JP4909645B2 - 綴じ具 - Google Patents

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Description

本発明は、綴じ穴付きの書類やシート等の紙葉類を綴じ込むための綴じ具及びそれを備えたファイリング用具の技術に関する。
ファイリング用具においては、表紙体の背表紙の内面側に、綴じ具が固定されている。この綴じ具としては、従来から種々のタイプのものが知られている。中でも、多数枚の書類等を綴じ込むことができる厚手のファイリング用具では、例えば、底板と、この底板の左右両側に配置された一対の側板と、この側板間に差し渡される綴じ棒付きの綴じ込み部とを備える綴じ具が広く採用されている。
この種の綴じ具を備えたファイリング用具では、綴じ具の左右の側板が綴じ具の底板に固定されていることから、紙葉類の綴じ込み幅は左右の側板間の間隔により定まり、常に一定となる。そのため、紙葉類の綴じ込み量が多いと、中間の紙葉類間の間隔を開けられず、紙葉類が綴じ込まれたままでは、綴じ具に近い部分が閲覧し難かった。また、例えば机上にファイルを置いて閲覧するときに、綴じ込み物の自重によって綴じ具が引き起こされ、自然に表紙が閉じてしまうことが多々あった。
特許文献1には、側板(綴じ板)を底板から外した状態で綴じ軸に沿って移動可能に構成することで、書類をできるだけ平面的な見開き状態にして、閲覧容易性、筆記容易性を確保し、さらに書類の加除整理の容易性等にも配慮したファイリング用具の技術が記載されている。
特許文献2には、表紙体の背表紙の幅と綴じ具の幅の両方を一体に変化させることができるファイリング用具の技術が記載されている。このファイリング用具では、綴じ具に密となる状態で紙葉類を綴じた場合でも、綴じた紙葉類を好適に見開いて閲覧可能にすることができる。
特許文献3には、背表紙の内面側に取り付ける綴じ具の底板の幅を拡縮できるファイリング用具の技術が記載されている。この技術は、綴じ具の底板を、一方の側板付きの固定台板と、他方の側板付きの摺動台板とで構成し、それら左右の側板間に、紙葉類の綴じ込み部を構成したものである。綴じ込み部は、一方の側板に着脱可能な装着プレートから突出するパイプと、そのパイプに挿入できるよう、他方の側板に着脱可能な装着プレートから突出するロッドとを備えている。したがって、このファイリング用具では、閲覧容易性、筆記容易性等を確保することができる。
特開2003−285586号公報 特開2005−132065号公報 実公昭57−38301号公報
各特許文献に記載の技術では、綴じ具の綴じ込み幅を変更できるので、紙葉類の綴じ込み量が多くても見開きを良くし、中間に位置する紙葉類でも容易に閲覧することができるものの、次のような課題がある。
特許文献1の技術では、紙葉類を見開き状態にする際に、側板(綴じ板)を底板から外したのち、側板を綴じ軸に沿って移動させる操作を必要とするため、その操作性が悪いだ
けでなく、綴じ具全体の外観上の体裁も良くないという問題がある。
特許文献2の技術では、綴じ具の綴じ込み幅を変更するのに、表紙体の背表紙の幅も変更する構成としているため、ファイリング用具全体の構造が複雑であり、さらに、専用の表紙体に専用の綴じ具を必要とするため、綴じ具の転用及び表紙体の転用等ができない問題もある。
特許文献3の技術では、綴じ具の底板を、背表紙に固定する固定台板と、固定台板の上に配置する摺動台板とで構成しているため、綴じ具を背表紙に着脱可能に設ける場合に、固定台板上の摺動台板が邪魔になり、組立作業性が悪いという問題がある。さらに、綴じ具の底板を固定台板と摺動台板とで構成する比較的簡易な構造で、綴じ具の綴じ込み幅(底板の幅)を変更できるものの、その綴じ込み幅を変更する際に、摺動台板自体を手作業による直接操作で可動させなければならないという操作上の問題もある。特に、この操作性の点については、各特許文献の何れにおいても、ワンタッチ操作で行うことができないという操作性の問題がある。
よって、本発明の課題は、綴じ込まれた紙葉類の良好な閲覧性を確保しつつ、操作性の向上、組立作業性の向上、外観向上等を図ることができ、さらに、専用の表紙を必要とせず、様々な表紙への取付けが可能な綴じ具及びそれを備えたファイリング用具の技術を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明では以下の手段を採用した。
