JP4910942B2 - ゴム組成物、繊維ゴム複合体およびホース - Google Patents

ゴム組成物、繊維ゴム複合体およびホース Download PDF

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Description

本発明は、ゴム組成物ならびに該ゴム組成物を用いた繊維ゴム複合体およびホースに関する。
耐候性の優れたゴムとして知られるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(以下、「EPDM」ともいう。)は、例えば、ホースの外管(外側ゴム層)等に広く使用されている。
しかし、EPDMは反応性が低いため、繊維材料との接着性が低いという問題があり、ホースの外管に用いた場合には、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維等の繊維材料からなる補強層との接着性が悪く、それによりホースの耐久性が悪化する問題があった。
この問題を解決すべく、本出願人は、「エチリデンノルボーネンを9〜13重量%含有するエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを50〜100重量%含むゴム100重量部に対し、酸化マグネシウムを1〜20重量部配合したゴム組成物からなるゴム層と、それと隣接する有機繊維補強層とを有するホース」を提供している(特許文献1)。
特開2002−273827公報
本発明者は、特許文献1に記載の発明を改良すべく更に検討した結果、未加硫時のゴム組成物の貯蔵安定性、および、ホース製造時、即ち、押出し時のホースの外観(以下、「押出し加工性」ともいう。)を改善できることを明らかにした。
そこで、本発明は、繊維材料との接着性を良好に維持しつつ、未加硫時の貯蔵安定性および押出し加工性に優れるホースを得ることができるゴム組成物、該ゴム組成物を用いた繊維ゴム複合体ならびに該ゴム組成物をゴム層に用いたホースを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを所定の割合で含有するゴム成分と、特定の酸化マグネシウムブレンド体とを混合して得られるゴム組成物が、未加硫時の貯蔵安定性および押出し加工性に優れるホースを得ることができるのを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを50〜100質量%含有するゴム成分と、酸化マグネシウムブレンド体とを混合して得られるゴム組成物であって、
上記酸化マグネシウムブレンド体が、BET法により測定した比表面積が130m2/g以上である酸化マグネシウム、滑剤およびオイルの混合物であり、
上記酸化マグネシウムブレンド体における、上記酸化マグネシウム、上記滑剤および上記オイルの含有割合が、それぞれ、50〜90質量%、5〜40質量%および5〜40質量%であり、
上記酸化マグネシウムの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部であるゴム組成物。
(2)上記(1)に記載のゴム組成物と、繊維材料とを接着させて得られる繊維ゴム複合体。
(3)上記(1)に記載のゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接する補強層とを有するホース。
(4)上記補強層が、繊維材料を用いて形成される上記(3)に記載のホース。
(5)上記繊維材料が、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維である上記(4)に記載のホース。
以下に説明するように、本発明によれば、繊維材料との接着性を良好に維持しつつ、未加硫時の貯蔵安定性および押出し加工性に優れるホースを得ることができるゴム組成物、該ゴム組成物を用いた繊維ゴム複合体ならびに該ゴム組成物をゴム層に用いたホースを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを50〜100質量%含有するゴム成分と、酸化マグネシウムブレンド体とを混合して得られるゴム組成物であって、
上記酸化マグネシウムブレンド体が、BET法により測定した比表面積が130m2/g以上である酸化マグネシウム、滑剤およびオイルの混合物であり、
上記酸化マグネシウムブレンド体における、上記酸化マグネシウム、上記滑剤および上記オイルの含有割合が、それぞれ、50〜90質量%、5〜40質量%および5〜40質量%であり、
上記酸化マグネシウムの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部であるゴム組成物である。
次に、本発明のゴム組成物の製造に用いられるゴム成分と酸化マグネシウムブレンド体について詳述する。
<ゴム成分>
