JP4904983B2 - 物体検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は物体検出装置に関し、特に、道路上の割込車両などの物体の検出を行う物体検出装置に関するものである。
車両の走行支援装置の1つとして、道路上の割込車両などの物体を検出し、自動的に速度および車間距離の設定値を保持するようにスロットルやブレーキを制御する走行支援装置が実用化されている。特許文献1には、車両前方の物体にレーダ波を送信し、物体からの反射波から当該物体の重心位置を算出して、次のタイミングで算出した物体の重心位置と前回算出した重心位置とを比較することにより、当該物体が同一物体であることを判定しつつ物体のトラッキング(追跡)を行う技術が記載されている。
特開平5−180933号公報
しかしながら、上記の技術において割込車両等を検出する状況では、レーダによって検出される車両の幅が変動し易いことから、算出される車両の重心位置も変動し易い。そのため、上記の技術のように各々の時刻で算出した車両の重心位置を比較することによって同一車両であることを判定した場合には、同一車両であるにもかかわらず同一車両であると判定できず、割込車両のトラッキングを行えない場合がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、同一物体か否かをより確実に判定して、物体のトラッキングをより高精度に行うことができる物体検出装置を提供することにある。
本発明は、検出対象である物体の複数箇所の位置情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された物体の複数箇所の位置情報に基づいて基準位置情報を設定する設定手段と、設定手段によって異なる時刻に設定された基準位置情報を比較して当該基準位置情報に係る物体が同一物体であるか否かを判定する同一判定手段と、を備えた物体検出装置において、設定手段は、物体の位置情報の内で取得手段に近い位置情報ほど重視しつつ基準位置情報を設定することを特徴にする。
上述したように、検出される物体の幅は変動する場合があり、このような場合は、物体の重心位置を基準にして物体の同一性を確実に判定することが困難である。しかしながら、上記の構成によれば、設定手段は、物体の位置情報の内で取得手段に近い位置情報ほど重視しつつ基準位置情報を設定する。取得手段に近い位置情報は比較的に安定しているため、この構成によれば、検出される物体の幅が安定しない場合であっても、同一物体か否かを確実に判定することができる可能性を高め、物体のトラッキングをより高精度に行うことができる。
この場合、設定手段は、物体の左右両端の内で取得手段に近い端の位置情報に基づいて基準位置情報を設定することが好適である。
上述したように、検出される物体の幅は変動する場合があり、特に物体の左右両端の内で取得手段から遠い端が検出範囲の外側に位置しているような場合にはこの傾向が顕著であるため、このような場合は、物体の重心位置を基準にして物体の同一性を確実に判定することが困難である。しかしながら、上記の構成によれば、設定手段は、物体の左右両端の内で取得手段に近い端の位置情報に基づいて、物体の同一性を判定する基準となる基準位置情報を設定する。物体の左右両端の内で取得手段に近い端の位置情報は比較的に安定しているため、検出される物体の幅が安定しない場合であっても、同一物体か否かを確実に判定することができる可能性を高め、物体のトラッキングをより高精度に行うことができる。
この場合、設定手段は、取得手段により取得された位置情報の安定度が第1閾値を超えていると判定したときは、物体の中心の位置情報に基づいて基準位置情報を設定し、取得手段により取得された位置情報の安定度が第1閾値以下であると判定したときは、物体の左右両端の位置情報の内で取得手段に近い端の位置情報に基づいて基準位置情報を設定することが好適である。
この構成によれば、設定手段は、取得手段により取得された位置情報の安定度が第1閾値を超えていると判定したときは、物体の中心の位置情報に基づいて基準位置情報を設定する。取得手段により取得された位置情報が比較的に安定している場合は、物体の中心の位置情報に基づいて基準位置情報を設定したほうがノイズに対して頑健になる。このため、このような場合は、物体の中央の位置情報に基づいて基準位置情報を設定することにより、同一物体か否かを確実に判定して物体のトラッキングをより高精度に行うことができる。一方、この構成によれば、設定手段は、取得手段により取得された位置情報の安定度が第1閾値以下であると判定したときは、物体の左右両端の位置情報の内で取得手段に近い端の位置情報に基づいて基準位置情報を設定する。上述したように、取得手段により取得された位置情報が安定していない場合であっても、物体の左右両端の内で取得手段に近い端の位置情報は比較的に安定している。このため、このような場合は、物体の左右両端の内で取得手段に近い端の位置情報に基づいて基準位置情報を設定することにより、同一物体か否かを確実に判定して物体のトラッキングをより高精度に行うことができる。
この場合、設定手段は、取得手段により取得された位置情報に基づいて物体の大きさを算出し、算出された物体の大きさの変動度が第2閾値以上であるときは、位置情報の安定度が第1閾値以下であると判定するものとできる。
算出された物体の大きさの変動度が比較的に大きい場合には、位置情報の安定度が低い場合が多いため、設定手段が、取得手段により取得された位置情報に基づいて物体の大きさを算出し、算出された物体の大きさの変動度が第2閾値以上であるときに、位置情報の安定度が第1閾値以下であると判定することにより、物体の位置情報の内でどの箇所の位置情報を重視すればよいのかを適切に判定することができる。
あるいは、この場合、設定手段は、取得手段により取得された位置情報に基づいて物体と取得手段との位置関係を算出し、算出された位置関係に基づいて位置情報の安定度が第1閾値以下であるか否かを判定するものとできる。
位置情報の安定度は、物体と取得手段との相対的な位置関係によっても変動するため、上記構成のように、取得手段により取得された位置情報に基づいて物体と取得手段との位置関係を算出し、算出された位置関係に基づいて位置情報の安定度が第1閾値以下であるか否かを判定することにより、物体の位置情報の内でどの箇所の位置情報を重視すればよいのかを適切に判定することができる。
本発明の物体検出装置によれば、同一物体か否かをより確実に判定して、物体のトラッキングをより高精度に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態に係る物体検出装置について添付図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る物体検出装置を走行支援装置に適用した例としてのクルーズコントロールシステム(以下ACC(Adaptive Cruise Control)システムという)の構成を示す図である。
ACCシステム1aは、主として、ミリ波センサ10、ステレオカメラ11、車速センサ13、ヨーレートセンサ14及び操舵角センサ15のセンサ類、物標トラッキング部20、先行車認識ECU30、走行制御ユニット40を備えて構成されている。ACCシステム1aは、先行車が認識されない場合には運転者により設定された車速を維持する定速制御を行い、先行車が認識されたときには先行車に対して設定車間距離を保持する追従制御または緩加速/緩減速制御を行う。
ミリ波センサ10は、ミリ波帯の電波を水平方向にスキャンしながら車両の前方へ照射し、前方車両などの物体表面で反射された電波を受信し、電波強度、受信信号の周波数変化から先行車候補の有無、先行車候補と自車両との距離、相対速度、自車両からの横変位(横位置)などのパラメータを求め、検出結果として先行車認識ECU30に出力する。
ステレオカメラ11は、車両前方の画像を取得する一対のCCDカメラと、取得した画像から画像認識によって先行車などの物体を検出する画像処理部とを有している。この画像処理部では、CCDカメラが撮像した画像内からエッジ抽出やパターン認識処理などによって、検出対象である物体の複数箇所の位置情報を取得する。また、左右の取得画像中における対象物(先行車)位置の違いを基にして三角測量方式により先行車との距離および自車両からの横変位を求め、前のフレーム時に求めた距離に対する変化量から相対速度を求める。検出結果は、物標トラッキング部20に出力される。すなわち、ステレオカメラ11は、特許請求の範囲に記載の取得手段として機能する。
また、車両には、車速を検出する車速センサ13、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ14、およびステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ15などが設けられている。各センサは先行車認識ECU30に接続されており、検出された信号は先行車認識ECU30に入力される。
物標トラッキング部20は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM及び12Vバッテリによってその記憶内容が保持されるバックアップRAM等により構成されている。物標トラッキング部20は、ステレオカメラ11によって取得された検出対象である物体の位置情報に基づいて物体のトラッキングを行うもので、幅変動履歴カウンタ21、トラッキング基準決定部22、トラッキング処理部23を有している。
幅変動履歴カウンタ21は、ステレオカメラ11によって検出された先行車両等の画像物標の幅の変動履歴をカウントするものである。幅変動履歴カウンタ21は、画像物標の幅の変動が任意の閾値であるX〔m〕以上であるときは、カウント数をインクリメント(増加)させ、画像物標の幅の変動がX〔m〕未満であるときは、カウント数をデクリメント(減少)させる。
トラッキング基準決定部22は、幅変動履歴カウンタ21のカウント数に応じて、ステレオカメラ11が検出した物体の複数箇所における位置情報の内で、どの箇所の位置情報をトラッキング基準位置とするかを決定する。すなわち、トラッキング基準決定部22は、特許請求の範囲に記載の設定手段として機能する。
トラッキング処理部23は、トラッキング基準決定部22によって異なる時刻に決定されたトラッキング基準位置を比較することにより、当該トラッキング基準位置に係る物体が同一物体であるか否かを判定しつつ、トラッキング処理を行う。すなわち、トラッキング処理部23は、特許請求の範囲に記載の同一判定手段として機能する。
先行車認識ECU30も、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM及び12Vバッテリによってその記憶内容が保持されるバックアップRAM等により構成され、先行車選択部31及び割り込み車両判断部32を有している。
先行車選択部31は、車速センサ13からの車速信号、ヨーレートセンサ14からのヨーレート信号、および操舵角センサ15からの操舵角信号などに基づいて求められる自車両の走行状態から自車両の進路を推定するとともに、この推定結果と物標トラッキング部20によりトラッキング処理された先行車候補となる他車両の位置とを比較し、当該先行車候補が自車両の進路前方に存在すると判断された場合に、この先行車候補を先行車として認識する。なお、自車両の進路を推定する際に、ステレオカメラ11で検出された白線情報などを用いてもよい。
割り込み車両判断部32は、ミリ波センサ10及びステレオカメラ11から物標トラッキング部20によってトラッキング処理された他車両の走行状況と、アクセルペダル12、車速センサ13等によって取得された自車両の走行状況と、先行車選択部31からの先行車に関する情報とに基づき、他車両が割込車両であるか否かを判定するためのものであり、他車両の自車両に対する横位置、距離、横方向速度等を用いて他車両が割込車両であるか否かを判定する。
走行制御ユニット40も、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM及び12Vバッテリによってその記憶内容が保持されるバックアップRAM等により構成されている。なお、物標トラッキング部、先行車認識ECU30及び走行制御ユニット40は、ハード的に一体化または一部を共有する構成とされていてもよい。走行制御ECU40には、各車輪に取り付けられたブレーキを作動させるホイールシリンダに供給される油圧を制御するブレーキアクチュエータやエンジンに供給される空気量を制御する電子制御式スロットルバルブなどが接続されている。走行制御ユニット40は、先行車認識ECU30から入力された、先行車の有無、先行車の物体パラメータ、および物体種別情報などに基づいて、ブレーキアクチュエータおよび電子制御式スロットルバルブなどを制御することにより、車両に付与される駆動力および制動力を調節して、定速制御、追従制御、緩加速/緩減速制御を実行する。
次に、図2を参照して、ACCシステム1aの動作について説明する。図2は、ACCシステム1aによる走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。この制御は、車両の電源がオンにされてからオフにされるまでの間、物標トラッキング部20、先行車認識ECU30及び走行制御ユニット40によって所定のタイミングで繰り返し実行される。
ステップS100では、ステレオカメラ11から、物体の有無、物体と自車両との距離、相対速度および自車両からの横変位などのパラメータが読み込まれ、ステレオカメラ11の画像情報から物標化したデータを読み込む。
続くステップS102では、物標トラッキング部20の幅変動履歴カウンタ21が、画像物標の幅の変動が任意の閾値であるX〔m〕以上であるか否かを判定する。幅変動履歴カウンタ21は、画像物標の幅の変動が任意の閾値であるX〔m〕以上であるときは、ステップS104に進み、カウント数をインクリメントさせる。一方、幅変動履歴カウンタ21は、画像物標の幅の変動が任意の閾値であるX〔m〕未満であるときは、ステップS106に進み、カウント数をデクリメントさせる。以上のステップS102〜S106の処理によって、検出対象である物体の位置情報の安定度を検出することができる。
ステップS108では、トラッキング基準決定部22が幅変動履歴カウンタ21のカウント数を参照し、幅変動履歴カウンタ21のカウント数が任意の閾値であるY回以上である場合は、物体の位置情報の安定度が低いとみなして、ステップS112へ進む。
ステレオカメラ11で物標を検出する際には、カメラ両眼の視差で距離を算出し、エッジで横方向の大きさ(横位置、幅等)を算出する。しかし、図3(a−1)〜(a−2)に示すように、自車両100の車線に対して割り込んでくる他車両200を検出する場合には、車両の側面のエッジが安定しないため、検出領域Rの幅が安定せず、検出領域Rの中心にトラッキング基準位置Tを設定すると、トラッキング基準位置Tが安定しない場合が多い。すなわち、自車両100に近い他車両200の端はエッジ検出しやすいが、自車両100に遠い他車両200の端はエッジ検出しにくく、ステレオカメラ11の検出範囲外のことが多い。そのため、自車両100に遠い他車両200の端付近については、他車両200のドアのエッジをとる場合等があり、検出領域Rの幅が狭くなったり広くなったりとすることにより、検出領域Rの中心のトラッキング基準位置Tが安定しなくなる。
通常、物標を同一物と判定する際のトラッキングには物標の位置と速度(距離、横位置、相対速度、横速度)を利用するため、物標の中心位置が安定しないようなときは安定してトラッキングができないことが多くなる。割込車両と判断して、その車両に対して、制御や注意喚起等の警報を吹鳴する際に誤制御、誤警報をなくすため、ある程度の時間、連続して同一物と判定した物標履歴があるデータを利用する。そのため、実際には同じ物標でも、トラッキングが安定してできなければ、割込車両に対して不制御、不警報が発生してしまう。また、安定してトラッキングをすることができないと、距離から算出される相対位置や横位置の中心位置から算出される横速度も正確に算出されず、誤制御、誤警報が発生しやすい。
そこで本実施形態では、他車両200の自車両100に近い端のエッジは捉えやすいということを利用して、図3(b−1)〜(b−2)に示すように、他車両200が自車両100より右側にあるときは、検出領域Rのうち左端の位置をトラッキング基準位置Tとする。逆に、他車両200が自車両100より左側にあるときは、検出領域Rのうち右端の位置をトラッキング基準位置Tとする。このようにトラッキング基準位置Tを設定することにより、検出領域Rの幅が変動したとしても、トラッキング基準位置Tは安定するため、検出領域Rの幅が不安定である場合でも安定してトラッキングを行うことができる。また、横速度の算出も物標の中心位置ではなく、横端の差分を微分して算出することで、より正確な値が算出できる。
図2に戻り、ステップS112では、トラッキング基準決定部22は割り込み車両等の物標が自車両よりも右側にあるか否かを判定する。物標が自車両よりも右側にあるときは、ステップS116に進み、物標の左端をトラッキング基準位置に利用する。一方、物標が自車両よりも左側にあるときは、ステップS118に進み、物標の右端をトラッキング基準位置に利用する。
ステップS108において、幅変動履歴カウンタ21のカウント数が任意の閾値であるY回未満である場合であっても、トラッキング基準決定部22は、続くステップS110において、幅変動履歴カウンタ21のカウント数が任意の閾値であるZ回以上であって(Y>Z)、かつ前フレームにおいて左右いずれかの横端をトラッキング基準位置として利用した場合には、再度、ステップS112に進み、物標の左右いずれかの端をトラッキング基準位置に設定する。すなわち、それまでのトラッキング基準位置を決定した履歴を参照することにより、位置情報の安定度が低い場合に、物標の端をトラッキング基準位置にするのを簡単に止めることを防止することができる。
一方、幅変動履歴カウンタ21のカウント数が任意の閾値であるZ回以上であって(Y>Z)、かつ前フレームにおいて左右いずれかの横端をトラッキング基準位置として利用した場合に該当しないときは、トラッキング基準決定部22は、物体の位置情報の安定度が高いとみなして、ステップS114へ進む。
先行車等の他車両の追従走行中には、常に他車両の自車両に近い端をトラッキング基準位置とすると安定したトラッキングができないことが起こり得る。すなわち、図4(a)〜(c)に示すように、他車両200の後端では、車両の端にはないランプ等のエッジEを検出してしまい、検出領域Rの幅が変化することが多いためである。特に、他車両200がキャリアカーやトラック等の場合にはこの傾向が顕著である。このような先行車両等の車両追従での後端は、割り込み車両の側面を捉えているときと違い、検出領域Rが左右どちら側に幅が狭くなるかが予想できないため、検出領域Rの両端を用いるより検出領域Rの中心をトラッキング基準位置に利用した方が、トラッキングが安定することが多い。そのため、図2に示すように、トラッキング基準決定部22はステップS114において、物体の位置情報の安定度が高い場合は、検出領域Rの中心位置をトラッキングに利用する。
ステップS120では、物標トラッキング部20のトラッキング処理部23が、トラッキング基準決定部22が決定したトラッキング基準位置を用いて物標のトラッキング処理を行う。
本実施形態によれば、トラッキング基準決定部22は、物体の左右両端の位置情報の内でステレオカメラ11に近い端の位置情報に基づいて、物体の同一性を判定する基準となるトラッキング基準位置を設定する。物体の左右両端の内でステレオカメラ11に近い端の位置情報は比較的に安定しているため、検出される物体の幅が安定しない場合であっても、同一物体か否かを確実に判定することができる可能性を高め、物体のトラッキングをより高精度に行うことができる。
また、本実施形態によれば、トラッキング基準決定部22は、ステレオカメラ11により取得された位置情報の安定度が任意の閾値を超えていると判定したときは、物体の中心の位置情報に基づいてトラッキング基準位置を設定する。ステレオカメラ11により取得された位置情報が比較的に安定している場合は、物体の中心の位置情報に基づいてトラッキング基準位置を設定したほうがノイズに対して頑健になる。このため、このような場合は、物体の中央の位置情報に基づいてトラッキング基準位置を設定することにより、同一物体か否かを確実に判定して物体のトラッキングをより高精度に行うことができる。
一方、本実施形態によれば、トラッキング基準決定部22は、ステレオカメラ11により取得された位置情報の安定度が任意の閾値以下であると判定したときは、物体の左右両端の位置情報の内でステレオカメラ11に近い端の位置情報に基づいてトラッキング基準位置を設定する。上述したように、ステレオカメラ11により取得された位置情報が比較的に安定していない場合であっても、物体の左右両端の内でステレオカメラ11に近い端の位置情報は比較的に安定している。このため、このような場合は、物体の左右両端の内でステレオカメラ11に近い端の位置情報に基づいてトラッキング基準位置を設定することにより、同一物体か否かを確実に判定して物体のトラッキングをより高精度に行うことができる。
特に、先行車等に画像が安定してトラッキングを行えると、ミリ波センサ10とステレオカメラ11のフュージョンの精度が上がり、先行車を選択する際に、より精度の高い先行車選択が実施可能である。そこで本実施形態では、トラッキング基準位置を物体の中心位置と横位置とに変更するために、幅変動履歴カウンタ21のカウント数を用いて決定する。物体の側面を検出しているときは、検出領域の幅の変動が大きくなりやすいため、幅変動履歴が少ないときは、物体の中心位置をトラッキング基準位置にとり、幅変動履歴が多いときには、物体の左右両端の位置情報の内でステレオカメラ11に近い端の位置情報をトラッキング基準位置にとるようにトラッキング方法の変更を行う。これにより、先行車選択と割込車両の判断をより精度良く行うことが可能となる。特に、ステレオカメラ11は、ミリ波レーダ(レーザレーダ)等のセンサに比べて割込車両の側面を捉え易いことや、検知角度を広角にしやすいという面があり、割込車両の検知には非常に有効である。
以下、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係るACCシステムの構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態では、物標トラッキング部20は、幅変動履歴カウンタ21の替わりに相対位置検出部24を備えている。相対位置検出部24は、ステレオカメラ11によって検出された先行車両等と自車両との相対的な位置を検出し、当該相対位置から位置情報の安定度を推定するものである。相対位置検出部24は、当該物体中心の自車中心線からの角度がX°以内のときは、位置情報が安定しているとみなし(位置情報の安定度が第1閾値を超えている)、当該物体中心の自車中心線からの角度がX°を超えているときは、位置情報が不安定であるとみなす(位置情報の安定度が第1閾値以下)。
図6は、第2実施形態に係るACCシステムによる走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、本実施形態ではステップS202において、物標トラッキング部20の相対位置検出部24が、当該物体中心の自車中心線からの角度がX°以内か否かを判定する。この場合は、例えば図7に示すように、自車両100の中心線に対する角度θ〔deg〕によって複数の領域A,Aを設け、自車両100のステレオカメラ11に対する横方向への角度がX°以下である領域Aに存在する他車両200に対しては、位置情報の安定度が高いと評価する。すなわち、横方向への変位が小さい物体に対しては、物体全体を容易に検出できるため、位置情報の安定度が高いためである。一方、自車両100のステレオカメラ11に対する横方向への角度がX°を超えている領域Aに存在する他車両300に対しては、位置情報の安定度が低いと評価する。横方向への変位が大きい物体に対しては、物体全体を検出しにくく、位置情報の安定度が低いためである。このように、本実施形態では、自車両100に対する相対的な位置に応じて、位置情報の安定度を推定する。状況に応じて適宜さらに多くの領域を設定しても良い。
図6に戻り、ステップS212〜S220は、上記第1実施形態のステップS112〜S120と同様にして行うことができる。本実施形態においては、先行車両等と自車両との相対的な位置によってトラッキング基準位置を変更することにより、先行車選択と割込車両の判断をより精度良く行うことが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。本実施形態では物体検出装置の一例としてACCシステムに係る走行支援装置を挙げたが、本発明の物体検出装置の適用分野としてはこれに限定されない。
また、上記実施形態では、物標のトラッキングにステレオカメラを用いたが、単眼カメラを用いることもできる。また、物標のトラッキングにミリ波レーダを用いても良く、任意の検出手段に適用可能である。また、上記実施形態では、取得手段により取得された物体の位置情報の安定度が低い場合に物体の端をトラッキング基準位置としたが、物体の端以外の箇所もトラッキング基準位置とすることができ、取得手段により取得された物体の複数の位置情報の加重平均でトラッキング基準位置を設定し、取得手段に近い位置情報の加重割合を大きくすることによって、取得手段に近い位置情報ほど重視しつつトラッキング基準位置を設定しても良く、本発明の範囲に含まれる。
第1実施形態に係るACCシステムの構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係るACCシステムによる走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。 (a−1)〜(b−2)は、トラッキング基準位置によるトラッキングの安定度の相違を示す図である。 (a)〜(c)は、エッジ検出位置の変動を示す図である。 第2実施形態に係るACCシステムの構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係るACCシステムによる走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態における他車両及び自車両の位置関係と位置情報の安定度との関係を示す図である。
符号の説明
1a,1b…ACCシステム、10…ミリ波センサ、11…ステレオカメラ、13…車速センサ、14…ヨーレートセンサ、15…操舵角センサ、20…物標トラッキング部、21…幅変動履歴カウンタ、22…トラッキング基準決定部、23…トラッキング処理部、24…相対位置検出部、30…先行車認識ECU、31…先行車選択部、32…割り込み車両判断部32、40…走行制御ユニット、100…自車両、200,300…他車両。

Claims (4)

  1. 検出対象である物体の複数箇所の位置情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された物体の複数箇所の位置情報に基づいて基準位置情報を設定する設定手段と、
    前記設定手段によって異なる時刻に設定された基準位置情報を比較して当該基準位置情報に係る物体が同一物体であるか否かを判定する同一判定手段と、
    を備えた物体検出装置において、
    前記設定手段は、前記物体の左右両端の位置情報の内で前記取得手段に近い端の位置情報に基づいて基準位置情報を設定する、
    物体検出装置。
  2. 前記設定手段は、
    前記取得手段により取得された位置情報の安定度が第1閾値を超えていると判定したときは、前記物体の中心の位置情報に基づいて基準位置情報を設定し、
    前記取得手段により取得された位置情報の安定度が前記第1閾値以下であると判定したときは、前記物体の左右両端の内で前記取得手段に近い端の位置情報に基づいて基準位置情報を設定する、
    請求項に記載の物体検出装置。
  3. 前記設定手段は、
    前記取得手段により取得された位置情報に基づいて前記物体の大きさを算出し、算出された前記物体の大きさの変動度が第2閾値以上であるときは、前記位置情報の安定度が前記第1閾値以下であると判定する、
    請求項に記載の物体検出装置。
  4. 前記設定手段は、
    前記取得手段により取得された位置情報に基づいて前記物体と前記取得手段との位置関係を算出し、算出された位置関係に基づいて前記位置情報の安定度が前記第1閾値以下であるか否かを判定する、
    請求項に記載の物体検出装置。
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