JP4904173B2 - 複数品種の缶体の製造方法および缶体の分別装置 - Google Patents

複数品種の缶体の製造方法および缶体の分別装置 Download PDF

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Description

この発明は、外周面の印刷内容が異なる複数品種の缶体を製造する方法、およびこの製造方法に用いる缶体の分別装置に関する。
金属製飲料用のDI缶と呼ばれる2ピース缶体は、例えば図8に示すラインで製造される(非特許文献1参照)。
アンコイラー(UC)においてコイルに巻いた金属製薄板を巻きほどきながらルブリケーター(LU)で潤滑油を塗布し、カッピングプレス(CP)によりブランク材を打ち抜くとともにカップ状素材に成形する。次に、ボディメーカー(BM)において、カップ状素材をDI加工等により所定厚さの側壁を有する缶体を成形するとともに底部を成形し、さらにトリマー(TR)において缶胴の上端の耳部を切り揃えて有底円筒状の基本形の缶体を製作する。次に、ウォッシャー(WS)で缶体を洗浄し、プリンター(PR)で缶体の外周面に印刷を行い、ボトムコーター(BTC)で缶底外面を塗装し、ピンオーブン(PO)で焼き付ける。外面印刷を行った缶体は、インサイドスプレー(INS)にて内面塗装を行い、ベークオーブン(BO)で塗装した内面を焼き付け乾燥させる。次に、ネッカー・フランジャー(QNF)で缶体の開口縁部の縮径およびフランジ加工を行い、ネジ蓋缶の場合は開口縁部の縮径後ネジ付け加工を行い、最終形状の缶体に成形される。製造された缶体は、ディフェクティブキャンテスター(DCT)で外観および印刷を検査し、ライトテスター(LT)で穴あき検査を行った後、パレタイザー(PT)で所定個数の缶体をパレットに積載する。上記製造ラインにおいて、ボディメーカー(BM)、トリマー(TR)、インサイドスプレー(INS)、ディフェクティブキャンテスター(DCT)は缶体1個当たりの処理時間が長いために、これらの工程では複数台の装置を備えて複数の缶体を並行処理することにより、缶体が特定の工程で滞留することなく円滑に製造される。
「SHOWA ALUMINUM CAN CORPORATION PROFILE」、昭和アルミニウム缶株式会社、2004年1月3日発行、p.12−13
近年、消費者の好みが多様化しているため、多品種の缶体が要求される。また、商品寿命も短くなり、その都度缶体の印刷内容も更新することになる。
上記製造ラインにおいて、缶体の印刷内容を更新するには、版の交換だけでなく、ラインからの前品種の払い出し、ロールの洗浄、新しい版の合わせ、色出し、インク交換等の作業が伴い、その間はラインを停止させなければならない。このため、商品数が多く商品寿命が短くなるほどラインの停止回数は多くなり、生産効率が悪くなる。
印刷内容を更新する場合でも、缶体の形状が共通であれば、2台の印刷機を用い、一方の印刷機がライン上で稼働している間に他方の印刷機で更新の準備作業を行い、準備が完了したら印刷機を切り替えることも考えられる。しかしながら、最終工程のパレタイザー(PL)ではパレット上に同一品種を積載しなければならないので、前品種を払い出すまでは印刷機を切り替えることができず、その間は時間ロスとなる。
本発明は、上述した技術背景に鑑み、印刷内容の異なる多品種の缶体を効率良く製造できる複数品種の缶体の製造方法、およびこの製造方法に用いる缶体の分別装置の提供を目的とする。
即ち、本発明の複数品種の缶体の製造方法は、下記[1]〜[10]に記載の各構成を有する。
[1] 金属製材料を筒状の素缶体に成形する基本成形工程と、
前記基本成形工程で成形した素缶体の外周面に、複数の印刷機を用いて複数品種の印刷を並行して行うとともに品種に対応する識別マークを印刷する印刷工程と、
前記印刷工程で印刷された複数品種の素缶体が混在した状態で缶体の仕上げを行う仕上げ工程と、
前記仕上げ工程で仕上げられた複数品種の缶体に対し、印刷された識別マークを検出して品種を識別し、識別結果に基づいて缶体を品種毎に分別する分別工程とを含むことを特徴とする複数品種の缶体の製造方法。
[2] 前記印刷工程において、複数の印刷機のうちの一部の印刷機を停止して品種変更のための準備作業を行い、準備が整った後に印刷工程に復帰させる前項1に記載の複数品種の缶体の製造方法。
[3] 前記分別工程は、缶体を進行方向に沿って等間隔で一列に整列させる整列工程と、前記整列工程で等間隔に整列させた缶体の列を進行させながら自転させる間に識別マークを検出して品種を識別する識別工程と、缶体の列を進行させながら、前記識別工程の識別結果に基づいて品種毎に缶体を列から分離する分離工程とを含む前項1または2に記載の複数品種の缶体の製造方法。
[4] 前記印刷工程と前記仕上げ工程との間に、素缶体の底部を塗装する底部塗装工程と、印刷および底部塗装した素缶体を焼付ける焼付け工程とを行う前項1〜3のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
[5] 前記基本成形工程において、金属製板材を打ち抜いたブランク材に絞り加工を施して浅いカップ状素材を形成し、このカップ状素材に対してしごき加工を施し、さらに上端の耳部を切り揃えて有底円筒状の基本形の素缶体を製作する前項1〜4のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
[6] 前記基本成形工程と前記印刷工程との間に、素缶体を洗浄する洗浄工程を行う前項1〜5のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
[7] 前記仕上げ工程は、素缶体の内面を塗装する内面塗装工程と、内面塗装された素缶体の内面を焼付ける内面焼付け工程と、缶体を最終形状に成形する仕上げ成形工程とを含む前項1〜6のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
[8] 前記仕上げ成形工程は、缶口を絞る縮径工程と、素缶体の開口縁部に閉塞部材を取り付けるための取付部を成形あるいは縮形された口部にねじ部を成形する工程とを含む前項7に記載の複数品種の缶体の製造方法。
[9] 前記分別工程後に、分別された缶体の良否を検査する検査工程を行い、次いで検査に合格した缶体をパレットに積載する積載工程を行う前項1〜8のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
[10] 前記仕上げ工程と分別工程の間に、仕上げられた缶体の良否を検査する検査工程を行い、分別工程後に前記検査工程に合格した缶体をパレットに積載する積載工程を行う前項1〜8のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
また、本発明の缶体の分別装置は下記[11][12]に記載の各構成を有する。
[11] 外周部に複数個の整列用ポケットが等間隔で設けられた回転盤と、前記整列用ポケット内への缶体の保持および切り離しを行う脱着装置とを有する整列部と、
外周部に複数個の自転可能な自転用ポケットが前記整列用ポケットと等しい間隔で設けられた回転盤と、前記自転用ポケット内への缶体の保持および切り離しを行う脱着装置と、前記自転用ポケット内で自転する缶体の識別マークを検出するとともに検出結果に基づいて品種を識別する検出器とを有する識別部と、
外周部に複数個の分離用ポケットが前記整列用ポケットと等間隔で設けられた回転盤と、前記分離用ポケット内への缶体の保持および切り離しを行う脱着装置とを有する分離部とを備え、
前記整列部の回転盤を回転させながら整列用ポケットに缶体を順次保持することにより缶体を等間隔で一列に整列させ、整列させた缶体を順次整列用ポケットから切り離して前記識別部の回転盤の自転用ポケットに乗り移らせて保持し、回転盤を回転させながら自転用ポケットを一回転以上自転させて缶体の品種を順次識別し、識別後の缶体を順次自転用ポケットから切り離して前記分離部の回転盤の分離用ポケットに乗り移らせて保持し、回転盤を回転させて品種毎に設定された位置に到達したときに分離用ポケットから缶体を切り離すものとなされていることを特徴とする缶体の分別装置。
[12] 前記識別部において、各自転用ポケットに対応して同数の検出器が回転盤の中心側に取り付けられている前項11に記載の缶体の分別装置。
上記[1]に記載の複数品種の缶体の製造方法によれば、基本成形工程で成形した素缶体に対して複数の印刷機で複数品種の印刷を並行して行った後、仕上げ工程は複数品種の缶体が混在した状態で行い、缶体を仕上げた後に品種を分別するので、複数品種を並行して製造することができる。また、一部の印刷機を停止しても他の印刷機が稼働しているため、ライン全体を停止させることなく他の印刷機で印刷された品種の缶体の製造が続行される。かかる工程により、複数品種の缶体を効率良く製造できる。
上記[2]に記載の複数品種の缶体の製造方法によれば、複数の印刷機のうちの一部の印刷機を停止して品種変更のための準備作業を行い、準備が整った後に印刷工程に復帰させることができる。この準備作業中も他の印刷機は稼働してラインが停止することなく缶体の製造が行われており、停止させた印刷機が復帰すれば再び複数品種の缶体を並行して製造できる。このような一部の印刷機の準備のための停止と復帰とを組み合わせることにより、多数品種の製造をさらに効率良く行うことができる。
上記[3]に記載の複数品種の缶体の製造方法によれば、複数品種の缶体を効率良く分別することができ、ひいては複数品種の缶体製造を効率良く行うことができる。
上記[4]〜[10]に記載の各複数品種の缶体の製造方法によれば、様々な工程を追加して複数品種の缶体を効率良く製造できる。
上記[11]に記載の缶体の分別装置は、[1]〜[10]に記載の缶体の製造方法における分別工程に好適に用いることができる。
上記[12]に記載の缶体の分別装置によれば、精度の高い識別を行うことができる。
図1は、本発明の缶体の製造方法を採用した飲料用アルミニウム缶の製造工程図である。以下に、図1を参照しつつ、複数品種のアルミニウム缶を製造する方法について詳述する。カッピングプレス(CP)以降の工程において、二重線または単線で接続されている工程はコンベアによる缶体移送を伴う工程であり、枠線が直結する工程は缶体を移送することなく連続して処理をする工程である。また、図2に参照されるように、二重線で示す移送は複数の缶体(S)を整列させることなく移動させるマスコンベア(1)による移送であり、単線で示す移送は缶体(S)を一列に整列させて移動させるシングルコンベア(2)による移送である。また、マスコンベア(1)からシングルコンベア(2)に移動させる場合は、入口側から出口側に向かって幅を縮小し、出口を缶体1個が通過する幅に設定したシングルファイラー(3)を介在させると、シングルファイラー(3)上を移動する間に缶体(S)は一列に整列し、整列した缶体(S)をシングルコンベア(2)に送り込むことができる。逆に、シングルコンベア(2)からマスコンベア(1)に移動させる場合は、シングルコンベア(2)から直接マスコンベア(1)に缶体を送り込めば良く、順次送り込まれる缶体(S)はマスコンベア(1)の幅方向に広がりながら移送される。図2は、図1のベークオーブン(BO)への導入からソーター(STR)への導入まで移送を例示したものであり、他の工程間のマスコンベア(1)およびシングルコンベア(2)による移動も同様にして行われる。
(1)アンコイラー(UC)において、コイルに巻いたアルミニウム薄板を巻き解きながら、ルブリケーター(LU)で成形加工のための潤滑油を塗布する。
(2)カッピングプレス(CP)において、円形のブランク材を打ち抜き、さらに絞り加工により浅いカップ状素材を成形する。
(3)ボディメーカー(BM)において、前記カップ状素材に対して絞り加工およびしごき加工を施して、周壁を所定厚さに成形する。さらに缶体の底部をドーム状に成形する。
(4)ボディメーカー(BM)による成形に続いて、トリマー(TR)において、周壁上部の耳部を切り揃える。これにより、円筒状の素缶体が成形される。
(5)ウォッシャー(WS)において、素缶体を洗浄し、加工のために塗布した潤滑油やその他の付着物を除去する。
(6)プリンター(PR)において、素缶体の外周面に所要の図柄および図柄に対応する識別マークを印刷する。2台のプリンター(PR)においてA、B2種類の異なる図柄を印刷する。
(7)ボトムコーター(BTC)において、缶底外面の接地部分を塗装する。
(8)ピンオーブン(PO)において、素缶体の外周面の印刷および缶底の塗装を焼き付ける。前記(6)工程の印刷から本工程までは缶体(A)と缶体(B)とを別ラインで行う。
(9)移送の間にシングルコンベアからマスコンベアに移し、素缶体(A)および素缶体(B)を混在させた状態でインサイドスプレー(INS)に送り込み、内面を塗装する。
(10)ベークオーブン(BO)において、素缶体(A)および素缶体(B)の内面塗装を焼き付ける。
(11)ネッカー・フランジャー(QNF)において、素缶体(A)および素缶体(B)の開口縁を縮径するともに、プレート状の缶蓋をかしめて取り付けるためのフランジを成形する。本工程により、最終形状の缶体(A)および缶体(B)が製作される。
(12)ソーター(STR)において、缶体(A)および缶体(B)の外周面に印刷された識別マークを検出し、検出結果に基づいて缶体(A)および缶体(B)を分別し、それぞれのラインに載せる。以降の工程は缶体(A)と缶体(B)とを別ラインで行う。
(13)ディフェクティブキャンテスター(DCT)において、缶体(A)および缶体(B)の外観および印刷の状態を検査し、不良品があれば取り除く。
(14)ライトテスター(LT)において、缶体(A)および缶体(B)の穴あきの有無を検査し、不良品があれば取り除く。
(15)パレタイザー(PT)において、検査に合格した缶体(A)および缶体(B)をパレットに積載する。
なお、図1に示すように、ボディメーカー(BM)、トリマー(TR)、インサイドスプレー(INS)、ソーター(STR)、およびディフェクティブキャンテスター(DCT)は、2台またはそれ以上の複数台の装置を用いてそれぞれの工程を実施している。これは、これらの工程の実施に時間がかかるため、1台のみで実施するとその工程によって全工程が律速されるためである。時間のかかる工程で複数の装置で並行して処理することにより、全工程をよどみなく進行させることができる。ただし、これらの装置でも、処理速度が速く複数台を必要としない場合は1台で良い。
上述した缶体の製造工程において、2台の印刷機で異なる内容の外周面印刷を行い、続いてそれぞれのラインで缶底印刷および外面の焼付けを行った(上記工程の(6)(7)(8))後、内面塗装、焼付けおよび仕上げ成形(上記工程の(9)(10)(11))は品種を混在させた状態で行う。これらの工程は印刷内容と関係なく行う同一の工程であり、異品種混在状態で実施することができる。このため、一方の印刷機の印刷内容を変更するためにその印刷機の稼働を止めても、他方の印刷機で印刷した缶体に対してその後の全て工程を通して行うことができる。停止させた一方の印刷機においては、印刷の版の交換や色出し等の準備が整えば、再び印刷機を稼働させて上記ラインに復帰させることができる。即ち、一方の印刷機の停止中も他方の印刷機によって印刷が行われ、ソーターによる品種の分別およびそれ以降の品種別の工程が行われている。このため、従来の製造ラインの品種変更に伴って必要であったラインに残った製品の払い出しを行う必要がない。また、印刷(プリンター:PR)と印刷後の連続工程である缶底塗装(ボトムコーター:BTC)および焼付け(ピンオーブン:PO)以外の装置は停止することなく稼働を続けているので、これらの装置の準備時間も不要である。これらの装置を再稼働させるためには若干の試験運転が必要となるからである。
また、3台の印刷機を用いればさらに製造ラインを効率良く稼働することができる。即ち、2台の印刷機で2品種の印刷を行う間に、ライン外の3台目の印刷機で印刷準備を行っておけば、任意のタイミングでライン上の印刷機の交換を行うことができる。勿論、ライン外で2台の印刷機を準備しておき、連続して2台の印刷機を交換することもできる。いずれの場合も製造ラインは連続的に稼働しており、ライン全体が完全に停止することはない。印刷機1台分の稼働となるのも、印刷機の交換に要する時間だけである。
以上は2品種の印刷を行う場合であるが、3品種以上の印刷を行う場合も同様の方法で行うことができる。また、上記例は1品種について1台の印刷機を用いたものであるが、1品種について2台以上の印刷機を用いることもできる。律速となる工程の装置台数を増やすことは他の工程と同じである。
