JP4910091B2 - 4位ハロゲン化ガラクトース含有糖鎖及びその応用 - Google Patents

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Description

本発明は医薬品等での応用が期待される4位ハロゲン化ガラクトース含有糖鎖(オリゴ糖)及び当該化合物の応用に関するものである。
生体内においては、糖供与体である糖ヌクレオチドと糖転移酵素によって、立体及び位置選択的に糖残基が逐次的に結合することにより多種多様な構造を有する糖鎖(オリゴ糖)が合成されている。例えば、ある細胞が癌化する際、新たな糖転移酵素の発現あるいは糖転移酵素群の量比に変化が生じ、糖鎖構造の一部が異変し、腫瘍マーカーへと糖鎖が伸長もしくは変化していくと考えられている。
従って、細胞表面に存在する糖鎖を人為的に改変することにより、細胞の持つ本来の性質や機能を変え得ることが期待され、その実証のために非天然型の新規な糖鎖を合成する試みが盛んに行われている。
非天然型の糖鎖の合成手段の1つとして、糖ヌクレオチドの糖部分の構造を変化させた非天然型糖ヌクレオチドを糖供与体とし、糖転移酵素反応により非天然型の糖鎖を合成する方法がある。
非天然型の糖ヌクレオチドとしては、糖の水酸基部分に類似の性質を有し、かつ不活性であるハロゲン原子を導入したものが考えられる。例えば、本発明者らは、生理活性糖鎖の不可欠な基本組成単位としてよく知られているN−アセチルグルコサミン又はN−アセチルガラクトサミンの水酸基部分にフッ素原子を導入したフッ素化アミノ糖ヌクレオチドを調製し、その性質を検討した(特許文献1)。
また、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルガラクトサミンと同様に、生理活性糖鎖における不可欠な基本組成であるガラクトースに関しても、4位フッ素化ガラクトース糖ヌクレオチド(非特許文献1、2)、4位以外の部位にフッ素を導入したガラクトース糖ヌクレオチドが調製されている(非特許文献3〜5)。
特開2004−168751号公報 J.Org.Chem.,59,6994−6998(1994) J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2375−2382(1997) Bioorg.Med.Chem.5,497−500(1997) Carbohydr.Res.,328,473−480(2000) Tetrahedron Letters.34.(40),6419−6422.(1993)
しかし、4位フッ素化ガラクトース糖ヌクレオチドは、単に当該糖ヌクレオチドを化学的に調製しただけにとどまり、この糖ヌクレオチドを利用して非天然型の糖鎖は合成されていない。また、ガラクトース残基の2位、3位又は6位をフッ素化したガラクトース糖ヌクレオチドは、非天然型の糖鎖合成に利用されるか否かの試験が行われているが、糖供与体として利用できる可能性は示唆されているものの、非天然型の糖鎖は現実には調製されていない。
このように、糖鎖伸長のストッパーとして本命視されている4位にフッ素を導入したガラクトース糖ヌクレオチドが、非天然型の糖鎖合成のための糖供与体として利用できるかどうか、仮に利用できるとした場合、調製した非天然型の糖鎖は転移酵素の阻害剤となりうるか否かは、当業者であっても全く予想できることではなかった。
本発明者らは、立体異性体であるグルコースと唯一異なる箇所であり、生体分子における糖鎖認識機構において重要な位置と考えられる4位の水酸基部分をターゲットとして、この4位の位置にハロゲン原子を導入したガラクトース糖ヌクレオチドを調製し、当該非天然型の糖ヌクレオチドを糖供与体とした場合の糖転移反応に関して詳細に検討を行った。
すなわち、もし、4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドが糖供与体として糖転移酵素による糖転移反応が可能であるならば、(1)このハロゲン化糖含有糖鎖が以降の糖鎖伸長のストッパーになることで、ガラクトースの4位結合を有する糖鎖で生体内における機能、役割についてほとんど不明であるグロボ系列のGb3、Gb4、あるいはガングリオシド系列のGM2(以降に生合成される糖脂質を含む)の機能、役割を解明することができ、(2)糖の水酸基と類似の性質を示し、不活性であるハロゲン化糖を含有した糖鎖を種々合成できるようになることから、ハロゲン化含有糖鎖とその天然型糖鎖を比較することで、糖鎖の生体内における機能、役割がより明確に解明することができるからである。
本発明者らの検討の結果、以下のことが明らかとなった。
(a)従来、4位以外の部位にフッ素を導入したガラクトース糖ヌクレオチドは酵母由来の2種類の酵素(ガラクトカイネースとガラクトース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ)を用いて調製されていたが、この方法を4位フッ素化ガラクトース糖ヌクレオチドの調製に応用した場合、収率がかなり低いことから、酵母由来以外の酵素を用いて検討した結果、細菌、特に大腸菌由来の酵素を用いることで、収率よく目的とする4位フッ素化ガラクトース糖ヌクレオチドを調製できること。
(b)本発明者らが先に調製したフッ素化アミノ糖ヌクレオチド(たとえば、ウリジン5’−(2−アセタミド−2,4−ジデオキシ−4−フルオロ−α−D−グルコピラノシル)ジホスフェート又はウリジン5’−(2−アセタミド−2,4−ジデオキシ−4−フルオロ−α−D−ガラクトピラノシル)ジホスフェート)は、転移酵素を用いた糖転移反応における糖供与体となり得なかったが、4位フッ素化ガラクトース糖ヌクレオチドは、意外にもガラクトース転移酵素が糖供与体として認識し、4位フッ素化ガラクトース含有糖鎖を容易に種々合成できること。
(c)4位フッ素化ガラクトース含有糖鎖に対して、シアル酸転移酵素によるシアル酸転移反応が阻害されること。
本発明者らは、上記知見をさらに発展させて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、4位ハロゲン化ガラクトース残基を末端に有するオリゴ糖を提供するものである。
また、本発明は、糖供与体として下記式(II)のハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドを用い、糖転移酵素により受容体糖化合物に4位ハロゲン化ガラクトース残基を転移することを特徴とする、4位ハロゲン化ガラクトース残基を末端に有するオリゴ糖の製造法を提供するものである。
Figure 0004910091
(上記式中、R〜Rは水酸基、アセチル基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、Xはハロゲン原子を示し、Mは水素イオン又は金属イオンを示す)
また、本発明は、4位ハロゲン化ガラクトース残基を末端に有するオリゴ糖を含有する転移酵素阻害剤を提供するものである。
さらに本発明は、4位ハロゲン化ガラクトース残基を末端に有するオリゴ糖を阻害剤として用いる、糖転移酵素による糖鎖伸長反応を阻害する方法を提供するものである。
さらにまた、本発明は式(III)の化合物を細菌由来のガラクトカイネースを用いてリン酸化して式(IV)の化合物を得、得られた式(IV)の化合物と糖ヌクレオチドから細菌由来のヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼを用いて式(II)の化合物を合成することを特徴とする4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドの製造法を提供するものである。
Figure 0004910091
(上記式中、R〜Rは水酸基、アセチル基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、Rはリン酸残基又はその塩を示し、Xはハロゲン原子を示し、Mは水素イオン又は金属イオンを示す)
