以下に添付図面を参照して、実施の形態に係るパターン判定方法を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るパターン修正システムの構成を示す図である。パターン修正システムは、例えばマスクパターンを修正することによって、ウエハなどの基板上に形成する基板上パターンを修正するシステムである。本実施の形態のパターン修正システムは、パターン判定の対象となる位置(後述の代表点)から所定の距離内にある領域上で開口している部分(レジストパターンが配置されていない部分)の面積(後述の開口面積)と、代表点から周辺レジストパターンまでの最短距離(後述の最小スペース)と、に基づいて危険パターン(危険点)を抽出するとともに、危険パターンが無くなるようマスクパターンを修正する。
パターン修正システムは、被加工膜を少なくとも1度以上加工することによってウエハ上に半導体集積回路パターンを形成する半導体装置のパターン修正などに適用される。本実施の形態では、パターン修正システムが、側壁加工プロセスを用いて製造される半導体装置のパターン判定(レイアウト検証)を行う場合について説明する。
側壁加工プロセスのように、リソグラフィ工程によって形成されたパターンに加工材料を堆積させるプロセスでは、同じ時間だけ堆積物を堆積させても、レイアウト形状(例えば、芯材の間隔)に応じて堆積物の堆積量が異なる。このため、リソグラフィ後のパターン検証ではレジストパターンに問題がなくても、堆積させた材料が過度に付着することによってパターン間隔が狭くなる箇所が発生したり、堆積させた材料の堆積量が不足してパターン細りが発生したりする場合がある。そこで、本実施の形態のパターン修正システムは、堆積物を堆積させた後にパターン不良となる箇所を、レジストパターンのパターン形状に基づいて検出する。
パターン修正システムは、パターン判定装置1、テストパターン評価システム2、マスクデータ作成装置3、マスクデータ修正装置4を有している。テストパターン評価システム2は、基板上に形成する基板上パターンが危険パターン(パターン不良となる可能性が高いパターン)となるか否かの判定基準(加工危険度の許容範囲)を設定するシステムである。テストパターン評価システム2は、テスト用のウエハに形成されたテストパターンを用いて、加工危険度の許容範囲(後述の危険度許容範囲dr1)を設定する。テストパターン評価システム2は、設定した危険度許容範囲dr1をパターン判定装置1に送る。
マスクデータ作成装置3は、設計レイアウトデータを用いて、評価対象となる製品マスクのマスクパターンデータ(製品マスクパターンデータ)を作成する。マスクデータ作成装置3は、作成した製品マスクパターンデータをパターン判定装置1とマスクデータ修正装置4に送る。
パターン判定装置1は、危険度許容範囲dr1、パターン判定を行う位置(判定対象位置)の周辺に配置されているレジストパターン(周辺レジストパターン)のレイアウト、判定対象位置から周辺レジストパターンまでの最短距離などに基づいて、製品マスクのパターン判定(危険度の判定)を行うコンピュータなどの装置である。本実施の形態のパターン判定装置1は、例えば製品マスクを用いて形成されるレジストパターンのパターン判定を行うことによって製品マスクのパターン判定を行う。パターン判定装置1は、製品マスクパターンの中から危険パターンを抽出してマスクデータ修正装置4に送る。
マスクデータ修正装置4は、パターン判定装置1が危険パターンであると判定したパターン位置の製品マスクを修正する装置である。マスクデータ修正装置4は、マスクパターンの形状補正やダミーパターンの追加などによって製品マスクパターンを修正する。
図2は、第1の実施の形態に係るパターン判定装置の構成を示すブロック図である。パターン判定装置1は、入力部11、パターンデータ抽出部12、代表点設定部13、加工危険度算出部14、危険度判定部15、出力部16を備えている。
入力部11は、テストパターン評価システム2で設定された危険度許容範囲dr1、マスクデータ作成装置3が作成した製品マスクパターンデータを入力する。入力部11は、危険度許容範囲dr1を危険度判定部15に送り、製品マスクパターンデータをパターンデータ抽出部12に送る。
パターンデータ抽出部12は、入力部11に入力された製品マスクパターンデータを用いてリソグラフィシミュレーションや図形演算し、製品マスクパターンに対応するレジストパターンを算出する。パターンデータ抽出部12が算出するレジストパターンは、製品マスクを用いてウエハに露光処理を行った場合のレジストパターンである。パターンデータ抽出部12は、算出したレジストパターンから輪郭データを抽出するとともに、抽出した輪郭データをイメージデータ(輪郭イメージデータ)に変換する。パターンデータ抽出部12は、輪郭イメージデータを代表点設定部13に送る。
代表点設定部13は、輪郭イメージデータを用いて、レジストパターンのエッジラインを複数のエッジラインに分割(エッジ分割)する。代表点設定部13は、例えばレジストパターンのエッジラインを等間隔に分割する。代表点設定部13は、分割後の各エッジライン上に代表点を設定する。代表点設定部13は、レジストパターン上に設定した代表点の位置に関する情報を加工危険度算出部14に送る。
