JP4909254B2 - 浮遊粒子状物質測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、流体中に浮遊する微小粒子を光学的に検出し、その粒子の形状が球形状か繊維形状かを、特に繊維状粒子を円柱状粒子により近似することで、識別する浮遊粒子状物質測定装置に関するものである。
現在、大気中に浮遊するアスベストなどの繊維状粒子を計測する方法としては、粒子をフィルタ上に捕集し、フィルタを透明化した後、偏光顕微鏡によりアスベスト繊維としての形状を確認しながら、単位面積当りの本数を計数する方法が主に使用されている。しかし、この方法は捕集と識別という操作が必要なため、多大の労力と測定時間が必要で、原理的に実時間測定は不可能である。
他方、大気中の繊維状粒子の単位体積当りの本数を実時間で自動計数する装置として、観測視野内へ導入した繊維状粒子を振動電場により回転させ、90度側方散乱光強度の回転角(後述する図18のθ)依存性から識別する方式の装置(例えば非特許文献1参照)が近年開発されている。
従来の浮遊粒子状物質測定装置は、図17に示すように、フロー管20に流体取り込み口21および流体取り出し口22を設けると共に、フロー管20の長さ方向に外部の光源3からレーザビーム34を照射し、フロー管20の側壁に検出器40を配置して、フロー管20内で生じた散乱光を測定することによって浮遊粒子を検出していた。
この浮遊粒子状物質測定装置による浮遊粒子の形状識別原理を図18に従って簡単に述べる。フロー管20に導入された繊維状の被検出対象粒子1は、検出器40に設けられた四重電極23(23a,23a’,23b,23b’)内に導入される。四重電極23へはお互いに位相差をもって同一周波数の交流の高電圧が印加されており、この四重電極23の構成によって回転電場ベクトル24が形成されている。回転電場ベクトル24の中に導入された被検出対象粒子1は、対向する電極、例えば23bと23b’に引かれて誘電分極して繊維が引き伸ばされ、円柱状粒子として近似可能な形状に変形するとともに、交流の周波数に同期して被検出対象粒子1の主軸25が電場24とともに回転する。この円柱状粒子に変形した被検出対象粒子1に、その回転面と垂直な方向からレーザビーム34を照射し、90度側方散乱光を検出する。
この散乱光の強度は、高電圧電場の振動に同期して変化する。また、長い繊維ほど引き伸ばされて長い円柱となるので、散乱強度の変動幅が大きくなる。この現象は、回転している円筒を、その回転軸に対して垂直方向から見たとき、見込み断面積が円筒の回転に伴い、大きくなったり小さくなったりすることと同等である。
これに対して、被検出対象粒子1が球状粒子の場合、高電圧電場の振動に同期して誘電分極した粒子が回転するものの、回転軸に対して垂直方向から見た散乱断面積は球形のままなので同一であり、散乱光強度が振動電場によって強く変調を受けることはない。
以上のことから、電場の回転角θに伴う90度側方散乱光強度の変動の有無を計測することによって、繊維状粒子と球状粒子との判別が可能となる。
Pedro Lilienfeld,"Light Scattering from Oscillating Fibers at Normal Incidence",J.Aeroso1.Sci,Vo1.18,No.4,p.389-400,1987
従来の浮遊粒子状物質測定装置では、繊維状粒子の計数に測定誤差、即ち、数え落としが発生するという問題点があった。従来の浮遊粒子状物質測定装置では、繊維状の被検出対象粒子1を円柱状粒子に変形させ、さらに回転させるために四重電極23を設けている。しかし、四重電極23間に生ずる不均一電場が誘電分極した電気双極子に作用する力が被検出対象粒子1に対しては発散的に作用する、つまりレーザビーム34を照射している中心部領域からフロー管22の周縁部へと被検出対象粒子1が引き寄せられてしまうため、被検出対象粒子1が観測視野内に集まらず、数え落としが起こる。
この問題について図19、図20を用いて説明する。図19(A)は一様電場による粒子の伸張作用を示す図、図19(B)は電場トルクによる電気双極子の回転を示す図、図19(C)は電場方向への電気双極子の配向を示す図、図19(D)は不均一電場による電気双極子へ作用する力を示す図、図19(E)は観測視野領域(光ビーム照射領域)からの粒子の逸脱の様子を示す断面図である。
図19(A)に示すように、正極から負極へ向かう外部一様電場E内に導かれた湾曲した繊維状の被検出対象粒子1は瞬時に誘電分極を生じ、粒子1の両端のうち、電場Eを形している正電極に近い粒子1の一端は負極に帯電し、同時に電場Eの負極に近い粒子1の他端は正極に帯電する。このような一様電場中で、分極した湾曲繊維状の被検出対象粒子1は電場方向へ引伸ばされて直線状に変形すると共に、図19(B)に示すように円柱状に変形した粒子1には回転のトルクが作用して、粒子1は図19(C)に示すように電場Eと平行な方向を向く。
ここで、不均一電場中に円柱状粒子が導かれると、誘電分極により両端に生じた電荷が等しいのに、電場の電気力線の粗密に応じて双極子の両誘起電荷に作用する力が異なる。このため、図19(D)に示すように、不均一電場E中の電気双極子には、電場Eが強くなる方向へ正味の力が働くことになる。
図20(A)は円筒形のフロー管の周辺に形成された四重電極23による電場ベクトル分布を円筒の断面に沿って示した図、図20(B)は誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を円筒の断面に沿って示した図である。
図20(A)に示すように、互いの位相を90度ずらしたサイン波とコサイン波の正負の高電圧を対向電極に印加する場合、サイン波とコサイン波の位相が共に45度の状況(対向電極に印加される電圧が同じ状況)では、隣接する電極間に向かう方向の電場が生ずる。このため、図20(B)に示すように、印加された電場により誘電分極した電気双極子には、各電極の中心部から隣接する対向電極端へ向かって電気力が作用する。このため、図19(E)に示すように、被検出対象粒子1はレーザビーム34の照射領域外へと輸送されてしまう。
また、従来の浮遊粒子状物質測定装置には、湾曲したりカール状になったりしていて形状の直線性に乏しい被検出対象粒子1を高電圧印加により誘電分極させ、電場印加方向へ引き伸ばすことで粒子1の形状の直線性を向上させ、円柱状粒子として精度よく近似しようとしても、回転電場ベクトル24を形成するための周期的な極性切替によって、この形状の直線性が必ずしも向上していないという問題点もあった。つまり、湾曲した繊維状の被検出対象粒子1を円柱状粒子として近似すべく、電場により引き伸ばすものの、充分に変形できていないという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、四重電極を用いることのない光学系配置によって、被検出対象粒子が球状粒子か繊維状粒子かを正確に識別することができる浮遊粒子状物質測定装置を提供することを目的とする。
