、複数種類の音量系統に対応する全ての音量情報をセット化して保持する場合よりも音量系統に対応する音量テーブルのデータ量を低減できる。また、サブ制御装置において、第1の音量系統に対応する音量情報の種類を決定できるために、主制御装置における処理負担を低減できる。
手段10.
手段7の遊技機において、
前記主制御装置が、前記第1の音量系統に対応する音量情報の種類と前記第1の音量系統に対応する音量情報の種類を識別する音量識別子との対応を表わす音量テーブルを保持した音量テーブル保持部を更に有し、
前記音量変更信号生成部が、前記音量調節情報に基づいて前記音量識別子の情報を生成し、前記音量識別子の情報に基づいて、前記音量テーブル保持部を参照して選択し、選択された設定値の情報を含む音量変更信号を生成し、
前記音量変更部が、前記音量変更信号生成部で選択された設定値を前記音量変更信号から抽出し、前記音量設定情報のうち前記第1の音量系統に対応する音量情報の値を抽出された設定値に変更することを特徴とする。
上記の構成であれば、音量テーブル保持部が、音量が変更可能な音量系統(第1の音量系統)に対応する音量情報のみを保持すればよいために、複数種類の音量系統に対応する全ての音量情報をセット化して保持する場合よりも音量系統に対応する音量テーブルのデータ量を低減できる。
手段11.
手段6〜11の遊技機において、
前記音量調節装置が、一接点式のスイッチであることを特徴とする。この構成であれば、簡単な入力操作によって音量調節ができる。
手段12.
手段1〜11の遊技機において、
前記音響装置において前記第2の音量系統に対応する音量情報に基づく音量が、前記音響装置において前記第1の音量系統に対応する音量情報に基づく音量の最大値よりも大きいことを特徴とする。
上記の構成であれば、特定の音量系統(第2の音量系統)に対応する音量を他の音量系統に対する音量よりも常に強調することができる。なお、上述のように、快適な遊技環境を提供するために、エラー音と大当たり遊技中の演出音は、通常遊技中の演出音や賞球払出の際の演出音に比べて常に大きいことが好ましい。
以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げるが、本発明は、パチンコ機の入賞装置の他に、球体を用いて遊技盤上で遊技を行う遊技機一般の入賞装置を対象とすることができる。なお、実施形態は、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜設計変更可能なものである。
〔第1の形態〕
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の斜視図である。図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
また、内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、図示しない樹脂ベースと、この樹脂ベースの後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃えにくくなっている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
次に、図3〜図5を用いて遊技盤30の構成を説明する。図3は遊技盤30の構成を示す正面図であり、図4は大入賞口61付近を模式的に示す図であり、図5は遊技盤30の構成を示す斜視図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動口33、第2の始動口34(スルーゲートで構成)、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、装飾図柄表示装置42等を備えている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33、第2の始動口34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、図5に示すように一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、大入賞口61が配置されている。大入賞口61は常時はシャッタ62が閉塞されており、特別遊技状態となると開放される。シャッタ62は遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL2によって駆動される。大入賞口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
上記特別図柄表示装置38は、第1の始動口33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置41は第2の始動口34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
上記特別図柄表示装置38は2色のLED38a,38bで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。各LED38a,38bは、例えば赤色と緑色との可変表示がなされるようになっている。
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
上記普通図柄表示装置41は、普通図柄用のランプ41a,41bを備えている。この実施例では、普通図柄用のランプ41aは、例えば、装飾図柄表示装置42の表示両面の上方に設けられ、その外観形状は「○」形状となっている一方、普通図柄用のランプ41bは、ランプ41aの右上側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置41は、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えばランプ41a、41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、ランプ41a,41bが交互に光り、ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口31を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、ランプ41a,41bは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。より詳しくは、特別図柄表示装置38が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32の大入賞口61が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口61が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図3及び図5の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図3及び図5の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。
内レール51および外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球を図示しないファール球通路に導くための役目をなす。
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図6はパチンコ機10の背面図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板(装置)、電源監視基板(装置)、及びサブ制御基板(装置)を一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板(装置)、発射制御基板(装置)及び電源基板(装置)を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
ここで、上記第1制御基板ユニット201は、遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板と、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御と音声ランプ制御とを司るサブ制御基板とを有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。この基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは後述の封印ユニット805によって開封不能に連結されることにより、基板ボックス263が封印される。
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
基板ボックス163のボックスベースには、スピーカ(図示せず)の音量を調整する音量調節装置(図示せず)の入力スイッチ(入力部)910が固定されている。また、ボックスベースには、音量調節の際に音量設定状況を表示するための音量表示装置930が固定されている。
次に、前記第2制御基板ユニット202は、払出制御基板、発射制御基板、電源基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記発射制御基板により遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われ、上記電源基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース280内に収納されており、上記電源基板は、透明樹脂材料等よりなる電源基板ケース281内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース314内に収納され、上記発射制御基板は透明樹脂材料等よりなる図示しない発射制御基板ケース内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
上記払出制御基板は状態復帰スイッチ321と電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチ388の左方には、前面枠開検出スイッチ389が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチ389からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図7を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニット805で封印されている。この理由は以下の通りである。即ち、電源装置内に停電監視回路を備え、主制御装置のみを封印ユニットで封印する従来例の構成では、停電監視回路と主制御装置とを接続する停電信号線にぶら下げ基板を接続することにより不正に大当たり状態が得られることになる。このような不正行為を防止するため、主制御装置から音声・ランプ制御装置(本形態ではサブ制御装置に相当)に停電状態告知信号を与えることにより不正行為を効果的に防止できる。しかし、このように構成したとしても、停電状態告知信号線に、ぶら下げ基板を接続し、停電状態告知信号を遮断すれば、大当たり状態を不正に得ることが可能となる。そこで、本形態では、電源装置313とは別個に、停電監視回路542を備えた停電監視装置540を設け、停電監視装置540と主制御装置261とを封印ユニット805によって封印し、停電信号線にぶら下げ基板を接続することを防止したものである。
