JP4073362B2 - ロックシリンダおよびスタビライザ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロックシリンダおよびロックシリンダを利用したスタビライザ装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、車両が旋回状態にある時や凹凸路を走行する時には、車両にローリング現象が発生するので、車体が傾き、安定性が悪化する。
【0003】
そこで、上記ローリング現象を抑制するために、車両にスタビライザを搭載させ、適正な車両の姿勢制御を実現しようとしている。
【0004】
一方、車両が旋回状態にある時や凹凸路を走行する時では有用であるスタビライザも、車両が平坦路を直進走行するときには、ローリング現象が発現されることは殆どなく、かえって、凹凸路面侵入時にサスペンションとしての懸架バネ定数を高めて、車両の乗り心地を悪化させてしまうことがある。
【0005】
さらに、車両が走行する路面の状況によっては、スタビライザ機能が発揮されることで却って車両における乗り心地が悪くなることがあり、この場合にも、スタビライザ機能を抑制する方が良い。
【0006】
そこで、スタビライザの一端と車軸側の間にロックシリンダを介装して、必要に応じてスタビライザ機能を発揮させるような提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。すなわち、この提案では、車両が旋回中であって、車体がローリングするような状況下では、ロックシリンダを制限伸縮状態とすることにより、スタビライザが捩られ、このときのスタビライザの反力で車体のローリングを抑制でき、逆に、車両が平坦路と直進走向状態である場合には、ロックシリンダを伸縮可能な状態、いわゆるシリンダフリー状態とすることにより、スタビライザが捩られず、スタビライザには反力が発生しないので、スタビライザ機能が減殺されて、結果的に車両の乗り心地が向上する。
【0007】
また、最近では、車両の左右いずれかの車輪が、小突起や、小さな溝を乗り越える場合に車体に作用する振動が乗り心地を悪化するとして、この点の改善が強く望まれている。したがって、このような場合には、サスペンションとしてのバネ定数を低くしたほうが良いので、スタビライザの機能を減殺する必要がある。
【0008】
しかしながら、上記スタビライザ装置では、車体がローリングした状態で小突起や、小さな溝を乗り越える場合には、ロックシリンダが制限伸縮状態であるので、スタビライザに反力が発生して、結果的に、サスペンションとしてのバネ定数が高くなって、車両における乗り心地が悪化してしまう。
【0009】
そこで、小突起や、小さな溝を乗り越える場合に生じる振動の入力時であって収縮する場合にのみシリンダフリー状態とするロックシリンダをスタビライザの両端と左右車軸側との間にそれぞれ介装したスタビライザ装置の改良案がなされるに至っている(たとえば、特許文献2参照)
【0010】
【特許文献1】
実開平3−17912号公報(第6頁第19行目から第12頁第4行目まで、図1および図2)
【0011】
【特許文献2】
特開平7−186683号公報(第2頁左欄第2行目から第3頁右欄第28行目まで、図2および図4)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記改良されたスタビライザ装置では、以下の不具合を招来する可能性があると指摘される恐れがある。
【0013】
すなわち、上記改良されたスタビライザ機能制御装置では、スタビライザの両端および左右車軸側の間にロックシリンダを介装する必要があり、したがって、四輪自動車の場合には、4箇所に介装される。スタビライザの機能の死活を選択するロックシリンダには、スタビライザの一端と左右車軸側のいずれか一方との間にのみ介装されるものも開発されていることからすると、コスト的に不利であり、スタビライザ装置の重量も増加する。
【0014】
さらに、改良されたスタビライザ装置では、伸長する場合には、いわゆる伸び切り状態にならないと、伸長不能な状態、いわゆるシリンダロック状態とならないので、適切に車体のローリングを抑制できない可能性がある。
【0015】
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、車両のロールを抑制するだけでなく小突起乗り越え時等の車両における乗り心地を向上しつつ、低コストで軽量なスタビライザ装置および当該スタビライザ装置に最適なロックシリンダを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明のロックシリンダの手段は、シリンダと、シリンダ内に隔壁部材3で隔成した第1室と第2室と、第1室と第2室とを連通する通路と、通路を遮断することでシリンダロック状態とし、通路を開放することでシリンダフリー状態とする開閉弁と、上記通路に並列に接続して第1室と第2室とを連通するバイパス路と、バイパス路の途中に設けられて所定の周波数の振動入力時にのみ当該バイパス路を開放する常閉型のショック低減機構Kとを備えているロックシリンダにおいて、上記ショック低減機構が上記バイパス路の途中に設けられた中空なバルブケースと、バルブケース内をランド部で加圧室と背圧室とに区画すると共に所定の周波数の振動入力時に加圧室と背圧室との差圧によりバルブケース内を摺動して上記バイパス路を開放するスプールと、差圧発生手段とを備え、上記差圧発生手段を加圧室とバイパス路の上流側とを接続する第1のオリフィスと、背圧室とバイパス路の上流側とを接続する第2のオリフィスとから構成すると共に第1のオリフィスの開口面積を第2のオリフィスの開口面積より大きくし、上記スプールをバルブケース内を加圧室と背圧室とに区画する上方ランド部と、上記背圧室を上方背圧室と下方背圧室とに区画する下方ランド部と、下方背圧室側から開口する中空孔と、当該中空孔と上方背圧室とを連通する孔とで構成し、当該スプールはバルブケース内に下方背圧室側から附勢バネで附勢されて挿入され、更に、バルブケースの側部に上 方ランド部に対向する加圧室側のポートと下方ランド部に対向する背圧室側のポートとを設け、加圧室側のポートを流路として上記バイパス路の下流側に接続させ、背圧室のポートをピストンケース内に附勢されたフリーピストンで隔成したリザーバに接続させたことを特徴とする。
【0017】
そして、この手段によれば、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる所定の振動周波数の振動がロックシリンダに入力されると、ロックシリンダがシリンダフリー状態となるので、スタビライザは捩られなくなるので、スタビライザは反力を生じえず、スタビライザ機能を減殺することができ、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動によるショックが低減される。
【0018】
また、従来のロックシリンダのように、スタビライザの両端および左右車軸側の間に介装する必要がなく、コスト的に有利であり、スタビライザ装置としての重量も軽量なものとすることができる。
【0019】
【0020】
同じく、上記の手段によれば、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、装置全体の大型化が避けられるとともに、軽量化、低コスト化ができるので、車両への搭載性も向上する。
【0021】
さらに、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、油圧源の消費出力が無くて済み、車両の走行力不足という弊害が防止できる。
【0022】
また、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときのショックを和らげるのに際して、コントロールユニットやセンサ類を全く必要としないから、この点でも低コスト化が図れることとなるとともに、電波障害や外乱による誤動作の心配もない。
【0023】
【0024】
同じく、上記の手段によれば、背圧室側のポートはリザーバに接続してあり、スプールがバルブケースに対して下方に移動する際には、当該ポートから作動液体がリザーバに流入するので、この点でスプールの動きを妨げることが防止され、また、リザーバ内に流入した作動液体は、附勢されたフリーピストンにより加圧されると同時に、加圧室内の作動液体が流路たるポートからバイパス路へ排出され加圧室内の圧力は下降するので、所定の周波数の振動の過渡的な入力が解消すると速やかにスプールを元の位置に戻して、各ポートを遮断することができ、これにより、スプールの一連の動作を短時間のうちに終了することができる。
【0025】
したがって、車体がローリングした状態となった場合に、車輪が小突起や小さい溝等を乗り越えるときのみの短時間内に、スタビライザ機能を減殺することができ、これにより、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックを和らげ、車両における乗り心地を向上することができ、シリンダフリーとなるのは、短時間であるので、車体のローリング量をいたずらに増加させることも防止されている。