本発明の新規な4位ハロゲン化ガラクトース残基を末端に有するオリゴ糖(以下、「4位ハロゲン化糖含有オリゴ糖」と言うこともある)は、糖転移酵素による糖鎖伸長(生合成経路)を阻害するため、例えば、癌細胞やウイルスの増殖を阻止する阻害剤としての開発が期待できるものである。
具体的には、ガラクトースの4位結合糖鎖、Gb3、Gb4などのグロボ系列、あるいはガングリオシド系列のGM2以降の糖脂質伸長反応(生合成経路)を阻害することで、その機能、役割の解明、さらには糖鎖自身の機能性素材や医薬品等への応用が期待される。また、細胞が癌化した場合、糖鎖の高シアル酸化が起こることが報告されていることから、このシアル酸転移阻害活性機構を利用した抗腫瘍剤等への応用の可能性も期待できる。
また、2種類の細菌由来の酵素を使用することで、化学合成では大量取得が困難であった4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドを収率良く大量に取得できるようになった。
以下、本発明を、(1)4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドの酵素合成、(2)4位ハロゲン化ガラクトース基を有するオリゴ糖、及び(3)糖転移酵素による糖鎖伸長反応の阻害の順で説明する。
(1)4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドの酵素合成
上述したように、本発明の4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドの酵素合成は、前記式(III)の化合物をガラクトカイネースを用いてリン酸化して前記式(IV)の化合物を得、得られた式(IV)の化合物と糖ヌクレオチドからヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼを用いて前記式(II)の化合物を合成することを特徴とする。
Figure 0004910091
(式中、R〜R、X及びMは前記と同じ)
〜R及びXで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子が好ましい。Mの金属原子としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。上記式(II)の化合物としては、R〜Rが水酸基で、Xがフッ素原子であるものが特に好ましい。
原料として使用する4位ハロゲン化ガラクトースである前記式(III)の化合物は、市販品として購入が可能であり、また、Maradufu & Perlin,Carbohydr.Res.,32,261−277(1974)、Ittah & Glaudemans,Carbohydr.Res.,95,189−194(1981)、Kamerlingら,Carbohydr.Res.,291,63−83(1996)などの公知の方法に準じて合成することも可能である。
このような原料を用い、ガラクトカイネースによりリン酸化して前記式(IV)の化合物を得る。
使用するガラクトカイネースとしては、細菌由来の酵素、特に大腸菌由来のものが好ましい。また、ガラクトカイネース遺伝子がクローン化されている場合には、そのクローン化されたガラクトカイネース遺伝子を用いて常法により大腸菌などを宿主として大量生産させ、当該微生物の菌体より当該酵素を調製してもよい。
細菌の菌体の調製は、当該微生物が生育可能な培地を用い、常法により培養後、遠心分離等で集菌する方法で行うことができる。具体的に、大腸菌類に属する細菌を例に挙げ説明すれば、培地としてはブイヨン培地、LB培地(1%トリプトン、0.5%イーストエキストラクト、1%食塩)又は2xYT培地(1.6%トリプトン、1%イーストエキストラクト、0.5%食塩)などを使用することができ、当該培地に種菌を接種後、約30〜50℃で約10〜50時間程度必要により撹拌しながら培養し、得られた培養液を遠心分離して微生物菌体を集菌することにより目的とする活性を有する微生物菌体を調製することができる。
得られた細菌の菌体は、機械的破壊(ワーリングブレンダー、フレンチプレス、ホモジナイザー、乳鉢などによる)、凍結融解、自己消化、乾燥(凍結乾燥、風乾などによる)、酵素処理(リゾチームなどによる)、超音波処理、化学処理(酸、アルカリ処理などによる)などの一般的な処理法に従って処理し、菌体の破壊物又は菌体の細胞壁もしくは細胞膜の変性物とする。
酵素の調製は、上記菌体処理物から目的とする活性を有する画分を通常の酵素の精製手段、例えば塩析処理、等電点沈澱処理、有機溶媒沈澱処理、透析処理、各種クロマトグラフィー処理などを施して得られる粗酵素又は精製酵素を使用することができるが、リン酸供与体、すなわち基質として用いるヌクレオチド5’−トリリン酸(NTP)、あるいは生成中間体である糖−1リン酸の分解を抑え、収率を向上させるために、脱リン酸活性(ホスファターゼ活性)を残存していない酵素標品を用いることが望ましい。
ガラクトカイネースによるリン酸化反応は、0.1〜100mM、好ましくは1〜50mMの前記式(III)の化合物とリン酸供与体としてのアデノシン5’−トリリン酸(ATP)などのヌクレオシド5’−トリリン酸(NTP)を1〜500mM、好ましくは5〜100mM使用し、さらに0.01〜50ユニット/mLのガラクトカイネースを添加し、緩衝液(pH4.0〜10)中、10〜70℃の温度条件下、1〜100時間程度インキュベートすることで実施することができる。
なお、上記リン酸化反応に供するNTPは、当該反応で生成するヌクレオチド5’−ジリン酸(NDP)をポリリン酸カイネースを利用したNTP再生系(T.Noguchi & T.Shiba、Bioosci.Biotechnol.Biochem.,62,1594−1596(1998))、あるいは公知であるピルビン酸カイネースを利用したNTP再生系(C.H.Wongら、J.Org.Chem.,57,4343−4344(1992))により再生されたNTPであってもかまわない。
このようにして得られた式(IV)の化合物と糖ヌクレオチドからヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼを用いて前記式(II)の化合物を合成する。
反応に使用する糖ヌクレオチドとしては、ウリジン5’−ジリン酸グルコース、ウリジン5’−ジリン酸ガラクトースなどのヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼの基質になるものであれば、特に制限されない。
また、反応に使用するヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼはガラクトカイネースと同様に細菌由来のもの、特に大腸菌由来のものが好ましく、上記と同様に調製したものを使用することができる。
ヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼによる転移反応は、0.1〜100mM、好ましくは0.5〜50mMの前記式(IV)の化合物と1〜200mM、好ましくは5〜100mMの糖ヌクレオチドを使用し、さらに0.1〜50ユニット/mLのヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼを添加し、緩衝液(pH4.0〜10.0)中、10〜70℃の温度条件下、1〜100時間程度インキュベートすることで実施することができる。
なお、上記転移反応に供する糖ヌクレオチドは、グルコース1−リン酸をウリジン5’−トリリン酸(UTP)存在下、糖ヌクレオチドピロホスホリラーゼの反応により生成あるいは再生させたものであってもかまわない。
