JP4904836B2 - 黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法 - Google Patents

黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法 Download PDF

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Description

本発明は、黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法に関し、さらに詳しくは、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から、低硫酸使用量で、浸出速度を高め高浸出率で銅を浸出する経済的に効率的な方法に関する。
従来、銅鉱石から銅を回収する方法の一つとして、銅を硫酸などにより浸出し、浸出された銅を溶媒抽出によって濃縮した液を用いて、電解採取によって銅カソードとして回収する方法が行われている。この方法において、銅鉱石に含まれる銅が酸化物又は炭酸塩の形態であるときには、単純な酸浸出で含有される銅の40〜90%を容易に浸出することができ、銅を高収率で回収することができる。
また、銅鉱石中の銅鉱物が、輝銅鉱(CuS)、斑銅鉱(CuFeS)等の二次硫化鉱物であるときには、バクテリアリーチング法が用いられる。この方法では、鉄酸化バクテリア等の微生物が共存する条件下で酸化剤として硫酸鉄を含む浸出液を用いることによって、銅を効率的に浸出することができる。上記方法は、いずれも経済的に効率よく銅を回収することができ、北米又は南米の大規模銅鉱山で広く採用されている。
しかしながら、銅鉱石に含まれる銅鉱物が黄銅鉱(CuFeS)である場合には、銅の浸出速度が極端に遅くなるので、一般的に行われているバクテリアリーチングでは数%から20%程度の銅浸出率であり、経済性が著しく損なわれるという問題があった。この原因は、浸出液の酸化還元電位と関係している。すなわち、前記浸出液に含まれるFe3+イオンは酸化剤として作用し硫化鉱物の溶解を促進するが、このときFe2+イオンに還元されるので、浸出反応が進むにつれて浸出液の酸化還元電位は低下する。このとき、堆積された鉱石ダンプ中に自然に生息する鉄酸化バクテリア等の微生物が、このFe2+イオンをFe3+イオンに酸化して、浸出液の酸化還元電位を再び高める役割を担っている。
例えば、硫化銅鉱に含まれる銅鉱物が、輝銅鉱(CuS)、斑銅鉱(CuFeS)等の二次硫化鉱物である場合には、これらは酸化還元電位が高いほど溶解しやすいため、バクテリアが活発に活動して浸出液中のFe3+イオンが多くなるほど溶出される銅分も多い。一方、前記銅鉱物が、一次硫化鉱物である黄銅鉱(CuFeS)では、バクテリアが活発に活動する500〜700mV(Ag/AgCl電極規準)の酸化還元電位領域では、浸出が極端に遅くなる性質を有しており、上記の二次硫化鉱物の浸出に適した条件ではほとんど浸出されない。また、これ以上に高電位にすることで浸出が早めることができるが、バクテリアの酸化作用のみで前記高電位を維持するのは困難である。
ところで、一般に、低品位の銅鉱石、例えばポーフィリー型鉱床下部の一次富化帯等は含有される銅の大半が黄銅鉱である。しかも、黄銅鉱を含む銅鉱石は世界に広く分布している。しかしながら、これら鉱石は、上記浸出法による銅回収に適さないので、経済的に不利な浮選法により銅精鉱を回収するか、あるいは廃石として処分するしかなかった。
この解決策として、黄銅鉱を浸出する方法として、硫酸と酸化剤を加えて加圧浸出する方法、塩酸を使用し加熱する方法等が提案されているが、いずれも消費エネルギー及び試薬コストが大きく経済的でない。例えば、銅精鉱の硫酸溶液による酸化加圧浸出の際に、反応促進剤として炭素質添加物を用いる技術(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。この方法は、黄銅鉱のような難浸出性の銅鉱物に有効な方法であるが、浸出反応温度が90〜220℃で、圧力が100〜3000kPaという厳しい条件下で酸化加圧浸出を行うものである。したがって、バクテリアリーチングのような緩やかな条件下の浸出方法とは期待する浸出速度において根本的に異なる。
さらに、本発明者らにより、黄銅鉱を含む硫化銅鉱と粉状炭素との混合物を、鉄濃度を1〜20g/L、pHを1.0〜2.5、及び酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を350〜450mVに調整した硫酸鉄水溶液に浸漬して硫化銅鉱から銅を浸出する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。これにより、浸出速度を高め高浸出率で銅を浸出することができるが、高浸出率を得るためには、2.5未満、好ましくは2.0未満までpHを低下させることが必要であり、硫酸の使用量が多くなるという問題があった。
以上の状況から、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から、浸出速度を高め高浸出率で銅を浸出するとともに、硫酸の使用量が少なく経済性の高い方法が求められている。
米国特許第5730776号明細書 特開2005−15864号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から、低硫酸使用量で、浸出速度を高め高浸出率で銅を浸出する経済的に効率的な方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を浸出する方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記硫化銅鉱に固定炭素含有材料を混合して、特定の条件に調整した硫酸鉄水溶液に浸漬したところ、低い硫酸使用量で、銅の浸出速度を高め高浸出率で銅を浸出することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を浸出する方法であって、
前記硫化銅鉱に、該硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して0.1〜2.0倍量の活性炭、石炭、コークスまたは木炭を混合した後、得られた混合物を、鉄濃度を1〜20g/L、pHを2.6〜3.5に調整した硫酸鉄水溶液に浸漬することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、前記硫酸鉄水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を350〜450mVに調整することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法が提供される。
本発明の黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法は、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から、低い硫酸使用量で銅の浸出速度を高めてかつ銅を高浸出率で浸出することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法を詳細に説明する。
本発明の黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法は、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を浸出する方法であって、前記硫化銅鉱に、該硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して0.1〜2.0倍量の固定炭素含有材料を混合した後、得られた混合物を、鉄濃度を1〜20g/L、pHを2.6〜3.5に調整した硫酸鉄水溶液に浸漬することを特徴とする。
本発明において、黄銅鉱を含む硫化銅鉱を該硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して0.1〜2.0倍量の固定炭素含有材料と混合することと、この混合物を所定の条件の硫酸鉄水溶液に浸漬して銅を浸出することが重要である。これによって、硫酸水溶液中において、黄銅鉱は特定の酸化還元電位領域で反応して高速浸出されることになる。しかも、pHを調整するために要する硫酸の使用量を低減することができる。
ここで、本発明における固定炭素含有材料の作用について硫酸水溶液中における黄銅鉱の浸出反応に基づいて説明する。一般に、硫酸水溶液中における黄銅鉱は、ある酸化還元電位領域において、下記の反応式(1)と(2)に示される2段階の反応にしたがって浸出される。
CuFeS+3Cu2++3Fe2+=2CuS+4Fe3+ (1)
CuS+4Fe3+=2Cu2++S+4Fe2+ (2)
すなわち、まず、式(1)に基づいて、低酸化還元電位域において黄銅鉱が還元され、より酸化溶出速度が高い輝銅鉱が反応中間体として生成する。その後、式(2)に基づいて、輝銅鉱が酸化されて銅が溶出する。このような反応機構が成立するためには、溶液の酸化還元電位Eが下記の式(3)を満足することが必須条件である。
Eox<E<Ec (3)
(式中Ecは式(1)の酸化還元電位を、Eoxは式(2)の酸化還元電位を表す。)
上記反応機構について、反応の速度と酸化還元電位(以下、電位と略称する場合がある。)の関係、及び本発明に係る固定炭素含有材料の共存の効果を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を示す。
図1より、式(3)の条件が満たされる場合、黄銅鉱は還元され、より酸化溶出速度の高い輝銅鉱を反応中間体として生成し、その輝銅鉱が酸化溶出するため高速浸出される。すなわち、Ecの近傍では、黄銅鉱還元反応(CuS生成反応:R)とCuS酸化反応(O)のうち、黄銅鉱の還元反応が全過程を律速するので、銅の溶出速度Kは電位の低下に伴って高くなる。一方、Eoxの近傍ではCuS酸化反応が律速段階となり、銅の溶出速度Kは電位の上昇に伴って高くなる。従って、黄銅鉱還元反応(R)とCuS酸化反応(O)が交わる電位(Eop)で銅の溶出速度は最大となる。また、Ec<Eの場合、黄銅鉱酸化反応(D)により直接黄銅鉱から銅が溶出するため、銅の溶出速度は低くなる。
図2は、固定炭素含有材料が共存する場合の黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を示す。
図2より、輝銅鉱酸化反応(O)が促進され、新たな、輝銅鉱酸化反応(O’)に示すように、銅の溶出速度KはEopにおいて上昇する。
ここで、固定炭素含有材料は、2価のFeを3価のFeに酸化する触媒として働き、また、溶液電位が下がりすぎた場合には、これを最適値付近に戻す作用がある。また、同じ電位においても浸出速度が高くなるのは、黄銅鉱溶解反応の生成物の1つであるHSを吸着除去することにより、溶解反応を促進するためと考えられる。
以上より、溶液電位を黄銅鉱の浸出に適した範囲に維持することによって、固定炭素含有材料が浸出を促進する役割をはたすことが分る。
本発明の原料に用いる黄銅鉱を含む硫化銅鉱としては、特に限定されるものではなく、含有される銅鉱物の一部あるいは大部分が黄銅鉱である硫化銅鉱、又は該硫化銅鉱から浮選等によって銅鉱物が濃縮された銅精鉱が用いられる。
上記硫化銅鉱は、銅鉱物の大部分を露出させるため、破砕されて用いられる。破砕の方法としては、特に限定されるものではなく、採掘時の発破や各種の破砕機によって通常の方法で行われる。ここで、破砕産物の粒度は、特に限定されるものではなく、原料鉱石の性状や採算性を総合的に判断して最適な粉砕粒度を選択すればよい。対象が銅精鉱である場合には、既に細粒となっているので粉砕は不要である。
本発明に用いる固定炭素含有材料としては、特に限定されるものではなく、HSを吸着することができる炭素やその化合物からなる官能基を有する構造を持つ固定炭素含有材料が用いられ、例えば、活性炭(固定炭素90%以上)、石炭(固定炭素30〜95%)、コークス(固定炭素75〜85%)、木炭(固定炭素約85%)等が挙げられる。この中で、特に、経済性を考慮すると活性炭が好ましい。
上記固定炭素含有材料の粒度は、特に限定されるものではないが、浸出促進剤としての効果を充分発揮するため、粉状に破砕されたものが好ましい。例えば、粒度が75μm以下のものが用いられる。
上記固定炭素含有材料の添加割合は、硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して0.1〜2.0倍量、好ましくは0.2〜1.0倍量である。すなわち、添加割合が0.1倍量未満では、浸出促進剤としての効果を充分発揮できない。一方、添加割合が2.0倍量を超えると、コスト高になり経済性が損われる。固定炭素含有材料の最適量は、硫化銅鉱の組成及び粒度により異なるため、その都度予備試験を行うことによって、対象硫化銅鉱に対して上記範囲内で最適量を決定することができる。
本発明に用いる硫酸鉄水溶液は、硫化銅鉱から銅を溶出させるための浸出液であり、pH及び鉄濃度が調整される。例えば、後述するように、本発明の浸出方法を黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を回収する湿式製錬プロセスの浸出工程において用いる場合には、通常は、浸出生成液から銅を回収した後の浸出循環液、例えば溶媒抽出で発生する抽出残液等を所定の条件になるようにpH及び鉄濃度を調整して用いる。
上記硫酸鉄水溶液のpHは、2.6〜3.5に調整される。すなわち、低pHでは、副次的に生成されたHSが吸着除去されないため溶解反応が促進されにくいので、銅の浸出速度の観点からはpH2.0以上が望ましい。しかしながら、pHが低いほど硫酸の使用量が多くなり経済的に不利になるという問題が生じる。したがって、低い硫酸使用量で経済的な高浸出速度が得られるpH2.6以上が用いられる。一方、pHが3.5を超えると、銅の浸出速度が低下し、また不溶性鉄化合物が沈殿して浸出反応が妨げられるという問題が起きる。
上記pHの調整方法は、特に限定されるものではなく、硫酸、塩酸等の鉱酸を水溶液又は浸出循環液に添加して行うが、特に経済性から安価な硫酸を用いることが好ましい。
上記硫酸鉄水溶液の鉄濃度は、1〜20g/L、好ましくは5〜10g/Lに調整される。すなわち、鉄の濃度が高いほど銅の浸出速度が高くなるが、鉄濃度が1g/L未満では、銅の浸出速度が低下し、回収の効率が低下する。一方、鉄濃度が20g/Lを超えると、液の粘性の増大や不溶性鉄化合物の析出が多くなり、浸出の妨げとなる。
上記硫酸鉄水溶液の鉄濃度の調整方法は、特に限定されるものではなく、硫酸第一鉄又は硫酸第二鉄を水溶液又は浸出循環液に添加して行うのが好ましい。ここで、添加する硫酸鉄の形態は、該硫酸鉄水溶液の電位に大きく関わるので、電位の調節が容易な方を適宜選択する。
上記硫酸鉄水溶液の添加量は、特に限定されるものではなく、少なくとも硫化銅鉱全体に十分に行き渡る量を添加するが、使用する反応容器の形状、あるいは浸出以降の下流工程の状況等に合わせて適宜調整する。この中で、浸出液の量が多すぎると得られる浸出貴液(浸出生成液)の濃度が薄くなりすぎて下流工程の溶媒抽出等における効率が低下するので、硫化銅鉱の20倍以下が好ましい。
本発明の方法において、浸出反応の制御のためには、反応時の硫酸鉄水溶液のpHと電位を一定期間毎に測定することが好ましい。ここで、前記浸出液の電位は銅鉱物自体の還元力により徐々に低下するが、通常、空気から溶け込む酸素の酸化力によってある一定値に保たれる。
本発明に用いる硫酸鉄水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)としては、特に限定されるものではなく、好ましくは350〜450mVに調整され、より好ましくは380〜420mVに調整される。すなわち、この範囲の電位に維持することが、黄銅鉱の浸出に適している。
上記酸化還元電位の調整方法としては、以下の手段が用いられる。例えば、酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が350mV未満の場合には反応容器内の浸出液の一部を抜き取り、硫酸第二鉄を含む新規の硫酸鉄水溶液を補充することによって電位を上昇させる。一方、酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が450mVを超える場合には、同様に浸出液の一部を抜き取り、硫酸第一鉄を含む新規の硫酸鉄水溶液を補充して電位を下降させる。補充する硫酸鉄水溶液の液量及び鉄濃度は、反応時の浸出液の電位と鉄濃度が上記の範囲に維持されるように適宜調節する。
本発明に用いる浸出方式としては、特に限定されるものではなく、硫化銅鉱と固定炭素含有材料の混合物を上記硫酸鉄水溶液中に浸漬して浸出する方法、例えば、反応容器内で撹拌しながら浸出する方法、ヒープリーチング法、バットリーチング法又はカラムリーチング法のいずれかが用いられる。
本発明の方法で得られる銅を含んだ貴液は、反応容器内への浸出液の補充操作によって断続的に回収する方法、少量ずつの浸出液を連続的に回収する方法、全ての貴液を一度に回収する方法等により浸出残渣と分離され系外ヘ取り出されるが、下流工程の形態と能力に適した方法を適宜選択することができる。
本発明の方法は、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を回収する湿式製錬プロセスの浸出工程において、低硫酸使用量で銅を高浸出率で浸出する方法として好適に用いられる。以下に、本発明の浸出方法を用いた前記プロセスの一例を、図面を用いて説明する。図3は、本発明の浸出方法を用いた黄銅鉱を含む硫化銅鉱から電解銅を回収する湿式製錬プロセスの概略工程図を表す。
図3において、まず、浸出工程1において、硫化銅鉱5と固定炭素含有材料6を含む混合物7が所定の組成に調整された硫酸鉄水溶液8に浸漬され、銅が浸出される。次に、一般に酸性抽出剤が用いられる溶媒抽出工程2において、浸出工程1において浸出残渣9と固液分離して得られた浸出生成液10から、銅が濃縮分離されている逆抽出生成液11と鉄を含む抽出残液12とが得られる。この際、酸性抽出剤が使用される場合には、抽出時のpHが高い程銅の抽出率が上昇するので、本発明の方法で用いるpHは好都合である。すなわち、抽出時に、浸出生成液10から中和剤等を用いたpH調整することなしに高効率で銅を分離することができる。
次いで、逆抽出生成液11からは、不溶性電極を使用した銅電解工程3により電解銅15が得られる。また、硫酸鉄を含む抽出残液12は、浸出循環液として浸出工程1に繰返えされる。この際に、浸出液である硫酸鉄水溶液8のpH、鉄濃度、酸化還元電位等の調整のため、浸出液調整工程4で必要により硫酸13、及び硫酸第一鉄又は硫酸第二鉄14の所定量が添加されるが、本発明の浸出方法によれば、硫酸の使用量を低減することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属、鉱物割合及び固定炭素の分析方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)鉱物割合の分析:顕微鏡観察によって求めた。
(3)固定炭素の分析:JIS K 2425によって求めた。
また、実施例及び比較例で用いた銅精鉱の化学分析値と鉱物割合を表1に示す。表1より、前記銅精鉱は含有される銅のほぼ全てが黄銅鉱であることが分る。
Figure 0004904836
また、固定炭素含有材料として実施例及び比較例で用いた市販活性炭の固定炭素の分析値を表2に示す。
Figure 0004904836
(実施例1)
原料として、上記銅精鉱を、微生物を滅菌するためアルコール洗浄した後、滅菌室内で自然乾燥させたものを使用した。また、浸出液としては、硫酸第一鉄(試薬特級)を水に溶解して、鉄濃度を5g/Lとしたものを使用した。なお、浸出液のpHは、希硫酸(HSO濃度:64重量%)を滴下して2.6に調整した。
まず、容量300mLのフラスコ内に、上記銅精鉱10.0g(銅鉱物として8.8g)と75μm以下に粉砕した上記活性炭8.8gを量り取り、その中に、浸出液100mLを加えた後、フラスコの口にスポンジ性の栓を施した。この後、浸出条件を一定とするために30℃に調節した恒温室に設置した振とう機にフラスコを固定し、回転速度120rpmで旋回振とうした。
1週間後にフラスコを取り出し計量し、蒸発した水分を補給した。その後、固形物を十分沈降させてから、上澄液50mLを採取して分析用試料とした。残った試料溶液に、希硫酸を滴下してpHを2.6に調整し、上記浸出液50mLを新たに補充して、再び振とうした。ここで、試薬類、浸出液の調整に使用するガラス器具、ピペット等は全て滅菌処理したものを使用し、細菌の混入が起こらないように十分配慮した。
この操作を1週間毎に繰り返し、浸出を継続した。なお、上記反応槽内の浸出液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、350〜450mVの範囲に維持された。その後、前記分析用試料を用いて、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。浸出日数21日と42日での結果を表3に示す。また、このときの希硫酸(HSO濃度:64重量%)の使用量を表3に示す。
(実施例2)
浸出液のpHを3.0に調整したこと以外は実施例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。浸出日数21日と42日での結果を表3に示す。また、このときの希硫酸(HSO濃度:64重量%)の使用量を表3に示す。なお、上記反応槽内の浸出液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、350〜450mVの範囲に維持された。
(実施例3)
浸出液のpHを3.5に調整したこと以外は実施例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。浸出日数21日と42日での結果を表3に示す。また、このときの希硫酸(HSO濃度:64重量%)の使用量を表3に示す。なお、上記反応槽内の浸出液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、350〜450mVの範囲に維持された。
(比較例1)
浸出液のpHを2.0に調整したこと以外は実施例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。浸出日数21日と42日での結果を表3に示す。また、このときの希硫酸(HSO濃度:64重量%)の使用量を表3に示す。なお、上記反応槽内の浸出液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、350〜450mVの範囲に維持された。
(比較例2)
浸出液のpHを1.5に調整したこと以外は実施例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。浸出日数21日と42日での結果を表3に示す。また、このときの希硫酸(HSO濃度:64重量%)の使用量を表3に示す。なお、上記反応槽内の浸出液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、350〜450mVの範囲に維持された。
(比較例3)
活性炭を添加しなかったこと、及び浸出液のpHを2.0に調整したこと以外は実施例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。浸出日数21日と42日での結果を表3に示す。また、このときの希硫酸(HSO濃度:64重量%)の使用量を表3に示す。
Figure 0004904836
表3より、実施例1〜3では、浸出促進剤として固定炭素含有材料を混合した後、得られた混合物を所定の鉄濃度とpHに調整された硫酸鉄水溶液に浸漬し、本発明の方法に従って行われたので、銅の浸出速度を高めてかつ高浸出率で浸出することができるとともに、硫酸の使用量を少なくすることができることが分かる。これに対して、比較例1〜3では、浸出液のpH、固定炭素含有材料の添加のいずれかがこれらの条件に合わないので、銅の浸出速度、硫酸の使用量のいずれかにおいて満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法は、銅精錬分野で利用される銅鉱物の浸出方法として好適である。特に、黄銅鉱が主たる銅鉱物である難浸出性の銅鉱石から銅を回収する湿式製錬プロセスにおいて、低硫酸使用量で銅を高浸出率で浸出する方法として有用である。
黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を表す概念図である。 固定炭素含有材料共存下の黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を表す概念図である。 本発明の浸出方法を用いた黄銅鉱を含む硫化銅鉱から電解銅を回収する湿式製錬プロセスの概略工程図である。
符号の説明
1 浸出工程
2 溶媒抽出工程
3 銅電解工程
4 浸出液調整工程
5 硫化銅鉱
6 固定炭素含有材料
7 混合物
8 硫酸鉄水溶液
9 浸出残渣
10 浸出生成液
11 逆抽出生成液
12 抽出残液
13 硫酸
14 硫酸第一鉄又は硫酸第二鉄
15 電解銅

Claims (2)

  1. 黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を浸出する方法であって、
    前記硫化銅鉱に、該硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して0.1〜2.0倍量の活性炭、石炭、コークスまたは木炭を混合した後、得られた混合物を、鉄濃度を1〜20g/L、pHを2.6〜3.5に調整した硫酸鉄水溶液に浸漬することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法。
  2. 前記硫酸鉄水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を350〜450mVに調整することを特徴とする請求項1に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
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