JP3790152B2 - 硫化銅鉱石からの銅の浸出方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は,硫化銅鉱石中の銅の浸出方法に関する。
【0002】
【従来技術】
鉱石から有価金属を回収する場合、対象鉱物を酸等により浸出して回収する湿式製錬法がある。これは、加熱溶融して金属を回収する乾式法に比較して、温度が低い、規模を任意に決定できる、副生成物が溶液もしくは残さのみに固定されるため副生成物がガスで出ることの多い乾式法に比較して公害を出しにくい、等の利点があり、鉱山近傍での製錬に適していると言われている。
湿式製錬における金属の浸出にはインシチュリーチング法(in-situ leaching)、ヒープリーチング法(heap leaching)、バットリーチング法(vat leaching)、撹拌リーチング法(agitation leaching)等があり、対象鉱に対し適切であり、最も経済的であると考えられる方法が採用される。
【0003】
インシチュリーチング法は採鉱跡あるいは鉱床中に直接浸出液を散布する方法である。ダンプリーチング法あるいはヒープリーチング法は採掘鉱を粉砕後、浸出液と混合・撹拌して浸出する方法である。低品位銅鉱の浸出処理ではダンプリーチング法やヒープリーチング法を採用することが一般的である。この場合、酸化銅鉱の硫酸浸出では浸出日数が1〜2ヶ月で約90%の銅浸出率を得ることができる。しかし、硫化銅鉱では浸出日数1年であっても初生銅鉱(黄銅鉱等)では銅浸出率は30%以下、二次硫化銅鉱(輝銅鉱、銅藍)では約40%であり、低浸出速度のため、経済的な処理ができない。
浮選等の処理を施した精鉱では、銅品位が高くなっているため、撹拌リーチング法を用いることが多い。ただし、この場合も鉱石の種類によっては浸出速度が遅く、経済的な処理ができないことが多い。
とくに初生銅鉱の黄銅鉱は、浸出時に発生する元素硫黄で鉱石表面が覆われ、反応が停止することが多く、硫酸を主体とする溶液中では非常に遅い浸出速度となっている。
【0004】
このため、硫化銅鉱浸出に関していくつかの浸出方法が検討されている。
その一つとしてバクテリアを用いる方法がある。バクテリア浸出に用いられるバクテリア種はThiobacillus ferrooxidans(鉄酸化菌)、Thiobacillus thiooxidans(硫黄酸化菌)等が知られている。
【0005】
しかし、これらの菌は40度以下の比較的低温で生息するため、硫化銅鉱の中でも溶けやすい二次硫化銅鉱の浸出には有効であるが、初生銅鉱では浸出速度が遅く経済的な処理ができないとされている。
そこで、より高温で生息するSulfolobus属の細菌を利用して初生銅鉱を浸出する方法が報告されている。例えば、オーストラリア特許 AU199859647等に70℃から80℃で生息するSulfolobus属の細菌を利用して硫化銅鉱を浸出する例が報告されている。これらの菌は硫黄を酸化する能力を持っており、鉱石表面に生成した元素硫黄を酸化して取り除いていると考えられている。さらに、一部の菌には溶液中のFe2+をFe3+に酸化する能力を持っているとされている。
【0006】
細菌を利用する利点としては、酸化反応に対する触媒として安価である、自己増殖するので補給が不要である等が挙げられる。
【0007】
しかし、細菌の有する機能を有効に利用する上では,温度、pH、銅濃度、鉄濃度といった浸出速度を左右する基本条件を菌の生息範囲に設定・維持する必要がある。また、このようなバクテリアリーチングにおいては,硫黄酸化に伴う硫酸生成が不可避であり,硫酸をなんらかの形で処分あるいは有効に利用する必要がある。
【0008】
一方、菌を使わずに初生銅鉱を浸出する方法としていくつかの方法が報告されている。
溶液を硫酸にこだわらない場合には、塩酸を含んだ系での浸出が多く報告されている。これは、溶液中に塩酸が含まれている場合、黄銅鉱の表面への硫黄の付着が少なく、浸出反応を抑制することなく、速く浸出が進むためである。
例えば、特願平6-501887では、塩素および臭素を含む溶液で銅鉱物を浸出する方法が示されている。この方法では、BrCl2 ーというハロゲン錯体が形成され、この錯体の高い酸化電位で金の様な貴な金属まで溶解することが可能とされている。また、銅は溶液中に1価で存在させることが可能であるため、硫酸溶液のように2価で電着させるよりも電気量を半分ですませることができる利点を持つ。
しかしながら、ハロゲンは極めて腐食性が高いため、設備に高耐食性の部材を使用する必要があるという欠点を持っている。また、浸出液を繰り返し使用した場合に蓄積する不要イオンを排出する浄液技術の開発が必要になる。
【0009】
これに比較して、硫酸の場合には、乾式製錬後に行われる電解製錬工程において硫酸浴が用いられているため、設備や浄液技術は広く研究開発が行われており、公知の技術の適用で大きな問題が無い。また、硫酸では溶媒抽出後に電解採取する技術も広く用いられており、この技術が容易に適用できる利点もある。
そこで、塩酸を使用しない硫酸のみでの浸出方法が検討されている。
そのひとつに加圧して液温および溶存酸素量を増加させて、溶解速度を高める方法がある。
ところが、この方法でも、元素硫黄が生成する条件では黄銅鉱の表面を硫黄が覆ってしまい、反応速度が途中から極端に遅くなる。これを回避するためには、やはり塩素イオンの添加が有効であるが、前述の通り、塩素イオンが混入することは、望ましくないため、問題が多い。
また、アメリカ特許5,730,776では加圧浸出時に炭素材料を共存させて硫黄の付着を回避する方法が紹介されている。
ただし、さらに高温、高圧として、硫黄が酸化する条件にすると、速い反応速度で浸出が可能であると報告されている。しかしながら、硫酸が生成するためその硫酸を処分する必要がある。
また、加圧する場合、耐圧性の高価な容器が必要となり、初期投資が高くなる欠点を有する。とくに、塩素を添加した場合は耐食性を持った耐圧容器が必要になり、大きな問題であった。
【0010】
また、酸化剤にFe3+イオンを用いる方法についても広く検討されている。この方法では,銅鉱石の溶解に当量分のFe3+イオンが必要であり,銅を大量に溶かすため,高濃度のFe3+イオンの存在下で浸出が行われていた。しかし,その結果、元素硫黄による鉱石表面被覆により反応が停止し、浸出時間を長くしても高い浸出率が得られなかった。このことから、単純に硫酸にFe3+イオンを添加した系では黄銅鉱は浸出できないと言われていた。
ただし、近年、Fe3+イオンとFe2+イオンの濃度比を調整して溶液電位を適切な値に保つことで初生銅鉱を浸出することができることが報告されている。
これは、電位が高すぎると元素硫黄が鉱石表面を被覆して反応を阻害されるのに対して、適切な電位域では硫黄が鉱石に付着しにくくなるためであるとされている。また,一説には、このような適切な電位域では輝銅鉱等の硫化鉱が中間体として生じ,元素硫黄の被覆に伴う反応阻害が生じないともいわれている。
しかし、この場合、電位を調整することが難しく、容易に浸出に利用することはできなかった。
【0011】
例えば、特許 PCT/GB97/00585 では、浸出槽の溶液電位を一定にするために、酸素供給をコントロールする方法や、別槽でFe2+イオンをFe3+イオンに酸化した後に浸出槽に戻す方法等が報告されている。
ところが、局部的にでも電位が高くなってしまうと鉱石表面を硫黄が覆ってしまい、その鉱石の浸出速度が低下する。一度硫黄に覆われた鉱石は、電位が適正電位に戻ったとしても浸出することは無く、未反応で残留することになる。
このことから、黄銅鉱の硫酸浴での浸出は難しく、特に硫黄を酸化せずに元素硫黄として残したまま浸出することは、工業的に達成されていない。
【0012】
:
【発明が解決しようとする課題】
そこで、硫酸溶液で浸出する方法において、初生銅鉱を短時間で効率良く浸出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、初生銅鉱を硫酸溶液で簡便に浸出すべく、浸出条件に注目し、鋭意研究を重ねた結果、硫酸溶液に酸化鉄もしくは水酸化鉄を固体で共存させることで初生銅鉱を浸出させることが可能なことを見出した。
すなわち
(1)黄銅鉱を主体とする鉱物の浸出方法において、硫酸溶液中に酸化鉄及び又は水酸化鉄を固体で共存させ、沈殿酸化鉄の鉄総量が15 g/L 相当以上である液に、酸素及び又は空気を吹き込み、溶液電位を400〜460mVに保持することにより硫化銅鉱石中の銅を大気圧下60から100℃、p H を2以下に制御し、銅を94%以上浸出することを特徴とする硫化銅鉱石からの銅の浸出方法。
【0013】
:
【0014】
【作用】
硫酸溶液中に酸化鉄もしくは水酸化鉄を共存させると、固体中の鉄が溶液中に溶け出し、Fe3+イオンとなる。このFe3+イオンは、酸化剤として働き、初生銅鉱を溶解するとともに、Fe2+イオンに還元される。Fe2+イオンは、液中の酸化鉄もしくは水酸化鉄および銅イオンの触媒作用により、溶存酸素によってふたたびFe3+イオンに酸化される。
Fe3+イオンの濃度は鉄沈殿と溶存酸素濃度および還元剤となる鉱石との間で平衡的に安定化される。
【0015】
すなわち、酸化鉄もしくは水酸化鉄等の鉄沈殿が溶液中に共存することによって、溶液中に安定にFe3+イオンを存在させることが可能になる。鉄沈殿が共存せず、鉄イオンだけの場合では、上記の反応が安定に進まない。
鉄沈殿が存在せず、鉄イオンのみが存在した場合、溶液電位は溶存酸素濃度と還元剤である硫化鉱濃度等により大きく変化するため、硫化鉱が溶解するのに適した溶液電位から逸脱することがある。電位が低くなりすぎると溶解反応は停止するし、電位が高くなりすぎると黄銅鉱の場合、表面に硫黄が付着してしまい、反応速度が著しく低下することになる。特に電位が高くなって硫黄が付着した場合にはその後に電位を低く調整しても溶解速度を高めることができない可能性もある。
ところが鉄沈殿が共存する条件では、溶液電位が高くなった部分ではFe3+が鉄沈殿になる反応が進み、溶液電位の過度な上昇が防がれる。また、溶液電位が低くなった部分では鉄沈殿からFe3+が溶解してきて電位の過度の低下が防がれる。
すなわち、鉄沈殿の存在により、急激な電位変化を抑制することが出来る。
また、鉄沈殿はFe2+からFe3+への酸化に対して触媒的に作用し、自らの溶解によってもFe3+を液相中に供給するので、その存在下では従来言われてきたように鉱石と当量のFe3+を液相中に存在させる必要は無く、極めて低いFe3+濃度の下で浸出反応が進む。酸化剤には溶存酸素が使われ、これを供給するためにエアレーションが有効である。
このことより、酸化鉄もしくは水酸化鉄を共存させた硫酸溶液は、初生銅鉱の浸出には非常に適した条件であるといえる。
【0016】
このときの、Fe3+イオン、Fe2+イオンの比率は、溶存酸素濃度、pH、温度、還元剤として働く銅鉱石量といった条件で変化する。
Fe3+イオンとFe2+イオンの比率は溶液の酸化還元電位と相関があるため、ORP電極等を用いて簡便に測定することができる。代表的な初生銅鉱である黄銅鉱の場合は、ORP電位を400〜460mVに調整すると浸出速度が速いことが知られているので、前述の条件を調整することで、速い浸出速度が得られる。
【0017】