加工危険度算出部14は、代表点を判定対象位置に設定するとともに、代表点の周辺に配置されている周辺レジストパターンのレイアウト、代表点から周辺レジストパターンまでの最短距離に基づいて、代表点での加工危険度を算出する。具体的には、加工危険度算出部14は、代表点から所定の距離内にある領域上で開口している部分(レジストパターンが配置されていない部分)の面積を開口面積として算出する。開口面積は、代表点から所定の距離内にある領域(円形領域)のうち、代表点が位置しているパターンと、周辺レジストパターンと、で挟まれた領域(パターンの無い領域)の面積である。また、加工危険度算出部14は、代表点から周辺レジストパターンまでの最短距離を最小スペースとして算出する。加工危険度算出部14は、加工危険度Dを、D=(開口面積)/(最小スペース)によって算出する。加工危険度算出部14は、算出した加工危険度Dを危険度判定部15に送る。
危険度判定部15は、加工危険度Dを危険度許容範囲dr1と比較することによって、代表点が危険点であるか否かを判定する。危険度判定部15は、危険点であると判定した代表点の位置を出力部16に送る。出力部16は、危険度判定部15によって危険点であると判定された代表点の位置を出力する。
つぎに、パターン修正システムで行うパターン修正処理の処理手順について説明する。まず、危険度許容範囲dr1の設定処理について説明し、その後、パターン修正処理とパターン判定処理について説明する。
図3は、危険度許容範囲の設定処理手順を示すフローチャートである。テストパターン評価システム2では、まず、危険度許容範囲dr1を設定するためのテスト用マスクを作成しておく(ステップS10)。このテスト用マスクには、ライン&スペースパターンや、クランクパターンなどの種々の形状を有したパターンが種々の寸法で形成されている。
この後、テストパターン評価システム2では、テスト用マスクを用いてウエハ上に実パターンが形成される(ステップS20)。具体的には、レジストの塗布されたウエハにテスト用マスクを用いて露光を行ない、その後ウエハを現像してレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをスリミングし、スリミングしたレジストパターンを芯材として側壁膜を堆積させる。さらに、レジストパターンを除去した後に、側壁膜をマスクとして側壁膜の下層側をエッチングする。これにより、側壁膜に対応する実パターンをウエハ上に形成する。
実パターンを形成した後、この実パターンが評価される(ステップS30)。具体的には、実パターンの中から加工不良となる可能性が高い箇所が危険パターンとして抽出される。そして、パターン判定装置1が、危険パターンとして抽出された位置での加工危険度Dを算出する。加工危険度Dの値が大きい場合は側壁膜が小さくなってパターン倒壊の可能性が高くなる。一方、加工危険度Dの値が小さい場合は側壁膜が隣の側壁膜とぶつかってショートする可能性が高くなる。
危険パターンが抽出された後、加工危険度Dと加工不良となる可能性との相関関係が算出され、この相関関係に基づいて、危険度許容範囲dr1が設定される。換言すると、実パターンの評価結果を用いて危険度許容範囲dr1が設定される(ステップS40)。危険度許容範囲dr1の広さは、パターン修正システムの使用者によって任意に調整される。例えば、小さな加工危険度であってもパターン修正の対象にする場合は、危険度許容範囲dr1が狭い範囲に設定され、大きな加工危険度のみをパターン修正の対象にする場合は、危険度許容範囲dr1が広い範囲に設定される。テストパターン評価システム2で設定された危険度許容範囲dr1は、パターン判定装置1に入力される。
なお、図3では、実パターンの評価結果を用いて危険度許容範囲dr1を設定する場合について説明したが、テスト用マスクのマスクデータに加工シミュレーションなどを用いて危険度許容範囲dr1を設定してもよい。また、危険度許容範囲dr1の範囲にかえて又は加えて、加工危険度Dを算出する際の代表点からの距離を可変として設定される円形領域の範囲の広さを調整してもよい。
つぎに、パターン修正システムで行われるパターン修正処理について説明する。図4は、パターン修正処理の処理手順を示すフローチャートである。パターン判定装置1の入力部11へは、テストパターン評価システム2で設定された危険度許容範囲dr1、マスクデータ作成装置3が作成した製品マスクパターンデータが入力される。入力部11は、危険度許容範囲dr1を危険度判定部15に送り、製品マスクパターンデータをパターンデータ抽出部12に送る。
パターンデータ抽出部12は、製品マスクパターンデータを用いてリソグラフィシミュレーションし、製品マスクパターンに対応するレジストパターンを算出する。これにより、パターンデータ抽出部12は、レジストパターンのレジストパターンデータを取得する(ステップS110)。
パターンデータ抽出部12は、算出したレジストパターンから輪郭データを抽出するとともに、抽出した輪郭データを輪郭イメージデータに変換する(ステップS120,S130)。パターンデータ抽出部12は、輪郭イメージデータを代表点設定部13に送る。
代表点設定部13は、輪郭イメージデータを用いて、レジストパターンのエッジライン上に判定対象となる位置(代表点)を設定する。加工危険度算出部14は、代表点の加工危険度Dを算出し、危険度判定部15は、加工危険度Dを危険度許容範囲dr1と比較することによって、代表点でのパターン判定を行う(ステップS140)。危険度判定部15は、代表点が危険点である場合にこの代表点を危険パターンであると判断する。
レジストパターン内に危険パターンが無ければ(ステップS150、No)、パターン修正処理を終了する。一方、レジストパターン内に危険パターンがある場合(ステップS150、Yes)、危険パターンが抽出される(ステップS160)。そして、危険パターンの近傍にダミーパターンを配置するか又は危険パターン近傍のマスクレイアウトを補正することによってマスクパターンを修正する(ステップS170)。
