JP4907987B2 - 貼付剤支持体とその製造方法および貼付剤 - Google Patents

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Description

本発明は、患部に貼付される貼付剤と、これに使用される貼付剤支持体およびその製造方法に関する。
患部に貼付される貼付剤としては、貼付剤支持体の片面に膏体が塗布された形態のものが一般的であり、貼付剤支持体の素材や形状などについて、種々検討されている。
例えば特許文献1〜3には、比較的硬い素材や、剛性のある素材からなる貼付剤支持体が開示されている。ところが、これらの貼付剤支持体は、患部を固定することを主な目的としているために、柔軟性や伸縮性に乏しく、身体へのフィット感は良好ではなかった。
一方、柔軟性や伸縮性を備え、身体へのフィット感が良好な貼付剤支持体として、不織布、編布、織布なども広く使用されている。ところが、これらはフィット感には優れているものの、患部の固定感などには乏しいという問題があった。
また、貼付剤支持体には、上述したように、患部の固定感、フィット感などが要求されるとともに、さらに他の効果が求められる場合もある。
例えば、特許文献4〜7には、不織布などのフィット感の良好な貼付剤支持体に対して、樹脂製の突起を複数形成することで、物理的な刺激による血行促進効果やツボ押し効果をさらに備えた貼付剤支持体を提供することが検討されている。
しかしながら、特許文献4〜7に記載の貼付剤支持体は、不織布などのシートの上に樹脂製の突起を後付けすることで製造されたものであるため、貼付剤の使用前や使用中などに突起が脱落してしまう可能性があり、十分な血行促進効果やツボ押し効果が得られにくいという問題があった。これらのうち特許文献6および7では、樹脂エマルションを含むスラリーをシートの上に点状に置き、これを加熱して、乾燥・固化させたり、乾燥・発泡させたりする方法で突起を形成しているために、突起とシートとの接着性が向上し、突起が脱落する可能性は低減される傾向にある。ところが、この方法では、突起が形成されていないシートの部分も乾燥時に加熱されてしまうため、この部分が変質して強度低下したり、縮んだり、さらには、柔軟性や伸縮性が低下してフィット感が低下したりするおそれがあった。また、不織布などのシートは、元々、繊維間に膏体が入り込みやすく、膏体の投錨性(アンカー効果)が良好なものであるが、このような加熱によりこの特性も低下する懸念があった。
このように、従来の貼付剤支持体において、フィット感とともに、患部の固定感、血行促進効果およびツボ押し効果などとを両立させ、さらに膏体の投錨性をも良好にすることは非常に困難であった。
特開昭63−145222号公報 特開平4−305522号公報 特開平9−194351号公報 特開平8−260330号公報 特開2004−298474号公報 特開2004−357862号公報 特開2005−185559号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、フィット感とともに、例えば患部の固定感や血行促進効果およびツボ押し効果などの他の効果を兼ね備え、さらには膏体の投錨性にも優れた貼付剤支持体とこれを備えた貼付剤、および貼付剤支持体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の貼付剤支持体は、少なくとも表面が熱融着性の樹脂からなる繊維を含んで構成された繊維シートが、該繊維シートのシート面方向について部分的に加熱され、前記繊維同士が熱融着した熱融着部が形成され、前記熱融着部は、前記繊維シートの一方の面に突出して形成され、該一方の面側に膏体が塗布されることを特徴とする
前記繊維シートは、不織布、編布、織布、紙からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の貼付剤は、前記貼付剤支持体に膏体が塗布されたことを特徴とする。
前記膏体は、水分含有量が10質量%以上の含水系膏体であることが好ましい。
本発明の貼付剤支持体の製造方法は、前記貼付剤支持体の製造方法であって、前記繊維シートを凸部が形成された雄型と前記凸部に嵌合する凹部が形成された雌型とからなる一対の型で挟持し、前記熱融着部を形成することを特徴とする
その場合、前記凸部の高さが前記凹部の深さよりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、フィット感とともに、例えば患部の固定感や、血行促進効果およびツボ押し効果などの他の効果を兼ね備え、さらには膏体の投錨性にも優れた貼付剤支持体とこれを備えた貼付剤、および貼付剤支持体の製造方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
参考形態例
図1は、付剤支持体の一例を示すものであって、貼付時の身体へのフィット感、膏体の投錨性に加えて、患部の固定感をも備えたものである。
この貼付剤支持体10Aは、少なくとも表面が熱融着性の樹脂からなる繊維を含んで構成された長方形の繊維シート11を材料とし、この繊維シート11が部分的に加熱されることで、加熱された部分の繊維同士が熱融着して、患部の固定感を発現する熱融着部12を形成している。この例では、熱融着部12は、短辺と略平行方向に帯状に複数形成されていて、互いに一定間隔で設けられている。また、熱融着部12以外の部分は、加熱処理が施されていない未処理部13であり、この未処理部13が存在していることにより、優れたフィット感と膏体の投錨性とが発現するようになっている。
なお、こうして形成される熱融着部においては、熱融着部を構成しているすべての繊維が隣接する繊維と必ずしも熱融着していなくてよく、熱融着部を構成しているうちの少なくとも一部の繊維が加熱により熱融着していればよい。こうして形成された熱融着部は、未処理部よりも柔軟性、伸縮性が低下し、硬い状態になっている。
ここで使用される繊維シート11としては、繊維を含んで構成されたシート状のものであれば制限なく使用でき、具体的には、不織布、編み布(ニット)、織布、紙などが好ましく例示でき、これらのうち2種以上が積層したものでもよい。
不織布には、その製造方法から、湿式不織布、乾式パルプ不織布、乾式不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブロー式不織布、フラッシュ紡糸不織布、トウ開繊式不織布などがあるが、これらをいずれも使用できる。また、編み布や織布としても、どのような方法で製造されたものも使用できる。また、紙としても、繊維を漉く通常の製紙方法で得られたものを使用できる。
繊維シート11を構成する繊維としては、少なくとも表面が熱融着性の樹脂からなる繊維であればよく、熱融着性の樹脂からなる樹脂繊維の他、天然繊維など樹脂以外の繊維の表面が熱融着性の樹脂でコーティングされた繊維なども使用できる。
熱融着性の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリアミド;ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、熱融着性に優れ、適度な硬さの熱融着部12を形成しやすいとともに、良好なフィット感も得られやすい傾向にあることから、ポリエチレンテレフタレート繊維、ウレタン繊維などから構成される繊維シート11が好ましい。
また、繊維シートは、少なくとも表面が熱融着性の樹脂からなる繊維を含んで形成されたものであればよく、例えば、保型性などを目的として、接着剤成分など他の成分が含まれていてもよい。また、天然繊維などの他の繊維が含まれていてもよい。ただし、繊維シート中における熱融着性の樹脂の含有量が20質量%以上であれば、熱融着部が良好に形成されやすく好ましい。
