JP4907913B2 - 鉄道車両位置検知装置 - Google Patents
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Description
(1)一定長のレールが鉄道車両により短絡され、その一定長のレールに軌道電流が流れるか否かをレール両端の送受信機で検知し、その一定長のレール内に軌道電流が流れていればその一定長の区間内に鉄道車両が存在していること(鉄道車両位置)を検知するいわゆる軌道回路方式(例えば、特許文献1参照)。
(3)レール踏面付近設置した磁気発生器と磁気検出器とで車輪がレール上を通過するときの磁気レベルの変化を検出することにより鉄道車両位置を検出するいわゆる車軸検知方式(例えば、特許文献3参照)。
(1)軌道回路方式では、一定長の区間内に鉄道車両が存在しているか否かしか分からないため、鉄道車両位置の検知精度が低い。つまり、鉄道車両位置検知の分解能がレール長よりよくならない。また、保守用車両の場合には、保守用の車両の車輪がレール(54)と絶縁されているため軌道電流が流れないので位置検知が不可能である。
(3)車軸検知方式では、車軸検知器が車輪間に位置した場合には鉄道車両位置を検知できないことがある。
鉄道車両(42)は鉄等の強磁性体で形成されているので、図3に示すように、鉄道車両(42)が通過すると鉄道車両(42)が通過する位置の地磁気が変化する。したがって、地磁気を検出する磁気センサ(12)により地磁気を検出し、磁気センサ(12)からの出力のうち所定の値以上の時間変化をする出力値が所定の値以上であるときに、その磁気センサ(12)の位置に基づいて、例えば、その磁気センサ(12)が設置されている位置を鉄道車両位置とすれば鉄道車両位置を確実に検知できる。ここで、鉄道車両(42)とは、1両の車両だけでなく複数の車両が連結されたものも意味する。
一方、鉄道車両(42)が近接したときの急激な地磁気の変化がある場合には、地磁気の時間変化が急激であるので、隣接する2つの磁気センサ(12)の出力の間に時間的な差が生じる。
ところで、鉄道車両(42)が通過する際発生する磁界には、前述のループ電流によるもの以外にも、図4に示すように、レール(54)を流れる帰線電流により発生する磁界がある。
ここで、略垂直とは、線路(52)や地表面に対して厳密に垂直であることを意味するのではなく、線路(52)の敷設状態や地表面の凹凸の状態に応じた幅を持たせた意味であり、磁気センサ(12)により、X軸方向とZ軸方向との地磁気を別々に検出できる範囲であればよい。
ところで、線路(52)を構成するレール(54)は通常鉄のような磁性体で形成されているので、帰線電流や種々の磁界の影響により徐々に磁化していく。すると、線路(52)の近傍に設置されている磁気センサ(12)は、磁化したレール(54)の磁気の影響を受け、磁気の検出精度が劣化するという問題がある。
レールを所定区間に区切り(この区切りを、軌道回路という。)、その1つの区切りの中に微弱な電流を流す送電端とその電流を受信する受電端とを配置する。送電端からは常に一定の電流が流れており、軌道回路の中に鉄道車両(42)が存在しなければ電流は受電端まで流れる。逆に、軌道回路内に鉄道車両(42)が存在する場合には、送電端から流れた電流は車両の最も送電端に近い車軸を通るので受電端まで流れない。
ところで、電気鉄道(40)においては、前述のように、ループ電流や帰線電流によって発生する磁界が地磁気を変化させるという現象を利用して鉄道車両位置検出を行っていたが、ディーゼル機関や蒸気機関を用いた鉄道車両(42)のようにループ電流等が流れない非電気鉄道においても地磁気の変化により鉄道車両位置検知ができる。
したがって、非電気鉄道の鉄道車両(42)が通過する場所では、地磁気が変化するので、磁気センサ(12)によって磁気を検出すれば、通過する鉄道車両位置を検出できる。
ところで、電気鉄道(40)においても非電気鉄道においても、地面に水平なX軸方向の磁気の変化の向きは、鉄道車両(42)の進行方向に向かって左側と右側とでは逆になる。
また、2本の線路(52a,52b)を鉄道車両(42)が互いに逆方向に通過する路線の場合には、地面に水平なX軸方向の磁気の変化の向きは、鉄道車両(42)の進行方向によって逆になる。
ところで、磁気センサ(12)を設置する場所としては、線路(52)の外側に箱を設け、その中に収納したり、線路(52)の近傍にポールを立てて装着したり、あるいは、電柱に取付けたりしてもよいが、線路(52)のバラスト(敷石)がある所に設置する場合には、例えばマルチプルタイタンパでバラストを突き固める作業のような線路(52)の保守作業のじゃまになることがある。
このようにすると、磁気センサ(12)が地中にあるので、保守作業のじゃまになることがなくなる。
なお、ここで地中に埋設する場合の深さは、例えば保守のためにマルチプルタイタンパでバラストが固められる作業によって磁気センサ(12)が破壊されず、かつ、地磁気を検出できる程度の深さであればよい。
(実施形態1)
1.鉄道車両位置検知装置の全体構成
図1は、鉄道車両位置検知装置の概略構成図である。また、図2は、鉄道車両位置検知装置が適用された電気鉄道40の全体の側面図及び平面図である。
2.各構成の説明
2.1 センサ部
センサ部10は、図1に示すように、磁気センサ12、高域通過フィルタ14(以下、高域通過フィルタの英語名 High Pass Filterの略であるHPFと称する。)出力回路16等を有している。
HPF14は、磁気センサ12からの出力信号の時間変化が緩やかな信号を除去し、所定の値以上の時間変化をする信号のみを通過させて出力するフィルタである。
信号処理部20は、図1に示すように、入力回路22、ROM26及びRAM28を有するCPU24、出力回路30及び軌道電流検出回路32等を有している。
CPU24は、ROM26及びRAM28に格納された処理プログラム及びデータにより作動する。
つまり、線路52(図2参照)を構成するレール54(図2参照)は通常鉄のような磁性体で形成されているので、種々の磁界の影響により徐々に磁化していく。すると、線路52の近傍に設置されている磁気センサ12は、磁化したレール54の磁気の影響を受け、磁気の検出精度が劣化するという鉄道特有の現象がある。
次に、前述のように構成された実施形態1の鉄道車両位置検知装置により、鉄道車両42の位置を検知する方法について説明する。
図3は、鉄道車両42が通過したときに地磁気が変動する様子を示す原理図である。
鉄等の強磁性体で形成された鉄道車両42が通過すると、鉄道車両42の周りの地磁気は、図3に示すように強磁性体である鉄道車両42部分に集中する。
つまり、電気鉄道40においては、図4に示すように、鉄道車両42が通過すると、その地点において電車線56に流れる電車線電流とレール54に流れる帰線電流とがループ電流となって流れる。
そして、このループ電流による磁界は、鉄道車両42が図中右向きに進行すると増加し、左向きに進行すると減少する。したがって、図4の磁気センサ12の位置では、鉄道車両42の進行によって地磁気が変化する。
(電気鉄道における鉄道車両位置の検知)
電気鉄道40における以上のような地磁気の変化に基づいて、実施形態1の鉄道車両位置検知装置により鉄道車両位置を検知する方法について説明する。
図2に示すように、線路52の外側近傍(本実施形態1の場合線路52の中心線から2.7m離れた位置)に磁気センサ12を設置する。
そして、磁気センサ12からの出力信号のうち所定の値以上の時間変化をする信号のみをHPF14で選択的に透過させ、出力回路16により光信号に変換しケーブル18を介して信号処理部20に出力する。
CPU24では、入力されたデータが所定の値以上であるときに磁気センサ12の位置を鉄道車両位置と特定する。
また、レール54は通常鉄のような磁性体で形成されているので、帰線電流や種々の磁界の影響により徐々に磁化していく。すると、線路52の近傍に設置されている磁気センサ12は、磁化したレール54の磁気の影響を受けるので、磁気センサ12での磁気の検出精度が劣化していく。
この補正は、図7に示すように、軌道回路を用いて行う。つまり、踏切手前の一定長さのレール(所定区間)内の一端である踏切の遮断桿を作動させるための始動点に軌道電流の送信端を配置し、他端の終始点に受信端を配置する。そして、受信端での軌道電流の有無によって鉄道車両42が踏切手前の所定区間に存在しているか否かを検知し、鉄道車両42が存在しないときに補正を行う。
また、補正は、踏切以外でも行うことができる。例えば、前述した軌道回路は、長いもので500m以上ある。したがって、必ずしも踏切手前をその500mの軌道回路とせず、踏切のない区間を軌道回路とし、その軌道回路の区間内に磁気センサ12を設置して、鉄道車両42の位置を検知するようにしてもよい。
ところで、磁気センサ12は、図8に示すように、線路52の中心線から外側に2.7m離れた位置で、線路52のバラスト表面から1mの深さの位置に埋設されている。
以上のように、実施形態1の鉄道車両位置検知装置によれば、磁気センサ12により地磁気を検出し、磁気センサ12からの出力のうち所定の値以上の時間変化をする出力値が所定の値以上であるときに、その磁気センサ12の位置に基づいて、その磁気センサ12が設置されている位置を鉄道車両位置としているので、鉄道車両位置を確実に検知できる。
実施形態2の鉄道車両位置検知置は、2個の磁気センサ12a,12bを用い、センサ部10からHPF14を除くことを除けば、実施形態1の鉄道車両位置検知装置と同じ装置構成であるため、装置構成の説明は省略する。
鉄道車両位置検知装置においては、図9に示すように、2個の磁気センサ12a,12bを線路52に沿って近接して設置する。
信号処理部20のCPU24では、磁気センサ12a,12bからの信号の差を算出し、その差が所定の値以上である場合、磁気センサ12aと磁気センサ12bとの間の中央の位置を鉄道車両42が通過していると判断して、その磁気センサ12の位置を鉄道車両位置を特定する。
すなわち、線路52に沿って2個の磁気センサ12a,12bを線路52に沿って並べて近接して設置すると、鉄道車両42が遠方にある場合には、ループ電流によって発生する地磁気の緩やかな変化を同時に検出する。一方、鉄道車両42が近接したときの急激な地磁気の変化が2つの磁気センサ12a,12bで検出されたときには、両磁気センサ12a,12bの間に時間的な差が生じる。
実施形態3の鉄道車両位置検知装置は、基本的構成等は実施形態1と同じであるので、同じ点については説明を省略し、異なる点について説明をする。
実施形態3の鉄道車両位置検知装置では、磁気センサ12が図6に示すように、地面に水平なX軸方向の地磁気を検出するX軸磁気センサ12a及び地面に垂直なZ軸方向を検出するZ軸磁気センサ12bとで構成されている。
入力回路22は、入力された光信号をX軸方向及びY軸方向の地磁気の値のディジタルデータに変換してCPU24に入力する。
出力回路30は、CPU24で特定した鉄道車両位置を光信号に変換して外部に出力する。
電気鉄道40においては、図4に示すように、鉄道車両42が通過すると、その地点において電車線56に流れる電車線電流とレール54に流れる帰線電流とがループ電流となって流れる。
そこで、上記のようにX軸及びZ軸方向の地磁気を検出できるように構成した磁気センサ12で、そのX軸方向及びZ軸方向の磁界の変化を検出するのである。
実施形態4の鉄道車両位置検知装置は、実施形態1の鉄道車両位置検知装置のセンサ部10においてHPF14を除いた構成となっている。それ以外の構成は、実施形態1の鉄道車両位置検知装置と同じであるため装置構成の説明は省略する。
実施形態4の鉄道車両位置検知装置において、HPF14を除いた理由を説明する。
なお、実施形態4の鉄道車両位置検知装置においては、磁気センサ12は、X軸方向及びZ軸方向の地磁気を検出できるものでなくともよい。
実施形態5の鉄道車両位置検知装置を電気鉄道40に適用する場合には、センサ部10のHPF14は必要であるが、非電気鉄道に適用する場合には、センサ部10のHPF14は不要である。
また、磁気センサ12を地中へ埋設する方法も実施形態1と同じであるためその点についての説明も省略する。
このように、2本の線路52a,52bの間に、磁気センサ12を設置すると、磁気センサ12では鉄道車両42a,42bを通過する鉄道車両42a,42bによって、地面に平行なX軸では逆向きの地磁気の変化が検出される。
信号処理部20では、入力された磁気センサ12からのX軸方向の出力信号の極性を判定する。鉄道車両42a,42bが2本の線路52a,52bのうちどちらを通過するかによって地磁気の変化の向きが逆になるので、磁気センサ12からのX軸方向の出力信号の極性も逆になる。
信号処理部20では、入力された磁気センサ12からのX軸方向の出力信号の極性を判定する。前述したように、鉄道車両42a,42bの進行方向が逆になれば、地磁気の変化の向きが逆になるので、磁気センサ12からのX軸方向の出力信号の極性も逆になる。
ここで、2本の線路52a,52bの間とは、2本の線路52a,52bの中央だけでなく、2本の線路52a,52bの間で、磁気センサ12が地磁気を検出できる範囲のことをいう。
なお、実施形態1〜実施形態5において、センサ部10が地磁気検出手段に相当し、信号処理部20が位置特定手段及び鉄道車両検知手段に相当する。
Claims (10)
- 電気鉄道における鉄道車両の位置を検知する装置であって、
線路の近傍に設置され、地磁気を検出する磁気センサを有し、前記磁気センサからの信号のうち所定の値以上の時間変化をする信号を出力する地磁気検出手段と、
前記地磁気検出手段からの出力値が所定の値以上であるときに前記磁気センサの位置に基づいて鉄道車両位置を特定する位置特定手段と、
を備えたことを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 請求項1に記載の鉄道車両位置検知装置において、
前記地磁気検出手段は、高域通過フィルタにより前記磁気センサからの信号のうち所定の値以上の時間変化をする信号を出力することを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 請求項1に記載の鉄道車両位置検知装置において、
前記地磁気検出手段の有する前記磁気センサは、前記線路に沿って近接して複数設置され、
さらに、前記地磁気検出手段は、前記複数の磁気センサのうち隣接して設置された2個の前記磁気センサからの出力信号の差が所定の値以上であるときに前記磁気センサからの出力信号を出力し、
さらに、前記位置特定手段は、前記2つの磁気センサの中央の位置を鉄道車両位置であると特定することを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載の鉄道車両位置検知装置において、
前記磁気センサは、線路に略直角(X軸)方向と地表面に略垂直(Z軸)方向との2方向の地磁気を検出可能に構成されていることを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 請求項1〜請求項4の何れかに記載の鉄道車両位置検知装置において、
前記磁気センサを線路の外側近傍に設置したことを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 請求項1〜請求項5の何れかに記載の鉄道車両位置検知装置において、
前記位置特定手段は、前記磁気センサ近傍にある前記線路を構成するレールの残留磁気の影響を受けた前記磁気センサの出力信号を補正し、その補正した出力信号に基づいて鉄道車両位置を特定することを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 請求項6に記載の鉄道車両位置検知装置において、
所定区間内の線路上の軌道電流の有無により前記所定区間の鉄道車両の有無を検知する鉄道車両検知手段を備え、
前記位置特定手段は、前記鉄道車両検知手段を介して前記所定区間に鉄道車両が存在しないことが検知されたときに、前記磁気センサの近傍にある前記線路を構成するレールの残留磁気の影響を受けた前記磁気センサの出力信号を補正し、その補正した出力信号に基づいて鉄道車両位置を特定することを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 非電気鉄道の鉄道車両位置検知装置であって、
線路の近傍に設置され、地磁気を検出する磁気センサを備えた地磁気検出手段と、
前記地磁気検出手段からの出力値が所定の値以上であるときに前記磁気センサの位置に基づいて鉄道車両位置を特定する位置特定手段と、
所定区間内の線路上の軌道電流の有無により前記所定区間の鉄道車両の有無を検知する鉄道車両検知手段と、
を備え、
前記位置特定手段は、前記鉄道車両検知手段を介して前記所定区間に鉄道車両が存在しないことが検知されたときに、前記磁気センサ近傍にある前記線路を構成するレールの残留磁気の影響を受けた前記磁気センサの出力信号を補正し、その補正した出力信号に基づいて鉄道車両位置を特定することを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 請求項1〜請求項8の何れかに記載の鉄道車両位置検知装置において、
前記磁気センサは、鉄道車両が通過する2本の線路の間に設置され、
前記位置特定手段は、前記地磁気検出手段からの出力信号に基づいて、鉄道車両位置及び前記2本の線路のうちどちらの線路に鉄道車両が存在するかを特定することを特徴とする鉄道車両位置検知装置。 - 請求項1〜請求項9の何れかに記載の鉄道車両位置検知装置において、
磁気センサを地中に埋設したことを特徴とする鉄道車両位置検知装置。
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