この後、マスクパターンを修正した後のマスクパターンデータを用いて、レジストパターンのパターン再判定が行われる(ステップS180)。このとき、ステップS110〜S140の処理と同様の処理によってレジストパターンのパターン再判定が行われる。
レジストパターン内に危険パターンがある場合(ステップS190、Yes)、ステップS160〜S190の処理が繰り返される。レジストパターン内に危険パターンが無ければ(ステップS190、No)、パターン修正処理を終了する。
つぎに、本実施の形態の主たる特徴の1つであるパターン判定処理について説明する。図5は、第1の実施の形態に係るパターン判定処理の処理手順を示す図である。予めリソグラフィ後の危険点を、例えばリソグラフィシミュレーションなどによって抽出しておく。そして、所定の露光マージンを確保したうえで、リソグラフィ後に危険点が発生しないようリソグラフィ工程の際の露光条件を設定しておく。これにより、リソグラフィ後の危険点が無い状態で、パターン判定装置1によるパターン判定処理が開始される。
パターン判定装置1の入力部11へは、テストパターン評価システム2で設定された危険度許容範囲dr1、マスクデータ作成装置3が作成した製品マスクパターンデータが入力される。入力部11は、危険度許容範囲dr1を危険度判定部15に送り、製品マスクパターンデータをパターンデータ抽出部12に送る。
パターンデータ抽出部12は、製品マスクパターンデータにブーリアン演算などを行うことによってリソグラフィシミュレーションし、製品マスクパターンに対応するレジストパターンを算出する。さらに、パターンデータ抽出部12は、算出したレジストパターンから輪郭データを抽出するとともに、抽出した輪郭データを輪郭イメージデータに変換する。そして、パターンデータ抽出部12は、輪郭イメージデータを代表点設定部13に送る。
代表点設定部13は、輪郭イメージデータからレジストパターンのエッジラインを抽出する(ステップS210)。そして、代表点設定部13は、エッジラインを複数のエッジラインに分割し、分割後の各エッジライン上に代表点を設定する(ステップS220)。代表点設定部13は、レジストパターン上に設定した各代表点の位置に関する情報を加工危険度算出部14に送る。
加工危険度算出部14は、各代表点から周辺レジストパターンまでの最小スペースを算出する(ステップS230)。そして、加工危険度算出部14は、最小スペースの値が所定範囲内であるか否かを判定する(ステップS240)。最小スペースの値が所定値(判定基準値)以上の場合(ステップS240、Yes)、代表点が危険パターンとなる可能性が低いので、その代表点をパターン判定の対象から除外する。これにより、加工危険度算出部14は、最小スペースの値が所定値よりも小さい代表点のみを抽出する。ここでの最小スペースの判定基準値は、予め種々の最小スペースで形成されたテストパターンなどを用いて設定される値である。最小スペースの判定基準値は、レジストパターンを用いて側壁膜の下層を加工した場合に、加工後のパターンが危険パターンになるか否かの検証に基づいて設定される。
最小スペースの値が所定値よりも小さい場合(ステップS240、No)、加工危険度算出部14は、代表点から所定の距離内にある領域上で開口している部分の面積を開口面積として算出する(ステップS250)。
図6は、代表点と開口面積を説明するための図である。図6では、判定対象となるレジストパターンと周辺レジストパターンの上面図を示している。また、図6の(a)は、周辺レジストパターンがラインパターンである場合を示し、図6の(b)は、周辺レジストパターンがクランクパターンである場合を示している。
図6の(a)の場合、代表点R1から所定の距離内にある円形領域のうち、代表点R1が位置しているレジストパターンP1上のエッジラインと、周辺レジストパターンとなるレジストパターンP2の代表点R1側のエッジラインと、で挟まれた領域の面積が開口面積(A1)となる。また、図6の(a)では、代表点R1からレジストパターンP2までの最小スペースがS1である場合を示している。
また、図6の(b)の場合、代表点R2から所定の距離内にある円形領域のうち、代表点R2が位置しているレジストパターンP3上のエッジラインと、周辺レジストパターンとなるクランクパターンP4の代表点R2側のエッジラインと、で挟まれた領域の面積が開口面積(A2)となる。また、図6の(b)では、代表点R2からクランクパターンP4までの最小スペースがS2である場合を示している。なお、以下では代表点R1,R2などの代表点を代表点Rxとして説明する場合がある。
加工危険度算出部14は、加工危険度Dを、D=(開口面積)/(最小スペース)によって算出する(ステップS260)。図6の(a)の場合、加工危険度Dは、D=A1/S1となり、図6の(b)の場合、加工危険度Dは、D=A2/S2となる。加工危険度算出部14は、算出した各加工危険度Dを危険度判定部15に送る。
危険度判定部15は、各加工危険度Dを危険度許容範囲dr1と比較して、代表点Rxの加工危険度Dが危険度許容範囲dr1内かを判定する。代表点Rxの加工危険度Dが危険度許容範囲dr1の範囲内である場合(ステップS270、Yes)、危険度判定部15は、代表点Rxを危険パターンでないと判定する。一方、代表点Rxの加工危険度Dが危険度許容範囲dr1の範囲内でない場合(ステップS270、No)、危険度判定部15は、代表点Rxを危険パターンであると判定する(ステップS280)。
このように、本実施の形態では、側壁膜の堆積量がレジストパターンのスペースや開口面積に応じて異なることに着目し、開口面積に基づいて加工後の代表点の中から危険パターンを検出している。