本発明は、幅が一定の背表紙に固定される底板を有する綴じ具であって、前記底板の両側に少なくとも一方が回動可能に相対配置される二つの側板と、この両側板の間に配置される綴じ込み部と、前記両側板の少なくとも一方を水平方向(背表紙の幅方向)に可動させるスライド手段とを備え、前記綴じ込み部は、一つの側板に着脱自在な装着プレートに立設したロッドと、このロッドを挿入可能なパイプとを有し、前記スライド手段によって、相対配置される前記側板間の間隔を広げることで、前記綴じ込み部が拡縮自在な構成とした。
本発明の綴じ具によれば、側板間の間隔を広げるスライド手段を備えているので、綴じ込まれた紙葉類の良好な閲覧性を確保しつつ、綴じ込み部を拡縮するための操作性の向上を図ることができる。また綴じ具の底板の中央付近にスライド手段を設けることによって、綴じ具の底板を背表紙に対して着脱自在な構造とするのに必要なスペースを綴具の底板に確保することができる。さらに、側板自体をスライドさせるので、構造の簡素化による外観向上等も併せて図ることができる。
本発明は、幅が一定の背表紙に固定される底板を有する綴じ具であって、前記底板の両側に回動可能に相対配置される二つの側板と、この両側板の間に配置される綴じ込み部と、前記両側板の少なくとも一方を水平方向(背表紙の幅方向)に可動させるスライド手段とを備え、前記綴じ込み部は、一つの側板に着脱自在な装着プレートに立設したロッドと、一つの側板に着脱自在な装着プレートに立設し、前記ロッドを挿入可能なパイプとを有し、前記スライド手段によって、相対配置される前記側板間の間隔を広げることで、前記綴じ込み部が拡縮自在な構成とした。
この発明の綴じ具においても、綴じ込まれた紙葉類の良好な閲覧性を確保しつつ、操作性の向上、作業性の向上、外観向上等を図ることができる。この場合、特に、綴じ込み部を両方の側板の何れ側からでも開閉することができる綴じ具として好適な形態となる。
本発明において、前記スライド手段は、前記底板と前記背表紙の間に配置される固定プレートと、前記底板と前記固定プレートとの間に摺動自在に配置されるスライドプレートとを備え、前記スライドプレートの一端が前記一つの側板に連結されている構成とすることが望ましい。
このように構成した場合、一つの側板を支持するスライドプレートは底板と別の部材になる。従って、従来のように側板間の間隔を拡縮可能にするために底板を左右に分割する構造にする必要もなくなる。これにより、底板の形状を背表紙に対して着脱可能に固定し易い形状に維持あるいは加工することができる。即ち、綴じ具の底板を、その本来の機能を発揮し易く、制約を受けにくい構成とすることが可能になる。
本発明においては、前記底板の両端部分が前記背表紙へ固定するための平坦部として形成され、その平坦部間の底板部分が隆起部として形成され、その隆起部と背表紙との間に前記固定プレートとスライドプレートが配置される構成とすることが望ましい。このようにすれば、底板の隆起部の下に固定プレートとスライドプレートを重ねて収納することができる。さらに、平坦部は隆起部よりも低くなっているので、この平坦部に、底板を背表紙に着脱自在に固定するための厚みのある留め具を配置するのに制約を受けない構成とすることができる。
本発明においては、前記固定プレートと前記スライドプレートとに相互に係わり合い、前記スライドプレートの移動範囲を規制する規制部を設けた構成とすることが望ましい。このようにすれば、両側板間の間隔を必要以上に拡げないように一定に保持することができる。
ここで、前記規制部は、前記固定プレートに設けられ前記底板に向かって隆起する凸部と、前記スライドプレートに設けられそのスライドプレートのスライド方向に延びる長穴とで構成され、この長穴内を前記凸部が移動可能であることが望ましい。このようにすれば、スライドプレートと固定プレートを上下に重ねる簡易な構造において規制部を構成することができる。
本発明においては、前記固定プレートの少なくとも一つの側辺に前記凸部と同じ高さの壁を設け、その壁と前記凸部とで、前記固定プレートと前記底板との間に前記スライドプレートがスライド可能な空間を設けた構成とすることが望ましい。このように構成した場合、凸部の高さ以下の範囲内でスライドプレートがスライド可能な空間を形成できる。