【0026】
さらに、上記手段では、スプールと附勢バネの全体としての固有振動数を車両におけるバネ下共振周波数に一致するようにした。
【0027】
これにより、スプールと附勢バネの全体の固有振動数を、いわゆる車両のバネ下共振周波数に一致させたので、所定の周波数の振動の過渡的な入力時にスプールが各ポートを開きやすくなり、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックをより一層和らげ、車両における乗り心地をより一層向上することができる。
【0028】
更に、上記の目的を達成するため、本発明のスタビライザ装置の手段は、 車体に回動自在に支持され、その一端が左右いずれかの車軸側に連結され、他端がロックシリンダを介して他方の車軸側に連結され、このロックシリンダが、車軸側もしくはスタビライザの一方に連結されるシリンダと、端部に車軸側もしくはスタビライザの他方に連結されシリンダ内に隔壁部材を介して移動自在に挿通されたロッドと、シリンダ内に隔壁部材で隔成した第1室と第2室と、第1室と第2室とを連通する通路と、通路を遮断することでシリンダロック状態としてスタビライザ機能を発揮し、通路を開放することでシリンダフリー状態としてスタビライザ機能を減殺する開閉弁と、上記通路に並列に接続して第1室と第2室とを連通するバイパス路と、バイパス路の途中に設けられて所定の周波数の振動入力時にのみ当該バイパス路を開放する常閉型のショック低減機構Kとを備えているスタビライザ装置において、上記ショック低減機構が上記バイパス路の途中に設けられた中空なバルブケースと、バルブケース内をランド部で加圧室と背圧室とに区画すると共に所定の周波数の振動入力時に加圧室と背圧室との差圧によりバルブケース内を摺動して上記バイパス路を開放するスプールと、差圧発生手段とを備え、上記差圧発生手段を加圧室とバイパス路の上流側とを接続する第1のオリフィスと、背圧室とバイパス路の上流側とを接続する第2のオリフィスとから構成すると共に第1のオリフィスの開口面積を第2のオリフィスの開口面積より大きくし、上記スプールをバルブケース内を加圧室と背圧室とに区画する上方ランド部と、上記背圧室を上方背圧室と下方背圧室とに区画する下方ランド部と、下方背圧室側から開口する中空孔と、当該中空孔と上方背圧室とを連通する孔とで構成し、当該スプールはバルブケース内に下方背圧室側から附勢バネで附勢されて挿入され、更に、バルブケースの側部に上方ランド部に対向する加圧室側のポートと下方ランド部に対向する背圧室側のポートとを設け、加圧室側のポートを流路として上記バイパス路の下流側に接続させ、背圧室のポートをピストンケース内に附勢されたフリーピストンで隔成したリザーバに接続させたことを特徴とする。
【0029】
この手段によれば、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる所定の振動周波数の振動がロックシリンダに入力されると、ロックシリンダがシリンダフリー状態となるので、スタビライザは捩られなくなり、スタビライザは反力を生じえず、スタビライザ機能を減殺することができ、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動によるショックが低減される。
【0030】
また、従来のスタビライザ装置のように、スタビライザの両端および左右車軸側の間にロックシリンダを介装する必要がなく、コスト的に有利であり、スタビライザ装置としての重量も軽量なものとすることができる。
【0031】
【0032】
同じく上記の手段によれば、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、装置全体の大型化が避けられるとともに、軽量化、低コスト化ができるので、車両への搭載性も向上する。
【0033】
さらに、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、油圧源の消費出力も無くて済み、車両の走行力不足という弊害が防止できる。
【0034】
また、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときのショックを和らげるのに際して、コントロールユニットやセンサ類を全く必要としないから、この点でも低コスト化が図れることとなるとともに、電波障害や外乱による誤動作の心配もない。
【0035】
【0036】
同じく、上記の手段によれば、背圧室側のポートはリザーバに接続してあり、スプールがバルブケースに対して下方に移動する際には、当該ポートから作動液体がリザーバに流入するので、この点でスプールの動きを妨げることが防止され、また、リザーバ内に流入した作動液体は、附勢されたフリーピストンにより加圧されると同時に、加圧室内の作動液体が流路たるポートからバイパス路へ排出され加圧室内の圧力は下降するので、所定の周波数の振動の過渡的な入力が解消すると速やかにスプールを元の位置に戻して、各ポートを遮断することができ、これにより、スプールの一連の動作を短時間のうちに終了することができる。
【0037】
したがって、車体がローリングした状態となった場合に、車輪が小突起や小さい溝等を乗り越えるときのみの短時間内に、スタビライザ機能を減殺することができ、これにより、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックを和らげ、車両における乗り心地を向上することができ、シリンダフリーとなるのは、短時間であるので、車体のローリング量をいたずらに増加させることも防止されている。
【0038】
また、この手段におけるスタビライザ装置では、スプールと附勢バネの全体としての固有振動数を車両におけるバネ下共振周波数に一致するようにした。
【0039】
これにより、スプールと附勢バネの全体の固有振動数を、いわゆる車両のバネ下共振周波数に一致させたので、所定の周波数の振動の過渡的な入力時にスプールが各ポートを開きやすくなり、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックをより一層和らげ、車両における乗り心地をより一層向上することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、図に示した実施形態に基づいて、この発明を説明する。図1は、第1の実施の形態におけるスタビライザ装置のロックシリンダの概略縦断面図である。
【0041】
第1の形態におけるスタビライザ装置は、スタビライザSと、ロックシリンダL1とで構成されており、以下詳細に説明する。
【0042】
ロックシリンダL1は、図1に示すように、シリンダ4と、シリンダ4を覆う外筒5と、シリンダ4内に摺動自在に挿入された隔壁部材たるピストン3と、隔壁部材に一端が連結されシリンダ4内に挿通されたロッド1と、シリンダ4内にピストン3で隔成した第1室71と第2室72と、外筒5とシリンダ4との間の隙間に形成した補償室73と、第1室71と第2室72とを連通する通路50,51,53,55と、通路50,51,53,55を開放もしくは遮断する開閉弁60と、上記通路50、51、53、55に並列に接続されて第1室71と第2室72とを連通するバイパス路56,52と、バイパス路56,52の途中に所定の周波数の振動入力時にのみ当該バイパス路56,52を開放する常閉型のショック低減機構Kとで構成されており、他方、スタビライザSは、図2に示すように、左右に腕(付示せず)を備えたコ字状の金属棒で形成されている。そして、上記ロッド1がブラケット203を介して車両の左右いずれかの一方の車軸側に連結されるとともに、ロックシリンダL1の外筒5の下端側がスタビライザSの一端に連結され、スタビライザSは、車体側にブラケット201,202を介して回動自在に支持されているとともに、スタビライザSの他端側は、連結ロッド200およびブラケット204を介して他方の車軸側に連結されている。すなわち、このスタビライザ装置にあっては、上記ロックシリンダL1が、伸縮不能な状態、いわゆるシリンダロック状態となった場合には、スタビライザSは、車体がローリング状態となると、捩られるので反力を生じて、車体のローリングを抑制し、逆に、ロックシリンダL1が伸縮可能な状態、すなわち、シリンダフリー状態となると、スタビライザSは捩られることがなくなるので、スタビライザ機能が減殺されることとなる。
【0043】
以下、各部について詳細に説明すると、シリンダ4は、円筒状に形成され、その内部にはピストン3が摺動自在に挿入されており、また、ピストン3の一端側にはロッド1が連結されている。そして、シリンダ4の図1中上端は、ロッド1を摺動自在に支持するロッドガイド(図示せず)で封止されるとともに、その下端はやはりボトム部材(図示せず)で封止されており、シリンダ4内には作動油等の作動液体が充填されている。