なお、本実施の形態では、レジストパターンのデータ上で危険パターンを検出する場合について説明したが、設計レイアウトデータ上で危険パターンを検出してもよい。例えば、DRC(デザインルールチェック)などのツールを用いることによって、設計レイアウトデータ上で危険点を検出することが可能となる。
また、レジストパターンをスリミングした後に形成される種々の工程でのパターン形状に基づいて、危険パターンを検出してもよい。例えば、危険パターンを検出する工程としては、レジストパターンの形成後のほかに、レジストパターンのスリミング後、側壁膜を堆積させた後、芯材を除去した後などがある。
図7は、種々の工程で行われる危険パターンの検出を説明するための図である。図7では、判定対象となるパターンや周辺パターンなどの上面図を示している。図7では、リソグラフィ工程後(レジストパターンの形成時)、スリミング工程後、側壁膜堆積後、芯材除去後のそれぞれで行われる危険パターンの検出処理と、下層膜の加工後のパターン形状(危険パターンの検出結果)と、を示している。なお、図7では周辺パターンがラインパターン(1Dパターン)である場合と、クランクパターンである場合を示している。
まず、周辺パターンが1Dパターンの場合について説明する。周辺パターンが1Dパターンの場合、リソグラフィ工程後では、レジストパターンP11a上に設定される代表点R11aの位置と、代表点R11aから所定の距離内にある領域上での開口面積と、代表点R11aから周辺パターンとなるレジストパターンP12aまでの最小スペースと、に基づいて、危険パターンであるか否かが判定される。
レジストパターンP11a,P12aをスリミングすると、それぞれスリミングパターンP11b,P12bとなる。スリミングパターンP11b上に設定される代表点R11bの位置は、レジストパターンP11a上に設定される代表点R11aの位置に対応しており、レジストパターンP11aがスリミングされた分だけ代表点R11aの位置とずれている。
スリミング工程後に危険パターンを検出する場合、スリミングパターンP11b上に設定される代表点R11bの位置と、代表点R11bから所定の距離内にある領域上での開口面積と、代表点R11bから周辺パターンとなるスリミングパターンP12bまでの最小スペースと、に基づいて、危険パターンであるか否かが判定される。
スリミングパターンP11b,P12bに側壁膜を堆積させると、スリミングパターンP11bの側壁部分に側壁パターンQ1a,Q2aが形成され、スリミングパターンP12bの側壁部分に側壁パターンQ3a,Q4aが形成される。側壁パターンQ1a〜Q4aは、スリミングパターンP11b,P12bの形状、周辺パターンからの最小スペース、開口面積などの影響を受けた形状に形成される。
側壁膜堆積後に危険パターンを検出する場合、スリミングパターンP11b(側壁パターンQ1a)上に設定される代表点R11bの位置と、代表点R11bから所定の距離内にある領域上での開口面積(スリミングパターンP11b,P12bおよび側壁パターンQ1a〜Q4aを除外した領域の面積)と、代表点R11bから周辺パターンとなるスリミングパターンP12bまでの最小スペースと、に基づいて、危険パターンであるか否かが判定される。
側壁パターンQ1a〜Q4aを堆積させた後、芯材となっていたスリミングパターンP11b,P12bを除去すると、側壁パターンQ1a〜Q4aが残る。芯材除去後に危険パターンを検出する場合、側壁パターンQ1a上に設定される代表点R11bの位置と、代表点R11bから所定の距離内にある領域上での開口面積(側壁パターンQ1a〜Q4aを除外した領域の面積)と、代表点R11bから周辺パターンとなる側壁パターンQ2a〜Q4aまでの最小スペースと、に基づいて、危険パターンであるか否かが判定される。このとき、加工危険度算出部14は、側壁パターンQ2a〜Q4a毎に代表点R11bから側壁パターンQ2a〜Q4aまでの加工危険度Dを算出する。そして、危険度判定部15は、側壁パターンQ2a〜Q4a毎に代表点R11bが危険パターンであるか否かを判定する。危険度判定部15は、側壁パターンQ2a〜Q4aを用いて算出された加工危険度Dのうち、1つでも危険度許容範囲dr1の範囲外となれば、代表点R11bを危険パターンであると判定する。
このように、危険パターンを検出する工程は、下層膜の加工前であれば、レジストパターンの形成後、レジストパターンのスリミング後、側壁膜を堆積させた後、芯材を除去した後など何れの工程であってもよい。
芯材を除去した後、側壁パターンQ1a〜Q4aをマスクとして実際に下層膜をエッチング加工すると、加工パターンQ1b〜Q4bが形成される。加工パターンQ1b〜Q4bは、側壁パターンQ1a〜Q4aのパターン形状、周辺パターンからの最小スペース、開口面積などの影響を受けた形状に形成される。ここで、図7に示した加工後の代表点R11cの位置は、芯材除去以前に設定した代表点R11a,R11bの位置に対応している。なお、実際に下層膜を加工すると、代表点R11cが加工不良のパターンとなることもあるが、図7に示す1Dパターンでは、下層膜の加工後(仕上がり形状)においても代表点R11cで不良が発生していない場合を示している。
また、周辺パターンがクランクパターンの場合も、周辺レジストパターンが1Dパターンの場合と同様の処理によって危険パターンが抽出される。具体的には、リソグラフィ工程後では、レジストパターンP13a上に設定される代表点R12aの位置と、代表点R12aから所定の距離内にある領域上での開口面積と、代表点R12aから周辺レジストパターンとなるレジストパターンP14aまでの最小スペースと、に基づいて、危険パターンであるか否かが判定される。
