JP4232694B2 - 黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法 - Google Patents

黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法 Download PDF

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Description

本発明は、黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法に関し、さらに詳しくは、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から、浸出速度を高めてかつ高浸出率で銅を浸出する効率的な方法に関する。
従来、銅鉱石から銅を回収する方法の一つとして、銅を硫酸などにより浸出し、浸出された銅を溶媒抽出によって濃縮した液を用いて、電解採取によって銅カソードとして回収する方法が行われている。この方法において、銅鉱石に含まれる銅が酸化物又は炭酸塩の形態であるときには、単純な酸浸出で含有される銅の40〜90%を容易に浸出することができ、銅を高収率で回収することができる。
また、銅鉱石中の銅鉱物が、輝銅鉱(CuS)、斑銅鉱(CuFeS)等の二次硫化鉱物であるときには、バクテリアリーチング法が用いられる。この方法では、鉄酸化バクテリア等の微生物が共存する条件下で酸化剤として硫酸鉄を含む浸出液を用いることによって、銅を効率的に浸出することができる。上記方法は、いずれも経済的に効率よく銅を回収することができ、北米又は南米の大規模銅鉱山で広く採用されている。
しかしながら、銅鉱石に含まれる銅鉱物が黄銅鉱(CuFeS)である場合には、銅の浸出速度が極端に遅くなるので、一般的に行われているバクテリアリーチングでは数%から20%程度の銅浸出率であり、経済性が著しく損なわれるという問題があった。この原因は、浸出液の酸化還元電位と関係している。すなわち、前記浸出液に含まれるFe3+イオンは酸化剤として作用し硫化鉱物の溶解を促進するが、このときFe2+イオンに還元されるので、浸出反応が進むにつれて浸出液の酸化還元電位は低下する。このとき、堆積された鉱石ダンプ中に自然に生息する鉄酸化バクテリア等の微生物が、このFe2+イオンをFe3+イオンに酸化して、浸出液の酸化還元電位を再び高める役割を担っている。
例えば、硫化銅鉱に含まれる銅鉱物が、輝銅鉱(CuS)、斑銅鉱(CuFeS)等の二次硫化鉱物である場合には、これらは酸化還元電位が高いほど溶解しやすいため、バクテリアが活発に活動して浸出液中のFe3+イオンが多くなるほど溶出される銅分も多い。一方、前記銅鉱物が、一次硫化鉱物である黄銅鉱(CuFeS)では、バクテリアが活発に活動する500〜700mV(Ag/AgCl電極規準)の酸化還元電位領域では、浸出が極端に遅くなる性質を有しており、上記の二次硫化鉱物の浸出に適した条件ではほとんど浸出されない。また、これ以上に高電位にすることで浸出が早めることができるが、バクテリアの酸化作用のみで前記高電位を維持するのは困難である。
ところで、一般に、低品位の銅鉱石、例えばポーフィリー型鉱床下部の一次富化帯等は含有される銅の大半が黄銅鉱である。しかも、黄銅鉱を含む銅鉱石は世界に広く分布している。しかしながら、これら鉱石は、上記浸出法による銅回収に適さないので、経済的に不利な浮選法により銅精鉱を回収するか、あるいは廃石として処分するしかなかった。
この解決策として、黄銅鉱を浸出する方法として、硫酸と酸化剤を加えて加圧浸出する方法、塩酸を使用し加熱する方法等が提案されているが、いずれも消費エネルギー及び試薬コストが大きく経済的でない。例えば、銅精鉱の硫酸溶液による酸化加圧浸出の際に、反応促進剤として炭素質添加物を用いる技術(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。この方法は、黄銅鉱のような難浸出性の銅鉱物に有効な方法であるが、浸出反応温度が90〜220℃で、圧力が100〜3000kPaという厳しい条件下で酸化加圧浸出を行うものである。したがって、バクテリアリーチングのような緩やかな条件下の浸出方法とは期待する浸出速度において根本的に異なる。
さらに、上記課題を解決できる黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法の反応モデルの基本的な考え方が報告されている(例えば、非特許文献1又は2参照。)。しかしながら、実際の浸出工程において電位等の条件を黄銅鉱浸出に最適な状態に保つための具体的な方法は示されていない。
以上の状況から、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から、浸出速度を高めてかつ高浸出率で銅を浸出できる経済性の高い方法が求められている。