本発明の浮遊粒子状物質測定装置は、偏光ビームを射出する光源と、流体中に浮遊している被検出対象粒子を観測視野内に導入する導入手段と、前記観測視野内に導入された粒子に前記光源からの偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち特定の散乱角の散乱光のみを集光する散乱光集光手段と、前記光源と前記粒子と前記散乱光集光手段の開口部とを含む散乱平面に対して、前記偏光ビームが前記粒子に入射する前に、前記粒子を前記散乱平面の法線方向に向ける粒子配向手段と、前記散乱光集光手段によって集光された散乱光を、前記散乱平面に対する偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズムと、この分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段から出力された信号に基づいて粒子形状を識別する粒子識別手段とを有し、前記散乱光集光手段は、前記光源から前記粒子に向かう方向に対して前記粒子を中心とする散乱角が略10度の散乱光のみを透過させる前記開口部を備えたアパチャーと、このアパチャーの開口部を通過した散乱光を集光する集光レンズと、前記アパチャーの前面に設けられ、前記光源からの前方直進光を90度方向に反射させる45度直角プリズムと、この45度直角プリズムからの反射光を減衰させるビームディフューザーとから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記光源は、直線偏光の偏光面を前記散乱平面の法線方向に対して45度傾けた直線偏光ビームを射出するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記光源は、円偏光ビームを射出するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記光源から射出される偏光ビームの波長の最小値は、識別対象とする球状微小粒子の半径よりも長く、かつ円柱状微小粒子の長さよりも短いことを特徴とするものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記粒子配向手段は、前記散乱平面の法線方向を向いた一様な静電場を前記観測視野を含む導入手段に沿って形成する手段であることを特徴とするものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記アパチャーの開口部は、1つ乃至1対の半円形、1つ乃至1対の長方形、1つ乃至1対の矩形スリット状、あるいは1つ乃至1対の小円形のいずれかである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例は、さらに、前記第1、第2の受光手段の前に配置され、前記偏光型ビームスプリッタプリズムによって分割された2本の光ビームを集光する第1、第2のコリメートレンズ光学系と、前記第1、第2のコリメートレンズ光学系と前記第1、第2の受光手段との間に配置され、前記第1、第2のコリメートレンズ光学系によって集光された光ビーム以外の光を防ぐ第1、第2の迷光防止用アパチャーとを有するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記粒子識別手段は、前記第1の受光手段で検出された垂直偏光成分と前記第2の受光手段で検出された水平偏光成分との強度比から、前記強度比が略等しい場合は前記粒子が球状粒子であると識別し、前記強度比が垂直偏光成分の優位を示した場合は前記粒子が円柱状粒子であると識別するものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置の1構成例において、前記粒子識別手段は、前記第1、第2の受光手段で検出された垂直偏光成分および水平偏光成分の信号のパルスの数から前記粒子の個数を検出し、前記粒子が球状粒子であると識別した場合は前記垂直偏光成分と水平偏光成分の信号パルス強度の最大値の和に基づき粒径を求め、前記粒子が円柱状粒子であると識別した場合は前記垂直偏光成分の信号パルス強度の最大値に基づいて粒子の長さを求めるものである。
また、本発明の浮遊粒子状物質測定装置は、偏光ビームを射出する光源と、流体中に浮遊している被検出対象粒子を観測視野内に導入する導入手段と、前記観測視野内に導入された粒子に前記光源からの偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち特定の散乱角の散乱光のみを集光する散乱光集光手段と、前記光源と前記粒子と前記散乱光集光手段の開口部とを含む散乱平面に対して、前記偏光ビームが前記粒子に入射する前に、前記粒子を前記散乱平面の法線方向に向ける粒子配向手段と、前記散乱光集光手段によって集光された散乱光を、前記散乱平面に対する偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズムと、この分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段から出力された信号に基づいて粒子形状を識別する粒子識別手段とを有し、前記散乱光集光手段の開口部は、前記光源から前記粒子に向かう方向に対して前記粒子を中心とする散乱角が略10度の散乱光を集光すべく設けられており、前記粒子識別手段は、前記第1の受光手段で検出された垂直偏光成分と前記第2の受光手段で検出された水平偏光成分との強度比から、前記強度比が略等しい場合は前記粒子が球状粒子であると識別し、前記強度比が垂直偏光成分の優位を示した場合は前記粒子が円柱状粒子であると識別し、前記第1、第2の受光手段で検出された垂直偏光成分および水平偏光成分の信号のパルスの数から前記粒子の個数を検出し、前記粒子が球状粒子であると識別した場合は前記垂直偏光成分と水平偏光成分の信号パルス強度の最大値の和に基づき粒径を求め、前記粒子が円柱状粒子であると識別した場合は前記垂直偏光成分の信号パルス強度の最大値に基づいて粒子の長さを求めることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来の装置のように、特定方向への直線偏光ビームに対して被検出対象粒子を四重電極による回転電場で回転させる代わりに、粒子配向手段により散乱平面の法線方向に向けた被検出対象粒子に偏光ビームを照射する。こうすることで、被検出対象粒子を静電場中で長時間にわたり移動させ、散乱平面の法線方向に引き伸ばした状態を続けることができる。その結果、本発明では、繊維状の被検出対象粒子を円柱状粒子と近似できるように充分に引き伸ばすことができるので、繊維状の被検出対象粒子の絡み合いや不十分な伸張に起因する粒子の数え落としを低減することができる。
また、本発明では、粒子配向手段によって静電場を形成することにより、誘電分極して円柱状粒子に変形した繊維状粒子に作用する不均一電場による力を、観測視野に対して強発散的ではなく、弱発散的乃至は収束的に作用させるので、被検出対象粒子が観測視野から散逸してゆくことに起因する数え落としも抑制できる。
また、本発明では、被検出対象粒子が浮遊している試料流体を透過した散乱光を偏光型ビームスプリッタプリズムによって垂直偏光成分と水平偏光成分に分離し、垂直偏光成分と水平偏光成分の強度を比較している。両者の強度が等しい場合には被検出対象粒子は球状であると識別され、強度に差がある場合には非球状(特に、垂直偏光優位ならば円柱状)であると識別される。本発明では、光の性質のうち偏光という性質を利用している。つまり、円柱状粒子が光の偏光面と平行になるときに一番強く散乱光を放射するということを利用して、球状粒子と区別する。また、本発明では、各偏光成分の強度の和から粒子径も算出することができる。
また、本発明によれば、従来の回転電場を利用した粒子配向による光散乱法とは異なり、静電場を利用することで、粒子の不十分な伸張や印加電場の不均一性に起因する被検出対象粒子の光照射領域からの散逸的振る舞いを抑制・改善できるので、より正確な繊維状粒子の識別並びに計数が可能となる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の概略構成を示す図である。
検出器40aは、大別して、フローチャネル部(図1には図示せず、詳細は第6の実施の形態参照)からなる被検出対象粒子1の導入手段と、図示しない高圧安定化電源と平板金属電極とから構成される粒子配向手段2と、浅角前方散乱光検出光学系50と、被検出対象粒子1に光ビームが入射したことによる散乱光を偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズム6と、この分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光部4a,4bとから構成される。第1、第2の受光部4a,4bは、互いに直交するように配置される。