上記ゴム成分は、EPDMを50〜100質量%含有するゴム成分である。
ここで、EPDMは、エチレン、プロピレンおよびジエンモノマーを共重合して得られる合成ゴムであれば特に限定されない。
このようなEPDMとしては、具体的には、例えば、ジエンモノマーとして、エチリデンノルボーネン、ジシクロペンタジエン等を用いて得られる合成ゴムが好適に挙げられる。
本発明においては、上記ゴム成分は、EPDMを50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは100質量%含有するものである。なお、100質量%含有するとは、ゴム成分がEPDMのみからなることを意味する。
EPDMの含有量がこの範囲であると、得られるゴム組成物の繊維材料との接着性を良好に維持することができる。
また、本発明においては、上記ゴム成分は、EPDMを50質量%以上含有するものであれば、所望の要求特性に応じて、他のゴムを併用することができる。
他のゴムとしては、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(Cl−IIR)、ブロモブチルゴム(Br−IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、耐油性を付与する観点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を併用することが好ましく、耐摩耗性を付与する観点からは、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を併用することが好ましい。
<酸化マグネシウムブレンド体>
上記酸化マグネシウムブレンド体は、BET法により測定した比表面積が130m2/g以上である酸化マグネシウム、滑剤およびオイルの混合物である。
次に、上記酸化マグネシウムブレンド体を構成する酸化マグネシウム、滑剤およびオイルについて詳述する。
(酸化マグネシウム)
上記酸化マグネシウムブレンド体を構成する酸化マグネシウムは、BET法により測定した比表面積が130m2/g以上である酸化マグネシウムであり、比表面積が130〜170m2/gであるのが好ましく、比表面積が130〜150m2/gであるのがより好ましい。
ここで、BET法とは、粉体粒子の表面上に占有面積の分かった分子(通常、N2ガス)を吸着させ、その吸着量から試料粉体の比表面積を求める方法である。この方法で求めた比表面積は「BETの比表面積」とも呼ばれる。また、酸化マグネシウムの場合は、BETの比表面積が高いほど、活性度が高くなる。
本発明においては、上記酸化マグネシウムは、脂肪酸(例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、高級脂肪酸、これらのアルカリ金属塩等)、樹脂酸(例えば、アビエチン酸等)、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル等により表面処理されたものを用いることができる。
また、本発明においては、上記酸化マグネシウムとしては、協和化学工業社製のキョーワマグ150(比表面積150m2/g)およびキョーワマグMF−150(比表面積135m2/g)、神島化学工業社製のスターマグU(比表面積145m2/g)等が好適に例示される。
本発明においては、上記酸化マグネシウムブレンド体における、上記酸化マグネシウムの含有割合は、50〜90質量%であり、50〜80質量%であるのが好ましく、70〜80質量%であるのがより好ましい。
また、本発明においては、上記酸化マグネシウムの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部であり、2〜10質量部であるのが好ましく、5質量部程度であるのがより好ましい。
(滑剤)
上記酸化マグネシウムブレンド体を構成する滑剤は、ゴムやプラスチックに配合する従来公知の滑剤であれば特に限定されない。
滑剤としては、具体的には、例えば、パラフィン・ワックス、炭化水素系ワックスなどのパラフィンおよび炭化水素樹脂;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;ステアロアミド、オレイル・アミドなどの脂肪酸アミド;n−ブチル・ステアレートなどの脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪アルコール;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、脂肪酸エステル、特にソルビタン脂肪酸エステルであるのが、優れた滑性を有することから好ましい。
また、本発明においては、上記滑剤としては、市販品を用いることができ、具体的には、トリステアリン酸ソルビタン脂肪酸エステル(レオドールSP−S30、花王社製)、高級脂肪酸エステル(Struktol WB222、SCHILL & SEILACHER GMBH & CO.社製)、エチレンビスステアロアミド(カオーワックスEB−P、花王社製)等が好適に例示される。