米国特許第5730776号明細書 エヌ・ヒロヨシ(N.Hiroyoshi),外3名,ハイドロメタルジー(Hydrometallurgy),(オランダ),2000年,第57巻,p.31−38 エヌ・ヒロヨシ(N.Hiroyoshi),外3名,ハイドロメタルジー(Hydrometallurgy),(オランダ),2001年,第60巻,p.185−197
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から、浸出速度を高めてかつ高浸出率で銅を浸出する効率的な方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を浸出する方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記硫化銅鉱に特定の添加物を混合して、特定の条件に調整した硫酸鉄水溶液を添加したところ、銅の浸出速度を高めてかつ高浸出率で銅を浸出することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を浸出する方法であって、
前記硫化銅鉱に、該硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して1〜5倍量の黄鉄鉱と0.1〜2.0倍量の石炭(固定炭素30〜95%)とを混合した後、得られた混合物に、鉄濃度を1〜20g/L、pHを1.0〜2.5に調整した硫酸鉄水溶液を添加し、かつ該硫酸鉄水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を380〜420mVに調整することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法が提供される。
本発明の黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法は、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から、銅の浸出速度を高めてかつ銅を高浸出率で浸出することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法を詳細に説明する。
本発明の黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法は、黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を浸出する方法であって、前記硫化銅鉱に、該硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して1〜5倍量の黄鉄鉱と0.1〜2.0倍量の固定炭素含有材料とを混合した後、得られた混合物に、鉄濃度を1〜20g/L、pHを1.0〜2.5に調整した硫酸鉄水溶液を添加することを特徴とする。
本発明において、硫化銅鉱と、該硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して1〜5倍量の黄鉄鉱及び0.1〜2.0倍量の固定炭素含有材料との混合物を、所定の条件の硫酸鉄水溶液で浸出することが重要である。これによって、黄銅鉱は、硫酸水溶液中において、特定の酸化還元電位領域で反応し、高速浸出されることになる。ここで、硫酸水溶液中における黄銅鉱は、ある酸化還元電位領域において、下記の反応式(1)と(2)に示される2段階の反応にしたがって浸出される。
CuFeS+3Cu2++3Fe2+=2CuS+4Fe3+ (1)
CuS+4Fe3+=2Cu2++S+4Fe2+ (2)
すなわち、まず、式(1)に基づいて、低酸化還元電位域において黄銅鉱が還元され、より酸化溶出速度が高い輝銅鉱が反応中間体として生成する。その後、式(2)に基づいて、輝銅鉱が酸化されて銅が溶出する。このような反応機構が成立するためには、溶液の酸化還元電位Eが下記の式(3)を満足することが必須条件である。
Eox<E<Ec (3)
(式中Ecは式(1)の酸化還元電位を、Eoxは式(2)の酸化還元電位を表す。)
上記反応機構について、反応の速度と酸化還元電位(以下、電位と略称する場合がある。)の関係、及び本発明に係る黄鉄鉱と固定炭素含有材料の共存の効果を、図面を用いて詳細に説明する。
図2は、黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を示す。