【0044】
また、シリンダ4とシリンダ4を覆う円筒状の外筒5との間の隙間には補償室73が設けられ、外筒5の上端と下端は、封止部材(図示せず)で密封状態下に封止され、さらに、補償室73内には作動液体とともに気体Gが封入されている。なお、シリンダ4の上下端をそれぞれ封止するロッドガイドおよびボトム部材とで、外筒5の上下端をそれぞれ封止するとしてもよく、別途封止部材を設けて封止してもよい。
【0045】
ピストン3には、第1室71と第2室72とを連通する連通路6が設けられ、さらに、この連通路6の途中には、第2室72から第1室71へと向う作動液体の流れのみを許容する逆止弁2が設けられている。
【0046】
さらに、第1室71と第2室72とは、通路50,51,53,55を介して連通しており、上記通路50,51,53,55の途中、具体的には通路53と通路55との間に接続する管路54が設けられ、この管路54は上述の補償室73に接続している。そして、通路55の途中には、第1室71から第2室72へ向う作動液体の流れのみを許容する逆止弁7が設けられている。さらに、上記通路50,51,53,55のうち通路51の途中には、通路51の開放および遮断可能な開閉弁60が設けられている。
【0047】
この開閉弁60は、ロックシリンダL1の外部から供給される電流の入力時に通路51を開放するとともに、電流の解消時に附勢バネ64のバネ力で通路51を遮断する常閉型のソレノイドバルブであって、ソレノイド63に電流を供給すると附勢バネ64のバネ力に抗して通路51を開放する連通ポジション62と、電流の解消時に附勢バネ64のバネ力で通路51を遮断する遮断ポジション61とを有している。
【0048】
すなわち、第1の実施の形態におけるスタビライザ装置のロックシリンダL1にあっては、開閉弁60が連通ポジション62をとる場合、シリンダ4に対しピストン3が図1中上方に移動する時には、第1室71内の圧力が高まり、第1室71内の作動液体は、第2室72内に移動しようとするが、逆止弁2により連通路6を通過し得ないので、通路50,51,53,55を通過して第2室内に移動し、このときにシリンダ4から退出するロッド1の体積分の作動液体が管路54を介して補償室73から補償される。逆に、シリンダ4に対しピストン3が図1中下方に移動する時には、第2室72内の圧力が高まり、第2室72内の作動液体は、第1室71内に移動しようとするが、逆止弁7により通路50,51,53,55を通過し得ないので、連通路6を通過して第1室内71内に移動し、このとき、シリンダ4内に侵入するロッド1の体積分の作動液体が管路54を介して補償室73内に流入することとなる。したがって、シリンダ4に対しピストン3がどちらの方向に移動しても、作動液体の流れは、一方通行となる。したがって、第1の実施の形態のスタビライザ装置のロックシリンダL1は、いわゆる、ユニフロー型に設定されている。また、上述したように、開閉弁60が連通ポジション62をとる場合には、作動液体の流れは、上記したように逆止弁2および逆止弁7により一方通行となるが、それ以外では、妨げられることは無いので、ロックシリンダL1は自由に伸縮する状態、すなわち、シリンダフリー状態となる。
【0049】
また、この開閉弁60は、外部から供給される電流の有無により遮断ポジション61と連通ポジション62とに切換え可能であるが、この電流は、たとえば、ECUのようなコントローラから供給される。そして、図示はしないが、コントローラは車両の走行状態、すなわち、車体にローリングが発生していることを把握するために、横加速度センサ、操舵角センサ等に接続され、これらのセンサからの信号の入力により車両の走行状態を把握して、その走行状態に合わせて、上記開閉弁60に電流を供給するようになっている。
【0050】
つづいて、ショック低減機構Kについて説明する。ショック低減機構Kは、上流側バイパス路56と下流側バイパス路52との間に設けられており、すなわち、バイパス路56,52の途中に設けられており、バイパス路56は、通路50と通路51との間に接続されており、バイパス路52は、通路51と通路53との間に接続されている。すなわち、このバイパス路56,52によっても、第1室71と第2室72とが連通されている。ここで、上述したように、作動液体の流れは一方通行であり、バイパス路56は、通路50と通路51との間に接続されているので、作動液体の流れの上流側に配置されていることとなり、他方、バイパス路52は、通路51と通路53との間に接続されているので、作動液体の流れの下流に配置されていることとなる。
【0051】
さて、このショック低減機構Kは、中空なバルブケース10と、バルブケース10とバイパス路の下流側すなわちバイパス路52とを接続する流路たるポートCと、バルブケース10内を上方ランド部21および下方ランド部22で加圧室26と上方背圧室27と下方背圧室28とに区画し、加圧室26と上方および下方の背圧室27,28との差圧によりバルブケース10内を摺動して流路たるポートCを開放するスプール20と、加圧室26とバイパス路の上流側すなわちバイパス路56とを接続するオリフィス37と、背圧室28とバイパス路56とを接続するオリフィス38とで構成されている。
【0052】
以下、このショック低減機構Kについて、詳細に説明する。バルブケース10は中空円筒状であって、その側部には、4つのポートA,B,C,Dが設けられており、ポートAはオリフィス37を介してバイパス路56に接続され、ポートBはオリフィス38を介してバイパス路56に接続され、ポートCはバイパス路52に接続され、さらに、ポートDは有底筒状のピストンケース31の側部に接続されている。
【0053】
そして、上記バルブケース10内には、上方ランド部21および下方ランド部22を備えたスプール20が附勢バネ30によりバルブケース10の図1中上端側に向けて附勢されながら挿入されている。スプール20の上方および下方のランド部21,22の外径は、バルブケース10の内周に対し摺動可能な径とされており、この2つの上方および下方のランド部21,22により、バルブケース10内を加圧室26と、上方および下方の背圧室27,28とに区画している。さらに、スプール20には、その図1中下端側から開口する中空孔23が設けられ、当該中空孔23と上方背圧室27とを連通する孔24が複数設けられている。すなわち、上方背圧室27と下方背圧室28とは、当該中空孔23と孔24,24を介して連通している。また、附勢バネ30は、その図1中上端が下方ランド部22の図1中下面に当接し、その図1中下端は、バルブケース10の内の図1中下面に当接している。すなわち、スプール20の下方ランド部22とバルブケース10内の下面との間に附勢バネ30が介装されていることとなり、この附勢バネ30によって、スプール20は、バルブケース10内の図1中上面に押し付けられている。すなわち、スプール20は下方背圧室28側から加圧室26側に向けて附勢されている。
【0054】
また、スプール20の上方ランド部21の側面は、バルブケース10の流路たるポートCにスプール20がバルブケース10内の図1中上面に押し付けられている状態下で対向するようになっていると同時に、下方ランド部22の側面が、バルブケース10のポートDにスプール20がバルブケース10内の図1中上面に押し付けられている状態下で対向するようになっており、スプール20がバルブケース10に対して附勢バネ30のバネ力に抗して図1中下方に移動すると、上方および下方のランド部21,22はやがて、ポートC,Dに対向しえなくなるので、ポートC,Dを開放することができる。他方、バルブケース10のポートA,Bは、スプール20がバルブケース10内を摺動して移動しても、上記上方および下方のランド部21,22が対抗し得ないような位置に設けられている。すなわち、ポートCおよびポートDは、スプール20がバルブケース10に対して図1中下方に移動することによって、遮断状態から開放状態に切換えることができるようになっているが、ポートAおよびポートBは、バルブケース10に対してスプール20がどのような位置を採ろうとも開放されている。また、ポートAは、加圧室26に接続され、ポートBは、下方背圧室28に接続され、各ポートA,Bは、それぞれオリフィス37,38を介して作動液体の流れの上流側のバイパス路56に接続されているので、加圧室26および下方背圧室28内に作動液体を導くことができ、これにより、加圧室26および下方背圧室28内に圧力を負荷することができる。そして、下方背圧室28は上述の通り、上方背圧室27と連通しているので、上方背圧室27にも圧力を負荷することが可能である。
【0055】