本発明においては、上記酸化マグネシウムブレンド体における、上記滑剤の含有割合は、5〜40質量%であり、5〜20質量%であるのが好ましく、5〜15質量%であるのがより好ましい。
また、本発明においては、上記滑剤の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜8質量部であり、0.25〜2質量部であるのが好ましく、1質量部程度であるのがより好ましい。
(オイル)
上記酸化マグネシウムブレンド体を構成するオイルは、ゴムやプラスチックに配合する従来公知のオイルであれば特に限定されない。
オイルとしては、具体的には、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマオイルなどの鉱物油;大豆油、パーム油などの植物油;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、パラフィン系オイルであるのが、上記ゴム成分との相溶性に優れる理由から好ましい。
また、本発明においては、上記オイルとしては、市販品を用いることができ、具体的には、パラフィンオイル(Sunpar2280、日本サン石油社製)、ダイアナプロセスオイル(PW−90、出光興産社製)等が好適に例示される。
本発明においては、上記酸化マグネシウムブレンド体における、上記オイルの含有割合は、5〜40質量%であり、5〜20質量%であるのが好ましく、5〜15質量%であるのがより好ましい。
また、本発明においては、上記オイルの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜8質量部であり、0.25〜2質量部であるのが好ましく、1質量部程度であるのがより好ましい。
本発明においては、上記酸化マグネシウムブレンド体の製造方法は特に限定されないが、上記酸化マグネシウム、上記滑剤および上記オイルを、例えば、乳鉢と乳棒を用いて混合(混練)する方法や、高速混合機、押出機、造粒機等を用いて混合する方法等が挙げられる。
また、本発明においては、上述したように、上記酸化マグネシウムブレンド体における、上記酸化マグネシウム、上記滑剤および上記オイルの含有割合は、それぞれ、50〜90質量%、5〜40質量%および5〜40質量%であり、上記酸化マグネシウムの含有量は、上記ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部である。
含有割合および含有量がこれらの範囲にある酸化マグネシウムブレンド体を用いることにより、得られるゴム組成物の繊維材料との接着性を良好に維持しつつ、該ゴム組成物をホースのゴム層、特に外側ゴム層に用いた場合に、未加硫時の貯蔵安定性および押出し加工性に優れるホースを得ることができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、次のように推測することができる。
まず、酸化マグネシウムは、アルカリ触媒であるため、比表面積が大きければ活性度が高くなり、ゴム成分と繊維材料との接着反応性を高めることができる。しかしながら、その活性度が高すぎるとEPDMに分散し難くなる。また、加硫促進剤を配合した場合には、極性の高い加硫促進剤が酸化マグネシウムの表面に凝集しやすくなる。その結果、局所的に初期加硫を引き起こしやすくなるため、未加硫ゴムの貯蔵安定性と押出し加工性が悪くなってしまう。
これに対し、本発明においては、比表面積が大きい酸化マグネシウムを、滑剤およびオイルとともに混合物(酸化マグネシウムブレンド体)として用いている。そして、この滑剤の存在により酸化マグネシウムの凝集を防ぐことができと考えられ、また、このオイルの存在により酸化マグネシウムのゴム成分への分散性を向上させることができると考えられる。
そのため、本発明においては、ゴム成分と繊維材料との高い接着反応性を維持しつつ、未加硫ゴムの貯蔵安定性と押出し加工性にも優れると考えられる。
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、充填剤、補強剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、可塑剤、顔料(染料)、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、上記ゴム成分および上記酸化マグネシウムブレンド体ならびに所望により含有していてもよい各種添加剤を、オープンロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、バッチ式混練機等により混合(混練)する方法が挙げられる。