散乱光集光手段となる浅角前方散乱光検出光学系50は、光トラップ11aと、開口部を持つアパチャー7と、集光レンズ8とから構成される。この浅角前方散乱光検出光学系50は、フローチャネル部の観測視野内に導入された被検出対象粒子1に光源3aからの光ビームが入射したことによる散乱光のうち、前方直進方向から略10度の浅角の特定方向に散乱した光のみを集光する。すなわち、浅角前方散乱光検出光学系50には、光源3aから被検出対象粒子1に向かう方向に対して粒子1を中心とする散乱角が略10度の散乱光のみを検出するべくアパチャー7に開口部対70a,70bを設けている。また、光源3aからの直進光が微弱な散乱光に混合して検出器40aにおけるS/N比を低下させないように、光源3aからの光路上には直進光を遮蔽するための光トラップ11a(遮蔽板)が設けられている。
光源3aは、レーザ31からなる。本実施の形態では、光源3aからの射出光を、光源1と被検出対象粒子1とアパチャー7の開口部対70a,70bとを含む散乱平面5に対してその偏光面が45度傾いた直線偏光としている。図1のVERは散乱平面5の法線を示している。このような直線偏光を用いることで、被検出対象粒子1が観測視野内に存在しない場合に、偏光型ビームスプリッタプリズム6により分離された垂直偏光成分の強度と水平偏光成分の強度とが略等しくなるような構成となっている。
この場合、以下識別原理を詳細に示すように、観測視野内に球状粒子が導入されると、その散乱光の垂直偏光成分の強度と水平偏光成分の強度とが略等しくなる。一方、観測視野内に円柱状粒子が導入されると、円柱状粒子は垂直偏光成分のみを強く散乱させる。
以上のような光学的配置により、被検出対象粒子の形状を識別する原理について、図面を参照して詳細に説明する。
図2は、特定の散乱角で散乱光を検出することにより、形状の異なる粒子の識別を可能にする本実施の形態の原理を説明するための図であり、球状粒子および無限に長い円柱状粒子による散乱光のうち前方散乱に近い散乱角10度での散乱光の偏光度(偏光の大きさ)と粒子半径との関係を示す図である。図2において、Sは球状粒子の特性、Cは円柱状粒子の特性である。
この図2は、屈折率1.55の物質の球状粒子および無限に長い円柱状粒子による散乱光の偏光度を、種々の粒子半径について前方散乱に近い散乱角10度で散乱理論に基づき導出したものである。偏光度を導出した光の波長は、識別対象粒子の半径よりも長い1.55μmである。図2では、偏光度の数値が正の方向にいくほど散乱平面に対して垂直偏光の度合いが強くなり、+1で完全に垂直偏光のみとなる。他方、偏光度の数値が負の方向にいくほど散乱平面に対して水平偏光の度合いが強くなり、−1で完全に水平偏光のみとなる。
図3は、z軸方向に無限に長い円柱に単一波長の直線偏光をx軸方向より照射した時の光散乱現象を説明するための図であり、図2を導出する際に用いた配置図である。ここでは、直線偏光の偏光面が散乱平面の法線に対する角をφとする。図3は、直線偏光の入射光により照射される無限に長い円柱100を座標系の原点に置いた場合の、円柱に対する入射電場E(i)および散乱電場E(s)を含む三次元座標系を示している。また、図3は、入射光と散乱光とを含む散乱平面5(xy平面)に対する入射電場の垂直成分Ever (i)および散乱電場の垂直成分Ever (s)と入射電場の平行(水平)成分Epar (i)および散乱電場の平行成分Epar (s)、並びに散乱角θを示している。単一波長の直線偏光は、x軸に沿って原点にある円柱100の方向へ直進し、円柱100において散乱するが、散乱平面5上においてその散乱光のx軸からの角度を散乱角θと定義する。散乱光は、この散乱角θの方向の延長線上に配置された検出器により検出される。
θを散乱角、φを散乱平面5の鉛直方向を基準とした入射光の偏光面の回転角とすると、散乱平面5の鉛直方向を向いた円柱100の軸に平行な電場成分Ever (i),Ever (s)に対する振幅散乱行列の対角成分Tver(θ,φ)と円柱100の軸に垂直な電場成分Epar (i),Epar (s)に対する振幅散乱行列の対角成分Tpar(θ,φ)により、円柱状粒子による散乱光の偏光度Pは次式のように定義される物理量となる。
P=(|Tver2−|Tpar2)/(|Tver2+|Tpar2
=(Iver−Ipar)/(Iver+Ipar) ・・・(1)
球状粒子による散乱に対しては、式(1)の偏光度Pの計算式において、Tver(θ,φ)とTpar(θ,φ)を、それぞれ球に対する振幅散乱行列の対角成分Sver(θ,φ)とSpar(θ,φ)に置き換えればよい。
式(1)において、Iver=|Ever (s)2は散乱平面5に垂直な散乱電場の強度(垂直偏光散乱光の強度)、Ipar=|Epar (s)2は散乱平面5に平行な散乱電場の強度(水平偏光散乱光の強度)である。(Iver+Ipar)は散乱光の垂直偏光成分と水平偏光成分の和であるから、全散乱光強度である。(Iver−Ipar)は散乱光を垂直偏光成分と水平偏光成分に分離した際に、垂直偏光成分と水平偏光成分の差分を表す量となっている。
光の散乱理論によれば、球状の散乱粒子に対する振幅散乱行列の対角成分Sver(θ,φ)とSpar(θ,φ)により、散乱光強度Iver,Iparは、入射光の垂直偏光成分の強度をIV0=|Ever (i)2、入射光の水平偏光成分の強度をIP0=|Epar (i)2とすると、次式により表すことができる。
ver=IV0[Sver(θ,φ)]2/(kr)2 ・・・(2a)
par=IP0[Spar(θ,φ)]2/(kr)2 ・・・(2b)
ここで、λを入射光の波長とするとき、kはk=2π/λで定義される波数、rは散乱体である球あるいは円柱と検出器との間の距離である。振幅散乱行列の各成分SやTの具本的な数式については、電磁波散乱の文献「M.Born and E.Wolf,“Principles of Optics”,2nd edition,1964,Pergamon,Oxford,Capter XIII,p.635-664」、「“光学の原理3”,2006,東海大学出版会,第14章 金属光学,§14.5 伝導球による回折:Mieの理論」、「H.C.van de Hulst,“Light Scattering by Small Particles”,1957,John Wiley & Sons,New York,Chapter9,p.114-130」、あるいは「J.D.ジャクソン,原書第3版,“電磁気学(下)”,西田稔訳,2003,吉岡書店,第10章 散乱と回折,§10.4 球による電磁波の散乱,p.700-707」などに詳細に記載されている。
ところで、有限長さdの円柱状粒子に対しては、その散乱光を充分に遠方にある検出器により観測する場合、円柱状粒子から検出器までの距離rがr>>d2/λの条件を満たすので、上記の振幅散乱行列の対角成分の間を互いに以下の関係で結びつけることができる。
ver(θ,φ)=(kd/π)E(kdφ/2)Tver(θ,φ) ・・・(3)
ここで、E(z)は球ベッセル関数j0(z)=sin(z)/zである。式(3)は、無限に長い円柱による散乱光を、有限長さ単スリットからのフラウンホーファ回折パターンを表す関数で強度変調していることに相当している。
球による散乱光の水平偏光成分Spar(θ,φ)と円柱による散乱光の水平偏光成分Tpar(θ,φ)との間にも同様の関係が成立する。
そこで、有限長さの円柱状粒子による散乱強度の、例えば垂直偏光成分は、式(3)を式(2)に代入することにより、次式のように与えられる。