また、ガラクトカイネースによるリン酸化反応とヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼによる転移反応は、逐次、あるいは同時で行ってもよく、また、ガラクトカイネースによるリン酸化反応後、得られたリン酸化糖を精製した後、あるいは精製せず転移反応に供してもかまわない。
このようにして得られた4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドは、通常の糖ヌクレオチドの単離精製手段(イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなど)により単離精製することができる。
(2)4位ハロゲン化ガラクトース残基を末端に有するオリゴ糖
4位ハロゲン化糖含有オリゴ糖は、上記4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドを糖供与体とし、糖転移酵素を用い、受容体化合物に4−デオキシ−4−ハロゲノガラクトシル基を転移することで調製することができる。
反応に用いる転移酵素としては、4−デオキシ−4−ハロゲノガラクトシル基を転移できるものであれば特に制限されるものではない。具体的には、β1,4−ガラクトース転移酵素、β1,3−ガラクトース転移酵素、α1,3−ガラクトース転移酵素などが例示される。また、転移酵素は特定の由来のものには限定されず、動物由来、植物由来、微生物由来など、すべての由来のものを使用することができる。また、使用する糖転移酵素遺伝子がクローン化されている場合には、そのクローン化された糖転移酵素遺伝子を用いて常法により大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などを宿主として生産させ、当該酵素を調製することも可能である。
このような転移酵素は、当該活性を有する限りどのような形態であってもよい。具体的には細胞の処理物又は当該処理物から得られる酵素調製物などが挙げられる。
細胞の処理物としては、各種培養法によって得られた細胞を機械的破砕(ワーリングブレンダー、フレンチプレス、ホモジナイザー、乳鉢などによる)、凍結融解、自己消化、乾燥(凍結乾燥、風乾などによる)、酵素処理、超音波処理、化学処理(酸、アルカリ処理などによる)などの一般的な処理法に従って処理して得られる細胞の破壊物又は細胞の細胞壁もしくは細胞膜の変性物が挙げられる。
酵素調製物としては、上記菌体処理物から糖転移活性を有する画分を通常の酵素の精製手段、例えば塩析処理、等電点沈澱処理、有機溶媒沈澱処理、透析処理、各種クロマトグラフィー処理などを施して得られる粗酵素又は精製酵素を使用することができる。
反応液に添加する受容体化合物は、合成目的の糖鎖に応じて、あるいは使用する転移酵素に応じて、既知の単糖、オリゴ糖あるいはそれら糖化合物を、必要によりスペーサーを介して担体に結合させた担持物から適宜選択すれば良く、特に制限されるものではない。
4位ハロゲン化ガラクトース含有オリゴ糖の合成は、0.1〜100mMの4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドと受容体としての糖化合物0.01〜20mMを使用し、トリス塩酸緩衝液、HEPES−NaOH緩衝液等の緩衝液(pH5.0〜10.0)中、糖転移酵素を0.001ユニット/mL以上、好ましくは0.01ユニット/mL以上添加し、50℃以下、好ましくは約5〜50℃の温度条件下、1〜50時間程度、必要により攪拌しながら反応させることにより実施できる。
このような4位ハロゲン化ガラクトース糖含有オリゴ糖を例示すれば、例えば下記式(I)で表される4−デオキシ−4−ハロゲノ−α−D−ガラクトース誘導体を例示することができる。このオリゴ糖は、単糖、オリゴ糖もしくはそれらの担持物を受容体とし、4位ハロゲン化ガラクトース糖ヌクレオチドとガラクトース転移酵素を用いることで合成することができる。
Figure 0004910091
(Xはハロゲン原子を示し、Rは単糖、オリゴ糖又は担体を示す)
上記式(I)化合物の具体的な例としては、4−デオキシ−4−ハロゲノ−α−D−ガラクトシルβ1−4N−アセチルグルコサミン含有糖鎖誘導体(下記式(I’)化合物)、あるいは4−デオキシ−4−ハロゲノ−α−D−ガラクトシルβ1−3N−アセチルグルコサミン含有糖鎖誘導体等を挙げることができる。
Figure 0004910091
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは水素原子、水酸基、単糖、オリゴ糖又は担体を示す)
Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子が好ましい。RあるいはRで示される単糖としては、ガラクトース、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、アラビノース、キシロース、キシリロース、リブロース、エリトロース、トレオース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、タガトース、ソルボース、プシコース、D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、D−グリセロ−グルコヘプトース、DL−グリセロ−D−マンノヘプトース、アロヘプツロース、アルトヘプツロース、タロヘプツロース、マンノヘプツロース、オクツロース、ノヌロース、D−グリセロ−L−ガラクトオクツロース、D−グリセロ−D−マンノオクツロース、ノムロース、フコース、ラムノース、アロメチロース、キノボース、アンチアロース、タロメチロース、ジキタロース、ジギドキソース、シマロース、チベロース、アベロース、パラトース、コリトース、アスカリロース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸、グルロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、ノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチル−O−アセチルノイラミン酸、N−グリコイルノイラミン酸、ムラミン酸、並びにその誘導体が挙げられる。
また、オリゴ糖としては、例えばマルトース、セロビオース、ラクトース、キシロビオース、イソマルトース、ケンチオビオース、メリビオース、プランテオビオース、ルチノース、プリメベロース、ビシアノース、ニゲロース、ラミナリビオース、ツラノース、コージビオース、ソホロース、スクロース、トレハロース、キトビース、ヒアロビオウロン酸、コンドロシン、セロビオウロン酸、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース、ブランテオース、ケストース、マルトトリオース、パノース、イソマルトトリオース、スタキオース、ベルバスコース、シクロデキストリン、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、乳汁オリゴ糖(例えばフコシルラクトース、シアリルラクトース、ラクト−N−テトラオース、ラクト−N−フコペンタオース、ラクト−N−ネオテトラオースなど)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸などのグリコサミノグリカン、ABO型血液型糖鎖、各種N−結合型糖鎖、各種ムチン(O−結合)型糖鎖、スフィンゴ糖脂質、グリセロ糖脂質などの糖脂質糖鎖、並びに以上の誘導体などが挙げられる。