また、混合温度は、使用する装置により異なるため特に限定されないが、バッチ式混練機を用いた場合は、50〜160℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましい。
同様に、混合時間も、使用する装置により異なるため特に限定されないが、バッチ式混練機を用いた場合は、1〜15分間程度であるのが好ましい。
本発明の繊維ゴム複合体は、本発明のゴム組成物と、繊維材料とを接着させて得られる複合体である。
ゴム組成物と繊維材料とを接着させる方法は特に限定されないが、例えば、本発明のゴム組成物を繊維材料上に貼り合わせた後、加硫接着する方法が挙げられる。
このような方法により接着して得られる繊維ゴム複合体としては、後述するホース以外に、具体的には、例えば、コンベヤベルト、防舷材、マリンホース、タイヤ等が挙げられる。
本発明においては、上記繊維材料としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、ポリケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリケトン繊維等の繊維材料が挙げられる。中でも、寸法安定性、耐熱性および耐疲労性に優れるポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維であるのが好ましい。
また、上記で例示した各種の繊維材料は、レゾルシン・ホルマリン/ゴムラテックス(RFL)等の処理液で接着処理を行ってもよい。
本発明のホースは、本発明のゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接する補強層とを有するホースである。
ここで、本発明のホースの好適な実施態様の一例を図1を用いて説明する。図1は、ホースの各層を切り欠いて示す斜視図である。
図1のように、ホース1は、ゴム内層2を内管として有し、その上層に補強層3およびゴム外層4を外管として有するものである。
次に、本発明のホースを構成するゴム層(ゴム内層、ゴム外層)および補強層について詳述する。
<ゴム層>
上記ゴム層は、上記補強層に隣接する層であり、本発明のホースは、上述したゴム内層およびゴム外層を具備するものである。
本発明においては、上記ゴム層のうち少なくとも一方の層を本発明のゴム組成物を用いて形成するものであり、ホースの耐候性の観点から、少なくともゴム外層を本発明のゴム組成物を用いて形成するのが好ましい。
このように本発明のゴム組成物を用いてゴム層を形成することにより、補強層として繊維材料を用いた場合であっても、補強層との接着性を良好に維持しつつ、未加硫時の貯蔵安定性および押出し加工性に優れるホースを得ることができる。
また、本発明においては、上記ゴム内層の厚みは、0.2〜4.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましい。同様に、上記ゴム外層の厚みは、0.2〜4.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましい。
<補強層>
上記補強層は、上記ゴム内層の外側に、強度保持の観点から所望により設けられる層である。
本発明においては、上記補強層は、ブレード状で形成されたものでもスパイラル状で形成されたものでもよい。また、上記補強層を形成する材料は特に限定されないが、上述した種々の繊維材料等が好適に例示される。
これらのうち、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維を用いるのが、寸法安定性、耐熱性および耐疲労性に優れることから好ましい。
上記ゴム層および上記補強層を有する本発明のホースの製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、マンドレル上に、上記ゴム内層、上記補強層および上記ゴム外層をこの順に積層させた後に、それらの層を140〜190℃下、30〜180分の条件で、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)または温水加硫することにより加硫接着させて製造する方法等が好適に例示される。
以下に、実施例を用いて本発明のホースについてより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜8)
下記表1に示す成分を下記表1に示す割合(質量部)で配合し、ゴム組成物を調製した。
具体的には、まず、下記表1に示す成分のうち加硫促進剤と硫黄を除く成分をバンバリーミキサー(3.4リットル)で4分間混練し、160℃に達したときに放出し、マスタバッチを得た。
次に、得られたマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