ver=IV0(d/πr)2・[E(kdφ/2)・Tver(θ,φ)]2 ・・(4)
水平偏光成分についても同様である。ここで重要なことは、円柱状粒子による散乱強度の最終的な式(4)の中に、円柱状粒子の長さがd2、すなわち二乗の形で含まれていることである。これは、散乱光の強度が、円柱状粒子の長さの二乗と共に強くなることを意味している。
ところで、大きい半径の球状粒子や軸方向長さdの長い円柱状粒子は重力沈降により空気中に浮遊できないため、浮遊している粒子の粒子半径は10μm以下のものが多い。そのうち、特に個数濃度で多数分布しているのは球状粒子では半径1μm以下の粒子である。他方、アスベストのような繊維状粒子の場合、特に人体に有害とされるのは直径が3μm以下(長さdは5μm以上)のものとされている。
図2において、このような半径1μm以下の粒子について見ると、散乱角10度という散乱角での散乱光の偏光状態は、球状粒子の場合はほぼ無偏光状態に近く、他方、円柱状粒子の場合は垂直偏光成分が多くなる。つまり、円柱状粒子による散乱光は、円柱軸方向に電気ベクトルが振動する垂直偏光成分を多く含む。このような散乱光の偏光度の違いから、形状の異なる球状粒子と円柱状粒子の識別が可能となる。また、散乱光の強度から、円柱状粒子であればその長さを求めることができ、球状粒子であれば半径を求めることができる。
図2では、入射光の波長として1.55μmのものを利用したため、球状粒子と円柱状粒子の識別可能な粒子半径が略1μm以下のものに制限されたが、波長のより長い光源を利用することにより、識別可能な粒子の半径をより大きくできることは言うまでもない。図2に示す特性は、発明者が光の散乱理論に基づき見出した事実である。
以上説明したように、本実施の形態においては、被検出対象粒子1を含む試料流体を透過した散乱光を垂直偏光成分と水平偏光成分とに分離し、同時に2つの受光部により垂直偏光成分と水平偏光成分を計測し、垂直偏光成分の強度と水平偏光成分の強度を比較する。両者の強度が略等しい場合には、被検出対象粒子1は球形であると識別され、強度に著しい差がある場合には、被検出対象粒子1は非球状あるいは円柱状粒子と識別される。また、後述するように、垂直偏光成分と水平偏光成分の強度の和から、粒子径も算出できる。また、各偏光成分のパルスを計数することで、単位吸引量中の被検出対象粒子1の個数を算出することもできる。このため、アスベストなどの繊維状粒子をそれ以外の球状粒子などと識別して計測することが可能となる。
また、従来の四重電極の代わりに平行平板金属電極による静電場を用いることで、電極極性のスイッチングの際に生ずる端子間電場の不均一性に起因する被検出対象粒子1の観測視野内からの散逸を回避することができる。このため、従来の浮遊粒子状物質測定装置で著しかった数え落としの欠点を著しく改善できる。
なお、形状の識別における光源波長λへの制約について述べると、波長λ(あるいは、波長に中心値λ0から有限の幅±Δ/2がある際にはその最小波長λmin=λ0−Δ/2)は、識別対象とする球状粒子あるいは円柱状粒子の半径よりも長い必要がある。さらに、有限長さdの円柱状粒子に対して、式(3)を導く際に仮定したr>>d2/λの条件を満足させるためには、波長λ(あるいは、その最大波長λmax=λ0+Δ/2)は、同時に、円柱状粒子の長さdよりも短く設定しておく必要がある。
[第2の実施の形態]
図4は本発明の第2の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の概略構成を示す図である。第1の実施の形態とは異なり、本実施の形態では、光源3bとして、レーザ31と、1/4波長板32と、レンズ33とからなるものを用いる。第1の実施の形態と同様に、レーザ31からの射出光は、散乱平面に対して偏光面が45度傾いた直線偏光である。この直線偏光を1/4波長板32に通し、必要に応じてレンズ33(コリメート光学系)を透過させることによって、円偏光を被検出対象粒子1に照射する。
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様な浅角前方散乱光検出光学系50によって集光された散乱光を、偏光型ビームスプリッタプリズム6によって垂直偏光成分と水平偏光成分とに分離する。そして、垂直偏光成分の強度と水平偏光成分の強度をそれぞれ受光部4a,4bによって計測し、この垂直偏光成分と水平偏光成分の信号強度をそれぞれ信号増幅部12a,12bによって増幅する。粒子形状識別部13は、垂直偏光成分と水平偏光成分の強度比から、被検出対象粒子1の形状が円柱状であるか球状であるかを識別する。
[第3の実施の形態]
図5は本発明の第3の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の概略構成を示す図である。第1の実施の形態と異なり、本実施の形態では、光源として第2の実施の形態と同様の円偏光を射出する光源3bを用いる。
本実施の形態の浅角前方散乱光検出光学系51(散乱光集光手段)は、開口部を持つアパチャー7と、集光レンズ8と、45度直角プリズム9と、ビームディフューザー11bとから構成される。第1、2の実施の形態と同様に、浅角前方散乱光検出光学系51は、フローチャネル部の観測視野内に導入された被検出対象粒子1に円偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち、直進方向に対して略10度の浅角の特定方向に散乱した光のみを集光する。すなわち、浅角前方散乱光検出光学系51においては、光源3bから被検出対象粒子1に向かう方向に対して粒子1を中心とする散乱角が略10度の散乱光のみを検出するべくアパチャー7に開口部対を設けている。
また、円偏光の光源3bからの直進光が微弱な散乱光に混合して検出器におけるS/N比を低下させないようにするため、光源3bからの光路上には直進光を90度側方方向へ反射させる45度直角プリズム9と、この45度直角プリズム9からの反射光を減衰させるビームディフューザー11bとが設けられている。それ以外の構成は、第2の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
図6は本発明の第4の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の概略構成を示す図である。
本実施の形態の浅角前方散乱光検出光学系52(散乱光集光手段)は、アパチャー7aと、集光レンズ8と、45度直角プリズム9と、ビームディフューザー11bとから構成される。本実施の形態では、第3の実施の形態と異なり、浅角前方散乱光検出光学系52のアパチャー7aには開口部70aが1つだけ設けられている。このため、浅角前方散乱光検出光学系52を経て透過してくる散乱光は、光源3bと被検出対象粒子1とを結ぶ光軸からやや傾いた軸に沿って射出される。
そこで、本実施の形態では、偏光型ビームスプリッタプリズム6および第1、第2の受光部4a,4bを、光源3bと被検出対象粒子1とを結ぶ光軸からやや傾いた軸に沿って配置している。
[第5の実施の形態]
図7(A)、図7(B)に、第1〜第4の実施の形態で用いる光源の構成を示す。図7(A)に示す光源3aは、レーザ31から偏光面が散乱平面に対して45度傾いた直線偏光を被検出対象粒子1に照射する。こうすることで、被検出対象粒子1が観測視野内に存在しない場合には、偏光型ビームスプリッタプリズム6により分離された垂直偏光成分の強度と水平偏光成分の強度とが略等しくなるような構成となっている。
第1の実施の形態で説明したように、観測視野内に球状粒子が導入されると、その散乱光の垂直偏光成分の強度と水平偏光成分の強度とが略等しくなる。一方、観測視野内に円柱状粒子が導入されると、垂直偏光成分のみが強く散乱されることになる。
