JP4904019B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は二軸配向ポリエステルフィルムに関する。更に詳しくは、高温下での耐熱寸法安定性に優れるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートからなる二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネート用フィルム、ガラスディスプレイ等の表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
近年、電気あるいは電子回路の小型化の要求に伴い、これら各種用途の構成部材についても小型化や実装化が進んでおり、更なる耐熱性が要求されるようになってきた。また、自動車用途においては、運転室内での使用のみならず、エンジンルーム内にまで使用範囲が拡大しており、より高温下での寸法安定性に適した構成部材が要求されている。
各種用途の中で、例えばフレキシブル回路基板に着目してみると、フレキシブル回路は可撓性を有する基板上に電気回路を配置してなるものであり、基板となるフィルムに金属箔を貼りあわせたり、メッキ等を施した後にエッチングを行い回路を形成し、加熱処理、回路部品の実装等が行われ作成されるものである。従来、フレキシブル回路基板用フィルムとしては、回路との密着性、回路部品実装時のハンダ付けでの耐熱性等が良好であるとの理由からポリイミド(以下「PI」と省略する場合がある)フィルムが一般的に使用されてきた。一方、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と省略することがある)フィルムは廉価であり、耐薬品性、絶縁性等が良好であるとの理由から一部で使用されてきた。
近年、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話等の携帯可能な電気、電子機器の普及が急速に進んでおり、また、同時にこれら携帯機器の小型化が盛んに行われている。しかしながら、小型化はされても従来の機種が備えていた機能と同等あるいはそれ以上の機能を持たせる必要があり、これに伴い回路の小型化、高密度化が要求されるようになった。
このような高度な技術が要求される一方で、最近の携帯機器の普及による低価格化競争が激しさを増しているが、フレキシブル回路基板用フィルムとして従来使用されてきたPIフィルムを使用する限り、これ以上の低価格化は事実上困難となっている。
また、PIフィルムは低価格化が困難である以外にも、吸湿性が高く、吸湿時の寸法変化が大きいこと、加工時のフィルムの調湿を怠ると金属との接着力の低下を招く原因となるため、フィルムの調湿が不可欠となり生産効率向上の障害となっている。さらに、PIフィルム製造時に使用される、PI樹脂を溶解するための溶媒がフィルム内に残留していると回路基板の品質に問題を引き起こす場合がある。
一方、フレキシブル回路基板用フィルムとしてのPETフィルムは廉価であり低価格化には好適であるが、メンブレンスイッチの加工工程において、加熱処理での寸法変化および回路部品実装でのハンダ付け後のフィルムの平面性が悪化し、最近の高密度化した回路基板フィルムとしては使用に堪えないものとなる。
また、回路部品実装時に使用されるハンダとして、環境対応の点から、最近鉛フリーハンダが使用されつつあり、鉛フリーハンダリフロー工程では従来のフローハンダに比べてハンダ付け温度を高くすることがあり、PETフィルムでは依然として耐熱性が不足する。一方、PIフィルムではハンダ耐熱性が余りあるものとなっているのが現状である。
このような理由からPIフィルムに代わるプラスチックフィルムの探索が行われるようになり、耐熱性を有するプラスチックフィルムの中では比較的安価なポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と省略する場合がある)フィルムが注目されるようになった。
例えば、特開昭62−93991号公報にはフレキシブル回路基板用フィルムをPENフィルムにすることが提案されている。しかしながら、最近の回路の高密度化に対して要求されている高温下での寸法安定性が不足するため、このままでは回路部品実装工程でのハンダ付け後にフィルムにシワが入ったり、回路の平面性が崩れ凹凸が発生することがある。そこで、耐熱性を高める方法として、例えば特開平05−295137号公報において、二軸配向、熱固定したPENフィルムに、0.1〜10MGyの放射線を照射した後、250〜270℃で熱処理することを特徴とするPENフィルムの製造方法が提案されている。また、特開平11−168267号公報には、フィルムに熱弛緩処理を施すことによって200℃で10分間加熱処理したときの熱収縮率がフィルムの長手方向および幅方向共それぞれ1.5%以下であり、230℃で10分間加熱処理したときの熱収縮率がフィルムの長手方向および幅方向共それぞれ2.0%以下であるPENフィルムが得られることが記載されている。また、特開2001−191405号公報には、熱弛緩処理方法を特定の条件で行うことにより、200℃で10分間加熱処理した際に、フィルム長手方向に0%以上1%以下収縮し、かつ幅方向に0%以上0.5%以下伸張するPENフィルムが得られることが記載されている。
しかしながら、広範なフレキシブル回路基板用途に適用させるにはより高い耐熱安定性が求められているのが現状である。
特開昭62−93991号公報 特開平05−295137号公報 特開平11−168267号公報 特開2001−191405号公報
本発明の目的は、上述の従来技術の課題を解決し、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなり、260℃という高温下での寸法安定性が非常に高い二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。更に本発明の目的は、高温での耐熱寸法安定性に優れることで平面性にも優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。更に本発明の目的は、耐熱寸法安定性に優れた、比較的安価なフレキシブル回路基板用フィルムおよび太陽電池基板用フィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするフィルムを配向結晶化させて通常の製膜条件では形成されないβ晶を形成させ、またα晶およびβ晶を合わせた密度で表される結晶化の割合を高めることにより、260℃という通常のポリエチレンナフタレートフィルムでは溶解するような高温下における耐熱寸法安定性が極めて優れた二軸配向ポリエステルフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、本発明の目的は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート99.0重量%以上および不活性粒子1.0重量%以下の二軸配向ポリエステルフィルムであって、260〜275℃の温度、600〜7200秒の熱固定時間で熱固定処理を行うことにより得られ、該フィルムの粘弾性測定におけるtanδのピーク温度が140℃以上、該ピーク強度が0.25以下であり、かつ260℃、10分間熱処理したときのフィルム長手方向および幅方向の熱収縮率がともに0.8%以下である二軸配向ポリエステルフィルムによって達成される。
また、本発明の二軸配向エステルフィルムは、その好ましい態様として、フィルムの密度が1.362〜1.370であること、X線回折による強度比が下記式(1)を満たすこと、
2.0<(26°〜28°におけるピーク強度/23°〜25°におけるピーク強度)<40
・・・(1)
サンプル量10mg、20℃/minの昇温条件でDSC測定した融点が272℃以上であること、フィルムの厚みが5〜100μmであること、の少なくともいずれか一つを具備するものも包含する。
そして、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フレキシブル回路基板のベースフィルム、太陽電池のベースフィルム、の少なくともいずれか一つとして用いられることを包含するものである。
本発明によれば、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなり、粘弾性測定におけるtanδのピーク温度およびピーク強度が特定範囲にあり、かつ260℃、10分間熱処理したときのフィルム長手方向および幅方向の熱収縮率がともに1.5%以下である二軸配向ポリエステルフィルムは、従来のPENフィルムに較べて結晶化状態が異なって融点が高くなり、260℃という高温での耐熱寸法安定性に優れているため、従来PIフィルムが用いられていた耐熱性が必要とされる用途に好適に用いることができる。例えばフレキシブル回路基板用に用いることで、回路部品実装後の回路の平面性が従来のPIフィルムと比べて同等のフィルムをより安価に提供できる。また、太陽電池用基板フィルムとして有用である。
以下、本発明を詳しく説明する。
<ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート>
本発明のフィルムを構成するポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、主たるジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸が用いられ、主たるグリコール成分としてエチレングリコールが用いられる。ナフタレンジカルボン酸としては、たとえば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができ、これらの中で2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。ここで「主たる」とは、本発明のフィルムの成分であるポリマーの構成成分において全繰返し単位の少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%を意味する。ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートがコポリマーである場合、コポリマーを構成する共重合成分としては、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができ、かかる化合物としては例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、或いはプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコールの如き2価アルコールを好ましく用いることができる。これらの化合物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いることができる。またこれらの中で好ましくは酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸であり、グリコール成分としてはトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートに混合できるポリエステル或いはポリエステル以外の有機高分子としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン4,4’−テトラメチレンジフェニルジカルボキシレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレンジカルボキシレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリネオペンチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等のポリエステルを挙げることができ、これらの中でポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。これらのポリエステルまたはポリエステル以外の有機高分子は、1種であっても2種以上を併用してもよい。