なお、単糖、オリゴ糖としては、蛍光標識したものであってもかまわない。具体的には、ベンズアミジン、p−メトキシベンズアミジン、1,2−ジ−(パラメトキシフェニル)−エチレンジアミン、Fmoc−ヒドラジン、エチル4−アミノベンゼン、2−アミノ安息香酸、2−アミノピリジン、2−アミノアクリドン、8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、3−(アセチルアミノ)−6アミノアクリジン、5−(ジメチルアミノ)ナフタレン−1−スルホン酸などで単糖又はオリゴ糖の還元末端が標識されたもの、あるいはオリゴ糖鎖内部が標識されたものが挙げられる。さらに、p−ニトロフェノール、核酸塩基などの紫外線吸収を示す化合物と結合した単糖又はオリゴ糖であってもかまわない。
また、担体としては、例えば、タンパク質、脂質、核酸などの生体試料、金、白金などの金属微粒子、鉄、酸化鉄などの磁性金属微粒子、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、アガロース、デキストランなどの高分子ポリマーなどが挙げられる。これらの担体と糖鎖とのスペーサーとしては、例えば(ポリ)エチレングリコール、種々のアルキル鎖(例えば、炭素数1〜20のアルキル)などが挙げられる。
このようにして得られた4位ハロゲン化ガラクトース含有オリゴ糖誘導体は、通常のオリゴ糖の単離精製手段(イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなど)により単離精製することができる。
(3)糖転移酵素による糖鎖伸長反応の阻害
4位ハロゲン化ガラクトース糖含有オリゴ糖、特に4位フッ素化ガラクトース含有オリゴ糖は、ガラクトースの4位にハロゲン原子、特にフッ素原子が結合しているため、ガラクトースの4位に糖が結合している糖鎖の伸長をストップするか、あるいは糖鎖の伸長を著しく遅延させることが可能であり、転移酵素阻害剤として有用である。
さらに、4位にフッ素が結合していることで、例えば3位の位置に糖を結合する糖転移酵素の反応を阻害することもでき、この機構によりそれ以降の糖鎖の生合成経路が抑制されることも可能で、医薬品などの応用も充分に期待できる阻害剤である。具体的には、4位フッ素化ガラクトース含有糖鎖を反応系に添加することにより、α2,3−シアル酸転移酵素またはα2,6−シアル酸転移酵素によるシアル酸転移反応、β1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素によるN−アセチルグルコサミン転移反応、β1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素によるN−アセチルガラクトサミン転移反応、α1,3−ガラクトース転移酵素によるガラクトース転移反応、α1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素によるN−アセチルガラクトサミン転移反応を阻害することができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明がこれに限定されないことは明らかである。
なお、反応液中の4位フッ素化ガラクトースの定量はDIONEX社DX−300装置、CarboPacTMPA1カラムを用い、溶出液はA液;蒸留水、B液;0.2M 水酸化ナトリウム、C液;1M 酢酸ナトリウム水溶液の混合溶液を使用して行った。また、反応液中のウリジン5’−ジリン酸4−フルオロガラクトース(UDP−4F−Gal)などの核酸関連物質の定量はHPLC法により行った。具体的には分離にはYMC社製のODS−HS302カラムを用い、溶出液として0.2M トリエチルアミン−リン酸(pH6.0)溶液を用いた。
実施例1:ウリジン5’−ジリン酸4−フルオロガラクトースの合成
(1)大腸菌ガラクトカイネース(GalK)の調製
大腸菌GalKをコードする遺伝子を挿入したpTrc−galKプラスミド(特開2002−335988)で、大腸菌JM109株(タカラバイオより入手)を形質転換した後、当該菌株を100μg/mLのアンピシリンを含有する2xYT培地100mLに植菌し、37℃で振とう培養した。菌数が1×10個/mLに達した時点で、培養液に最終濃度0.2mMになるようにイソプロピル−β−チオガラクトシド(IPTG)を添加し、さらに8時間振とう培養を続けた。培養終了後、遠心分離(9,000×g,20分)により菌体を回収し、10mLの緩衝液(20mMトリス塩酸(pH7.5)、1mM 塩化マグネシウム)に懸濁した。超音波処理を行って菌体を破砕し、さらに遠心分離(20,000×g,10分)により菌体残さを除去した。
このように得られた上清画分を計1リットルの同上緩衝液で透析した後、HiTrapQ5mLカラム(アマシャムバイオサイエンス)を用いて以下の条件で精製を行い(A液;同上緩衝液、B液;A液+1M 塩化ナトリウム、5−35%B液(20CV))、ガラクトカイネース活性を有する画分15mLを回収した。
これを酵素液とし以下の合成反応に用いた。なお、酵素液におけるガラクトカイネース(GalK)活性を測定した結果を表1に示す。なお、本発明におけるGalK活性は武田らの方法(特開2002−335988)に従って行った。
(2)大腸菌ガラクトース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(GalT)の調製
大腸菌をコードする遺伝子を挿入したpTrc−GalTプラスミド(特開2002−335988)で、大腸菌JM109株(タカラバイオより入手)を形質転換した後、当該菌株を100μg/mLのアンピシリンを含有する2xYT培地50mLに植菌し、37℃で振とう培養した。菌数が1×10個/mLに達した時点で、培養液に最終濃度1mMになるようにIPTGを添加し、さらに5時間振とう培養を続けた。培養終了後、遠心分離(9,000×g,20分)により菌体を回収し、10mLの緩衝液(50mM HEPES−NaOH(pH8.0)、0.1mM 硫酸亜鉛、10mM 2−メルカプトエタノール、50mM 塩化ナトリウム)に懸濁した。超音波処理を行って菌体を破砕し、さらに遠心分離(20,000×g,10分)により菌体残さを除去した。
このように得られた上清画分を計1リットルの同上緩衝液で透析した後、HiTrapQ5mLカラム(アマシャムバイオサイエンス)を用いて以下の条件で精製を行い(A液;同上緩衝液、B液;A液+1M 塩化ナトリウム、0−50%B液(25CV))、GalT活性を有する画分5mLを回収した。
これを酵素液とし以下の合成反応に用いた。なお、酵素液におけるガラクトース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(GalT)活性を測定した結果を表1に示す。本発明におけるGalT活性は武田らの方法(特開2002−335988)に従って行った。ここで得られたガラクトース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼは、ヘキソース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼと同一酵素で、同一反応を触媒する(E.C.2.7.7.12)。
Figure 0004910091
(3)4位フッ素化ガラクトース−1リン酸(Gal−1P)の合成
10mM 4F−Gal(Toronto Research Chemicals Incより入手)、5mM 塩化マグネシウム、10mM ATPを含有する100mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.8)に、上記(1)により調製したガラクトカイネース活性を有する酵素液(2.3units/mL反応液)を添加し、37℃で、1時間反応を行った。コントロールとして4F−Galなしの反応も行った。
反応液を1/10量の水酸化ナトリウムを添加した後、遠心分離(20,000×g,10分)により不溶性画分を除去した。これをESI−イオントラップ質量分析装置(日立ハイテクノロジー社製)を用いて分析を行った結果、コントロール反応液ではなかった[M−H](m/z261)のピークを検出したことから、4F−Gal−1Pが生成したことを確認した。なお、Dionex DX−300による分析を行ったところ、コントロールと比べて2.1mMの4F−Galの減少が認められたことから、2.1mMの4F−Gal−1Pが生成したことが示唆された。