さらに、上流側のバイパス路56にそれぞれ接続されるオリフィス37,38は、その開口面積がオリフィス37の方がオリフィス38より大きくなるように設定されている。すなわち、加圧室26に接続されるオリフィス37の開口面積の方が、下方背圧室28に接続されるオリフィス38の開口面積より大きくなっている。この、オリフィス37,38が差圧発生手段であり、オリフィスの持つ圧力降下特性により、加圧室26と上方および下方の背圧室27,28に負荷する圧力に差を生じさせることができる。なお、オリフィス37とオリフィス38の開口面積の差は充分大きくしておくことが好ましい。差が小さすぎると、充分に差圧を発生させることができないからである。
【0056】
また、ポートDが接続されるピストンケース31は、その内部に拡径部41を設けた円筒状のフリーピストンFが摺動自在に挿入されており、このフリーピストンFはピストンケース31の図1中上方に向けて附勢バネ32により附勢されている。なお、フリーピストンFは、拡径部41がピストンケース31内に摺接していることから、その拡径部41より図1中上方側には必ず隙間が確保され、この隙間でリザーバ33を形成している。すなわち、ピストンケース31内には、フリーピストンFによりリザーバ33が区画されており、このリザーバ33はポートDに接続されている。そして、フリーピストンFがピストンケース31の最上部に位置する状態で、このリザーバ33とポートDとが接続状態を保てるようになっている。
【0057】
また、ピストンケース31の図1中下端側は、開口しており、この実施の形態においては、大気の出入りを可能としているが、附勢バネ32のバネ力を補うために下端側を封止してピストンケース31内のフリーピストンFより図1中下方に形成される空間(付示せず)に気体を封入するとしてもよいし、また、附勢バネ32を設ける代わりに、加圧した気体を封入してフリーピストンFをピストンケース31の図1中上方に附勢するとしてもよい。
【0058】
さて、以上のように構成されたロックシリンダL1およびスタビライザ装置の作用について説明する。
【0059】
まず、車両が走行中に旋回し、車体にローリングが発生した場合について説明する。車体にローリングが発生すると、コントローラなどがローリングを抑制するために、スタビライザ装置を機能させる。すなわち、開閉弁60に、電流供給をストップする。したがって、ロックシリンダL1の開閉弁60は、遮断ポジション61を採ることとなる。すると、通路51は、開閉弁60により遮断されることとなり、ロックシリンダL1のピストン3がシリンダ4に対して、図1中上方もしくは下方に移動しようとしても、上述のように通路51は、開閉弁60により遮断されているので、作動液体は上記通路51を通過することはできない。他方、バイパス路56が通路50と通路51との間に接続されているので、このバイパス路56を作動液体が通過しようとする。このとき、ピストン3のシリンダ4に対する移動速度が遅い場合には、すなわち、ロックシリンダL1に所定の周波数を超えない低い周波数の振動が入力される場合には、バイパス路56に接続されている各オリフィス37,38は開口面積が異なるので、開口面積が大きいオリフィス37の発生する圧力損失より開口面積が小さいオリフィス38が発生する圧力損失の方が、その圧力降下特性から大きくなるが、ピストン3の移動周波数が低い場合には、各圧力損失には大きな差が出ない。すなわち、加圧室26内の圧力と上方および下方の背圧室27,28内の圧力には、大きな差が生じない。すると、加圧室26内に負荷される圧力の方が若干大きくなるのでスプール20をバルブケース10に対して 図1中下方に押すが、その移動量は僅かとなるので、上方および下方のランド部21,22がそれぞれポートC,Dに対向したままとなり、結果的に、作動液体は流路たるポートCおよびポートDを通過し得ないので、作動液体は、第1室71から第2室72へ、もしくは、第2室72から第1室71へ、移動しえなくなるので、ピストン3はシリンダ4に対して移動し得ない状態、すなわち、シリンダロック状態となる。
【0060】
すると、ロックシリンダL1は、伸縮しえない棒状となるので、スタビライザSは、車体のローリングにより捩られ、この捩れに対し反力を生じ、この反力で車体のローリングを抑制する。このとき、ロックシリンダL1は、ピストン3がシリンダ4に対しどこの位置にあっても、開閉弁60を遮断ポジション61とすることでその場でシリンダロック状態とすることができ、いわゆる伸び切り状態にならないと、伸長不能な状態、いわゆるシリンダロック状態とならない従来のスタビライザ装置と比較して、タイムラグなしにスタビライザ機能を発現させることができる。
【0061】
つづいて、車両が走行中に旋回して車体がローリングした状態において、車輪が小突起や小さい溝を乗り越える場合について説明する。このとき、上述のように、コントローラなどがローリングを抑制するために、スタビライザ装置を機能させているので、開閉弁60に、電流供給をストップした状態である。したがって、ロックシリンダL1の開閉弁60は、遮断ポジション61を採ることとなる。すると、通路51は、開閉弁60により遮断されることとなり、ロックシリンダL1のピストン3がシリンダ4に対して、図1中上方もしくは下方に移動しようとしても、上述のように通路51は、開閉弁60により遮断されているので、作動液体は上記通路51を通過することはできない。他方、バイパス路56が通路50と通路51との間に接続されているので、このバイパス路56を作動液体が通過しようとする。このとき、車輪には高い周波数の振動が入力されるので、この振動に伴いピストン3のシリンダ4に対する移動速度が早くなる。つまり、ロックシリンダL1に対し車輪には高い周波数の振動が入力に応じて、高い周波数の振動が入力されるが、所定の振動周波数の振動が入力されると、バイパス路56に接続されている各オリフィス37,38は開口面積が異なるので、開口面積が大きいオリフィス37の発生する圧力損失より開口面積が小さいオリフィス38が発生する圧力損失の方が、その圧力降下特性から大きくなり、各圧力損失には大きな差が生じる。すなわち、加圧室26内の圧力と上方および下方の背圧室27,28内の圧力には、大きな差を生じ、加圧室26内に負荷される圧力の方が大きくなるのでスプール20をバルブケース10に対して図1中下方に押し、上方および下方のランド部21,22がそれぞれポートC,Dに対向し得ない位置まで移動し、加圧室26内に導かれた作動液体は流路たるポートCを通過し、バイパス路52を通過して、通路53,55を介して第1室71から第2室72内に移動することとなる。他方、上方および下方の背圧室27,28内に導かれた作動液体は、ポートDが開方されるので、リザーバ33内に流入する。
【0062】
すなわち、作動液体は、このバイパス路56,52を介して、遮断されている通路51を迂回して第1室71から第2室72へ流入することが可能となる。すると、このロックシリンダL1にあっては、車体がローリング状態となって、開閉弁60が通路51を遮断した状態であっても、車輪が小突起や小さい溝などを乗り越えるような所定の周波数の過渡的な振動が作用した場合には、ショック低減機構Kがバイパス路56,52を開放して、第1室71と第2室72とを連通させるので、この場合には、作動液体の流れは妨げられず、結果的に、ピストン3がシリンダ4に対して上下に自由に移動することができるようになり、伸縮自由な状態、すなわち、シリンダフリー状態となる。なお、ロックシリンダL1は、車輪が小突起や小さい溝などを乗り越えるような所定の周波数の過渡的な振動が作用した場合には、その振動がピストン3をシリンダ4に対してどちらに移動させようとも、作動液体の流れはバイパス路56を上流として、ショック低減機構Kを通過するから、スタビライザSの一端と車軸側との間に1つ介装されれば、左右どちらの車輪に上述のような過渡的な振動が入力されれば、シリンダフリー状態となるのである。
【0063】
すると、スタビライザSは、ロックシリンダL1がシリンダフリー状態となるので、スタビライザSは捩られなくなるので、スタビライザSは反力を生じえず、スタビライザ機能は減殺され、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動によるショックが低減される。ここで、所定の周波数の振動は、車輪が小突起や小さい溝を乗り越える場合にロックシリンダL1に入力される振動に設定されるが、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動によるショックを低減可能なように、あらかじめ、車種、車格によって最適となるように設定される。
【0064】
なお、車輪が小突起や小さい溝等を乗り越えた後には、所定の周波数の振動の入力が解消され、加圧室26内と上方および下方の背圧室27,28内の圧力差が小さくなるので、スプール20は、附勢バネ30のバネ力で元の位置まで押し戻される。すると、シリンダロック状態となり、今度は、スタビライザ機能が作用するようになる。
【0065】