また、繊維として2種類以上のものが含まれる繊維シートを使用して、熱融着部における繊維同士の熱融着の程度を任意に制御してもよい。
例えば、1種のみの樹脂繊維で構成される繊維シートをその樹脂の融点以上の温度で加熱すると、加熱された部分の繊維の大部分が溶融して互いに熱融着するため、その部分の柔軟性や伸縮性は大きく低下し、比較的硬い熱融着部を形成できる傾向にある。一方、低融点の樹脂(融点:mp)からなる繊維と、高融点の樹脂(融点:mp)からなる繊維とを有する繊維シートに対して、mp以上mp未満の温度で加熱処理すると、低融点の樹脂からなる繊維の大部分は溶融する一方、高融点の樹脂からなる繊維はほとんど溶融しない。その結果、熱融着部において熱融着している繊維の割合が低くなり、硬さが比較的抑制された熱融着部を形成できる傾向にある。
繊維シート11としては、50%モジュラスが1〜20N/50mmの伸度を備えたものが好ましく、1〜10N/50mmの伸度を備えたものがより好ましい。このような伸度であると、フィット感などが良好で使用感に優れる貼付剤支持体10Aが得られやすい。
また、繊維シート11としては、そのJIS一般織物試験法による剛軟性(JIS L 1096)が、ドレープ係数で0.200〜0.650であるものが好ましい。このような剛軟性であると、フィット感が良好で使用感に優れ、適度の剛性をも備えた貼付剤支持体10Aが得られやすい。
繊維シート11の厚みとしては、50〜2000μmが好ましく、より好ましくは100〜1500μm、さらに好ましくは100〜1000μm、特に好ましくは150〜500μmである。このような厚みであると、フィット感が良好で使用感に優れ、貼付時の取扱性にも優れた貼付剤支持体10Aが得られやすい。
また、繊維シート11の坪量としては、60g/m以上が好ましく、80〜250g/mがより好ましい。このような坪量であると、得られた貼付剤支持体10Aに対して膏体を塗布した際に、膏体が反対面側に染み出すなどの不都合が生じにくい。
図1のような貼付剤支持体10Aは、例えば図2に示すように、帯状の凸部21aが複数略平行に形成された雄型21と、平板状の平型22とからなる一対の型20を使用し、雄型21のみを加熱した状態で、繊維シート11をこの型20で挟持する方法により製造できる。
すなわち、この一対の型20で繊維シート11を挟持することによって、雄型21の凸部21aに接触した部分は加熱され、その部分の繊維同士の少なくとも一部が熱融着し、熱融着部12が形成される。一方、凸部21aに接触しない部分は、加熱されない未処理部13となる。
この際の雄型21の加熱温度は、繊維シート11を構成している繊維の種類、熱融着部12に要求される患部の固定感の程度などに応じて適宜設定でき、加熱された部分の繊維の少なくとも一部が互いに熱融着可能な温度とされればよいが、例えば、繊維シート11がポリエステル繊維から構成されたものである場合には、100〜250℃、ポリウレタン繊維から構成されたものである場合には、60〜200℃が好適である。
また、型で挟持する際に繊維シート11に加わる圧力、すなわちプレス圧力にも特に制限はないが、通常10〜1000kPaであり、より高い患部の固定感が求められる場合には高い圧力とするなど、適宜設定できる。
繊維シート11を挟持する時間も適宜設定できるが、通常1〜10秒間である。
また、挟持後、型20から貼付剤支持体10Aを取り出す際には、雄型21を室温程度まで冷却してから取り出すことが貼付剤支持体10Aの形状安定性の点で好ましい。
この方法によれば、熱融着部12を非常に簡便に形成できるうえ、未処理部13を加熱しなくて済むため、未処理部13の柔軟性や伸縮性が低下せず、縮み、変質、膏体の投錨性低下などのおそれもなく好適である。その他の方法としては、例えば、棒状の加熱バーを用い、これを平型上に載置された繊維シートに対して所定間隔で押圧していき、複数の熱融着部を1本ずつ順次形成していく方法なども挙げられる。
このようにして得られた貼付剤支持体10Aには、その片面に膏体が塗布され、貼付剤として使用される。
このような貼付剤支持体10Aにおいては、熱融着部12は、そこを構成している繊維の少なくとも一部が熱融着しているため、繊維シート11が元々備えている柔軟性や伸縮性が低下した硬い状態となり、一方、未処理部13は、柔軟性や伸縮性など繊維シート11が元々具備する性質をそのまま維持している。よって、このような貼付剤支持体10Aによれば、熱融着部12に起因した患部の固定感と、未処理部13の柔軟性、伸縮性に起因したフィット感とをともに発現することができる。さらに、未処理部13は、そこを構成している繊維同士が熱融着部12のように熱融着していないため、膏体が繊維同士の間に入り込み、その結果、膏体の投錨性が優れる。また、膏体の塗布時に気泡が形成されるなどして良好な塗布が行えないなどの不都合も生じない。
なお、図1の例の貼付剤支持体10Aは、熱融着部12が帯状に形成されたものであるため、帯状に沿う方向に患部の固定感が発現し、それと直交する方向には湾曲しやすい。よって、この貼付剤支持体10Aを例えば腰に貼付する場合には、帯状の熱融着部12と背骨とが沿う方向にこれを貼付することが好ましい。
また、この例のように、帯状の熱融着部12を複数形成する場合、1つの熱融着部12の幅Wには制限はないが、繊維シート11の幅Wの1〜45%とすることが好ましく、より好ましくは3〜40%、さらに好ましくは5〜30%である。また、各熱融着部12を合わせた総面積にも制限はないが、繊維シート11の面積の10〜95%であることが好ましく、より好ましくは20〜90%、さらに好ましくは30〜80%である。
熱融着部12の各幅や総面積をこのような範囲とすることにより、患部の固定感、フィット感、膏体の投錨性などがいずれもバランスよく優れた貼付剤支持体10Aとすることができる。
また、図1の例の貼付剤支持体10Aでは、熱融着部12が貼付剤支持体11Aの短辺と略平行な帯状に複数形成されているが、長辺と略平行な帯状に形成されてもよく、特に制限はない。さらには、短辺と略平行な方向とともに、長辺と略平行な方向にも帯状の熱融着部を形成し、格子状にしてもよい。また、その際、熱融着部の各幅を狭くしたり、各熱融着部の間隔を狭くしたりして網目状にしてもよく、熱融着部が繊維シートのシート面方向について部分的に形成される限り、その形状などには制限はない。
さらに、このような貼付剤支持体10Aには、必要に応じて、印刷処理や各種表面を施してもよい。
また、膏体が塗布される面とは反対の面に、他の樹脂フィルムがさらに積層されてもよい。その場合、樹脂フィルムは、繊維シート11に熱融着部12が形成される前にすでに積層されたものでもよいし、熱融着部12が形成された後に積層されたものでもよい。この際使用される樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリアミド;ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂が挙げられ、その好ましい厚みは、5〜30μmである。
実施形態例
図3は、本発明の貼付剤支持体10Bの一例を示すものであって、身体へのフィット感および膏体の投錨性に加えて、患部への物理的刺激による血行促進効果およびツボ押し効果を備えたものである。