レジストパターンP13a,P14aをスリミングすると、それぞれスリミングパターンP13b,P14bとなる。スリミングパターンP13b上に設定される代表点R12bの位置は、レジストパターンP13a上に設定される代表点R12aの位置に対応しており、レジストパターンP13aがスリミングされた分だけ代表点R12aの位置とずれている。
スリミング工程後に危険パターンを検出する場合、スリミングパターンP13b上に設定される代表点R12bの位置と、代表点R12bから所定の距離内にある領域上での開口面積と、代表点R12bから周辺パターンとなるスリミングパターンP14bまでの最小スペースと、に基づいて、危険パターンであるか否かが判定される。
スリミングパターンP13b,P14bに側壁膜を堆積させると、スリミングパターンP13bの側壁部分に側壁パターンQ5a,Q6aが形成され、スリミングパターンP14bの側壁部分に側壁パターンQ7a,Q8aが形成される。側壁パターンQ5a〜Q8aは、スリミングパターンP13b,P14bの形状、周辺パターンからの最小スペース、開口面積などの影響を受けた形状に形成される。
側壁膜堆積後に危険パターンを検出する場合、スリミングパターンP13b(側壁パターンQ5a)上に設定される代表点R12bの位置と、代表点R12bから所定の距離内にある領域上での開口面積(スリミングパターンP13b,P14bおよび側壁パターンQ5a〜Q8aを除外した領域の面積)と、代表点R12bから周辺パターンとなるスリミングパターンP14bまでの最小スペースと、に基づいて、危険パターンであるか否かが判定される。
側壁パターンQ5a〜Q8aを堆積させた後、芯材となっていたスリミングパターンP13b,P14bを除去すると、側壁パターンQ5a〜Q8aが残る。芯材除去後に危険パターンを検出する場合、側壁パターンQ5a上に設定される代表点R12bの位置と、代表点R12bから所定の距離内にある領域上での開口面積(側壁パターンQ5a〜Q8aを除外した領域の面積)と、代表点R12bから周辺パターンとなる側壁パターンQ5a〜Q8aまでの最小スペースと、に基づいて、危険パターンであるか否かが判定される。このとき、加工危険度算出部14は、側壁パターンQ5a〜Q8a毎に代表点R12bから側壁パターンQ5a〜Q8aまでの加工危険度Dを算出する。そして、危険度判定部15は、側壁パターンQ5a〜Q8a毎に代表点R12bが危険パターンであるか否かを判定する。危険度判定部15は、側壁パターンQ5a〜Q8aを用いて算出された加工危険度Dのうち、1つでも危険度許容範囲dr1の範囲外となれば、代表点R12bを危険パターンであると判定する。
芯材を除去した後、側壁パターンQ5a〜Q8aをマスクとして実際に下層膜をエッチング加工すると、加工パターンQ5b〜Q8bが形成される。加工パターンQ5b〜Q8bは、側壁パターンQ5a〜Q8aのパターン形状、周辺パターンからの最小スペース、開口面積などの影響を受けた形状に形成される。ここで、図7に示した加工後の代表点R12cの位置は、芯材除去以前に設定した代表点R12a,R12bの位置に対応している。図7に示すクランクパターンでは、下層膜の加工後に代表点R12cが不良となっている場合を示している。
なお、上述した各工程で危険パターンを検出する場合には、パターン判定装置1が各工程でのパターン形状を加工シミュレーションなどによって算出し、算出したパターン形状を用いて危険パターンを検出する。このとき、各工程でのパターン形状は、パターンデータ抽出部12が加工シミュレーションなどによって算出する。あるいは、テストウエハを各工程で実際に加工したうえでSEMなどを用いて加工面をトレースし、取得した画像からパターン判定装置1がパターン輪郭を抽出してイメージデータに変換することによってパターン形状を算出する。また、危険度許容範囲dr1は、危険パターンを検出する工程毎に設定してもよい。
さらに、図7では、下層膜を加工した後の加工後パターンQ1b〜Q4b,Q5b〜Q8bが加工危険パターンとなるか否かを判定したが、下層膜を加工した後の側壁パターンが加工危険パターンとなるか否かを判定してもよい。
次に、危険パターンが検出された場合のマスクパターン修正方法について説明する。図8は、危険パターンが検出された場合のマスクパターン修正方法を説明するための図である。ここでは、周辺パターンがクランクパターンの場合について説明する。
代表点R12cのように、ライン&スペースの周期性が低い箇所では、前述の側壁パターンQ5a〜Q8aをマスクとして下層膜を加工した後、周辺パターンとなる側壁パターンQ6a〜Q8aの影響を受けて、代表点R12cの近傍(加工パターンQ5b)が加工不良となる場合がある。
例えば、レジストパターンの形成後、レジストパターンのスリミング後、側壁膜を堆積させた後、芯材を除去した後などの何れかの工程で危険パターンの有無を検出した結果、加工パターンQ5bの幅が細くなり、加工パターンQ5bの倒壊可能性が検出される場合がある。この場合、本実施の形態では、例えば下層膜を加工する際の加工変動量を加味したレイアウト補正を行う。このとき、危険パターンとなった代表点が危険パターンとならないよう(加工危険度Dが危険度許容範囲dr1内に収まるよう)レイアウト補正を行う。