また、上記のスプール20の動作、すなわち、所定の周波数の過渡的な振動が入力されたときにポートC,Dを開放して、当該振動の解消時にポートC,Dを遮断する一連の動作は車体がローリング中に行われ、長時間に渡り、シリンダフリー状態となると、車体のローリングを増長してしまうことになるので、スプール20の上記動作は瞬時に行われる必要があるが、ポートDはリザーバ33に接続しているので、スプール20がバルブケース10に対して図1中下方に移動する際には、ポートDから作動液体がリザーバ33内に流入するので、この点でスプール20の動きを妨げることが防止され、また、リザーバ33内に流入した作動液体は、附勢バネ32で附勢されたフリーピストンFにより加圧されると同時に、加圧室26内の作動液体がポートCからバイパス路52へ排出され加圧室26内の圧力は下降するので、所定の周波数の振動の過渡的な入力が解消すると速やかにスプール20を元の位置に戻して、ポートC,Dを遮断することができ、これにより、スプール20の一連の動作を短時間のうちに終了することができる。
【0066】
したがって、車体がローリングした状態となった場合に、車輪が小突起や小さい溝等を乗り越えるときのみの短時間内に、スタビライザ機能を減殺することができ、これにより、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックを和らげ、車両における乗り心地を向上することができ、シリンダフリーとなるのは、短時間であるので、車体のローリング量をいたずらに増加させることも防止されている。
【0067】
また、さらに、スプール20と附勢バネ30の固有振動数を、いわゆる車両のバネ下共振周波数に一致させておくとよい。これは、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動は、バネ下共振周波数およびその近傍の周波数域の振動となるので、スプール20と附勢バネ30の固有振動数を、いわゆる車両のバネ下共振周波数に一致させることによって、所定の周波数の振動の過渡的な入力時にスプール20がポートC,Dを開きやすくなるからである。すると、上述のような振動の入力時に、ポートC,Dが開きやすくなるので、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックをより一層和らげ、車両における乗り心地をより一層向上することができる。
【0068】
なお、ここで、加圧室26と上方および下方の背圧室27,28との差圧で、スプール20をバルブケース10に対して下方に移動させることにより、スプール20の上方および下方のランド部21,22がポートC,Dから対抗し得なくなることは、上述したとおりであるが、上方および下方のランド部21,22の幅、附勢バネ30のバネ定数、各ポートC,Dの開口面積を適宜調整して車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動の過渡的な入力のうち最小レベルの入力でポートCおよびポートDを開放できるようにしておくとよい。こうしておくことで、一層乗り心地が向上する。
【0069】
また、フリーピストンFを附勢する附勢バネ32のバネ定数であるが、バネ定数を低くすればするほど、上方および下方の背圧室27,28からリザーバ33へ作動液体が移動しやすくなるので、高い周波数の振動の過渡的な入力時のショックを低減する効果は高くなるが、反面、フリーピストンFのストロークが大きくなり、ピストンケース31が大型化するので、車体の取付スペースによって、適宜附勢バネ32のバネ定数を調整するとよい。ちなみに、ピストンケース31の図1中縦方向の長さは、フリーピストンFが最大ストロークしてしまうと、円滑なスプール20の移動を妨げてしまうので、通常使用される範囲でフリーピストンFが最大ストロークすることがないような長さに設定される。
【0070】
さらに、車体がローリングした状態で小突起や小さい溝の乗り越しがない場合にも、若干スプール20がバルブケース10内を移動しえるので、特に、車体が最大限にローリングした場合にシリンダ4内に生じる圧力によって、スプールが移動して、ポートDが開放することがないように設定しておくとこが望ましい。このような状態で、ポートDが開放されてしまうと、上方および下方の背圧室27,28内の圧力が下降して、スプール20の移動が増長されてさらにスプール20が図1中下方に移動することとなり、ポートCも開放状態となることによって、シリンダフリー状態となるので、ローリングを抑制する事ができなくなるからである。
【0071】
他方、車両が平坦路を直進している場合には、開閉弁60にはコントローラから電流供給がなされ、これにより、開閉弁60は連通ポジション62を採り、通路51は開放される。すると、作動液体の流れは妨げられることなく、第1室71から第2室72へ、もしくは、第2室72から第1室71へ、補償室73から第2室72へ向う作動液体の流れは、一方通行ではあるが、自由となって、結果的にロックシリンダL1は、伸縮自由、すなわち、シリンダフリー状態となる。このとき、ショック低減機構Kは所定の周波数の振動が入力され作動することはあっても、もともとシリンダフリー状態であるので、結果的に、ショック低減機構Kは、この場合にはロックシリンダL1の作用には何等影響を与えない。したがって、スタビライザSは、ロックシリンダL1がシリンダフリー状態であるので、捩られる事は無く、反力が発生しないので、この場合に、スタビライザ機能が作用して、車両における乗り心地を悪化させることはない。
【0072】
したがって、本発明のロックシリンダおよびスタビライザ装置によれば、従来のスタビライザ装置のように、スタビライザの両端および左右車軸側の間にロックシリンダを介装する必要がなく、コスト的に有利であり、スタビライザ装置の重量も軽量なものとすることができる。
【0073】
また、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、装置全体の大型化が避けられるとともに、軽量化、低コスト化ができるので、車両への搭載性も向上する。
【0074】
さらに、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、油圧源の消費出力も無くて済み、車両の走行力不足という弊害が防止できる。
【0075】
また、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときのショックを和らげるのに際して、コントロールユニットやセンサ類を全く必要としないから、この点でも低コスト化が図れることとなるとともに、電波障害や外乱による誤動作の心配もない。
【0076】
また、開閉弁60に何らかの理由で電流が供給されない状態となった時には、開閉弁60は遮断ポジション61を採りつづけるので、フェールセーフ時にもスタビライザ機能を発現しつづけることができ、かつ、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときのショックを和らげることも可能である。
【0077】
つづいて、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態におけるスタビライザ装置は、図3に示すロックシリンダL2を、第1の実施の形態と同様に、スタビライザSの一端と、車両の左右いずれかの一方の車軸側との間に介装したものである。また、第2の実施の形態においては、ロックシリンダL2は、いわゆる両ロッド型に設定されており、シリンダ104が車軸側に連結されるとともに、ロッド101の一端がスタビライザSの一端に連結されており、すなわち、このスタビライザ装置にあっても、上記ロックシリンダL2が、伸縮不能な状態、いわゆるシリンダロック状態となった場合には、スタビライザSは、車体がローリング状態となると、捩られるので反力を生じて、車体のローリングを抑制し、逆に、ロックシリンダL1が伸縮可能な状態、すなわち、シリンダフリー状態となると、スタビライザSは捩られることがなくなるので、スタビライザ機能が減殺されることとなる。
【0078】
なお、説明の都合上、第1の実施の形態と同様の部材については、同一の符号を付するのみとして、その詳しい説明を省略することとする。
【0079】
第2の実施の形態のスタビライザ装置におけるロックシリンダL2は、いわゆる両ロッド型に設定されており、このことから、通路、バイパス路の配置、ショック低減機構Kおよび開閉弁60の配置箇所が第1の実施の形態と異なっている。なお、ショック低減機構Kおよび開閉弁60については、第1の実施の形態と同様である。
【0080】
このロックシリンダL2は、図3に示すように、シリンダ104と、シリンダ1 04内に摺動自在に挿入された隔壁部材たるピストン103と、隔壁部材たるピストン3から両端側に延設されるロッド101と、シリンダ4内にピストン103で隔成した第1室171と第2室172と、第1室171と第2室172とを連通する通路151と、通路151を開放もしくは遮断する開閉弁60と、第1室71と第2室72とを連通するバイパス路150,152、153,154と、バイパス路152,153の途中に所定の周波数の振動入力時にのみ当該バイパス路152,153を開放する常閉型のショック低減機構Kとで構成されており、他方、スタビライザSは、第1の実施の形態と同様の構成である。