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図16参照)が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置38は上記したように特別図柄表示ランプ38a,38bで構成されており、普通図柄表示装置41は上記したように普通図柄表示ランプ41a,41bで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
停電監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544とを備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
ここで、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置38で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、特別図柄表示装置38の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、特別図柄表示ランプ38a,38bの色変化(赤色・緑色の変化)や点滅等の点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動口33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、特別図柄が揃っている場合、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが同一色の点灯状態となっているときは大当たりとなり、変動表示の停止時に特別図柄が揃っていなければ、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが異色の点灯状態となっているときは、外れとなり、始動口33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動口33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、本形態では、変動表示の停止時において、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色の点灯状態であれば、特定図柄(確率変動図柄)とみなされ、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色の点灯状態であれば、非特定図柄(非確率変動図柄)とみなされる。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、図8に示すように、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち水平あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち水平あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
次いで、普通図柄表示装置41の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、普通図柄表示ランプ41a(外観が○形状)と、普通図柄表示ランプ41b(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動口34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、表示ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口31を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置38の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、図9に示すように、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置38の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置38が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せ(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で点灯する場合)によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で点灯する場合)をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置38における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、2つの表示ランプ38a,38bで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置38による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動口34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動口34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
次に、図10から図16のフローチャートを参照して、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本形態では2ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図14はタイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置261のMPU501により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S601)。即ち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチを除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。次に、乱数初期値カウンタCINI1及び当たり初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S602)。具体的には、初期値乱数カウンタCINI1及び当たり初期値乱数カウンタCINI2をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本形態ではそれぞれ738,250)に達した際0にクリアする。そして、各カウンタCIN1,CIN2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域B4,B9に格納する。
更に、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2,停止パターン選択カウンタC3及び当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S603)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2,停止パターン選択カウンタC3及び当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本形態ではそれぞれ、738,4,238,250)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域B1〜B4に格納する。次いで、始動口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する(S604)。その後、発射制御装置312に、発射ソレノイド制御信号や球送りソレノイド制御信号等を出力して発射制御処理を実行する(S605)。
図16のフローチャートを参照して、この始動入賞処理を説明する。まず、遊技球が始動口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチの検出情報により判別する(S701)。遊技球が始動口33に入賞したと判別されると(S701:Yes)、特別図柄表示装置42の作動保留球数Nが上限値(本形態では4)未満であるか否かを判別する(S702)。始動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば(S702:Yes)、作動保留球数Nを1加算し(S703)、更に、前記ステップS703で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリア700の空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S704)。一方、始動口33への入賞がないか(S701:No)、或いは、始動口33への入賞があっても作動保留球数N<4でなければ(S702:No)、S703及びS704の各処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理の終了後は、MPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。
図16はNMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置261のMPU501により実行される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電監視装置540内の停電監視回路542から停電信号SG1が主制御装置261内のMPU501のNMI端子に出力され、MPU501は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。本形態におけるNMI割込処理を具体的説明すると、MPU501は電源遮断の発生情報の設定(具体的には停電フラグを論理「1」に設定)する(S801)。この停電フラグが論理「1」であるときは電源遮断(停電)状態であることを示し、停電フラグが論理「0」であるときは電源遮断(停電)でない通常状態であることを示す。なお、以下の説明において、「電源遮断の発生情報」とは停電フラグを意味するものである。
なお、図16のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号SG1が出力された後の所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源装置313から停電監視装置540を介してバックアップ電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行されるようになっている。