この貼付剤支持体10Bは、参考形態例の場合と同様に、少なくとも表面が熱融着性の樹脂からなる繊維を含んで構成された長方形の繊維シート11からなっている。そして、この繊維シート11が部分的に加熱されることで、加熱された部分の繊維同士の少なくとも一部が熱融着した熱融着部14が形成されているが、この例では、熱融着部14が繊維シート11の一方の面に突出するように多数形成されていて、これら各熱融着部14が血行促進効果およびツボ押し効果を発現する突起状になっている点で参考形態例と異なっている。
この例では、各熱融着部14は、図示のように略円錐状の突起状に形成され、短辺に沿う縦方向と長辺に沿う横方向にそれぞれ多数設けられている。また、これら突起状の各熱融着部14の間は、加熱処理が施されていない未処理部13であって、この未処理部13により、フィット感と膏体の投錨性とが良好に発現する点は参考形態例と同様である。
使用可能な繊維シート11としては、参考形態例で例示したものから選択して使用でき、その好ましい伸度、剛軟性、厚み、坪量なども参考形態例と同様である。
このような貼付剤支持体10Bは、例えば図4に拡大して示すような一対の型30を使用することで製造できる。
この型30は、多数の円錐状の凸部31aが縦横に形成された雄型31と、この凸部31aに嵌合する多数の凹部32aが形成された雌型32とからなり、雄型31のみが加熱されているとともに、凸部31aの高さHが凹部32aの深さDよりも大きく形成されている。
この一対の型30で繊維シート11を挟持し、雄型31の凸部31aと雌型32の凹部32aとを繊維シート11を介して嵌合させることによって、凸部31aと凹部32aに挟まれた部分は加熱され、その部分の繊維同士の少なくとも一部が互いに熱融着するとともに、繊維シート11の一方の面(図中下面)に突出し、突起状に形成される。一方、それ以外の部分は、雄型31の平坦部31bと雌型32の平坦部32bに挟まれるために、突起状には形成されない未処理部13となる。さらに、凸部31aの高さHが凹部32aの深さDよりも大きいため、雄型31と雌型32とで繊維シート11を挟持した際にも、平坦部31b,32b同士の間には凸部31aの高さHと凹部32aの深さDの差に相当するクリアランスが生じ、雄型31の平坦部31bが高温であっても、未処理部13はほとんど加熱されない。
この際、凸部の高さHと凹部の深さDとの差が繊維シート11の厚さよりも大きくなるようにすれば、未処理部13に加わる熱がより少なくなるため、未処理部13の柔軟性や伸縮性をさらに維持でき、フィット感に一層優れた貼付剤支持体10Bとすることができる。よって、使用する繊維シート11の厚さに応じて、この差を調整すればよいが、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上とすると、未処理部13の柔軟性や伸縮性をより維持できる傾向にある。一方、この差が20mmを超えると、繊維シート11を挟持した際にシワが生じる可能性がある。
なお、この際の雄型31の加熱温度は、参考形態例についての記載どおり、繊維シート11を構成している繊維の種類、熱融着部14に要求される血行促進効果およびツボ押し効果の度合いなどに応じて適宜設定できる。また、プレス圧力についても同様であり、より高い血行促進効果およびツボ押し効果が求められる場合には高い圧力として、より硬い突起を形成するなど適宜設定できる。
繊維シート11を挟持する時間も適宜設定できるが、通常1〜10秒間である。
また、挟持後、型30から貼付剤支持体10Bを取り出す際には、雄型31を室温程度まで冷却してから取り出すことが、貼付剤支持体10Bの形状安定性の点で好ましい。
この方法によれば、突起状の熱融着部14を非常に簡便に形成できる。また、こうして形成された突起状の熱融着部14は、繊維シート11と一体なものであって、後付けされたものではないため、貼付剤支持体10Bの使用前や使用中などに脱落することがない。また、この方法では、熱融着部14に対応する部分のみが加熱され、未処理部13はほとんど加熱されないため、未処理部13の柔軟性や伸縮性が低下せず、縮み、変質、膏体の投錨性低下のおそれもなく好適である。その他の方法としては、例えば、凸部のみを加熱することが可能な雄型を使用してもよい。その場合には、凸部の高さHと凹部の深さDとは同程度であってもよい。
このようにして得られた貼付剤支持体10Bには、熱融着部14が突出した面に膏体が塗布され、貼付剤として使用される。
こうして得られた図3の貼付剤支持体10Bにおいては、熱融着部14は、そこを構成している繊維の少なくとも一部が熱融着しているとともに、繊維シート11の一方の面に突出して形成されているため、柔軟性や伸縮性が低下した硬い突起状となっている。一方、未処理部13は、柔軟性や伸縮性など繊維シート11が元々具備する性質をそのまま維持している。よって、このような貼付剤支持体10Bによれば、熱融着部14に起因した血行促進効果およびツボ押し効果と、未処理部13に起因したフィット感とをとも発現することができる。さらに、未処理部13は、そこを構成している繊維同士が熱融着部14のように熱融着していないため、膏体が繊維同士の間に入り込み、膏体の投錨性が優れる。また、膏体の塗布時に気泡が形成されるなどして良好な塗布が行えないなどの不都合も生じない。
また、この例のように、略円錐状の熱融着部14を形成する場合、1つの突起状の熱融着部14の底面直径Lには制限はないが、1〜12mmとすることが好ましく、より好ましくは2〜10mm、さらに好ましくは2.5〜7mmである。また、各底面積を合わせた総面積にも制限はないが、繊維シート11の面積の5〜80%であることが好ましく、より好ましくは10〜70%、さらに好ましくは20〜60%である。また、形成される突起状の熱融着部14の個数にも特に制限はないが、4cmあたり2〜14個であると好ましく、より好ましくは4〜12個である。
突起状の熱融着部14の高さHも適宜設定できるが、1〜10mmが好ましく、より好ましくは2〜8mm、さらに好ましくは2.5〜5mmである。
突起状の熱融着部14をこのように形成することにより、患部の血行促進効果およびツボ押し効果、フィット感、膏体の投錨性などがいずれもバランスよく優れた貼付剤支持体10Bとすることができる。
また、特に血行促進効果およびツボ押し効果を高めるためには、突起状の熱融着部14に対してその頂点から底面方向に向かって力を加えていき、その熱融着部14の高さが20%圧縮される際の応力が、好ましくは0.5N以上となるように熱融着部14の硬さを調整することが好適である。より好ましくは0.8N以上となるようにする。このような応力(以下、20%圧縮時応力という場合もある。)は、例えばステーブルマイクロシステム社製のテクスチャーアナライザーなどで測定できる。熱融着部14の硬さは、繊維シート11の種類を適宜選択するとともに、熱融着部14を形成する際の加熱温度、プレス圧力などを調整することにより制御できる。
さらに、この例の場合、図5のように、貼付剤支持体10Bの周縁部に、突起状の熱融着部14の形成されない非形成ゾーン(図中斜線部)を設けることで、特に塗布される膏体が温感や冷感を付与するものである場合、このような温感や冷感とともに、突起状の熱融着部14による血行促進効果およびツボ押し効果とを非常に良好に持続させることができ、さらに患部への密着性も長時間良好に維持可能となる。
すなわち、突起状の熱融着部14を備えた図示のような貼付剤支持体10Bを使用すると、その物理的刺激により患部に対して血行促進効果およびツボ押し効果を付与できるが、その一方で、温感や冷感が感じられにくくなる傾向があり、特に、経時的に温感や冷感が低下する傾向にある。その場合に、あえて突起状の熱融着部14が形成されない非形成ゾーンを貼付剤支持体10Bの周縁部に設けることで、この貼付剤支持体10Bを用いた貼付剤を患部に長時間貼付した場合でも、温感や冷感が血行促進効果およびツボ押し効果とともに持続的に良好に感じられるようになる。
