まず、図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係るエンジン1について説明する。エンジン1は複数個のピストン31が直列に配置される、いわゆる直列多気筒エンジンであるが、以下の説明では簡単のために、そのうちの1気筒について説明している。なお、本発明に係るエンジンのピストンの個数や配列等は、本実施形態に係るエンジン1のものに限るものではない。
図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロック11やシリンダヘッド13等を有するエンジン本体部10、燃料噴射ノズル21や燃料噴射ポンプ22等を有する燃料供給部20、及びピストン31やコネクティングロッド32、クランク軸33、可変バルブタイミング機構37等を有する運動部30等から構成される。
エンジン本体部10において、シリンダブロック11には、その上面から下面まで貫通するように上下方向にシリンダ11aが設けられている。シリンダ11aには、その内径と略同一の外径を有するシリンダライナ12が嵌入されている。
シリンダライナ12は、その内部にピストン31が摺接される略円管形状の部材である。
シリンダヘッド13は、シリンダブロック11の上面にヘッドボルト14等によって締結されて、シリンダライナ12とピストン31の上端面とで燃焼室15を構成するものである。
また、シリンダヘッド13には、燃焼室15内に空気を送り込むための吸気通路13aと、この通路を開閉可能とする吸気弁16とが備えられるとともに、排気ガスを排出するための排気通路13bと、この通路を開閉可能とする排気弁17とが備えられる。シリンダヘッド13には、1気筒につき2つの吸気弁16・16及び2つの排気弁17・17がそれぞれ配置される。2つの吸気弁16・16は吸気連結部材16aによって連結され、2つの排気弁17・17は排気連結部材17aによって連結される。
図2に示すように、吸気通路13a及び排気通路13bには、エンジン1の排気ガスを利用して駆動される排気ターボ過給方式の過給機2が設けられる。過給機2は、タービン2a、及びタービン2aと同軸上に取り付けられたコンプレッサ2bを有する。タービン2aは、燃焼室15から排気通路13bを介して供給される排気ガスにより回転する。タービン2aの回転が同軸上に取り付けられたコンプレッサ2bに伝達されて、当該コンプレッサ2bが大気を吸入・圧縮して、吸気通路13aを介して燃焼室15へと供給する。このように、過給機2は、エンジン1の排気エネルギーを利用してシリンダ11a内へと空気を強制的に送り込むことができるように構成される。
また、吸気通路13aのコンプレッサ2bよりも下流には、吸気通路13aを通過する空気を冷却するためのインタークーラ3が取り付けられる。過給機2に圧縮されることで温度が上昇した空気は、インタークーラ3を通過する際に冷却され、エンジン1へと供給される。
図1に示すように、燃料供給部20において、燃料噴射ポンプ22は、ギヤ等を介して後述するクランク軸33に連動連結されるとともに、クランク軸33の回転運動により駆動されて、燃料タンクの燃料を燃料噴射ノズル21へ圧送するものである。燃料噴射ポンプ22は、シリンダブロック11の側方に配置されて、燃料噴射ノズル21とは燃料管により接続される。
燃料供給部20を構成する燃料噴射ノズル21は、その先端部を燃焼室15内に突出するように、シリンダヘッド13に設けられ、燃料を先端部に設けられた噴射口から燃焼室15内へ噴射するものである。燃料噴射ノズル21は、燃料噴射ポンプ22から供給された燃料をエンジン1の運転状況に応じて噴射可能に構成される。
運動部30において、ピストン31は、前述したようにシリンダライナ12の内部に上下方向へ摺動可能に設けられる。ピストン31は、例えばアルミニウム合金や鋳鉄で略円筒形状に形成されている。そして、ピストン31の上下方向の中途部には、シリンダライナ12の軸方向と垂直に交差し、且つ、後述するクランク軸33の軸方向と平行となるようにピストンピン31aが備えられる。
コネクティングロッド32は、その上下両端に円筒形状の部材を有する。コネクティングロッド32の上端は、ピストン31に備えられたピストンピン31aに、揺動可能に挿嵌される。そして、コネクティングロッド32の下端はクランク軸33のクランクピン33aに回動可能に挿嵌される。
クランク軸33は、シリンダブロック11の下部において、シリンダライナ12の軸方向と直交する方向に配置される。クランク軸33は、コネクティングロッド32によってピストン31と連結されているため、ピストン31の上下方向への往復運動は、コネクティングロッド32を介してクランク軸33に伝達されて、クランク軸33の回転運動に変換される。
クランク軸33は、メタルキャップ35によって回動自在に軸支されている。メタルキャップ35は、シリンダブロック11の下部にキャップボルト35a等によって締結される。
可変バルブタイミング機構37は、吸気弁16及び排気弁17をそれぞれ開閉するために、カム、スイングアーム、プッシュロッド、弁腕等を具備する。可変バルブタイミング機構37は、吸気弁16を開閉するための機構として、カム軸90、第一スイングアーム50、プッシュロッド70、弁腕80等を具備し、クランク軸の回転運動に連動して駆動されて、吸気弁16を開閉する。
カム軸90は、クランク軸33の軸方向と平行に配置され、ギヤ等を介してクランク軸33に連動連結される。クランク軸33の回転運動によりカム軸90が回転駆動され、カム軸90に形成される第一カム91及び第二カム92(図3参照)のカムプロフィールに従って、第一スイングアーム50が揺動する。
プッシュロッド70は、シリンダブロック11の内部からシリンダヘッド13を貫通して上方へ延出される。プッシュロッド70の下端は第一スイングアーム50に連結され、その上端は弁腕80の一端に連結される。弁腕80は、カム軸90と平行となるように配置される弁腕軸81により揺動可能に支持される。弁腕80の他端は吸気弁16上端に配置される吸気連結部材16aに連結される。
また、カム軸90上には排気弁17用のカムも形成され、当該カムのカムプロフィールに従って、図示せぬスイングアームが揺動され、図示せぬプッシュロッド及び弁腕を介して排気弁17の上端に配置される排気連結部材17aに連結される。
次に、エンジン1の運転時における動作態様を簡単に説明する。
エンジン1は、その運転時における動作態様が吸気工程、圧縮工程、膨張行程、排気工程の4工程からなる4サイクルエンジンであり、クランク軸33が2回転すると全工程が完了する。また、カム軸90が1回転すると全工程が完了するように構成される。
吸気工程は、シリンダヘッド13に備えられた排気弁17を閉弁する一方、吸気弁16を開弁し、ピストン31を下方へ摺動させることによって、エンジン1の外部から吸気通路13aを介してシリンダ11a内へ空気を吸入する工程である。吸気工程においては、過給機2により圧縮され、インタークーラ3により冷却された空気が燃焼室15内へと供給される。
圧縮工程は、排気弁17を閉弁した状態で吸気弁16を閉弁するとともにピストン31を上方へ摺動させることによって、シリンダ11a内の空気を圧縮する工程である。この圧縮工程によって圧縮されて高温、高圧となった空気に燃料噴射ノズル21から燃料が噴射されると、燃料は燃焼室15内に分散されて燃焼を開始する。燃料が燃焼すると、燃焼室15内の圧力が上昇する。
膨張行程は、圧縮工程において燃焼室15内で上昇した圧力により、ピストン31を再び下方へ押し下げる工程である。このようにピストン31を押し下げることによって、クランク軸33に駆動力が与えられる。
排気工程は、吸気弁16を閉弁した状態で排気弁17を開弁するとともにピストン31を上方へ摺動させることによって、シリンダ11a内の排気ガスを排気通路13bを介して外部へ排出する工程である。当該排気ガスは、排気通路13bの途中で過給機2のタービン2aを通過し、当該タービン2aを回転させる。
上記各工程における吸気弁16及び排気弁17の開閉は、可変バルブタイミング機構37によってクランク軸33の回転運動に連動して行われる。これによって、上記各工程において、それぞれ所定の時期に吸気弁16及び排気弁17の開閉を行うことができる。
次に、可変バルブタイミング機構37について詳細に説明する。
図3から図6までに示すように、可変バルブタイミング機構37は、所定の時期で吸気弁16を開閉するとともに、エンジン1の運転状態に応じて当該吸気弁16の開閉時期を切り換えるものである。可変バルブタイミング機構37は、スイングアーム軸40、第一スイングアーム50、第二スイングアーム60、プッシュロッド70、カム軸90、切換手段100等を具備する。
図3から図5までに示すように、スイングアーム軸40は、クランク軸33の軸方向(以下、クランク軸33の軸方向を「前後方向」と定義して説明する。)と平行に、シリンダブロック11に横架される円柱状の部材である。
第一スイングアーム50は、略直方体状に形成される部材であり、その長手方向を左右方向として配置される。第一スイングアーム50の長手方向の中央下面は凹状に形成される。第一スイングアーム50の長手方向の一端(左端)には、第一貫通孔50aが前後方向に形成される。第一貫通孔50aにスイングアーム軸40が挿通されて、第一スイングアーム50がスイングアーム軸40に揺動可能に支持される。第一スイングアーム50の長手方向の他端(右端)下部には、第一溝部50bが形成される。そして、カムローラである第一カムローラ52が第一溝部50bに第一スイングアーム50の他端下面よりも下方へ突出するように内設されて、前後方向の第一ローラ軸51により回転自在に支持される。第一スイングアーム50の他端上面には、上向きに凹む半球面状の凹部が形成されたロッド支持部材53が取り付けられる。
図4から図6までに示すように、第二スイングアーム60は、略直方体状に形成される部材であり、その長手方向を左右方向として第一スイングアーム50と前後に並べて配置される。第二スイングアーム60の長手方向の一端には、第二貫通孔60aが前後方向に形成される。第二貫通孔60aにスイングアーム軸40が挿通されて、第二スイングアーム60が第一スイングアーム50と隣接した状態で、スイングアーム軸40に揺動可能に支持される。第二スイングアーム60の長手方向の他端下部には、第二溝部60bが形成される。そして、第二カムローラ62が第二溝部60bに第二スイングアーム60の他端下面よりも下方へ突出するように内設されて、前後方向の第二ローラ軸61により回転自在に支持される。
図1及び図3に示すように、プッシュロッド70は、略円柱状の部材であり、第一スイングアーム50と弁腕80とを連動連結するものである。プッシュロッド70の下端は、半球面状に形成されて、第一スイングアーム50のロッド支持部材53の凹部に揺動可能に嵌められる。プッシュロッド70の上端は弁腕80の一端に揺動可能に嵌められる。
図1に示すように、弁腕80は、プッシュロッド70と吸気連結部材16aとを連結するものである。弁腕80は、前後方向に横架される弁腕軸81に揺動可能に支持される。弁腕80の一端はプッシュロッド70の上端に連結され、他端は吸気連結部材16aに連結される。
図3及び図6に示すように、カム軸90は、第一スイングアーム50及び第二スイングアーム60の長手方向の他端下方において、前後方向に延長して配置される。カム軸90は、クランク軸33にギヤ等を介して連動連結され、クランク軸33が回転することにより回転する。カム軸90には、第一カム91、及び第一カム91とカムプロフィールの異なる第二カム92が軸方向(前後方向)に所定間隔を隔てて形成される。第一カム91は、第一スイングアーム50の第一カムローラ52にその下方から当接するように、カム軸90上に配置される。第二カム92は、第二スイングアーム60の第二カムローラ62にその下方から当接するように、カム軸90上に配置される。
図3から図5までに示すように、切換手段100は、第一スイングアーム50及び第二スイングアーム60の動作状態、ひいては吸気弁16の開閉時期を切り換えるものである。切換手段100は、電磁切換弁110、逆止弁120、油圧ピストン130、切換弁140、受け部材150、及び制御装置160等を具備し、これらの部材やスイングアーム軸40及び第一スイングアーム50に形成される油路により構成される。
図4に示すように、電磁切換弁110は、制御信号を受信した場合、吸入ポートと吐出ポートとを連通し、制御信号を受信しない場合、吸入ポートと吐出ポートとを遮断する弁である。電磁切換弁110の吸入ポートは、クランク軸33により駆動される潤滑油供給手段としての油圧ポンプ4に接続される。油圧ポンプ4は、図示せぬオイルパンに貯溜される潤滑油を吸入・圧送する。油圧ポンプ4により圧送された潤滑油は、電磁切換弁110の吸入ポートへと供給されるとともに、図示せぬ油路を介してエンジン1の各部(例えば、弁腕軸81やクランクピン33a等)に供給され、各部を潤滑する。
スイングアーム軸40には、第一油路40a、第二油路40b、第一外周油路40c、第二外周油路40d、第三外周油路40e、及び第四外周油路40fが形成される。
第一油路40a及び第二油路40bは、スイングアーム軸40の内部にその軸方向と平行に前後に並べて形成される。第一外周油路40c、第二外周油路40d、及び第三外周油路40eは、スイングアーム軸40の外周面のうち、第一スイングアーム50の第一貫通孔50aの内周面と対向する位置に、それぞれ軸方向に所定間隔を隔てて環状に形成される。第四外周油路40fは、スイングアーム軸40の外周のうち、第二スイングアーム60の第二貫通孔60aの内周面と対向する位置に環状に形成される。第一油路40aは、第一外周油路40c及び第二外周油路40dと連通接続され、第二油路40bと連通接続されない。第二油路40bは、第三外周油路40e及び第四外周油路40fと連通接続される。また、第一油路40aは、電磁切換弁110の吐出ポートと連通接続される。第二油路40bは、図示せぬ油路を介して油圧ポンプ4と連通接続される。つまり、第一油路40aと第二油路40bとは、別々の油路を介して油圧ポンプ4と連通接続される。
図3及び図4に示すように、第一スイングアーム50には、ローラ潤滑用油路である第一ローラ潤滑用油路50c、油圧アクチュエータ作動用油路であるピストン作動用油路50d、ピストン穴50e、切換弁穴50f、及び切換用油路50gが形成される。
第一ローラ潤滑用油路50cは、第一スイングアーム50の内部に当該第一スイングアーム50の長手方向に沿って形成される。第一ローラ潤滑用油路50cの一端はスイングアーム軸40の第三外周油路40eに連通され、他端は第一スイングアーム50の第一溝部50bにおける第一カムローラ52の上方に連通される。
ピストン作動用油路50dは、第一スイングアーム50の内部に当該第一スイングアーム50の長手方向に沿って形成される。ピストン作動用油路50dの一端はスイングアーム軸40の第二外周油路40dに連通され、他端は第一スイングアーム50の第一溝部50bに連通される。ピストン作動用油路50dの中途部には、逆止弁120、油圧ピストン130、及び切換弁140が設けられる。
逆止弁120は、第一外周油路40c側から第一溝部50b側へのみ潤滑油を流通させ、第一溝部50b側から第一外周油路40c側へ潤滑油が流通するのを防ぐものである。
油圧ピストン130は、第一スイングアーム50の逆止弁120と第一溝部50bとの間に形成されたピストン穴50eに配置される油圧アクチュエータである。ピストン穴50eは、ピストン作動用油路50dの一部をなし、第一スイングアーム50の下方に向かって開放するように形成される円柱状の穴である。油圧ピストン130は、半球面状の底部を有し、ピストン穴50eに上下方向に摺動可能に配置される。
切換弁140は、第一スイングアーム50のピストン穴50eと第一溝部50bとの間に形成された切換弁穴50fに配置される。切換弁穴50fは、ピストン作動用油路50d及び切換用油路50gの一部をなし、第一スイングアーム50の上方に向かって開放するように形成される円柱状の穴である。切換弁140は、切換弁穴50fに上下方向に摺動可能に配置され、スプリング54により上方に向かって付勢される。切換弁穴50fの上端部は、ボルト55によって閉塞される。切換弁140は、スプリング54の付勢力により上方に摺動されている場合には、ピストン作動用油路50dを連通させ、ピストン穴50eから第一溝部50bへの潤滑油の流通を可能とする。
切換用油路50gは、第一スイングアーム50の内部に当該第一スイングアーム50の長手方向に沿って形成される。切換用油路50gの一端はスイングアーム軸40の第一外周油路40cに連通され、他端は切換弁穴50fにおける切換弁140の上方付近に連通される。
図4及び図6に示すように、第二スイングアーム60には、第二ローラ潤滑用油路60cが形成される。
第二ローラ潤滑用油路60cは、第二スイングアーム60の内部に当該第二スイングアーム60の長手方向に沿って形成される。第二ローラ潤滑用油路60cの一端はスイングアーム軸40の第四外周油路40fに連通され、他端は第二スイングアーム60の第二溝部60bにおける第二カムローラ62の上方に連通される。
図5及び図6に示すように、受け部材150は、第二スイングアーム60の下面に取り付けられる板状の部材である。受け部材150は、第二スイングアーム60の下方から前方に向かって第一スイングアーム50の下方まで延出される。受け部材150の延出端部は、底面視において第一スイングアーム50のピストン穴50eに重複して、第一スイングアーム50の下面の凹み部分と対向するように配置される。
図4に示すように、制御装置160は、種々の信号やプログラム等に基づいて電磁切換弁110を制御するものである。制御装置160は、中央処理装置や記憶装置等により構成される。制御装置160は、燃料噴射量検出手段161、エンジン回転数検出手段162、電磁切換弁110と接続される。
燃料噴射量検出手段161は、燃料噴射ノズル21から燃焼室15に噴射される燃料の量(燃料噴射量)を検出するものである。具体的には、燃料噴射量検出手段161は、燃料噴射ノズル21が噴射する燃料の量を調節するラックの位置を検出するラック位置センサである。
エンジン回転数検出手段162は、エンジン1の回転数を検出するものである。
制御装置160には、燃料噴射量検出手段161により検出される燃料噴射量と、エンジン回転数検出手段162により検出されるエンジン回転数とからエンジン1の出力を算出するための出力マップが記憶される。制御装置160は、燃料噴射量、エンジン回転数、及び出力マップに基づいてエンジン1の出力を算出し、エンジン1が高出力(高負荷)で運転している状態か、低出力(低負荷)で運転している状態か、を判断する。高負荷と低負荷とを区別するための閾値は、実験や数値計算等によって事前に決定される。
制御装置160は、エンジン1が高負荷で運転していると判断した場合、電磁切換弁110に制御信号を送信せず、電磁切換弁110の吸入ポートと吐出ポートとを遮断する。また、制御装置160は、エンジン1が低負荷で運転していると判断した場合、電磁切換弁110に制御信号を送信し、電磁切換弁110の吸入ポートと吐出ポートとを連通する。
次に、上記の如く構成した可変バルブタイミング機構37の動作態様について説明する。まず、エンジン1が高負荷で運転している場合について説明する。
制御装置160は、エンジン1が高負荷で運転していると判断した場合、電磁切換弁110の吸入ポートと吐出ポートとを遮断する(以下、この状態を「第一の状態」と記す)。従って、油圧ポンプ4からの潤滑油がスイングアーム軸40の第一油路40aへ供給されることはない。一方、油圧ポンプ4は図示せぬ油路を介してスイングアーム軸40の第二油路40bと連通されているため、油圧ポンプ4からの潤滑油は第二油路40bを介して第三外周油路40e及び第四外周油路40fへと供給される。第三外周油路40eへと供給された潤滑油は、第一スイングアーム50の第一ローラ潤滑用油路50cを介して第一溝部50bへと供給され、第一カムローラ52を潤滑する。また、第四外周油路40fへと供給された潤滑油は、第二スイングアーム60の第二ローラ潤滑用油路60cを介して第二溝部60bへと供給され、第二カムローラ62を潤滑する。
この状態でカム軸90が回転すると、第一カムローラ52は第一カム91と当接しながら回転するため、第一スイングアーム50は第一カム91のカムプロフィールに従ってスイングアーム軸40を支点として揺動する。また、第二カムローラ62は第二カム92と当接しながら回転するため、第二スイングアーム60は第二カム92のカムプロフィールに従ってスイングアーム軸40を支点として揺動する。
ここで、図3及び図6を用いて、第一カム91と第二カム92のカムプロフィールについて説明する。第一カム91の凸部91aは、前斜面91bと後斜面91cとを有する。また、第二カム92の凸部92aは、前斜面92bと後斜面92cとを有する。前斜面91bと前斜面92bとは、正面視において略一致するように形成される。前斜面92bと後斜面92cとの間隔は、前斜面91bと後斜面91cとの間隔よりも大きくなるように形成される。
図7に示すように、第一カムローラ52及び第二カムローラ62が、前斜面91b及び前斜面92bにそれぞれ当接した状態で、第一カム91及び第二カム92が白抜き矢印の方向に回転すると、第一スイングアーム50及び第二スイングアーム60は、前斜面91b及び前斜面92bの形状に従って、まず同時に上方へと揺動する。第一スイングアーム50が上方へと揺動した場合、プッシュロッド70、弁腕80、及び吸気連結部材16aを介して吸気弁16が開弁される(図1参照)。
その後、図8に示すように、第一カム91及び第二カム92が白抜き矢印の方向に更に回転すると、後斜面91cの形状に従って、第一スイングアーム50が第二スイングアーム60よりも先に下方へと揺動する。この際、第一スイングアーム50はその下面の凹み部分により上方へと揺動したままの第二スイングアーム60の受け部材150と接触せずに済み、この受け部材150により下方への揺動を阻害されない。第一スイングアーム50が下方へと揺動した後、後斜面92cの形状に従って、第二スイングアーム60が下方へと揺動する。第一スイングアーム50が下方へと揺動した場合、吸気弁16が閉弁される(図1参照)。つまり、第一スイングアーム50と第二スイングアーム60とは個別に動作して、第二スイングアーム60の動作にかかわらず、第一スイングアーム50の動作が吸気弁16の閉弁時期を決定する。
図9に示すように、第一カム91のカムプロフィールは、ピストン31の吸気工程における上死点(以下、「吸気上死点」と記す)Tよりも早い時期(S1)に吸気弁16の開弁を開始し、ピストン31の吸気上死点Tにおいて吸気弁16のバルブリフトが最大になるように、また、ピストン31の吸気工程における下死点(以下、「吸気下死点」と記す)Bよりも早い時期に吸気弁16の閉弁を開始し、ピストン31の吸気下死点Bよりも早い時期(S2)に吸気弁16が完全に閉弁するように設定される。すなわち、第一カム91のカムプロフィールに従って吸気弁16を開閉することで、いわゆる早閉じ方式のミラーサイクルを実現することができる。
次に、エンジン1が低負荷で運転している場合について説明する。
図10に示すように、制御装置160は、エンジン1が低負荷で運転していると判断した場合、電磁切換弁110の吸入ポートと吐出ポートとを連通する(以下、この状態を「第二の状態」と記す)。従って、油圧ポンプ4からの潤滑油がスイングアーム軸40の第一油路40aへと供給される。第一油路40aへと供給された潤滑油は、第一外周油路40cを介して切換用油路50gへと、第二外周油路40dを介してピストン作動用油路50dへと、それぞれ供給される。なお、油圧ポンプ4は図示せぬ油路を介してスイングアーム軸40の第二油路40bと連通されているため、第一の状態の場合と同様に、潤滑油は第一溝部50b及び第二溝部60bへと供給され、第一カムローラ52及び第二カムローラ62を潤滑する。
切換用油路50gへと供給された潤滑油は、切換弁穴50fの切換弁140の上方に、即ち切換弁140とボルト55の間に供給される。従って、当該潤滑油によって切換弁140が下方に向かって押圧され、その押圧力がスプリング54の付勢力を超えると、当該切換弁140がスプリング54の付勢力に抗して下方へと摺動する。切換弁140は、下方へと摺動すると、ピストン作動用油路50dを閉塞し、ピストン穴50eから第一溝部50bへの潤滑油の流通を遮断する。
ピストン作動用油路50dへと供給された潤滑油は、逆止弁120を介してピストン穴50eに供給される。ピストン作動用油路50dのうち、ピストン穴50eから第一溝部50bまでの部分は切換弁140によって閉塞されているため、ピストン穴50eに供給された潤滑油によって油圧ピストン130が下方に向かって押圧される。潤滑油によって押圧された油圧ピストン130は下方へと摺動し、第一スイングアーム50の下面から突出する。油圧ピストン130は、その下端が第二スイングアーム60に取り付けられた受け部材150の上面と当接するまで突出する。制御装置160によって電磁切換弁110の吸入ポートと吐出ポートとが連通されている間は、油圧ピストン130は第一スイングアーム50の下面から突出した状態に保持される。
図11に示すように、この状態でカム軸90が回転すると、第一カムローラ52は第一カム91と当接しながら回転するため、第一スイングアーム50は第一カム91のカムプロフィールに従ってスイングアーム軸40を支点として揺動する。また、第二カムローラ62は第二カム92と当接しながら回転するため、第二スイングアーム60は第二カム92のカムプロフィールに従ってスイングアーム軸40を支点として揺動する。
第一カムローラ52及び第二カムローラ62が、前斜面91b及び前斜面92bにそれぞれ当接した状態で、第一カム91及び第二カム92が白抜き矢印の方向に回転すると、第一スイングアーム50及び第二スイングアーム60は、前斜面91b及び前斜面92bの形状に従って、まず同時に上方へと揺動する。第一スイングアーム50が上方へと揺動した場合、プッシュロッド70、弁腕80、及び吸気連結部材16aを介して吸気弁16が開弁される(図1参照)。
その後、図12に示すように、第一カムローラ52が後斜面91cに差し掛かるが、油圧ピストン130が受け部材150に当接しているため、第一カムローラ52は第一カム91から離間し、第一スイングアーム50は後斜面91cの形状に従って下方へと揺動することができない。この状態では、第一スイングアーム50は第二スイングアーム60の揺動に従って揺動する。すなわち、第二スイングアーム60が後斜面92cの形状に従って下方へと揺動すると、当該第二スイングアーム60の揺動に伴って第一スイングアーム50も下方へと揺動する。第一スイングアーム50が下方へと揺動した場合、吸気弁16が閉弁される(図1参照)。つまり、吸気弁16の閉弁時には、第一スイングアーム50が第二スイングアーム60と一体的に動作して、第二スイングアーム60の動作が吸気弁16の閉弁時期を決定する。
図13に示すように、第二カム92のカムプロフィールは、ピストン31の吸気上死点Tよりも早い時期(S1)に吸気弁16の開弁を開始し、ピストン31の吸気上死点Tにおいて吸気弁16のバルブリフトが最大になるように、また、ピストン31の吸気下死点B近傍で吸気弁16の閉弁を開始し、その後(S3)に吸気弁16が完全に閉弁するように設定される。なお、本実施形態においてはピストン31の吸気下死点B近傍で吸気弁16の閉弁を開始するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、ピストン31の吸気下死点Bにおいて吸気弁16の閉弁を開始する構成とすることも可能である。
上述の如く、制御装置160は、エンジン1が高負荷運転している場合には第一の状態に、低負荷運転している場合には第二の状態に、それぞれ切り換えることで、エンジン1の運転状態に応じて吸気弁16の閉弁時期を変更することができる。その結果、エンジン1の高負荷運転時には、吸気弁16が吸気下死点よりも早い時期に閉じ(早閉じ方式のミラーサイクル)ても、空気が過給機2の駆動によりシリンダ11a内へ十分に吸入されることとなる。一方、エンジン1の低負荷運転時には、排気ガス量が少なく過給機2の機能が高負荷運転時と比べて低下するため、仮に、吸気弁16を高負荷運転時と同様の時期に閉じると、空気がシリンダ11a内へ十分に吸入されない。しかし、本実施形態においては、吸気弁16を高負荷運転時よりも遅い時期に、より詳しくは吸気下死点近傍で閉じるため、吸気期間が高負荷運転時と比べて延び、空気がシリンダ11a内へ十分に吸入されることとなる。つまり、エンジン1の高負荷運転時であっても低負荷運転時であっても、シリンダ11a内へ吸入される空気が必要量だけ確保されることとなる。
以上の如く、本実施形態に係るエンジン1は、吸気弁16の閉弁時期を変更可能な可変バルブタイミング機構37を備えるエンジン1であって、可変バルブタイミング機構37は、クランク軸33に連動して回転するカム軸90と、カム軸90に設けられて、互いにカムプロフィールの異なる第一カム91及び第二カム92と、第一カム91に当接されて、第一カム91の回転に従って揺動する第一スイングアーム50と、第二カム92に当接されて、第二カム92の回転に従って揺動する第二スイングアーム60と、第一スイングアーム50に連結されて、第一スイングアーム50と吸気弁16とを連係させるプッシュロッド70と、第一スイングアーム50を第一カム91の回転に従って揺動させる第一の状態と、第二スイングアーム60とともに第二カム92の回転に従って揺動させる第二の状態とに切換可能な切換手段100と、を具備するものである。このように構成することにより、互いにカムプロフィールの異なる第一カム91又は第二カム92により吸気弁16を開閉して、吸気弁16の開閉時期を各カムに対応する時期に変更することができる。例えば、本実施形態のように、吸気弁16の閉弁時期を、ピストン31の吸気下死点Bよりも早い時期、又はピストン31の吸気下死点B付近、のいずれか一方に変更することができる。この場合、吸気弁16の開閉時期を簡単な構成で切り換えることができ、部品点数や組み立て工数を削減して、製造コストの削減を図ることができる。また、部品点数や組み立て工数を削減することにより、寸法誤差や組み立て時のミスの発生を抑制し、ひいてはエンジン全体としての信頼性の向上を図ることができる。
また、切換手段100は、第二スイングアーム60に取り付けられた受け部材150と、第一スイングアーム50に取り付けられて、受け部材150と当接することにより、第一スイングアーム50を第一カム91から離間させるとともに、第二スイングアーム60と一体的に動作させることが可能な油圧ピストン130と、を具備するものである。このように構成することにより、切換手段100を簡単に構成することができる。従って、部品点数の削減や組み立て工数の削減が可能であり、製造コストの削減を図ることができる。
また、切換手段100は、エンジン各部に供給される潤滑油を用いて油圧ピストン130を作動させるものである。このように構成することにより、エンジン1の潤滑油を用いて切換機構を作動させることができるため、別途油圧ポンプ等を用いる必要がなく、部品点数の削減や組み立て工数の削減が可能であり、製造コストの削減を図ることができる。
また、油圧ピストン130を作動させる潤滑油は、第一スイングアーム50に形成されるピストン作動用油路50d、及び第一スイングアーム50を揺動可能に支持するスイングアーム軸40に形成される第一油路40aを介して、油圧ピストン130に供給されるものである。このように構成することにより、油圧ピストン130を作動させる潤滑油を供給するための配管等を別途設ける必要がなく、部品点数の削減や組み立て工数の削減が可能である。ここで、仮に、潤滑油の油圧ピストン130への供給構造が、配管等を、第一スイングアーム50の外部から第一スイングアーム50に形成されるピストン作動用油路50dと接続して、潤滑油をこれらの配管及びピストン作動用油路50dを介して油圧ピストン130に供給するように構成される場合、第一スイングアーム50の揺動により配管等が外れたり、変形又は破損したりするおそれがある。一方、第一スイングアーム50の揺動に対応するために、可撓性を有する配管等をピストン作動用油路50dと接続するように構成される場合、第一スイングアーム50が揺動したときには、配管等が第一スイングアーム50に追従するように移動して曲がり、その内部の油路形状が変形する。そのため、潤滑油を油圧ピストン130に安定して供給することができなくなるおそれがある。また、第一スイングアーム50の揺動により配管等が外れるおそれもある。しかし、本実施形態に係るエンジンにおいては、潤滑油の油圧ピストン130への供給構造が、第一スイングアーム50を揺動可能に支持するスイングアーム軸40に形成される第一油路40aをピストン作動用油路50dと接続して、潤滑油をこれらの第一油路40a及びピストン作動用油路50dを介して油圧ピストン130に供給するように構成されるため、第一スイングアーム50が揺動しようとも、第一油路40aの油路形状が一定に保持されることとなる。つまり、潤滑油の油圧ピストン130への供給に、第一スイングアーム50の揺動による影響が及ばなくなる。したがって、潤滑油を油圧ピストン130へ安定して供給することができる。
また、第一スイングアーム50は、回転自在に支持されるとともに、第一カム91と当接される第一カムローラ52を具備し、第一カムローラ52を潤滑する潤滑油は、ピストン作動用油路50dとは別に第一スイングアーム50に形成される第一ローラ潤滑用油路50c、及び第一油路40aとは別にスイングアーム軸40に形成される第二油路40bを介して、第一カムローラ52に供給されるものである。このように構成することにより、第一カムローラ52を潤滑する潤滑油を供給するための配管等を別途設ける必要がなく、部品点数の削減や組み立て工数の削減が可能である。また、潤滑油が第一カムローラ52に油圧ピストン130とは異なる油路を介して供給されることになる。そのため、潤滑油の第一カムローラ52への供給構造が、潤滑油を第一カムローラ52に油圧ピストン130と同一の油路を介して供給するように構成される場合には、当該油路において潤滑油の流れが油圧ピストン130の作動状態によっては阻害されるおそれがあるが、そのおそれがなくなる。したがって、潤滑油を第一カムローラ52に安定して供給することが可能となり、第一カムローラ52を確実に潤滑することができる。
また、油圧ピストン130の動作を切り換えるための切換弁140を、第一スイングアーム50に取り付けるものである。このように構成することにより、部品点数の削減や組み立て工数の削減が可能である。また、切換手段をコンパクトに構成することができ、省スペース化を図ることができる。
また、第一カム91のカムプロフィール又は第二カム92のカムプロフィールのうち、少なくとも一方のカムプロフィールは、吸気下死点Bよりも早い時期に吸気弁16が閉弁するように設定されるものである。このように構成することにより、吸気弁16の閉弁時期を早めることで、シリンダ11a内で空気を断熱膨張させ、燃焼温度を下げることができる。これによって、NOxの発生量の低減を図ることができる。
また、本実施形態に係る過給機2付きのエンジン1は、吸気弁16の閉弁時期を変える可変バルブタイミング機構37と、排気エネルギーを利用してシリンダ11a内に空気を強制的に送り込む過給機2と、を具備するエンジン1であって、可変バルブタイミング機構37は、高負荷運転時には、吸気弁16の閉弁時期を吸気下死点Bよりも早い時期に設定し、低負荷運転時には、吸気弁16の閉弁時期を高負荷運転時に比べて遅い時期に設定するものである。このように構成することにより、高負荷運転時には排気量が多いため、過給機2を十分に機能させることができる。この場合には、いわゆる早閉じ方式のミラーサイクルによって燃焼温度を下げ、NOxの発生量の低減を図ることができる。また、低負荷運転時には排気量が少ないため、過給機2が十分に機能せず、吸気弁16を高負荷運転時の場合と同様の時期に閉じると、シリンダ11a内への空気の圧送量が減少するが、この場合には吸気弁16の閉弁時期を高負荷運転時の場合よりも遅く設定して吸気工程後の吸気下死点Bに近づけることで、空気をシリンダ11a内へと十分に吸入することができる。従って、発生する黒煙の増加や、加速性及び始動性の悪化といった性能の悪化を防止することができる。このように、低負荷運転時と高負荷運転時とで吸気弁16の閉弁時期を切り換えることにより、性能の悪化を防止しながらNOxの発生量の低減を図ることができる。
また、可変バルブタイミング機構37は、低負荷運転時には、吸気弁16の閉弁時期を吸気下死点B近傍に設定するものである。このように構成することにより、低負荷運転時に、十分な量の空気を確実に吸入することが可能となる。従って、発生する黒煙の増加や、加速性及び始動性の悪化といった性能の悪化を防止することができる。
また、可変バルブタイミング機構37は、クランク軸33に連動して回転するカム軸90と、カム軸90に設けられて、互いにカムプロフィールの異なる第一カム91及び第二カム92と、第一カム91に当接されて、第一カム91の回転に従って揺動する第一スイングアーム50と、第二カム92に当接されて、第二カム92の回転に従って揺動する第二スイングアーム60と、第一スイングアーム50に連結されて、第一スイングアーム50と吸気弁16とを連係させるプッシュロッド70と、第一スイングアーム50を第一カム91の回転に従って揺動させる第一の状態と、第二スイングアーム60とともに第二カム92の回転に従って揺動させる第二の状態とに切換可能な切換手段100と、を具備し、第一カム91のカムプロフィール及び第二カム92のカムプロフィールに基づいて、吸気弁16の閉弁時期を設定するものである。このように構成することにより、互いにカムプロフィールの異なる第一カム91又は第二カム92により吸気弁16を開閉して、吸気弁16の閉時期を高負荷運転時と高負荷運転時とで異なる時期に適宜に変更することができる。これによって、高負荷運転時にはNOxの発生量の低減を図るとともに、低負荷運転時にはエンジン1の性能の悪化を防止することができる。またこの場合、吸気弁16の開閉時期を簡単な構成で切り換えることができ、部品点数や組み立て工数を削減して、製造コストの削減を図ることができる。
なお、本実施形態において、第一カム91のカムプロフィールは、吸気下死点Bよりも早い時期に吸気弁16が閉弁するように設定するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、第二カム92のカムプロフィールを、吸気下死点Bよりも早い時期に吸気弁16が閉弁するように設定することも可能である。
また、本実施形態において、可変バルブタイミング機構37は、第一の状態においていわゆる早閉じ方式のミラーサイクルを実現するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、遅閉じ方式のミラーサイクルを実現する構成とすることも可能であり、第一カム91及び第二カム92のカムプロフィールを任意に設定することで、吸気弁16の閉弁時期を任意に設定することも可能である。
また、可変バルブタイミング機構37は、本実施形態に係る構成に限るものではなく、例えばカム軸90に対する第一カム91又は第二カム92の取り付け角度を、油圧等により変更可能な構成とすること等も可能である。
また、本実施形態において、制御装置160は、燃料噴射量検出手段161及びエンジン回転数検出手段162の検出値に基づいてエンジン1の運転状態(高負荷で運転している状態か、又は低負荷で運転している状態か)を判断するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、エンジン1の排気ガス量を検出して、当該排気ガス量に基づいてエンジン1の運転状態を判断する構成とすることも可能である。