図2より、式(3)の条件が満たされる場合、黄銅鉱は還元され、より酸化溶出速度の高い輝銅鉱を反応中間体として生成し、その輝銅鉱が酸化溶出するため高速浸出される。すなわち、Ecの近傍では、黄銅鉱還元反応(CuS生成反応:R)とCuS酸化反応(O)のうち、黄銅鉱の還元反応が全過程を律速するので、銅の溶出速度Kは電位の低下に伴って高くなる。一方、Eoxの近傍ではCuS酸化反応が律速段階となり、銅の溶出速度Kは電位の上昇に伴って高くなる。従って、黄銅鉱還元反応(R)とCuS酸化反応(O)が交わる電位(Eop)で銅の溶出速度は最大となる。また、Ec<Eの場合、黄銅鉱酸化反応(D)により直接黄銅鉱から銅が溶出するため、銅の溶出速度は低くなる。
図3は、黄鉄鉱(FeS)が共存する場合の黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を示す。 図3より、黄銅鉱の還元反応は促進され、新たな黄銅鉱還元反応(R’)に示されるように、銅の溶出速度KはEopにおいて上昇する。なお、浸出促進のメカニズムは確定できないが、黄鉄鉱は電位が高くなると黄鉄鉱自体が酸化され、2価のFeを供給すると考えられる。これにより、溶液電位も最適値付近に安定する。
図4は、固定炭素含有材料が共存する場合の黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を示す。
図4より、輝銅鉱酸化反応(O)が促進され、新たな、輝銅鉱酸化反応(O’)に示すように、銅の溶出速度KはEopにおいて上昇する。
ここで、固定炭素含有材料は、2価のFeを3価のFeに酸化する触媒として働き、また、溶液電位が下がりすぎた場合には、これを最適値付近に戻す作用がある。また、同じ電位においても浸出速度が高くなるのは、黄銅鉱溶解反応の生成物の1つであるHSを吸着除去することにより、溶解反応を促進するためと考えられる。
以上より、黄鉄鉱、固定炭素含有材料はいずれも溶液電位を黄銅鉱の浸出に適した範囲に維持することによって、浸出を促進する役割があることが分る。
また、図5は、浸出促進剤として黄鉄鉱と固定炭素含有材料がともに共存する場合の黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を示す。図5より、これらを同時に添加した場合には、黄鉄鉱が黄銅鉱還元反応を加速し、一方固定炭素含有材料が輝銅鉱酸化反応を加速することによる相乗効果が発揮されることが分る。
本発明の原料に用いる黄銅鉱を含む硫化銅鉱としては、特に限定されるものではなく、含有される銅鉱物の一部あるいは大部分が黄銅鉱である硫化銅鉱、又は該硫化銅鉱から浮選等によって銅鉱物が濃縮された銅精鉱が用いられる。
上記硫化銅鉱は、銅鉱物の大部分を露出させるため、破砕されて用いられる。破砕の方法としては、採掘時の発破や各種の破砕機によって行われる。ここで、破砕産物の粒度は、特に限定されるものではなく、原料鉱石の性状や採算性を総合的に判断して最適な粉砕粒度を選択すればよい。対象が銅精鉱である場合には、既に細粒となっているので粉砕は不要である。
本発明に用いる黄鉄鉱としては、特に限定されるものではなく、天然の鉱物、それを含む鉱石又はそれを濃縮した精鉱が用いられる。ここで、上記黄鉄鉱の粒度は、特に限定されるものではないが、浸出促進剤としての効果を充分発揮するため、粉状に破砕されたものが好ましい。例えば、黄鉄鉱精鉱は、既に細粒となっているので粉砕は不要である。
上記黄鉄鉱の添加割合は、硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して1〜5倍量、好ましくは3〜4倍量である。すなわち、添加割合が1倍量未満では、浸出促進剤としての効果を充分発揮できない。一方、添加割合が5倍量を超えると、浸出残渣の量が増えるといった不都合がある。なお、黄鉄鉱の最適量は、硫化銅鉱の組成及び粒度により異なるため、その都度予備試験を行うことによって、対象硫化銅鉱に対して上記範囲内で最適量を決定することができる。
本発明に用いる固定炭素含有材料としては、特に限定されるものではなく、HSを吸着することができる炭素やその化合物からなる官能基を有する構造を持つ固定炭素含有材料が用いられ、例えば、活性炭(固定炭素90%以上)、石炭(固定炭素30〜95%)、コークス(固定炭素75〜85%)、木炭(固定炭素約85%)等が挙げられる。この中で、経済性を考慮すると活性炭又は石炭が好ましい。
上記固定炭素含有材料の粒度は、特に限定されるものではないが、浸出促進剤としての効果を充分発揮するため、粉状に破砕されたものが好ましい。例えば、75μm以下のものが用いられる。
上記固定炭素含有材料の添加割合は、硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して0.1〜2.0倍量、好ましくは0.2〜1倍量である。すなわち、添加割合が0.1倍量未満では、浸出促進剤としての効果を充分発揮できない。一方、添加割合が2倍量を超えると、コスト高になり経済性が損われる。固定炭素含有材料の最適量は、硫化銅鉱の組成及び粒度により異なるため、その都度予備試験を行うことによって、対象硫化銅鉱に対して上記範囲内で最適量を決定することができる。
本発明に用いる硫酸鉄水溶液は、硫化銅鉱から銅を溶出させるための浸出液である。通常は、浸出生成液から銅を回収した後の浸出循環液、例えば溶媒抽出で発生する抽出残液等、に所定の調整を施して用いる。
上記硫酸鉄水溶液の鉄濃度は、1〜20g/Lに、好ましくは5〜10g/Lに調整される。すなわち、鉄の濃度が高いほど銅の浸出速度が高くなるが、1g/L未満では、銅の浸出速度が低下し、回収の効率が低下する。一方20g/Lを超えると、液の粘性の増大や不溶性鉄化合物の析出が多くなり、浸出の妨げとなる。
上記硫酸鉄水溶液の鉄濃度の調整方法は、特に限定されるものではなく、硫酸第一鉄及び/又は硫酸第二鉄を水溶液又は浸出循環液に添加して行うのが好ましい。ここで、添加する硫酸鉄の形態は、該硫酸鉄水溶液の電位に大きく関わるので、電位の調節が容易な方を適宜選択する。
上記硫酸鉄水溶液の添加量は、特に限定されるものではなく、少なくとも硫化銅鉱全体に十分に行き渡る量を添加するが、使用する反応容器の形状、あるいは浸出以降の下流工程の状況等に合わせて適宜調整する。この中で、浸出液の量が多すぎると得られる浸出貴液(浸出生成液)の濃度が薄くなりすぎて下流工程の溶媒抽出等における効率が低下するので、硫化銅鉱の20倍以下が好ましい。
上記硫酸鉄水溶液のpHは、1.0〜2.5に、好ましくは1.5〜2.0に調整される。すなわち、pHが1.0未満では、酸の消費量が増大し経済的に不利となるほかに、浸出工程の下流工程で一般的に実施される溶媒抽出での抽出率の低下を引き起こす等の問題が生じる。一方、pHが2.5を超えると、銅の浸出速度が低下し、また不溶性鉄化合物が沈殿して浸出反応が妨げられるという問題が生じる。上記pHの調整方法は、特に限定されるものではなく、硫酸、塩酸等の鉱酸を水溶液又は浸出循環液に添加して行うが、特に経済性から安価な硫酸を用いることが好ましい。
本発明で浸出方法において、浸出反応の制御のため、反応槽内の浸出液のpHと電位を一定期間毎に測定する。ここで、前記浸出液の電位は銅鉱物自体の還元力により徐々に低下するが、通常、空気から溶け込む酸素の酸化力によってある一定値に保たれる。上記反応槽内の浸出液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)は、特に限定されるものではなく、好ましくは350〜450mVに調整され、より好ましくは380〜420mVに調整される。
上記酸化還元電位の調整方法は、酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が350mV未満の場合には反応槽内の浸出液の一部を抜き取り、硫酸第二鉄を含む新規の硫酸鉄水溶液を補充することによって電位を上昇させる。一方、酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)が450mVを超える場合には、同様に浸出液の一部を抜き取り、硫酸第一鉄を含む新規の硫酸鉄水溶液を補充して電位を下降させる。補充する硫酸鉄水溶液の液量及び鉄濃度は、反応槽内の浸出液の電位と鉄濃度が上記の範囲に維持されるように適宜調節する。
本発明において、硫化銅鉱、黄鉄鉱及び固定炭素含有材料の混合物に、上記硫酸鉄水溶液を添加して浸出工程が行われるが、浸出方式としては、特に限定されるものではなく、反応槽内で撹拌しながら浸出する方法、ヒープリーチング法、バットリーチング法又はカラムリーチング法のいずれかが用いられる。
上記浸出工程から銅を含んだ貴液を取り出す方法としては、反応槽内の浸出液の補充操作によって断続的に回収する方法、少量ずつの浸出液を連続的に回収する方法、全ての貴液を一度に回収する方法等が行われるが、下流工程の形態と能力に適したものを適宜選択することができる。また、上記貴液から銅を回収する方法としては、溶媒抽出と電解採取により電気銅を生産する方法が一般的に行われているが、本発明の方法で回収された貴液は、この方法の適用に好適である。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属、鉱物割合及び固定炭素の分析方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)鉱物割合の分析:顕微鏡観察によって求めた。
(3)固定炭素の分析:JIS K 2425によって求めた。
また、実施例及び比較例で用いたチリ産銅精鉱の化学分析値と鉱物割合を表1に示す。表1より、前記銅精鉱は含有される銅のほぼ全てが黄銅鉱であることが分る。
Figure 0004232694
また、固定炭素含有材料として、実施例及び比較例で用いた活性炭及び石炭の固定炭素の分析値を表2に示す。
Figure 0004232694
また、実施例及び比較例で用いた黄鉄鉱は、FeSとして99重量%であった。
参考例1
原料として、上記銅精鉱を、微生物を滅菌するためアルコール洗浄した後、滅菌室内で自然乾燥させたものを使用した。浸出液としては、硫酸第一鉄(試薬特級)を水に溶解して、鉄濃度を5g/Lとしたものを使用した。なお、浸出液のpHは、希硫酸を滴下して1.5に調整した。
まず、容量300mLのフラスコ内に、上記銅鉱物4g(銅精鉱4.5g)と、浸出促進剤として、上記黄鉄鉱16g及び上記活性炭4gを計り取り、その中に、浸出液100mLを加えた後、フラスコの口にスポンジ性の栓を施した。浸出条件を一定とするため、30℃に調節した恒温室に設置した振とう機にフラスコを固定し、回転速度120rpmで旋回振とうした。
1週間後にフラスコを取り出し計量し、蒸発した水分を補給した。その後、固形物を十分沈降させてから、上澄液50mLを採取して分析用試料とした。残った試料溶液に、希硫酸を滴下してpHを1.5に調整し、上記浸出液50mLを新たに補充して、再び振とうした。
この操作を1週間毎に繰り返し、浸出を継続した。なお、試薬類、浸出液の調整に使用するガラス器具、ピペット等は全て滅菌処理したものを使用し、細菌の混入が起こらないように十分配慮した。その後、前記分析用試料を用いて、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。結果を図1に示す。
(実施例2)
浸出促進剤として上記黄鉄鉱16gと上記石炭4gを用いたこと、及び用いた銅鉱物の物量が10gであったこと以外は、参考例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。結果を図1に示す。
(比較例1)
浸出促進剤として上記活性炭4gのみを用いたこと、及び用いた銅鉱物の物量が10gであったこと以外は、参考例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。結果を図1に示す。
(比較例2)
浸出促進剤として上記黄鉄鉱16gのみを添加したこと以外は、参考例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。結果を図1に示す。
(比較例3)
浸出促進剤として上記石炭4gのみを添加したこと、及び用いた銅鉱物の物量が10gであったこと以外は、参考例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。結果を図1に示す。
(比較例4)
浸出促進剤を添加しなかったこと、及び用いた銅鉱物の物量が10gであったこと以外は、参考例1と同様に行い、その後、銅の分析を行いCu浸出率の推移を求めた。結果を図1に示す。
図1より、実施例2では、黄鉄鉱及び石炭(固定炭素30〜95%)の添加で、本発明の方法に従って行われたので、銅の浸出速度を高めてかつ高浸出率で浸出することができることが分かる。これに対して、比較例1〜4では、黄鉄鉱又は石炭(固定炭素30〜95%)の添加がこれらの条件に合わないので、銅の浸出速度によって満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の黄銅鉱を含む硫化銅鉱の浸出方法は、銅精錬分野で利用される銅鉱物の浸出方法として好適である。特に黄銅鉱が主たる銅鉱物である難浸出性の銅鉱石から、高浸出率で銅を溶出させる方法として有用である。
実施例と比較例で得られたCu浸出率の推移を表す図である。 黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を表す概念図である。 黄鉄鉱共存下の黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を表す概念図である。 固定炭素含有材料共存下の黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を表す概念図である。 黄鉄鉱と固定炭素含有材料共存下の黄銅鉱の溶出速度と電位の関係を表す概念図である。

Claims (1)

  1. 黄銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を浸出する方法であって、
    前記硫化銅鉱に、該硫化銅鉱中の銅鉱物の全重量に対して1〜5倍量の黄鉄鉱と0.1〜2.0倍量の石炭(固定炭素30〜95%)とを混合した後、得られた混合物に、鉄濃度を1〜20g/L、pHを1.0〜2.5に調整した硫酸鉄水溶液を添加し、かつ該硫酸鉄水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極規準)を380〜420mVに調整することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法。
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