JP4910291B2 - 車両用ショックアブソーバ - Google Patents

車両用ショックアブソーバ Download PDF

Info

Publication number
JP4910291B2
JP4910291B2 JP2005031768A JP2005031768A JP4910291B2 JP 4910291 B2 JP4910291 B2 JP 4910291B2 JP 2005031768 A JP2005031768 A JP 2005031768A JP 2005031768 A JP2005031768 A JP 2005031768A JP 4910291 B2 JP4910291 B2 JP 4910291B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spool
shock absorber
damping force
vehicle
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005031768A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006052831A (ja
Inventor
宏信 菊池
憲司 相良
徹 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2005031768A priority Critical patent/JP4910291B2/ja
Publication of JP2006052831A publication Critical patent/JP2006052831A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4910291B2 publication Critical patent/JP4910291B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Fluid-Damping Devices (AREA)

Description

本発明は、車両のサスペンションに使用される車両用ショックアブソーバに関する。
従来の車両用ショックアブソーバとして、特許文献1に開示されているものがある。図24に示すように、この特許文献1に開示の車両用ショックアブソーバ201は、内筒202及び外筒203からなるシリンダ204と、内筒202内に挿入されたピストン205と、ピストン205に下端が連結されて内筒202内を上下に延びる中空のピストンロッド206と、ピストンロッド206の上端に取り付けられた共振部207とを備える。
シリンダ204には、内筒202の底部にベースバルブ208が設けられているとともに、下端の目玉部209が図示しない車輪側に取り付けられており、内筒202内には作動油が充填されている。ピストン205には、例えば特許文献2に開示のショックアブソーバにおける減衰力発生部と同等構造の減衰力発生部210が設けられている。
共振部207は、ピストンロッド206の上端に固定されて内部に作動油が充填されたケース211と、ケース211内に配置された可動質量体(可動マス)212と、可動質量体212の上下にそれぞれ設置されて、可動質量体212を弾性的に上下方向へ浮動支持するバネ213と、可動質量体212の下面へ一体的に設けられてピストンロッド206の中空部内を略下方へ延び、減衰力発生部210にまで達する制御部214とを備えている。
また、共振部207では、上下のバネ213により上下方向に支持された可動質量体212の略上下共振周波数がサスペンションのバネ上質量体、すなわち車体における上下共振周波数の近傍となるように設定されている。
ケース211の内周面には、図示しない複数の油路が一定間隔をおいて対称的に形成され、この各油路によりケース211の上室216と下室217とが連通している。そして、ケース211の頂部がインシュレータゴム219を介して車体側220に取り付けられている。可動質量体212は、このケース211内を上下方向に摺動自在とされている。
このような構成からなる従来のショックアブソーバ201にあっては、(1)車体の上下方向静止時(非共振時)には、車体の下降方向(ショックアブソーバ201の収縮方向)、及び、車体の上昇方向(ショックアブソーバ201の伸長方向)のいずれにおいても、車体の上下方向振動に対する減衰力発生部210の減衰力は制御部214により最も小さく保たれ、(2)車体の下降時には、制御部214が減衰力発生部210内へ深く挿入される結果、車体の下降方向(ショックアブソーバ201の収縮方向)において、車体の下方変位に対する減衰力発生部210の減衰力が制御部214により最も大きくされ、他方、車体の上昇方向(ショックアブソーバ1の伸長方向)において、車体の上方変位に対する減衰力発生部210の減衰力は制御部214により比較的小さく保たれ、(3)車体の上昇時には、制御部214が減衰力発生部210内へ浅く挿入されていることとなる結果、車体の上昇方向(ショックアブソーバ201の伸長方向)において、車体の上方変位に対する減衰力発生部210の減衰力が制御部214により最も大きくされ、他方、車体の下降方向(ショックアブソーバ201の収縮方向)において、車体の下方変位に対する減衰力発生部210の減衰力は制御部214により比較的小さく保たれる。
特開2002−5219号公報 特開平10−318321号公報
記従来のショックアブソーバ201は、バネ上振動(例えば1〜1.5kHzの振動)に着目した構造になっているので、旋回時に、横加速により発生するロールに対しては減衰力を制御することができなかった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、旋回時に、横加速により発生するロールに対して減衰力を制御できる車両用ショックアブソーバの提供を目的とする。
請求項1の車両用ショックアブソーバは、車体側部材に連結されるピストンロッドと、車輪側部材に連結され、内筒及び外筒からなるシリンダと、前記内筒を第一室及び第二室に区画するように当該内筒に内装され、かつ前記シリンダの一端側から挿入されたピストンロッドに連結されたピストンと、前記第二室と連通するリザーバ室と、前記第二室とリザーバ室との間で作動液を流動させる第一バルブと、前記ピストンに設けられ、前記第一室と、前記第二室との間で作動液を流動させる第二バルブとを備えた車両用ショックアブソーバである。
この車両用ショックアブソーバは、車両に発生する加速により移動する質量部材と、前記第一室と第二室を連通させる第一流路と、前記第二室とリザーバ室を連通させる第二流路と、前記第一流路及び第二流路を開閉する開閉弁とを備え、連結機構により、前記開閉弁と質量部材とを連結し、前記加速による質量部材の移動に連動させて前記開閉弁の開閉状態を切り換える。
例えば、車両に横加速が発生していない場合、開閉弁が開弁状態になることで、前記第1室、第2室及び内筒及び外筒の隙間が連通状態になり、減衰力は小さくなる。一方、車両に横加速が発生している場合、開閉弁が閉弁状態になることで、第一室と第二室の連通、及び、第二室とリザーバ室の連通が断たれた状態になり、減衰力は大きくなる。このように車両用ショックアブソーバの減衰力の制御は横加速度感応型の制御となる。
本発明によれば、質量部材、流路、スプール弁のような開閉弁、連結機構といった簡単な構成で車両用ショックアブソーバの減衰力を横加速に応じて制御できる。
すなわち、車両用ショックアブソーバは、車両に横加速が発生していない場合、減衰力が小さく、車両に横加速が発生している場合、減衰力が大きくなるようにすることができる。これにより、直進走行時に乗心地性能を損なうことなく、車両旋回時にロール等を減衰して車両安定性を向上させることができるようになる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
実施形態は、本発明を適用した車両用サスペンションのショックアブソーバである。図1及び図2は、そのショックアブソーバ1の構成を示す。図1は、直立したショックアブソーバ1を車両前後方向からみた図であり、図2は、直立したショックアブソーバ1を車両幅方向からみた図である。
ショックアブソーバ1は、内筒2及び外筒3を備えたシリンダ4と、内筒2内にその軸方向へ摺動自在に挿入されたピストンバルブ5と、ピストンバルブ5に下端が連結されて内筒2内を略上下に延びるピストンロッド6と、当該ショックアブソーバ1における減衰力を制御する減衰力制御部30とを備えている。
シリンダ4には、その底部に内筒2及び外筒3を閉塞するようにベースバルブ8が設けられている。そして、シリンダ4において、内筒2と外筒3との間がリザーバ室7をなしており、このリザーバ室7内及び内筒2内に作動油が充填されている。また、シリンダ4の下端の目玉部9が図示しない車輪側に取り付けられている。
ピストンバルブ5は、シリンダ4(具体的には内筒2)の内部を上側の第1液室10と下側の第2液室11とに区画している。このピストンバルブ5には減衰力発生部が設けられている。
減衰力発生部は、ピストンバルブ5が内筒2内を移動する際に第1液室10内の圧力と第2液室11内の圧力との差圧が所定の圧力より大きくなった場合に開弁し、減衰力を変化させるような構造になっている。