図7(B)に示す光源3bでは、レーザ31から射出された、散乱平面に対して偏光面が45度傾いた直線偏光を1/4波長板32に通し、必要に応じてレンズ33(コリメート光学系)を透過させることによって、円偏光を被検出対象粒子1に照射する。
この場合でも、第2〜第4の実施の形態で説明したように、散乱光の垂直偏光成分の強度と水平偏光成分の強度とを同時に計測し、その強度比から、被検出対象粒子1の形状が円柱状であるか球状であるかを判定することができる。
[第6の実施の形態]
図8は、被検出対象粒子1を観測視野内に導入する導入手段および粒子配向手段2となるフローチャネル部30の斜視図、図9はフローチャネル部30の分解斜視図である。
フローチャネル部30は、絶縁材料からなる二本のガイドブロック320と、その上下から2本のガイドブロック320を挟む絶縁材料からなる二枚の厚板ブロック310a,310bとから構成される。二本のガイドブロック320により挟まれた領域が、被検出対象粒子1を含む試料流体の導流路を形成する。また、この導流路に直交するように直線偏光ビームを導入するための特定偏光ビーム導入用窓390、および散乱光を観測するための散乱光観測用窓391が設けられている。
一本のガイドブロック320には、流体取り込み口21側の端面から試料流体が層流状態に発達するのに充分な距離離れた位置に特定偏光ビーム導入用窓390となる開口部が設けられ、もう一本のガイドブロック320には、特定偏光ビーム導入用窓390と向かい合う位置に散乱光観測用窓391となる開口部が設けられている。そして、それぞれの開口部には導流路密閉用のウィンドウガラス板380を嵌め込むための座繰りが形成されている。これらの開口部にウィンドウガラス板380を嵌め込むことで、密閉性の高い導流路が形成される。
上下の厚板ブロック310a,310bには、粒子配向手段2となる平板金属電極340a,340bを埋め込むための座繰りが形成され、上部厚板ブロック310aと二本のガイドブロック320との間、および下部厚板ブロック310bと二本のガイドブロック320との間に、それぞれ平板金属電極340a,340bが配置される。さらに、二本のガイドブロック320を上下の厚板ブロック310a,310bで挟んだ構造の両端部に試料流体の導入用継手350aおよび排出用継手350bをそれぞれ配置する。
上側の平板金属電極340aとの電気的接続は、上部厚板ブロック310aを貫通して平板金属電極340aに達する接触電極端子360aによって行われ、下側の平板金属電極340bとの電気的接続は、下部厚板ブロック310bを貫通して平板金属電極340bに達する接触電極端子360bによって行われる。具体的には圧着端子などを利用して電気的な接続を行う。
このようにして形成されたフローチャネル部30は、被検出対象粒子1を試料流体中に分散させた状態で、特定の偏光状態にある照射光により照射される観測視野内に試料流体を導入するための導入手段であり、かつ被検出対象粒子1のもつ対称軸を、二枚の平板金属電極340a,340bにより形成される一定方向を向いた静電場の方向へと回転させる粒子配向手段2である。その結果、被検出対象粒子1を静電場印加方向へと向けることができる。
フローチャネル部30の断面形状は、一般的には矩形、正方形である。こうすることで、静電場を印加するための電極の構造を簡単にすることができる。フローチャネル部30の流体取り込み口21、流体取り出し口22には、それぞれ採気管、排気管を接続するための導入用継手350a、排出用継手350bが接続されている。
図10(A)は平行な二枚の平板金属電極340a,340bによる電場ベクトル分布を示す図、図10(B)は誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。なお、図10(A)、図10(B)は、試料流体が流れる方向と垂直な断面のうち導流路の中心から右側半分のみを示している。
図10(A)より、上下の平板金属電極340a,340b間には、電極端部を除けば、一様な静電場が形成されており、誘電分極して電気双極子となった繊維状の粒子をこの一様電場中で上下方向に向けるように作用することが分かる。一方、平板金属電極340a,340bの端部では、フリンジ効果によって電気力線の回り込みが起きている。
図10(B)は、平板金属電極340a,340b間の静電場中に導入された粒子に作用する力ベクトルを示している。ただし、この静電場中に電気的に中性な粒子が導入されても、強い静電場によって直ちに誘電分極が起こり、静電場中の粒子は電気双極子となる。一般に、不均一電場中に導入された電気双極子には、電気力が作用する。図10(B)から分かるように、平板金属電極340aと340bとの間の中心部近傍では完全に一様な静電場が形成されているので、不均一電場に起因する電気双極子への力はない。一方、平板金属電極340a,340bの端部ではフリンジ効果による電気力線の回り込み、すなわち電場の不均一性が存在する。したがって、平板金属電極340aと340bの端部では、電気双極子には、端部へ引き寄せる力が作用する。
このようなフリンジ効果を回避して、一様な静電場中を被検出対象粒子1を観測視野まで導く導流路を形成するためには、平板金属電極340a,340bの幅を導流路の幅よりも略3倍程度広くする必要がある。そして、上下の厚板ブロック310a,310bに設けた座繰りに、それぞれ平板金属電極340a,340bを埋め込み、この厚板ブロック310a,310bによってガイドブロック320を挟み込むことで、導流路を形成している。
平板金属電極340a,340bの導流路側の表面(平板金属電極340aの場合は下面、平板金属電極340bの場合は上面)には、絶縁材が塗布されて、絶縁膜が形成されている。あるいは、平板金属電極340a,340bの表面に絶縁性の金属酸化物を形成してもよい。こうして、平板金属電極340a,340bの導流路側の表面に絶縁膜を形成することで、電極表面に付着した微粒子が電極と同極性に帯電してクーロン反発して再飛散し、対向電極側へ突入し対向電極面に付着することを回避することができる。
対向する二枚の平板金属電極340a,340bには、高圧安定化電源(図示せず)より正負の電圧をそれぞれ印加することによって、電場強度として1kV/cmから5kV/cm程度の静電場を発生させる。このような電場中に被検出対象粒子1を導入すると、電気的に中性であった被検出対象粒子1は、印加されている電場によって誘電分極する。被検出対象粒子1が球状粒子の場合には、誘電分極によってもその粒子の軸が回転することはない。
一方、被検出対象粒子1が繊維状の場合には、誘電分極によって発生した正電荷と負電荷はそれぞれ負側電極と正側電極へと引き付けられて円柱状に変形する結果、被検出対象粒子1には電気力線方向へ向くように回転モーメント力が作用する。この結果、円柱状に変形した被検出対象粒子1は、印加されている静電場方向に向きが揃う。
[第7の実施の形態]
図11(A)は本発明の第7の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の浅角前方散乱光検出光学系51の正面図、図11(B)は図11(A)のI−I線断面図、図11(C)は図11(A)のII−II線断面図、図12は浅角前方散乱光検出光学系51の斜視図である。
浅角前方散乱光検出光学系51は、第3の実施の形態で用いたものである。このような浅角前方散乱光検出光学系51を構成しなくてはならない理由は以下の通りである。
1つの微小な被検出対象粒子1によるレーザ散乱光は、強度が極めて微弱(10-9[W]程度)であり、そのままでは通常の検出器で検出することは非常に難しい。高感度の光電子増倍管、あるいはアバランシェフォトダイオード(APD)を利用する場合でも、検出可能な粒子の粒子径が小さくなると、粒子による散乱光強度はその半径の6乗に比例して減少するので、検出することが極めて困難となる。