このような非形成ゾーンを設ける場合、非形成ゾーンのそれ以外の部分に対する面積比は、貼付剤支持体10Bにおいて1/3〜2であることが好ましい。
なお、温感を付与するためには、通常、膏体に温感刺激剤や発熱剤が添加される。冷感を付与するためには、膏体に冷感刺激剤が添加される場合や、膏体中の水の気化熱を利用する場合などがある。
なお、図3の例の貼付剤支持体10Bでは、突起状の熱融着部14が縦横に整列し、多数形成されているが、ランダムに形成されていても、千鳥状に形成されていてもよく、その配置には特に制限はない。
さらには、突起状の熱融着部14の形状も図示のような略円錐状に限定されず、種々の形状に形成できる。例えば、辺に沿って断続的に形成された隆起したライン状の突起でもよく、その場合、ライン状の各熱融着部の長さは、前記辺(熱融着部が沿う辺)の1〜20%であることが好ましく、3〜15%がより好ましく、5〜10%がさらに好ましい。このように形成されると、患部の血行促進効果およびツボ押し効果、フィット感、膏体の投錨性などがいずれもバランスよく優れる。
さらに、このような貼付剤支持体10Bには、必要に応じて、膏体が塗布される面とは反対の面に、他の樹脂フィルムがさらに積層されてもよく、その具体的内容は参考形態例について記載したとおりである。
以上、参考形態例および実施形態例を挙げて説明した本発明の貼付剤支持体によれば、熱融着部に起因する効果(患部の固定感または血行促進効果およびツボ押し効果)と、未処理部に起因したフィット感および膏体の投錨性とを共に備えているうえ、一対の型を使用した簡便な方法で製造できる。また、実施形態例のように、突起状の熱融着部が形成されたものでも、その脱落のおそれがなく、十分な血行促進効果やツボ押し効果が得られる。
[膏体]
本発明の貼付剤支持体には、その片面に膏体が各種塗工機などで塗布され、貼付剤として使用される。
ここで使用される膏体としては特に制限はないが、粘着剤成分を含有するとともに、必要に応じて、治療を目的とした各種有効成分や、温感や冷感を発現させるための温感刺激剤、発熱剤、冷感刺激剤などをさらに含有する。
膏体の塗布量としては、その塗工層の厚みが100〜5000μmの範囲であることが好ましい。また、特に上述の実施形態例のように、貼付剤支持体が突起状の熱融着部を備えたものである場合には、塗工層の厚みが、突起状の熱融着部の高さの1〜70%であることが好ましく、より好ましくは5〜60%である。
また、粘着力(JIS Z 0237)は5〜32であることが好ましい。
さらに、膏体として、後述の含水系膏体が使用される場合には、そのゲル強度は、10mmφの円筒形プローブを20mm/minの速度で降下させてゲルを押下し、応力が30gになった時の針進入度試験による測定値が1〜10mmであることが好ましい。
膏体に含まれる粘着剤成分としては、粘着性高分子と水とを含有する含水ゲルからなる含水系粘着剤成分や、多価アルコール系、ゴム系、アクリル系、シリコーン系などの高分子を主成分とする非水系粘着剤成分があり、含水系粘着剤成分が使用された膏体は、含水系膏体とも呼ばれる。
また、各種有効成分としては、消炎鎮痛剤(インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリルなどのグリチルレチン酸誘導体、グリチルリチン酸(塩)など)、血行促進剤(トウガラシ、カプサイシン、ジンゲロン、酢酸トコフェロール、ノニル酸バニリルアミド、バニリルブチルエーテル、など)、保湿剤(アミノ酸、尿素、ヘパリン類似物質などのムコ多糖類、油脂・炭化水素・高級脂肪酸・高級アルコール・高級脂肪酸エステルなどの油性成分、ダービリアなどの海藻抽出物等)、浮腫抑制作用がある精油(ローズマリー、セージなど)などが挙げられ、1種以上を適宜使用できる。これら有効成分の使用量は、その成分の薬効適正量に応じて設定できるが、通常、膏体中0.001〜30質量%である。
膏体は、各成分をヘンシェルミキサー等を用いて混合することで調製できる。
以下、各種粘着剤成分について、説明する。
(含水系粘着剤成分)
含水系粘着剤成分に使用される粘着性高分子としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸部分中和物、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし混合して用いてもよい。この中でも、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。
粘着性高分子の配合量は、適宜設定できるが、通常、膏体中0.1〜40質量%、好ましくは1〜30質量%である。配合量が少なすぎると粘着力や凝集性が不足する場合があり、多すぎると粘度が高くなり、製造時の作業性に問題が生じたり、貼付剤として使用する場合や剥がす時に痛みを感じたりする場合がある。
これら粘着性高分子は、架橋剤や放射線照射などにより架橋されていることが好ましい。この際に使用される架橋剤としては、多価金属イオン架橋剤、有機カチオン架橋剤があげられる。
多価金属イオンとしては、例えばマグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、錫イオン、鉄イオン、クロムイオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン等を含有し、水溶液中でこれら多価金属イオンを放出する化合物で、例えばマグネシウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、カドミウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、錫化合物、鉄化合物、クロム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等があげられる。これらのなかでは、皮膚に対する安全性などの点から、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が特に好ましい。 具体的には、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、含ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、これら金属を含む複塩等の水可溶性化合物、水難溶性化合物の1種または2種以上を使用できる。また、アルミニウム、マグネシウムを含む制酸剤も多価金属塩として配合できる。
有機カチオン架橋剤としては、分子内にN、S等のカチオン基を少なくとも2つ有するものであれば使用できるが、カチオン基がN基であるものが好ましく、より好ましくは、カチオン基が、トリメチルアンモニウム基、またはポリジメチルジアリルアンモニウム基であるものが挙げられる。さらに、主鎖が多糖類系の高分子であるものが好ましい。例えば、ビニル系カチオン高分子及びカチオン化多糖、具体的には、ポリ−4(2)−ビニルピリジン、イオネンポリマー(アルドリッチ社製)、N−トリアルキルアミノメチルポリスチレン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、ポリ−4(5)−ビニルイミダゾール、線状ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアンモニウム塩、ジアルキルジアリルアンモニウム塩−SO共重合体、カチオン化デキストラン、カチオン化デンプン、カチオン化ポリビニルピロリドン(カチオン化PVP)、トリメチルアンモニウム型カチオン化セルロース、ポリジメチルジアリルアンモニウム型カチオン化セルロース、カチオン化PVA、ジメチルジアリルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、ジメチルジアリルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、ジメチルラウリルアンモニウム型カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、キトサン、ゼラチン又はこれらの塩、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