溶液中に存在する鉄沈殿には酸化鉄、水酸化鉄が考えられ、これらは溶液環境によって形態が変化する。例えば、溶存酸素が充分に供給され、溶液電位が高く維持された場合は酸化鉄のヘマタイトの形態で溶液中に存在することが多くなり、電位が低い場合には水酸化鉄が存在する様になる。例えば、常温におけるpH−電位図をみると、pH1近傍において0.01mol/L(約0.55g/L)の鉄イオンが存在する場合,鉄イオンと酸化鉄Fe2O3の平衡電位は450mV vs Ag/AgCl程度であり、ちょうど浸出に適した電位となる。実際の溶液においては、温度、鉄イオン濃度、溶存酸素濃度、等が変わるため、必ずしもこのpH-電位図の通りになっているとは言えないが、硫酸50g/Lの溶液中にFe2O3を共存させて酸素吹き込みで浸出した場合にはpHは1から1.2程度、電位は440から480mV vs Ag/AgCl程度に安定する。
しかし、ここで重要なのは鉄沈殿が共存する条件であり、その沈殿が平衡的に働くのであれば、その形態を必ずしもFe2O3に限定するものではない無い。
【0018】
また、硫化鉱の浸出反応は、発熱反応であるため、その反応速度や抜熱速度によっては本発明における浸出中に加熱の必要が無い場合がある。特に、浸出槽の大きさが大きくなると体積に比較して槽の表面積が小さくなるため、抜熱量が少なくなり、より有利である。
浸出後液の鉄濃度は、前述の鉄沈殿と溶液中の鉄イオンの平衡で決まり、それに影響する条件として、温度、溶存酸素、pH等が考えられる。浸出後液の鉄濃度は低いほうが好ましいため、これらの条件をできるだけ鉄沈殿側にすることが望ましい。これらの内、溶存酸素は吹き込む空気量や空気中の酸素分圧で容易に調整できる。溶存酸素濃度が高くなると鉄沈殿と鉄イオンの平衡は鉄沈殿側に傾くため、溶存酸素濃度を高める方が浸出としては有利になる。
【0019】
浸出後液は鉄沈殿および浸出残さを固液分離した後、浸出液として取り出す。
本発明により得られる浸出後液は、硫酸、銅、鉄を主成分とする酸性溶液であるため、従来より用いられているSXEW(溶媒抽出、電解精製)技術を容易に適用できる。さらにSXEW後の銅濃度の低下した硫酸溶液をそのまま浸出液として使用できることから、本発明はSXEW技術との親和性が高いといえる。ただし、これ以外の銅採取方法を除外するものではなく、例えば蒸発濃縮による硫酸銅としての回収や、浸出後液をそのまま浄液して電解採取してもかまわない。
【0020】
浸出残さには金、銀といった貴金属および元素硫黄、鉄沈殿が含まれるが、この内の鉄沈殿は浸出反応に必要な量だけ繰り返し使用することが可能である。それ以外の成分は固液分離後、貴金属はシアン浸出法等を使用して回収する。
【0021】
本発明では、浸出中に鉄沈殿と鉄イオンが共存することが重要であるが、浸出初期に必ずしも鉄沈殿を加える必要は無い。例えば、硫酸鉄の様にイオンの形で添加して浸出中に鉄沈殿を形成させてもかまわない。また、黄銅鉱や黄鉄鉱の様に鉄を含む硫化鉱石を浸出させることで鉄を供給し、鉄沈殿を生成させても良い。
【0022】
また、硫酸アンモニウムやカリウムイオン等を添加して溶液中の鉄イオンを一度ジャロサイト等の鉄沈殿とさせることでその後、安定に反応が進むことがある。硫酸アンモニウム等は細菌の栄養源ともなるので,この場合,鉄沈殿と細菌を共存させて浸出を行うこともできる。
【0023】
pHは、高すぎると鉱石中の銅がイオンになりにくくなるため、一定値以下が望ましい。特にpH2以上になると、銅の浸出速度が極端に低下するため、pHは2以下に制御することが望ましい。
【0024】
実施例
以下に実施例を持って本発明を説明する。
実施例1
以下の組成の浸出液、沈殿および鉱石を用いて浸出を行った。
【0025】
【0026】
その結果、4日の浸出で銅の浸出率94%を得た。浸出中の液は黄色もしくは赤色の鉄の沈殿が懸濁した状態であり、そのときの溶液電位は420〜460mVの間で推移していた。すなわち、鉄沈殿の共存によって、浸出液の電位が黄銅鉱の浸出に適した電位範囲とすることができ、結果的に硫化銅鉱すべてを浸出することが可能になった。
【0027】
実施例2
以下の組成の浸出液、沈殿および鉱石を用いて浸出を行った。
【0028】
その結果、4日の浸出で銅の浸出率96%を得た。鉄イオンを浸出液に添加した状態であっても、鉄沈殿が共存することにより、電位が急激に変化することなく、浸出が継続できる。
【0029】
比較例1
以下の組成の浸出液、沈殿および鉱石を用いて浸出を行った。これは実施例1の条件で沈殿を加えない条件である。
【0030】
その結果、4日の浸出で銅の浸出率3%を得た。すなわち、鉄の共存なしには、酸素を吹き込んで溶存酸素濃度を上げただけでは、浸出は継続できない。
【0031】
実施例3
以下の組成の浸出液、沈殿および鉱石を用いて浸出を行った。これは、実施例1の酸素吹き込みを空気吹き込みに変更したものである。
【0032】
【0033】
その結果、4日の浸出で銅の浸出率66%を得た。さらに浸出を継続して7日の浸出で浸出率95%を得た。すなわち、純酸素を吹き込んで溶存酸素濃度を上昇させることで、浸出速度を高めることが可能である。ただし、通常の空気吹き込みでも、純酸素吹き込みに比較して遅い浸出速度ではあるが、浸出を継続することが可能である。
【0034】
実施例4
以下の組成の浸出液、沈殿および鉱石を用いて浸出を行った。これは実施例1の硫酸濃度を低下して、浸出中のpHを高めに調整したものである。
【0035】
【0036】
その結果、4日の浸出で銅の浸出率0%を得た。また、そのときのpHは2.5であった。さらに、ここに20g/Lの硫酸を加えて浸出を継続した結果、4日の浸出で銅の浸出率95%を得た。すなわち、高いpHの場合、銅の浸出が抑制される。ただし、充分な硫酸を供給し,適度なpHとすることで、浸出を継続することが可能である。
【0037】
実施例5
以下の組成の浸出液、沈殿および鉱石を用いて浸出を行った。これは実施例1の温度を低下したものである。
【0038】
【0039】
その結果、50℃では4日の浸出で銅の浸出率30%を、65℃では50%を、80℃では65%を得た。すなわち温度が高いほど浸出速度が速くなる。特に本発明では、菌を使用していないため、より速度の速い高温の条件を用いることが出来る。
比較例2
以下の組成の浸出液、沈殿および鉱石を用いて浸出を行った。これは実施例2の硫酸濃度を上げて鉄をすべてイオンの状態としたものである。
【0040】
【0041】
その結果、4日の浸出で銅の浸出率80%を得たが、その後浸出を継続してもそれ以上の浸出率は得られなかった。また、その浸出残さを電子顕微鏡で確認したところ、黄銅鉱の表面に硫黄が付着しており、浸出反応を抑制していることがわかった。すなわち、鉄沈殿が共存していない状態の場合、電位が高くなりすぎて黄銅鉱の表面に硫黄が付着してしまい、反応を抑制してしまう。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、銅鉱石から銅を容易に効率よく抽出することが出来銅の湿式製錬を行うために有意義な方法である。
Claims (1)
- 黄銅鉱を主体とする鉱物の浸出方法において、硫酸溶液中に酸化鉄及び又は水酸化鉄を固体で共存させ、沈殿酸化鉄の鉄総量が15 g/L 相当以上である液に、酸素及び又は空気を吹き込み、溶液電位を400〜460mVに保持することにより硫化銅鉱石中の銅を大気圧下60から100℃、p H を2以下に制御し、銅を94%以上浸出することを特徴とする硫化銅鉱石からの銅の浸出方法。
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