得られた各ゴム組成物を、以下に示す方法により、未加硫状態での貯蔵安定性、加硫後の基本物性(引張強さ、切断時伸び、硬さ)を測定した。その結果を表1に示す。
<貯蔵安定性>
貯蔵安定性は、貯蔵前(ブランク)の最低ムーニー粘度(Vm)およびスコーチタイムt5と、40℃下で一定期間(7日間、14日間、21日間、28日間)保管した後のVmおよびスコーチタイムt5とを、ムーニースコーチ試験により比較して評価した。
Vmは、得られた各ゴム組成物について、JIS K6300−1:2001 に記載の「ムーニー粘度試験」に準じて、ムーニー粘度計(L形ローター)を使用し、予熱時間1分、試験温度125℃の条件で、ローターを回転させた、ムーニー粘度−時間曲線でのムーニー粘度の最低値である。
また、スコーチタイムt5は、Vmより5M上昇する時間を表し、Mはムーニー単位を表す。
更に、下記表1中、「焼け」とは、配合ゴムが貯蔵中または加硫工程以前の加工作業中に初期加硫を起こし、製品の加工を不可能にする現象をいう。
比較した結果、40℃下で28日間貯蔵しても、ゴム組成物のVmが僅かしか増加せず、かつ、スコーチタイムt5は僅かしか短縮しないものを「○(良好)」と評価し、焼けを起こし、ムーニースコーチ試験の測定が不可能であるものを「×(悪い)」と評価した。
<基本物性(引張強さ、切断時伸び、硬さ)>
(1)引張強さ、切断時伸び
得られた各ゴム組成物を148℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、2mm厚の加硫シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251-2004に準拠して行い、引張強さ(TB)[MPa]、および、切断時伸び(EB)[%]を室温にて測定した。
(2)ショアA硬度
上記と同様の各ダンベル状3号形試験片について、JIS K6253-1997の「タイプAデュロメータ硬さ試験」に準じて、ショアA硬度を測定した。
Figure 0004910942
Figure 0004910942
上記表1中の各成分は、以下のものを使用した。
・EPDM1:エスプレン505、ムーニー粘度75ML(1+4)(100℃)、エチリデンノルボーネンタイプ、住友化学社製
・カーボンブラック:SRF級カーボンブラック、旭カーボン社製
・酸化マグネシウム1:キョーワマグ150(比表面積150m2/g)、協和化学工業社製
・酸化マグネシウムブレンド体1:酸化マグネシウム(キョーワマグ150、協和化学工業社製)と、トリステアリン酸ソルビタン脂肪酸エステル(レオドールSP−S30、花王社製)と、パラフィンオイル(Sunpar2280、日本サン石油社製)とを、質量比が70:15:15となるように配合した混合物を用いた。なお、上記表1においては、酸化マグネシウムブレンド体としての質量部を記載している。
・酸化マグネシウムブレンド体2:酸化マグネシウム(キョーワマグ150、協和化学工業社製)と、トリステアリン酸ソルビタン脂肪酸エステル(レオドールSP−S30、花王社製)と、パラフィンオイル(Sunpar2280、日本サン石油社製)とを、質量比が40:30:30となるように配合した混合物を用いた。
・酸化マグネシウムブレンド体3:酸化マグネシウム(キョーワマグ150、協和化学工業社製)と、トリステアリン酸ソルビタン脂肪酸エステル(レオドールSP−S30、花王社製)と、パラフィンオイル(Sunpar2280、日本サン石油社製)とを、質量比が52:42:6となるように配合した混合物を用いた。
・酸化マグネシウムブレンド体4:酸化マグネシウム(キョーワマグ150、協和化学工業社製)と、トリステアリン酸ソルビタン脂肪酸エステル(レオドールSP−S30、花王社製)と、パラフィンオイル(Sunpar2280、日本サン石油社製)とを、質量比が52:6:42となるように配合した混合物を用いた。
・滑剤1:トリステアリン酸ソルビタン脂肪酸エステル(レオドールSP−S30、花王社製)
・オイル1:パラフィンオイル(Sunpar2280、日本サン石油社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製)
・パラフィンオイル:Sunpar2280、日本サン石油社製
・硫黄:粉末イオウ、軽井沢精錬所
・加硫促進剤1:ジベンゾチアジルジスルフィド(サンセラーDM、三新化学工業社製)
・加硫促進剤2:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)(サンセラーCM、三新化学工業社製)
次に、得られた各ゴム組成物からなるゴム外層と、RFL処理液でディップ処理したポリエステル繊維A(1000dtexの3本撚り)からなる補強層とを有するホース状試験片を以下に示すように作製した。
まず、外径34mmのマンドレル上に、上記ポリエステル繊維Aをブレード状に巻き付け、補強層を形成した。