そして、NMI割込処理が行われた後は、通常処理に戻り、後述するように通常処理中において、最終処理プログラムまで処理の実行を行った後、電源断の発生情報を確認して、電源断の発生情報が設定されている場合は、停電処理に移行する。このようにして、停電時にはNMI割込処理を停電フラグの設定のみとし、通常処理をその最終処理プログラムまで実行した後に電源断の発生情報の設定を確認して停電処理に移行することにより、処理の圧縮、制御の簡略化を実現できる。
なお、上記のNMI割込処理は、払出制御装置311でも同様に実行され、また、停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部から電源供給がなされるのも同様である。
図10は主制御装置261内のMPU501により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。次いで、払出制御装置311及びサブ制御装置262が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する(S102)。そして、ウェイト後は、RAM503のアクセスを許可する(S103)。
その後は、RAM消去スイッチがオンされているか否かを判別(具体的には電源監視装置からのRAM消去信号を入力したか否かで判別)し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチがオンされていなければ(S104:No)、更にRAM503に電源断の発生情報の設定がなされているか否かを判別し(S105)、設定されていなければ(S105:No)、この場合にも、処理をS114へ移行する。電源断の発生情報が設定されている場合は(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、RAMに格納されているデータ(RAMにデータと称する)は破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりRAMデータの有効性を判断するようにしても良い。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチを押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチが押されていれば、RAMの初期化処理(S114)に移行する。なお、RAMの初期化処理(S114)において、スピーカ810(図7参照)の音量の調節の際に利用される音量関連情報が記載された領域は、初期化されない。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりRAMデータの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理等(S114〜S119)に移行する。即ち、S114からのRAMの初期化処理等では、RAM503の使用領域を0にクリアし,RAM503の初期値を設定する(S114)。次いで、払出制御装置311に対して払出初期化コマンドを送信し(S115)、次いで、電源投入時のコマンドを送信し(S116)、スピーカ810の音量を初期化するための音量設定コマンド(音量設定信号)をサブ制御装置262に送信する(S117)。次いで、カウンタ及びタイマの初期設定を行う(S118)。その後、割込みを許可して(S119),後述する通常処理に移行する。なお、スピーカの音量の初期化については、本発明の特徴部分であるために、別途に詳細に説明する。
一方、RAM消去スイッチがオンされておらず(S104:No)、電源断の発生情報が設定されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して、電源断の発生情報をクリア(停電フラグを「0」に設定)する。次に、払出制御装置311に対して払出復帰コマンドを送信し(S109)、次いで、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復帰時のコマンドを送信し(S110)、スピーカ810の音量を初期化するための音量設定コマンド(音量設定信号)をサブ制御装置262に送信する(S111)。次いで、カウンタ及びタイマの初期設定を行う(S112)。その後、割込みを許可して(S113),後述する通常処理に移行する。
次に、図11のフローチャートを参照して通常処理を説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S209の各処理が実行され、その残余時間処理内で停電フラグを監視し電源断の処理(S213〜S217)を実行する構成となっている。
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置等に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動表示に際して、変動パターンコマンド(ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の図柄変動態様に関するコマンド)、装飾図柄の停止図柄コード情報指定コマンド(特定当たり指定、非特定当たり指定、外れ指定の何れかを内容とするコマンドであり、以下、「装飾停止図柄コード情報指定コマンド」と略称する)、演出コマンド(演出時間加算指定コマンド等が含まれる)演出停止コマンド(確定コマンドとも称する)等をサブ制御装置262に送信する。
次に、変動種別カウンタCS1〜CS3の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1〜CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本形態では198)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1〜CS3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。次いで、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号や下皿満タン信号を読み込み(S203)、特別図柄表示装置38による特別図柄の変動表示を行うための特別図柄変動処理を実行する(S204)。なお、この特別図柄変動処理により、大当たり判定や特別図柄の変動パターンの設定に加えて、装飾図柄の表示演出のための変動パターンコマンド、装飾停止図柄コード情報指定コマンド、及び演出時間加算指定コマンドの決定なども行われる。なお、特別図柄変動処理の詳細は図12を参照して後述する。
特別図柄変動処理の終了後は、大当たり状態である場合においては、可変入賞装置32の大入賞口61を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する(S205)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口61を開放し、大入賞口61の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口61に遊技球が規定個数(例えば10球)入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口61を閉鎖する。これを所定ラウンド数繰り返し実行する。なお、本パチンコ機では、大入賞口61の連続開放のための特定領域(Vゾーン)は設けられておらず、従って、大当たり状態時には、所定ラウンド数の途中で終了することはなく、必ず所定ラウンド数(例えば16ラウカド)全てが実行されるようになっている。
次いで、ステップS206では、普通図柄表示装置41による普通図柄の表示制御を実行する。簡単に説明すると、遊技球が第2の始動口34を通過したことを条件に、その都度、当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、普通図柄表示装置41の表示ランプ41a,41bにて普通図柄の変動表示が実施される。そして、当たり乱数カウンタC4の値により普通図柄の抽選が実施され、普通図柄の当たり状態(「○」表示された状態)になると、第1の始動口33が所定時間開放される(S207)。
次いで、スピーカ810における出力音量を変更するための音量変更処理(S208)を行う。音量変更処理では、音量調節情報を含む信号を音量調節装置から受信したかを判断して、受信していれば音量調節コマンド(音量変更制御信号)を生成してサブ制御装置262に送信し、かつ音量表示装置に制御信号を送信する。なお、この音量変更処理については、本発明の特徴部分であるために、別途に詳細に説明する。
次いで、電源断の発生情報の設定がなされているか否かを判別し(S209)、設定されていれば(S209:Yes)、処理をS213へ移行し、割込み禁止を設定し(S213)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信し(S214)、その後、制御信号の出力を停止する(S215)。次いで、RAM判定値を算出し、保存する(S216)。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM503のアクセスを禁止して(S217)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
電源断の発生情報の設定がなされていない場合は(S209:No)、処理はステップS209に移り、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S210)、既に所定時間が経過していれば(S210:Yes)、処理はステップS201に戻る。
一方、前回の通常処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S210:No)、所定時間に至るまでの、即ち次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、初期値乱数カウンタCINI1、及び当たり初期値乱数カウンタCINI2並びに、変動種別カウンタCS1〜CS3の更新を繰り返し実行する(S211,S212)。まず、初期値乱数カウンタCINI1及び当たり初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S211)。具体的には、カウンタCINI1,CINI2をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本形態では738、250)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、カウンタCINI1,CINI2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域B4,B9にそれぞれ格納する。次に、カウンタ変動種別カウンタCS1〜CS3の更新を実行する(S212)。具体的には、変動種別カウンタCS1〜CS3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1〜CS3の更新値をRAM503の該当するバッファ領域B5,B6,B7にそれぞれ格納する。