前記ラインにおいて、アンコイラー(UC)、ルブリケーター(LU)、カッピングプレス(CP)、ボディメーカー(BM)およびトリマー(TR)で行う処理が本発明の基本成形工程であり、同様にウォッシャー(WS)で行う処理が洗浄工程、プリンター(PR)で行う処理が印刷工程、ボトムコーター(BTC)で行う処理が底部塗装工程、ピンオーブン(PO)で行う処理が焼付け工程、インサイドスプレー(INS)で行う処理が内面塗装工程、ベークオーブン(BO)で行う処理が内面焼付け工程、ネッカー・フランジャー(QNF)で行う処理が仕上げ成形工程、ディフェクティブキャンテスター(DCT)およびライトテスター(LT)で行う処理が検査工程、パレタイザー(PT)で行う処理が積載工程である。
また、本発明における仕上げ工程は、缶体を最終形状に仕上げるための仕上げ成形工程を含んでいる。例えば缶体を閉じる閉塞部材を取り付けるための取付部を成形する工程が仕上げ成形工程に該当する。上記製造例では、プレート状の缶蓋をかしめて取り付けるために、缶体の開口縁部の縮径とフランジ成形を示したが、缶体形状は上記例に限定するものではなく、缶体形状に応じて適宜仕上げ成形を行う。他の缶体形状としてネジ付キャップで閉塞する缶、所謂ボトル缶と称される缶体を例示できる。ボトル缶では缶体の開口縁部を縮径してネック部を形成し、ネジ加工用部分にネジ付け加工を施してねじ部を成形する。本発明における仕上げ成形は閉塞部材の取付部の成形やねじ部の成形に限定されるものではなく、印刷後に行う成形は仕上げ成形工程に含まれる。さらに、前記仕上げ成形工程前に行う内面塗装工程および内面焼付け工程の有無は任意であり、他の工程を追加することもできる。
また、本発明は印刷に供する素缶体の製造方法は例示した絞り加工およびしごき加工に限定するものではなく、任意の方法で素缶体を製作することができる。また、素缶体の形状は有底筒状に限定されず、筒体の一端に底部を取り付けるものであっても良く、底部の取付を仕上げ成形工程で行う場合も本発明に含まれる。さらに、上記製造例で基本成形工程と前記印刷工程との間に行った洗浄工程、印刷工程と仕上げ工程との間に行った底部塗装工程および焼付け工程、分別工程後に行う検査工程および積載工程の有無も任意である。また、前記検査工程は仕上げ工程と分別工程との間に行っても良く、検査工程で缶体の良否を検査してから検査に合格した缶体のみを分別し、分別した缶体を積載工程に送ることもできる。さらに、上述した工程以外の工程を製造ラインに追加することもできる。
上記工程において、ソーター(STR)の構成例を図3〜図5に示すとともに、その動作について説明する。
図3に示すように、ソーター(STR)は、缶体(A)および缶体(B)を混在状態で受け入れて整列させる整列部(10)と、缶体の品種を検出して識別する識別部(20)と、識別された缶体を品種毎に分離してそれぞれのラインへ送り出す分離部(40)とにより構成されている。
整列部(10)は、外周部に等間隔で18個のポケット(11)が設けられたスターホイール(12)を有している。前記ポケット(11)は、円弧状の保持部(11a)とこの保持部(11a)の一端から伸びる直線状の導入部(11b)からなる。また、図4に示すように、スターホイール(12)の中心側から放射状に配設された空気の給排管(13)は、先端部が保持部(11a)の側壁に連通接続され、側壁の内面に開口部(13a)を有している。前記給排管(13)に供給するエアは電磁弁(14)により真空と圧空とに切り替えられ、缶体(A)(B)の脱着を行う。即ち、真空側に切り替えると開口部(13a)から空気が吸引されて保持部(11a)内の缶体(A)(B)が吸着保持される。また、保持部(11a)内の缶体中心は、給排管(13)の延長線上からずれているため、電磁弁(14)を圧空側に切り替えて空気を送出すると、缶体(A)(B)は保持部(11a)から切り離されてスターホイール(12)の接線方向に送り出される。前記電磁弁(14)はオフ状態にすると空気の給排を行わず、保持も送り出しも行わない。
また、前記スターホイール(12)の外周部近傍に缶体導入用のコンベア(15)が配設されている。
識別部(20)は、前記整列部(10)のスターホイール(12)とは逆方向に回転する円盤状のメインターレット(21)を有している。前記メインターレット(21)の周縁部には、前記整列部(10)におけるポケット(11)の間隔と等しい間隔で24個のポケット(22)が設けられている。図5に示すように、これらのポケット(22)はベアリング(23)を介してメインターレット(21)に取り付けられ、外部から回転力を付与すると抵抗なく回転するものとなされている。また、ポケット(22)は、その底部に開口部(24a)を有する給排管(24)に連通接続され、整列部(10)と同様に電磁弁(25)による真空と圧空の切り替えにより、缶体(A)(B)の脱着を行うことができる。
前記メインターレット(21)の周方向の一部には自転領域(R1)が設定され、メインターレット(21)の外側にポケット(22)上の缶体を自転させるための自転装置(30)が設けられている。前記自転装置(30)は、自転用モータ(31)と3個の自転用プーリ(32)(33)(34)とを有し、自転用モータ(31)の回転を駆動用ベルト(35)で一つの自転用プーリ(32)に伝達し、3個の自転用プーリ(32)(33)(34)に掛けた自転用ベルト(36)を回転させるものとなされている。自転用ベルト(36)は、自転領域(R1)内のポケット(22)の側面に当接し、自転用ベルト(36)の回転に伴ってポケット(22)を回転させる。
前記メインターレット(21)の回転によって自転領域(R1)に到達したポケット(22)は前記自転装置(30)によって回転し、自転領域(R1)を過ぎるとポケット(22)の回転は停止する。即ち、メインターレット(21)に導入された缶体(A)(B)は、メインターレット(21)の回転により公転しつつ、自転領域(R1)内で自転装置(30)によって自転する。
一方、前記メインターレット(21)の中央部分にはポケット(22)と同数の検出器(26)が環状に配設されている。各検出器(26)は各ポケット(22)の対応位置に取り付けられ、対応するポケット(22)上の缶体(A)(B)の識別マーク(M)を検出して缶種の識別を行う。前記検出器(26)はメインターレット(21)上に固定され、缶体(A)(B)との位相のずれはないので検出エラーが少なく精度の高い品種識別を行うことができる。
さらに、前記自転領域(R1)の一部に識別領域(R2)が設定されている。識別領域(R2)内においては、缶体(A)(B)は1回転以上自転するように制御され、検出器(26)による識別マーク(M)の検出が行われる。検出器(26)は缶体(A)(B)の高さ方向の全体をその視野内に捉え、かつ缶体が1回転以上自転するので、識別マーク(M)が缶体(A)(B)のどこに印刷されていても確実に識別マーク(M)を検出することができる。
前記メインターレット(21)において、識別領域(R2)は検出器(26)の識別能力に応じて設定される。即ち、検出器(26)が識別できる缶体の自転速度に基づいて、その自転速度で缶体が360°自転する間にメインターレット(21)が回転する角度を計算する。このメインターレット(21)の回転角度が識別領域(R2)の下限値となるので、この角度以上の領域を設定する。上記実施形態では60°の領域を識別領域(R2)に設定している。また、缶体の周方向に複数の識別マーク(M)を印刷しておけば、識別領域(R2)をより狭く設定することもできる。さらに、検出器(26)が識別できる自転速度は、識別マーク(M)の形状によっても異なる。数種類を識別できれば足りるものから、バーコードのように膨大な種類の識別が必要なものがあるためである。
自転領域(R1)は識別領域(R2)よりも広い範囲に設定することが好ましい。検出器による識別精度を高める上で、識別領域(R2)では一定速度で自転させることが重要であり、識別領域(R2)に入る手前から自転を開始して回転が安定した状態で識別領域(R2)に入ることが好ましいからである。上記実施形態においては、識別領域(R2)の45°手前から自転を開始している。
また、メインターレット(21)の回転速度はスターホイール(12)(42)との缶体受け渡しに適した速度に設定されるので、上述した条件に加えて、メインターレット(21)の直径およびポケット数、スターホイール(12)(42)および自転装置(30)のレイアウト等も勘案し、自転領域(R1)および識別領域(R2)を適宜設定する。
分離部(40)は、前記整列部(10)のスターホイール(12)と同一構造のスターホイール(42)を有し、缶体(A)(B)の吸着保持および送出を行っている。前記スターホイール(42)におけるポケット(41)、保持部(41a)、導入部(41b)、空気の給排管(43)は、前記整列部(10)のスターホイール(12)におけるポケット(11)、保持部(11a)、導入部(11b)、給排管(13)と同一機能を有するものであり、重複する説明を省略する。前記スターホイール(42)は、前記メインターレット(21)とは逆方向に回転し、外周部近傍の3箇所に缶体(A)用の送出コンベア(45)、缶体(B)用の送出コンベア(46)、(A)、(B)以外の缶体(Z)用の送出コンベア(47)が配設されている。ここで、缶体(Z)とは、検出エラーや識別マーク(M)の印刷不良等により缶体(A)または缶体(B)のどちらとも判断できなかった缶体である。また、誤ってA、B以外の異品種が混入した場合も他の缶体(Z)として処理される。
前記ソーター(STR)において、複数品種が不規則に混在する缶体(A)(B)の導入から品種毎に分別して送出するまでの動作は以下のとおりである。
(1)導入用コンベア(15)により、缶体(A)(B)が不規則に混在した状態で密な単列にて整列部(10)に運ばれてくる。缶体(A)(B)は、まずポケット(11)の導入部(11b)の端部に接触し、スターホイール(12)の回転に伴って導入部(11b)上を移動して保持部(11a)内に導入される。保持部(11a)においては、電磁弁(14)が真空側に設定されて開口部(13a)から空気が吸引されているため、導入された缶体(A)(B)は吸着されてポケット(11)内に保持される。この繰り返しにより、前記コンベア(15)で導入されてくる缶体(A)(B)は順次ポケット(11)に保持され、保持されることで缶体(A)(B)は等間隔で一列に整列することになる。
(2)缶体(A)(B)をポケット(11)に保持したスターホイール(12)が回転し、識別部(20)のメインターレット(21)に近接して(X1)の位置に達すると、電磁弁(14)を圧空側に切り替えてポケット(11)から缶体(A)(B)を切り離して送り出し、メインターレット(21)のポケット(22)に乗り移らせる。缶体(A)(B)を切り離して空になったポケット(11)は電磁弁(14)をオフにして空気の給排を行わず、次の缶体(A)(B)を受け入れる手前まで進んだ時に真空側に切り替える。即ち(X2)〜(X3)の位置では電磁弁をオフとし、(X4)の位置で電磁弁(14)を真空側に切り替える。これを繰り返すことにより、缶体(A)(B)は順次メインターレット(21)に移載される。
(3)メインターレット(21)において、缶体(A)(B)を受け取ったポケット(22)では電磁弁(25)が真空側に設定されて底部から吸引されているので、缶体(A)(B)はポケット(22)上に保持される。そして、メインターレット(21)の回転により自転領域(R1)に達すると自転装置(30)により缶体(A)(B)が自転し始め、検出器(26)による検出に備える。
(4)自転領域(R1)において、缶体(A)(B)が検出領域(R2)に達すると、検出器(26)が識別マーク(M)の検出を開始する。前記検出領域(R2)内で検出した結果は図外の制御装置に送信され、予め登録されている識別マークに照らして缶体(A)、缶体(B)、他の缶体(Z)の3種類を識別する。上述したように、缶体(Z)はA、Bのいずれであるとも判断できなかった缶体である。図3において、円内に「A」と記載した缶体はA品種であると判断された缶体、同様に「B」はB品種であると判断された缶体、「Z」は他の品種であると判断された缶体である。
(5)識別領域(R2)および自転領域(R1)を過ぎた缶体(A)(B)(Z)は、分離部(40)に近接して(X5)の位置にくると、電磁弁(25)を圧空側に切り替えてポケット(22)から分離させ、分離部(40)のスターホイール(42)のポケットに乗り移らせる。分離部(40)では缶体を受け入れる前の位置(X6)から電磁弁(25)が真空側に切り替えられているため、ポケット(41)の保持部(41a)に導入された缶体(A)(B)(Z)は直ちに吸着保持される。
(6)分離部(40)においては、制御装置から送信される識別結果に基づいて、缶体(A)、缶体(B)、缶体(Z)が対応する送出用のコンベア(45)(46)(47)の直前の位置(X7)(X8)(X9)に達すると、電磁弁を圧空側に切り替えてそれぞれの送出用コンベア(45)(46)(47)に乗り移らせる。缶体(A)(B)(Z)を送出したポケット(41)では電磁弁をオフにして空気の給排を行わず、識別部(30)のメインターレット(21)から次の缶体(A)(B)(Z)を受け入れる手前の位置(X6)で真空側に切り替える。
以上により、缶体が分別され、缶体(A)および缶体(B)は次工程に送られて品種毎のラインで処理される。また、他の缶体(Z)はラインから外される。
上述したように、缶体(A)(B)(Z)を自転させることにより周方向の全領域を検出器(26)で観察することができ、識別マーク(M)が外周面のどの位置に印刷されていても検出することができ品種を識別できる。
前記識別マーク(M)の種類は何ら限定されず、バーコード、図形、文字等を例示できる。また、印刷された色で識別することも、印刷された図柄そのものを読み取って品種を識別することもできる。
また、缶体には内容物を充填した後の商品を識別するバーコードを印刷することも多く、この商品識別バーコードを本発明における識別マークとして利用することができる。商品識別用バーコードを利用すれば、識別マークを付加する必要がないので印刷内容を変更する必要がない。検出器は識別マークに対応するものを用いればよく、バーコードリーダー、色識別検出器、画像認識装置等を適宜用いることができる。
上述したソーター(STR)では、缶体を1回転以上自転させながら識別マークを検出することで識別マークが缶体の周方向のどこに印刷されていても検出することができる。このような検出方法は、商品識別用バーコードのように周方向の一部分に印刷されている場合、換言すれば周方向の特定位置でしか缶体を識別できない場合に適している。ソーター(STR)に導入される缶体の向きが不規則である以上、缶体の全周を観察しなければ確実に識別マークを捕捉できないからである。しかしながら、周方向の任意の位置で検出できる識別マークであれば、缶体を自転させる必要はないのでより簡単な装置で缶体を分別することができる。
図6に示すソーター(STR2)は缶体を自転させることなく分別するものである。
ソーター(STR2)は、図3に示した整列部(10)のスターホイール(12)と同様のスターホイール(52)と検出器(50)とを備えている。このスターホイール(52)におけるポケット(51)、保持部(52a)、導入部(52b)、給排管(53)は、前記整列部(10)のスターホイール(12)におけるポケット(11)、保持部(11a)、導入部(11b)、給排管(13)と同一機能を有するものである。ポケット(51)内での缶体保持およびポケット(51)から缶体の送り出しを行う。また、前記スターホイール(52)の外周部近傍には導入用のコンベア(54)、缶体(A)の送出用のコンベア(55)、缶体(B)の送出用のコンベア(56)、缶体(Z)の送出用のコンベア(57)が配設されている。導入用コンベア(54)で導入された缶体(A)(B)は順次スターホイール(52)のポケット(51)に吸着保持され、自転することなく公転する。
検出器(50)はスターホイール(52)の外方に固定され、(Y)の位置にある缶体の識別マークを検出するものとなされている。(Y)の位置で品種が識別された缶体(A)(B)(Z)は、検出結果に基づいて対応するコンベア(55)(56)(57)の手前で切り離されてコンベアに移載されて送り出される。
本発明の複数品種の缶体の製造方法において、分別工程で用いる分別装置は上述した回転盤(ターレット、スターホイール)によるソーターに限定されない。例えば、直進する缶体の列から品種毎に設定した位置で缶体を切り離すようにしても良いし、上下方向に移動させて列から切り離しても良い。
4品種の缶体の製造試験を行った。缶体は350mlのアルミニウム缶であり、印刷内容のみが異なる。製造する缶体数は、品種A:20万缶、品種B:15万缶、品種C:30万缶、品種D:20万缶である。
実施例の製造ラインは図1に示したものであり、プリンター(PR)と印刷後に連続処理するボトムコーター(BTC)およびピンオーブン(PO)を2組備え、2台のソーター(STR)を備えている。以下の説明において、2台のプリンター(PR)を第1プリンター(PR1)、第2プリンター(PR2)と称する。また、前記ソーター(STR)は図3〜5に示したものであり、識別部(20)は24個のポケット(22)を有するメインターレット(21)を備え、整列部(10)および分離部(40)は18個のポケット(11)(41)を有するスターホイール(12)(42)を備えている。識別マーク(M)として商品識別用のバーコードを用い、検出器(26)としてバーコードリーダーを用いた。さらに前記ソーター(STR)後のディフェクティブキャンテスター(DCT)は複数台を用いて缶体が滞留しないようにした。
一方、比較例の製造ラインは図8に示したものであり、1組のプリンター(PR)、ボトムコーター(BTC)およびピンオーブン(PO)を備えている。
また、実施例、比較例のいずれのラインにおいても、ボディメーカー(BM)、トリマー(TR)、インサイドスプレー(INS)は複数台を用いるものとし、これらの工程で缶体が滞留しないようにした。
以下に、図7の実施例および比較例におけるプリンターの稼働状況を参照しつつ、各例の工程について説明する。図7において、破線は準備作業、太実線は処理速度が2000缶/分、細実線は処理速度が1000缶/分であることを示している。
(比較例)
カッピングプレス(CP)における処理速度を2000缶/分とし、プリンター(PR)および他の工程における処理速度はカッピングプレス(CP)に合わせて2000缶/分で処理するように調整した。したがって、特定の工程で缶体が滞留することなく、2000缶/分で缶体が製造される。
4つの品種について、所定数の缶体を順次製造するものとした。一つの品種の製造終了後ラインに残っている缶体を払い出し、その後ラインを止めてプリンター(PR)のインキ交換、ロール清掃、版の交換と版合わせ、試し刷り等の一連の準備作業を行い、次の品種の製造を行った。各品種の準備作業および所定数の缶体製造に要した時間は以下のとおりであり、合計で630分を要した。
(品種A) 準備作業10分、製造100分
(品種B) 準備作業60分、製造75分
(品種C) 準備作業65分、製造150分
(品種D) 準備作業70分、製造100分
(実施例)
第1プリンター(PR1)および第2プリンター(PR2)における処理速度を1000缶/分または2000缶/分の2段階とし、他の工程の処理速度はプリンターに合わせるものとし、かつライン全体の処理速度が2000缶/分となるようにした。また、第1プリンター(PR1)で品種Aおよび品種Dを製造し、第2プリンター(PR2)で品種Bおよび品種Cを製造し、2台のプリンターが同時に運転を開始し、同時に運転を終了するようにした。
[第1プリンター(PR1)]
15分の準備作業後に品種Aを1000缶/分で製造を開始し、150分稼働して15万缶を製造した後、処理速度を2000缶/分に上げ、25分稼働して5万缶を製造し、合計20万缶の品種Aの製造を完了した。次に、第1プリンター(PR1)を停止して品種Dの準備作業を行い、50分後に1000缶/分で製造を開始し、200分稼働して20万缶の品種Dの製造を完了した。
[第2プリンター(PR2)]
15分の準備作業後に品種Bを1000缶/分で製造を開始し、150分稼働して15万缶の品種Bの製造を完了した。次に、第2プリンター(PR2)を停止して品種Cの準備作業を行い、25分後に2000缶/分で製造を開始し、50分稼働して10万缶を製造した後、処理速度を1000缶/分に下げ、150分稼働して15万缶を製造し、合計25万缶の品種Cの製造を完了した。
上記実施例において、初動時は2台のプリンターの処理速度を各1000缶/分としてライン全体で2000缶/分とし、第2プリンター(PR2)で品種Bの製造が完了した時点で第1プリンター(PR1)の処理速度を2倍にして全体の処理速度を保っている。その間第2プリンター(PR2)では品種Cの準備作業を行い、第1プリンター(PR1)で品種Aの製造が完了して品種Dの準備作業の開始と同時に品種Cの製造を開始する。第2プリンター(PR2)における品種Cの製造開始時は第1プリンター(PR1)が停止しているので処理速度を2000缶/分とし、第1プリンター(PR1)の品種D製造開始時に1000缶/分に下げる。そして2台のプリンター(PR1)(PR2)を共に1000缶/分で運転し、同時に運転を終了する。以上の工程により、運転開始から440分後に4品種の製造が終了し、比較例よりも190分短縮することができた。
以上のように、複数品種の缶体製造に際し、複数のプリンターとソーターを用いることで設備が完全に停止する時間を最小限にとどめて生産性を向上させることができる。製造品種が増加すれば、同じ要領で運転を継続させれば良い。各プリンターにおいて製造する品種は、品種数と品種毎の缶体数、各品種に最低限必要な準備時間に応じて最短時間で全品種の製造が完了するように適宜組み合わせれば良い。
なお、本実施例では、2台(2組)のプリンターによる4品種の缶体製造を示したが、品種数およびプリンター数は限定されず任意数とすることができる。品種数とプリンター数が同数の場合も本発明に含まれる。品種数とプリンター数が同数の場合でも、各品種の準備を並行して行い、また前品種の払い出しのための設備停止時間が不要となることで全体の製造時間を短縮することができる。
本発明の複数品種の缶体の製造方法は、製造ラインを停止することなく印刷内容の変更が可能であるから、複数品種の缶体を効率良く製造できる。
本発明の複数品種の缶体の製造方法を実施する製造ラインの一例を示す工程図である。 図1の部分拡大図である。 本発明の分別装置の一例を模式的に示す平面図である。 図3の4−4線断面図である。 図3の5−5線断面図である。 本発明の分別装置の他の例を模式的に示す平面図である。 実施例および比較例の缶体の製造ラインにおいて、印刷機の稼働状態を示す図である。 従来の缶体の製造ラインを示す工程図である。
符号の説明
STR、STR2…ソーター(缶体の分別装置)
S、A,B、Z…缶体
M…識別マーク
10…整列部
11…ポケット(整列用ポケット)
12…スターホイール(回転盤)
13…エアの給排管(脱着装置)
14…電磁弁(脱着装置)
20…識別部
21…メインターレット(回転盤)
22…ポケット(自転用ポケット)
24…エアの給排管(脱着装置)
25…電磁弁(脱着装置)
30…自転装置
40…分離部
41…ポケット(分離用ポケット)
42…スターホイール(回転盤)
43…エアの給排管(脱着装置)

Claims (12)

  1. 金属製材料を筒状の素缶体に成形する基本成形工程と、
    前記基本成形工程で成形した素缶体の外周面に、複数の印刷機を用いて複数品種の印刷を並行して行うとともに品種に対応する識別マークを印刷する印刷工程と、
    前記印刷工程で印刷された複数品種の素缶体が混在した状態で缶体の仕上げを行う仕上げ工程と、
    前記仕上げ工程で仕上げられた複数品種の缶体に対し、印刷された識別マークを検出して品種を識別し、識別結果に基づいて缶体を品種毎に分別する分別工程とを含むことを特徴とする複数品種の缶体の製造方法。
  2. 前記印刷工程において、複数の印刷機のうちの一部の印刷機を停止して品種変更のための準備作業を行い、準備が整った後に印刷工程に復帰させる請求項1に記載の複数品種の缶体の製造方法。
  3. 前記分別工程は、缶体を進行方向に沿って等間隔で一列に整列させる整列工程と、前記整列工程で等間隔に整列させた缶体の列を進行させながら自転させる間に識別マークを検出して品種を識別する識別工程と、缶体の列を進行させながら、前記識別工程の識別結果に基づいて品種毎に缶体を列から分離する分離工程とを含む請求項1または2に記載の複数品種の缶体の製造方法。
  4. 前記印刷工程と前記仕上げ工程との間に、素缶体の底部を塗装する底部塗装工程と、印刷および底部塗装した素缶体を焼付ける焼付け工程とを行う請求項1〜3のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
  5. 前記基本成形工程において、金属製板材を打ち抜いたブランク材に絞り加工を施して浅いカップ状素材を形成し、このカップ状素材に対してしごき加工を施し、さらに上端の耳部を切り揃えて有底円筒状の基本形の素缶体を製作する請求項1〜4のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
  6. 前記基本成形工程と前記印刷工程との間に、素缶体を洗浄する洗浄工程を行う請求項1〜5のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
  7. 前記仕上げ工程は、素缶体の内面を塗装する内面塗装工程と、内面塗装された素缶体の内面を焼付ける内面焼付け工程と、缶体を最終形状に成形する仕上げ成形工程とを含む請求項1〜6のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
  8. 前記仕上げ成形工程は、缶口を絞る縮径工程と、素缶体の開口縁部に閉塞部材を取り付けるための取付部を成形あるいは縮形された口部にねじ部を成形する工程とを含む請求項7に記載の複数品種の缶体の製造方法。
  9. 前記分別工程後に、分別された缶体の良否を検査する検査工程を行い、次いで検査に合格した缶体をパレットに積載する積載工程を行う請求項1〜8のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
  10. 前記仕上げ工程と分別工程の間に、仕上げられた缶体の良否を検査する検査工程を行い、分別工程後に前記検査工程に合格した缶体をパレットに積載する積載工程を行う請求項1〜8のいずれかに記載の複数品種の缶体の製造方法。
  11. 外周部に複数個の整列用ポケットが等間隔で設けられた回転盤と、前記整列用ポケット内への缶体の保持および切り離しを行う脱着装置とを有する整列部と、
    外周部に複数個の自転可能な自転用ポケットが前記整列用ポケットと等しい間隔で設けられた回転盤と、前記自転用ポケット内への缶体の保持および切り離しを行う脱着装置と、前記自転用ポケット内で自転する缶体の識別マークを検出するとともに検出結果に基づいて品種を識別する検出器とを有する識別部と、
    外周部に複数個の分離用ポケットが前記整列用ポケットと等間隔で設けられた回転盤と、前記分離用ポケット内への缶体の保持および切り離しを行う脱着装置とを有する分離部とを備え、
    前記整列部の回転盤を回転させながら整列用ポケットに缶体を順次保持することにより缶体を等間隔で一列に整列させ、整列させた缶体を順次整列用ポケットから切り離して前記識別部の回転盤の自転用ポケットに乗り移らせて保持し、回転盤を回転させながら自転用ポケットを一回転以上自転させて缶体の品種を順次識別し、識別後の缶体を順次自転用ポケットから切り離して前記分離部の回転盤の分離用ポケットに乗り移らせて保持し、回転盤を回転させて品種毎に設定された位置に到達したときに分離用ポケットから缶体を切り離すものとなされていることを特徴とする缶体の分別装置。
  12. 前記識別部において、各自転用ポケットに対応して同数の検出器が回転盤の中心側に取り付けられている請求項11に記載の缶体の分別装置。
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