ついで、補強層の上に、実施例1〜3、比較例1〜8で調製した厚さ2.5mmの未加硫のシートを貼り合わせて、加硫した試験片を作製した。
得られた各ホース状試験片について、以下に示す方法により、ゴム外層と補強層との接着性を評価した。その結果を表2に示す。
<接着性>
得られた各ホース状試験片について、剥離スピード50mm/minでゴム外層を剥離したときの接着強度(単位=幅25mm当たりのN)とゴム付き(%、ゴムが剥がれず残留している面積比)を測定した。
この結果、接着強度が50N/25mm以上で、かつ、ゴム付きが50%以上となるものを「○(良好)」と評価し、接着強度が50N/25mm以上、および、ゴム付きが50%以上のいずれか一方のみを満たすものを「△(不良)」と評価し、接着強度が50N/25mm未満で、かつ、ゴム付きが50%未満となるものを「×(悪い)」と評価した。
また、以下に示す方法により、上記で得られた各ゴム組成物を押出成形し、押出し物の外観を評価することで、ホースとしての押出し加工性を評価した。その結果を表2に示す。
<押出し加工性>
押出し加工性は、ASTM D2230-96に準じ、レオメックス(登録商標)104型ラボ用混合押出試験機(HAAKE社製)により、ASTM A法、即ち、いわゆるガーベイダイを用い、シリンダー温度80℃、ダイ温度80℃、ヘッド温度80℃、スクリュー回転数60rpmに設定して押出成形を行い、上記で得られた各ゴム組成物の抽出し物の外観を評価することにより行った。
押出し物の外観は、採点法Bにより評価した。採点法Bは、押出し物の「30°エッジの鋭さと連続性」に関して最高10点、最低1点とし、押出し物の「表面肌の平滑性」に関して最高A、最低Eとするものである。
ここで、30°エッジの鋭さと連続性が8〜10点、かつ、表面肌がAであるものを「○(良好)」と評価し、30°エッジの鋭さと連続性が6〜7点、または、表面肌がBであるものを「△(やや悪)」と評価し、30°エッジの鋭さと連続性が5点以下、または、表面肌がC〜Eであるものを「×(不良)」と評価した。
Figure 0004910942
上記表1および表2に示す結果から、酸化マグネシウムを単体で用いた比較例2や、酸化マグネシウム、滑剤およびオイルを個別に配合した比較例7で調製したゴム組成物は、未加硫時の貯蔵安定性が劣り、押出し加工性にも劣ることが分かった。また、酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムブレンド体を使用しない比較例1、ゴム成分に対する酸化マグネシウムの含有量が2質量部未満である比較例3、および、所定の配合比を満たさない酸化マグネシウムブレンド体2〜4を用いた比較例4〜6で調製したゴム組成物は、いずれも接着性が劣ることが分かった。また、ゴム成分に対する酸化マグネシウムの含有量が20質量部超である比較例8は、押出し加工性に劣ることが分かった。
これに対し、酸化マグネシウム、滑剤およびオイルを所定の割合で配合した酸化マグネシウムブレンド体を混練して調整した実施例1〜3のゴム組成物は、未加硫時の貯蔵安定性に優れ、また、繊維材料との接着性および押出し加工性に優れるホースを得ることができるゴム組成物であることが分かった。
図1は、本発明のホースの一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 ホース
2 ゴム内層
3 補強層
4 ゴム外層

Claims (5)

  1. エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムを50〜100質量%含有するゴム成分と、酸化マグネシウムブレンド体とを混合して得られるゴム組成物であって、
    前記酸化マグネシウムブレンド体が、BET法により測定した比表面積が130m2/g以上である酸化マグネシウム、滑剤およびオイルの混合物であり、
    前記酸化マグネシウムブレンド体における、前記酸化マグネシウム、前記滑剤および前記オイルの含有割合が、それぞれ、50〜90質量%、5〜40質量%および5〜40質量%であり、
    前記酸化マグネシウムの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部であるゴム組成物。
  2. 請求項1に記載のゴム組成物と、繊維材料とを接着させて得られる繊維ゴム複合体。
  3. 請求項1に記載のゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接する補強層とを有するホース。
  4. 前記補強層が、繊維材料を用いて形成される請求項3に記載のホース。
  5. 前記繊維材料が、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維である請求項4に記載のホース。
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