このようにして、S201〜S209の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して初期値乱数カウンタCINI1及び当たり初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、初期値乱数カウンタCINI1(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)及び当たり初期値乱数カウンタCINI2(即ち、当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1〜CS3についてもランダムに更新することができる。
次に、図12のフローチャートを参照して、特別図柄変動処理(S204)を説明する。特別図柄変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S401)。大当たり中としては、大当たりの際に装飾図柄表示装置42で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S401:Yes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S401:No)、特別図柄表示装置38による特別図柄の変動表示中であるか否かを判別し(S402)、特別図柄の変動表示中でなければ(S402:No)、特別図柄表示装置38の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(S403)。作動保留球数Nが0であれば(S403:No)、そのまま本処理を終了する。作動保留球数N>0であれば(S403:Yes)、作動保留球数Nを1減算し(S404)、保留球格納エリア700に格納されたデータをシフト処理する(S405)。このデータシフト処理は、保留球格納エリア700の保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具体に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、特別図柄の変動開始処理を実行する(S406)。なお、変動開始処理については図13を参照して後述する。
S402の処理において、特別図柄の変動表示中である場合には(S402:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S407)。特別図柄の変動時間はその特別図柄の変動パターンに応じて決められており、変動時間が経過していない場合は(S407:No)、特別図柄の表示図柄を更新し(S408)、本処理を終了する。ここで、「特別図柄の表示図柄を更新」とは、特別図柄表示ランプ38a,38bを現在の点灯状態と異なる点灯状態に変化させることを意味する。例えば、特別図柄表示ランプ38a,38bの点灯色を変化させる場合が該当する。変動時間が経過した場合は(S407:Yes)、特別図柄の停止図柄を表示図柄に設定する(S409)。ここで、「特別図柄の停止図柄を表示図柄に設定」とは、特別図柄表示ランプ38a,38bを停止図柄(特定図柄、非特定図柄、外れ図柄にそれぞれ対応するランプの点灯色)で点灯状態とすることを意味する。次いで、演出パターン停止コマンドを設定して(S410)、本処理を終了する。
次に、図13のフローチャートを参照して、変動開始処理を説明する。変動開始処理(S406)では、まず、保留球格納エリア700の実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S501)。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜738のうち「373,727」が当たり値であり、高確率時には「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合(S501:Yes)、保留球格納エリア700の実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、即ち大当たり図柄を大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表す図示しないテーブルに基づいて求め、その図柄(特定図柄、又は非特定図柄の何れか)を停止図柄に設定する(S502)。次いで、変動種別カウンタCS1,CS2のカウント値を確認にして大当たり演出パターンを決定する(S503)。
次に、変動種別カウンタCS3の値を確認して演出時間加算を決定する(S504)。次に、ステップS503で決定された大当たり演出パターンにより、演出パターン指定コマンド(変動パターン指定コマンドとも称する)を設定し(S505)、大当たり図柄カウンタC2の値により装飾停止図柄コード情報コマンドを設定し(S506)、ステップS504で演出時間加算を決定したときは演出時間加算指定コマンドを設定する(S507)。このようにして、ステップS501〜S507により、大当たりの場合における、演出パターン指定コマンド、装飾停止図柄コード情報コマンド、演出時間加算指定コマンドがそれぞれ設定される。
S501の処理で大当たりではないと判別された場合には(S501:No)、外れ図柄を停止図柄に設定する(S508)。外れ演出パターンを決定する(S509)。そして、ステップS504〜S507の処理により、大当たりでない場合における、演出パターン指定コマンド、装飾図柄コマンド、演出時間加算指定コマンドがそれぞれ設定される。
次に、図17及び図18を参照して、サブ制御装置262のMPU550により実行される各処理について説明する。図17は、サブ制御装置262のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
サブ制御装置262のメイン処理は、まず電源投入に伴う初期設定処理を実行し(S911)、I/Oやタイマの初期化、及び、タイマ割込等の各割込の設定を行う。次いで、電源断処理が全て完了しているか否か、即ち、ランプが全て消灯されているか、スピーカが消音されているか等が判別される(S912)。電源断処理が全て完了している場合(S912:Yes)は、処理はS914に移行する。電源断処理が全て完了していない場合(S912:No)は、RAM552が破壊されているおそれがあるので、RAM552が破壊されているか否かを判定する(S913)。具体的には、RAM552にはRAM破壊チェックデータが予め設定されており、このRAM破壊チェックデータによって判定するようになっている。RAM552が破壊されていないと判定されたときは(S913:No)、処理はステップS917に移る。一方、RAM552が破壊されていると判定されたときは(S913:Yes)、RAM552の各領域について読み書きチェックを行い(S914)、この読み書きチェックの結果に基づきRAM552が正常に機能するか否かを判別する(S915)。RAM552が正常でない場合(S915:No)は、所定のランプを点灯させてRAMの異常を報知する(S921)。
一方、RAM552が正常であれば(S915:Yes)、RAM552にRAM破壊チェックデータを設定する(S916)。次いで、電源断後の電源投入か否かが判断され(S917)、電源断後の電源投入でない場合(S917:No)は、RAM522の未初期化領域以外の領域をクリアする(S918)。これにより、主制御装置261から送信されたコマンドのうち電源コマンド以外は全てクリアされる。次いで、タイマ割込や主制御装置261からのコマンドの受信処理等の割込みを許可状態とする(S919)。次いで、RAM522の初期値設定を行い(S920)、その後、後述する通常処理に移行する。一方、ステップS917で電源断後の電源投入であれば、処理はステップS919に移る。
次いで、図18を参照して、サブ制御装置262の通常処理について説明する。先ず1ms以上経過したか否かが判断される(S1031)。1ms経過前であれば(S1031:No)、装飾図柄に関連する、外れ図柄や大当たり図柄、予告図柄等の生成のための乱数を更新する(S1040)。具体的には、大当たり装飾図柄(特定図柄用)カウンタ、大当たり装飾図柄(非特定図柄用)カウンタ、リーチ装飾図柄カウンタ、完全外れ装飾図柄カウンタ、予告図柄等の演出用図柄カウンタ等が設けられており、これら装飾図柄に関連するカウンタの値を更新する。なお、これらのカウンタの値はランダムに更新する。即ち、MPU550に内蔵のRレジスタの値を用いることにより、これらのカウンタの値をランダムに更新する。即ち、これらのカウンタの更新時には、前回値にRレジスタの下位2ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に「6」が減算されて今回値が決定される。
乱数の更新処理(S1040)後は、主制御装置261からのコマンド受信し、各コマンドに対応した処理を行う(S1041)。ここで、主制御装置261からのコマンドが、装飾図柄の表示に関連するコマンドの場合は、そのコマンドを基に表示制御装置45へのコマンドを編集し、その編集したコマンドを表示制御装置45に送信する。具体的に説明すると、主制御装置261からの表示コマンドとしては、変動パターン指定コマンド(停止パターン選択カウンタC3と変動種別カウンタCS1,CS2とに基づき生成されたコマンドであって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の図柄変動態様を指定するコマンド)、装飾停止図柄コード情報コマンド(特定当たり指定、非特定当たり指定、外れ指定の何れかのコマンド)、演出コマンド(変動種別カウンタCS3に基づき生成された変動時間の変更等コマンド)、及び全停止コマンド(装飾図柄停止のコマンド、いわゆる確定コマンド)等が該当する。一方、サブ制御装置262は、主制御装置261からの変動パターン指定コマンドはそのまま表示制御装置45に送信するが、装飾停止図柄コード情報コマンドでは特定当たり指定、非特定当たり指定、外れ指定それぞれの具体的な装飾図柄(停止図柄)を決定したコマンドに編集する。この編集に当たっては、MPU550内の装飾図柄カウンタにより停止図柄が決定されるようになっている。
また、主制御装置261からの演出コマンドは、変動時間の変更等に加えて、各種演出の指定をも含むコマンドに編集する。そして、サブ制御装置262は、これらのコマンドを表示制御装置45に送信する。これにより、表示制御装置45では、受信したコマンドを解析し、そのコマンドに応じて装飾図柄の画像生成を行い、装飾図柄表示装置42に出力することにより、装飾図柄表示装置42では所定の演出表示で変動表示が実行されることになる。
その後、RAM552が破壊されているか否かを確認し(S1042)、破壊されていなければ(S1042:No)、処理はステップS1031に戻る。破壊されていれば(S1042:Yes)、無限ループ処理となる。
一方、ステップS1031において、1ms以上経過していれば(S1031:Yes)、装飾図柄表示装置42の演出パターンに対応したランプ点灯パターンを演出用ランプ811に出力し、演出用ランプ811を点灯する(S1032)。なお、ランプ点灯パターンの作成は、具体的には後述するステップS1037の処理により行われる。次いで、電源投入コマンドにより、所定ランプを30秒間点灯させ、報知する(S1033)。次いで、装飾図柄のタイトルと静止画の切替を行うための客待ち演出コマンドを生成して表示制御装置45に送信する(S1034)。次いで、特別図柄の保留個数を装飾図柄表示装置42で表示する場合は、その保留個数表示更新時にはそのためのコマンドを生成して表示制御装置45に送信する(S1035)。