具体的には、加工パターンQ5bの幅を加工パターンQ52xのように太らせるために(A1)、側壁パターンQ5aを側壁パターンQ51xのように太らせる(A2)。このため、加工パターンQ5bの形成に用いたスリミングパターンP13bを、パターン幅が細くなる加工パターンQ5bの方向へ太くしたスリミングパターンP13xに変更する。スリミングパターンP13xを形成するため、スリミングパターンP13bに対応するレジストパターンP13aを、スリミング後にスリミングパターンP13xとなるよう、スリミングパターンP13xに応じた太さに変更しておく。そして、レジストパターンP13aをスリミングパターンP13xに応じた太さに変更するために、レジストパターンP13aに対応するマスクパターンを、スリミングパターンP13xに応じた太さに変更しておく。
これにより、レイアウト補正を行った後のマスクパターンを用いてウエハ上にパターンを形成すると、下層膜を加工した後のパターンは、加工パターンQ5bとは異なる欠けの無い加工パターンQ52xとなる。そして、代表点R12c(代表点R12a,R12b)の位置が周辺パターン(側壁パターンQ6a〜Q8a)から遠ざかるので、代表点R12cは周辺パターンからの影響を受けにくくなる。この結果、加工危険度D=A/SのAが変化し、代表点R12cが不良パターンとなることはない。
また、加工パターンQ5bの幅が細くなり、加工パターンQ5bが倒壊する可能性がある場合は、代表点R12a,R12bの周辺にダミーパターンを配置してもよい。具体的には、加工パターンQ5bの幅を加工パターンQ52yのように太らせるために(B1)、側壁パターンQ5aを側壁パターンQ51yのように太らせる(B2)。このため、スリミングパターンP13bの周辺にスリミングパターンdを形成し、スリミングパターンdの側壁に側壁パターンQ9を形成する。側壁パターンQ9を形成するため、レジストパターンP13aの周辺にスリミングパターンdに対応した周辺レジストパターンが形成されるよう、レジストパターンを変更しておく。そして、レジストパターンを変更するために、レジストパターンP13aに対応するマスクパターンの周辺にスリミングパターンdに応じたマスクパターンを配置しておく。
これにより、レイアウト補正を行った後のマスクパターンを用いてウエハ上にパターンを形成すると、下層膜を加工した後のパターンは、加工パターンQ5bとは異なる欠けの無い加工パターンQ52yとなる。そして、代表点R12cが側壁パターンQ6a〜Q8aとともに、側壁パターンQ9の影響を受け、この結果、代表点R12cが不良パターンになることはない。換言すると、加工危険度D=A/SのSを変化させたことによって、危険パターンの発生を防止することができる。このように、設計レイアウト段階で危険パターンを抽出しているので、加工不良を低減することができ、その結果、製品マスクの開発TATを低減することが可能となる。
パターン修正システムによるマスクパターンの修正は、例えばウエハプロセスのレイヤ毎に行われる。そして、必要に応じてマスクパターンが修正された製品マスクや合格判定された製品マスクを用いて半導体デバイスなどの半導体装置(半導体集積回路)が製造される。具体的には、修正後のマスクパターンまたは合格判定されたマスクパターンを用いて製品マスクを作製し、レジストの塗布されたウエハに製品マスクを用いて露光を行ない、その後ウエハを現像してウエハ上にレジストパターンを形成する。そして、例えばレジストパターンを芯材として側壁膜を堆積させ、レジストパターンを除去した後に、側壁膜をマスクとして側壁膜の下層側をエッチングする。これにより、側壁膜に対応する実パターンをウエハ上に形成する。半導体装置を製造する際には、上述したパターン判定、パターン修正、露光処理、現像処理、側壁膜の堆積処理、エッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
なお、本実施の形態では、マスクデータ作成装置3とマスクデータ修正装置4を別々の構成としたが、マスクデータ作成装置3とマスクデータ修正装置4をまとめて1つの装置としてもよい。また、パターン判定装置1とマスクデータ作成装置3を別々の構成としたが、パターン判定装置1とマスクデータ作成装置3をまとめて1つの装置としてもよい。
さらに、本実施の形態では、側壁加工プロセスを用いてウエハ上にパターン形成を行う場合のパターン判定について説明したが、パターン修正システムは、側壁加工プロセス以外のプロセスでウエハ上にパターン形成を行う場合のパターン判定を行ってもよい。
また、本実施の形態では、加工危険度Dを、D=(開口面積)/(最小スペース)によって算出する場合について説明したが、開口面積および最小スペースを用いた式であれば何れの式を用いて加工危険度Dを算出してもよい。
なお、本実施の形態では、代表点のうち最小スペースが所定値よりも小さい代表点に対して危険パターンであるか否かを判定したが、全ての代表点に対して危険パターンであるか否かを判定してもよい。また、全ての代表点に対して危険パターンであるか否かを判定した後、最小スペースが所定値以上である代表点を危険パターンから除外してもよい。
また、危険パターンが検出された場合の対策としては、レイアウト変更以外に、プロセス条件(露光条件の露光量、露光装置のσや収差条件など)を変更することによってリソグラフィ後のパターンサイズを変更してもよい。また、露光量、σ、収差条件などのプロセス条件を組み合わせることによって加工危険度Dを変更し、危険パターンの発生を防いでもよい。
このように第1の実施の形態によれば、加工危険度Dを開口面積および最小スペースを用いて算出し、算出した加工危険度Dに基づいて加工後に加工不良となるか否かを判定しているので、加工不良となるか否かをパターン形成前に容易かつ迅速に判定することが可能になる。
また、代表点の加工危険度Dが危険度許容範囲dr1内に収まるよう、マスクパターンを修正しているので、ウエハ上に形成するパターンの加工不良を低減することが可能になる。