【0081】
以下、各部について詳細に説明すると、シリンダ104は、円筒状に形成され、その内部にはピストン103が摺動自在に挿入されており、また、ピストン103の両端側にはロッド101が延設されている。そして、シリンダ104の図3中上下端は、ロッド101を摺動自在に支持するロッドガイド111,112で封止され、シリンダ104内には作動油等の作動液体が充填されている。
【0082】
ピストン103には、第1室171と第2室172とを連通する通路151が設けられ、さらに、この通路151の途中には、開閉弁60が設けられている。なお、通路151は第1室171と第2室172とを連通していれば良く、したがって、ピストン部に設けずに、シリンダ104の外方に設けてもよい。当然であるが、この場合には、開閉弁60もシリンダ104の外方に設けられる。
【0083】
さらに、第1室171と第2室172とは、バイパス路150,152,153,154を介して連通しており、詳しくは、バイパス路152は第1室171および第2室172を連通するとともに、ロッドガイド111およびロッドガイド112に設けられた逆止弁114,116によって、バイパス路152側から第1室171および第2室172へ向う作動液体の流れは阻止されている。すなわち、作動液体は、第1室171および第2室172からバイパス路152へ流入することのみ許容されている。また、バイパス路150は、第1室171に接続されているが、ロッドガイド111に設けられた逆止弁113によって、第1室171からバイパス路150側へ向う作動液体の流れは阻止されている。すなわち、作動液体は、バイパス路150から第1室171へ流入することのみ許容されている。さらに、バイパス路154は、第2室172に接続されているが、ロッドガイド112に設けられた逆止弁115によって、第2室172からバイパス路154側へ向う作動液体の流れは阻止されている。すなわち、作動液体は、バイパス路154から第2室172へ流入することのみ許容されている。そして、バイパス路150およびバイパス路154の間にバイパス路153が接続されている。
【0084】
上記開閉弁60は、ロックシリンダL2の外部から供給される電流の入力時に通路151を開放するとともに、電流の解消時に附勢バネ64のバネ力で通路151を遮断する常閉型のソレノイドバルブであって、ソレノイド63に電流を供給すると附勢バネ64のバネ力に抗して通路151を開放する連通ポジション62と、電流の解消時に附勢バネ64のバネ力で通路151を遮断する遮断ポジション61とを有している。
【0085】
すなわち、第2の実施の形態におけるスタビライザ装置のロックシリンダL2にあっても、開閉弁60が連通ポジション62をとる場合、シリンダ104に対しピストン103が図3中上方に移動する時には、第1室171内の圧力が高まり、第1室171内の作動液体は、第2室172内に通路151を介して移動し、逆に、シリンダ104に対しピストン103が図3中下方に移動する時には、第2室172内の圧力が高まり、第2室172内の作動液体は、通路151を介して第1室171内に移動することとなる。したがって、この場合には、シリンダ104に対しピストン103がどちらの方向に移動しても、作動液体の流れ妨げられずに、ロックシリンダL2は自由に伸縮する状態、すなわち、シリンダフリー状態となる。
【0086】
また、この開閉弁60は、外部から供給される電流の有無により遮断ポジション61と連通ポジション62とに切換え可能であるが、この電流は、第1の実施の形態と同様に、たとえば、ECUのようなコントローラから供給される。
【0087】
つづいて、ショック低減機構Kについて説明する。ショック低減機構Kは、バイパス路152とバイパス路153との間に設けられており、上述の通り、バイパス路152には、逆止弁114,116により第1室171もしくは第2室172からバイパス路152内に作動液体が流入しえるが逆流はせず、バイパス路153はバイパス路150,154に接続され、かつ、バイパス路150およびバイパス路154は、第1室171および第2室172からバイパス路150,154内へは逆止弁113,115により作動液体が流入することできない。すなわち、バイパス路152は必ず作動液体の流れの上流となり、バイパス路153は下流となる。
【0088】
そして、ショック低減機構Kは上流側のバイパス路152側に差圧発生手段たるオリフィス37,38を介して接続され、下流側のバイパス路153側にポートCが接続されている。
【0089】
さて、以上のように構成されたロックシリンダL2およびスタビライザ装置の作用について説明する。
【0090】
まず、車両が走行中に旋回し、車体にローリングが発生した場合について説明する。車体にローリングが発生すると、コントローラなどがローリングを抑制するために、スタビライザ装置を機能させる。すなわち、開閉弁60に、電流供給をストップする。したがって、ロックシリンダL2の開閉弁60は、遮断ポジション61を採ることとなる。すると、通路151は、開閉弁60により遮断されることとなり、ロックシリンダL2のピストン103がシリンダ104に対して、図3中上方もしくは下方に移動しようとしても、上述のように通路151は、開閉弁60により遮断されているので、作動液体は上記通路151を通過することはできない。他方、バイパス路152を作動液体が通過しようとする。このとき、ピストン103のシリンダ104に対する移動速度が遅い場合には、すなわち、ロックシリンダL2に対し所定の周波数を超えない低い振動の入力があった場合には、バイパス路152に接続されている各オリフィス37,38は開口面積が異なるので、開口面積が大きいオリフィス37の発生する圧力損失より開口面積が小さいオリフィス38が発生する圧力損失の方が、その圧力降下特性から大きくなるが、ピストン3の移動周波数が低い場合には、各圧力損失には大きな差が出ない。すなわち、加圧室26内の圧力と上方および下方の背圧室27,28内の圧力には、大きな差が生じない。すると、加圧室26内に負荷される圧力の方が若干大きくなるのでスプール20をバルブケース10に対して図3中下方に押すが、その移動量は僅かとなるので、上方および下方のランド部21,22がそれぞれポートC,Dに対向したままとなり、結果的に、作動液体は流路たるポートCおよびポートDを通過し得ないので、作動液体は、第1室171から第2室172へ、もしくは、第2室172から第1室171へ移動しえなくなるので、ピストン103はシリンダ104に対して移動し得ない状態、すなわち、シリンダロック状態となる。
【0091】
すると、ロックシリンダL2は、伸縮しえない棒状となるので、スタビライザSは、車体のローリングにより、捩られるので、この捩れに対し反力を生じ、この反力で車体のローリングを抑制する。このとき、ロックシリンダL2は、ピストン103がシリンダ104に対しどこの位置にあっても、開閉弁60を遮断ポジション61とすることでその場でシリンダロック状態とすることができ、いわゆる伸び切り状態にならないと、伸長不能な状態、いわゆるシリンダロック状態とならない従来のスタビライザ装置と比較して、タイムラグなしにスタビライザ機能を発現させることができる。
【0092】
つづいて、車両が走行中に旋回して車体がローリングした状態において、車輪が小突起や小さい溝を乗り越える場合について説明する。このとき、上述のように、コントローラなどがローリングを抑制するために、スタビライザ装置を機能させているので、開閉弁60に、電流供給をストップした状態である。したがって、ロックシリンダL2の開閉弁60は、遮断ポジション61を採ることとなる。すると、通路151は、開閉弁60により遮断されることとなり、ロックシリンダL2のピストン103がシリンダ104に対して、図3中上方もしくは下方に移動しようとしても、上述のように通路151は、開閉弁60により遮断されているので、作動液体は上記通路151を通過することはできない。他方、バイパス路152を作動液体が通過しようとする。このとき、車輪には高い周波数の振動が入力されるので、この振動に伴いピストン103のシリンダ104に対する移動速度が早くなる、つまり、ロックシリンダL2に対し車輪には高い周波数の振動が入力に応じて、高い周波数の振動が入力されるが、所定の振動周波数の振動が入力されると、バイパス路152に接続されている各オリフィス37,38は開口面積が異なるので、開口面積が大きいオリフィス37の発生する圧力損失より開口面積が小さいオリフィス38が発生する圧力損失の方が、その圧力降下特性から大きくなり、各圧力損失には大きな差が生じる。すなわち、加圧室26内の圧力と上方および下方の背圧室27,28内の圧力には、大きな差を生じ、加圧室26内に負荷される圧力の方が大きくなるのでスプール20をバルブケース10に対して図3中下方に押し、上方および下方のランド部21,22がそれぞれポートC,Dに対向し得ない位置まで移動し、加圧室26内に導かれた作動液体は流路たるポートCを通過し、バイパス路153を通過して、バイパス路150もしくはバイパス路154を介して第1室171から第2室172内もしくは第2室172から第1室171内に移動することとなる。このとき、第1室171もしくは第2室172のうちシリンダ104内の加圧されている側の室内の圧力は上昇しているので、圧力損失によって減圧された作動液体は、加圧されている側の室内の圧力により加圧されている側の室内に接続されている逆止弁113もしくは逆止弁115を押し開くことはできないので、必然的に、減圧されている側の室内に導かれることとなる。