加えて、浅角前方散乱光を計測する構成の場合、光源からの高い強度の照射光が微弱な強度の散乱光の検出を非常に困難にする。散乱角が略10度方向の微弱な前方散乱光を観測するためには、光源からの照射光を遮蔽板により遮蔽する必要がある。第1の実施の形態では、この遮蔽板を光トラップ11aにより構成した。
図11(A)〜図11(C)、図12に示す構成例では、微弱な浅角前方散乱光を集光レンズ8により集光するとともに、その前段に不要な光源からの直進照射光を遮断するために、遮蔽板としてアパチャー7を配置する。さらに、アパチャー7の前に45度直角プリズム9を配置することで、入射してくる光源からの直進光を90度側方へと誘導し、45度直角プリズム9で反射させた光の延長線上に、ビーム強度減衰装置であるビームディフューザー11bを配置することで、光源からの光ビームの強度を減衰させる。
散乱角が略10度の浅角前方散乱光は微弱であるので、集光レンズ8によって集光して強度を増幅する。つまり、被検出対象粒子1を中心とする略10度方向の前方散乱光を有効に集光するために、散乱角10度に相当する立体角内を伝播する散乱光を開口部70a,70bを持つアパチャー7に通した後、アパチャー7の直後に配置した集光レンズ8によって集光する。ここで、アパチャー7の窓構造は、識別原理において要求される散乱角に対応した立体角を実現するように形成する必要がある。
図13(A)〜図13(D)は第1〜第3の実施の形態の浅角前方散乱光検出光学系50,51に使用したアパチャー7の平面図である。
図13(A)は、45度直角プリズム9のみを実装し、その両端部は光を透過する構成としたアパチャー7の例を示している。図13(B)は、上下方向の散乱光成分を排除するために、矩形の開口部70a,70bを設けたアパチャー7の例を示している。
また、図13(C)は矩形の開口部70a,70bを設けたアパチャー7の例を示し、図13(D)は円形の開口部70a,70bを設けたアパチャー7の例を示している。
なお、図13(A)から図13(D)に示すアパチャー7の構成例では、開口部70a,70bは45度直角プリズム9を配置する中心部に対して左右対称に1つずつ形成されている。
このような開口部70a,70bを用いるアパチャー7は、第1〜3の実施の形態に必要とされる浅角前方散乱光検出光学系50,51に使用される構成である。
図示しないが、図13(A)から図13(D)に示すアパチャー7の開口部70a,70bのうち一方を閉鎖すれば、第4の実施の形態の浅角前方散乱光検出光学系52に必要とされるアパチャー7aの構成となることは言うまでもない。
図2に示したように、入射光ビームによって照射された観測視野内の円柱状の被検出対象粒子1は、散乱角略10度の方向へ垂直偏光を強く散乱させる。
図3に示した集光レンズ系を含まない単純な光学配置の場合、円柱状の被検出対象粒子1からの散乱角略10度の散乱光は、その延長線上の原点からrの距離に配置された受光面積Aの受光部により検出される。立体角Ω=A/r2の表示を用いると、上記の式(4)から、この受光部は、次式(5)で与えられる垂直偏光の強度を受光することになる。
ver=IV0(d/π)2・Ω・[E(kdφ/2)・Tver(θ,φ)]2
・・・(5)
この式(5)より、立体角Ωが大きい、すなわち受光面積Aの大きな受光部を用いることにより、より大きな検出信号が得られることが分かる。
浅角前方散乱光検出光学系51に含まれる集光レンズ8およびアパチャー7は、上式(5)の観測立体角Ωを増加させる工夫に他ならない。ただし、この立体角Ωは、散乱平面上の散乱角略10度の近傍を見込む角度でなくてはならない。
立体角Ωをその制約条件以上に広げると、必ずしも散乱角が略10度ではない散乱光も集光レンズ8とアパチャー7の開口部70a,70bを介して受光部により検出されるので、偏光度の値が散乱角略10度の場合から、より偏光度の少ない方向へ変位する。このような偏光度の値の変位は、球状粒子と円柱状粒子とを偏光度によって識別する方式の本装置では、識別の判定基準のマージンを狭くするので不適である。したがって、散乱角略10度の近傍を見込む角度となる範囲内で立体角Ωが最大値となるようにアパチャー7の開口部70a,70bを設計する必要がある。
[第8の実施の形態]
図14は本発明の第8の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の受光部の光学系の一構成例を示す図である。
アパチャー7を透過して集光レンズ8により集光された散乱光は、偏光型ビームスプリッタプリズム6によって垂直偏光成分と水平偏光成分とに分離される。各偏光成分の射出先には、受光部4a,4bが配置されていて、受光部4a,4bが微弱光信号を電気信号へと変換する。
本実施の形態では、受光部4a,4bとして光電子倍増管やアバランシェフォトダイオードなどの光電変換素子41a,41bを用いている。また、光電変換素子41a,41bの前には、コリメートレンズ光学系42a,42bを配置している。
偏光型ビームスプリッタプリズム6によって分離された垂直偏光成分は、コリメートレンズ光学系42aにより、受光部4aの受光面に収束するように集光され、同様に水平偏光成分は、コリメートレンズ光学系42bにより、受光部4bの受光面に収束するように集光される。
なお、散乱光成分以外の迷光を回避するため、図14に示すように、偏光型ビームスプリッタプリズム6から受光部4a,4bの受光面に至る光経路に、それぞれ迷光防止用アパチャー43a,43bを挿入してもよい。
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。本実施の形態では、図5に概略を示した浮遊粒子状物質測定装置を使用した。光源3bとしては、直線偏光した波長1.55μmの半導体レーザ31と、1/4波長板32により円偏光ビームを形成して用いた。
受光部4a,4bを構成する受光素子としては、例えばアバランシェフォトダイオードあるいは光電子倍増管により構成されたO/E(光/電気)変換器を用いた。このO/E変換器により、各偏光成分の光強度が電気信号へと変換されて出力される。
1つの被検出対象粒子1が、光源3bにより照射された観測視野内に導入されると、散乱光パルスが発生する。この散乱光パルスの垂直偏光成分および水平偏光成分が同時に偏光型ビームスプリッタプリズム6により分離されて、各偏光成分の光強度がO/E変換器によって電気的パルスヘと変換される。
同時に計測されたこれらの電気パルスの強度を比較することによって、被検出対象粒子1の形状を判別することが可能となる。すなわち、水平偏光成分と垂直偏光成分の強度比がほぼ等しい場合には、被検出対象粒子1の形状は球状であると判別される。
図15(A)〜図15(D)は偏光型ビームスプリッタプリズム6によって分離された垂直偏光成分と水平偏光成分の信号強度の1例を示す図である。図15(A)は球状の被検出対象粒子1による散乱光の水平偏光成分の信号強度Iparaを示し、図15(B)はこの球状の被検出対象粒子1の散乱光の垂直偏光成分の信号強度Iverを示している。また、図15(C)は円柱状の被検出対象粒子1による散乱光の水平偏光成分の信号強度Iparaを示し、図15(D)はこの円柱状の被検出対象粒子1の散乱光の垂直偏光成分の信号強度Iverを示している。
図15(A)、図15(B)に示したように、球状の被検出対象粒子1については、散乱光の垂直偏光成分の強度Iverと水平偏光成分の強度Iparaとの間に明らかな強度差は観測されない。
一方、図15(C)、図15(D)に示したように、円柱状の被検出対象粒子1については、散乱光の垂直偏光成分の強度Iverと水平偏光成分の強度Iparaとの間に明確な強度差が観測される。このことから、水平偏光成分に比較して垂直偏光成分が著しく大きく観測される場合には、被検出対象粒子1の形状は柱状あるいは繊維状であると識別することができる。