これにより、半導体装置を製造する際に生じる加工工程での危険パターンを、加工シミュレーションを行うことなくレジストパターンの輪郭イメージデータを用いて検出することが可能となる。したがって、危険パターンをマスクパターンの設計段階で検出できるので、製品の開発TATが短縮される。
(第2の実施の形態)
つぎに、図9を用いてこの発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、隣接する代表点間での最小スペースの増減率を用いて加工危険度を算出する。
図9は、第2の実施の形態に係るパターン判定方法を説明するための図である。図9では、判定対象となるレジストパターンと周辺レジストパターンの上面図を示している。まず、第1の実施の形態でのパターン判定と同様に、パターンデータ抽出部12が、被加工膜の加工前パターンとしてレジストパターンの輪郭データを抽出するとともに、抽出した輪郭データを輪郭イメージデータに変換する。そして、代表点設定部13が、輪郭イメージデータを用いて、レジストパターンのエッジラインを複数のエッジラインに分割し、各エッジライン上に代表点を設定する。
具体的には、本実施の形態の代表点設定部13は、判定対象となるレジストパターンP5のエッジライン上に、複数の代表点Rn−2,Rn−1,Rn,Rn+1を設定する。ここでの代表点Rn−2は、代表点Rn−1に隣接し、代表点Rn−1は、代表点Rnに隣接し、代表点Rnは、代表点Rn+1に隣接している。
そして、加工危険度算出部14は、各代表点Rn−2,Rn−1,Rn,Rn+1での最小スペースとしてSn−2,Sn−1,Sn,Sn+1を算出する。さらに、本実施の形態の加工危険度算出部14は、隣接する代表点間の最小スペースの比(変化率の絶対値)を加工危険度として算出する。
具体的には、加工危険度算出部14は、代表点Rn−1での加工危険度Dn−1を、Dn−1=(Sn−1)/(Sn−2)によって算出する。また、加工危険度算出部14は、代表点Rnでの加工危険度Dnを、Dn=(Sn)/(Sn−1)によって算出する。また、加工危険度算出部14は、代表点Rn+1での加工危険度Dn+1を、Dn+1=(Sn+1)/(Sn)によって算出する。
危険度判定部15は、算出した加工危険度Dn−1,Dn,Dn+1を危険度許容範囲dr2と比較することによって、代表点が危険点であるか否かを判定する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した危険度許容範囲dr1と同様に、予め危険度許容範囲dr2を設定するためのテスト用マスクを作成しておく。そして、テスト用マスクを用いてウエハ上に実パターンを形成し、この実パターンを評価することによって、危険度許容範囲dr2を設定しておく。
加工危険度が大きな値となる代表点は、最小スペースが、隣接する代表点の最小スペースと比べて急激に変化する箇所である。加工危険度Dn−1,Dn,Dn+1のうち、危険度許容範囲dr2よりも小さな値を示す加工危険度に対応する代表点が加工不良となる可能性の高い位置となる。危険度判定部15は、危険度許容範囲dr2よりも小さな値を示す加工危険度に対応する代表点を危険パターンとして抽出する。例えば、図9に示した例の場合、代表点Rnでの加工危険度Dnが小さな値となり、この加工危険度Dnが危険度許容範囲dr2よりも小さければ代表点Rnが危険パターンとして抽出される。そして、危険パターンが抽出された後、危険パターンとなった代表点の加工危険度が危険度許容範囲dr2内に収まるよう、マスクパターンが修正される。
一方、代表点Rm−1,Rm,Rm+1,Rm+2は、それぞれ最小スペースがSm−1,Sm,Sm+1,Sm+2であり全て同じ値である。そして、代表点Rmでの加工危険度Dmは、Dm=(Sm)/(Sm−1)=1である。また、代表点Rm+1での加工危険度Dm+1は、Dm+1=(Sm+1)/(Sm+2)=1である。このように、判定対象のパターンと周辺パターンとが平行に配置されている箇所では、各代表点での最小スペースが一定なので、加工危険度の値も一定となる。したがって、ある代表点が危険パターンでなければ、この代表点に隣接する代表点も危険パターンとはならない。
なお、本実施の形態では、加工危険度を、加工危険度=(判定対象となる代表点での最小スペース)/(隣接する代表点での最小スペース)で算出する場合について説明したが、判定対象となる代表点での最小スペースおよび隣接する代表点での最小スペースを用いた式であれば何れの式を用いて加工危険度を算出してもよい。
このように第2の実施の形態によれば、判定対象となる代表点での最小スペースと隣接する代表点での最小スペースとの比を用いて加工危険度を算出し、算出した加工危険度に基づいて加工後に加工不良となるか否かを判定しているので、加工不良となるか否かをパターン形成前に容易かつ迅速に判定することが可能になる。
(第3の実施の形態)
つぎに、図10および図11を用いてこの発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、隣接する代表点間での開口面積の差を用いて加工危険度を算出する。
図10は、第3の実施の形態に係るパターン判定方法を説明するための図である。図10では、判定対象となるレジストパターンと周辺レジストパターンの上面図を示している。なお、第1の実施の形態や第2の実施の形態でのパターン判定方法と同様の処理については、その説明を省略する。
本実施の形態の代表点設定部13は、判定対象となるレジストパターンP5のエッジライン上に、複数の代表点RN−1,RN,RN+1などを設定する。ここでの代表点RN−1は、代表点RNに隣接し、代表点RNは代表点RN+1に隣接している。