【0093】
すなわち、作動液体は、このバイパス路152,153およびバイパス路150もしくはバイパス路154を介して、遮断されている通路151を迂回して第1室171から第2室172へもしくは第2室172から第1室171内へ流入することが可能となる。すると、このロックシリンダL2にあっては、車体がローリング状態となって、開閉弁60が通路151を遮断した状態であっても、車輪が小突起や小さい溝などを乗り越えるような所定の周波数の過渡的な振動が作用した場合には、ショック低減機構Kがバイパス路152,153を開放して、第1室171と第2室172とを連通させるので、この場合には、作動液体の流れは妨げられず、結果的に、ピストン103がシリンダ104に対して上下に自由に移動することができるようになり、伸縮自由な状態、すなわち、シリンダフリー状態となる。なお、ロックシリンダL2は、車輪が小突起や小さい溝などを乗り越えるような所定の周波数の過渡的な振動が作用した場合には、その振動がピストン103をシリンダ104に対してどちらに移動させようとも、作動液体の流れはバイパス路152を上流として、ショック低減機構Kを通過するから、スタビライザSの一端と車軸側との間に1つ介装されれば、左右どちらの車輪に上述のような過渡的な振動が入力されれば、シリンダフリー状態となるのである。
【0094】
すると、スタビライザSは、ロックシリンダL1がシリンダフリー状態となるので、スタビライザSは捩られなくなるので、スタビライザSは反力を生じえず、スタビライザ機能は減殺され、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動によるショックが低減される。ここで、所定の周波数の振動は、第1の実施の形態と同様に、車輪が小突起や小さい溝を乗り越える場合にロックシリンダL1に入力される振動に設定されるが、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動によるショックを低減可能なように、あらかじめ、車種、車格によって最適となるように設定される。
【0095】
したがって、車体がローリングした状態となった場合に、車輪が小突起や小さい溝等を乗り越えるときのみの短時間内に、スタビライザ機能を減殺することができ、これにより、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックを和らげ、車両における乗り心地を向上することができ、シリンダフリーとなるのは、短時間であるので、車体のローリング量をいたずらに増加させることも防止されている。
【0096】
なお、ショック低減機構Kの調整等については、上述の第1の実施の形態と同様である。
【0097】
他方、車両が平坦路を直進している場合には、開閉弁60にはコントローラから電流供給がなされ、これにより、開閉弁60は連通ポジション62を採り、通路151は開放される。すると、作動液体の流れは妨げられることなく、第1室171から第2室172へ、もしくは、第2室172から第1室171へ向う作動液体の流れは、自由となって、結果的にロックシリンダL2は、伸縮自由、すなわち、シリンダフリー状態となる。このとき、ショック低減機構Kは所定の周波数以上の高い振動周波数の振動が入力され作動することは合っても、もともとシリンダフリー状態であるので、結果的に、ショック低減機構Kは、この場合にはロックシリンダL2の作用には何等影響を与えない。したがって、スタビライザSは、ロックシリンダL2がシリンダフリー状態であるので、捩られる事は無く、反力が発生しないので、この場合に、スタビライザ機能が作用して、車両における乗り心地を悪化させることはない。
【0098】
したがって、この実施の形態にあっても、第1の実施の形態と同様に、従来のスタビライザ装置のように、スタビライザの両端および左右車軸側の間にロックシリンダを介装する必要がなく、コスト的に有利であり、スタビライザ装置の重量も軽量なものとすることができる。
【0099】
また、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、装置全体の大型化が避けられるとともに、軽量化、低コスト化ができるので、車両への搭載性も向上する。
【0100】
さらに、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、油圧源の消費出力も無くて済み、車両の走行力不足という弊害が防止できる。
【0101】
また、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときのショックを和らげるのに際して、コントロールユニットやセンサ類を全く必要としないから、この点でも低コスト化が図れることとなるとともに、電波障害や外乱による誤動作の心配もない。
【0102】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【0103】
【発明の効果】
請求項1、2の発明によれば、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる所定の振動周波数の振動がロックシリンダに入力されると、ロックシリンダがシリンダフリー状態となるので、スタビライザは捩られなくなるので、スタビライザは反力を生じえず、スタビライザ機能を減殺することができ、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動によるショックが低減される。
【0104】
同じく、従来のロックシリンダのように、スタビライザの両端および左右車軸側の間に介装する必要がなく、コスト的に有利であり、スタビライザ装置としての重量も軽量なものとすることができる。
【0105】
同じく、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、装置全体の大型化が避けられるとともに、軽量化、低コスト化ができるので、車両への搭載性も向上する。
【0106】
同じく、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、油圧源の消費出力も無くて済み、車両の走行力不足という弊害が防止できる。
【0107】
同じく、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときのショックを和らげるのに際して、コントロールユニットやセンサ類を全く必要としないから、この点でも低コスト化が図れることとなるとともに、電波障害や外乱による誤動作の心配もない。
【0108】
同じく、背圧室側のポートはリザーバに接続してあり、スプールがバルブケースに対して下方に移動する際には、当該ポートから作動液体がリザーバに流入するので、この点でスプールの動きを妨げることが防止され、また、リザーバ内に流入した作動液体は、附勢されたフリーピストンにより加圧されると同時に、加圧室内の作動液体が流路たるポートからバイパス路へ排出され加圧室内の圧力は下降するので、所定の周波数の振動の過渡的な入力が解消すると速やかにスプールを元の位置に戻して、各ポートを遮断することができ、これにより、スプールの一連の動作を短時間のうちに終了することができる。
【0109】
したがって、車体がローリングした状態となった場合に、車輪が小突起や小さい溝等を乗り越えるときのみの短時間内に、スタビライザ機能を減殺することができ、これにより、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックを和らげ、車両における乗り心地を向上することができ、シリンダフリーとなるのは、短時間であるので、車体のローリング量をいたずらに増加させることも防止されている。
【0110】
請求項2の発明によれば、スプールと附勢バネの全体の固有振動数を、いわゆる車両のバネ下共振周波数に一致させたので、所定の周波数の振動の過渡的な入力時にスプールが各ポートを開きやすくなり、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックをより一層和らげ、車両における乗り心地をより一層向上することができる。
【0111】