また、電気パルスの個数から、被検出対象粒子1の個数が求められる。通常の光学的粒子カウンタのように、波高分析器を導入することによって、検出された粒子に対応する散乱光のパルス波高値から、粒径を算出することも可能である。
このとき、被検出対象粒子1が球状であると識別した場合には、波高値として、水平偏光成分および垂直偏光成分の和を用い、この波高値を解析することで粒径を算出する。
一方、被検出対象粒子1が円柱状であると識別した場合には、波高値は垂直偏光成分の方が水平偏光成分より著しく大きくなるので、垂直偏光成分と水平偏光成分の波高値の比から被検出対象粒子1のアスペクトを求めることができ、同時に垂直偏光成分の波高値から軸方向の長さを算出することができる。
微弱な散乱光を検出する受光部4a,4bとしては、光電子倍増管、アバランシェフォトダイオード、固体接合光ダイオード、半導体フォトダイオードの何れか1つが考えられる。
[第10の実施の形態]
図16は本発明の第10の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の信号処理系の構成を示すブロック図である。この図16は、第1〜第9の実施の形態に適用する信号処理系を説明するための図である。
粒子形状識別を行う本実施の形態の信号処理系は、信号増幅部12a,12bと、粒子形状識別部13と、制御・計数部14と、通信部15とを有する。粒子形状識別部13と制御・計数部14とは、粒子識別手段を構成している。
図16に基づいて、粒子識別の信号処理の流れを説明する。まず、制御・計数部14は、高圧安定化電源16を駆動し、第1〜第6の実施の形態で説明した粒子配向手段2に粒子配向用の静電場を生成させて、被検出対象粒子1を散乱平面に対して鉛直方向の向きに揃える。
被検出対象粒子1が観測視野を横切る際に、受光部4a,4bは散乱角θ=10度の散乱光の垂直偏光成分、水平偏光成分を検出して微弱電流パルスに変換し、信号増幅部12a,12bは、それぞれ受光部4a,4bから出力された微弱電流パルスを電圧パルスに変換して増幅する。
粒子形状識別部13は、信号増幅部12aから出力された垂直偏光成分の電圧パルスと信号増幅部12bから出力された水平偏光成分の電圧パルスとの強度比から被検出対象粒子1が球状粒子か円柱状粒子かを識別する。すなわち、粒子形状識別部13は、水平偏光成分よりも垂直偏光成分の方が大きい場合、被検出対象粒子1が円柱状粒子であると識別し、水平偏光成分と垂直偏光成分が略等しい強度の場合(強度比が略1の場合)、被検出対象粒子1が球状粒子であると識別する。粒子形状識別部13は、識別結果と信号増幅部12a,12bから出力された信号とを制御・計数部14に出力する。
制御・計数部14は、水平偏光成分及び垂直偏光成分の電圧パルスを数えることで、被検出対象粒子1の個数を求める。制御・計数部14の波高分析部(不図示)は、散乱光の電圧パルスの波高値を予め定められた幾つかの閾値電圧と比較することで、電圧パルスをその波高値で分別し、分別したパルスの種類毎にパルスを数える。こうして、分別したパルスの波高値によって被検出対象粒子1の粒子径あるいは円柱状粒子の長さを求めることができ、また被検出対象粒子1の個数をパルスの波高値の範囲毎(すなわち、粒子径毎あるいは円柱状粒子の長さ毎)に数えることができる。
粒子形状識別部13による識別結果と、制御・計数部14による計数結果とは、制御・計数部14の図示しない内蔵メモリ(不図示)に蓄積される。そして、内蔵メモリに蓄積された情報は、通信部15を介して装置外部へ伝送され、また装置に搭載された表示部(不図示)へ伝送され表示される。
なお、本実施の形態の粒子形状識別部13と制御・計数部14とは、例えばCPU、メモリ及びインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、空気等の流体中に浮遊する微小粒子の形状を識別する技術に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の概略構成を示す図である。 波長1.55μmの入射光に対する球状粒子及び円柱状粒子による散乱光のうち散乱角10度での散乱光の偏光度と粒子半径との関係を示す図である。 入射電場および散乱電場の散乱平面に対する垂直成分と平行成分の定義、並びに法線方向より照射される無限円柱に対する散乱角および偏光面の回転角の定義を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の概略構成を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の概略構成を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の概略構成を示す図である。 本発明の第1〜第4の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の光源の構成を示す図である。 本発明の第6の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置のフローチャネル部の構成を示す斜視図である。 本発明の第6の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置のフローチャネル部の構成を示す分解斜視図である。 平行な二枚の平板金属電極による電場ベクトル分布および誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を示す図である。 本発明の第7の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の浅角前方散乱光検出光学系の正面図および断面図である。 本発明の第7の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の浅角前方散乱光検出光学系の斜視図である。 浅角前方散乱光検出光学系に用いるアパチャーの平面図である。 本発明の第8の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の受光部の光学系の一構成例を示す図である。 偏光型ビームスプリッタプリズムによって分離された垂直偏光成分と水平偏光成分の信号強度の1例を示す図である。 本発明の第10の実施の形態に係る浮遊粒子状物質測定装置の信号処理系の構成を示すブロック図である。 従来の浮遊粒子状物質測定装置の概略図である。 従来の浮遊粒子状物質測定装置における回転電場と散乱光の光学測定系配置図である。 一様電場による粒子の伸張作用、電場トルクによる電気双極子の回転、電場方向への電気双極子の配向、不均一電場による電気双極子へ作用する力、および観測視野領域からの粒子の逸脱の様子を示す図である。 円筒状四重電極による電場ベクトル分布および誘電分極した電気双極子に作用する力ベクトル分布を表す図である。
符号の説明
1…被検出対象粒子、2…粒子配向手段、3a,3b…光源、4a,4b…受光部、5…散乱平面、6…偏光型ビームスプリッタプリズム、7,7a…アパチャー、8…集光レンズ、9…45度直角プリズム、11a…光トラップ、11b…ビームディフューザー、12a,12b…信号増幅部、13…粒子形状識別部、14…制御・計数部、15…通信部、16…高圧安定化電源、21…流体取り込み口、22…流体取り出し口、30…フローチャネル部、31…レーザ、32…1/4波長板、33…レンズ、40a…検出器、41a,41b…光電変換素子、42a,42b…コリメートレンズ系、43a,43b…迷光防止用アパチャー、50,51,52…浅角前方散乱光検出光学系、70a,70b…開口部、310a,310b…厚板ブロック、320…ガイドブロック、330…固定用ブロック、340a,340b…平板金属電極、350a…導入用継手、350b…排出用継手、360a,360b…接触電極端子、370…固定用ビス孔、380…ウィンドウガラス板。