本発明において、前記固定プレートは、前記スライドプレートを前記底板から押し出す方向に附勢する附勢手段と、前記スライドプレートを前記底板と前記固定プレートとの間の所定の位置に保持するための係合及びその係合を解除するロック機構とを備えることが望ましい。このように構成すれば、ロック機構のロック解除操作により、スライドプレートを附勢手段にて自動的に押し出すことが可能になるので、紙葉類を閲覧しやすい見開き状態にするための操作を極めて簡便に行うことができる。
ここで、前記附勢手段は、前記固定プレートの中央部と左右の側辺との略中間部にそれぞれ設けられ、前記スライドプレートがスライドする方向に延びる二本のスリットと、これらのスリットに位置するバネ部材と、前記スライドプレートに、前記スリット内を移動し、前記バネ部材を押圧する押圧片とで構成することが望ましい。
このように構成した場合、二本のスリットは固定プレートの中央部から左右に等間隔で振り分けられた配置となり、かつ、それぞれのスリットにバネ部材が位置するので、附勢手段が並行して一対配置された形態となる。したがって、スライドプレートを偏ることな
くバランス良くスライドさせることができる。また、スライドプレートの押圧片はスリット内を移動すると共に、そのスリット内にバネ部材が位置する構成としているので、附勢手段全体の厚さを抑制して薄型化を図ることができる。
前記バネ部材としては、前記固定プレートの底部中央から、固定された側板寄りに取り付ける一本のワイヤーで構成することが望ましい。その場合、一本のワイヤーの中間部をコイル状に巻回し、その巻回部分を固定プレートに設けた突起軸に嵌め込んでセット状態とし、両端をそれぞれのスリット内に位置させる構成とすることもできる。
前記ロック機構としては、前記スライドプレートに設けられた爪部と、前記固定プレートに設けられ、自由端が固定プレートの板厚方向へ変位可能に形成された係合片と、この係合片の自由端近くに設けられ、スライドプレートを前記底板の下に押し込んだときに前記爪部が係合する係合孔と、前記底板に沿って装着され、一端が前記底板から突出する棒状の解除レバーと、この解除レバーの所定の位置に、解除レバーの突出部を押したときに、前記係合片を押圧し、前記係合孔から前記爪部の係合を解除する解除片と、この解除レバーの突出部と反対の端部に設けられ、解除レバーの突出部を押さないときは、前記係合片を押圧しない方向に解除レバーを附勢するスプリングとを備える構成とすることが望ましい。
ロック機構をこのように構成した場合、解除レバーの突出部を押すだけで、解除片により係合片を押圧して、係合孔から爪部の係合を解除し、ロック機構をロック解除状態にすることができる。これにより、ロック解除操作をワンタッチで行うことができる。
本発明においては、前記スライドプレートの端辺に、スライドプレートの移動方向と平行に切起しガイド片を設け、このガイド片が移動可能なガイド用スリットを前記固定プレートに設け、このガイド用スリットの中で前記ガイド片が移動することで、前記スライドプレートのスライド移動を案内するガイドを設けた構成とすることが望ましい。このようにすれば、スライドプレートのスライド動作を更に円滑にバランス良く行わせることができる。
本発明においては、前記スライドプレートの一端が上方へ折り曲げられ、その折り曲げられた端部と前記側板とを連結し、折り曲げ部と連結部との間に、側板が立て位置にあるときに、側板から突出して、スライドプレートを前記底板の下部に押し込むための押し込み部を設けた構成とすることが望ましい。
このように側板から突出する押し込み部を設けた場合、例えば表表紙を利用してスライドプレートの押し込み操作を行うことができる。即ち、表表紙を閉じる方向へ回動させることで、その表表紙の内面を押し込み部に当てて押し込む操作を行うことができる。また、この押し込み部を、折り曲げ部と連結部との間に設けることで、表表紙を閉じるときにその内面に押し込み部が最初に当たり易くなるだけでなく、スライドプレート自体を直接的に押し込む構成として、押し込む力を効率的にスライドプレートに伝達することができる。
ここで、以上のような構成の綴じ具は、表紙体の背表紙の内面側に装備してファイリング用具として構成することが大変好適である。