このシリンダ4において、ピストンバルブ5が内筒2内を摺動する際にピストンバルブ5を介して作動油が流動するとともに、ベースバルブ8を介して作動油が内筒2内とリザーバ室7内とを流動するようになっている。ショックアブソーバ1は、これら流動により所定の減衰力を発生する。
また、第1液室10及び第2液室11、及びシリンダ4のリザーバ室7はそれぞれ、後述するように、減衰力制御部30の各バイパス路34,35,36を介して、当該減衰力制御部30と連通している。
ピストンロッド6は、その上端がインシュレータゴム12を介して車体側13に取り付けられている。
図3及び図4は、減衰力制御部30の詳細な構成を示す。図3及び図4に示す減衰力制御部30の構成は上方向(図1及び図2で矢示A−Aの方向)からみた構成である。
図3及び図4に示すように、減衰力制御部30は、ケース31内に、バネ32、減衰器33、バイパス路連通オン及びオフ部40及びスプール操作部50を備えている。
バイパス路連通オン及びオフ部40は、車両前後方向に延びて形成されている筒形状のスプール収納部41と、そのスプール収納部41内に収納されているほぼ円柱形状のスプール(スプールバルブ)42とを備えている。
スプール収納部41には、所定の位置に第1乃至第3バイパス路34,35,36が接続されている。第1バイパス路34は、第1液室10に接続されており、第2バイパス路35は、第2液室11に接続されており、第3バイパス路36は、リザーバ室7に接続されている。この実施形態では、第1バイパス路34及び第3バイパス路36が、スプール収納部41において車両前後方向で並ぶ部位に接続されており、第2バイパス路35が、スプール収納部41において、それら第1バイパス路34及び第3バイパス路36が接続されている部位とは反対側の部位に接続されている。
このような構造により、スプール収納部41は、第1乃至第3バイパス路34,35,36を介して第1及び第2液室10,11及びリザーバ室7と連通している。また、スプール収納部41及び第1乃至第3バイパス路34,35,36は、それら第1及び第2液室10,11及びリザーバ室7と同様に、作動油で満たされている。
スプール42には、模式的に示す図5及び図6に示すように、その外周面に油路43が形成されている。油路43は、前記図3及び図4に示すように、スプール42の一端側に形成されている。この油路43は、第1バイパス路34に一端が連通される部位43aと、第2バイパス路35に一端が連通される部位43bと、第1バイパス路36に一端が連通される部位43cとから構成されている。
そして、図3に示すように、スプール収納部41の車両前後方向における後述するバネ32及び減衰器33の配置側の側面(以下、バネ配置側側面という。)にスプール42の一端面が当接した場合、図5に明示するように、油路43が、スプール収納部41に接続されている各バイパス路34,35,36と連通するようになる。
また、図4に示すように、スプール収納部41の車両前後方向における後述するスプール操作部50の配置側の側面(以下、スプール操作部配置側側面という。)にスプール42の他端面が当接した場合、図6に明示するように、油路43と各バイパス路34,35,36との連通が断たれる。
すなわち、スプール収納部41へのバイパス路34,35,36の接続位置や油路43の形状は、そのようにスプール収納部41内でスプール42が所定位置に移動された場合に、油路43と各バイパス路34,35,36とが連通状態になり、又はその連通が断たれた状態になるように設計されている。
また、スプール42には、油路43が形成されている側の端面に、車両前後方向に延びて第1ロッド45が形成されている。さらに、スプール42には、他端側に当該スプール42に対して車両前後方向にいわゆる遊びをもって連結棒である第2ロッド46が取り付けられている。ここで、第1及び第2ロッド45,46の端部が、スプール収納部41の車両前後方向における両側の各側面から当該スプール収納部41内に挿通されて、スプール42に取り付けられている。
第1ロッド45の他端には、バネ32及びこのバネ32に併設して減衰器33が取り付けられている。バネ32は、当該バネ32側に第1ロッド45、すなわちスプール42を付勢するためのものである。これにより、スプール42は、バネ32による付勢力が作用する場合には、減衰器33により所定の減衰力が作用して、移動するようになる。
第2ロッド46は、スプール42の他端寄りで内部に形成されている空部44により、当該スプール42に対して車両前後方向に遊びをもって取り付けられている。空部44は、スプール42の移動方向に延びた円柱形状をなしており、スプール42の端面で開口されている。
第2ロッド46は、本体部46aがスプール42端面の前記開口部を介して空部44内に挿通されており、その挿通された当該本体部46aの端部に一体にピストン部46aが形成されている。ここで、ピストン部46aは、前記空部44内で車両前後方向に移動自在とされている。そして、第2ロッド46は、本体部46aの他端がスプール操作部50に接続されている。
スプール操作部50は、棒状の第1及び第2リンク部材51,52によりいわゆるコンロッド機構として構成されている。すなわち、第1リンク部材51と第2リンク部材52とは一端で互いに回転自在になるように連結されるとともに、第1リンク部材51の他端が第2ロッド46の本体部46aの他端に回転自在に連結され、さらに第2リンク部材52の他端が減衰力制御部30の不動部、例えばケース31に設けたピン37に、回転自在に連結されている。そして、スプール操作部50は、第1リンク部材51と第2リンク部材52との連結部にマス部材53を備えている。
なお、第1リンク部材51と第2ロッド46との連結部は、図示しないが、例えば拘束部材により、車両前後方向にのみ移動するように拘束されている。
このように構成されているスプール操作部50は、第1及び第2リンク部材51,52によるリンク構造によりマス部材53が車両幅方向に移動することができるようになる。すなわち、図3から図4への変化として示されるように、第1リンク部材51と第2リンク部材52とが屈曲した位置関係になることで、マス部材53が車両幅方向に移動することができるようになる。そして、このような第1リンク部材51と第2リンク部材52との動作に連動して、当該第1リンク部材51の他端に連結されている第2ロッド46が車両前後方向で移動し、これにより、スプール42の空部44内で第2ロッド46のピストン部46bが車両前後方向で移動するようになる。
ここで、図3に示すように、スプール操作部50の第1リンク部材51と第2リンク部材52とがリンク機構として伸びきった状態で、ピストン部46aの端面は、空部44の車両前後方向におけるバネ32及び減衰器33の配置側の側面(以下、バネ配置側空部側面という。)に当接しないような構造になっている。すなわち、図7に示すように、スプール収納部41のスプール操作部配置側側面にスプール42の他端面が当接した状態において、第1リンク部材51と第2リンク部材52とがリンク機構として伸びきった状態になっても、ピストン部46aが空部44のバネ配置側空部側面に当接しないように、空部44の車両前後方向の長さ或いは第2ロッド46の長さ等が決定されている。
以上のように減衰力制御部30が構成されている。
次にショックアブソーバ1の動作及び減衰力特性を説明する。
(1)旋回走行時、直進走行時
図8は、減衰力制御部30の構成、特にスプール42及びスプール操作部50の構成を示す。なお、図8において、上側を車両左側と仮定し、下側を車両右側と仮定する。また、図9は、車両の走行状態を示す。
(1−1)右旋回走行時又は左旋回走行時
図9(a)に示すように車両100が右旋回をすると車両に右方向への横加速度が発生し、これにより、マス部材53に左方向(図9に示す矢示P方向)の外力が働く。これにより、図8(a)に示すように、スプール操作部50の第1リンク部材51と第2リンク部材52とが屈曲した状態になり、第2ロッド46が当該スプール操作部50側に引き寄せられる。これにより、第2ロッド46のピストン部46bの外周部(凸形状部)が空部44の車両前後方向におけるスプール操作部50の配置側の側面(以下、スプール操作部配置側空部側面という。)、すなわち第2ロッド46が挿通されるスプール42の開口部の外周部54と当接し、スプール42がスプール収納部41のスプール操作部配置側側面に当接するまで移動する。なお、このとき、スプール42は、バネ32の付勢力及び減衰器33の減衰力に逆らいスプール収納部41内を移動することになる。
これにより、前記図4及び図6に示したように、油路43と各バイパス路34,35,36との連通が断たれる。
また、車両が左旋回しても同様に動作する。すなわち、車両が左旋回をすると車両に左方向への横加速度が発生し、これにより、マス部材53には右方向の外力が働く。これにより、図8(c)に示すように、スプール操作部50の第1リンク部材51と第2リンク部材52とが屈曲した状態になり、第2ロッド46が当該スプール操作部50側に引き寄せられる。これにより、第2ロッド46のピストン部46bがスプール42の空部44のスプール操作部配置側空部側面と当接し、スプール42がスプール収納部41のスプール操作部配置側側面に当接するまで移動する。これにより、前記図4及び図6に示したように、油路43と各バイパス路34,35,36との連通が断たれる。