Claims (10)

  1. 偏光ビームを射出する光源と、
    流体中に浮遊している被検出対象粒子を観測視野内に導入する導入手段と、
    前記観測視野内に導入された粒子に前記光源からの偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち特定の散乱角の散乱光のみを集光する散乱光集光手段と、
    前記光源と前記粒子と前記散乱光集光手段の開口部とを含む散乱平面に対して、前記偏光ビームが前記粒子に入射する前に、前記粒子を前記散乱平面の法線方向に向ける粒子配向手段と、
    前記散乱光集光手段によって集光された散乱光を、前記散乱平面に対する偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズムと、
    この分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光手段と、
    前記第1、第2の受光手段から出力された信号に基づいて粒子形状を識別する粒子識別手段とを有し、
    前記散乱光集光手段は、前記光源から前記粒子に向かう方向に対して前記粒子を中心とする散乱角が略10度の散乱光のみを透過させる前記開口部を備えたアパチャーと、このアパチャーの開口部を通過した散乱光を集光する集光レンズと、前記アパチャーの前面に設けられ、前記光源からの前方直進光を90度方向に反射させる45度直角プリズムと、この45度直角プリズムからの反射光を減衰させるビームディフューザーとから構成されることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  2. 請求項1記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記光源は、直線偏光の偏光面を前記散乱平面の法線方向に対して45度傾けた直線偏光ビームを射出することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  3. 請求項1記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記光源は、円偏光ビームを射出することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  4. 請求項1記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記光源から射出される偏光ビームの波長の最小値は、識別対象とする球状微小粒子の半径よりも長く、かつ円柱状微小粒子の長さよりも短いことを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  5. 請求項1記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記粒子配向手段は、前記散乱平面の法線方向を向いた一様な静電場を前記観測視野を含む導入手段に沿って形成する手段であることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  6. 請求項記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記アパチャーの開口部は、1つ乃至1対の半円形、1つ乃至1対の長方形、1つ乃至1対の矩形スリット状、あるいは1つ乃至1対の小円形のいずれかであることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  7. 請求項1記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    さらに、前記第1、第2の受光手段の前に配置され、前記偏光型ビームスプリッタプリズムによって分割された2本の光ビームを集光する第1、第2のコリメートレンズ光学系と、
    前記第1、第2のコリメートレンズ光学系と前記第1、第2の受光手段との間に配置され、前記第1、第2のコリメートレンズ光学系によって集光された光ビーム以外の光を防ぐ第1、第2の迷光防止用アパチャーとを有することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  8. 請求項1記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記粒子識別手段は、前記第1の受光手段で検出された垂直偏光成分と前記第2の受光手段で検出された水平偏光成分との強度比から、前記強度比が略等しい場合は前記粒子が球状粒子であると識別し、前記強度比が垂直偏光成分の優位を示した場合は前記粒子が円柱状粒子であると識別することを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  9. 請求項記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
    前記粒子識別手段は、前記第1、第2の受光手段で検出された垂直偏光成分および水平偏光成分の信号のパルスの数から前記粒子の個数を検出し、前記粒子が球状粒子であると識別した場合は前記垂直偏光成分と水平偏光成分の信号パルス強度の最大値の和に基づき粒径を求め、前記粒子が円柱状粒子であると識別した場合は前記垂直偏光成分の信号パルス強度の最大値に基づいて粒子の長さを求めることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  10. 偏光ビームを射出する光源と、
    流体中に浮遊している被検出対象粒子を観測視野内に導入する導入手段と、
    前記観測視野内に導入された粒子に前記光源からの偏光ビームが入射したことによる散乱光のうち特定の散乱角の散乱光のみを集光する散乱光集光手段と、
    前記光源と前記粒子と前記散乱光集光手段の開口部とを含む散乱平面に対して、前記偏光ビームが前記粒子に入射する前に、前記粒子を前記散乱平面の法線方向に向ける粒子配向手段と、
    前記散乱光集光手段によって集光された散乱光を、前記散乱平面に対する偏光方向が互いに直交する2本の光ビームに分割する偏光型ビームスプリッタプリズムと、
    この分割された2本の光ビームをそれぞれ電気信号に変換する第1、第2の受光手段と、
    前記第1、第2の受光手段から出力された信号に基づいて粒子形状を識別する粒子識別手段とを有し、
    前記散乱光集光手段の開口部は、前記光源から前記粒子に向かう方向に対して前記粒子を中心とする散乱角が略10度の散乱光を集光すべく設けられており、
    前記粒子識別手段は、前記第1の受光手段で検出された垂直偏光成分と前記第2の受光手段で検出された水平偏光成分との強度比から、前記強度比が略等しい場合は前記粒子が球状粒子であると識別し、前記強度比が垂直偏光成分の優位を示した場合は前記粒子が円柱状粒子であると識別し、前記第1、第2の受光手段で検出された垂直偏光成分および水平偏光成分の信号のパルスの数から前記粒子の個数を検出し、前記粒子が球状粒子であると識別した場合は前記垂直偏光成分と水平偏光成分の信号パルス強度の最大値の和に基づき粒径を求め、前記粒子が円柱状粒子であると識別した場合は前記垂直偏光成分の信号パルス強度の最大値に基づいて粒子の長さを求めることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
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