本発明によれば、綴じ込まれる紙葉類の良好な閲覧性を確保しつつ、操作性の向上、組立作業性の向上、外観向上等を図ることができる綴じ具及びそれを備えたファイリング用具を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る綴じ具を備えたファイリング用具の斜視図である。図2は留め具を用いて綴じ具を表紙体に固定する例を示す分解斜視図である。図3は綴じ具の斜視図で、図4はその綴じ込み部を拡げた状態の斜視図である。図5は綴じ具の平面図であり、図6はその底面図である。図7は装着プレート及びロッド付きの綴じ込み金具の斜視図である。図8は一つの側板を連結した底板の斜視図である。図9はスライドプレートと固定プレートの関係を示す分解斜視図である。
(実施形態)
この実施形態のファイリング用具Fは、表紙体1の背表紙11の内面側に金属製の綴じ具2を備えている。表紙体1は厚紙や合成樹脂製シート等により形成されている。綴じ具2は、その底板21部分が、一定の幅Wの背表紙11に対して留め具3、3により取り付けられている。
留め具3は、綴じ具2の底板21部分を背表紙11の内面側に着脱自在に固定するためのものであって、図2に示すように、合成樹脂製のベース部材31と、そのベース部材31に装着する合成樹脂製の板状のスライド部材32とで構成されている。ベース部材31は、背表紙11の外側に配置される薄いプレート状の抜け止め部31aと、抜け止め部31aから突出し、背表紙11及び底板21を貫通して底板21上に突出する一対の突出部31b、31bと、各突出部31bの両側にそれぞれ設けられた係合部31c、31cとを有している。そして、スライド部材32には、ベース部材31に対する装着時に各係合部31cにそれぞれ係合する4つの係合片32aと、スライド操作用の凹所32bとが設けられている。
この留め具3を利用して、綴じ具2を表紙体1の背表紙11に着脱自在に固定するには、まず、背表紙11の内側に綴じ具2をセットし、次いで、背表紙11の外側からその背表紙11に設けた角孔11a及び底板21に設けた角孔24に対して、ベース部材31の各突出部31bを挿入して貫通させる。次いで、スライド部材32を二つともそれぞれ差し込んで装着する。表紙体1と綴じ具2を分離する場合には、スライド部材32の凹所32bを利用して、そのスライド部材32を二つとも引き抜けばよい。
綴じ具2は、綴じ穴付きの紙葉類S(図20参照)を抜き差し可能に綴じ込むものであって、底板21の両側(左右)に回動可能に相対配置される二つの側板4、5と、この両側板4、5の間に配置される綴じ込み部6と、両側板4、5の少なくとも一方(実施例では側板4)を水平方向(背表紙の幅W方向)に可動させるスライド手段7とを備えている。綴じ込み部6は、図4及び図7に示すように、一つの側板4に着脱自在な装着プレート61に立設したロッド62と、一つの側板5に着脱自在な装着プレート63に立設し、ロッド62を挿入可能なパイプ64とを有する綴じ込み金具により構成されている。そして、スライド手段7によって、相対配置された両側板4,5間の間隔を拡げることで、綴じ込み部6が拡縮自在な構成としている。
綴じ込み部6のロッド62は装着プレート61の長手方向に間隔をおいて一対設けられている。従って、パイプ64も装着プレート63の長手方向に間隔をおいて一対設けられている。
綴じ具2の底板21は、図5及び図8に示すように平面形状がほぼ長方形であって、その長さ方向の両端部分が、背表紙11へ固定するための平坦部22、22として形成され、その平坦部22、22間の部分が一様な高さで隆起した隆起部23として形成されてい
る。平坦部22の裏面は背表紙11の内面に面接触できる平坦面として形成されている。
平坦部22には、留め具3のベース部材31の突出部31b、31bを平坦部22上に導くための前述の角孔24、24が設けられている。従って、この平坦部22、22上に、前述したスライド部材32、32がそれぞれ装着される。24aは背表紙11の角孔11aに対する位置決め片を示している。
図1に示すように、このスライド部材32の装着状態において、そのスライド部材32の上面と隆起部23の上面とがほぼ同一高さとなるように設計されている。
スライド手段7は、底板21の隆起部23と背表紙11の間に配置される固定プレート8と、隆起部23と固定プレート8との間に摺動自在に配置されるスライドプレート9とを備えている。そして、図9及び図10に示すように、スライドプレート9の一端に一つの側板4が連結されている。スライドプレート9の一端部は立ち上がり部91に形成され、この立ち上がり部91にヒンジ92を介して側板4が一定の範囲で縦回動可能に連結されている。
さらに、この側板4の内側には、ヒンジ92のヒンジピン93を介して(兼用して)、装着プレート61の下縁61bを支持する下縁支持プレート41が一定の範囲で縦回動可能に設けられている。このヒンジピン93には、下縁支持プレート41の上縁41a側を側板4の内面4aに接触させる方向に附勢するコイルバネ94が装着されている。
側板4の上縁中央部には、装着プレート61の上縁61aに係止させるために内側へ曲げたフック部42が形成されている。これにより、側板4に対してロッド62付きの装着プレート61を着脱可能に装着できる構成となっている。
底板21の幅方向(背表紙11の幅方向)の一側(側板5側)には、スライドプレート9の立ち上がり部91と同様の立ち上げ部26が形成され、この立ち上げ部26にヒンジ27を介して側板5が一定の範囲で縦回動可能に連結されている。
さらに、この側板5の内側には、図8に示すように、ヒンジ27のヒンジピン28を介して(兼用して)、装着プレート63の下縁63bを支持する下縁支持プレート51が一定の範囲で縦回動可能に設けられている。このヒンジピン28には、下縁支持プレート51の上縁51a側を側板5の内面5aに接触させる方向に附勢するコイルバネ29が装着されている。
側板5の上縁中央部には、装着プレート63の上縁63aに係止させるために内側へ曲げたフック部52が形成されている。これにより、側板5に対してパイプ64付きの装着プレート63を着脱可能に装着できる構成となっている。
なお、二つの装着プレート61、63自体は、図7に示すように、それぞれのロッド62、パイプ64を除けばほぼ同一形状に形成されていて、一方の側板4及び他方の側板5の何れにも装着可能となっている。従って、この綴じ込み部6を構成する綴じ込み金具は左右で互いに入れ替えて使用することができる。
固定プレート8は合成樹脂製であって、隆起部23の裏面側に形成されるスペース(隆起部23の裏面と背表紙11の内面との間に形成されるスペース)内に嵌り込む大きさの平面長方形のプレート状に形成されている(図9参照)。そして、この固定プレート8とスライドプレート9との間に、スライドプレート9の移動範囲を規制する規制部80が設けられている。この規制部80は、両側板4、5間の間隔を必要以上に拡げないように一
定に保持するために設けられたものである。
この規制部80は、固定プレート8に設けられ、底板21に向かって隆起する凸部81と、スライドプレート9に設けられ、そのスライドプレート9のスライド方向に延びる長穴95とで構成され、この長穴95を凸部81が移動可能になっている。この凸部81と長穴95からなる規制部80は、スライドプレート9のスライド時のバランスに配慮して一対設けられている。
固定プレート8の側辺には、凸部81と同じ高さの壁82が設けられ、その壁82と凸部81とで、固定プレート8と底板21との間にスライドプレート9がスライド可能な空間αが設けられている(図15参照)。壁82は、平面矩形状の固定プレート8の4つの側辺のうち、スライドプレート9が出入りする側の側辺(長辺)を除く3つの側辺に設けられている。この壁82は、3つの側辺のうち少なくとも一つの側辺に設けてもその機能を発揮させることができる。なお、この壁82は、同じ高さの複数の突起や突条で構成することもできる。
図6、図9に示すように、固定プレート8は、スライドプレート9を底板21から押し出す方向に附勢する附勢手段90と、スライドプレート9を底板21と固定プレート9との間の所定の位置に保持するための係合及びその係合を解除するロック機構100とを備えている。
附勢手段90は、固定プレート8の中央部と左右の側辺との略中間部にそれぞれ設けられ、スライドプレート9がスライドする方向に延びる二本のスリット83、83と、これらのスリット83に位置するバネ部材84と、スライドプレート9に設けられ、スリット83内を移動してバネ部材84を押圧する押圧片96とで構成されている。
前記バネ部材84は、固定プレート8の底部中央から、固定された側板5寄りに取り付ける一本のワイヤーで構成されている。ここでは、一本のワイヤーの中間部をコイル状に巻回し、その巻回部分を固定プレート8に設けた突起軸85に嵌め込んでセット状態としている。
ロック機構100は、スライドプレート9に設けられ、固定プレート8と係わってスライドプレート9を固定する爪部97と、固定プレート8に設けられ、自由端がスライドする側板4側へ向いている舌片状の係合片86と、この係合片86に設けられ、スライドプレート9を底板21の下に押し込んだときに、爪部97が係合する係合孔87と、底板21に沿って装着され、一端が底板21から突出する棒状の解除レバー88と、この解除レバー88の所定の位置に設けられ、解除レバー88の突出部88aを押したときに、係合片86を押圧し、係合孔87から爪部97の係合を解除する解除片89と、解除レバー88の突出部88aと反対の端部に設けられ、解除レバー88の突出部88aを押さないときは、係合片86を押圧しない方向に解除レバー88を附勢するスプリング88bとを備えている。
ここで、係合片86の自由端は、固定プレート8の二つの長辺のうち、スライドする側板4側の長辺の中央部に位置するように設定されている。固定プレート8には、固定プレート8を形成する樹脂の弾力性を利用して、係合片86の自由端が固定プレート8の板厚方向に弾性変位できるようにするための切り欠き86a、86aが形成されている。この切り欠き86a、86aは、固定プレート8の側板4側の長辺から、係合片86の両側辺に沿って並行する2条のスリット状切り欠きとして形成されている。従って、係合片86の自由端は固定プレート8の側板4側の長辺と同じ位置にあり、係合片86の基端は固定プレート8と連続している。
係合片86の自由端付近の表面には、解除レバー88の解除片89が接触する接触面86bが形成されている。解除片89は解除レバー88の長さ方向の中央部から接触面86b側へ突出し、かつ解除レバー88の長さ方向に延びている。この解除片89の下面は、解除レバー88の突出部88aを押したときに、係合片86の接触面86bに対して次第に強く接触して係合片86の自由端を下方へ押し下げることができるテーパ面に形成されている(図15参照)。
解除レバー88には、固定プレート8に対して真っ直ぐにスライド可能に組み付けるために、固定プレート8に設けたガイド溝8d、8dに案内されて移動可能なガイド突条88d(図11参照)が解除レバー88の長さ方向に間隔をおいて一対設けられている。固定プレート8の裏面側には、固定プレート8に装着された解除レバー88の下面を支える突片8e、8eが設けられている。これにより、解除レバー88を固定プレート8に脱落しないように装着して(組み付けて)おくことができるように配慮している。
底板21の、スライドする側板4側の側辺部には、図8に示すように、解除レバー88の先端側を収容する先端収容部2aと、突出部88a近くの一部を収容する部分収容部2bとが設けられている。これらの収容部2a、2bは底板21の一部を断面逆U形状に曲げ加工して形成してある。従って、この先端収容部2aと部分収容部2bの開放された下面は背表紙11の内面で閉じられる形態となる。
図6、図9に示すように、スライドプレート9には、その端辺に、スライドプレートの移動方向と平行に切起した2つのガイド片9a、9aが設けられている。固定プレート8には、ガイド片9a、9aが移動可能なガイド用スリット8a、8aが設けられている。これにより、ガイド用スリット8a、8aの中でガイド片9a、9aが移動し、スライドプレート9のスライド移動を円滑に案内するガイド機構が構成されている。
なお、スライドプレート9の立ち上がり部91には、側板4が立て位置(起立状態)にあるときに、側板4の外面よりもさらに外方へ突出して、スライドプレート9を隆起部23の下部に押し込むための押し込み部98が設けられている。この押し込み部98は、手指や表表紙12との接触が滑らかなように、立ち上がり部91の一部を切り起こして側板4の外方へ突出させた部分をU形状に折り返した形状としている。
押し込み部98の突出寸法を適宜調整することで、図18及び図19に示すように、表表紙12を利用してスライドプレート9の押し込み操作を行うことができる。即ち、表表紙12を閉じる方向へ回動させることで、その表表紙12の内面を押し込み部98に当てて押し込む操作である。
その場合には、表表紙12の内面が押し込み部98の部分にのみ接触し側板4の外面等に接触しない程度の突出寸法とすることが好ましい。なぜなら、側板4等を利用してスライドプレート9を押し込む操作よりも、スライドプレート9を直接押し込む操作とする方が、押し込む力を効率的にスライドプレート9に伝達できるからである。
図15〜図17は、綴じ具2の附勢手段90及びロック機構100を利用したスライドプレート9のスライド動作を示すものである。図15(a)及び図16に示すように、スライドプレート9及び側板4が通常位置(綴じ込み部6が通常の収縮位置)にある状態を示す。この状態から解除レバー88の突出部88aを図16において矢印方向に押すと、図15(b)に示すように、解除片89の下面(テーパ面)が係合片86の接触面86bに次第に強く接触し、係合片86の自由端を下方へ押し下げる(弾性変位させる)。
これにより、係合片86の係合孔87からスライドプレート9の爪部97が外れ、ロック機構100のロック状態が解除される。このロック解除に伴い、附勢手段90が作用し、図15(c)及び図17に示すようにスライドプレート9が底板21から飛び出す方向にスライドし、側板4、5間の間隔が大きくなる。この状態では、図20に示す通常状態よりも、図21に示すように多数枚綴じ込まれた紙葉類Sを充分に大きく見開きすることができる。なお、解除レバー88の突出部88aを押す操作を止めれば、解除レバー88はスプリング88bによって元の位置に復帰する。
側板4、5間の間隔を元に戻す場合には、押し込み部98を手で押す操作を行えば、図15(a)に示すように、係合孔87に爪部97が係合する元の収縮状態に容易に戻すことができる。勿論、この操作は、図18及び図19で示したように、表表紙12を閉じる操作を利用して行うこともできる。
なお、上記の実施形態では、側板4、5の両方を縦回動可能に構成した例を示しているが、何れか一方の側板のみを縦回動可能に構成した綴じ具にも本発明を適用することができる。また、実施形態では側板4のみをスライド可能に構成した例を示したが、例えばスライドプレートを左右一対として、側板4、5の両方をスライド可能に構成してもよい。さらに、綴じ具の固定方法は、脱着部材を用いずに、リベット等で綴じ具の底板を表紙に固定してもよい。
本発明の実施形態に係る綴じ具を備えたファイリング用具の斜視図。 本発明の実施形態に係る綴じ具を備えたファイリング用具の分解斜視図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の通常状態を示す斜視図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の拡張状態を示す斜視図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の平面図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の底面図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の綴じ込み金具の斜視図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の底板と側板を示す斜視図。 本発明の実施形態に係る綴じ具のスライドプレートと固定プレートを示す分解斜視図。 図5のA−A線に沿った断面図。 図5のB−B線に沿った断面図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の正面図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の左側面図。 図5のC−C線に沿った断面図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の動作説明用の断面図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の動作説明用の底面図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の動作説明用の底面図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の動作説明図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の動作説明図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の作用説明図。 本発明の実施形態に係る綴じ具の作用説明図。
符号の説明
1 表紙体
11 背表紙
2 綴じ具
21 底板
3 留め具
31 ベース部材
32 スライド部材
4 側板
5 側板
6 綴じ込み部(綴じ込み金具)
61、63 装着プレート
62 ロッド
63 パイプ
7 スライド手段
8 固定プレート
80 規制部
81 凸部
82 壁
83 スリット
84 バネ部材
85 突起軸
86 係合片
87 係合孔
88 解除レバー
88a 突出部
89 解除片
9 スライドプレート
90 附勢手段
91 立ち上がり部
92 ヒンジ
93 ヒンジピン
94 コイルバネ
95 長穴
96 押圧片
97 爪部
98 押し込み部
100 ロック機構
S 紙葉類

Claims (5)

  1. 幅が一定の背表紙に固定される底板を有する綴じ具であって、
    前記底板の両側に少なくとも一方がヒンジを介して回動可能に相対配置される二つの側板と、この両側板の間に配置される綴じ込み部と、前記両側板の少なくとも一方を背表紙の幅方向に摺動させるスライド手段とを備え、
    前記綴じ込み部は、一方の側板に立設したロッドと、他方の側板に立設して前記ロッドを挿入可能なパイプとを有し、前記ロッドと前記パイプとの少なくとも一方は、着脱自在な装着プレートを介して側板に立設し、
    前記スライド手段によって、相対配置される前記側板間の間隔を変化させることで、前記綴じ込み部が拡縮自在であり、
    前記スライド手段は、前記底板と背表紙の間に配置される固定プレートと、前記底板と前記固定プレートとの間に摺動自在に配置されるスライドプレートとを備え、前記スライドプレートの一端が一方の側板に連結されており、
    前記固定プレートは、
    前記スライドプレートに当接して相対配置される前記側板間の間隔を幅方向に広げるように附勢する附勢手段と、
    前記附勢手段による附勢力に抗して前記スライドプレートを前記底板と前記固定プレートとの間の所定の位置に保持するために前記スライドプレートと前記固定プレートとを係合させること、及びその係合を解除することを選択可能なロック機構とを備える、
    綴じ具。
  2. 前記附勢手段は、
    前記固定プレートの中央部と左右の側辺との略中間部にそれぞれ設けられ、前記スライドプレートがスライドする方向に延びる二本のスリットと
    前記固定プレートと前記スライドプレートとの間に介在するバネ部材と、
    前記スライドプレートに設けられ、且つ前記スリット内を移動可能に形成され、前記バネ部材に当接してこれを押圧する押圧片とで構成される、請求項1に記載の綴じ具。
  3. 前記バネ部材は、前記固定プレートに取り付けられている一本のワイヤーで構成され、
    前記ワイヤーは、中間部がコイル状に巻回され、当該巻回部分が前記固定プレートに設けられた突起軸に嵌め込まれ、両端がそれぞれ前記スリットに延出するように配置される
    請求項に記載の綴じ具。
  4. 前記ロック機構は、前記スライドプレートに設けられた爪部と、前記固定プレートに設けられ、自由端が固定プレートの板厚方向へ変位可能に形成された係合片と、この係合片の自由端近くに設けられ、スライドプレートを前記底板の下に押し込んだときに前記爪部が係合する係合孔と、前記底板に沿って装着され、一端が前記底板から突出する棒状の解除レバーと、この解除レバーの所定の位置に、解除レバーの突出部を押したときに、前記係合片を押圧し、前記係合孔から前記爪部の係合を解除する解除片と、この解除レバーの突出部と反対の端部に設けられ、解除レバーの突出部を押さないときは、前記係合片を押圧しない方向に解除レバーを附勢するスプリングとを備える、請求項1から3の何れか一項に記載の綴じ具。
  5. 前記スライドプレートの一端が上方へ折り曲げられることで立ち上げ部が形成され、前記立ち上げ部の一端と前記一方の側板とがヒンジを介して連結され、その連結部と前記立ち上げ部の他端との間には、前記立ち上げ部から側方且つ外方に向かって突出する押し込み部が設けられており、
    前記スライドプレートが前記底板の下部から側方に飛び出した状態のときに、前記押し込み部が前記立ち上げ部側に向かって押し込まれることで、前記スライドプレートを前記底板の下部に押し込み可能な、請求項1から4の何れか一項に記載の綴じ具。
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