次いで、演出ボタン79の入力操作を確認し、入力操作があったときは、その演出ボタン79に応じた所定の演出が装飾図柄表示装置42において表示演出されるように演出コマンドを生成して、表示制御装置45に送信する(S1036)。次いで、装飾図柄表示装置42の演出パターンに対応したランプ点灯パターンを編集する(S1037)。次いで、主制御装置261から受信したコマンドに対応したスピーカ810で出力される鳴動パターンを編集し、また、主制御装置261から受信したコマンドに対応したスピーカ810の音量を決定し、その鳴動パターンの情報を含む音声信号及び音量設定の情報を含む音量信号をスピーカ810に出力する(S1038)。なお、音量の決定に関しては、本発明の特徴部分であるために、別途に詳細に記述する。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示演出を実行するための種々の時間管理を行う(S1038)。その後、ステップS1040、S1041、S1042を経て、ステップS1031に戻る。
このようにして、サブ制御装置262では、装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する。
次いで、表示制御装置45における表示制御について説明する。図19は表示制御装置45内のMPU521により実行される表示制御処理を示すフローチャートである。MPU521は、図18に示す手順に従ってサブ制御装置262から提供される各種コマンドを処理しつつ装飾図柄表示装置42の表示制御を実行する。
先ず、サブ制御装置262から表示コマンドを受信したか否かを判別する(S1151)。受信していない場合(S1151:No)は、何らかのコマンドを受信するまで待機する。そして、表示コマンドを受信すると(S1151:Yes)、その表示コマンドの内容をRAM523に格納する(S1152)。次いで、RAM523に格納された情報に基づき、画像コントローラ526に対する内部コマンドを生成する等の各種の演算処理を開始する(S1153)。これにより、画像コントローラ526は、MPU521からの指令(内部コマンド)に応じて描画処理を開始する。なお、表示コマンドを一旦受信するとその後に確定コマンドを受信するまでの間、MPU521と画像コントローラ526との協働のもとに図柄の変動表示が継続される。その間、MPU521は、画像コントローラ526の制御と図19に示すコマンド受信処理とを並行して行う。
その後、サブ制御装置262から確定コマンドを受信したか否かを判別する(S1154)。そして、確定コマンドを受信したことを条件に、ステップS1155に進み、画像コントローラ526に対して停止図柄での確定表示を指示する。これにより、画像コントローラ526は変動していた図柄を停止図柄で確定表示させる。こうして、図柄の変動開始から変動停止(確定表示)までの1ラウンドの表示処理が行われる。表示制御装置45は、図柄の変動開始時及び変動停止時にサブ制御装置262によるコントロールを受けるが、その間の図柄の継続的な変動については、表示制御装置45内のMPU521及び画像コントローラ526による自立的な画像制御によって担保されている。
次に、図20を参照して、払出制御装置311内のMPU511により実行される払出制御について説明する。図20は、払出制御装置311のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
先ず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1201)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、RAMアクセスを許可すると共に(S1202)、外部割込ベクタの設定を行う(S1203)。
その後は、RAM513に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1204)、記憶されていなければ(S1204:No)、処理をS1210へ移行する。RAM513に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1204:Yes)、RAM判定値を算出し(S1205)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S1206:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、RAM513に保存されているデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS1210へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりRAM513に保存されているデータの有効性を判断するようにしても良い。
ステップS1210からのRAMの初期化処理では、RAM513の使用領域を0にクリアし(S1210)、RAM513の初期値を設定する(S1211)。その後、MPU511周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S1208)、割込みを許可して(S1209)、後述する払出制御処理に移行する。
一方、電源断の発生情報が設定されており(S1204:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S1206:Yes)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、RAM513の初期値を設定し(S1207)、MPU511周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S1208)、割込みを許可して(S1209)、後述する払出制御処理に移行する。
次に、図21のフローチャートを参照して、払出制御処理を説明する。この払出制御処理は、払出制御装置311のメイン処理に続いて実行される。払出制御処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、総賞球個数として記憶する(S1301)。ここで、主制御装置261からのコマンドが、正規コマンドであれば全て払出を許可する。なお、主制御装置261からのコマンドが、賞球コマンド、払出復帰コマンド、払出初期化コマンドであればそれに応じた処理を行う。
次いで、主制御装置261から送信される払出許可コマンドを受信しているか否かが判定される(S1302:No)。そして、払出許可コマンドを受信すると(S1302:Yes)、状態復帰スイッチ321をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1303)。
その後、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1304)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1305)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には、主制御装置261へ状態を報知する信号を送信すると共に、払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1306)。
次に、S1307、S1308、S1315の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つS1301の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(S1307:No,S1308:No)、図22に示す賞球制御処理を開始する(S1315)。一方、賞球の払出不可状態(S1307:Yes)または総賞球個数が0であれば(S1308:Yes)、貸球払出の処理に移行する。なお、賞球制御処理は後述する。
S1309、S1310、S1316の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S1309:No,S1310:Yes)、図23に示す貸球制御処理を開始する(S1316)。なお、貸球制御処理は後述する。
一方、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していなければ(S1309:No,S1310:No)、または、貸球の払出不可状態であれば(S1309:Yes)、球詰まり状態解除のためバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する(S1311)。その後は、停電発生か否かを判定し(S1312)、停電発生でなければ(S1312:No)、処理はステップS1301に戻る。停電発生であれば(S1312:Yes)、電源断の発生情報を設定し(S1313)、RAM判定値を作成し(S1314)、その後はリセット信号の入力待ちのため無限ループに移る。
次いで、図22に示す賞球制御処理を説明する。賞球制御処理では、まず、払出モータ358aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する(S1401)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1402)、正常でなければ(S1402:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1403)、その後、図21の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1402:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1404)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1404:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1405)、その後、図21の払出制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1404:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別し(S1406)、払出が完了していれば(S1406:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1407)、その後、図22の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1406:No)、そのまま、図21の払出制御処理に戻る。