有機カチオン架橋剤の分子量は、例えば、1000〜100000000である。特に弾力性や、ゲルが良好に生成するための保形性を得るためには、好ましくは、10000〜10000000、より好ましくは50000〜10000000である。
以上のうち好ましい架橋剤は、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルミニウムグリシネート、合成ヒドロタルサイト、ミョウバン類である。有機カチオン架橋剤としては、カチオン化デンプン、カチオン化PVP、カチオン化セルロース類、カチオン化グアーガムである。
架橋剤の配合量は、各架橋剤の種類により適宜調整すればよいが、通常、膏体中0.001〜40質量%、好ましくは0.05〜20質量%の範囲である。配合量が少なすぎると凝集性が不足する場合があり、多すぎると粘度が高くなり、粘着性や製造時の作業性に問題が生じる。
また、架橋剤に加えて、硬化調整剤を配合することが好ましい。硬化調整剤としては、例えばEDTA、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等を挙げることができ、これらは1種単独で、またはは2種以上を適宜組み合わせて使用できる。硬化調整剤の配合量も適宜設定できるが、通常、膏体中0.001〜10質量%、好ましくは、0.005〜2質量%である。
また、このような含水系粘着剤成分の含水率には、特に制限はないが、膏体中10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは30〜80質量%である。水の量が少なすぎると、粘着性や凝集性が低下し、多すぎると、保型性や凝集性が低下する。このような範囲であれば、粘着性、凝集性、保型性が良好で、上述した参考形態例や実施形態例の貼付剤支持体に良好に塗布され、より優れた投錨性が発現する。
さらに含水系粘着剤成分には、さらに以下のような水溶性または吸水性高分子や、このような用途の粘着剤成分に添加可能なその他の添加剤(界面活性剤、保湿剤、清涼化剤、無機粉体、防腐剤、溶解剤、安定化剤、経皮吸収促進剤、香料、色素等)を添加できる。
水溶性または吸水性高分子としては、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、N−ビニルアセトアミド共重合体、架橋型ポリビニルピロリドン、架橋型ポリアルキレンオキサイド、結晶セルロース、セルロース粉末、アルギン酸、ゼラチン、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合物Na塩架橋物、トウモロコシデンプン、キサンタンガム、アラビヤガム、トラガントガム、カラヤガム、グアガムなどがあげられる。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタアクリル酸を意味するものである。
(多価アルコール系粘着剤成分)
多価アルコール系粘着剤は、多価アルコール類と、多価アルコール可溶性または膨潤性の高分子化合物とを必須成分とする実質的に非水の粘着剤である。なお、原料由来の水を少量含むことは可能であるが、粘着剤中の水分量は10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である
多価アルコールとしては、グリコール類(グリコールエーテルを含む)、グリセリン類、糖アルコール類が好ましく使用される。具体的には、例えば、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、アミレングリコール等のアルキレングリコール類、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等のジアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール類、硬化ヒマシ油類、ソルビトール等の糖アルコール類等が挙げられる。
このなかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等が好ましい。特に好ましくはジエチレングリコールモノアルキルエーテル、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンである。また、その分子量は200〜6000であることが好ましく、より好ましくは200〜2000のポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールのさらに好ましい分子量は200〜1000で、最も好ましくは200〜600である。このような分子量であると、例えば、膏体中に発熱剤などが含まれる場合において、発熱性が良好になるなどの効果がある。
なお、ここでいう分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定され、ポリスチレン換算した質量平均分子量である。このような特定のポリエチレングリコールを使用すると、有効成分の溶解性が良好となるとともに、使用感、有効成分の経皮吸収性が向上する。また、この場合には、さらにこのポリエチレングリコール以外の多価アルコールおよび/または質量平均分子量1000〜20000のポリエチレングリコールを併用することが、有効成分の経皮吸収性がより向上することから好適である。
また、平均分子量が異なるポリエチレングリコールを2種以上のものを併用した場合、具体的には、例えば平均分子量350未満のものと350以上のものとを併用すると、例えば、膏体中に発熱剤などが含まれる場合において、初期発熱性および発熱持続性が非常に良好である。また、これらポリエチレングリコールと他の多価アルコールを組み合わせることにより、発熱性と使用性、安定性が特に良好な貼付剤が得られる。
多価アルコールの配合量は、特に制限されるものではなく適宜選定することができ、通常膏体の10〜95質量%、好ましくは20〜93質量%、より好ましくは30〜90質量%である。配合量がこの範囲であると、粘着性、凝集性、柔軟性等の物性、製造性、使用性が特に良好である。ただし、多価アルコールとして、分子量200〜600のポリエチレングリコールを使用する場合には、その量は、膏体中、10〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜40質量%がさらに好ましい。この範囲であれば、有効成分の経皮吸収性が良好となる。
多価アルコール可溶性高分子とは、高分子の1質量%多価アルコール溶液が透明または澄明均一になることを意味する。多価アルコール膨潤性高分子とは、多価アルコールと混合した場合に、高分子が多価アルコールを吸収して体積を増し、高分子−多価アルコール体の質量が、混合前の高分子質量の2倍以上であるものをいう。好ましい高分子化合物は、多価アルコールに溶解または膨潤してゲル化する性質を有するものであって、中でもノニオン性高分子が好適に使用される。さらに、親水性を有するものや、熱可塑性を有するものが好ましい。
具体的には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン重合体、ポリアクリル酸、ポリ酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミドが例示でき、これらのうち1種以上を使用できる。また、これらは、その一部が架橋した架橋体であってもよい。
ヒドロキシプロピルセルロースは、置換度が50%以上のものが好ましい。ここで置換度とは、ヒドロキシプロピルセルロース質量に対する、エーテル化したヒドロキシプロポキシル基含有量の質量%をいう。置換度が高ければ、多価アルコールとの相溶性が充分に得られるので好ましい。また、ヒドロキシプロピルセルロースは、例えば、ヒドロキシプロポキシル基の含有量が20〜90%であることが好ましく、より好ましくは50〜80%である。ポリビニルピロリドンは、ビニルピロリドンモノマーを主成分とするコポリマーであってもよく、例えば、アクリル酸−2−エチルヘキシル/ビニルピロリドンコポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー及びビニルピロリドン/ビニルカプロラクトン/ビニルイミダゾールコポリマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステルコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸/アクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、アクリル酸/アクリル酸オクチルコポリマー及びメタアクリル酸/アクリル酸n−ブチルコポリマー等が挙げられる。上記N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン重合体は、N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインモノマーを主成分とするコポリマーであってもよく、例えば、N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン/メタクリル酸オクタデシルコポリマー及びN−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン/メタクリル酸2−エチルヘキシルコポリマー等が挙げられる。
ポリアクリル酸は、未中和であっても、部分的に中和されていてもよい。中和率が20モル%未満の部分中和ポリアクリル酸であれば、多価アルコールに溶解し易いため、好適である。より好ましくは、未中和のポリアクリル酸である。上記ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルモノマーを主成分とするコポリマーであってもよい。例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/イタコン酸コポリマー等が挙げられる。
ポリビニルアルコールとしては、例えば、ポリ酢酸ビニルの完全/部分ケン化物が挙げられる。上記アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーは、アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー及びその加水分解物さらには加水分解物の中和物若しくはハーフエステルであってもよい。例えば、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーが挙げられる。
ポリメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びポリフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートにおいて、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートに含まれるポリエチレングリコール側鎖のエチレングリコール付加モル数(n)は、例えば、n=2〜50、好ましくは、n=2〜23であることが好適である。また、このポリメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びポリフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等とのコポリマーであってもよい。特に好ましい高分子化合物は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メタアクリル酸コポリマーである。
これら高分子化合物の分子量は、良好なゲル形成性が得られる程度に高い方が好ましく、1万〜1000万が好ましく、より好ましくは10万〜500万である。また、これら高分子化合物の配合量は適宜設定できるが、膏体中1〜50質量%が好ましい。配合量がこの範囲外となると、例えば保型性、凝集性、粘着性などが低下する問題が生じる。好ましくは1〜45質量%、より好ましくは1〜40質量%、特に好ましくは3〜25質量%である。
また、多価アルコール系粘着剤成分には、含水系粘着剤成分について例示した添加剤を適宜同様に使用できる。
(ゴム系粘着剤成分)
ゴム系粘着剤は、エラストマー基剤や可塑剤、粘着付与樹脂等から構成される粘着剤である。
エラストマー基剤としては、ゴムスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、SISと略記する。)、イソプレンゴム−ポリイソブチレン共重合体(以下、PIBと略記する。)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、SBSと略記する。)、スチレン−ブタジエンゴム共重合体(以下、SBRと略記する。)等が挙げられる。中でも、粘着性、展延性、凝集力の点から、SIS、PIBが好ましく、SISがさらに好ましい。これらは疎水性高分子であり、1種以上を使用できる。
また、エラストマー基剤の配合量は、膏体中10〜90質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。この範囲であれば、膏体の塗工層が充分に形成され、良好な凝集力が得られる。
可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油等)、シリコーンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム等)等が挙げられる。中でも、エラストマー基剤との相溶性が良好で、凝集力に優れることから、流動パラフィン、液状ポリブテンが好ましい。これらの成分は1種以上使用できる。
また、可塑剤の配合量は、膏体中10〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。この範囲であれば、良好な密着性が得られ、貼付剤に用いる膏体としての充分な凝集力が維持される。
粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂(例えば、商品名:アルコンP100、荒川化学工業製)、脂肪族系炭化水素樹脂(例えば、商品名:クイントンB170、日本ゼオン製)、テルペン樹脂(例えば、商品名:クリアロンP−125、ヤスハラケミカル製)、マレイン酸レジン等が挙げられる。中でも、極性基を有さない脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、テルペン樹脂が好ましい。これらは1種以上使用できる。
また、粘着付与樹脂の配合量は、膏体中5〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。この範囲であれば、貼付剤としての充分な粘着力が得られ、貼付剤の剥離時の皮膚刺激性が低減して良好なものとなる。
また、ゴム系粘着剤成分には、含水系粘着剤成分について例示した添加剤を適宜同様に使用できる。
(アクリル系粘着剤成分)
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを少なくとも1種含有させて共重合した共重合体が好ましく挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方を示す。
この共重合体において、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合するエチレン性不飽和コモノマーとしては、ビニルアルコール、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシ基含有単量体;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピルアクリレートなどのスルホキシル基含有単量体;ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドンなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステルなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステルなどのアルキルアミノアルキル基含有アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステルなどのアルコキシ基(又は側鎖にエーテル結合)含有単量体;(メタ)アクリル酸グリコシルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ガラクトシルオキシエチルなどの糖鎖含有単量体;N−(メタ)アクリロイルアミノ酸などのビニル系単量体;アクリル酸のウレタンエステル、尿素エステル、及びイソシアネートエステルなどのアクリル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルクロライド、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピラジン、ビニルピペラジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルモルホリン、スチレン、α−メチルスチレン及びビス(N,N−ジメチルアミノエチル)マレエートなどのビニル系単量体等が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ドデシル、酢酸ビニルがより好ましい。
また、医薬品添加物事典2000(日本医薬品添加剤協会編集)に粘着剤として収載されているアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、DURO−TAKアクリル粘着剤シリーズ(商品名、ナショナルスターチアンドケミカル社製)、オイドラギットシリーズ(商品名、樋口商会)等も好適に使用できる。
また、アクリル系粘着剤成分には、含水系粘着剤成分について例示した添加剤を適宜同様に使用できる。
(シリコーン系粘着剤成分)
シリコーン系粘着剤成分としては、ポリシロキサンの誘導体(例えば、ポリジメチルシロキサン、アミン抵抗性ポリジメチルシロキサンなどのシリコンポリマー等)等が好ましく挙げられ、具体的には、BIO−PSA 420X、450X(以上、商品名;ダウコーニング社製)等が挙げられる。また、シリコーン系粘着剤成分には、含水系粘着剤成分について例示した添加剤を適宜同様に使用できる。
(その他の粘着剤成分)
非水系粘着剤成分としては、上述したように、多価アルコール系、ゴム系、アクリル系、シリコーン系などの高分子を主成分とするものがあるが、例えば、多価アルコール系の高分子とゴム系および/またはアクリル系の高分子とを組み合わせて使用してもよく、その使用法には特に制限はない。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。
[実施例1]
繊維シート11としてポリエチレンテレフタレート不織布(縦10cm×横14cm、厚さ200μm)を用い、これを図4に示すように、雄型31のみが加熱された一対の型30で挟持して、雄型31の凸部31aと雌型32の凹部32aとを繊維シートを介して嵌合させ、図3のように複数の突起状の熱融着部14が縦横に形成された貼付剤支持体10Bを製造した。なお、所定時間、型30で挟持した後、雄型31を室温まで冷却してから、貼付剤支持体10Bを取り出した。
そして、得られた貼付剤支持体10Bにおいて、突起状の熱融着部14が突出している面に、5種類の膏体(膏体1〜5)をそれぞれ14g/140cm(塗工層の厚み1000μm)で塗布して5種類の貼付剤を製造した。
使用した不織布、製造条件、得られた貼付剤支持体の詳細は以下の通りである。
また、膏体1および2(含水系膏体)は下記に示すようにして製造した。膏体3〜5は非含水系膏体であって表1に示す組成のものである。
貼付剤および貼付剤支持体について下記に示す評価を行った。結果を表2に示す。
(1)不織布:ポリエチレンテレフタレート製ニードルパンチ不織布
・50%モジュラス:6N/50mm
・JIS一般織物試験法による剛軟性(JIS L 1096):ドレープ係数0.54
・坪量:100g/m
(2)製造条件
・各凹部32aの底面:直径3mmの略円形
・凸部31aの高さHと凹部32aの深さDとの差:10mm
・加熱温度:170℃
・プレス圧力:120kPa
・挟持時間:5秒
(3)貼付剤支持体10B
・熱融着部14の底面直径L:3mm
・熱融着部14の総面積(底面積の合計)の不織布面積に占める割合:25%
・熱融着部14の個数:4cmあたり6個
・熱融着部14の高さH:5mm
・熱融着部14の20%圧縮時応力:1.0N
(ステーブルマイクロシステム社製、テクスチャーアナライザーによる測定)
・非形成ゾーン(図5参照)のそれ以外の部分に対する面積比:0.65
(4)膏体1および2
(a)膏体1:
ポリエチレングリコール400(質量平均分子量400)10.00質量部、インドメタシン3.75質量部、L−メントール2.00質量部を混合溶解し、次に150℃に加熱したゴム系粘着剤84.25質量部を加えて混合し、膏体1を得た。
なお、ここで使用したゴム系粘着剤は、ゴムスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(商品名「クレイトンD−1107」、クレイトンポリマージャパン社製)40質量部と、脂環族炭化水素(商品名「アルコンP−100」、荒川化学社製)60質量部からなるものである。
この膏体1の粘着力(JIS Z 0237)は15であった。
(b)膏体2:
ポリエチレングリコール400(質量平均分子量400)20.00質量部、インドメタシン3.75質量部、L−メントール2.00質量部を混合溶解し、次に、アクリル系粘着剤の30質量%酢酸エチル溶液247.50質量部(固形分として74.25質量部)を加え、さらに酢酸エチル126.75質量部を加えて、固形分25質量%の膏体2を調製した。
なお、ここで使用したアクリル系粘着剤は、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸ドデシル=10/80/10(質量部)の共重合体である。
この膏体2の粘着力(JIS Z 0237)は10であった。
(c)膏体3〜5
表1に示す各成分をヘンシェルミキサー(三井鉱山製)で混合することで膏体3〜5をそれぞれ調製した。
なお、膏体3の粘着力(JIS Z 0237)は28、針進入度測定によるゲル強度(10mmφの円筒形プローブを20mm/minの速度で降下させてゲルを押下し、応力が30gになった時の測定値)は5.2mmで、膏体4の粘着力(JIS Z 0237)は31、針進入度測定によるゲル強度は4.3mmで、膏体5の粘着力(JIS Z 0237)は25、針進入度測定によるゲル強度は6.0mmであった。
(5)評価方法
以下のように各種評価を行った。
(膏体の投錨性)
実施例1で得られた貼付剤を皮膚に貼付し、剥離した後の膏体を目視にて評価した。
○:貼付剤支持体からの膏体の剥がれ無し。
△:貼付剤支持体からの膏体の剥がれやや有り。
×:貼付剤支持体からの膏体の剥がれ有り。
(膏体塗布時の気泡の有無)
実施例1で得られた貼付剤支持体への膏体の塗布作業について、目視評価した。
○:気泡が塗工層に形成されなかった。
△:突起周囲にやや気泡が生じた。
×:突起周囲と未処理部にも気泡が生じた。
(フィット感) 実施例1で得られた貼付剤を腰に貼付し、官能評価を行った。 ○:追従性が良く(伸縮性、柔軟性良好)フィットする。 △:ややフィット感が良い。 ×:フィット感が悪い。
[比較例1]
不織布を挟持する型として、凸部の高さHと凹部の深さDとが同じ高さのものを用い、さらに雄型だけでなく雌型も加熱されたものを用いた以外は、実施例1と同様にして貼付剤支持体を製造し、これに膏体1〜5を塗布して、5種類の貼付剤を得た。各種評価を実施例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1で使用したものと同じ不織布を用意し、これに対して、実施例1の突起状の熱融着部と同じ個数、高さ、配列状態となるようにアクリル樹脂球を配置し、アクリル系接着剤で接着して、貼付剤支持体を製造した。そして、各種評価を実施例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
Figure 0004907987
Figure 0004907987
実施例1で得られた各貼付剤は、いずれも突起状の熱融着部14による押圧感に優れ、良好な血行促進効果およびツボ押し効果を備えていた。また、表2に示すように、それ以外の各種評価結果も良好であった。
このように実施例1のものでは、柔軟性、伸縮性に基づくフィット感、膏体の投錨性を有するとともに、血行促進効果およびツボ押し効果も兼ね備えていたのに対し、比較例1のものでは、貼付剤支持体の全体が柔軟性、伸縮性を失って硬い状態となっていて、フィット感が不良であるとともに、膏体の投錨性も低下した。また、比較例2のものでは、膏体の塗布時に気泡が発生し、塗布性が不良であったとともに、取扱時に樹脂球の一部が脱落してしまった。
参考例1
繊維シート11としてポリエチレンテレフタレート繊維から構成される不織布(縦10cm×横14cm、厚さ200μm)を用い、これを図2に示すように、雄型21のみが加熱された一対の型20で挟持して、図1のように複数の帯状の熱融着部12が形成された貼付剤支持体10Aを製造した。なお、所定時間、型20で挟持した後、雄型21を室温まで冷却してから、貼付剤支持体10Aを取り出した。
そして、得られた貼付剤支持体10Aの片面に、実施例1と同様の5種類の膏体(膏体1〜5)をそれぞれ14g/140cm(塗工層の厚み1000μm)で塗布して5種類の貼付剤を製造した。
使用した不織布、製造条件、得られた貼付剤支持体の詳細は以下の通りである。
また、投錨性とフィット感については実施例1と同様に評価し、さらに、固定感を評価した。
結果を表3に示す
(1)不織布:ポリエチレンテレフタレート製スパンレース
・50%モジュラス:2.5N/50mm
・JIS一般織物試験法による剛軟性(JIS L 1096):ドレープ係数0.35
・坪量:85g/m
(2)製造条件
・雄型21として、帯状の凸部21aの幅が10mm、隣り合う凸部21a同士の間隔が5mmのものを使用
・加熱温度:170℃
・プレス圧力:400kPa
・挟持時間:10秒
(3)貼付剤支持体10A
・熱融着部12の総面積(底面積の合計)の不織布面積に占める割合:35%
・熱融着部12の幅W:7mm
・未処理部12の幅:13mm
なお、固定感については以下のように評価した。
実施例1で得られた貼付剤を腰に貼付し、官能評価を行った。
○:良好
△:やや良好
×:固定感なし
[比較例3]
不織布を挟持する一対の型として、2枚の平板状の平型からなるものを使用して、不織布の全面を加熱した以外は参考例1と同様にして貼付剤支持体を製造し、これに膏体1〜5を塗布して、5種類の貼付剤を得た。各種評価を実施例1と同様に行った。
結果を表3に示す。
[比較例4]
参考例1で使用した不織布をそのまま貼付剤支持体とし、これに膏体1〜5を塗布して、5種類の貼付剤を得た。各種評価を実施例1と同様に行った。
結果を表3に示す。
Figure 0004907987
参考例1のものは、表3に示すように、柔軟性、伸縮性に基づくフィット感を備え、膏体の投錨性を有するとともに、患部の固定感も兼ね備えていた。一方、比較例のものではフィット感と固定感とを両立させることはできなかった。
参考形態例の貼付剤支持体を示す(a)平面図と、(b)(a)のI−I’線に沿う断面図である。 図1の貼付剤支持体の製造方法を説明する説明図である。 本発明の貼付剤支持体の一例を示す(a)平面図と、(b)(a)のII−II’線に沿う断面図である。 図3の貼付剤支持体の製造方法を説明する説明図である。 図3の貼付剤支持体について、非形成ゾーンを説明する説明図である。
符号の説明
10A,10B 貼付剤支持体
11 繊維シート
12,14 熱融着部
20,30 一対の型
31 雄型
31a 凸部
32 雌型
32a 凹部

Claims (6)

  1. 少なくとも表面が熱融着性の樹脂からなる繊維を含んで構成された繊維シートが、該繊維シートのシート面方向について部分的に加熱され、前記繊維同士が熱融着した熱融着部が形成され
    前記熱融着部は、前記繊維シートの一方の面に突出して形成され、該一方の面側に膏体が塗布されることを特徴とする貼付剤支持体。
  2. 前記繊維シートは、不織布、編布、織布、紙からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤支持体。
  3. 請求項1または2に記載の貼付剤支持体に膏体が塗布されたことを特徴とする貼付剤。
  4. 前記膏体は、水分含有量が10質量%以上の含水系膏体であることを特徴とする請求項3に記載の貼付剤。
  5. 請求項1または2に記載の貼付剤支持体の製造方法であって、
    前記繊維シートを凸部が形成された雄型と前記凸部に嵌合する凹部が形成された雌型とからなる一対の型で挟持し、前記熱融着部を形成することを特徴とする貼付剤支持体の製造方法。
  6. 前記凸部の高さが前記凹部の深さよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の貼付剤支持体の製造方法。
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