代表点が設定された後、加工危険度算出部14は、各代表点RN−1,RNでの最小スペースとしてSN−1,SNを算出する。さらに、本実施の形態の加工危険度算出部14は、代表点を設定したエッジラインの両端点を抽出するととともに、両端点から周辺パターンに向かって所定の幅で平行線を設定する。そして、加工危険度算出部14は、2本の平行線と、エッジラインと、周辺パターンと、で囲まれた領域の面積を算出する。
具体的には、加工危険度算出部14は、代表点RN−1を設定したエッジラインの両端点を抽出するととともに、両端点からレジストパターンP6に向かって所定の幅で平行線を設定する。そして、加工危険度算出部14は、2本の平行線と、レジストパターンP5のエッジラインと、レジストパターンP6と、で囲まれた領域の面積を、代表点SN−1近傍の開口面積(BN−1)として算出する。
また、加工危険度算出部14は、代表点RNを設定したエッジラインの両端点を抽出するととともに、両端点からレジストパターンP6に向かって所定の幅で平行線を設定する。そして、加工危険度算出部14は、2本の平行線と、レジストパターンP5のエッジラインと、レジストパターンP6と、で囲まれた領域の面積を、代表点SN近傍の開口面積(BN)として算出する。
さらに、加工危険度算出部14は、代表点近傍の開口面積と、この代表点に隣接する代表点近傍の開口面積と、の差を算出する。具体的には、加工危険度算出部14は、代表点RN−1近傍の開口面積と、代表点RN近傍の開口面積と、の差(変化率)として面積差ΔBN(絶対値)を算出する。
そして、加工危険度算出部14は、各代表点の加工危険度Dを、D=(面積差)/(最小スペース)によって算出する。例えば、加工危険度算出部14は、代表点RNの加工危険度Dを、D=(ΔBN)/(SN)によって算出する。
危険度判定部15は、算出した加工危険度Dを危険度許容範囲dr3と比較することによって、代表点が危険点であるか否かを判定する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した危険度許容範囲dr1と同様に、予め危険度許容範囲dr3を設定するためのテスト用マスクを作成しておく。そして、テスト用マスクを用いてウエハ上に実パターンを形成し、この実パターンを評価することによって、危険度許容範囲dr3を設定しておく。
加工危険度が大きな値となる代表点は、開口面積が、隣接する代表点近傍の開口面積と比べて急激に変化する箇所である。加工危険度Dが危険度許容範囲dr3よりも大きな値を示す場合、代表点が加工不良となる可能性が高い。危険度判定部15は、危険度許容範囲dr3よりも大きな値を示す加工危険度に対応する代表点を危険パターンとして抽出する。例えば、図10に示した例の場合、代表点RNでの加工危険度Dが大きな値となり、この加工危険度Dが危険度許容範囲dr3よりも大きければ代表点RNが危険パターンとして抽出される。そして、危険パターンが抽出された後、危険パターンとなった代表点の加工危険度が危険度許容範囲dr3内に収まるよう、マスクパターンが修正される。
なお、本実施の形態では、エッジラインの両端点からレジストパターンP6に向かう所定幅の平行線と、レジストパターンP5のエッジラインと、レジストパターンP6と、で囲まれた領域の面積を、代表点SN近傍の開口面積としたが、開口面積は第1の実施の形態で説明した方法によって算出してもよい。
つぎに、パターン判定装置1のハードウェア構成について説明する。図11は、パターン判定装置のハードウェア構成を示す図である。パターン判定装置1は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、表示部94、入力部95を有している。パターン判定装置1では、これらのCPU91、ROM92、RAM93、表示部94、入力部95がバスラインを介して接続されている。
CPU91は、コンピュータプログラムであるパターン判定プログラム97を用いてパターンの判定を行う。表示部94は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU91からの指示に基づいて、マスクパターン、パターンエッジ、代表点、加工危険度、危険度の判定結果などを表示する。入力部95は、マウスやキーボードを備えて構成され、使用者から外部入力される指示情報(パターン判定に必要なパラメータ等)を入力する。入力部95へ入力された指示情報は、CPU91へ送られる。
パターン判定プログラム97は、ROM92内に格納されており、バスラインを介してRAM93へロードされる。図11では、パターン判定プログラム97がRAM93へロードされた状態を示している。
CPU91はRAM93内にロードされたパターン判定プログラム97を実行する。具体的には、パターン判定装置1では、使用者による入力部95からの指示入力に従って、CPU91がROM92内からパターン判定プログラム97を読み出してRAM93内のプログラム格納領域に展開して各種処理を実行する。CPU91は、この各種処理に際して生じる各種データをRAM93内に形成されるデータ格納領域に一時的に記憶させておく。
パターン判定装置1で実行されるパターン判定プログラム97は、それぞれパターンデータ抽出部12、代表点設定部13、加工危険度算出部14、危険度判定部15を含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。なお、第1の実施の形態や第2の実施の形態で説明したパターン判定装置1も第3の実施の形態で説明したパターン判定装置1と同様のハードウェア構成を有している。