請求項3、4の発明によれば、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる所定の振動周波数の振動がロックシリンダに入力されると、ロックシリンダがシリンダフリー状態となるので、スタビライザは捩られなくなるので、スタビライザは反力を生じえず、スタビライザ機能を減殺することができ、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときに生じる振動によるショックが低減される。
【0112】
同じく、従来のスタビライザ装置のように、スタビライザの両端および左右車軸側の間にロックシリンダを介装する必要がなく、コスト的に有利であり、スタビライザ装置としての重量も軽量なものとすることができる。
【0113】
同じく、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、装置全体の大型化が避けられるとともに、軽量化、低コスト化ができるので、車両への搭載性も向上する。
【0114】
同じく、特にロックシリンダを駆動するポンプ等の油圧源を使用しないので、油圧源の消費出力も無くて済み、車両の走行力不足という弊害が防止できる。
【0115】
同じく、車輪が小突起や小さい溝を乗り越えるときのショックを和らげるのに際して、コントロールユニットやセンサ類を全く必要としないから、この点でも低コスト化が図れることとなるとともに、電波障害や外乱による誤動作の心配もない。
【0116】
同じく、背圧室側のポートはリザーバに接続してあり、スプールがバルブケースに対して下方に移動する際には、当該ポートから作動液体がリザーバに流入するので、この点でスプールの動きを妨げることが防止され、また、リザーバ内に流入した作動液体は、附勢されたフリーピストンにより加圧されると同時に、加圧室内の作動液体が流路たるポートからバイパス路へ排出され加圧室内の圧力は下降するので、所定の周波数の振動の過渡的な入力が解消すると速やかにスプールを元の位置に戻して、各ポートを遮断することができ、これにより、スプールの一連の動作を短時間のうちに終了することができる。
【0117】
したがって、車体がローリングした状態となった場合に、車輪が小突起や小さい溝等を乗り越えるときのみの短時間内に、スタビライザ機能を減殺することができ、これにより、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックを和らげ、車両における乗り心地を向上することができ、シリンダフリーとなるのは、短時間であるので、車体のローリング量をいたずらに増加させることも防止されている。
【0118】
請求項4の発明によれば、スプールと附勢バネの全体の固有振動数を、いわゆる車両のバネ下共振周波数に一致させたので、所定の周波数の振動の過渡的な入力時にスプールが各ポートを開きやすくなり、車両が旋回中に小突起や小さい溝等を乗り越えるときに生じる振動によるショックをより一層和らげ、車両における乗り心地をより一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施の形態のスタビライザ装置におけるロックシリンダを示す略示縦断面図である。
【図2】 この発明の第1の実施の形態におけるスタビライザ装置を示す斜視図である。
【図3】 この発明の第2の実施の形態のスタビライザ装置におけるロックシリンダを示す略示縦断面図である。
【符号の説明】
1,101 ロッド
3,103 隔壁部材たるピストン
4,104 シリンダ
10 バルブケース
20 スプール
21 上方ランド部
22 下方ランド部
23 中空孔
24 孔
26 加圧室
27 上方背圧室
28 下方背圧室
30 附勢バネ
31 ピストンケース
33 リザーバ
37,38 オリフィス
50,51,53,55,151 通路
52,56,150,152,153,154 バイパス路
60 開閉弁
71,171 第1室
72,172 第2室
A,B,D ポート
C 流路たるポート
F フリーピストン
K ショック低減機構
L1,L2 ロックシリンダ
S スタビライザ
Claims (4)
- シリンダ4と、シリンダ4内に隔壁部材3で隔成した第1室71と第2室72と、第1室71と第2室72とを連通する通路50、51、53、55と、通路50、51、53、54を遮断することでシリンダロック状態とし、通路50、53、54を開放することでシリンダフリー状態とする開閉弁60と、上記通路に並列に接続して第1室71と第2室72とを連通するバイパス路52と、バイパス路52の途中に設けられて所定の周波数の振動入力時にのみ当該バイパス路52を開放する常閉型のショック低減機構Kとを備えているロックシリンダにおいて、上記ショック低減機構Kが上記バイパス路2の途中に設けられた中空なバルブケース10と、バルブケース10内をランド部で加圧室26と背圧室とに区画すると共に所定の周波数の振動入力時に加圧室26と背圧室との差圧によりバルブケース10内を摺動して上記バイパス路52を開放するスプール20と、差圧発生手段とを備え、上記差圧発生手段を加圧室26とバイパス路52の上流側とを接続する第1のオリフィス37と、背圧室とバイパス路52の上流側とを接続する第2のオリフィス38とから構成すると共に第1のオリフィス37の開口面積を第2のオリフィス38の開口面積より大きくし、上記スプール20をバルブケース10内を加圧室26と背圧室とに区画する上方ランド部21と、上記背圧室を上方背圧室27と下方背圧室28とに区画する下方ランド部22と、下方背圧室側28から開口する中空孔23と、当該中空孔23と上方背圧室27とを連通する孔24とで構成し、当該スプール20はバルブケース10内に下方背圧室28側から附勢バネ30で附勢されて挿入され、更に、バルブケース10の側部に上方ランド部21に対向する加圧室側のポートCと下方ランド部22に対向する背圧室側のポートDとを設け、加圧室側のポートCを流路として上記バイパス路52の下流側に接続させ、背圧室のポートDをピストンケース31内に附勢されたフリーピストン41で隔成したリザーバ33に接続させたことを特徴とするロックシリンダ。
- スプールと附勢バネの全体としての固有振動数を車両におけるバネ下共振周波数に一致するようにした請求項1に記載のロックシリンダ。
- 車体に回動自在に支持され、その一端が左右いずれかの車軸側に連結され、他端がロックシリンダL2を介して他方の車軸側に連結され、このロックシリンダL2が、車軸側もしくはスタビライザSの一方に連結されるシリンダ104と、端部に車軸側もしくはスタビライザSの他方に連結されシリンダ104内に隔壁部材を介して移動自在に挿通されたロッド101と、シリンダ104内に隔壁部材で隔成した第1室171と第2室172と、第1室171と第2室172とを連通する通路150、154と、通路150、154を遮断することでシリンダロック状態としてスタビライザ機能を発揮し、通路150、154を開放することでシリンダフリー状態としてスタビライザ機能を減殺する開閉弁60と、上記通路150、154に並列に接続して第1室171と第2室172とを連通するバイパス路153と、バイパス路153の途中に設けられて所定の周波数の振動入力時にのみ当該バイパス路153を開放する常閉型のショック低減機構Kとを備えているスタビライザ装置において、上記ショック低減機構Kが上記バイパス路153の途中に設けられた中空なバルブケース10と、バルブケース10内をランド部で加圧室26と背圧室とに区画すると共に所定の周波数の振動入力時に加圧室26と背圧室との差圧によりバルブケース10内を摺動して上記バイパス路153を開放するスプール20と、差圧発生手段とを備え、上記差圧発生手段を加圧室26とバイパス路153の上流側とを接続する第1のオリフィス37と、背圧室とバイパス路153の上流側とを接続する第2のオリフィス38とから構成すると共に第1のオリフィス37の開口面積を第2のオリフィス38の開口面積より大きくし、上記スプール20をバルブケース10内を加圧室26と背圧室とに区画する上方ランド部21と、上記背圧室を上方背圧室27と下方背圧室28とに区画する下方ランド部22と、下方背圧室側28から開口する中空孔23と、当該中空孔23と上方背圧室27とを連通する孔24とで構成し、当該スプール20は バルブケース10内に下方背圧室28側から附勢バネ30で附勢されて挿入され、更に、バルブケース10の側部に上方ランド部21に対向する加圧室側のポートCと下方ランド部22に対向する背圧室側のポートDとを設け、加圧室側のポートCを流路として上記バイパ
ス路153の下流側に接続させ、背圧室のポートDをピストンケース31内に附勢されたフリーピストン41で隔成したリザーバ33に接続させたことを特徴とするスタビライザ装置。 - スプールと附勢バネの全体としての固有振動数を車両におけるバネ下共振周波数に一致するようにした請求項3に記載のスタビライザ装置。
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