これにより、シリンダ4の第1液室10と第2液室11とリザーバ室7とは、バイパス路34,35,36で遮断された状態になる。これにより、ショックアブソーバ1の伸縮時に、ピストンバルブ5の減衰力発生部及びベースバルブ7が作動してショックアブソーバ1に減衰力が発生する。
具体的には、ショックアブソーバ1の収縮方向、すなわちピストンロッド6、又はピストンバルブ5が下方向に移動する場合には、第1液室10内の圧力と第2液室11内の圧力との圧力差により、第2液室11から第1液室10にピストンバルブ5の減衰力発生部を介して作動油が流動することによる減衰力がショックアブソーバ1に発生する。
また、ショックアブソーバ1の伸張方向、すなわちピストンロッド6、又はピストンバルブ5が上方向に移動する場合には、主に、第1液室10内の圧力と第2液室11内の圧力との圧力差により、第1液室10から第2液室11にピストンバルブ5の減衰力発生部を介して作動油が流動することによる減衰力がショックアブソーバ1に発生する。
さらに、第2液室11内の圧力とリザーバ室7内の圧力との圧力差により、第2液室11からリザーバ室7にベースバルブ7を介して作動油が流動することによる減衰力がショックアブソーバ1に発生する。
(1−2)直進走行時
図9(b)に示すように車両が直進走行をすると、マス部材53には車両幅方向の外力が働かなくなるので、図8(b)に示すように、スプール操作部50の第1リンク部材51と第2リンク部材52とがリンク機構として伸びきった状態になる。このとき、スプール42は、バネ32による付勢力によりスプール収納部41のバネ配置側側面に当接された状態になる。これにより、前記図3及び図5に示したように、油路43と各バイパス路34,35,36とが連通した状態になる。
これにより、シリンダ4の第1液室10と第2液室11とリザーバ室7とは、バイパス路34,35,36で連通した状態になる。これにより、ショックアブソーバ1には、その伸縮時に減衰力が発生する。
具体的には、ショックアブソーバ1の収縮方向、すなわちピストンロッド6、又はピストンバルブ5が下方向に移動する場合には、第2バイパス路35、減衰力制御部30のスプール42の油路43及び第1バイパス路34を介して、第2液室11の作動油が第1液室10に流動するようになる。
また、ショックアブソーバ1の伸張方向、すなわちピストンロッド6、又はピストンバルブ5が上方向に移動する場合には、第1バイパス路34、減衰力制御部30のスプール42の油路43及び第2バイパス路35を介して、第1液室10の作動油が第2液室11に流動するようになる。
このような流動によりショックアブソーバ1に減衰力が発生する。しかし、その減衰力は、前記右旋回走行時又は左旋回走行時にショックアブソーバ1に発生する減衰力と比べ小さいものとなる。このように、ショックアブソーバ1の減衰力の制御は、横加速度感応型の制御となり、旋回走行時の減衰力が、直進走行時の減衰力よりも大きくなる。
(2)その他の特性
(2−1)種々の特性
図10は、旋回走行時と直進走行時のショックアブソーバ1の減衰力をピストンバルブ5の速度をパラメータとして示す。この図10に示すように、ショックアブソーバ1の減衰力は、直進走行時のものより、旋回走行時のものの方が大きくなる。なお、ショックアブソーバ1の減衰力は、ピストンバルブ5の速度が大きいほど、大きくなる。また、ショックアブソーバ1の減衰力は、絶対値で、伸張時のものより、収縮時のものの方が大きくなる。
また、図11は、横加速度とスプール収納部41内におけるスプール42の移動速度との関係を示す。この図11に示すように、横加速度が大きくなるほど、スプール収納部41内におけるスプール42の移動速度は大きくなる。これにより、例えば急転舵等により横加速度が大きい場合、スプール42の移動速度が早くなり、この結果、ショックアブソーバ1の減衰力は、立ち上がりを早くして、増加するようになる。また、例えば切り増し等により横加速度が小さい場合、スプール42の移動速度が遅くなり、この結果、ショックアブソーバ1の減衰力は、緩やかに増加するようになる。
また、図12は、スプール収納部41内におけるスプール42の位置と、ショックアブソーバ1の減衰力との関係を示す。
前述したように、スプール収納部41内でスプール42が移動することで、油路43と各バイパス路34,35,36とが連通したり、その連通が断たれたりする。このときの油路43の機能を、スプール収納部41内でスプール42が移動することで、その開度が変化するオリフィス弁の機能と等価と考えることができる。
この図12に示すように、スプール収納部41内でスプール42がバネ32又は減衰器33の配置側に移動することで、オリフィス開度が大きくなり(全開側になり)、これにより、作動油が油路43に流入しやすくなり、又は油路43から作動油が流出しやすくなり、この結果、ショックアブソーバ1の減衰力は小さい値となる。一方、スプール収納部41内でスプール42がスプール操作部50の配置側に移動することで、オリフィス開度が小さくなり(全閉側になり)、これにより、作動油が油路43に流入し難くなり、又は油路43から作動油が流出し難くなり、この結果、ショックアブソーバ1の減衰力は大きい値になる。
このように、スプール収納部41内におけるスプール42の位置に対応してショックアブソーバ1の減衰力が変化するようになる。
(2−2)連続するカーブを走行する時のショックアブソーバ1の減衰力の特性
図13(a)に示すように、車両100が連続するカーブを走行している場合のショックアブソーバ1の減衰力の特性を説明する。
車両100が連続するカーブを走行している場合、図13(b)に示すように、その車両挙動に応じて車両100に横加速度が発生する。そして、このとき、減衰力制御部30のマス部材53には、旋回方向とは反対方向(図13(a)に示す矢示P方向)の外力が働く。
前述したように、スプール42に車両前後方向にいわゆる遊びをもって第2ロッド46が取り付けられている。これにより、図7に示したように、スプール収納部41のスプール操作部配置側側面にスプール42の他端面が当接した状態において、第1リンク部材51と第2リンク部材52とがリンク機構として伸びきった状態でも、ピストン部46aが空部44のバネ配置側空部側面に当たることがない。
このようなことから、車両100が旋回することで、図8(a)又は(c)に示したようにスプール42がスプール収納部41のスプール操作部配置側側面に当接している状態において、車両が直進走行に移行したことで、マス部材53に車両幅方向の外力が働かなくなり、図8(b)に示したように、スプール操作部50の第1リンク部材51と第2リンク部材52とがリンク機構として伸びきるような状態になる際にも、第2ロッド46がスプール42に先行して車両前後方向で移動し、当該第2ロッド46のピストン部46aが空部44内でほぼ中央部位に位置される。これにより、スプール42は、バネ32の弾性力及び減衰器33の減衰力で設定される速度、或いはバネ32の弾性力及び減衰器33の減衰力に依存した速度で、スプール収納部41内を移動する。
例えば、このようにスプール42はバネ32の弾性力及び減衰器33の減衰力に依存してスプール収納部41内を移動するが、その移動の最中に、第2ロッド46がスプール操作部50側に移動を開始した場合、すなわち例えば、再び車両が旋回走行を開始した場合、第2ロッド46のピストン部46bが空部44のスプール操作部配置側空部側面に当接するので、スプール42はその移動途中から反対方向に移動するようになる。すなわち、図12を用いて説明すれば、車両が直進走行から再び旋回走行を開始した場合には、全開になる前に、再び全閉方向にオリフィス開度が変化するようになるので、ショックアブソーバ1の減衰力は極小値に達する前に、減少方向から増加方向に転じるようになる。
以上のようなことから、車両前後方向にいわゆる遊びをもってスプール42に第2ロッド46を取り付けることで、車両100が連続するカーブを走行している場合でも、図13(c)で実線として示すように、ショックアブソーバ1の減衰力は極小値に達することなく、大きい値の所定値近傍を変動するようになる。
言い換えれば、車両前後方向にいわゆる遊びをもたせることなく、スプール42に第2ロッド46をいわゆる直付けしたと仮定すれば、スプール42は、常にマス部材53の移動に連動して移動するようになる。この場合、図13(c)に一点鎖線で示すように、ショックアブソーバ1の減衰力は、車両の旋回走行と直線走行との切換えに対応して、極小値と極大値との間で変動するようになる。
なお、図13(c)に点線で示すように、減衰力制御部30を備えないショックアブソーバ、すなわち従来のショックアブソーバの場合、旋回の有無に関係なく減衰力は一定になる。
(2−3)直進走行から旋回走行に切り替わる時のショックアブソーバ1の減衰力の特性
車両の走行状態が直進走行(例えば図9(b)の走行状態)から旋回走行(例えば図9(a)の走行状態)に切り替わる時のショックアブソーバ1の動作を説明する。
車両が直進走行している場合、マス部材53に車両幅方向の外力が働かないので、図8(b)に示したように、ピストン部46aが空部44内で例えば中央に位置される。そして、このような状態から、車両が旋回走行を開始すると、第2ロッド46のピストン部46bが空部44内を移動開始する。そして、ピストン部46bが空部44のスプール操作部配置側空部側面に当接して、これにより、スプール42が第2ロッド46とともに、車両前後方向のスプール操作部50の配置側に移動するようになる。
このように車両の走行状態が直進走行から旋回走行に切り替わる時には、車両に横加速度が生じていても、すなわちマス部材53に車両幅方向の外力が働いても、直ぐにはスプール42は移動しないのである。すなわち、横加速度とショックアブソーバ1の減衰力比との関係を示す図14を用いて説明すると、車両の走行状態が直進走行から旋回走行に切り替わり、車両に横加速度が発生し始めても、立ち上がり遅れ(不感帯)をもって、ショックアブソーバ1の減衰力比が大きくなる。ここで、ショックアブソーバ1の減衰力比は、横加速度が発生した結果、スプール42が移動したことで発生するショックアブソーバ1の減衰力を、直進走行時のショックアブソーバ1の減衰力で除算した値である。
次に実施形態における効果を説明する。
前述したように、ショックアブソーバ1は、バイパス路34,35,36と、スプール42を備えたバイパス路連通オン及びオフ部40と、コンロッド機構として構成されているスプール操作部50とにより、減衰力の制御を行っている。これにより、ショックアブソーバ1は、簡単な構成による減衰力の制御を実現している。この結果、従来のようにピストンロッドと車体との間に共振部を設けなくて済むので、車体側のデザイン、例えばエンジンルームの形状の自由度を高くでき、さらにはサスペンションストロークも長くすることができる。すなわち例えば、アッパーマウント周りの部品特性(フード高さ、アッパーマウント特性又はバンパーラバー特性等)に影響を与えることなく、車両にショックアブソーバ1を取り付けることができる。
また、前述したように、ショックアブソーバ1は、車両に横加速度が発生していない場合、減衰力が小さく、車両に横加速度が発生していない場合、減衰力が大きくなる。これにより、直進走行時に乗心地性能を損なうことなく、車両旋回時にロール等を減衰して車両安定性を向上させることができる。
また、前述したように、第1ロッド45の端部に、バネ32及びこのバネ32に併設して減衰器33を取り付けている。これにより、スプール42は、バネ32側、すなわち開弁状態にする位置に付勢力が与えられるとともに、その移動の際に減衰力が与えられる。これにより、スプール42が移動方向で振動してしまうことを防止できる。
また、前述したように、スプール42に車両前後方向にいわゆる遊びをもって第2ロッド46を取り付けている。これにより、マス部材53が車両に発生する横加速度により移動することがあっても、直ぐにはスプール42が移動しないので、この結果、減衰力制御部30によるシリンダ4の第1液室10と第2液室11とリザーバ室7との連通状態が頻繁に切り換わることがなく、すなわちショックアブソーバ1の減衰力が頻繁に切り換わることがない。
特に、車両の走行状態が旋回走行から直進走行に切り換わる時には、マス部材53の移動に連動してスプール42が移動することはなく、バネ32及び減衰器33による作用の下、スプール42が移動するようになる。これにより、前述したように、車両が連続するカーブを走行している場合でも、ショックアブソーバ1の減衰力は極小値に達することなく、大きい値の所定値近傍を変動するようになる。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、前記実施形態として実現されることに限定されるものではない。
すなわち、前記実施形態では、スプール41又は第2ロッド46を操作するスプール操作部50を、棒状の第1及び第2リンク部材51,52によるいわゆるコンロッド機構として構成した場合を説明した。しかし、これに限定されるものではない。
例えば、図15に示すように、スプール操作部60を、クランク部61と、クランク部61と第2ロッド46とを連結する連結部材62と、クランク部61に設けたマス部材63とから構成する。ここで、クランク部61は、減衰力制御部30の不動部、例えばケース31に、回転自在に支持されている。そして、クランク部61において、連結部材62の取り付け位置に対向するように、マス部材63が設けられている。
このように構成されているスプール操作部60は、マス部材63が車両幅方向に移動すると、クランク部61の回転運動し、その回転運動が連結部材62を介して、当該連結部材62に連結されている第2ロッド46の直進運動に変換される。これにより、マス部材63の移動に連動して、スプール収納部41内で第2ロッド46のピストン部46bが車両前後方向で移動するようになる。
このように構成することで、右旋回走行時又は左旋回走行時にはショックアブソーバ1は次のように動作する。
右旋回走行時又は左旋回走行時には、図15(a)又は(c)に示すように、マス部材63に車両幅方向の外力が働き、クランク部61が回転運動し、その回転運動に連動して、第2ロッド46が当該スプール操作部60側に引き寄せられる。これにより、第2ロッド46のピストン部46bが空部44のスプール操作部配置側空部側面と当接し、スプール42がスプール収納部41のスプール操作部配置側側面に当接するまで移動する。
これにより、前記実施形態と同様に、前記図4及び図6に示したように、油路43と各バイパス路34,35,36との連通が断たれる。これにより、シリンダ4の第1液室10と第2液室11とリザーバ室7とは、バイパス路34,35,36で遮断された状態になる。この結果、ショックアブソーバ1の伸縮時に、ピストンバルブ5の減衰力発生部及びベースバルブ7が作動してショックアブソーバ1に減衰力が発生する。
一方、直進走行時には、図15(b)に示すように、マス部材63には車両幅方向への外力が働かなくなり、この結果、スプール42は、バネ32による付勢力によりスプール収納部41のバネ配置側側面に当接された状態になる。これにより、前述の実施形態と同様に、前記図3及び図5に示したように、油路43と各バイパス路34,35,36とが連通した状態になる。この結果、シリンダ4の第1液室10と第2液室11とリザーバ室7とは、バイパス路34,35,36で連通した状態になる。これにより、ショックアブソーバ1には、その伸縮時に減衰力が発生する。このとき発生するショックアブソーバ1の減衰力は、前記右旋回走行時又は左旋回走行時にショックアブソーバ1に発生する減衰力と比べ小さいものとなる。
なお、参考例として、図16に示すように、バイパス路連通オン及びオフ部40において、油路43と各バイパス路34,35,36との連通状態の切り換えを、スプール(スプールバルブ)42に換えてロータリバルブ47で行うようにすることも可能である。ロータリバルブ47の例えば外周面に所定形状の油路が形成されており、ロータリバルブ47が回転することで、当該油路と各バイパス路34,35,36との連通状態が切り換わるようになる。そして、このような構成に対応して、ロータリバルブ47を回転操作するロータリバルブ操作部70を備える。
ロータリバルブ操作部70は、マス部材71と、このマス部材71とロータリバルブ47の外周面とを連結する連結部材72とによるいわゆる振り子構造をなすリンク機構として構成する。そして、直進走行時にマス部材71が所定位置、ここでは最下位置になるように、当該マス部材71、すなわちロータリバルブ47に付勢力を与えるバネ73を備えている。バネ73は、一端がマス部材71に取り付けられ、他端が減衰力制御部30の不動部、例えばケース31に、固定されている。
このように構成することで、右旋回走行時又は左旋回走行時にはショックアブソーバ1は次のように動作する。
右旋回走行時又は左旋回走行時には、図16に点線として示すように、マス部材71に車両幅方向に外力が働くと、このマス部材71とともに、ロータリバルブ47が回転する。これにより、油路と各バイパス路34,35,36との連通が断たれる。これにより、シリンダ4の第1液室10と第2液室11とリザーバ室7とは、バイパス路34,35,36で遮断された状態になる。この結果、ショックアブソーバ1の伸縮時に、ピストンバルブ5の減衰力発生部及びベースバルブ7が作動してショックアブソーバ1に減衰力が発生する。
一方、直進走行時には、図16に実線として示すように、マス部材71には車両幅方向の外力が働かなくなるのと、バネ73の付勢力により、ロータリバルブ47が回転方向で所定位置になり、油路と各バイパス路34,35,36とが連通した状態になる。この結果、シリンダ4の第1液室10と第2液室11とリザーバ室7とは、バイパス路34,35,36で連通した状態になる。これにより、ショックアブソーバ1には、その伸縮時に減衰力が発生する。このとき発生するショックアブソーバ1の減衰力は、前記右旋回走行時又は左旋回走行時にショックアブソーバ1に発生する減衰力と比べ小さいものとなる。
なお、前述の実施形態の説明において、マス部材53は、車両に発生する横加速度により移動する質量部材を実現しており、バイパス路34,35,36は、第1室、第2室及び内筒及び外筒の隙間(リザーバ室)を連通させる流路を実現しており、スプール(スプール弁)42は、前記流路を開閉する開閉弁を実現しており、スプール操作部50及び第2ロッド46は、前記開閉弁と質量部材とを連結し、前記横加速度による質量部材の移動に連動させて前記開閉弁を開弁状態から閉弁状態にする連結機構を実現している。
次に本発明の参考実施形態を説明する。
この参考実施形態も、車両用サスペンションのショックアブソーバである。図17は、直立したショックアブソーバ1を車両幅方向からみた図である。なお、この参考実施形態におけるショックアブソーバ1を車両前後方向からみた図は前記図1と同様である。
また、図18及び図19は、減衰力制御部30の詳細な構成を示す。図18に示す減衰力制御部30の構成は、車両幅方向からみた構成であり、図19に示す減衰力制御部30の構成は下方向(図17で矢示B−Bの方向)からみた構成である。
この図17乃至図19に示すように、減衰力制御部30は、ケース31内に、バネ32、減衰器33、バイパス路連通オン及びオフ部110及びスプール操作部130を備えている。そして、この図17乃至図19に示すように、この参考実施形態のショックアブソーバ1の構造は、前述の実施形態のショックアブソーバ1の構造と比較すると、特に減衰力制御部30において、バイパス路104,105,106、バイパス路連通オン及びオフ部110及びスプール操作部130の部分が異なっている。
バイパス路連通オン及びオフ部110は、前述の実施形態と同様に、車両前後方向に延びて形成されている筒形状のスプール収納部111と、そのスプール収納部111内に収納されているほぼ円柱形状のスプール(スプールバルブ)121とを備えている。
そして、参考実施形態では、次のように、バイパス路104,105,106の形状及びそのバイパス路104,105,106に対応してスプール121に形成される油路の形状が異なるものとなっている。図20は、それら形状の詳細を示す。
スプール収納部111には、当該スプール収納部111の周壁(シリンダ部)112内に、バイパス路(以下、第1及び第2周壁内バイパス路という。)113,114が形成されており、スプール収納部111において、この第1周壁内バイパス路113に第1バイパス路104が接続され、第2周壁内バイパス路114に2つの第2及び第3バイパス路105,106が接続されている。
ここで、前述の実施形態と同様に、第1バイパス路104は、第1液室10に接続されており、第2バイパス路105は、第2液室11に接続されており、第3バイパス路106は、リザーバ室7に接続されている。そして、第1及び第2バイパス路104,105が、主に第1液室10と第2液室11とを連通させるための流路をなし、第2及びバイパス路105,106が、第2液室11とリザーバ室7とを連通させるための流路をなす。
また、第1周壁内バイパス路113と第2周壁内バイパス路114とは、スプール収納部111の周壁において反対位置に、略同形状とされて形成されている。すなわち、第1周壁内バイパス路113は、第1バイパス路104との接続部の直後に分岐して、一の分岐路が車両前後方向に延びており、各分岐路の端部がスプール収納部111内に連通している。そして、この第1周壁内バイパス路113と同様に、第2周壁内バイパス路114も、第2及び第3バイパス路105,106との接続部の直後に分岐して、一の分岐路が車両前後方向に延びており、各分岐路の端部がスプール収納部111内に連通している。
このような構造により、スプール収納部111は、スプール収納部111の周壁112に形成されている第1及び第2周壁内バイパス路113,114及び第1乃至第3バイパス路104,105,106を介して第1及び第2液室10,11及びリザーバ室7と連通している。
ここで、特に、第1周壁内バイパス路113と第2周壁内バイパス路114とでは、車両前後方向においてバネ32及び減衰器33側に位置される分岐路(特にスプール収納部111との連通部113a,114a)で径が異なっており、第2周壁内バイパス路114の方(114a)が大径になっている。なお、車両前後方向においてスプール操作部130側に位置される分岐部(特にスプール収納部111との連通部113b,114b)は同径になっている。
一方、スプール121内には、図20に示すように、第1及び第2油路122,123が形成されている。第1油路122は、スプール121内でバネ32及び減衰器33の配置側に形成されており、第2油路123は、スプール121内でスプール操作部130側に形成されている。これら第1油路122と第2油路123とは、略同形状とされており、すなわち、第1油路122は、径方向に貫通する2本の流路(オリフィス)122a,122bによって構成されており、第2油路123は、径方向に貫通する2本の流路(オリフィス)123a,123bによって構成されている。
以上のようなバイパス路形状及び油路形状とすることで、図20(a)に示すように、バネ32及び減衰器33の配置側の所定位置(以下、バネ配置側という。)までスプール121が移動した場合に、スプール収納部111の周壁内バイパス路113,114を介して、第1油路122で、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とが連通するようになる。また、図20(c)に示すように、スプール操作130の配置側の所定位置(以下、スプール操作部配置側という。)までスプール121が移動した場合にも、スプール収納部111の周壁内バイパス路113,114を介して、第2油路123で第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とが連通するようになる。
ここで、前述したように、第1油路122と第2油路123とを略同形状に形成する一方で、第1周壁内バイパス路113と第2周壁内バイパス路114とで、車両前後方向においてバネ32及び減衰器33側に位置される分岐路で径を異ならせて、第2周壁内バイパス路114の方を大径にしていることで、バネ配置側にスプール121が移動したときの方を、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とを1本の流路122aだけで連通するようにしている。すなわち、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106との連通路径を細くしている。
一方、スプール収納部111内でスプール121がそれ以外に位置される場合には、図20(b)に示すように、第1及び第2油路122,123のいずれもが、周壁内バイパス路113,114の部分に位置されなくなることで、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106との連通状態が断たれた状態になる。
このように、バイパス路104,105,106や油路122,123の形状は、スプール収納部111内でスプール121が所定位置に移動された場合に、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とが連通状態になったり、その連通状態が断たれた状態になったりするように設計されている。
さらに、バネ配置側にスプール121が移動する場合やスプール操作部配置側にスプール121が移動する場合にはともに第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とが連通状態になるが、バネ配置側にスプール121が移動したときの方を、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106との連通路径が細くなるようにしている。すなわち、スプール収納部111内でのスプール121の位置に応じて連通路としての第1油路122と第2油路123とを切り換え可能とすることで、当該第1油路122と第2油路123とを可変オリフィスとして機能させている。
そして、スプール121には、前述の実施形態と同様に、図18に示すように、両端面それぞれに車両前後方向に延びるように第1及び第2ロッド45,46が形成されている。なお、参考実施形態では、第2のロッド46は、スプール121の端面に一体として形成されている。
また、第1ロッド45の端部には、前述の実施形態と同様に、バネ32及びこのバネ32に併設して減衰器33が取り付けられている。さらに、第2ロッド46の端部には、前述の実施形態と同様に、スプール操作部130に接続されている。そして、この参考実施形態におけるスプール操作部130は、前述の実施形態におけるスプール操作部50と異なる構造になっている。
参考実施形態におけるスプール操作部130は、図18及び図19に示すように、クランク部131と、クランク部131と第2ロッド46とを連結する連結部材132と、クランク部131に設けたマス部材133と、弾性力によりクランクの回転を規制する弾性力回転規制機構134と、弾性力回転規制機構134のゼンマイバネ134bの回転方向を規制するラチェット機構135とを備える。
クランク部131は、略円盤状の本体部131aと、その本体部131aの外周部の一部から外周方向に延びるアーム部131bとで構成されている。アーム部131bの端部にマス部材133が取り付けられている。ここでマス部材133の下方向(図18において時計回り方向)への移動がストッパ136により規制されている。すなわち、マス部材133は、初期位置で、ストッパ136により支持されている。
また、クランク部131には、本体部131aの一側面から水平方向に延びる支持シャフト131cが設けられており、支持シャフト131cがケース31に取り付けられている。これにより、クランク部131は、支持シャフト131cにより正転及び逆転可能に支持されている。
弾性力回転規制機構134は、クランク部131の本体部131aにおいて支持シャフト131cが設けられていない他側面側に配置されている。この弾性力回転規制機構134は、クランク部131が回転する一方向(図18において反時計回り方向)に弾性力を付与する構造になっている。具体的には、弾性力回転規制機構134は、クランク部131の本体部131aの外周であって、周方向に所定間隔で整列されている棒状の複数の係止ピン134aと、一端が本体部131aの中心部位に取り付けられて、自由端とされる他端が係止ピン134aの間を抜けるような形状をなす弾性体である所定長のゼンマイバネ134bとから構成されている。そして、ゼンマイバネ134bは、ラチェット機構135(クランク部13の本体部131aの側面に位置するハッチング部位)を介して本体部131aに取り付けられている。ラチェット機構135は、本体部131aが正転及び逆転方向に回転するのに対して、ゼンマイバネ134bを前記一方向のみの回転可能とするような構造を有する。
なお、前述したように、弾性力回転規制機構134がクランク部131の本体部131aの他側面側に配置されているから、ゼンマイバネ134bも当該クランク部131の本体部131aの他側面側に位置されるのであるが、クランク部131が回転する際のゼンマイバネ134bの状態をわかり易くするために、図18や後記の図21及び図22では、ゼンマイバネ134bをクランク部131の本体部131aの前記一側面側に記載している。
このような弾性力回転規制機構134及びラチェット機構135を備えることで、クランク部131に前記一方向(図18において反時計回り方向)にある一定以上の回転力が作用しない限り、当該クランク部131は前記一方向に移動することはない。しかし、クランク部131に前記一方向に前記一定以上の回転力が作用すると、ゼンマイバネ134bの他端が、係止ピン134aから外れて、当該係止ピン134aのすぐ隣りの係止ピン134aに引っ掛かるようになる。
そして、クランク部131は、反対方向(図18において時計回り方向)については、ラチェット機構135により、ゼンマイバネ134bとは独立に回転できるので、ゼンマイバネ134bの弾性力の影響を受けることなく回転できるようになっている。
また、連結部材132は、前述の実施形態と同様に、一端が第2ロッド46と回転自在とされて連結しているが、その他端は、クランク部131の本体部131aの側面に設けたスライドピン131dにスライド自在とされて連結されている。具体的には、連結部材132の他端側に、長方形状のスライド用穴132aが形成されており、そのスライド用穴132a内にクランク部131の本体部131aのスライドピン131dが挿通されている。
これにより、図18に示すように、マス部材133がストッパ136により下方向への移動が規制されている状態(初期位置状態)からマス部材133が上方向(図18において反時計回り方向)に移動する場面では、そのマス部材133の移動に連動して本体部131aも回転するから、スライドピン131dが連結部材132のスライド用穴132a内を移動していき、その後、スライド用穴132aの内側端部に当り、その結果、連結部材132、さらには第2ロッド46(又はスプール121)が移動するようになる。
その一方で、そのようにスライドピン131dを連結部材132のスライド用穴132aの内側端部に当てて第2ロッド46(又はスプール121)を移動させた状態から、マス部材133が下方向(図18において時計回り方向)に移動して、本体部131aが反対方向に回転する場面では、スライドピン131dが連結部材132のスライド用穴132a内でいわゆる遊びを持つことになるので、当該本体部131aとは関係なく、第2ロッド46(又はスプール121)が移動するようになる。この場合、第2ロッド46(又はスプール121)は、減衰器33の減衰力及びバネ32の付勢力に依存してバネ配置側に移動するようになる。
なお、参考実施形態では、減衰器33の減衰力がスプール121の移動方向で異なるものとなっている。具体的には、スプール121がスプール操作部配置側に移動する場合よりも、スプール121がバネ配置側に移動する場合の方を、減衰力が大きくなるようにしている。
以上のように、参考実施形態における減衰力制御部30が構成されている。
次にショックアブソーバ1の動作及び減衰力特性を説明する。
図21及び図22は、減衰力制御部30の構成を示す。図21は、車輪が走行路上の突起(凸路)を乗り越す際のショックアブソーバ1の動作を示し、図22は、車輪が走行路上の突起を乗り越した直後のショックアブソーバ1の動作を示す。
(1)車両が平坦路を走行している場合
先ず車両が平坦路を走行している場合には、図21(a)に示すようにストッパ136上にマス部材133が位置されているので、スプール121は、バネ32による付勢力によりスプール収納部111のバネ配置側側面に当接された状態になる。これにより、前記図20(a)に示したように、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とは、スプール収納部111の周壁内バイパス路113,114を介して、第1油路122を構成する1本の流路122aで連通するから、連通路径を小として連通された状態になる。
このときのショックアブソーバ1の伸縮時の動作として、ピストンロッド6、又はピストンバルブ5が上下方向に移動すると、それらバイパス路104,105,106等を介して、第1液室10と第2液室11との間で作動油が流動する。この流動によりショックアブソーバ1に減衰力が発生する。
(2)車輪が走行路上の突起(凸路)を乗り越した時
車輪が走行路上の突起(凸路)を乗り越すと(乗り越した瞬時)、ショックアブソーバ1に上方向加速度が発生するから、このとき、図21(a)に示すようにストッパ136上に位置されているマス部材133に上方向の外力が働くことで、クランク部131が一方向(図21において反時計回り方向)に回転するようになる。このとき、マス部材133に作用する上方向への外力がある程度の大きさになれば、前記弾性力回転規制機構134による付勢力に抗してクランク部131が回転するのである。これにより、図21(b)から図21(c)への変化として示すように、スライドピン131dが連結部材132のスライド用穴132a内を移動していき、スライド用穴132aの内側端部に当たり、さらにクランク部131が回転すると、図21(d)に示すように、第2ロッド46が当該スプール操作部130側に引き寄せられるから、スプール121が当該スプール操作部130側に移動するようになる。
このとき、前述したように、減衰器33の減衰力は小さいから、減衰器33の減衰力の影響を受けることなく、スプール121が移動する、すなわちクランク部131が回転するようになる。
このように、スプール121が移動することで、前記図20(c)に示したように、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とは、スプール収納部111の周壁内バイパス路113,114を介して、第2油路123を構成する2本の流路123a,123bで連通するようになるから、連通路径を大として連通された状態になる。
このときのショックアブソーバ1の伸縮時の動作として、ピストンロッド6、又はピストンバルブ5が上下方向に移動すると、前記車両が平坦路を走行している場合と同様に、それらバイパス路104,105,106等を介して、第1液室10と第2液室11との間で作動油が流動する。この流動によりショックアブソーバ1に減衰力が発生する。
しかし、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とが連通路径を大として連通された状態になっていることから、すなわち、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とが大径のオリフィスで連通されているのと等価な状態になっているから、その減衰力は、前記車両が平坦路を走行している場合にショックアブソーバ1に発生する減衰力と比べ小さいものとなる。
(3)車輪が走行路上の突起(凸路)を乗り越した直後
車輪が走行路上の突起(凸路)を乗り越した直後は、マス部材133に作用する力としてその自重が支配的になるから、図21(d)から図22(a)への変化として示すように、クランク部131が反対方向(図21において時計回り方向)に回転するようになり、そして、図22(b)に示すように、マス部材133がストッパ136に当たるまで、クランク部131が回転する。
ここで、前述したように、第1ロッド45にバネ32及び減衰器33を取り付け、かつスライドピン131dが連結部材132のスライド用穴132a内でいわゆる遊びを持っていることから、図22(a)から図22(c)への変化として示すようなスプール121の移動は、バネ32の付勢力に依存して移動するものの、減衰器33が大きいことからゆっくりとしたものになる。また、このとき、スライドピン131dが連結部材132のスライド用穴132a内を移動するので、クランク部131の回転に関係なく、スプール121が移動するようになる。
これにより、前記図20(b)に示したように、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106との連通が一時的(ある一定時間)に断たれてから、前記図20(a)に示したように、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とが連通路径を小として連通された状態に至るようになる。
よって、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106との連通が一時的に断たれた状態では、第1液室10と第2液室11とがバイパス路104,105,106等を介した連通状態が断たれた状態になるから、ショックアブソーバ1の伸縮時には、ピストンバルブ5の減衰力発生部が作動してショックアブソーバ1に減衰力が発生する。すなわち、ショックアブソーバ1の伸縮時の動作として、ピストンロッド6、又はピストンバルブ5が上下方向に移動すると、第1液室10内の圧力と第2液室11内の圧力との圧力差により、第1液室10と第2液室11との間でピストンバルブ5の減衰力発生部を介して作動油が流動することによる減衰力がショックアブソーバ1に発生する。このときの減衰力は、前記車両が平坦路を走行している場合や前記車輪が突起(凸路)を乗り越した際(瞬時)の減衰力よりも大きいものとなる。
そして、その後、前記車両が平坦路を走行している場合と同様に、第1バイパス路104と第2及び第3バイパス路105,106とが連通路径を小として連通された状態になる。これにより、ショックアブソーバ1の伸縮時の動作として、ピストンロッド6、又はピストンバルブ5が上下方向に移動すると、それらバイパス路104,105,106等を介して、第1液室10と第2液室11との間で作動油が流動するようになる。この流動によりショックアブソーバ1に減衰力が発生する。しかし、その減衰力は、直前の減衰力と比べて小さいものとなっている。
以上のように、ショックアブソーバ1は、走行路上の突起を車輪が乗り越える際に車両に発生する上下加速に基づいて、走行路上の突起を車輪が乗り越えている最中の減衰力を、平坦路を車輪が走行している場合の減衰力よりも小さくし、走行路上の突起を車輪が乗り越えた直後の減衰力を、平坦路を車輪が走行している場合の減衰力よりも大きくしている。このように、ショックアブソーバ1は、走行路上の突起を車輪が乗り越えるのに際して、1工程で減衰力が変化するようになっている。
ここで、図23は、車輪が走行路上の突起を乗り越す最中及びその前後のショックアブソーバ1の減衰力特性を示すものとして、車輪が走行路上の突起を乗り越す最中及びその前後の車輪のスピンドルの加速度(振動)の変化を示す。ショックアブソーバ1の減衰力とスピンドルの加速度との関係は、例えば、ショックアブソーバの減衰力が大きければ、路面から車輪への外部入力が大きいのにもかかわらず、スピンドルの加速度は小さくなるという関係になる。
ここで、図23中、実線は従来のショックアブソーバの減衰力特性(スピンドルの加速度特性)を示し、点線は本発明を適用したショックアブソーバ1の減衰力特性(スピンドルの加速度特性)を示す。また、図23中、二点鎖線は、車輪が通過する走行路上の突起形状を示す。また、図23中、A領域のスピンドルの加速度は、車輪が走行路上の突起を乗り越そうとしている初期のものであり、B領域のスピンドルの加速度は、車輪が走行路上の突起を乗り越している最中のものであり、C領域のスピンドルの加速度は、車輪が走行路上の突起を乗り越した直後のものであり、D領域のスピンドルの加速度は、その後、再び完全に平坦路に戻ったときのものである。
この図23に示すように、従来のショックアブソーバ(実線)と本発明を適用したショックアブソーバ(点線)とではともに、概略として、車輪が走行路上の突起を乗り越そうとしている初期に(A領域の終期)、ショックアブソーバが収縮するとともにスピンドルに加速度(上方向の加速度)が発生し、車輪が走行路上の突起を乗り越している最中(B領域)に、ショックアブソーバが伸張するとともにスピンドルに逆方向の加速度(下方向の加速度)が発生し、車輪が走行路上の突起を乗り越した直後及びその後の平坦路では(C領域及びD領域)、ショックアブソーバの減衰力によりスピンドルの加速度(上下方向の加速度)が0に収束するようになる。
しかし、従来のショックアブソーバ(実線)と本発明を適用したショックアブソーバ(点線)とで比較すると、車輪が走行路上の突起を乗り越している最中には(B領域)、ある閾値を超える加速度が車体(又はスピンドル)に発生し、弾性力回転規制機構134による付勢力に抗してクランク部131が回転することで本発明を適用したショックアブソーバの減衰力の方が小さくなるから、スピンドルの加速度が抑えられ、さらに、車輪が走行路上の突起を乗り越した直後及びその後の平坦路では(C領域及びD領域)、本発明を適用したショックアブソーバの減衰力の方が大きくなっているから、ここでもスピンドルの加速度が抑えられる。すなわち、本発明を適用したショックアブソーバでは、スピンドルの加速度(振動)が抑制され、この結果、車輪が走行路上の突起を乗り越えた際の車体のゆれ(振動)が防止されるようになる。
例えば、この図23においてハッチングで示す領域が、本発明を適用することでショックアブソーバ1の減衰力を制御した結果として得られる振動抑制効果分を示す。
また、参考実施形態でも、前述の実施形態と同様な効果を得ることができることは言うまでもない。
すなわち例えば、参考実施形態のショックアブソーバ1でも、バイパス路104,105,106と、スプール121を備えたバイパス路連通オン及びオフ部110と、スプール操作部130とにより、減衰力の制御を行っている。これにより、ショックアブソーバ1は、簡単な構成による減衰力の制御を実現している。この結果、従来のようにピストンロッドと車体との間に共振部を設けなくて済むので、車体側のデザイン、例えばエンジンルームの形状の自由度を高くでき、さらにはサスペンションストロークも長くすることができる。すなわち例えば、アッパーマウント周りの部品特性(フード高さ、アッパーマウント特性又はバンパーラバー特性等)に影響を与えることなく、車両にショックアブソーバ1を取り付けることができる。
なお、前記参考実施形態では、走行路上の突起を車輪が乗り越える際に車両に発生する上下加速に基づいて、第1液室10と第2液室11との連通路を第1油路122と第2油路123とで切り換えることで第1液室10と第2液室11とを連通路の面積を切り換えて、ショックアブソーバ1の減衰力を変更している場合を説明した。しかし、これに限定されるものではない。例えば、走行路上の突起を車輪が乗り越える際に車両に発生する上下加速に基づいて、第2液室11とリザーバ室7との連通路(第2及び第3バイパス路105,106)の面積を切り換え可能な構造にすることで、ショックアブソーバ1の減衰力を変更するようにしても良い。
また、前記参考実施形態の説明において、マス部材133は、走行路上の突起を車輪が乗り越える際に車両に所定の閾値よりも大きい上下加速が発生することで移動する質量部材を実現しており、スプール(スプールバルブ)121は、走行路上の突起を車輪が乗り越えている最中は、前記第1及び第2流路のうちの少なくとも一方の流路の面積を、平坦路を車輪が走行している場合のものよりも大きくするように変更し、かつ走行路上の突起を車輪が乗り越えた直後では、当該面積を変更した流路を閉じる開閉弁を実現している。
本発明の実施形態のショックアブソーバの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態のショックアブソーバの構成を示す正面図である。 記実施形態のショックアブソーバの減衰力制御部の構成を示す図であり、油路と各バイパス路とが連通した状態を示す図である。 記実施形態のショックアブソーバの減衰力制御部の構成を示す図であり、油路と各バイパス路との連通状態を断った状態を示す図である。 前記油路と各バイパス路とが連通した状態を示す図である。 前記油路と各バイパス路との連通が断たれた状態を示す図である。 記実施形態のショックアブソーバの減衰力制御部の構成を示す図であり、スプールが油路と各バイパス路との連通状態を断つ状態に位置され、かつ第1リンク部材と第2リンク部材とがリンク機構として伸びきった状態を示す図である。 車両の走行状態に応じたスプール及びスプール操作部の状態変化の説明に使用した図である。 車両の走行状態を示す図であり、図中(a)は旋回状態を示し、図中(b)は直進走行状態を示す。 車両の旋回走行時と直進走行時とのショックアブソーバの減衰力の違いを示す特性図である。 横加速度とスプールの移動速度との関係を示す特性図である。 スプール位置(オリフィス開度)とショックアブソーバの減衰力との関係を示す特性図である。 連続するカーブを走行する時のショックアブソーバの減衰力の特性の説明に使用した図である。 横加速度と減衰力比との関係を示す特性図である。 コンロッド機構により構成したスプール操作部の構成を示す図である。 ロータリバルブとロータリバルブ操作とを備えて構成したバイパス路連通オン及びオフ部の構成を示す図である。 本発明の参考実施形態のショックアブソーバの構成を示す正面図である。 前記参考実施形態のショックアブソーバの減衰力制御部の構成を示す正面図である。 前記図17で矢示B−Bから見た前記参考実施形態のショックアブソーバの減衰力制御部の構成を示す図である。 前記参考実施形態のショックアブソーバの減衰力制御部における油路と各バイパス路との連通状態を示す図である。 車輪が走行路上の突起(凸路)を乗り越した際の、前記参考実施形態のショックアブソーバの減衰力制御部におけるスプール及びスプール操作部の状態変化の説明に使用した図である。 車輪が走行路上の突起(凸路)を乗り越した直後の、前記参考実施形態のショックアブソーバの減衰力制御部におけるスプール及びスプール操作部の状態変化の説明に使用した図である。 車輪が走行路上の突起を乗り越す前後の車輪のスピンドルの加速度(振動)の変化を示す特性図である。 特許文献1に開示されている車両用ショックアブソーバの構成を示す図である。