次いで、図23に示す貸球制御処理を説明する。貸球制御処理では、まず、払出モータ358aを正方向回転駆動させて貸球の払出を実行する(S1501)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1502)、正常でなければ(S1502:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1503)、その後、図21の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1502:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1504)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1504:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1505)、その後、図21の払出制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1504:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別し(S1506)、払出が完了していれば(S1506:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1507)、その後、図21の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1506:No)、そのまま、図21の払出制御処理に戻る。
(音響に関連する主たる構成)
次いで、本発明のパチンコ機の主たる特徴部分の構成について、図24を用いて説明する。図24は、音響に関連する部分を機能的な観点から表わしたブロック図である。図24に示されたように、パチンコ機10は、音響信号制御部901及び音量変更信号生成部902を有する主制御装置261と、音声生成部940、音声情報保持部950、音量信号生成部903、音量情報保持部904及び音量変更部905を有するサブ制御装置262と、音量調節装置900と、音響装置(スピーカ)810を備えている。本形態では、パチンコ機10は、更に音量調節の際の音量設定を表示する音量表示装置930を更に備える。また、本形態では、主制御装置261は、音量関連情報保持部906を更に有し、サブ制御装置262は、音量系統テーブル保持部907及び音量テーブル保持部908を更に有している。
音響信号制御部901は、音響制御コマンドを電気信号化した音響制御信号を生成する。ここで、「音響制御コマンド」とは、主制御装置261からサブ制御装置262に送信されるすべてのコマンドのうち、音声の出力を命令するコマンドのみを意味する。なお、音声の出力を命令するとは、音声の出力のみを命令することを意味するのではない。音響制御コマンドには、演出用の音声の生成を命令する演出コマンドや、エラーを告知するエラーコマンドが含まれる。演出コマンドとしては、賞球の払出を命令するコマンド(賞球払出開始コマンド)等の遊技中の全般にわたって随時に生成されるコマンド(一般コマンド)や、特別図柄及び装飾図柄の変動の開始を命令するコマンド(変動パターン指定コマンド)等の通常遊技状態において生成されるコマンド(通常演出コマンド)や、大当たりの開始の演出を命令するコマンド(ファンファーレコマンド)、大当たり中の各ランドの演出を命令するコマンド(開放中コマンド)、大当たりの終了の演出を命令するコマンド(エンディングコマンド)等の大当たり状態において生成されるコマンド(特別演出コマンド)が挙げられる。また、エラーコマンドとしては、下皿が一杯になったことを告知するコマンド(下皿満タン開始コマンド)、賞球の払出が行えない状態になったことを告知するコマンド(払出異常開始コマンド)等が挙げられる。
音響制御コマンドの各々は、互いを識別するコマンド識別子を有する。本形態においては、図25に示されたように、音響制御コマンドの各々は、先頭の1バイトがコマンド識別子を格納するフィールドであり、後尾の1バイトが補助パラメータを格納するフィールドである。
音声信号生成部940は、音声情報保持部950(ROM551(図7参照)の一部の領域)の音声情報を参照して、音響信号制御部901からの音響制御信号に応じた音声信号を生成し、生成された音声信号を音響装置810に出力する。なお、音声信号を生成する過程は、従来と同様である。
音量系統テーブル保持部907は、音量系統テーブルを保持している。音量系統テーブルは、ROM551に保持されているために、不揮発性のデータである。音量系統テーブルは、音響制御コマンドの種類と音量系統の種類との対応表である。なお、本形態では、音響制御コマンドは、第1の音量系統と第2の音量系統からなる2系統に分割されている。
具体的には、図26に示されたように、エラーコマンド及び大当たり中の演出を制御する特別演出コマンド(図中のファンファーレコマンド、開放中コマンド、エンディングコマンド)を第2の音量系統(図26中の「1」)とし、その他の音響制御コマンドを第1の音量系統(図26中の「0」)としている。
音量信号生成部903は、音響信号制御部901からの音響制御コマンドを受信すると、音量系統テーブル保持部(ROM551の一部の領域)に保持された音量系統テーブルを参照して、入力された音響制御コマンドの音量系統を抽出する。本形態では、音響制御コマンドの種類は、コマンド識別子の種類を意味し、音量系統の種類の決定においては、音響制御コマンドのコマンド識別子の情報のみを用いている。この場合、音量系統テーブルのデータ量を減少させることができ、また、音量系統の種類を決定する処理を高速化できる。なお、実際には、サブ制御装置の電源投入時に、ROM551に保持された音量系統テーブルがRAM552(図7参照)に書き出され、音量信号生成部903が音量系統テーブルを参照する際には、RAM552に一時的に保持された音量系統テーブルが参照される。
音量情報保持部904は、音量系統ごとの全ての音量情報(音量設定情報)を保持している。具体的には、本形態では、音量情報保持部904は、第1の音量系統及び第2の音量系統に対応する2つの音量値(音量情報)を保持している。音量設定情報は、RAM552に保持されるために、揮発性のデータである。なお、電源投入時における音量設定情報の取得方法については、別途に後述する。
音量信号生成部903は、入力された音響制御コマンドの種類を決定した後に、音量情報保持部904(RAM552の一部の領域)に一時的に保持された音量設定情報を参照して、決定された音量系統に対応する音量情報を抽出する。音量信号生成部903は、入力された音量制御コマンドに対する音量情報を抽出した後に、音響装置(スピーカ)810の音量を制御するための音量信号を送信する。
音響装置810は、音声信号生成部940で生成された音声信号に応じた音声を音量信号生成部903で生成された音量信号に応じた音量で出力する。
音量テーブル保持部908(ROM551の一部の領域)は、第1の音量系統に対応する音量情報(以下においては、「第1の音量情報」とも称する。)として選択できる互いに異なる複数の設定値と、複数の設定値を識別する複数の音量識別子との対応を表わす音量テーブルを保持している。具体的には、本形態では、図27に示されたように、第1の音量系統に対応する3つの設定値(図中の「8」,「6」,「4」)を有している。つまり、3段階の音量調節が可能である。なお、設定値が大きいほど、音響装置における音量が大きくなるとする。また、本形態では、第2の音量系統に対応する音量情報(以下においては、「第2の音量情報」とも称する。)の値は、一定値(最大値「9」)である。なお、実際には、サブ制御装置262の電源投入時に、ROM551に保持された音量テーブルがRAM552に書き出され、音量テーブルを参照する際には、RAM552に一時的に保持された音量テーブルが参照される。
音量調節装置900は、音量情報保持部904の音量設定情報を変更するための入力装置であり、入力部910と入力部910の操作に応じて音量調節情報を生成する信号処理部920とを有する。具体的には、本形態では、音量調節装置900は、入力部910として一接点式の入力ボタンを有し、信号処理部920として入力ボタンの押下を検出する検出回路とを有する。なお、この構成のスイッチを一接点式のスイッチと称する。図4に示されたように、入力ボタン930は、基板ボックス263(図4参照)上に設けられ、パチンコ機10の背面側に露出している。
音量表示装置930は、音量調節の際の音量設定状況を表示するために設けられる。具体的には、本形態では、音量表示装置930は、7セグメントLEDであり、音量関連情報保持部906に保持される音量関連情報を表示する。7セグメントLED930は、図4に示されたように、基板ボックス263上に設けられ、パチンコ機10の背面側に露出している。
音量調節装置900は、入力ボタン910が押下されるごとに、押下検出信号(音量調節情報を含む信号)を送信する。
音量関連情報保持部906(RAM503(図4参照)の一部の領域)は、音量関連情報を保持している。RAM503は、主制御装置261における電源の遮断に対してバックアップ機能を有する不揮発性メモリであるために、音量関連情報も不揮発性データである。具体的には、本形態では、音量テーブル保持部908における音量テーブルの音量識別子の番号(種類)を保持している。
音量変更信号生成部902は、音量調節情報に基づいて音量変更信号を生成する。本形態では、音量変更信号の生成の際に、音量関連情報保持部906に保持された音量関連情報を参照している。また、音量変更信号生成部902は、音量調節情報に基づいて、音量関連情報を変更する。また、音量変更信号生成部902は、音量調節情報及び音量関連情報に基づいて、音量表示装置930の表示を制御する。
具体的には、本形態では、音量変更信号生成部902は、一接点式のスイッチからの押下検出信号が入力されると、音量関連情報保持部906から音量識別子の番号を取り出し、音量識別子の番号に1だけ加算する。音量関連情報保持部906は、識別子の加算後の値をLEDに表示させる。なお、音量識別子の加算前の値が最大値(音量識別子の最大値と同等)である場合には、最小値に戻す。つまり、音量識別子の番号は、選択可能な範囲においてループする(「1」(加算前の値)→「2」→「0」→「1」→「2」→・・・)。音量変更信号生成部902は、音量識別子の加算後の番号を含む音量変更信号を生成し、音量変更部905に送信する。また、音量変更信号生成部902は、音量関連情報保持部906に保存された音量識別子の番号を加算後の番号に変更する。
音量変更部905は、音量変更信号に基づいて、音量情報保持部904における音量設定情報を変更する。本形態では、音量変更信号に含まれる音量識別子の番号に基づいて、音量テーブル保持部908を参照して複数の設定値のいずれか1つを選択し、音量情報保持部904における音量設定情報のうち第1の音量情報のみを選択された設定値に変更している。なお、本形態では、第2の音量情報は、音量調節情報の入力に依存せず常に一定である。
具体的には、音量変更部905において、音量変更信号生成部902からの音量変更信号が入力されると、音量変更信号から音量識別子の番号が抽出される。音量識別子の番号が抽出された後に、音量テーブルを参照して、抽出した音量識別子の番号に対応する設定値を選択する。設定値を選択した後に、音量情報保持部904に保持された第1の音量情報を、選択された設定値に変更する。
ここで、電源投入後の音量情報保持部904における第1の音量情報の初期設定について説明する。主制御装置261及びサブ制御装置262に電源が投入されると、主制御装置261では、RAM503の初期化が行われる。しかし、この初期化において、音量関連情報保持部906(RAM503において音量関連情報が保持された領域)は初期化されない。RAMは不揮発性メモリであるために、音量関連情報保持部906は、前回の電源遮断の前における音量関連情報を、電源投入後においても保持している。また、サブ制御装置261では、RAM552の初期化が行われる。この初期化において、音量情報保持部904(RAM552において音量関連情報が保持された領域を含む)は初期化される。
音量変更信号生成部902は、電源投入後に一度だけ、音量関連情報を参照して、音量設定信号(音量初期化コマンド)を生成し、音量設定信号を音量変更部905に送信する(図10のS111,S117)。なお、音量設定信号と音量変更信号とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。音量変更部905では、上記で説明したのと同様にして、音量設定信号に基づいて、音量テーブルを参照して第1の音量情報が変更(初期設定)される(図18のS1038)。なお、第2の音量情報としては、ROM551に保持された第2の音量情報が初期設定される(図17のS920)。
上記で説明したように、本形態のパチンコ機10では、第1の音響系統を第2の音量系統と独立して制御できるために、第1の音量系統に対する音量と第2の音量系統に対する音量とを相対的に変化させることができる。これによって、パチンコ機10の設置環境に柔軟に対応した音量調整ができる。また、本形態のパチンコ機10では、エラー音量及び大当たり遊技中の演出音を音響装置の最大音量としたことによって、エラー及び大当たり遊技中の演出に伴う音声を他の音声に対して際立たせることができる。これによって、パチンコ機10の設置ホールにおいて、従業者が、エラーを迅速に解消したり、大当たりの際に遊技球貯留箱を迅速に提供したりできる。更に、エラー音や大当たり遊技中の演出音を音響装置の最大音量とし、かつ、一定の音量としたことによって、それらが不用意に消音されたり、通常の演出音よりも低く設定されたりすることを防止できる。
本形態のパチンコ機10では、主制御装置261が音量関連情報保持部906を有することによって、パチンコ機10に対して電源を投入した際に、自動的に前回の音量設定情報を再現することができる。また、音量調節の際に、音量関連情報を音量表示装置930に表示させて、現在の設定状況を確認しつつ音量設定を変更できるために、音量調節を簡便に行える。
本形態のパチンコ機10では、音量表示装置930を更に備えることによって、音量調節の際に、現在の設定状況を視覚的に確認しつつ音量設定を変更できるために、音量調節を更に簡便に行える。
本形態のパチンコ機10では、サブ制御装置262が音量系統テーブル保持部907を有することによって、音響制御コマンド自体のデータ構造を変更することなく、音響制御コマンドを第1の音量系統と第2の音量系統とに分割することができる。これによって、音量信号制御部901における処理負担の増加を抑制しつつ、多様な音量設定が可能な音量調節機能を簡便に追加できる。更に、本形態のパチンコ機10では、音量系統テーブル保持部907が、音量制御コマンド全体と音量系統との対応を表わす音量系統テーブルではなく、音量制御コマンドのコマンド識別子と音量系統との対応を表わす音量系統テーブルを保持することによって、音量系統テーブル自体のデータ量を低減できると共に、音量信号生成部903における処理負担を低減できる。
本形態のパチンコ機10では、サブ制御装置262が音量テーブル保持部908を有することによって、主制御装置261の音量変更信号生成部902からサブ制御装置262の音量変更部905に送信される情報量を低減できる。例えば、図27に示された場合であれば、設定値自体を送信するには、最大値が「8」であるために少なくとも4ビットの情報を送信しなければならないが、音量識別子の情報を送信する場合には、最大値が「3」であるために2ビットの情報を送信すればよい。それらの情報量の差は、図27に示されたように設定値の選択可能な範囲が小さければ、僅差であるが、設定値の選択可能な範囲が大きくなるにつれて、甚大な差となる。
本形態のパチンコ機10では、その背面側に音量調節装置900を備えることによって、パチンコ機10の設置ホール等において、遊技者が勝手に音量設定を変更することを抑制できる。本形態においては問題とならないが、エラー音量が調節できる場合には、特に、音量調節装置900を背面側に備える構成が好ましい。
本形態のパチンコ機10では、音量調節装置900は、その入力ボタン910が背面側に露出した一接点式のスイッチであることによって、音量調節の際に、簡便に音量設定の変更を行うことができる。
以下に、本形態のパチンコ機10の変化例について説明する。
上記のパチンコ機10では、図11に示されたように、主制御装置261における通常処理ループ内で音量変更処理(S208)を行う場合について説明したが、通常処理ループへの移行前のメイン処理(図10参照)において行ってもよい。この場合、電源投入後に一度だけしか音量調節を行えないが、パチンコ機10の設置ホールにおいて、一般的に、営業中に音量調節を行うことはほとんどありえないからである。なお、この場合には、通常処理ループにおいて、ループごとに音量調節情報が入力されたか否かを判断する必要がなくなり、主制御装置261の処理負担を軽減できる。また、上記のパチンコ機10では、図11に示されたように、主制御装置261における通常処理ループ内で音量調節処理(S208)を行う場合について説明したが、音量調節処理は、主制御装置261のMPU501(図7参照)への内部割り込み処理であってもよい。この場合、通常処理ループにおいて、ループごとに音量調節情報が入力されたか否かを判断する必要がなくなるために主制御装置261の処理負担を低減でき、かつ、任意のタイミングで音量調節を行える。
上記のパチンコ機10では、電源投入の際に、音量情報保持部904における第1の音量情報が、音量関連情報保持部906に保持された音量関連情報に基づいて設定され、第2の音量情報が、ROM551に記載された初期値を参照して、RAM552の初期化において設定される場合について説明したが、音量関連情報保持部906が第2の音量情報を保持し、音量情報保持部904の第2の音量情報が音量関連情報保持部906の保持する第2の音量情報に基づいて設定されてもよい。この場合、以下のようにして、音量情報保持部904における第1の音量情報及び第2の音量情報(音量設定情報)の設定が行われる。
主制御装置261及びサブ制御装置262に電源が投入されると、主制御装置261では、RAM503の初期化が行われる。しかし、この初期化において、音量関連情報(第1の音量系統に対応する音量識別子及び第2の音量情報)は初期化されない。サブ制御装置262では、RAM552の初期化が行われる。この初期化において、音量情報保持部904は初期化される。音量変更信号生成部902は、電源投入後に一度だけ、音量関連情報を参照して、第1の音量系統に対応する音量識別子の情報を含む第1の音量設定信号(音量変更信号と同一)及び第2の音量情報を含む第2の音量設定信号(音量変更信号と異なる)を生成し、又は、音量識別子の情報及び第2の音量情報を含む音量設定信号(音量変更信号と異なる)を生成し、生成された音量設定信号を音量変更部905に送信する。音量変更部905では、受信した1つ又は2つの音量設定信号に基づいて、第1の音量情報が音量テーブルを参照して設定され、かつ、第2の音量情報が設定される。
上記のパチンコ機10では、音量テーブル保持部908が音量識別子と第1の音量情報との対応を表わす音量テーブルを保持する場合について説明したが、音量テーブル保持部908は、音量セットの識別子と第1の音量情報及び第2の音量情報の組み合せ(音量セット)との対応を表わす音量テーブルを保持していてもよい。以下に、この構成について説明する。
音量テーブル保持部908は、図28に示されたように、音量セットの識別子と第1の音量情報及び第2の音量情報の組み合せとの対応を表わす音量テーブルを保持している。音量変更部905は、音量変更信号に含まれる音量セット識別子(上記の音量識別子と実質的に同一)の情報に基づいて、音量テーブルを参照して複数の音量セットからいずれか1つを選択し、音量情報保持部904における音量設定情報を選択された音量セットに変更している。なお、第2の音量情報も変更される。具体的には、音量変更部905において、音量変更信号生成部902からの音量変更信号を受信すると、音量変更信号から音量セット識別子の番号(種類)が抽出される。音量セット識別子の情報が抽出された後に、音量テーブルを参照して、抽出した音量識別子の番号に対応する音量セットを選択する。音量セットを選択した後に、音量情報保持部に保持された第1の音量情報及び第2の音量情報を選択された音量セットに変更する。
また、音量テーブル保持部908が、図29に示されたような音量テーブルを保持していれば、第2の音量情報も変更にでき、第2の音量系統に対する音量を調整できる。なお、図29に示された音量テーブルの場合、第2の音量系統の音量は、2段階(「9」,「7」)で調節できる。
また、音量テーブル保持部908が、図27に示されたような音量テーブルを第2の音量系統用として更に保持している場合には、第2の音量系統に対応する音量も調節できる。この場合、音量調節において、2つの音量識別子の情報を用いて音量設定情報の変更を行う。
上記のパチンコ機10では、音量系統の種類が、第1の音量系統及び第2の音量系統のみである場合について説明したが、音量系統の種類には、更に他の音量系統が含まれていてもよい。
上記のパチンコ機10では、音量系統テーブル保持部907が、コマンド識別子の種類と音量系統の種類との対応を表わす音量系統テーブルを保持する場合について説明したが、音量系統テーブルは、第1の音量系統(音量調節を行える音量系統)に対応付けられたコマンド識別子の種類のみを含んでいてもよい。この場合、音量信号生成部904では、入力された音響制御信号に含まれるコマンド識別子を抽出し、抽出されたコマンド識別子の種類が音量系統テーブルに保持された複数のコマンド識別子の種類のいずれか1つと合致すれば、第1の音量系統と判断する。一方、抽出されたコマンド識別子の種類が音量系統テーブルに保持された複数のコマンド識別子のいずれとも合致しない場合には、第2の音量系統と判断する。
上記のパチンコ機10では、音量系統テーブル保持部907が、コマンド識別子の種類と音量系統の種類との対応を表わす音量系統テーブルを保持する場合について説明したが、音量系統テーブル保持部907は、音量コマンド全体と音量系統との対応を表わす音量系統テーブルを保持していてもよい。
上記のパチンコ機10では、音量調節装置900の入力ボタン910を図4に示されたように基板ボックス263上に設け、入力ボタン910と主制御装置261とを配線で間接的に接続する場合について説明したが、入力ボタン910が主制御装置261の表面に直接設けられていてもよい。なお、この場合には、入力ボタン910を操作できるように、基板ボックス263には、開口が設けられる。また、上記のパチンコ機10では、音量調節装置900の入力ボタン910を遊技機10の背面側に露出するように設けたが、遊技機10の前面側に設けてもよい。遊技者が勝手に音量設定を変更することを抑制するのであれば、音量調節キーを差し込まなければ音量調節ができない構成や、前面枠セット14(図1参照)の背後に配置される遊技盤30(図3参照)の周縁部に入力部を設けて、前面枠セット14を開けないと入力ボタン910に触れることができない構成とすることが好ましい。この場合には、音量表示装置930もパチンコ機10の前面側に設けることが好ましい。なお、入力ボタン910及び音量表示装置は、遊技者によって視認できなくてもよい。
上記のパチンコ機10では、音量調節装置900が信号入力処理部920を有する場合について説明したが、信号入力処理部920は主制御装置261に形成されていてもよい。この場合には、主制御装置261が信号入力処理部920を有することとなる。
上記のパチンコ機10では、音量調節における音量設定を視認できるように音量表示装置930を備える場合について説明したが、音量表示装置930を設けずに又は音量表示装置930の設置と共に、音量調節装置900の入力ボタン910が操作されるごとに、音響装置810から第1の音量系統に対応する音量で所定の音を出力させたり、音響装置810から第1の音量系統及び第2の音量系統に対応する音量で所定の音を順次に出力させたりして、音量設定を確認する構成であってもよい。
上記のパチンコ機10では、音量調節装置900が1つの一接点式のスイッチである場合について説明したが、音量調節装置900は、複数の一接点式のスイッチを有してもよいし、複数の2値選択式のスイッチや1つ又は複数の多値(2値以上)選択接触式のスイッチであってもよい。ここで、多値選択接触式のスイッチとしては、調整つまみの回転角度に応じて複数の音量設定のいずれか1つを選択できる装置や、調整部材の配置位置に応じて複数の音量設定のいずれか1つを選択できる装置等を意味する。この場合、音量調節装置900から音量識別子の番号を直接入力できるために、音量変更部905では、音量識別子の番号に基づいて、音量関連情報の変更や音量変更信号の生成ができる。これによって、音量変更信号生成部902における処理負担を低減することができる。また、音量調節装置900が、音量識別子の番号を入力する第1の入力部と入力を決定して音量変更信号生成部902への送信を制御する第2の入力部を有する場合には、更に、簡便に音量調節ができる。
上記のパチンコ機10では、音量調節装置900が1つの一接点式のスイッチであり、音量関連情報保持部906が音量関連情報を保持する場合について説明したが、音量調節装置900が、2値選択接触式のスイッチ又は多値選択接触式のスイッチを有し、一接点式のスイッチを有していない場合には、主制御装置261に音量関連情報保持部906を設けなくてもよい。音量調節装置900の機械的な構成によって前回の音量調節情報が保持されるからである。
上記のパチンコ機10では、音量表示装置930が、7セグメントLEDである場合について説明したが、他のいかなる表示装置であってもよい。また、パチンコ機10が遊技盤30(図3参照)に液晶表示装置等の装飾図柄表示装置42(図3参照)を備える場合には、音量表示装置930を別途に設けず、遊技盤30の表示装置42で代用してもよい。また、通常、遊技盤30や前面枠セット14の周辺領域には各種の演出用の発光装置(ランプ、LED等)を有するので、これらの発光装置のいずれかを音量表示装置930として代用してもよい。
上記のパチンコ機10では、音量表示装置930が主制御装置261の音量変更信号生成部902に接続されている場合について説明したが、音量表示装置906は、サブ制御装置262の音量変更部905に接続されていてもよい。この場合には、音量関連情報又は音量設定情報そのものを表示することもできる。
本発明に係るパチンコ機では、上記で説明した種々の変化例を組み合せた構成を採用してもよい。
〔第2の形態〕
第2の形態においては、本発明に係るパチンコ機の他の一形態について説明する。なお、本形態において、上記の第1の形態のパチンコ機10と実質的に同一の構成部については同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、以下においては、上記の第1の形態と相違する構成及び動作についてのみ詳細に説明する。
本形態のパチンコ機では、図30に示されたように、主制御装置261が音量テーブル保持部928を有する。なお、音量テーブル保持部928の形成場所が上記の第1の形態のパチンコ機と異なっている。音量テーブル保持部928は、音量変更信号生成部925と電気的に接続されている。
音量テーブル保持部928(ROM502(図7参照)の一部の領域)は、上記の第1の形態と同一の音量テーブルを保持している。なお、実際には、主制御装置262の電源投入時に、ROM502に保持された音量テーブルがRAM503(図7参照)に書き出され、音量テーブルを参照する際には、RAM503に一時的に保持された音量テーブルが参照される。
音量関連情報保持部926(RAM503の一部の領域)は、上記の第1の形態と同様に、音量テーブル保持部928の音量テーブルにおける複数の音量識別子のいずれか1つの値を保持している。
音量変更信号生成部922では、音量調節情報と音量識別子の番号(音量関連情報)とに基づいて、音量関連情報保持部926に保持された音量関連情報と、音量テーブルとを参照して、音量変更信号を生成する。具体的には、音量変更信号生成部922は、上記の第1の形態と同様に、一接点式のスイッチからの押下検出信号が入力されると、音量関連情報保持部926から音量識別子の番号を取り出し、音量識別子の番号に1だけ加算する。音量関連情報保持部は、音量識別子の加算後の番号を7セグメントLED930に表示させる。また、音量変更信号生成部922は、音量識別子の加算後の番号に基づいて、音量テーブルを参照して第1の音量情報の設定値を1つ選択し、選択された設定値を含む音量変更信号を生成する。更に、音量関連情報保持部926における音量識別子の番号を加算後の値に変更する。
音量変更部925は、音量変更信号に含まれる第1の音量情報の設定値に基づいて、音量情報保持部904における第1の音量情報のみを変更する。具体的には、音量変更部925において、音量変更信号生成部922からの音量変更信号が入力されると、音量変更信号から第1の音量情報の設定値が抽出される。音量変更部925は、音量情報保持部904に保持された第1の音量情報を、抽出された第1の音量情報の設定値に変更する。
ここで、電源投入後における音量情報保持部の第1の音量情報の初期設定について説明する。音量変更信号生成部922は、電源投入後に一度だけ、音量関連情報保持部926を参照して、音量設定信号を生成し、音量設定信号を音量変更部925に送信する。音量変更部925では、音量設定信号に基づいて、音量テーブルを参照して第1の音量情報が変更(初期設定)される。なお、第2の音量情報として、ROM551に保持された第2の音量情報が初期設定される。
以下に、本形態のパチンコ機の変化例について説明する。上記のパチンコ機では、音量信号生成部922が、音量表示装置930に音量識別子の番号を表示させる場合について説明したが、音量信号生成部922は、音量表示装置930に第1の音量情報を表示させてもよい。また、上記のパチンコ機では、音量関係情報保持部926が、音量識別子の番号を保持する場合について説明したが、音量関係情報部926は、第1の音量情報を保持してもよい。
〔第3の形態〕
第3の形態においては、本発明に係るパチンコ機の他の一形態について説明する。なお、本形態において、上記の第1の形態のパチンコ機と実質的に同一の構成部については同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、以下においては、上記の第1の形態と相違する構成及び動作についてのみ詳細に説明する。
本形態のパチンコ機では、図31に示されたように、サブ制御装置262が、音量テーブル保持部を有していない。また、本形態のパチンコ機は、音量表示装置を備えていない。
音量調節装置970は、第1の入力部971と第2の入力部972と信号処理部973とを有する。具体的には、第1の入力部971が多値選択接触式の入力つまみであり、第2の入力部972が一接点式の入力ボタンであり、信号処理部973が、入力つまみの回転角度に応じた3段階の設定角度を検出する検出回路と、入力ボタンの操作に応じて音量変更信号生成部932への出力を制御する制御回路とを有するスイッチ回路である。第1の入力部971の入力つまみには、選択方向を表わす記しが付けられており、設定角度が視認できる。
音量関連情報保持部936は、第1の音量情報の値(音量関連情報)を保持している。なお、音量関連情報が、音量識別子の値でない点が、上記の第1の形態の場合と異なっている。
音量調節装置970は、入力ボタン972の押下に応じて、入力つまみ971の設定角度に応じた第1の音量情報の変更値(音量調節情報)を、音量変更信号生成部932に送信する。なお、音量調節情報が、音量識別子の番号でない点が、上記の第1の形態の場合と異なっている。
音量変更信号生成部932において、第1の音量情報の変更値に基づいて音量変更信号を生成する。なお、音量変更信号の生成の際に、音量関連情報保持部932を参照しない点が、上記の第1の形態の場合と異なっている。また、音量関連情報保持部932における第1の音量情報を音量調節装置970で指定された第1の音量情報の変更値に変更する。
音量変更部935は、音量変更信号生成部932からの音量変更信号が入力されると、音量変更信号から第1の音量情報の変更値を抽出し、音量情報保持部904に保持された第1の音量情報を抽出された第1の音量情報の変更値に変更する。
ここで、電源投入後における音量情報保持部904の第1の音量情報の初期設定について説明する。音量変更信号生成部932は、電源投入後に一度だけ、音量関連情報保持部932を参照して、第1の音量情報の値を含む音量設定信号を生成し、音量設定信号を音量変更部935に送信する。音量変更部935は、音量変更の場合と同様に、音量変更信号が入力されると、音量変更信号から第1の音量情報の値を抽出し、音量情報保持部904に保持された第1の音量情報の値を抽出された第1の音量情報の値に設定する。
上記においては、第1の主制御装置261が音量関連情報保持部936を有する場合について説明したが、音量調節装置970が、機械的な構成(設定角度)によって前回の第1の音量情報の値を保持しているために、上記の第1の形態の音量関連情報保持部906はなくてもよい。この場合、電源投入後における音量情報保持部904の第1の音量情報の初期設定において、音量変更信号生成部932は、音量調節装置970に保持された第1の音量情報の値を参照して、音量設定信号を生成する。
〔第4の形態〕
第4の形態においては、本発明に係るパチンコ機の他の一形態について説明する。なお、本形態において、上記の第1の形態のパチンコ機と実質的に同一の構成部については同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、以下においては、上記の第2の形態と相違する構成及び動作についてのみ詳細に説明する。
本形態のパチンコ機では、図32に示されたように、主制御装置261が音量系統テーブルを保持する音量系統テーブル保持部947を有する。音量系統テーブル保持部947の形成場所が上記の第1の形態と異なっている。音量系統テーブル保持部947は、音響信号制御部941と電気的に接続されている。音量系統テーブル保持部947は、RAM503(図4参照)の一部の領域である。音量系統テーブルは、図26に示された上記の第1の形態の音量系統テーブルと同一である。
本形態のパチンコ機では、図33に示されたように、音響制御コマンドは、コマンド識別子を格納するフィールドと、補助パラメータを格納するフィールドと、音量系統情報を格納するフィールドとで構成されている。音響制御コマンドが、音量系統情報を格納するフィールドを有する点が、上記の第1の形態の場合と異なっている。
音響信号制御部941は、音量系統テーブルを参照して、音響制御コマンドにおける音量系統情報を決定し、決定した音量系統情報を含む音響制御信号を生成する。また、音量信号生成部943は、受信した音響制御信号から音量系統情報を抽出し、抽出された音量系統情報に基づいて、音量情報保持部904の音量設定情報を参照して音量信号を生成する。