また、本発明のポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってよく、極く少量の例えばグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
本発明のポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とグリコールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとをエステル交換触媒を用いて反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。
<添加剤>
本発明のフィルムには添加剤、例えば安定剤、滑剤、および難燃剤等を含有させることができる。
フィルムに滑り性を付与するためには、不活性粒子を少割合含有させることが好ましい。かかる不活性粒子としては、例えば球状シリカ、多孔質シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、二酸化チタン、カオリンクレー、硫酸バリウム、ゼオライトの如き無機粒子、或いはシリコン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子の如き有機粒子を挙げることができる。無機粒子は粒径が均一であること等の理由で、天然品よりも合成品であることが好ましく、あらゆる結晶形態、硬度、比重、色の無機粒子を使用することができる。
かかる不活性粒子の平均粒径は0.05〜5.0μmの範囲であることが好ましく、0.1〜3.0μmであることがさらに好ましい。また、不活性粒子の含有量は0.001〜1.0重量%であることが好ましく、0.03〜0.5重量%であることがさらに好ましい。フィルムに添加する不活性粒子は、上記に例示した中から選ばれた単一成分でもよく、あるいは二成分以上を含む多成分でもよい。
不活性粒子の添加時期は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを製膜する迄の段階であれば特に制限はなく、例えば重合段階で添加してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
<tanδ>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、粘弾性測定において、周波数10Hzで室温から200℃まで昇温速度5℃/分の条件で測定した場合のtanδのピーク温度が140℃以上であり、該ピーク強度が0.25以下である必要がある。ピーク温度が140℃に満たない場合、β晶に起因する結晶状態が発現していないため、260℃の高温下ではフィルムが溶融してしまい、十分な耐熱寸法安定性が得られない。またピーク強度が0.25を越える場合、耐熱寸法安定性が不足する可能性がある。なお、tanδのピーク温度の上限は高ければ高いほど好ましいが高々160℃であり、該ピーク強度の下限は少なくとも0.1である。
<熱収縮率>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、260℃、10分間熱処理したときのフィルム長手方向(以下、フィルム連続製膜方法、縦方向、MD方向と称することがある。)および幅方向(以下、横方向、TD方向と称することがある。)の熱収縮率がともに0.8%以下である。本発明における長手方向および幅方向はまた、配向軸によっても求めることができ、主たる配向軸が観察される方向を長手方向、主たる配向軸に直交する方向を幅方向、とそれぞれ定義される。ここで主たる配向軸とは、フィルム面内の全ての方向において最も配向が高い方向であり、通常フィルムの製膜方向と一致するが、連続製膜方向に直交する方向の延伸倍率が高い場合、連続製膜方向に直交する方向が主たる配向軸となる場合もある。主たる配向軸は、フィルム面内の屈折率の分布を測定し、最も屈折率の高い方向により求められる。
60℃の温度で10分間加熱処理したときの熱収縮率が上限を超える場合、例えばフレキシブル回路基板に用いる場合に金属箔を貼りあわせた後のキュアリング時のフィルムの寸法変化や印刷後の乾燥処理でのフィルムの寸法変化が大きくなるため、回路基板に反りが発生することがある。
これらの熱収縮率は、通常の延伸方法によって得られた二軸配向フィルムを、非常に高い熱固定温度で、かつ長時間行うことによって、通常の製造条件では得られないβ晶の結晶状態が発現し、同時にα晶とβ晶とをあわせた密度で表される結晶化度の割合が高いことによって達成されるものである。
<密度>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、密度が1.362〜1.370の範囲であることが好ましい。フィルムの密度は、より好ましくは1.365〜1.369である。密度が下限に満たない場合、熱寸法安定性が不足することがある。一方、フィルムの密度が上限を超える場合、フィルムが脆くなることがある。これらの密度の範囲は、適切な熱固定温度及び熱固定時間によって得られる。
<X線回折強度比>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、X線回折による強度比が下記式(1)を満たすことが好ましい。ここで、26°〜28°におけるピークとはα晶の結晶状態に起因するピークであり、また、23°〜25°におけるピークとはβ晶の結晶状態に起因するピークであることから、X線回折による強度比とは、β晶に対するα晶の割合を指すものである。なお、ピーク強度とはX線回折強度のうち、上記の角度内でのもっと大きな極大値とする。
2.0<(26°〜28°におけるピーク強度/23°〜25°におけるピーク強度)<40
・・・(1)
X線回折による強度比は、より好ましくは2.5〜12.0の範囲である。強度比が下限に満たない場合、フィルムが脆くなる可能性がある。一方、強度比が上限を超える場合、耐熱寸法安定性が不足することがある。これらの強度比の範囲は、適切な熱固定温度と熱固定時間によって得られる。
<融点>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、サンプル量10mg、20℃/minの昇温条件でDSC測定した融点が272℃以上であることが好ましい。融点はより好ましくは275℃以上である。融点が下限に満たない場合、耐熱寸法安定性が不足することがある。これらの融点の範囲は、熱収縮率と同様、非常に高い熱固定温度でかつ長時間行うことによって得られる。
<フィルム厚み>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは5〜100μmの範囲であり、さらに好ましくは10〜75μm、特に好ましくは12〜75μmである。
厚みが下限に満たない場合はフィルムの絶縁性能が不足することがある。一方、厚みが上限を超える場合、フィルムの耐屈曲性が不足することがあり、外力を加えられた場合、基板フィルムに割れが発生したり折れた状態のまま戻らなくなることがある。
<フィルムの固有粘度>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、固有粘度が0.47〜0.90dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.50〜0.80dl/gである。固有粘度が下限に満たない場合、フィルムが脆くなることがあり、例えばフィルムを所定の大きさに裁断したり、回路部品実装のための固定用の穴を穿孔する時に端面にバリが発生することがある。また、フィルムの固有粘度が上限を超える場合、PENポリマーの固有粘度をかなり高くする必要があり、通常の合成手法では重合に長時間を要し生産性が悪くなる。また特別な重合方法(固相重合等)を行うためには専用の設備が必要となるため生産コストが高くなることがある。
<製膜方法>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、通常の方法により得た未延伸フィルム、すなわちポリエチレンナフタレンジカルボキシレートをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて得られた未延伸フィルムを二軸延伸し、特定の温度範囲で熱固定することで製造することができ、特に熱固定から巻き取るまでの間に弛緩処理を行う、あるいは製膜し一度巻き取った後に弛緩処理を行うことにより特に有利に製造することができる。
具体的には、未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃の温度で縦方向、横方向に倍率2.0〜5.0倍で二軸延伸し、(Tg+130)〜(Tg+160)℃、260〜275℃の温度で600〜7200秒間熱固定することで所望のフィルムを得ることができる。延伸は一般に用いられる方法、例えばロールによる方法やステンターを用いる方法で行うことができ、縦方向、横方向を同時に延伸してもよく、また縦方向、横方向に逐次延伸してもよい。ここで、Tgは、ポリマーのガラス転移温度を表わす。
さらに弛緩処理を行う場合は、加熱処理をフィルムの(Tg+65)〜(Tg+130)℃の温度において行うことが効果的である。弛緩処理の方法としては熱固定後ロールに巻き取るまでの間で、熱固定ゾーンの途中でフィルムの両端部を切り離しフィルムの供給速度に対して引き取り速度を減速させる方法、2つの速度の異なる搬送ロールの間においてIRヒーターで加熱する方法、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ加熱搬送ロール後の搬送ロールの速度を減速させる方法、熱固定後熱風を吹き出すノズルの上にフィルムを搬送させながら、供給の速度よりも引き取りの速度を減速する方法、あるいは製膜機で巻き取った後、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ搬送ロールの速度を減速する方法、あるいは加熱オーブン内やIRヒーターによる加熱ゾーンを搬送させながら加熱ゾーン後のロール速度を加熱ゾーン前のロール速度より減速する方法があり、いずれの方法を用いても良く、供給側の速度に対して引き取り側の速度の減速率を0.1〜10%にして弛緩処理を行う。また、本発明は上記の熱収縮率の範囲内に収まるような方法であればこれらに限定されるものではない。
<用途>
本発明によれば、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、従来のPENフィルムに較べて260℃という高温での耐熱寸法安定性に優れているため、従来PIフィルムが用いられていた耐熱性が必要とされる用途に好適に用いることができる。例えばフレキシブル回路基板用に用いることで、回路部品実装後の回路の平面性が従来のPIフィルムと比べて同等のフィルムをより安価に提供できる。また、太陽電池用基板フィルムとして有用である。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
(1)固有粘度
フィルムサンプルの固有粘度([η]dl/g)を、35℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
(2)熱収縮率
フィルムサンプルに30cm間隔で標点をつけ、荷重をかけずに260℃の温度のオーブンで10分間熱処理を実施し、熱処理後の標点間隔を測定して、フィルム連続製膜方向(MD方向)と、製膜方向に垂直な方向(TD方向)において、それぞれ下記式(2)にて熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=((L−L)/L)×100 ・・・(2)
(式中、Lは熱処理前の標点間距離、Lは熱処理後の標点間距離をそれぞれ示す。)
(3)X線回折強度
リガク(株)製のX線回折装置RINT2500HLを使用し、管電圧30KV,管電流45mA、スキャン速度で2θ/θスキャンを実施し、フィルムサンプルを測定した時に23°〜25°、26°〜28°の範囲に出てくるピーク強度をそれぞれ測定して、下記式(3)により算出を行った。
(26°〜28°におけるピーク強度/23°〜25°におけるピーク強度)
・・・(3)
なお、ピーク強度とはX線回折強度のうち、上記の角度内でのもっと大きな極大値とする。23°〜25°の範囲に極大値が存在しない場合は上式(3)の値は無限大とし、また26°〜28°の範囲に極大値が存在しない場合には上式(3)の値は0とする。
(4)粘弾性測定
フィルムサンプルを幅3mm、長さ35mmに切り、オリエンテック(株)製のバイブロン装置(DDV−01FP)を用い、荷重3g、周波数10Hzで室温から200℃まで5℃/分で昇温して測定する。得られたチャートよりtanδのピーク温度及びピーク強度を求める。
(5)密度
硝酸カルシウム水溶液を用いて密度勾配管法にて測定した。
(6)融点
セイコーインスツルメント社製DSC SSC5200を使用して、サンプル量10mg、昇温速度20℃/minで測定し、融解ピーク温度を求めた。
(7)フィルム厚み
アンリツ(株)製の打点式厚み計を用いて、打点法での厚み測定を行った。
(8)平面安定性
フィルムサンプルと銅箔とを、汎用塩化ビニル系樹脂と可塑剤とからなる接着剤により貼り合わせて、温度160℃、圧力30kg/cm、時間30分の条件で圧着ロールを用いて圧着した。試料寸法を25cm×25cmとし、相対湿度85%、85℃の雰囲気下で100時間定盤上に置いた状態で4隅のカール状態を観測した。4隅の反り量(mm)の平均を測定した。下記の基準に従って評価を行った。○が合格である。
○;5mm未満の反り量
×;5mm以上の反り量
[実施例1〜2、比較例1〜5、参考例1
平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.2重量%含有し、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをダイスリットより溶融押出し、キャステイングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作成した。
この未延伸フィルムを、表1に示す条件で縦方向(MD方向)、横方向(TD方向)の順で逐次二軸延伸し、表1に示す条件で金枠で固定して熱処理を施し、厚みが25μmの二軸配向ポリエステルフィルム(固有粘度0.60dl/g)を作成した。
さらに、このフィルムの片面に接着剤を塗布し、1/2oz銅箔(18μm厚)を貼りつけ、この銅箔をエッチングすることで所定の回路を形成し、200℃で15分間熱処理を行いフレキシブル回路基板を得た。
二軸配向ポリエステルフィルムの物性、およびフレキシブル回路基板の平面性の評価結果を表1に示す。
[比較例6]
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのかわりにポリエチレンテレフタレーを用い、製膜条件を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様に行い、二軸配向ポリエステルフィルム(固有粘度0.75dl/g)およびフレキシブル回路基板を得た。得られた二軸配向フィルムの物性、およびフレキシブル回路基板の平面性の評価結果を表1に示す。
Figure 0004904019
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、従来のPENフィルムに較べて260℃という高温での耐熱寸法安定性に優れているため、従来PIフィルムが用いられていた耐熱性が必要とされる用途に好適に用いることができる。例えばフレキシブル回路基板用に用いることで、回路部品実装後の回路の平面性が従来のPIフィルムと比べて同等のフィルムをより安価に提供できる。また、太陽電池用基板フィルムとしても好適に用いられる。

Claims (7)

  1. ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート99.0重量%以上および不活性粒子1.0重量%以下の二軸配向ポリエステルフィルムであって、260〜275℃の温度、600〜7200秒の熱固定時間で熱固定処理を行うことにより得られ、該フィルムの粘弾性測定におけるtanδのピーク温度が140℃以上、該ピーク強度が0.25以下であり、かつ260℃、10分間熱処理したときのフィルム長手方向および幅方向の熱収縮率がともに0.8%以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. フィルムの密度が1.362〜1.370である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. X線回折による強度比が下記式(1)を満たす請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
    2.0<(26°〜28°におけるピーク強度/23°〜25°におけるピーク強度)<40
    ・・・(1)
  4. サンプル量10mg、20℃/minの昇温条件でDSC測定した融点が272℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. フィルムの厚みが5〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. フレキシブル回路基板のベースフィルムとして用いる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 太陽電池のベースフィルムとして用いる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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