上記反応液から10mM 炭酸アンモニウムを溶離液としてDEAE−Toyopearl樹脂カラム(東ソー)(塩化アンモニウムによるグラジエント溶出)、Sephadex G−10(アマシャムバイオサイエンス)を用いて4F−Gal−1Pを単離し、得られた画分を凍結乾燥することにより白色粉末を取得した。続いてこれを用いて下記のUDP−4F−Gal合成反応を行った。
(4)UDP−4F−Galの合成
10mM 4F−Gal−1P、5mM 塩化マグネシウム、20mM ウリジン5’−2リン酸グルコース(UDP−Glc)を含有する100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)に上記(2)より調製したガラクトース−1リン酸ウリジル酸転移酵素活性を有する酵素液(11unit/mL反応液)を添加し、37℃、22時間反応を行った。
反応液を90℃、5分間の熱処理を行った後、遠心分離(20,000×g,10分)により不溶性画分を除去した。得られた上清画分をHPLCを用いて分析したところ、2.06mMのUDP−4F−Galの合成を確認した。
さらにHPLCを用いて目的物のピークを分取し、これを凍結乾燥した。凍結乾燥物を蒸留水で溶解後、10mM 炭酸アンモニウムを展開液としてSephadex G−10樹脂カラムによるゲルろ過を行った。UDP−4F−Gal画分を凍結乾燥することにより、HPLC純度98%のUDP−4F−Galの白色粉末を得た。
H−NMR(600MHz−DO)δ:7.84(1H,d,J=8.30Hz,uri−H”−6),5.87(1H,d,J=4.76Hz,rib−H’−1),5.86(1H,d,J=8.30Hz,uri−H”−5),5.56(1H,dd,J=3.48,7.29Hz,H−1),4.83(1H,dd,J=2.34,50.69Hz,H−4),4.28〜4.25(2H,m,rib−H’−2,3),4.18〜4.07(4H,m,rib−H’−4,5S,5R,H−5),3.92(1H,ddd,J=2.34,10.31,29.70Hz,H−3),3.76(1H,dt,J=10.31,3.48Hz,H−2),3.68〜3.66(2H,m,H−6a,6b)
参考例1
(酵母由来ガラクトース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼを用いたUDP−4F−Galの合成)
10mM 4F−Gal−1P、5mM 塩化マグネシウム、20mM ウリジン5’−2リン酸グルコース(UDP−Glc)を含有する100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.7)にシグマ社製酵母由来ガラクトース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(20unit/mL反応液)を添加し、25℃、36時間反応を行った。
反応液を90℃、5分間の熱処理を行った後、遠心分離(20,000×g,10分)により不溶性画分を除去した。得られた上清画分をHPLCを用いて分析したところ、0.61mMのUDP−4F−Galの生成を確認したが、大腸菌由来ガラクトース−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼに比べて、目的物の生成量が本発明方法の30%以下と極めて低いことが明らかとなった。
実施例2:β1,4−ガラクトース転移酵素用いた4F−ガラクトース含有糖鎖の合成
金微粒子にチオール基を有するスペーサーで固定化したN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)(参考例2参照)をアクセプターとして(化合物1)、これをGlcNAc相当量で約50μM、100mM 塩化ナトリウム、10mM 塩化マンガン、200μM UDP−4F−Galを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)に東洋紡社製ヒト由来β1,4−ガラクトース転移酵素(80munits/mL反応液)を添加し、25℃、24時間反応を行った。なお、コントロール反応としてUDP−4F−Galの代わりにUDP−Galを用いた反応も行った。
Figure 0004910091
反応終了液をそのまま1μl分取して、MALDI−TOF−MS(Ultraflex、Bruker社製)を用いて測定したところ、原料物質由来の[M+Na](m/z 1059.297)の化合物2のピークの他に、4F−ガラクトースが付加した[M+Na](m/z 1223.457)のピークを検出したことから、4F−ガラクトースβ1−4N−アセチルグルコサミン含有糖鎖(化合物3)が生成したことを確認した。なお、UDP−Galを用いた反応においても、ガラクトースβ1−4N−アセチルグルコサミン含有糖鎖(化合物4)に対応する[M+Na]+(m/z 1221.476)のピークを検出した。
Figure 0004910091
参考例2
Figure 0004910091
S Penadesらの方法(Chemistry,A European Journal,(2003),9,1909−1921)に準じて合成した化合物A(52mg,69μmol)、並びに当該化合物の末端にN−アセチルグルコサミンを有する化合物B(10mg,7.6μmol)をメタノール(35mL)−純水(5mL)混合溶媒に溶解し、テトラクロロ金酸(25.5mg,75μmol)を加えた。この溶液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液(70mg/5mL)を少量ずつ加え、室温で12時間撹拌した。Centriplus YM−50(ミリポア社)を用いた遠心型限外濾過装置により微粒子を精製した。微粒子を純水に溶解し、マトリックスとして2,5−ジヒドロキシベンゾイック酸(DHB)を用いてMALDI−TOF Massによる質量分析を行ったところ、化合物A、化合物Bのヘテロジスルフィド体に対応する分子量ピーク([M+Na]m/z 1058.389)が観察されたことから、金微粒子にチオール基を有するスペーサーで固定化した化合物1の合成を確認した。
実施例3:4F−ガラクトース含有糖鎖へのα2,3−シアル酸の転移酵素反応
上記反応終了液をそれぞれミリポア社製遠心型限外ろ過ユニット(マイクロコン YM−10)を用いて純水に置換した後、上記β1,4−ガラクトース転移反応と同量のスケール(約50μM相当量の糖鎖を含有)で、100mM 塩化ナトリウム、10mM 塩化マンガン、400μM CMP−N−アセチルノイラミン酸(CMP−NeuAc)を含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にCalbiochem社製ラット由来α2,3−(N)−シアル酸転移酵素(74munits/mL反応液)を添加し、25℃、24時間反応を行った。
反応開始24時間後、マイクロコン YM−10を用いて純水に置換後、減圧乾燥を行った。金微粒子から糖鎖部分を切り離すため、メタノールを溶媒とする1mM ヨウ素溶液に溶解させ、室温で約2時間攪拌した。再度減圧乾燥を行い、ヨウ素溶液を除去した後、10%メタノールを添加し充分にけん濁した後、遠心分離(20,000×g、10分)により金微粒子画分を除去し、このようにして得られた上清をサンプルとしてMALDI−TOF−MS(Ultraflex、Bruker社製)による分析を行った。
その結果、ガラクトースβ1−4N−アセチルグルコサミン含有糖鎖を用いた反応ではシアル酸が転移した[M+Na](m/z 1512.629)、並びに[M+2Na−H](m/z 1534.626)に対応した化合物5のピークを検出することができたが、4F−ガラクトースβ1−4N−アセチルグルコサミン含有糖鎖を用いた反応では、シアル酸が転移した際に検出されうる[M+Na](m/z 1514)、並びに[M+2Na−H](m/z 1536)に対応する化合物6のピークを検出することができなかった。このことから4F−ガラクトース含有糖鎖により少なくともα2,3−シアル酸転移酵素反応が阻害されることが判明した。
Figure 0004910091
実施例4:4−メチルウンベリフェリル4F−N−アセチルラクトサミン(4MU−4F−LacNAc)の合成
4MU−GlcNAc(シグマ社製、化合物7)をアクセプターとして用いてβ1,4−ガラクトース転移酵素による4F−ガラクトースの転移反応を行った。すなわち、10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、20μM PA化キトビオース、2.35μM UDP−4F−Galを含有する10mM HEPES−NaOH(pH7.5)緩衝液にヒト由来β1,4−ガラクトース転移酵素(東洋紡)を添加し(200mU/mL反応液)、25℃で反応を行った。なお、コントロールとして50μM UDP−Galを用いた反応も同様に行った。
反応開始24時間後に90℃、5分間の熱処理を行うことで反応を停止させ、これを希釈した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析を行った。分離にはGLサイエンス社製のODS−3カラムを用い、溶離液として10% アセトニトリルを用いて分離を行った。検出には蛍光光度計(励起波長325nm、蛍光波長372nm)を用いた。β1,4−ガラクトース転移酵素反応により新たに生成したピークを分取し、これを減圧乾燥した後、DHBをマトリックスとしてMALDI−TOF−MSを行ったところ、化合物8の[M+Na]に相当するm/z 565.90のピークを検出したことから、4F−ガラクトース含有糖鎖、4MU−4F−LacNAc(化合物8)の生成を確認した。またHPLCの面積比より1.34μMの4MU−4F−LacNAcが生成した。
なお、UDP−Galを用いたコントロール反応においてもMALDI−TOF−MSにおいて化合物9の[M+Na]に相当するm/z 563.89のピークを検出し、20μMの4MU−LacNAc(化合物9)の生成を確認した。
Figure 0004910091
(2)4MU−4F−LacNAc(化合物8)及び4MU−LacNAc(化合物9)の大量取得
10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、40μM 4MU−GlcNAc、55μM UDP−4F−Galを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にヒト由来β1,4−ガラクトース転移酵素を200mU/mL反応液添加し、25℃で反応を行った。
140時間反応後、90℃、10分間の熱処理を行った後、20,000g、10分間の遠心分離により得られた上清を減圧乾燥により濃縮し、ODS−3カラムを用いて目的のピークを分取した。分取したものを減圧乾燥し、蒸留水で再溶解させたものをUltrafree MC 0.22μm(ミリポア社)を用いて不要物を除去した後、再度減圧乾燥した。これを蒸留水で再溶解させたものを4MU−4F−LacNAcとして以後の実験に供した。
なお、10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、100μM 4MU−GlcNAc、200μM UDP−Galを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にヒト由来β1,4−ガラクトース転移酵素を40mU/mL反応液添加し、25℃、48時間反応を行った後、同様に4MU−LacNAcを調製した。
(3)4MU−4F−LacNAc(化合物8)へのα2,3−シアル酸の転移酵素反応
10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、200μM CMP−NeuAc、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、20μM 4MU−4F−LacNAcを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にCalbiochem社製ラット由来α2,3−N−シアル酸転移酵素を92.5mU/mL反応液添加し、25℃で反応を行った。なお、コントロールとして4MU−LacNAcをアクセプターとして用いた反応も同様に行った。
1、4、10、24時間後に一部サンプリングし、4倍量の80%アセトニトリルを添加し、激しく攪拌することで反応を停止させた。蒸留水で希釈後、ODS−3カラム、溶離液として10%アセトニトリル、20mM ギ酸アンモニウムを用いてHPLC分析を行ったところ、α2,3−N−シアル酸転移酵素によりそれぞれ新たなピークの出現を確認した。これらのピークを分取し、減圧乾燥後、DHBをマトリックスとしてMALDI−TOF−MSを行った。その結果、4MU−4F−LacNAcを用いた反応においては[M+H]に相当するm/z 835.13のピークを検出したことから、化合物10の生成を確認した。また、4MU−LacNAcを用いた反応においても[M+H]に相当するm/z 833.02のピークを検出し化合物11の生成を確認した。
Figure 0004910091
(4)4MU−4F−LacNAcに対するα2,3−シアル酸転移酵素反応の速度論的解析
4MU−4F−LacNAcが、20、40、80、150μMの各濃度存在下でそれぞれ10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、200μM CMP−NeuAcを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にラット由来α2,3−N−シアル酸転移酵素(Calbiochem)を添加し(74mU/mL反応液)、25℃で反応を開始した。
正確に60分後、4倍量の80% アセトニトリルを添加し、激しく攪拌することにより反応を停止し、希釈後、HPLCによる分析を行った。各濃度での活性を算出後、1/[S]〜1/vプロットを用いて計算したところ、α2,3−シアル酸転移酵素の4MU−4F−LacNAcに対するK値は188μM、Vmaxは12.60nmole/min/mgであった。なお、1Uはこの条件下で1分間に1μmoleのシアル酸化糖を生成する酵素量として定義した。
また、4MU−LacNAcが、20、40、80、150μMの各濃度存在下でそれぞれ10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、200μM CMP−NeuAcを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にラット由来α2,3−シアル酸転移酵素を添加し(37mU/mL反応液)、25℃で8分間反応を行ったところ、HPLC分析により得られた各濃度での活性値から1/[S]〜1/vプロットを用いてK値は129μM、Vmaxは146.9nmole/mim/mgであった。
以上の結果を下記表2に示す。この表より、4F−ガラクトース含有糖鎖である4MU−4F−LacNAcに対するラット由来α2,3−シアル酸転移酵素の触媒効率は4MU−LacNAcの6%以下であり、4MU−4F−LacNAcが転移酵素の阻害剤として有用であることが示唆された。
Figure 0004910091
(5)4MU−4F−LacNAcへのα2,6−シアル酸の転移酵素反応
10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、200μM CMP−NeuAc、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、20μM 4MU−4F−LacNAcを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にCalbiochem社製ラット由来α2,6−N−シアル酸転移酵素を10mU/mL反応液添加し、25℃で反応を行った。なお、コントロールとして4MU−LacNAcをアクセプターとして用いた反応も同様に行った。
1、4、10、24時間後に一部サンプリングし、4倍量の80%アセトニトリルを添加し、激しく攪拌することで反応を停止させた。蒸留水で希釈後、ODS−3カラム、溶離液として10%アセトニトリル、20mM ギ酸アンモニウムを用いてHPLC分析を行ったところ、α2,6−N−シアル酸転移酵素反応によりそれぞれ新たなピークの出現を確認した。これらのピークを分取し、減圧乾燥後、DHBをマトリックスとしてMALDI−TOF−MSを行った。その結果、4MU−4F−LacNAcへの反応においては[M+Na]に相当するm/z 856.88のピークを検出したことから、化合物12の生成を確認した。また、4MU−LacNAcへの反応においても[M+Na]に相当するm/z 855.06のピークを検出し化合物13の生成を確認した。
Figure 0004910091
(6)4MU−4F−LacNAcに対するα2,6−シアル酸転移酵素反応の速度論的解析
4MU−4F−LacNAcを、20、40、80、120、150μMの各濃度存在下でそれぞれ10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、200μM CMP−NeuAcを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にラット由来α2,6−N−シアル酸転移酵素(Calbiochem)を添加し(40mU/mL反応液)、25℃で反応を開始した。
正確に120分後、1/5倍量の1M NaOHを添加することにより反応を停止し、HPLC溶離液で中和、希釈後、HPLCによる分析を行った。各濃度での活性を算出後、1/[S]〜1/vプロットを用いて計算したところ、1/v=260.27/[S]−0.1005の式が得られたため、K値、並びにVmax値を算出することが出来なかった。なお、1Uはこの条件下で1分間に1μmoleのシアル酸化糖を生成する酵素量として定義した。
また、4MU−LacNAcを、20、40、80、120、150μMの各濃度存在下でそれぞれ10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、50mU/mL反応液 アルカリホスファターゼ、200μM CMP−NeuAcを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にラット由来α2,6−シアル酸転移酵素を添加し(40mU/mL反応液)、25℃で10分間反応を行った。HPLC分析により得られた各濃度での活性値から1/[S]〜1/vプロットを用いてK値は217μM、Vmaxは65.24nmole/mim/mgであった。
各濃度での活性を比較すると、下記表3に示すように、4F−ガラクトース含有糖鎖である4MU−4F−LacNAcに対してラット由来α2,6−シアル酸転移酵素の活性が明らかに減少し、転移酵素の阻害剤として有用であることが示された。
Figure 0004910091
実施例5:ピリジルアミノ化ガラクトシルキトビオースの合成
(1)ピリジルアミノ化4F−ガラクトシルキトビオースの合成
キトビオース(GlcNAcβ1−4GlcNAc、シグマ)を公知の方法(Haseら、J.Biochem.,95,197−203(1984))に従ってピリジルアミノ(PA)化を行い、ゲルろ過、並びに凍結乾燥により精製標品を取得した(化合物14)。これをアクセプターとしてβ1,4−ガラクトース転移酵素による4F−ガラクトースの転移反応を行った。すなわち、10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、25μM PA化キトビオース、4.7μM UDP−4F−Galを含有する10mM HEPES−NaOH(pH7.5)緩衝液にヒト由来β1,4−ガラクトース転移酵素(東洋紡)を160mU/mL反応液添加し、25℃で反応を行った。なお、コントロールとして100μM UDP−Galを用いた反応も同様に行った。
反応開始10時間後に90℃、5分間の熱処理により反応を停止させ、これを蒸留水で希釈した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析を行った。分離には野村化学社製のDevelosil C30−UG−5カラムを用い、溶離液として10mM リン酸ナトリウム(pH3.8)、並びに10mM リン酸ナトリウム(pH3.8)+0.5%(w/v)1−ブタノールを用い、両溶液による勾配をかけることで分離を行った。反応により新たに生成したピークを分取し、これを減圧乾燥による濃縮、ZipTipC18による脱塩後、得られた吸着画分についてDHBをマトリックスとしてMALDI−TOF−MS(Ultraflex、Bruker社)を行った。その結果、化合物15の[M+Na]に相当するm/z 690.02のピークを検出したことから、4F−化ガラクトシル化糖の生成を確認した。またHPLCの面積比より3.80μMのPA化4F−ガラクトシル化キトビオース(化合物15)が生成した。なおUDP−Galを用いたコントロール反応においてもMALDI−TOF−MSにおいて化合物16の[M+Na]に相当するm/z 687.56のピークを検出し、23.5μMのPA化ガラクトースキトビオース(化合物16)が生成した。
Figure 0004910091
(2)PA化4F−ガラクトシルキトビオース(化合物15)及びPA化ガラクトシルキトビオース(化合物16)の大量取得
10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、25μM PA化キトビオース、2.35μM UDP−4F−Galを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にヒト由来β1,4−ガラクトース転移酵素を200mU/mL反応液添加し、25℃で反応を行った。
36時間後、90℃、5分間の熱処理を行った後、減圧乾燥により反応液を濃縮し、Develosil C30−UG−5カラムを用いて目的のピークを分取した。これを減圧乾燥により濃縮した後、20mM 炭酸水素アンモニウムで平衡化した東ソー社製TSKgel−Oligo−PWカラムを用いて脱塩処理を行った。目的ピークを回収後、減圧乾燥を行い、これを蒸留水で再溶解させたものをPA化4F−ガラクトシルキトビオース(化合物15)として以後の実験に供した。
なお、10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、25μM PA化キトビオース、50μM UDP−Galを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にヒト由来β1,4−ガラクトース転移酵素を200mU/mL反応液添加し、25℃、8時間反応を行った後、同様にPA化ガラクトシルキトビオース(化合物16)を調製した。
(3)PA化4F−ガラクトシルキトビオースへのα2,3−シアル酸の転移反応
10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、100μM CMP−NeuAc、0.02%(w/v)BSA、10μM PA化4F−ガラクトシル化キトビオースを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にCalbiochem社製ラット由来α2,3−N−シアル酸転移酵素を100mU/mL反応液添加し、25℃で反応を行った。なお、コントロールとしてPA化ガラクトシルキトビオースをアクセプターとして用いた反応も同様に行った。
2.5、24時間後に一部サンプリングした後、9倍量の10mM リン酸ナトリウム(pH4.3)を添加し、激しく攪拌することで反応を停止させた。これらをC30−UG−5カラムを用いてHPLC分析を行ったところ、α2,3−N−シアル酸転移酵素反応によりそれぞれ新たなピークが出現したことを確認した。これらのピークを分取し、減圧乾燥後、続いて20mM 炭酸水素アンモニウムで平衡化した東ソー社製TSKgel−Oligo−PWカラムを用いて目的ピークを回収後減圧乾燥し、DHBをマトリックスとしてMALDI−TOF−MSを行った。その結果、PA化4F−ガラクトシルキトビオースへの反応においては[M+H]に相当するm/z 959.45のピークを検出したことから、化合物17が生成したことを確認した。また、PA化ガラクトシルキトビオースへの反応においても[M+H]に相当するm/z 957.31のピークを検出し、化合物18の生成を確認した。
なお、HPLCのピーク面積比より両化合物の転換率を比較した結果、PA化4F−ガラクトシルキトビオースをアクセプターとする反応ではα2,3−シアル酸酵素の反応率が著しく減少し、阻害剤として有用であることが判明した。
Figure 0004910091
(4)PA化4F−ガラクトシルキトビオースへのα2,6−シアル酸の転移反応
10mM 塩化マンガン、100mM 塩化ナトリウム、100μM CMP−NeuAc、0.02%(w/v)BSA、10μM PA化4F−ガラクトシル化キトビオースを含有する10mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.5)にCalbiochem社製ラット由来α2,6−N−シアル酸転移酵素を40mU/mL反応液添加し、25℃で反応を行った。なお、コントロールとしてPA化ガラクトシルキトビオースをアクセプターとして用いた反応も同様に行った。
1、2.5、8、24時間後に一部サンプリングした後、19倍量の0.5M トリエチルアミン−酢酸(pH7.3):アセトニトリル=25:75を添加し、激しく攪拌することで反応を停止させた後、HPLCによる分析を行った。分離には東ソー社製のAmide−80カラムを用い、溶離液として10mM トリエチルアミン−酢酸(pH7.3):アセトニトリル=25:75、並びに0.5M トリエチルアミン−酢酸(pH7.3):アセトニトリル=25:75を用い、両溶液による勾配をかけることで分離を行った。反応により新たに生成したピークを分取し、これを減圧乾燥した後、DHBをマトリックスとしてMALDI−TOF−MSを行ったところ、化合物19の[M+H]に相当するm/z 659.74のピークを検出したことから、化合物19の生成を確認した。なお、UDP−Galを用いたコントロール反応においてもMALDI−TOF−MSにおいて化合物20の[M+H]に相当するm/z 657.74のピークを検出したことから、化合物20の生成も確認した。
なお、HPLCのピーク面積比より、各化合物の転換率を比較した結果、PA化4F−ガラクトシルキトビオースに対してα2,6−シアル酸酵素の反応率が著しく減少し、阻害剤として有用であることが明らかとなった。
Figure 0004910091

Claims (4)

  1. 糖供与体として下記式(II)
    Figure 0004910091
    (式中、Mは水素イオン又は金属イオンを示し、Xはハロゲン原子を示す
    で表されるハロゲン化UDP−Galを用い、β1,4−ガラストース転移酵素又はβ1,3−ガラクトース転移酵素により、式(A)
    Figure 0004910091
    (式中、Rは水素原子;水酸基;ガラクトース、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、アラビノース、キシロース、キシリロース、リブロース、エリトロース、トレオース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、タガトース、ソルボース、プシコース、D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、D−グリセロ−グルコヘプトース、DL−グリセロ−D−マンノヘプトース、アロヘプツロース、アルトヘプツロース、タロヘプツロース、マンノヘプツロース、オクツロース、ノヌロース、D−グリセロ−L−ガラクトオクツロース、D−グリセロ−D−マンノオクツロース、ノムロース、フコース、ラムノース、アロメチロース、キノボース、アンチアロース、タロメチロース、ジキタロース、ジギドキソース、シマロース、チベロース、アベロース、パラトース、コリトース、アスカリロース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸、グルロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、ノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチル−O−アセチルノイラミン酸、N−グリコイルノイラミン酸及びムラミン酸から選ばれる単糖;マルトース、セロビオース、ラクトース、キシロビオース、イソマルトース、ケンチオビオース、メリビオース、プランテオビオース、ルチノース、プリメベロース、ビシアノース、ニゲロース、ラミナリビオース、ツラノース、コージビオース、ソホロース、スクロース、トレハロース、キトビース、ヒアロビオウロン酸、コンドロシン、セロビオウロン酸、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース、ブランテオース、ケストース、マルトトリオース、パノース、イソマルトトリオース、スタキオース、ベルバスコース及び乳汁オリゴ糖から選ばれるオリゴ糖;又はタンパク質、脂質、核酸、金属微粒子、磁性金属微粒子及び高分子ポリマーから選ばれる担体を示す)
    で表されるN−アセチルグルコサミン含有受容体に4位ハロゲン化ガラクトース残基を転移することを特徴とする、式(I)
    Figure 0004910091
    (式中、Rは、式(A)の化合物が3位又は4位で結合した基を示し、Xはハロゲン原子を示す
    で表される4−ハロゲン化ガラクトース残基を末端に有するオリゴ糖の製造法。
  2. 式(I)で表される化合物が、式(I’)
    Figure 0004910091
    (式中、X及びは前記と同じ)
    で表される化合物である請求項1記載の製造法。
  3. 式(III)
    Figure 0004910091
    (式中、Xはハロゲン原子を示す)
    で表される化合物を大腸菌由来のガラクトカイネースを用いてリン酸化して式(IV)
    Figure 0004910091
    (式中、Rはリン酸残基又はその塩を示し、Xはハロゲン原子を示す)
    の化合物を得、得られた式(IV)の化合物とウリジン5’−ジリン酸ヘキソースから大腸菌由来のヘキソース−1−リン酸ウリジルトランスフェラーゼを用いて式(II)
    Figure 0004910091
    (式中、Mは水素イオン又は金属イオンを示し、Xはハロゲン原子を示す
    で表されるハロゲン化UDP−Galの製造法。
  4. ウリジン5’−ジリン酸ヘキソースが、ウリジン5’−ジリン酸グルコースである請求項3記載の製造法。
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