符号の説明
1 ショックアブソーバ
2 内筒
3 外筒
4 シリンダ
5 ピストンバルブ
6 ピストンロッド
7 リザーバ室
8 ベースバルブ
10,11 液室
30 減衰力制御部
32 バネ
33 減衰器
34,35,36 バイパス路
40 バイパス路連通オン及びオフ部
42 スプール
45,46 ロッド
46a ピストン部
50 スプール操作部
51,52 リンク部材
53 マス部材

Claims (1)

  1. 車体側部材に連結されるピストンロッドと、
    車輪側部材に連結され、内筒及び外筒からなるシリンダと、
    前記内筒を第一室及び第二室に区画するように当該内筒に内装され、かつ前記シリンダの一端側から挿入されたピストンロッドに連結されたピストンと、
    前記第二室と連通するリザーバ室と、
    前記第二室とリザーバ室との間で作動液を流動させる第一バルブと、
    前記ピストンに設けられ、前記第一室と、前記第二室との間で作動液を流動させる第二バルブとを備えた車両用ショックアブソーバであって、
    車両に発生する加速により移動する質量部材と、
    前記第一室と第二室を連通させる第一流路と、
    前記第二室とリザーバ室を連通させる第二流路と、
    前記第一流路及び第二流路を開閉する開閉弁と、
    前記開閉弁と質量部材とを連結し、前記加速による質量部材の移動に連動させて前記開閉弁の開閉状態を切り換える連結機構と、
    を備え
    前記開閉弁はスプール弁であり、
    前記スプール弁を開弁状態にする位置に移動するように当該スプール弁に付勢力を与えるバネと、
    前記バネに併設され、前記スプール弁の移動の際に当該スプール弁に減衰力を与える減衰器とを有し、
    前記連結機構は、前記スプール弁の移動方向に遊びをもって当該スプール弁と連結棒で連結され、前記スプール弁の端面の開口部と、前記スプール弁内に形成され、当該スプール弁の移動方向に延び、かつ前記開口部と連通する前記開口部の開口径より大きい内径を有する空部と、を備え、前記連結棒は、前記開口部から前記空部内に挿通された一端に径方向に凸形状となる係止部を備え、
    前記連結機構は、前記横加速による質量部材の移動に連動させて前記連結棒を前記スプール弁の移動方向に移動させることで、前記係止部を前記開口部の開口径を前記空部の内径より小さくする前記開口部の外周部に係止させて、前記スプール弁を閉弁状態にする位置に移動させることを特徴とする車両用ショックアブソーバ。
JP2005031768A 2004-07-16 2005-02-08 車両用ショックアブソーバ Expired - Fee Related JP4910291B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005031768A JP4910291B2 (ja) 2004-07-16 2005-02-08 車両用ショックアブソーバ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004210155 2004-07-16
JP2004210155 2004-07-16
JP2005031768A JP4910291B2 (ja) 2004-07-16 2005-02-08 車両用ショックアブソーバ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006052831A JP2006052831A (ja) 2006-02-23
JP4910291B2 true JP4910291B2 (ja) 2012-04-04

Family

ID=36030445

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005031768A Expired - Fee Related JP4910291B2 (ja) 2004-07-16 2005-02-08 車両用ショックアブソーバ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4910291B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4745991B1 (ja) * 1967-03-22 1972-11-20
JPS493312A (ja) * 1972-05-01 1974-01-12
JP3110219B2 (ja) * 1993-09-13 2000-11-20 株式会社ユニシアジェックス 車両懸架装置
JPH10166836A (ja) * 1996-12-13 1998-06-23 Yamaha Motor Co Ltd 減衰力可変制御式緩衝器
JP2000097277A (ja) * 1998-09-24 2000-04-04 Tokico Ltd 減衰力可変ダンパ
JP4073362B2 (ja) * 2003-05-16 2008-04-09 カヤバ工業株式会社 ロックシリンダおよびスタビライザ装置
JP4506444B2 (ja) * 2004-12-03 2010-07-21 日産自動車株式会社 車両用ショックアブソーバ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006052831A (ja) 2006-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101457660B1 (ko) 감쇠력 가변밸브 조립체 및 상기 감쇠력 가변밸브 조립체를 가지는 감쇠력 가변식 쇽업소버
US8757333B2 (en) Vibration damping method
JP6324254B2 (ja) 緩衝器付き車両
JP2007205433A (ja) 振動緩衝装置及びサスペンション装置
JP4910291B2 (ja) 車両用ショックアブソーバ
KR101771690B1 (ko) 로드 가이드에 설치된 부가밸브를 갖는 감쇠력 가변식 쇽업소버
JP7158413B2 (ja) 双方向選択ブロックを備えたショックアブゾーバ、ホイールグルーブ、及びモータサイクル
JP4356544B2 (ja) ショックアブソーバ
JPH10339345A (ja) 液圧緩衝装置
JP3895425B2 (ja) 油圧緩衝器
JP4506444B2 (ja) 車両用ショックアブソーバ
JP4844945B2 (ja) 油圧ダンパ
KR101337858B1 (ko) 쇽업소버의 감쇠력 가변밸브 조립체
JP4743796B2 (ja) 洗濯機用油圧ダンパ
JP2006144953A (ja) 車両用ショックアブソーバ
JP4683602B2 (ja) 鉄道車両用ヨーダンパ
JP2007046733A (ja) アッパーマウント
JP2008008384A (ja) 油圧装置、及びこれを備えた産業車両の車輪懸架装置
JP3727089B2 (ja) 倒立型フロントフォーク
KR100259255B1 (ko) 감쇠력가변장치가부가된쇽업소버
KR20080030748A (ko) 감쇠력 가변형 쇽업소버
KR100320502B1 (ko) 차량용 쇽 업소버
JP3346221B2 (ja) ショックアブソーバ
KR100242933B1 (ko) 전기장을 이용한 자동차의 쇽 업소버 설치구조
JPH09177864A (ja) 油圧緩衝器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100914

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100917

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20110705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111220

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150127

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees