JP4909288B2 - 浮遊粒子状物質測定装置 - Google Patents

浮遊粒子状物質測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4909288B2
JP4909288B2 JP2008002915A JP2008002915A JP4909288B2 JP 4909288 B2 JP4909288 B2 JP 4909288B2 JP 2008002915 A JP2008002915 A JP 2008002915A JP 2008002915 A JP2008002915 A JP 2008002915A JP 4909288 B2 JP4909288 B2 JP 4909288B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particle
light
particles
particulate matter
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008002915A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009162712A (ja
Inventor
重男 小川
守 水沼
晴三 阪田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2008002915A priority Critical patent/JP4909288B2/ja
Publication of JP2009162712A publication Critical patent/JP2009162712A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4909288B2 publication Critical patent/JP4909288B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Description

本発明は、流体中に浮遊する微小粒子を光学的に検出し、その粒子の形状が球形状か繊維形状かを、特に繊維状粒子を円柱状粒子により近似することで、識別する浮遊粒子状物質測定装置に関するものである。
従来の浮遊粒子状物質測定装置は、円筒状のフロー管と称するガラス管に流体吸気口および流体排気口を設けて、繊維状粒子などの被検出対象粒子を分散させた試料流体をフロー管内に導入すると共に、フロー管の長さ方向あるいは側面方向から光ビームを照射し、フロー管の壁側に配置した検出器によって、フロー管内で生じた散乱光を測定することによって、試料流体単位体積当りの浮遊微小粒子の個数あるいは繊維状粒子の本数を実時間で検出していた。
このようなフロー管内の微小粒子による散乱光測定によって、微小粒子の形状を識別する装置としては、大別して二つの方式の装置、すなわち、四重電極による回転電場中で散乱光を変調させる第1の方式の装置(例えば、非特許文献1参照)と、対向電極による静電場中で後方散乱光の偏光度を測る第2の方式の装置(例えば、非特許文献2、特許文献1参照)が近年開発されている。
第1の方式の装置では、図11に示すように、フロー管20Aの長さ方向にそって光源3からレーザビーム32を照射すると共に、フロー管20A内に吸入された被検出対象粒子1がフロー管壁側の検出器40aに設けられた四重電極内に導入される。四重電極23E(23Ea,23Ea’,23Eb,23Eb’)は、図12に示すように、フロー管の回転対称軸(円筒軸)方向に対向電極が管壁に沿って設けられ、二対の対向電極は円筒軸に対して互いに直交するように構成されている。この対向電極間に90度の位相差をもって同一周波数の交流の高電圧を印加することによって回転電場ベクトル41を形成する。回転電場ベクトル41の中に導入された繊維状の被検出対象粒子1は、対向する電極、例えば23Ebと23Eb’間に形成された強い電場に引かれて誘電分極して繊維が引き伸ばされ、円柱状粒子として近似可能な形状に変形すると共に、交流の周波数に同期して円柱状粒子の主軸1aが回転電場ベクトル41に追従して回転する。この円柱状粒子に変形した被検出対象粒子1に、その回転面と垂直な方向からレーザビーム32を照射し、90度側方散乱光を検出する。
この側方散乱光の強度は、高電圧電場の回転(すなわち、印加交流電圧の周波数)に同期して変化し、長い繊維状の被検出対象粒子1ほど電場印加方向に引き伸ばされて長い円柱状粒子に変形するので散乱光強度の変動幅が大きくなる。この現象は、回転している円筒を、その回転軸に対して垂直方向から見たとき、見込み断面積が円筒の回転に伴い、大きくなったり小さくなったりすることと同等である。
これに対して、被検出対象粒子1が球状粒子の場合には、高電圧電場の回転に同期して粒子は誘電分極して回転するものの、回転面内で見た散乱断面積は球形のままなので同一であり、散乱光強度が回転電場によって強く変調を受けることはない。何故ならば、球状の被検出対象粒子1は回転に対して対称であるためである。以上のことから、電場の回転角θに伴う90度側方散乱光強度の変動の有無を計測することによって、円柱状粒子として近似された繊維状粒子と球状粒子との判別が可能となる。
図13(A)は第2の方式の装置の平面図、図13(B)は図13(A)の装置の側面図である。なお、図13(A)ではフロー管および枝管の内部を透視しているものとする。第2の方式の装置では、図13(A)、図13(B)に示すように、被検出対象粒子1を分散させた試料流体はフロー管20B内を流れる。フロー管20Bには、その内壁の断面よりも小さい断面の大きさを有する二つの枝管20Cがフロー管20Bに直交するように接続され、さらに、円弧状粒子配向用電極23Fがフロー管20Bの軸に沿って取り付けられている。これにより、フロー管20B内に導入した繊維状の被検出対象粒子1を高電圧静電場によって誘電分極させて電場印加方向に引き伸ばして、円柱状粒子として近似可能な形状に変形させると共に、電場印加方向へ向かせる。その上で、外部の光源3から特定方向に偏光させたレーザビーム32を、枝管20Cの端面よりフロー管20B内に照射して、被検出対象粒子1に入射させる。枝管20Cの光源3に検出器40bを隣接して配置することによって、フロー管20B内で生じた後方散乱光が測定できる。
この第2の方式では、第1の方式のように回転電場ベクトル41によって繊維状の被検出対象粒子1を観測視野内で回転させる代わりに、フロー管20Bに取り付けた円弧状粒子配向用電極23Fによって形成される静電場中を通過させる。こうして、円柱状粒子として近似された被検出対象粒子1の主軸を静電場印加方向に向かせた上で、直線偏光ビーム32を円柱状に変形した被検出対象粒子1に入射させ、粒子1による後方散乱光の偏光状態を検出器40bによって計測する。
ところで、非特許文献2に記載されているように、後方散乱光の偏光状態は、球状粒子と円柱状粒子とでは大きく異なる。具体的には、円柱状に変形した被検出対象粒子1の場合、散乱平面の法線方向に向いた粒子1の長軸方向に平行な偏光成分(すなわち、散乱平面に垂直な偏光成分)が強くなる。一方、球状の被検出対象粒子1の場合、逆に散乱平面に平行な偏光成分が強くなる。このような後方散乱光の偏光特性を利用して、繊維状粒子と球状粒子との判別が可能となる。
特許第2881731号公報 Pedro Lilienfeld,"Light Scattering from Oscillating Fibers at Normal Incidence",J.Aeroso1.Sci,Vo1.18,No.4,p.389-400,1987 N.Hiromoto,K.Hashiguchi,S.Ito,and T.Itabe,"Asbestos Real-Time Monitor in an Atmospheric Environment",Applied Optics,vol.36,No.36,p.9475-9480,1997
上記の浮遊粒子状物質測定装置では、第1および第2のいずれの方式でも、繊維状の被検出対象粒子1の計数において、四重電極による回転電場中あるいは対向電極による不均一静電場中での粒子分布の非一様性に起因した統計的揺らぎ、特に、極めて小さく絞った観測視野内から配向粒子が散逸することによって、1個、2個の数え落としが、計数値に対して大きな統計的揺らぎを与えてしまうという問題点があった。以下、この統計的揺らぎについて詳しく説明する。
浮遊粒子状物質測定装置において、フロー管に導入された被検出対象粒子1についての計数量は、(1)観測視野内の粒子数、もしくは(2)単位計数時間内の観測視野内の粒子数である。粒子を所望の方向に向かせるための電場印加を必要としない通常の光散乱式微小粒子計測装置においては、観測視野部分の空間の一様性、等方性が成り立っていると仮定できる。この場合、断面積A[cm2]のフロー管に流速v[cm/s]でΔt[s]間に導入された試料流体は、体積V=A・v・Δt[cm3]を占有する。その体積V内にN個の微小な被検出対象粒子1があるとすると、空間が一様、等方的であれば、被検出対象粒子1は、濃度C=N/V[個/cm3]で一様分布していると考えてよい。
今、光源3からのレーザビーム32が、ビーム径DR[cm]で流れ方向に照射領域長さξ[cm]で試料流体を照らしているとすれば、その観測視野の体積νはπを円周率として、ν=π(DR2ξ/4である。この観測視野の体積νは、被検出対象粒子1の体積に比較すれば充分に大きく、観測視野の中で、被検出対象粒子1は独立に運動していると近似してよい。この場合、N個の被検出対象粒子1の中で任意の1個に着目したとき、その粒子が観測視野内に存在する確率はp=ν/Vで与えられるので、この観測視野の中にn個の被検出対象粒子1が存在している確率P(n)を考えると、n個はこの観測視野の中に存在し、同時に残りのN−n個はその外の体積V−νの領域内に存在するので、その確率分布は式(1)で与えられるベルヌーイ分布で与えられる。
P(n)=N!/[n!(N−n)!]・(ν/V)n(1−ν/V)N-n
・・・(1)
したがって、観測視野の中に見出される被検出対象粒子1の個数の平均値<n>とその分散σ2は、以下のように与えられる。
<n>=(ν/V)・N=p・N=C・ν ・・・(2a)
σ2=<(n−<n>)2>=(1−ν/V)・(ν/V)・N
=(1−p)<n> ・・・(2b)
平均値からのずれの大きさσと平均値<n>との比を求めると、以下のようになる。
σ/<n>=[(V−ν)/(ν・N)]1/2
=[(1−p)/<n>]1/2 ・・・(2c)
実際の浮遊粒子の計数過程においては、サンプリングした試料流体をフロー管内に導入し、細いレーザビーム32により照らされた観測視野中を通過させ、その際の散乱光を受光部によって光電変換することで電気的パルスとして数える。光源3としてレーザを用いる場合には、ビーム径DRはかなり絞られていて0.1[mm]以下になる。一方、フロー管の断面積Aは、ある程度の試料流体をサンプリングするために、流量との関連であまり細くできない。このため、観測視野の体積νと試料流体の体積Vとの比で決まる確率p=ν/Vは極めて小さくなり(p<<1)、平均値<n>=N・p=C・νが一定値を保つような極限では、式(1)のベルヌーイ分布を次式(3)で与えられるポアソン分布により近似できる。
P(n)=exp(−C・ν)(C・ν)n/n! ・・・(3)
この場合、平均値<n>と分散σ2は共に次式により与えられる。
<n>=σ2=N・p=C・ν ・・・(4a)
平均値からのずれの大きさσと平均値<n>との比は、以下のようになる。
σ/<n>=<n>-1/2=(C・ν)-1/2 ・・・(4b)
例えば、フロー管内の全粒子数Nが104個程度で、体積比p=ν/Vが1/100とすると、平均値<n>は100となり、式(4b)で与えられる計数値の統計的揺らぎは10%に達する。
一方、観測視野中に同時に2個以上の被検出対象粒子1が入ってしまうと、1個のパルスとして計数されてしまう同時計数損失(Coincidence loss)を生ずる。具体的には、観測視野の体積ν内に2個以上の被検出対象粒子1が見出される確率の総和を求めることで、同時計数損失の起きる確率Qは、次式(5)により与えられる。
Q=Σn=2 P(n)=1−exp(−C・ν)(1+C・ν) ・・・(5)
すなわち、同時計数損失は、観測視野の体積νと試料流体中の被検出対象粒子1の濃度Cにより決まる。そこで、同時計数損失率Qを低く抑え(例えば10%以下)、かつ可測濃度CMaxを大きく設計するという観点からは、できる限り観測視野の体積νを小さくするか、フロー管への導入粒子濃度Cを低くする(希釈測定)ことによって同時計数損失率Qを低くする必要がある。観測視野の体積νを小さくすることは構造的なものであり、フロー管への導入粒子濃度Cを低くすることは計測技術的なものと言える。
しかし、式(4b)が示すように、観測視野の体積νが小さく、かつ試料流体中の被検出対象粒子1の濃度Cも低い場合には、観測視野内の粒子を1個、2個数え落とすと、その統計的揺らぎに対する影響は極めて大きい。
上述したように、四重電極で形成した回転電場や不均一電場内では、空間は非等方的であり、その内部での粒子分布の一様性も担保されない。被検出対象粒子1の形状を識別するために、電場を印加するので、等方性が破られる点はやむを得ない。しかし、極めて細く絞った観測視野から被検出対象粒子1が散逸してしまうような回転電場や不均一電場では、1個2個の数え落としが計数値に対して大きな統計的揺らぎを与えるので、以上述べたように問題である。
次に、数え落としの原因となる従来構成の不均一電場について述べる。
第1および第2のいずれの方式でも、円筒状のフロー管20A,20B中に繊維状の被検出対象粒子1を導入して円柱状粒子に変形させ、さらに回転させたり特定方向に向かせたりするために、断面円型のガラス管壁に円弧形状の電極23E,23Fを取り付けて高電圧を印加する。試料流体導流路に沿って、粒子配向用対向電極が設けられて高電圧電場を形成しているが、断面円型のフロー管では、電極形状が円弧形状となり、フロー管内の電極形成部内部の形成される電場は必ずしも一様ではない。隣接する電極端子間には不均一電場が発生し、誘電分極して電気双極子となった円柱状の被検出対象粒子1に対しては発散的に作用する、つまり、光ビームを照射している中心部領域からフロー管周辺部へと電気双極子を引き寄せてしまうため、被検出対象粒子1が観測視野から散逸して、統計的揺らぎを著しく増大させるという問題点があった。
このことを図14(A)〜図14(E)および図15に基づいて説明する。図14(A)は一様電場による粒子の伸張作用を示す図、図14(B)は電場トルクによる電気双極子の回転を示す図、図14(C)は電場方向への電気双極子の配向を示す図、図14(D)は不均一電場による電気双極子へ作用する力を示す図、図14(E)は観測視野領域(光ビーム照射領域)からの粒子の逸脱の様子を示す断面図である。
一般に、一様な電場E中に置かれた電気双極子には、その双極子モーメントをpとすると、次式(6)で与えられるトルクτが作用して電場の印加方向へ回転して電場と平行な方向を向く。
τ=p×E ・・・(6)
一方、不均一電場中に侵入した電気双極子には、さらに双極子モーメントpと不均一電場の勾配で決まるベクトル力Fも作用して、電場強度の大きい方向へ向かって移動することになる。すなわち、電気双極子には、次式(7)で与えられる力が作用する。
F=(p・∇)E ・・・(7)
式(6)、式(7)において、・はベクトルの内積、×はベクトルの外積、∇は勾配演算子をそれぞれ示す。
図14(A)に示すように、正極から負極へ向かう外部一様電場E内に導かれた湾曲した繊維状の被検出対象粒子1は瞬時に誘電分極を生じ、粒子1の両端のうち、電場Eを形している正電極に近い粒子1の一端は負極に帯電し、同時に電場Eの負極に近い粒子1の他端は正極に帯電する。このような一様電場中で、分極した湾曲繊維状の被検出対象粒子1は電場方向へ引伸ばされて直線状に変形すると共に、図14(B)に示すように円柱状に変形した粒子1には回転のトルクが作用して、粒子1は図14(C)に示すように電場Eと平行な方向を向く。
ここで、不均一電場中に円柱状粒子が導かれると、誘電分極により両端に生じた電荷が等しいのに、電場の電気力線の粗密に応じて双極子の両誘起電荷に作用する力が異なる。このため、図14(D)に示すように、不均一電場中の電気双極子には、電場が強くなる方向へ正味の力が働くことになる。
図15(A)は円筒状のフロー管20Aの周りに形成された円弧状四重電極23Eによる電場ベクトル分布を円筒の断面に沿って示した図、図15(B)は誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を円筒の断面に沿って示した図である。
第1の方式の装置では、繊維状の被検出対象粒子1を回転させるために、四重電極23Eを設けているが、その隣接する電極間に生ずる不均一電場が、対向電極間の高電圧電場により誘電分極した電気双極子に作用して、図15(B)に示すように、フロー管20Aの中心部(特定偏光の光源3の照射領域)から電気双極子が散逸するような電気力が作用する。このため、図14(E)に示すように、円柱状に変形した被検出対象粒子1は入射レーザビーム32の照射領域外へと輸送されてしまう。このため、観測視野内にある被検出対象粒子1の計数値は、一様分布している場合に比較して少なくなり、その統計的揺らぎも増大する。
さらに、試料流体中に分散している繊維状の被検出対象粒子1は通常湾曲しているので、強い電場中において引き伸ばして直線性を向上させ、円柱状粒子として精度良く近似しようとするが、粒子を回転させるために四重電極23E間に交流電圧を印加することから、その伸張が充分でないことも推測される。すなわち、アモサイト、クロシドライトなど青石綿を構成する棒状粒子に比較して、クリソタイル(白石綿)などの湾曲した粒子は、四重電極23Eによる回転電場中では充分に伸張できないため、円柱状粒子としての近似が充分でなく、円柱状粒子としての計数から数え落とされてしまう。
図16(A)は円筒状のフロー管20Bの周りに形成された円弧状粒子配向用電極23Fによる電場ベクトル分布を円筒の断面に沿って示した図、図16(B)は誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を円筒の断面に沿って示した図である。
図16(A)、図16(B)に示すように、第2の方式の装置では、繊維状の被検出対象粒子1を高電圧電場印加方向に向かせるために、対向電極23F間に高電圧を印加して静電場を形成している。したがって、フロー管20B中に導入された繊維状の被検出対象粒子1は長時間にわたり分極状態に保持され、湾曲した被検出対象粒子1も一直線状に伸張されることから、円柱状粒子としての近似不良に起因する数え落としは少ない。
しかし、第2の方式の装置でも、第1の方式の装置に比較すれば少量であるが、数え落としが報告されている(非特許文献2参照)。その理由として、対向電極の端部領域への電気力線の集中が考えられる。つまり、繊維状の被検出対象粒子1を高電圧電場印加方向に向かせるために、対向電極23F間に高電圧を印加するものの、対向電極の端部に電気力線の集中が起こり、端部領域の電場強度がその他の部分に比較して著しく強くなる。このような不均一電場中では、上記の四重電極23Eの場合と同様に、誘電分極した繊維状の被検出対象粒子1に対して、図16(B)に示すように、フロー管20Bの中心部(特定偏光の光源3の照射領域)から粒子1を散逸させる電気力が作用すると考えられる。このため、観測視野内の被検出対象粒子1の計数値は、一様分布している場合に比較して若干少なくなり、統計的揺らぎを増大させる数え落としとなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、被検出対象粒子を検出器の観測視野へ導入する際に、静電場印加によって誘電分極した被検出対象粒子が観測視野内に集中するような浮遊粒子状物質測定装置を提供することを目的とする。
本発明の浮遊粒子状物質測定装置は、偏光ビームを射出する光源と、流体中に浮遊している被検出対象粒子を試料流体導流路により層流状態で観測視野内に導入する導入手段と、前記観測視野内に導入された粒子に前記光源からの偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち、前記光源から前記粒子に向かう方向に対して前記粒子を中心とする散乱角が略10度の散乱光を、偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズムと、前記光ビームが前記粒子に入射する前に、前記光源と前記粒子と前記偏光型ビームスプリッタプリズムとを含む散乱平面に対して、前記粒子を前記散乱平面の法線方向に向ける粒子配向手段と、前記偏光型ビームスプリッタプリズムによって分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段から出力された信号に基づいて粒子形状を識別する粒子識別手段とを有し、前記粒子配向手段は、前記試料流体導流路に沿って配置された二つの電極ブロックからなり、この電極ブロック間に前記散乱平面の法線方向を向いた静電場を形成するものであり、前記二つの電極ブロックは、導流路側表面が平面で互いに平行な平板状か、もしくは導流路側表面が曲面で対向する電極ブロックに向かって互いに凸の形状であり、前記導入手段は、絶縁材料からなる二本のガイドブロックと、その上下から前記二本のガイドブロックを挟む絶縁材料からなる二つの厚板ブロックとからなり、前記二本のガイドブロックには、試料流体導入口となる端面から前記流体が層流状態に発達するのに必要な距離だけ離れた位置に、前記偏光ビームの導入用開口部と前記散乱光の観測用の開口部とがそれぞれ設けられ、各々の開口部には光学ガラス板が嵌め込まれ、上側の前記厚板ブロックと前記二本のガイドブロックとの間および下側の前記厚板ブロックと前記二本のガイドブロックとの間に、それぞれ前記電極ブロックを配置して、この二つの電極ブロックと前記二本のガイドブロックで挟まれる領域を前記試料流体導流路とすることを特徴とするものである
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記二つの電極ブロックは、前記試料流体導流路と直交する方向の幅が前記試料流体導流路の幅よりも広い平行平板状であり、この二つの電極ブロック間への電圧印加により前記観測視野を覆う試料流体導流路内に一様な静電場を形成するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記二つの電極ブロックは、前記試料流体導流路に沿った縦断面が矩形であり、前記試料流体導流路と直交する横断面の端部形状がロゴウスキー型端部形状であり、この二つの電極ブロック間への電圧印加により前記観測視野を覆う試料流体導流路内に電場強度が中心部に向かって漸増する静電場を形成するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記二つの電極ブロックは、前記試料流体導流路に沿った縦断面が矩形であり、前記試料流体導流路と直交する平面で切ったときの導流路側表面曲線が双曲線であり、この二つの電極ブロック間への電圧印加により前記観測視野を覆う試料流体導流路内に電場強度が中心部に向かって漸増する静電場を形成するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記二つの電極ブロックは、前記試料流体導流路に沿った縦断面が矩形であり、前記試料流体導流路と直交する平面で切ったときの導流路側表面曲線がV字型曲線と逆V字型曲線であり、この二つの電極ブロック間への電圧印加により前記観測視野を覆う試料流体導流路内に電場強度が中心部に向かって漸増する静電場を形成するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記電極ブロックは、銅、金、白金、銀、あるいはアルミのうち少なくとも1つを含む金属材料、プラスティック、マシナブル・セラミックス、あるいはエンジニアリング・セラミックスの何れかからなり、前記プラスティックを用いる場合は、導流路側表面に金属鍍金あるいは金属蒸着して前記電極ブロックとすることを特徴とするものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記電極ブロックの導流路側表面には、絶縁膜が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記ガイドブロックおよび厚板ブロックは、プラスティック、マシナブル・セラミックス、あるいはエンジニアリング・セラミックスの何れかからなり、前記観測視野の壁面および前記開口部の壁面は、前記光源の波長の光を吸収する材料で被覆されるものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記光学ガラス板は、前記偏光ビームの光の波長において無反射である材料からなるものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記光源は、非偏光の光ビームを射出するか、あるいは直線偏光の偏光面を前記散乱平面の法線方向に対して45度傾けた直線偏光ビームとして射出するか、あるいは直線偏光を1/4波長板を通過させて円偏光ビームとして射出するかの何れかにより光ビームを射出し、かつこの光ビームの波長の最小値は、識別対象とする球状微小粒子の半径よりも長く、かつ円柱状微小粒子の長さよりも短いことを特徴とするものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記粒子識別手段は、前記第1の受光手段で検出された垂直偏光成分と前記第2の受光手段で検出された水平偏光成分との強度差から、前記強度差が略等しい場合は前記粒子が球状粒子であると識別し、前記強度差が垂直偏光成分の優位を示した場合は前記粒子が円柱状粒子であると識別するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記粒子識別手段は、前記第1、第2の受光手段により同時に検出された各偏光成分の和で与えられる電圧パルスの波高を、予め定められた複数の閾値電圧と比較することで、前記電圧パルスをその波高値により分別し、分別したパルス毎に計数すると共に、前記粒子の識別結果に基づき、前記粒子が球状粒子であると識別した場合は前記パルス波高値に基づいて粒子半径を求め、前記粒子が円柱状粒子であると識別した場合は前記パルス波高値に基づいて粒子の長さを求めるものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置は、偏光ビームを射出する光源と、流体中に浮遊している被検出対象粒子を試料流体導流路により層流状態で観測視野内に導入する導入手段と、前記観測視野内に導入された粒子に前記光源からの偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち、前記光源から前記粒子に向かう方向に対して前記粒子を中心とする散乱角が略10度の散乱光を、偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズムと、前記光ビームが前記粒子に入射する前に、前記光源と前記粒子と前記偏光型ビームスプリッタプリズムとを含む散乱平面に対して、前記粒子を前記散乱平面の法線方向に向ける粒子配向手段と、前記偏光型ビームスプリッタプリズムによって分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段から出力された信号に基づいて粒子形状を識別する粒子識別手段とを有し、前記粒子配向手段は、前記試料流体導流路に沿って配置された二つの電極ブロックからなり、この電極ブロック間に前記散乱平面の法線方向を向いた静電場を形成するものであり、前記二つの電極ブロックは、導流路側表面が平面で互いに平行な平板状か、もしくは導流路側表面が曲面で対向する電極ブロックに向かって互いに凸の形状であり、前記粒子識別手段は、前記第1の受光手段で検出された垂直偏光成分と前記第2の受光手段で検出された水平偏光成分との強度差から、前記強度差が略等しい場合は前記粒子が球状粒子であると識別し、前記強度差が垂直偏光成分の優位を示した場合は前記粒子が円柱状粒子であると識別し、前記第1、第2の受光手段により同時に検出された各偏光成分の和で与えられる電圧パルスの波高を、予め定められた複数の閾値電圧と比較することで、前記電圧パルスをその波高値により分別し、分別したパルス毎に計数すると共に、前記粒子の識別結果に基づき、前記粒子が球状粒子であると識別した場合は前記パルス波高値に基づいて粒子半径を求め、前記粒子が円柱状粒子であると識別した場合は前記パルス波高値に基づいて粒子の長さを求めることを特徴とするものである。
本発明では、円筒状フロー管周りに形成した円弧状四重電極の代わりに試料流体導流路の幅より広い電極ブロックによる静電場を用いることで、電極極性のスイッチングの際に隣接する電極端部間に生ずる電場の不均一性を回避することができる。したがって、不均一電場に起因する浮遊粒子の観測視野内からの散逸を回避できる。あるいは円弧状対向電極による静電場の代わりに試料流体導流路の幅より広い電極ブロックによる一様静電場を用いることで、電極端部に生ずる不均一電場が電気双極子に作用することで起こる粒子の観測視野からの散逸を回避できる。いずれにせよ、本発明では、観測領域内からの被検出対象粒子の散逸を回避することで、従来の浮遊粒子状物質測定装置で著しかった観測視野内からの被検出対象粒子の1個、2個の数え落としに起因する計数値に対する統計的揺らぎを抑制できる。さらに、本発明の断面形状の電極ブロックを用いることで、静電場により分極した被検出対象粒子を特定方向(静電場印加方向)へ向かせつつ、観測視野内へ被検出対象粒子を定常的に集中・収束させることができ、さらには一様分布している場合に比較して若干多く計数することで、計数値に対する統計的揺らぎを低減させる。なお、ここで特定方向とは、光源、被検出対象粒子および受光手段の三者で定義される散乱平面に対して、鉛直方向が望ましい。また、従来の電極端部への電気力線の集中による不均一電場を、電極ブロックの断面形状を工夫することで回避し、試料流体の絶縁破壊電圧に近接する高電圧を、対向電極ブロック間に印加できるようになる。このため、アモサイト、クロシドライト等青石綿を構成する直線状粒子に比較して、湾曲した粒子であるクリソタイル(白石綿)についても、湾曲部を引き伸ばして円柱状粒子へと変形させるべくより高い電圧を印加できるので、従来の円弧状電極を用いた場合に比較して、繊維状の被検出対象粒子の円柱状粒子としての近似精度が向上する。結果的に、観測視野への被検出対象粒子の円柱状粒子としての検出率を向上でき、計数値に対する1個、2個の数え落としに起因する統計的揺らぎも低減できる。本発明は、統計的揺らぎを抑制することを優先し、被検出対象粒子を過大計数することの系統的な誤差は、検量線を求めることにより補正するという技術思想に基づく。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の導入手段および粒子配向手段となるフローチャネル部20の斜視図、図2はフローチャネル部20の分解斜視図である。
図2に示すように、フローチャネル部20は、絶縁材料からなる二本のガイドブロック240と、その上下から2本のガイドブロック240を挟む絶縁材料からなる二枚の厚板ブロック250a,250bとから構成される。二本のガイドブロック240および電極ブロック230a,230bにより挟まれた領域が、試料流体の導流路210eを形成する。また、図1に示すように、この導流路210eに直交するように特定偏光ビームの導入用開口部220aおよび散乱光観測用開口部220bが設けられている。
より具体的には、図2に示すように、一本のガイドブロック240には、流体吸気口21a側の端面から導入された試料流体が層流状態に発達するまでの助走距離L(Starting Length、詳細については後述する)だけ離れた位置に特定偏光ビーム導入用開口部220aが設けられ、もう一本のガイドブロック240には、特定偏光ビーム導入用開口部220aと向かい合う位置に散乱光観測用開口部220bが設けられている。そして、それぞれの開口部には導流路密閉用ガラス窓220cを嵌め込むための座繰りが形成されている。これらの開口部に導流路密閉用ガラス窓220cを嵌め込むことで、密閉性の高い導流路210eが形成される。
導流路密閉用ガラス窓220cの材料としては、特定偏光ビームの光の波長において無反射であるものを用いる。具体的には、導流路210eの内部から試料流体が外部へ漏れないようにし、かつ特定偏光ビームの入出射および散乱光検出がフローチャネル部20の外部から行えるようにするために無反射膜付き光学ガラスなどを用いる。導流路密閉用ガラス窓220cは、特定偏光ビームの損失を防ぐと共に、フローチャネル部20の内部の乱反射を減少させるために必要である。
上下の厚板ブロック250a,250bには、粒子配向手段となる特定の断面形状をもつ電極ブロック230a,230bを埋め込むための座繰りが形成され、上部厚板ブロック250aと二本のガイドブロック240との間、および下部厚板ブロック250bと二本のガイドブロック240との間に、それぞれ電極ブロック230a,230bが配置される。上側の電極ブロック230aとの電気的接続は、上部厚板ブロック250aを貫通して電極ブロック230aに達する接触電極端子260aによって行われ、下側の電極ブロック230bとの電気的接続は、下部厚板ブロック250bを貫通して電極ブロック230bに達する接触電極端子260bによって行われる。後述するバイポーラ型直流高圧安定化電源と電極ブロック230a,230bとの間の電気的な接続は、圧着端子などを利用した配線により行われる。
さらに、二本のガイドブロック240を上下の厚板ブロック250a,250bで挟んだ構造の両端部には、フローチャネル部20の流体吸気口21aおよび流体排気口21bとして機能させるために、採気管および排気管を接続するための吸気用継手210cおよび排気用継手210dがそれぞれ固定される。
このようにして形成されたフローチャネル部20は、被検出対象粒子1を試料流体中に分散させた状態で観測視野内に試料流体を導入するための導流路210eを形成し、かつ被検出対象粒子1の回転対称軸を、二枚の電極ブロック230a,230bにより形成される静電場の方向へと向かせる粒子配向手段を構成している。このフローチャネル部20には、試料流体中に分散した被検出対象粒子1を静電場印加方向へと向かせた状態で、特定の偏光状態にある照射光により照射された観測視野を形成するために、特定偏光ビームの導入用開口部220aならびに散乱光観測用開口部220bが形成されている。
そして、導流路210eに直交した方向から導入用開口部220aを通して外部の光源より特定偏光を照射することで、試料流体中を分散している被測定対象粒子1による前方散乱光を、散乱光観測用開口部220bを通して観測する。
フローチャネル部20内の導流路210eの断面形状は、一般的には矩形であるが、望ましくは正方形である。正方形にすることで、静電場を印加するための電極ブロック230a,230bの構造を簡単にできるのみならず、後述する助走距離Lを算出する際にも、解析モデルが簡単になって設計が容易になる。
ガイドブロック240の厚さは、繊維状の被検出対象粒子1の向きを揃えるのに必要な静電場の強度により決定される。例えば、ガイドブロック240の厚さを1cmとすると、電場強度1kV/cmの静電場を観測視野内に形成するためには、電極ブロック230a,230bにそれぞれ500Vずつ印加することになる。
また、特定偏光ビーム導入用開口部220aは、ガイドブロック240の流体吸気口21a側の端面から助走距離Lだけ離れた位置に形成される。
流体吸気口21aよりフローチャネル部20内に導入された試料流体は、通常、吸気管や吸気用継手とフローチャネル部20の断面との不整合に起因して、乱流状態となる。
一般に、ある臨界値以下のレイノルズ数を持つ粘性流体の流れに対しては、フローチャネル部20内に一様乱流状態で導入された試料流体であっても層流状態への遷移が起こり、助走距離Lの間に完全な層流に発展する。
したがって、フローチャネル部20に設けた電極ブロック230a,230bにより特定方向に向けた被検出対象粒子1を観測する際には、この試料流体の入口部分での乱流状態が粒子1の方向を擾乱しない状態で散乱光を観測する必要がある。すなわち、助走距離Lだけ離れた位置で散乱光を観測すれば、乱流という擾乱が粒子計数に与える影響を低減できると期待できる。乱流が粒子計数に与える影響としては、被検出対象粒子1の方向をふらつかせたり、導流路210e中を流れる被検出対象粒子1が電場の空間的不均一性により観測視野から散逸することを助長したりする。そこで、特定偏光ビーム導入用開口部220aを吸気側端部から助走距離Lだけ離れた位置に設けることで、観測視野領域の流れが乱流の影響を受けないようにする。
レイノルズ数Reは、助走距離Lと試料流体の流速Uと試料流体の動粘性計数ν(=μ/ρ、ここで、μは試料流体の静的摩擦係数、ρは試料流体の密度である)により、以下の式(8)により与えられる。
Re=U・L/ν ・・・(8)
そして、円筒管に対しては、乱流から層流への遷移が起こる遷移レイノルズ数は2300程度であることが知られており、この遷移レイノルズ数以下であれば、円筒管入口部で強い乱流であっても、助走距離L以降の位置では、流れが発展して層流状態であることが期待できる。なお、遷移レイノルズ数の2300という値は円筒管に対する値であり、本実施の形態の正方形断面の角柱状の導流路210eに対しては、遷移レイノルズ数の値は、管内の壁面の粗さと導入される試料流体の微小な乱れの大きさに影響されることも考慮して、1000程度としている。すなわち、乱流が層流に発展する遷移条件として、遷移レイノルズ数(Re)transが次式(9)を満たすものとして、各種パラメータを適宜設計した。
(Re)trans<1000 ・・・(9)
本実施の形態のフローチャネル部20の導流路210eの断面形状並びに特定偏光ビーム導入用開口部220aを設ける助走距離Lの値は、上記印加電場強度の条件と、試料流体のレイノルズ数が遷移レイノルズ数の値以下に保たれる式(9)の条件を満たすように適宜設計した。同時に、試料流体の流速Uについても式(9)で定まる遷移レイノルズ数の値以内に留まるように流量(=流速×導流路210eの断面積)を設定した。
特定断面の形状を持つ電極ブロック230a,230bの材料としては、銅などの可塑性の高い金属板材をそのまま、特定断面形状に削り出して用いることも可能であるが、より成形の容易なプラスティックなどの材料の電極側表面に金属を鍍金したり、あるいは金属を直接蒸着するなどしたりして、金属電極としての機能を持たせても良い。必要とする加工精度で所望の断面形状の電極を実現可能な材料であれば、その材質については金属等に限られるものではない。というのは、電極ブロック230a,230bには、その間の導流路210eに導入された被検出対象粒子1の向きを揃えるために静電場を形成すべく試料流体の耐圧限界近傍の高電圧が印加できればよく、試料流体の耐圧以上の高電圧を印加して直流大電流などを流す必要はないからである。
また、電極ブロック230a,230bの導流路側の表面(電極ブロック230aの場合は下面、電極ブロック230bの場合は上面)には、金属層の保護膜として絶縁材が塗布されて、絶縁膜が形成されている。あるいは、電極ブロック230a,230bの表面に絶縁性の金属酸化物を形成してもよい。こうして、電極ブロック230a,230bの導流路側の表面に絶縁膜を形成することで、電極表面に付着した微粒子が電極と同極性に帯電してクーロン反発して再飛散し、対向電極ブロック側へ突入し対向電極ブロックの表面に付着することを回避することができる。
次に、上下の厚板ブロック250a,250b並びにガイドブロック240の材料としては、絶縁耐圧が試料流体(例えば大気)の絶縁破壊電場強度10kV/cmに耐え得るものであれば、成形の容易なプラスティックを利用することも可能である。一般的には、マシナブル・セラミックス(研削可能なセラミック材料)を用いることが望ましい。搾孔、研削などの加工の後に焼結するエンジニアリング・セラミックスを利用することも可能である。
何れの材料を用いる場合も、導流路210eを形成するガイドブロック240の内壁部と特定偏光ビーム導入用開口部220aおよび散乱光観測用開口部220bの内壁面には、黒色を焼き付け塗装するか、光吸収率の高い塗料などを塗布する等して、観測視野内部と偏光ビームおよび散乱光の通過する部分の乱反射光を減少させる必要がある。あるいは、ガイドブロック240および厚板ブロック250a,250bの材料として、元々黒色のエンジニアリング・セラミックスを利用してもよい。これにより、本実施の形態では、観測視野部分の乱反射を低くすることができるので、微弱な散乱光まで検出可能となり、粒径の小さな粒子など散乱光強度の弱い微小粒子の検出および形状識別が可能となる。
図3は、特定の散乱角で散乱光を検出することにより、形状の異なる粒子の識別を可能にする本実施の形態の原理を説明するための図であり、球状粒子および無限に長い円柱状粒子による散乱光のうち前方散乱に近い散乱角10度での散乱光の偏光度(偏光の大きさ)と粒子半径との関係を示す図である。図3において、Sは球状粒子の特性、Cは円柱状粒子の特性である。
この図3は、屈折率1.55の物質の球状粒子および無限に長い円柱状粒子による散乱光の偏光度を、種々の粒子半径について散乱角10度で散乱理論に基づき導出したものである。偏光度を導出した光の波長は、識別対象粒子の半径よりも長い1.55μmである。図3では、偏光度の数値が正の方向にいくほど散乱平面に対して垂直偏光の度合いが強くなり、+1で完全に垂直偏光のみとなる。他方、偏光度の数値が負の方向にいくほど散乱平面に対して水平偏光の度合いが強くなり、−1で完全に水平偏光のみとなる。
図4は、z軸方向に無限に長い円柱に単一波長の直線偏光をx軸方向より照射した時の光散乱現象を説明するための図であり、図3を導出する際に用いた配置図である。ここでは、直線偏光の偏光面が散乱平面の法線に対する角をφとする。図4は、直線偏光の入射光により照射される無限に長い円柱100を座標系の原点に置いた場合の、円柱に対する入射電場E(i)および散乱電場E(s)を含む三次元座標系を示している。また、図4は、入射光と散乱光とを含む散乱平面5(xy平面)に対する入射電場の垂直成分Ever (i)および散乱電場の垂直成分Ever (s)と入射電場の平行(水平)成分Epar (i)および散乱電場の平行成分Epar (s)、並びに散乱角θを示している。単一波長の直線偏光は、x軸に沿って原点にある円柱100の方向へ直進し、円柱100において散乱するが、散乱平面5上においてその散乱光のx軸からの角度を散乱角θと定義する。散乱光は、この散乱角θの方向の延長線上に配置された検出器により検出される。
θを散乱角、φを散乱平面5の鉛直方向を基準とした入射光の偏光面の回転角とすると、散乱平面5の鉛直方向を向いた円柱100の軸に平行な電場成分Ever (i),Ever (s)に対する振幅散乱行列の対角成分Tver(θ,φ)と円柱100の軸に垂直な電場成分Epar (i),Epar (s)に対する振幅散乱行列の対角成分Tpar(θ,φ)により、円柱状粒子による散乱光の偏光度Pは次式のように定義される物理量である。
P=(|Tver2−|Tpar2)/(|Tver2+|Tpar2
=(Iver−Ipar)/(Iver+Ipar) ・・・(10)
球状粒子による散乱に対しては、式(10)の偏光度Pの計算式において、Tver(θ,φ)とTpar(θ,φ)を、それぞれ球に対する振幅散乱行列の対角成分Sver(θ,φ)とSpar(θ,φ)に置き換えればよい。
式(10)において、Iver=|Ever (s)2は散乱平面5に垂直な散乱電場の強度(垂直偏光散乱光の強度)、Ipar=|Epar (s)2は散乱平面5に平行な散乱電場の強度(水平偏光散乱光の強度)である。(Iver+Ipar)は散乱光の垂直偏光成分と水平偏光成分の和であるから、全散乱光強度である。(Iver−Ipar)は散乱光を垂直偏光成分と水平偏光成分に分離した際に、垂直偏光成分と水平偏光成分の差分を表す量となっている。
光の散乱理論によれば、球状の散乱粒子に対する振幅散乱行列の対角成分Sver(θ,φ)とSpar(θ,φ)により、散乱光強度Iver,Iparは、入射光の垂直偏光成分の強度をIV0=|Ever (i)2、入射光の水平偏光成分の強度をIP0=|Epar (i)2とすると、次式により表すことができる。
ver=IV0[Sver(θ,φ)]2/(kr)2 ・・・(11a)
par=IP0[Spar(θ,φ)]2/(kr)2 ・・・(11b)
ここで、λを入射光の波長とするとき、kはk=2π/λで定義される波数、rは散乱体である球あるいは円柱と検出器との間の距離である。振幅散乱行列の各成分SやTの具本的な数式については、電磁波散乱の文献「M.Born and E.Wolf,“Principles of Optics”,2nd edition,1964,Pergamon,Oxford,Capter XIII,p.635-664」、「“光学の原理3”,2006,東海大学出版会,第14章 金属光学,§14.5 伝導球による回折:Mieの理論」、「H.C.van de Hulst,“Light Scattering by Small Particles”,1957,John Wiley & Sons,New York,Chapter 9,p.114-130」、あるいは「J.D.ジャクソン,原書第3版,“電磁気学(下)”,西田稔訳,2003,吉岡書店,第10章 散乱と回折,§10.4 球による電磁波の散乱,p.700-707」などに詳細に記載されている。
ところで、有限長さdの円柱状粒子に対しては、その散乱光を充分に遠方にある検出器により観測する場合、円柱状粒子から検出器までの距離rがr>>d2/λの条件を満たすので、上記の振幅散乱行列の対角成分の間を互いに以下の関係で結びつけることができる。
ver(θ,φ)=(kd/π)E(kdφ/2)Tver(θ,φ) ・・・(12)
ここで、E(z)は球ベッセル関数j0(z)=sin(z)/zである。式(12)は、無限に長い円柱による散乱光を、有限長さ単スリットからのフラウンホーファ回折パターンを表す関数で強度変調していることに相当している。
球による散乱光の水平偏光成分Spar(θ,φ)と円柱による散乱光の水平偏光成分Tpar(θ,φ)との間にも同様の関係が成立する。
そこで、有限長さの円柱状粒子による散乱強度の、例えば垂直偏光成分は、式(12)を式(11)に代入することにより、次式のように与えられる。
ver=IV0(d/πr)2・[E(kdφ/2)・Tver(θ,φ)]2
・・・(13)
水平偏光成分についても同様である。ここで重要なことは、円柱状粒子による散乱強度の最終的な式(13)の中に、円柱状粒子の長さがd2、すなわち二乗の形で含まれていることである。これは、散乱光の強度が、円柱状粒子の長さの二乗と共に強くなることを意味している。
ところで、大きい半径の球状粒子や軸方向長さdの長い円柱状粒子は重力沈降により空気中に浮遊できないため、浮遊している粒子の粒子半径は10μm以下のものが多い。そのうち、特に個数濃度で多数分布しているのは球状粒子では半径1μm以下の粒子である。他方、アスベストのような繊維状粒子の場合、特に人体に有害とされるのは直径が3μm以下(長さdは5μm以上)のものとされている。
図3において、このような半径1μm以下の粒子について見ると、散乱角10度という散乱角での散乱光の偏光状態は、球状粒子の場合はほぼ無偏光状態に近く、他方、円柱状粒子の場合は垂直偏光成分が多くなる。つまり、円柱状粒子による散乱光は、円柱軸方向に電気ベクトルが振動する垂直偏光成分を多く含む。このような散乱光の偏光度の違いから、形状の異なる球状粒子と円柱状粒子の識別が可能となる。また、散乱光の強度から、円柱状粒子であればその長さを求めることができ、球状粒子であれば半径を求めることができる。
なお、図3では、入射光の波長として1.55μmのものを利用したため、球状粒子と円柱状粒子の識別可能な粒子半径が略1μm以下のものに制限されたが、波長のより長い光源を利用することにより、識別可能な粒子の半径をより大きくできることは言うまでもない。この図3に示す特性は、発明者が光の散乱理論に基づき見い出した事実である。
図5は、本実施の形態の浮遊粒子状物質測定装置の検出器40の概略構成を示す図である。図5は、被検出対象粒子1に特定偏光ビームを照射した状態を示している。被検出対象粒子1の導入手段と粒子配向手段2とを構成するフローチャネル部は、図1、図2の構成に基づくものである。
被検出対象粒子1は、粒子配向手段2によって、すでにその主軸が散乱平面5の法線VERの方向に揃えられている。粒子配向手段2は、被検出対象粒子1の主軸を、光源3と被検出対象粒子1と偏光型ビームスプリッタプリズム6とによって定義される散乱平面5の法線VER方向に揃える手段であり、本実施の形態では、図1、図2に示したフローチャネル部20の電極ブロック230a,230bと後述するバイポーラ型直流高圧安定化電源とからなるものを想定している。
本実施の形態では、光源3からの射出光を、散乱平面5に対してその偏光面が45度傾いた直線偏光としている。その理由は、光源3から射出された直線偏光が被検出対象粒子1に対して入射する際に、垂直偏光成分と水平偏光成分とが等しい強度となるようにするためである。
垂直偏光成分と水平偏光成分とが等しい強度となる光源としては、レーザに代表される直線偏光射出光源の他に、白熱ランプや発光ダイオード(Light Emitting Diode)等の非偏光状態の光源も利用可能である。非偏光状態の光源を利用する場合には、被検出対象粒子1に光ビームを照射する前に、光源からの光を波長フィルタに通して、入射光の最小波長を確定する必要がある。
また、直線偏光や非偏光の光源の代わりに、円偏光を射出する光源3を用いることもできる。円偏光を射出するには、直線偏光を射出するガスレーザや半導体レーザダイオード等の直線偏光射出手段と1/4波長板とコリメート光学系とが光源3の構成要素となる。直線偏光射出手段からの直線偏光の偏光面を散乱平面5に対して45度に傾け、この直線偏光を1/4波長板に通し、さらにコリメート光学系を透過させることによって、円偏光を被検出対象粒子1に照射する。
なお、図3に例示したように、波長1.55μmの通信波長帯域のレーザだけに限定されるものではなく、他の波長のレーザやインコヒーレントな光源を用いた場合にも、本実施の形態と同様の効果が得られることは明らかであることはいうまでもない。
光源3からの射出光は、被検出対象粒子1の主軸に対して直角な方向から被検出対象粒子1に入射する。この入射光は被検出対象粒子1が円柱状粒子である場合、円柱軸に平行な成分(散乱平面5に対しては垂直偏光成分)と円柱軸に垂直な成分(散乱平面5に対しては水平偏光成分)がそれぞれ違ってくる。なお、以後は、散乱平面5を基準に「垂直」、「水平」を特定する。ここで、一定の角度、特に浅角前方散乱に近い散乱角θ=略10度での散乱光に着目する。
その散乱光は、図5に示すように、偏光型ビームスプリッタプリズム6に導かれ、垂直偏光成分と水平偏光成分とに1:1の割合で分割される。受光部4aは分割された垂直偏光成分の強度を検出し、受光部4bは水平偏光成分の強度を検出する。
受光部4a,4bは、入射した散乱光を電気信号に変換する素子であり、光電子倍増管、アバランシェフォトダイオード、固体接合光ダイオード、半導体フォトダイオードの何れか一つが考えられる。
図3に示すように、円柱状粒子による散乱光には垂直偏光成分が多く、これに対して球状粒子による散乱光は無偏光状態である。したがって、非偏光、あるいは偏光面が散乱平面5に対して45度傾いた直線偏光ないしは円偏光が被検出対象粒子1に入射すると、被検出対象粒子1が円柱状粒子の場合、受光部4aで検出される垂直偏光成分の強度が、受光部4bで検出される水平偏光成分の強度よりも大きくなる。一方、被検出対象粒子1が球状粒子である場合は、受光部4aで検出される垂直偏光成分の強度も受光部4bで検出される水平偏光成分の強度もほぼ等しい強度で検出される。
こうして、偏光面が散乱平面5に対して45度傾いた直線偏光の光や非偏光、あるいは円偏光を被検出対象粒子1に照射し、その散乱光の垂直偏光成分の強度と水平偏光成分の強度とを同時に計測すると、垂直偏光成分と水平偏光成分との強度比から球状粒子か円柱状粒子かの識別が可能である。以上が、本実施の形態の浮遊粒子状物質測定装置による粒子形状識別の原理である。
なお、入射光ビームの波長は、識別したい球状粒子の半径よりも長くてもよいが、円柱状粒子の軸方向の長さに比較して短くしておく。入射光の波長が円柱状粒子の軸方向の長さdよりも長いと、円柱状粒子も球状粒子と同様なレイリー(Rayleigh)散乱をするようになるため、本実施の形態の基本となる粒子形状識別原理が適用できなくなる。
すなわち、形状の識別における光源波長λへの制約について述べると、波長λ(あるいは、波長に中心値λ0から有限の幅±Δ/2がある際にはその最小波長λmin=λ0−Δ/2)は、識別対象とする球状粒子あるいは円柱状粒子の半径よりも長い必要がある。さらに、有限長さdの円柱状粒子に対して、式(12)を導く際に仮定したr>>d2/λの条件を満足させるためには、波長λ(あるいは、その最大波長λmax=λ0+Δ/2)は、同時に、円柱状粒子の長さdよりも短く設定しておく必要がある。
[第2の実施の形態]
図6(A)、図6(B)は本発明の第2の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置のフローチャネル部20において電極ブロック230a,230bを平行平板形状とした場合の電場ベクトル分布および力ベクトル分布を示す図である。すなわち、図6(A)は平行な二枚の電極ブロック230a,230bにより生成される電場ベクトル分布を示す図、図6(B)は電場ベクトル内で誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。なお、図6(A)、図6(B)は、試料流体が流れる方向と垂直な断面のうち導流路210eの中心から右側半分のみを示している。
図6(A)より、上下の電極ブロック230aと230b間には、電極端部を除けば、一様な静電場が形成されており、誘電分極して電気双極子となった繊維状の被検出対象粒子1をこの一様電場中で上下方向に向けるように作用することが分かる。一方、電極ブロック230a,230bの端部では、電気力線の回り込み並びに集中が起きている。
図6(B)は、電極ブロック230aと230b間の静電場中に導入された粒子に作用する力ベクトルを示している。ただし、この静電場中に電気的に中性な粒子が導入されても、強い静電場によって直ちに誘電分極が起こり、静電場中の粒子は電気双極子となる。そして、粒子は前記式(6)で記載されたトルクを受けて、静電場内で回転して、電場印加方向を向く。
一般に、不均一電場中に導入された電気双極子には、双極子全体を移動させるようにも電気力が作用する。図6(B)から分かるように、電極ブロック230aと230bとの間の中心部近傍では完全に一様な静電場が形成されているので、不均一電場に起因する電気双極子への力はない。一方、電極ブロック230a,230bの端部では電気力線の回り込み並びに集中が起きていて、電場強度が不均一となっており、そのような場所では、電気双極子には電極端部へ引き寄せる力が強く作用する。
このような電場が集中する電極端部を回避して、一様な静電場中を被検出対象粒子1を観測視野まで導く導流路210eを形成するためには、電極ブロック230a,230bの幅を導流路210eの幅よりも略3倍程度広くする必要がある。そして、上下の厚板ブロック250a,250bに設けた座繰りに、それぞれ電極ブロック230a,230bを埋め込み、この厚板ブロック250a,250bによってガイドブロック240を挟み込むことで、導流路210eを形成する。
電極ブロック230a,230bの導流路側の表面(電極ブロック230aの場合は下面、電極ブロック230bの場合は上面)には、絶縁材が塗布されて、絶縁膜が形成されている。あるいは、電極ブロック230a,230bの表面に絶縁性の金属酸化物を形成してもよい。こうして、電極ブロック230a,230bの導流路側の表面に絶縁膜を形成することで、電極表面に付着した微粒子が電極と同極性に帯電してクーロン反発して再飛散し、対向電極側へ突入し対向電極面に付着することを回避することができる。
対向する二枚の電極ブロック230a,230bには、後述するパイポーラ型直流高電圧電源より正負の電圧をそれぞれ印加することによって、電場強度として1kV/cmから5kV/cm程度の静電場を発生させる。このような電場中に被検出対象粒子1を導入すると、電気的に中性であった被検出対象粒子1は、高圧電場によって直ちに誘電分極する。被検出対象粒子1が球状粒子の場合には、誘電分極によってもその粒子の軸が回転することはない。
一方、被検出対象粒子1が繊維状の場合には、誘電分極によって発生した正電荷と負電荷がそれぞれ負側電極と正側電極へと引き付けられる結果、被検出対象粒子1は円柱状粒子に変形し、その回転対称軸が電気力線方向へ向くように回転モーメント力(式(6)参照)が作用する。この結果、繊維状の被検出対象粒子1は引伸ばされて円柱状粒子に変形し、その軸は印加されている静電場方向に向きが揃う。
平行平板形状の電極ブロック230a,230bにより、フローチャネル部20の導流路210eを電極端から離して構成すれぱ、電極端部の電気力線集中に起因する不均一電場による影響は僅かになり、導入された被検出対象粒子1をチャネル中央から引き離して散逸させるようなカは作用しない。すなわち、この構成では、導流路210eの観測領域にある被検出対象粒子1は、電場印加方向に向いた状態で、試料流体中にほぼ一様に分布していると言える。したがって、式(3)を導く際の計数の前提となっている空間の一様性が担保されている。
[第3の実施の形態]
図7(A)、図7(B)、図7(C)は本発明の第3の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置のフローチャネル部20において電極ブロック230a,230bの端部断面形状をロゴウスキー(Rogowski)端部形状とした場合の等電位線、電気力線、電場ベクトル分布および力ベクトル分布を示す図である。すなわち、図7(A)は平行平板キャパシタ端部の等電位線および電気力線を示す図、図7(B)は電極ブロック230a,230bにより生成される電場ベクトル分布を示す図、図7(B)は電場ベクトル内で誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。なお、図7(A)〜図7(C)は、試料流体が流れる方向と垂直な断面のうち導流路210eの中心から右側半分のみを示している。
第2の実施の形態に示したように、平行平板形状の電極ブロック230a,230bは、均一な電場を形成するのに最も適した電極形状である。しかし、平行平板形状の電極ブロック230a,230bは有限の大きさであるために端部で電気力線の集中(端部効果)が生ずる。すなわち、有限幅の平行平板形状の電極ブロック230a,230bにより形成される粒子配向用静電場は、その電極端部に最大の電場ストレスが生ずるので、高電圧を印加すると、常に電極端部において放電が生ずる危険性がある。
したがって、端部領域の電場強度を緩和し、有限幅の電極面全体に平等な強い電場を形成できる電極面構造が必要となる。すなわち、すべての電極端部領域にわたり電場ストレスが、端部より充分離れて平等電場強度となっている中央部分での電場ストレス程度かそれ以下に緩和される電極表面形状を求める必要がある。この端部効果を防ぐため、電極端を丸めた電極形状が開発されており、この形状をした電極をロゴウスキー電極と称する。
図7(A)は、有限幅の平行平板キャパシタについて、その端部を含めた場合の等電位線231(実線)および電気力線232(点線)を示した図である。図7(A)において、太線233は、平行平板キャパシタの間隔をaとするとき、nを整数とすると、その間隔がa/nとなる等電位線を示している(図7(A)ではn=3としてある)。
電磁気学によれば、等電位線と電気力線とは互いに直交し、等電位線に沿っては、その接線方向に作用する電気力は発生しない。したがって、電極形状として、この等電位面の曲面を採用すれば、原理的に、平行平板電極の端部に生じた電場ストレスは回避でき、さらに、端部より中央部が僅かに電場ストレスが強くなるように設計すれば、端部から中央部へ向けて極めて緩やかに電場強度が強まる不均一電場を形成することができる。
こうした思想の下に設計されたのがロゴウスキー端部形状電極である。そして、ロゴウスキー端部形状の電極ブロック230a,230bは、二次元の電場から導いたものであり、奥行き方向に延ばした蒲鉾状の電極ブロックとなる。
試料流体中に分散した被検出対象粒子1は、流体吸気口21aよりフローチャネル部20内に導入され、導流路210eの中を流れて、断面がロゴウスキー端部形状の電極ブロック230a,230bによって形成される電場へと導かれる。図7(B)に示すように、この電場内に導かれた微小な中性繊維状の被検出対象粒子1は、瞬時に誘電分極して、粒子1の両端のうち、外部静電場の正極に近い一端は負極に帯電し、外部静電場の負極に近い他端は正極に帯電する。そして、被検出対象粒子1は、円柱状粒子に変形しつつ電場方向を向く。
そして、こうして誘電分極した電気双極子に対して、ロゴウスキー端部形状の電極ブロック230aと230bとの間では、図7(C)に示すように、電極端部から中央部へむけて緩やかに集中させる電気力が作用する。図7(C)では、力ベクトルの向きを示すために、矢印を強調して記載しているが、その強さは極めて微弱である。とは言うものの、中央部へ集中させるような力ベクトル場が形成されている。
このようなロゴウスキー端部形状の電極ブロック230a,230bは、第1の実施の形態においても記載したように、銅などの可塑性の高い金属塊を削り出して構成してもよいし、板金を当該形状に成形して構成してもよいし、あるいは成形の容易なプラスティックなどの材料の導流路側表面に金属を鍍金あるいは直接蒸着するなどして、金属電極としての機能を付与させて構成してもよい。必要とする加工精度で所望の断面形状の電極を実現可能な材料であれば、その材質については金属等に限られるものではない。というのは、この電極ブロック230a,230bには、被検出対象粒子1の向きを揃えるための高電圧が印加できればよく、試料流体の耐圧以上の高電圧を印加して電極ブロック間に直流大電流などを流すことはないからである。
第1の実施の形態と同様に、電極ブロック230a,230bの導流路側の表面には、金属層の保護膜として絶縁膜が形成されている。あるいは、電極ブロック230a,230bの表面に絶縁性の金属酸化物を形成してもよい。これにより、電極表面に付着した微粒子が電極と同極性に帯電してクーロン反発して再飛散し、対向電極ブロック側へ突入し対向電極ブロックの表面に付着することを回避できることは言うまでもない。
ところで、ロゴウスキー端部形状については、数値制御工作機械等を用いて座標数値を計算させながら、材料がプラスティックの場合は金型を成形し、材料が金属塊であれば削り出して成形することになる。
具体的には、iを虚数単位として、複素平面z=x+iyから、ガウス平面ω=u+ivへの等角写像法を応用して、平板の間隔a=πとおき、端部がv=π/2(この場合、上記の整数nは、n=2)の等電位面で区切られるとして、次式(14)で与えられるマクスウェル(Maxwell)の式を実部と虚部に分離し、uをパラメタとして、xおよびyの値を求めれば、必要とする等電位線(=ロゴウスキーの端部形状)を求めることができる。
z=(a/π)(ω+1+exp(ω)) ・・・(14)
x=u+1 ・・・(15a)
y=π/2+exp(u) ・・・(15b)
これより、表1のような計算値を得る。なお、表1のyの値は、小数点以下2桁で丸めてある。
Figure 0004909288
平板間の距離がaの場合、計算をu=1の座標で打ち切るとすれば約2aの幅の端部が必要となる。このような端部電極形状に対しては、高電圧を印加した場合、放電は常に平等電場部分(すなわち、電極中央部)で起こることが期待され、端部から中央部へ向けて緩やかに電場強度が増加するような静電場が実現する。したがって、誘電分極した電気双極子を中央部分へ収束させるような静電場が実現できることになる。
[第4の実施の形態]
図8(A)、図8(B)は本発明の第4の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置のフローチャネル部20において電極ブロック230a,230bを導流路210eと直交する平面で切ったときの導流路側表面曲線が双曲線である場合の電場ベクトル分布および力ベクトル分布を示す図である。すなわち、図8(A)は電極ブロック230a,230bにより生成される電場ベクトル分布を示す図、図8(B)は電場ベクトル内で誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。なお、図8(A)、図8(B)は、試料流体が流れる方向と垂直な断面を示している。
試料流体中に分散した被検出対象粒子1は、流体吸気口21aよりフローチャネル部20内に導入され、導流路210eの中を流れて、導流路側表面曲線が双曲線の電極ブロック230a,230bによって形成される電場へと導かれる。図8(A)に示すように、この不均一電場内に導かれた微小な中性繊維状の被検出対象粒子1は、瞬時に誘電分極して、粒子1の両端のうち、外部静電場の正極に近い一端は負極に帯電し、外部静電場の負極に近い他端は正極に帯電する。
なお、導流路側表面曲線が双曲線の電極ブロック230aと230b間に形成される静電場は、中心部から左右の外壁部に向かって次第に電場強度が弱くなっており、この不均一静電場内に導入された電気双極子には、図8(B)に示すように、水平方向については、電場強度の強い中心位置へ収斂するような力が作用する。この結果、電極ブロック230a,230bにより形成された静電場中に導入された被検出対象粒子1は、左右に移動することなく、電場強度の強い中心位置において特定方向、すなわち静電場印加方向を向いて安定する。誘電分極により生じた誘起電荷が両端部で等しいのに対して、電極に近い側の粒子端部に作用する静電気力が若干大きくなることから、電気双極子の電極方向への移動、すなわち垂直方向への移動については、電極方向への引力が発生する。しかし、被検出対象粒子1は、比較的安定した向きを保ちつつ、観測視野領域内を中心位置近傍に沿って流体排気口21b方向へ輸送されてゆく。
ところで、導流路210eに導かれた電気双極子は、層流状態にある試料流体の僅かな乱れ(例えば、乱流の影響)に起因して観測視野の中心部を一度外れてしまうと、定常的には、上下の電極ブロック230a,230bの何れかへと吸引されていく。
この場合は、円筒面平凹レンズを用いることで、偏光ビームの断面形状を上下方向に伸ばした線状拡大ビームに成形することで、観測視野領域を上下方向に拡張し、レーザ照射領域に被検出対象粒子1が存在するようにすることは比較的容易である。ただし、レンズについては、光のコヒーレンスに影響しないように材質(不純物、歪、均質性)を吟味する必要がある。
本実施の形態では、静電場により分極した被検出対象粒子1を静電場印加方向へ向けつつ、観測視野内へ粒子1を定常的に集中・収束させ、さらには一様分布している場合に比較して若干多く計数することで、計数値に対する統計的揺らぎを低減させることができる。
[第5の実施の形態]
図9(A)、図9(B)は本発明の第5の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置のフローチャネル部20において電極ブロック230a,230bを導流路210eと直交する平面で切ったときの導流路側表面曲線がV字型曲線と逆V字型曲線である場合の電場ベクトル分布および力ベクトル分布を示す図である。すなわち、図9(A)は電極ブロック230a,230bにより生成される電場ベクトル分布を示す図、図9(B)は電場ベクトル内で誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。なお、図9(A)、図9(B)は、試料流体が流れる方向と垂直な断面を示している。
第1〜第4の実施の形態と同様に、試料流体中に分散した被検出対象粒子1は、流体吸気口21aよりフローチャネル部20内に導入され、導流路210eの中を流れて、導流路側表面曲線がV字型曲線と逆V字型曲線の電極ブロック230a,230bによって形成される電場へと導かれる。しかし、これまでの実施の形態と異なり、本実施の形態では、電極表面が滑らかな曲面ではなく一定の角度で折れ曲がった尾根部分(V字の頂点)を持つ。図9(A)、図9(B)の紙面の手前側から奥側に向かって、こうした尾根線に沿って強電場が発生する。電極ブロック230a,230bの対向尾根間では、比較的低電圧でも試料流体の絶縁破壊を生じやすいという問題がある。そこで、V字型および逆V字型の頂点を円形に丸くする必要がある。本実施の形態では、V字型と逆V字型のそれぞれの頂点を丸めた形状をV字型曲線、逆V字型曲線と呼ぶ。
図9(A)に示すように、この尾根線を中心に不均一電場が形成され、その中に導入された電気双極子に対しては、図9(B)に示すように、水平方向については、特定偏光ビーム照射領域である中心位置へと収斂するように力ベクトルが作用する。すなわち、導流路側表面曲線がV字型曲線と逆V字型曲線の電極ブロック230a,230bで生成された静電場では、電極の尾根線に沿って電場が集中して強くなり、誘起された電気双極子は尾根線部へと収斂される力を受ける。
このV字型断面の電極ブロック230a,230bを利用する場合、試料流体の絶縁破壊を回避するために全体的に印加する電圧を下げる必要があるものの、被検出対象粒子1をレーザ照射領域であるフローチャネル部20の中央部へ集中させるという効果を有する。逆に、試料流体の絶縁破壊電圧に比較して低い電圧により、フローチャネル部20の中央部へ誘電分極した被検出対象粒子1を集中させる効果を有する電極を実現できるとも言える。
ただし、電極方向、すなわち垂直方向については、第4の実施の形態に比較して、さらに強い不均一電場が形成されているので、電気双極子への強い引力が作用する。このため、垂直方向については被検出対象粒子1は、擾乱により上下方向に分裂する傾向がある。
この場合も、第4の実施の形態と同様に、円筒面平凹レンズを用いることで、偏光ビームの断面形状を上下方向に伸ばした線状拡大ビームに形成することで、観測視野領域を上下方向に拡張し、レーザ照射領域に被検出対象粒子1が存在するように構成できる。
[第6の実施の形態]
図10は本発明の第6の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の信号処理系の構成を示すブロック図である。この図10は、第1〜第5の実施の形態に適用する信号処理系を説明するための図である。
粒子形状識別を行う本実施の形態の信号処理系は、信号増幅部7a,7bと、差動増幅部8と、粒子形状識別部9と、波高分析部10と、演算制御部11と、通信部13と、加算部14とを有する。この信号処理系は、粒子識別手段を構成している。
差動増幅部8と粒子形状識別部9とは、粒子形状識別の機能を実現し、演算制御部11は、粒子の形状毎に計数を行う。これにより、観測視野内の粒子数もしくは単位計数時間内の粒子数を求めることができる。同時に、波高分析部10は、検出パルス信号の波高分析結果に基づき被検出対象粒子1の粒径あるいは長さを算出し、演算制御部11は、波高閾値以上の信号パルスを数えることで、検出粒子の粒径毎あるいは長さ毎の個数を数える。
図10に基づいて、粒子検知、形状識別、粒径算出および計数の流れを説明する。まず、演算制御部11は、バイポーラ型直流高圧安定化電源12を駆動し、第1〜第5の実施の形態で説明した検知器40の粒子配向手段2に粒子配向用の静電場を発生させて、被検出対象粒子1の向きを散乱平面5に対して鉛直方向に揃える。
図5に示すように、フローチャネル部20の粒子配向手段2により被検出対象粒子1の向きを散乱平面5の法線VERの方向に揃え、光源3からの直線偏光ビームを被検出対象粒子1に照射する。
被検出対象粒子1が観測視野を横切る際に、散乱角θ=略10度の浅角前方散乱光は、偏光型ビームスプリッタプリズム6に入射して、偏光面が散乱平面5に対して垂直な垂直偏光成分と散乱平面5に対して水平な水平偏光成分とに分割される。受光部4a,4bは、散乱角θ=略10度の散乱光の分割された垂直偏光成分、水平偏光成分を検出して微弱電流パルスに変換する。そして、受光部4a,4bに接続された信号増幅部7a,7bは、それぞれ受光部4a,4bから出力された微弱電流パルスを電圧パルスに変換して増幅する。
また、差動増幅部8は、二つの受光部4a,4bにより検出された垂直偏光成分と水平偏光成分の微弱電流パルスの差を増幅すると同時に電圧パルスに変換して粒子形状識別部9に出力する。
粒子形状識別部9は、垂直偏光成分と水平偏光成分の電圧パルス強度が略等しい場合(差動増幅部8の出力が略0の場合)には、被検出対象粒子1が球状粒子であると識別し、水平偏光成分よりも垂直偏光成分の電圧パルス強度が大きい場合には、被検出対象粒子1が円柱状粒子であると識別する。
また、加算部14は、二つの受光部4a,4bにより同時に検出された垂直偏光成分と水平偏光成分の和をとることで、散乱光の電圧パルスを求める。
波高分析部10は、この散乱光の電圧パルスの波高値を予め定められた幾つかの閾値電圧と比較することで、電圧パルスをその波高値により分別する。そして、演算制御部11は、分別したパルスの種類毎にパルスを数える。こうして、分別したパルスの波高値によって、被検出対象粒子1の球状粒子相当径あるいは円柱状粒子相当の長さを求めることができ、また被検出対象粒子1の個数をパルスの波高値の範囲毎(すなわち、粒子径毎あるいは円柱状粒子の長さ毎)に数えることができる。
このようにして、粒子形状識別部9による判別結果と、波高分析部10による波高別の計数結果とを組合わせることにより、球状相当粒子に対してはその粒子径が算出され、また円柱状相当粒子に対してはその長さが算出され、かつ各粒子の計数値が算出される。
粒子形状識別部9による判別結果と、波高分析部10による粒径あるいは長さによる分別結果と、演算制御部11による各パルスの計数結果とは、演算制御部11の図示しない内蔵メモリ(不図示)に蓄積される。そして、内蔵メモリに蓄積された情報は、通信部13を介して装置外部へ伝送され、また装置に搭載された表示部(不図示)へ伝送され表示される。
なお、本実施の形態の粒子形状識別部9と波高分析部10と演算制御部11とは、例えば中央演算処理装置(CPU)、メモリ及びインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を管理・制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納された信号処理プログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、空気等の流体中に浮遊する微小粒子の形状を識別する技術に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置のフローチャネル部の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置のフローチャネル部の構成を示す分解斜視図である。 波長1.55μmの入射光に対する球状粒子及び円柱状粒子による散乱光のうち散乱角10度での散乱光の偏光度と粒子半径との関係を示す図である。 入射電場および散乱電場の散乱平面に対する垂直成分と平行成分の定義、並びに法線方向より照射される無限円柱に対する散乱角および偏光面の回転角の定義を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の検出器の概略構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置において平行な二枚の電極ブロックによる電場ベクトル分布および誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。 平行平板キャパシタ端部の等電位線および電気力線を示す図、並びに本発明の第3の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置において電極ブロックの端部断面形状をロゴウスキー端部形状とした場合の電場ベクトル分布および力ベクトル分布を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置において導流路側表面曲線が双曲線の電極ブロックによる電場ベクトル分布および誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置において導流路側表面曲線がV字型曲線と逆V字型曲線の電極ブロックによる電場ベクトル分布および誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。 本発明の第6の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の信号処理系の構成を示すブロック図である。 従来の回転電場方式の浮遊粒子状物質測定装置の概略図である。 従来の回転電場方式の浮遊粒子状物質測定装置における回転電場と散乱光の光学測定系配置図である。 従来の静電場方式の浮遊粒子状物質測定装置の平面図および側面図である。 一様電場による粒子の伸張作用、電場トルクによる電気双極子の回転、電場方向への電気双極子の配向、不均一電場による電気双極子へ作用する力、および観測視野領域からの粒子の逸脱の様子を示す図である。 円筒状フロー管周りに形成された四重電極による電場ベクトル分布および誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を表す図である。 円筒状フロー管周りに形成された対向電極による電場ベクトル分布および誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を表す図である。
符号の説明
1…被検出対象粒子、2…粒子配向手段、3…光源、4a,4b…受光部、5…散乱平面、6…偏光型ビームスプリッタプリズム、7a,7b…信号増幅部、8…差動増幅部、9…粒子形状識別部、10…波高分析部、11…演算制御部、12…高圧安定化電源、13…通信部、14…加算部、20…フローチャネル部、21a…流体吸気口、21b…流体排気口、210c…吸気用継手、210d…排気用継手、210e…導流路、220a…特定偏光ビーム導入用開口部、220b…散乱光観測用開口部、220c…導流路密閉用ガラス窓、230a,230b…電極ブロック、240…ガイドブロック、250a…上部厚板ブロック、250b…下部厚板ブロック、260a,260b…接触電極端子、270…固定用ビス孔、280…固定用ブロック、40…検出器。

Claims (13)

  1. 偏光ビームを射出する光源と、
    流体中に浮遊している被検出対象粒子を試料流体導流路により層流状態で観測視野内に導入する導入手段と、
    前記観測視野内に導入された粒子に前記光源からの偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち、前記光源から前記粒子に向かう方向に対して前記粒子を中心とする散乱角が略10度の散乱光を、偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズムと、
    前記光ビームが前記粒子に入射する前に、前記光源と前記粒子と前記偏光型ビームスプリッタプリズムとを含む散乱平面に対して、前記粒子を前記散乱平面の法線方向に向ける粒子配向手段と、
    前記偏光型ビームスプリッタプリズムによって分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光手段と、
    前記第1、第2の受光手段から出力された信号に基づいて粒子形状を識別する粒子識別手段とを有し、
    前記粒子配向手段は、前記試料流体導流路に沿って配置された二つの電極ブロックからなり、この電極ブロック間に前記散乱平面の法線方向を向いた静電場を形成するものであり、
    前記二つの電極ブロックは、導流路側表面が平面で互いに平行な平板状か、もしくは導流路側表面が曲面で対向する電極ブロックに向かって互いに凸の形状であり、
    前記導入手段は、
    絶縁材料からなる二本のガイドブロックと、その上下から前記二本のガイドブロックを挟む絶縁材料からなる二つの厚板ブロックとからなり、
    前記二本のガイドブロックには、試料流体導入口となる端面から前記流体が層流状態に発達するのに必要な距離だけ離れた位置に、前記偏光ビームの導入用開口部と前記散乱光の観測用の開口部とがそれぞれ設けられ、各々の開口部には光学ガラス板が嵌め込まれ、
    上側の前記厚板ブロックと前記二本のガイドブロックとの間および下側の前記厚板ブロックと前記二本のガイドブロックとの間に、それぞれ前記電極ブロックを配置して、この二つの電極ブロックと前記二本のガイドブロックで挟まれる領域を前記試料流体導流路とすることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  2. 請求項1に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記二つの電極ブロックは、前記試料流体導流路と直交する方向の幅が前記試料流体導流路の幅よりも広い平行平板状であり、この二つの電極ブロック間への電圧印加により前記観測視野を覆う試料流体導流路内に一様な静電場を形成することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  3. 請求項1に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記二つの電極ブロックは、前記試料流体導流路に沿った縦断面が矩形であり、前記試料流体導流路と直交する横断面の端部形状がロゴウスキー型端部形状であり、この二つの電極ブロック間への電圧印加により前記観測視野を覆う試料流体導流路内に電場強度が中心部に向かって漸増する静電場を形成することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  4. 請求項1に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記二つの電極ブロックは、前記試料流体導流路に沿った縦断面が矩形であり、前記試料流体導流路と直交する平面で切ったときの導流路側表面曲線が双曲線であり、この二つの電極ブロック間への電圧印加により前記観測視野を覆う試料流体導流路内に電場強度が中心部に向かって漸増する静電場を形成することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  5. 請求項1記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記二つの電極ブロックは、前記試料流体導流路に沿った縦断面が矩形であり、前記試料流体導流路と直交する平面で切ったときの導流路側表面曲線がV字型曲線と逆V字型曲線であり、この二つの電極ブロック間への電圧印加により前記観測視野を覆う試料流体導流路内に電場強度が中心部に向かって漸増する静電場を形成することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  6. 請求項1に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記電極ブロックは、銅、金、白金、銀、あるいはアルミのうち少なくとも1つを含む金属材料、プラスティック、マシナブル・セラミックス、あるいはエンジニアリング・セラミックスの何れかからなり、
    前記プラスティックを用いる場合は、導流路側表面に金属鍍金あるいは金属蒸着して前記電極ブロックとすることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  7. 請求項に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記電極ブロックの導流路側表面には、絶縁膜が形成されていることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  8. 請求項に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記ガイドブロックおよび厚板ブロックは、プラスティック、マシナブル・セラミックス、あるいはエンジニアリング・セラミックスの何れかからなり、
    前記観測視野の壁面および前記開口部の壁面は、前記光源の波長の光を吸収する材料で被覆されることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  9. 請求項に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記光学ガラス板は、前記偏光ビームの光の波長において無反射である材料からなることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  10. 請求項1に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記光源は、非偏光の光ビームを射出するか、あるいは直線偏光の偏光面を前記散乱平面の法線方向に対して45度傾けた直線偏光ビームとして射出するか、あるいは直線偏光を1/4波長板を通過させて円偏光ビームとして射出するかの何れかにより光ビームを射出し、かつこの光ビームの波長の最小値は、識別対象とする球状微小粒子の半径よりも長く、かつ円柱状微小粒子の長さよりも短いことを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  11. 請求項1に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記粒子識別手段は、前記第1の受光手段で検出された垂直偏光成分と前記第2の受光手段で検出された水平偏光成分との強度差から、前記強度差が略等しい場合は前記粒子が球状粒子であると識別し、前記強度差が垂直偏光成分の優位を示した場合は前記粒子が円柱状粒子であると識別することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  12. 請求項11に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記粒子識別手段は、前記第1、第2の受光手段により同時に検出された各偏光成分の和で与えられる電圧パルスの波高を、予め定められた複数の閾値電圧と比較することで、前記電圧パルスをその波高値により分別し、分別したパルス毎に計数すると共に、前記粒子の識別結果に基づき、前記粒子が球状粒子であると識別した場合は前記パルス波高値に基づいて粒子半径を求め、前記粒子が円柱状粒子であると識別した場合は前記パルス波高値に基づいて粒子の長さを求めることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  13. 偏光ビームを射出する光源と、
    流体中に浮遊している被検出対象粒子を試料流体導流路により層流状態で観測視野内に導入する導入手段と、
    前記観測視野内に導入された粒子に前記光源からの偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち、前記光源から前記粒子に向かう方向に対して前記粒子を中心とする散乱角が略10度の散乱光を、偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズムと、
    前記光ビームが前記粒子に入射する前に、前記光源と前記粒子と前記偏光型ビームスプリッタプリズムとを含む散乱平面に対して、前記粒子を前記散乱平面の法線方向に向ける粒子配向手段と、
    前記偏光型ビームスプリッタプリズムによって分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光手段と、
    前記第1、第2の受光手段から出力された信号に基づいて粒子形状を識別する粒子識別手段とを有し、
    前記粒子配向手段は、前記試料流体導流路に沿って配置された二つの電極ブロックからなり、この電極ブロック間に前記散乱平面の法線方向を向いた静電場を形成するものであり、
    前記二つの電極ブロックは、導流路側表面が平面で互いに平行な平板状か、もしくは導流路側表面が曲面で対向する電極ブロックに向かって互いに凸の形状であり、
    前記粒子識別手段は、前記第1の受光手段で検出された垂直偏光成分と前記第2の受光手段で検出された水平偏光成分との強度差から、前記強度差が略等しい場合は前記粒子が球状粒子であると識別し、前記強度差が垂直偏光成分の優位を示した場合は前記粒子が円柱状粒子であると識別し、前記第1、第2の受光手段により同時に検出された各偏光成分の和で与えられる電圧パルスの波高を、予め定められた複数の閾値電圧と比較することで、前記電圧パルスをその波高値により分別し、分別したパルス毎に計数すると共に、前記粒子の識別結果に基づき、前記粒子が球状粒子であると識別した場合は前記パルス波高値に基づいて粒子半径を求め、前記粒子が円柱状粒子であると識別した場合は前記パルス波高値に基づいて粒子の長さを求めることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
JP2008002915A 2008-01-10 2008-01-10 浮遊粒子状物質測定装置 Expired - Fee Related JP4909288B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008002915A JP4909288B2 (ja) 2008-01-10 2008-01-10 浮遊粒子状物質測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008002915A JP4909288B2 (ja) 2008-01-10 2008-01-10 浮遊粒子状物質測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009162712A JP2009162712A (ja) 2009-07-23
JP4909288B2 true JP4909288B2 (ja) 2012-04-04

Family

ID=40965483

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008002915A Expired - Fee Related JP4909288B2 (ja) 2008-01-10 2008-01-10 浮遊粒子状物質測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4909288B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102585276B1 (ko) * 2017-03-31 2023-10-05 라이프 테크놀로지스 코포레이션 이미징 유세포 분석을 위한 장치, 시스템, 및 방법

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011141190A (ja) * 2010-01-07 2011-07-21 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 蛍光測定装置及び蛍光測定方法
JP5717136B2 (ja) * 2011-05-06 2015-05-13 学校法人福岡大学 粒子測定装置
KR101482856B1 (ko) 2013-06-18 2015-01-15 한국표준과학연구원 화학증착소재 실시간 진단장치
JP6473580B2 (ja) * 2013-07-29 2019-02-20 学校法人 東洋大学 粒径測定装置および粒径測定方法
JP2017003482A (ja) * 2015-06-12 2017-01-05 ヤマシンフィルタ株式会社 測定装置
CN105928905B (zh) * 2016-06-14 2018-11-09 国家海洋局第二海洋研究所 颗粒物后向散射系数偏振敏感性测量装置
JP6549747B2 (ja) * 2017-04-14 2019-07-24 リオン株式会社 粒子測定装置および粒子測定方法
CN109060732B (zh) * 2018-07-19 2020-06-02 华中科技大学 一种探测分子转动波包的方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0739990B2 (ja) * 1991-03-12 1995-05-01 工業技術院長 気体中繊維状粒子特性測定方法
JPH05107178A (ja) * 1991-05-08 1993-04-27 Ebara Res Co Ltd 微粒子の荷電方法及び装置
JP2525314B2 (ja) * 1992-07-31 1996-08-21 花王株式会社 混合流体の測定方法および装置
US5798827A (en) * 1996-11-26 1998-08-25 Coulter International Corp. Apparatus and method for determination of individual red blood cell shape
JP2881731B2 (ja) * 1997-03-26 1999-04-12 郵政省通信総合研究所長 浮遊粒子測定装置
JP4106800B2 (ja) * 1999-03-19 2008-06-25 株式会社Ihi 高電界パルス殺菌方法及び装置
JP2007003414A (ja) * 2005-06-24 2007-01-11 Arkray Inc 分析装置用カートリッジ
JP4787645B2 (ja) * 2006-03-28 2011-10-05 倉敷紡績株式会社 繊維状粒子測定方法及び装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102585276B1 (ko) * 2017-03-31 2023-10-05 라이프 테크놀로지스 코포레이션 이미징 유세포 분석을 위한 장치, 시스템, 및 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009162712A (ja) 2009-07-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4909288B2 (ja) 浮遊粒子状物質測定装置
JP4909254B2 (ja) 浮遊粒子状物質測定装置
CN106066294B (zh) 颗粒传感器设备
US4693602A (en) Method and apparatus for measuring the light scattering properties of small particles
US9116121B2 (en) Second generation low-cost particle counter
JP4713530B2 (ja) 浮遊粒子状物質測定装置
US5767967A (en) Method and device for precise counting and measuring the particulates and small bodies
US11513055B2 (en) Crystal for flow cytometry with dual laser beams
JP2008241361A (ja) 浮遊粒子状物質測定装置
JP5719473B1 (ja) 薬液用パーティクルカウンタ
US11204310B2 (en) Optical flow cytometer for epi fluorescence measurement
JP2023105020A (ja) 液体カラム内の物体からの光収集
Mäkynen et al. Optical particle counters: Response, resolution and counting efficiency
AU2021236605B2 (en) Systems and method for correction of positionally dependent electromagnetic radiation detected from objects within a fluid column
CN111642133A (zh) 光散射检测器及用于其的方法
JP7438310B2 (ja) 光学撮像システム
CN104075966A (zh) 一种测量亚微米至纳米粒度段粒度分布的激光粒度仪
JPH0132938B2 (ja)
CN117233066A (zh) 一种角散射式液体颗粒计数装置
JP2017044679A (ja) パーティクルカウンタ
CN114324094A (zh) 激光颗粒物传感装置以及测量颗粒物的方法
CN114112820A (zh) 用于大气单颗粒物粒径及不规则度判别的光学测量装置
WO2002073165A2 (en) Photodetector for particle counting

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110930

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20111122

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20111122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120110

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150120

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150120

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees