JP2009209835A - エンジンの給油装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの負荷増大を抑制しつつ、周期的に運動する要素へのオイルの供給をより効果的に行うこと。
【解決手段】エンジンのクランク軸の駆動力により駆動され、該クランク軸の回転周期に同期した周期で吐出圧を脈動させてオイルを圧送するオイル圧送手段と、前記回転周期に同期した周期で運動するエンジン構成部品の要給油部に、前記オイル圧送手段から圧送されるオイルを導くオイル通路と、を備え、前記オイル圧送手段の吐出圧が予め定めた圧力以上となる圧力タイミングが、前記エンジン構成部品が特定の位置に位置するタイミングに合わせて設定されていることを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】エンジンのクランク軸の駆動力により駆動され、該クランク軸の回転周期に同期した周期で吐出圧を脈動させてオイルを圧送するオイル圧送手段と、前記回転周期に同期した周期で運動するエンジン構成部品の要給油部に、前記オイル圧送手段から圧送されるオイルを導くオイル通路と、を備え、前記オイル圧送手段の吐出圧が予め定めた圧力以上となる圧力タイミングが、前記エンジン構成部品が特定の位置に位置するタイミングに合わせて設定されていることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、エンジンの要給油部にオイルを供給する給油装置に関するものである。
潤滑或いは冷却が求められる、エンジンの要給油部にオイルを供給する給油装置は、一般にエンジン出力(クランク軸の駆動力)を駆動源としたオイルポンプを備える。このようなオイルポンプとしては、定容量型のオイルポンプのみならず、可変容量型のオイルポンプを用いたものも提案されている(特許文献1)。
ここで、給油対象となる要潤滑部或いは要冷却部が、周期的に運動する要素である場合、オイルの供給性が必ずしもよくない場合がある。例えば、ピストンを冷却するため、ピストン内にクーリングチャネルを設け、気筒下部からオイルジェットによりオイルをクーリングチャネルに向けて噴出する構成の場合、ピストンが上死点付近にある場合はオイルジェットとピストンとの距離が大きく離れることから、噴出オイルが部分的にしかクーリングチャネルに行き渡らず、噴出オイルが十分にピストン冷却に利用されない。
また、例えば、クランク軸のピン部とコンロッドとの連結部分を潤滑するため、クランク軸内にオイル通路を形成し、軸受部側のオイル通路と半割りのメタル軸受の開口部及び溝を介して連通させてオイルを供給する構成の場合、クランク軸の回転による遠心力の作用により、クランク軸内のオイル通路内にオイル供給方向とは反対向きの抵抗が生じ、オイルが十分に供給されない場合があり、ピン部へオイルを効果的に供給するためには、オイルに一定の圧力が作用していることが必要となる。
このような問題を解決する方法としては、より大容量のオイルポンプを使用してその吐出圧を上げることが挙げられる。しかし、大容量のオイルポンプを使用すると、オイルポンプの駆動によるエンジンの負荷が大きくなり、燃費低減の要因となる。
従って、本発明の目的は、エンジンの負荷増大を抑制しつつ、周期的に運動する要素へのオイルの供給をより効果的に行うことにある。
本発明によれば、エンジンのクランク軸の駆動力により駆動され、該クランク軸の回転周期に同期した周期で吐出圧を脈動させてオイルを圧送するオイル圧送手段と、
前記回転周期に同期した周期で運動するエンジン構成部品の要給油部に、前記オイル圧送手段から圧送されるオイルを導くオイル通路と、を備え、前記オイル圧送手段の吐出圧が予め定めた圧力以上となる圧力タイミングが、前記エンジン構成部品が特定の位置に位置するタイミングに合わせて設定されていることを特徴とするエンジンの給油装置が提供される。
前記回転周期に同期した周期で運動するエンジン構成部品の要給油部に、前記オイル圧送手段から圧送されるオイルを導くオイル通路と、を備え、前記オイル圧送手段の吐出圧が予め定めた圧力以上となる圧力タイミングが、前記エンジン構成部品が特定の位置に位置するタイミングに合わせて設定されていることを特徴とするエンジンの給油装置が提供される。
この給油装置では、前記オイル圧送手段により、オイルの吐出圧を周期的に脈動させることで、吐出圧が高圧な状態を周期的に発生させることができる。この場合、平均的な吐出圧としては当該高圧な状態での吐出圧よりも下がるので、エンジンの負荷増大を抑制することができる。そして、前記圧力タイミングを、前記エンジン構成部品が特定の位置に位置するタイミングに合わせて設定することで、前記要求油部に対して効果的なタイミングで高圧なオイルを供給することができ、周期的に運動する要素へのオイルの供給をより効果的に行うことができる。
本発明においては、前記エンジンが、環状のクーリングチャネルを内蔵し、該クーリングチャネルに連通して下面に開口したオイル導入穴及びオイル排出穴を備えたピストンを備え、前記エンジン構成部品が前記ピストンであり、前記要給油部が前記オイル導入穴であり、前記オイル通路が、前記ピストンの移動方向下死点側に配設され、前記オイル導入穴へ向けてオイルを噴出するオイルジェット部を備え、前記圧力タイミングが、前記ピストンが下死点に位置するタイミングに合わせて設定されていてもよい。
この構成によれば、前記オイル導入穴が前記オイルジェット部に、より近接したタイミングで、より高圧のオイルを供給でき、前記クーリングチャネルへの給油量を高めてピストンの冷却性を向上できる。
また、本発明においては、前記オイル通路が、前記クランク軸のジャーナル部を支持する軸受部に設けた第1油路と、前記ジャーナル部の周面に開口した第1開口部と連通し、該ジャーナル部内に設けた第2油路と、コンロッドが連結された、前記クランク軸のピン部の周面に開口した第2開口部と連通して前記クランク軸内に設けられ、前記第2油路と連通した第3油路と、を備え、前記エンジン構成部品が前記クランク軸であり、前記要給油部が前記ピン部の周面であり、前記圧力タイミングが、前記第1油路と前記第1開口部とが連通するタイミングに合わせて設定されていてもよい。
この構成によれば、前記第1油路と前記第1開口部とが連通している場合に、より高圧のオイルを供給でき、前記ピン部の周面への給油量を高めて前記ピン部と前記コンロッドとの連結部分の潤滑性を向上できる。
この場合、前記第1油路と前記第1開口部とは、ピストンの位置が上死点手前のタイミングで連通し、前記ピストンの位置が前記上死点手前のタイミングにおいて、前記第2開口部が前記ピストン側を指向するように、前記第2開口部を形成してもよい。
この構成によれば、前記ピン部と前記コンロッドとの間に作用する荷重が高まる、前記ピストンが上死点付近において、前記ピン部の周面への給油量をより確実に高めて前記ピン部と前記コンロッドとの連結部分の潤滑性を向上できる。
また、本発明においては、前記オイル圧送手段が、オイルポンプと、前記クランク軸の駆動力を前記オイルポンプに伝達する動力伝達機構と、を備え、前記動力伝達機構が、前記クランク軸の駆動力により回転する第1の楕円歯車と、前記第1の楕円歯車と噛合し、前記オイルポンプの駆動軸に前記クランク軸の駆動力を伝達する第2の楕円歯車と、を備えてもよい。この構成によれば、機械的な構成により、前記オイルポンプの吐出圧の脈動を発生させることができる。
また、本発明においては、前記オイル圧送手段が、容量可変型のオイルポンプを備えてもよい。この構成によれば、平均的な吐出圧を調整でき、吐出圧の脈動発生を確保しながら、エンジン高回転時における駆動損失を抑制できる。
また、本発明においては、前記圧力タイミングが、前記吐出圧が最高圧となるタイミングであってもよい。この構成によれば、前記要求油部に対して効果的なタイミングで、最も高圧なオイルを供給することができ、周期的に運動する要素へのオイルの供給を更に効果的に行うことができる。
以上述べた通り、本発明によれば、エンジンの負荷増大を抑制しつつ、周期的に運動する要素へのオイルの供給をより効果的に行うことができる。
図1は本発明の一実施形態に係る給油装置が適用されたエンジンAの概略図である。エンジンAは、4サイクル直列4気筒ガソリンレシプロエンジンであるが、本発明は、他の気筒列配置、気筒数、或いはディーゼル形式等、他の種類のエンジンにも適用可能である。
エンジンAは、シリンダヘッド1、シリンダブロック2及びオイルパン3を備える。シリンダヘッド1には、吸気側のカム軸4と、排気側のカム軸5とが回転自在に支持されており、クランク軸10の駆動力が伝達されて回転し、それぞれ吸気バルブ4a、排気バルブ5aを往復運動させる。本実施形態では、動弁機構がDOHC形式に構成されており、吸気バルブ4a、排気バルブ5aは1気筒あたりそれぞれ2つずつ設けられて、燃焼室に臨む吸気ポート、排気ポートを開閉する。
シリンダブロック2には、クランク軸10が回転自在に支持されている。クランク軸10は、ジャーナル部11、ピン部12、アーム部13を有する。ピン部12にはコンロッド30の下端が回転自在に連結され、コンロッド30の上端にはピストン20が揺動自在に連結されている。図1においてコンロッド30及びピストン20は1気筒分のみ図示している。
エンジンAはオイル圧送ユニット40を備える。オイル圧送ユニット40は、エンジンAの要潤滑部或いは要冷却部である要給油部にオイルを圧送する。オイル圧送ユニット40はオイルポンプ41と、動力伝達機構42と、を備え、オイルポンプ41はクランク軸10の駆動力、つまり、エンジンAの出力を動力源として駆動する。オイルポンプ41は、オイルパン3内に配置されたオイルストレーナ6を介してオイルパン3内のオイルを汲み上げ、オイルフィルタ7を介してシリンダブロック2内に形成されたオイルギャラリ8へオイルを圧送する。オイルギャラリ8は、圧送されたオイルをエンジンAの要給油部に導くオイル通路の一部を構成する。
オイル圧送ユニット40は、クランク軸10の回転周期に同期した周期で吐出圧を脈動させてオイルを圧送する。本実施形態の場合、動力伝達機構42を設け、かつ、動力伝達機構42を楕円歯車42a、42bを用いて構成することで、クランク軸10の回転周期に同期した周期で吐出圧を脈動させる。これにより、オイルポンプ41自体は従前のものを使用でき、また、機械的なシンプルな構成により、オイルポンプ41の吐出圧の脈動を発生させることができる。
図2(a)は、楕円歯車42a及び42bの説明図である。楕円歯車42aはクランク軸10に固定され、楕円歯車42bはオイルポンプ41の駆動軸(入力軸)41aに固定されており、互いに噛合している。この構成により、クランク軸10の駆動力をオイルポンプ41に伝達し、オイルポンプ41を運転する。
図2(a)の楕円歯車42a及び42bは、楕円4葉歯車である。このため、楕円歯車42aが1回転するうちに、楕円歯車42bはその回転速度が4回変化する。オイルポンプ41の吐出量は駆動軸41aの回転数に略比例することから、オイルポンプ41から吐出されるオイルの吐出圧は正弦波状に周期的に変化する。本実施形態の場合、楕円歯車42a及び42bが楕円4葉歯車であることから、吐出圧の脈動の周期はクランク軸10の回転位相でみると、クランク軸10回転周期の1/2となる。そうすると、ピストン20が上死点−下死点間で1回往復運動をする間、オイルポンプ41の吐出圧は、最高圧、最低圧がそれぞれ2回ずつ現れることになる。オイルポンプ41の吐出圧の脈動の周期は、楕円歯車の葉数等を変えることで変更することができる。
なお、本実施形態では、動力伝達機構42を楕円歯車42a、42bから構成したが、これに限られない。例えば、図2(b)に示す構成を採用できる。図2(b)は動力伝達機構42の他の構成例を示す図である。同図の例では、中間軸70を設け、クランク軸10と中間軸70との間を平歯車71、72で動力伝達し、中間軸70と駆動軸41aとの間を楕円歯車42a、42bで動力伝達したものである。平歯車71、72のギヤ比により、オイルポンプ41の吐出圧の脈動の周期を変更することができる。例えば、楕円歯車42a、42bを楕円4葉歯車とした場合、平歯車71、72のギヤ比を2:1とすると、オイルポンプ41の吐出圧の脈動の周期はクランク軸10の回転位相でみると、クランク軸10の回転周期の1/4となる。
本実施形態では、動力伝達機構42により、クランク軸10の回転周期に同期した周期でオイルポンプ41の吐出圧を脈動させる構成としたが、これに限らない。例えば、オイルポンプ41の吐出オイルを貯留するチャンバ、及び、チャンバとオイル通路との連通をクランク軸10の回転周期に同期して開閉するアクチュエータ等から構成してもよい。
図1に戻り、本実施形態の場合、オイルポンプ41は可変容量型のポンプである。固定容量型のポンプも採用可能であるが、その場合リリーフ弁が一般には必要となる。つまり、オイルポンプの吐出圧はエンジンAの回転数に略比例するから、高回転域においては吐出圧が必要以上に高くなり、駆動損失が大きくなる。そのため、リリーフ弁を設けて吐出圧が一定以上にならないようにしている。
しかし、本実施形態のように、オイルポンプ41の吐出圧を脈動させる構成においては、リリーフ弁を設けると、エンジンAが低回転域においても、吐出圧が高圧となる周期においてリリーフ弁が働き、意図する吐出圧が得られない場合が生じ得る。そこで、本実施形態では、リリーフ弁を廃して可変容量型のポンプをオイルポンプ41として使用する。そして、エンジンAが高回転域にある場合は、オイルポンプ41の容積を縮小して吐出量を減少させる。この制御は、例えば、図1に示すように制御部9からオイルポンプ41のアクチュエータ41bに制御信号を送出して行うことができる。制御部9は例えばECU(エンジンコントロールユニット)であり、クランク角センサ等のエンジン回転数センサからの検出結果に応じて、アクチュエータ41bに制御信号を送出し、オイルポンプ41の容積を変更する。このように可変容量型のポンプを用いることで、平均的な吐出圧を調整でき、吐出圧の脈動発生を確保しながら、エンジン高回転時における駆動損失を抑制できる。
さて、このように本実施形態では、オイル圧送ユニット40により、オイルの吐出圧を周期的に脈動させることで、吐出圧が高圧な状態を周期的に発生させることができる。この場合、平均的な吐出圧としては当該高圧な状態での吐出圧よりも下がるので、エンジンの負荷増大を抑制することができる。
そして、クランク軸10の回転周期に同期した周期で運動するエンジン構成部品の要給油部に、オイル圧送ユニット40から圧送されるオイルを供給する。その際、オイル圧送ユニットの吐出圧が予め定めた圧力以上となる圧力タイミングが、エンジン構成部品が特定の位置に位置するタイミングに合わせて設定する。圧力タイミングを、エンジン構成部品が特定の位置に位置するタイミングに合わせて設定することで、要給油部に対して効果的なタイミングで高圧なオイルを供給することができ、周期的に運動する要素へのオイルの供給をより効果的に行うことができる。
圧力タイミングの設定は、本実施形態では、クランク軸10に対する楕円歯車42aの取付け、つまり、クランク軸10の回転方向に関するクランク軸10と楕円歯車42aとの相対的な取付位置により行うことができる。
上記の予め定めた圧力としては、周期的に脈動する吐出圧の平均圧力を超える圧力とし、最高圧力で最も効果が高く、周期的に運動する要素へのオイルの供給を最も効果的に行うことができる。しかし、平均圧力と最高圧力の差の例えば、1/2以上、更に好ましくは1/4以上、また更に好ましくは1/8以上であれば、エンジンの負荷増大の抑制と、周期的に運動する要素へのオイルの供給との関係である程度の効果が見込める。以下、要給油部と吐出圧のタイミング設定の例について説明する。
<要給油部と吐出圧のタイミング設定の例1>
ここでは、ピストン20の冷却にオイル圧送ユニット40から圧送されるオイルを用いた例について説明する。図3(a)はピストン20の冷却系の構成を示す図、図3(b)は図3(a)の線X−Xに沿うピストン20の断面図である。図3(a)において、ピストン20は略下死点に位置している。
ここでは、ピストン20の冷却にオイル圧送ユニット40から圧送されるオイルを用いた例について説明する。図3(a)はピストン20の冷却系の構成を示す図、図3(b)は図3(a)の線X−Xに沿うピストン20の断面図である。図3(a)において、ピストン20は略下死点に位置している。
ピストン20は、その上部に内蔵された環状のクーリングチャネル21と、クーリングチャネル21に連通して該上部の下面に開口したオイル導入穴22及びオイル排出穴23を備える。ピストン20の移動方向下死点側でピストン20やコンロッド30等と干渉しない位置、本実施形態では、シリンダブロック2のクランクケース内の上部にオイルジェット部50が設けられている。オイルジェット部50は、オイルギャラリ8と連通し、ノズル51の先端からオイル導入穴22に向けてオイルを噴出するよう配置されており、オイル導入穴22へオイルを導くオイル通路の一部を構成している。
ピストン20をより効果的に冷却するためには、クーリングチャネル21内に円滑にオイルが供給される必要があり、このためにはオイルがより高圧であることが望ましい。一方、オイルジェット部50から噴出されるオイルは、ピストン20が図3(a)に示すように下死点付近に位置している場合に、オイル導入穴22に最も入り易く、したがって、クーリングチャネル21内にオイルを供給し易くなる。ピストン20が上死点側に位置する程、オイル導入穴22とノズル51の先端とが離間するため、オイルの供給効率が劣る。
そこで、本実施形態では、オイル圧送ユニット40の吐出圧が予め定めた圧力以上となる圧力タイミングをピストン20が下死点に位置するタイミングに合わせて設定する。
図4は、クランク軸10のクランク角と、オイル圧送ユニット40の吐出圧の脈動周期との位相関係の例を示す図である。同図の例では、4気筒中のある気筒のピストン20が、クランク軸10の回転位相で180度の時に下死点に位置する場合を想定している。このとき、オイル圧送ユニット40の吐出圧は最高圧となるようにそのタイミングを設定している。
このため、図3(a)に示したように、ピストン20が下死点近傍に位置しているときに、オイルジェット部50から最高圧でオイル導入穴22へオイルが噴射され、クーリングチャネル21内により多くのオイルが高圧で供給される。このように、オイル導入穴22がオイルジェット部50に、より近接したタイミングで、より高圧のオイルを供給でき、クーリングチャネル21への給油量を高めてピストン20の冷却性を向上できる。
ここで、本実施形態のエンジンAは直列4気筒エンジンであり、4つのピストン20のうちの2つずつで、下死点に位置するタイミングが、クランク軸10の回転位相で180度ずれる。一方、オイル圧送ユニット40は吐出圧の脈動周期がクランク軸10の回転周期の1/2であり、クランク軸10の回転位相で180度毎に吐出圧が最高圧となるタイミングが訪れる。したがって、全気筒のピストン20がそれぞれ下死点近傍に位置しているときに、オイルジェット部50から最高圧でオイル導入穴22へオイルを噴射することができる。気筒数を変えた場合は、それに応じてオイル圧送ユニット40は吐出圧の脈動周期を変えることで、やはり全気筒のピストンについて同様にオイルの圧送が可能となる。
<要給油部と吐出圧のタイミング設定の例2>
ここでは、クランク軸10のピン部12とこれに連結されたコンロッド30との摺動面の潤滑にオイル圧送ユニット40から圧送されるオイルを用いた例について説明する。図5(a)は、クランク軸10のジャーナル部11の軸受周辺の構造を示す図、図5(b)はクランク軸10内のオイル通路を説明するクランク軸10の断面図、図5(c)はクランク軸10内のオイル通路を説明するクランク軸10の一部外観図である。
ここでは、クランク軸10のピン部12とこれに連結されたコンロッド30との摺動面の潤滑にオイル圧送ユニット40から圧送されるオイルを用いた例について説明する。図5(a)は、クランク軸10のジャーナル部11の軸受周辺の構造を示す図、図5(b)はクランク軸10内のオイル通路を説明するクランク軸10の断面図、図5(c)はクランク軸10内のオイル通路を説明するクランク軸10の一部外観図である。
図5(a)に示すように、クランク軸10のジャーナル部11は、シリンダブロック2と一体に形成された上部軸受部14と、上部軸受部14にボルト締結される下部軸受部16と、により回転自在に支持される。同図において矢印はクランク軸10の回転方向を示す。
上部軸受部14及び下部軸受部16と、ジャーナル部11との間には、上側部15A及び下側部15Bからなる半割りの環状メタル軸受15が設けられている。上部軸受部14はオイルギャラリ8と連通した油路60が形成され、メタル軸受15の上側部15Aには油路60に連通した油穴61aと油溝61bとが設けられている。オイルギャラリ8、油路60、油穴61a及び油溝61bを介して供給されるオイルは、ジャーナル部11周面とメタル軸受15との間に進入して油膜を形成する。
ジャーナル部11には、その半径方向に貫通した油路62が設けられており、油路62の端部はそれぞれジャーナル部11の周面に開口した開口部62a、62bを形成し、回転軌跡上、油路60、油穴61a及び油溝61bと一致している。図5(b)及び(c)に示すように、油路62には、ジャーナル部11、アーム部13およびピン部12に跨ってクランク軸10内に設けられた油路63が連通している。油路63の一方端部は、ピン部12の周面に開口した開口部63aを形成している。
油路62と、油路60及び油穴61aとは、クランク軸10の回転位相がある位相である場合に互いに直接的に連通する。この連通時には、オイルギャラリ8、油路60、油穴61a、油路62並びに油路63を介して供給されるオイルは、この回転位相以外の位相である場合に比べて、油溝61bを経由しない分、流通抵抗がなく、開口部63aから噴出して、ピン部12周面とコンロッド30との摺動面の潤滑が高まり易い。
しかし、クランク軸10は常時回転していることから、油路62内のオイルには遠心力が作用し、半径方向外方に向かおうとし易い。よって、ピン部12周面とコンロッド30との摺動面を効果的に潤滑するためには、油路62内により高圧のオイルを供給して、油路63へより多くのオイルが進入することが望ましい。
そこで、本実施形態では、オイル圧送ユニット40の吐出圧が予め定めた圧力以上となる圧力タイミングを、油路60及び油穴61aと、油路62とが連通するタイミングに合わせて設定する。これにより、油路60及び油穴61aと、油路62とが連通している場合に、より高圧のオイルを供給でき、ピン部12の周面への給油量を高めてピン部12とコンロッド30との連結部分の潤滑性を向上できる。
ここで、ピン部12とコンロッド30との間には、気筒が燃焼行程初期において最も強い荷重が作用する。よって、気筒が燃焼行程初期に至ったときに、ピン部12の周面に十分なオイルが供給されていることが望ましい。そこで、ピストン20の位置との関係で、油路60及び油穴61aと、油路62とが連通するタイミング、つまり、クランク軸10の回転位相が重要となってくる。そこで、本実施形態では、油路60及び油穴61aと、油路62とが、ピストン20の位置が上死点手前のタイミングで連通するようにこれらを形成する。加えて、ピストン20の位置が上死点手前のタイミングで、開口部63aがピストン20側を指向するように開口部63aを形成する。
図6(a)は、油路60及び油穴61aと、油路62とが連通するタイミングでのクランク軸10の位置(回転位相)を示す図である。矢印d1はクランク軸10の回転方向を示す。同図の例では、クランク軸10の回転位相で上死点前45度の位置において油路60及び油穴61aと、油路62とが連通するようにこれらが形成された例である。
図7はクランク軸10のクランク角と、オイル圧送ユニット40の吐出圧の脈動周期との位相関係の例を示す図である。同図の例では、4気筒中のある気筒のピストン20が、クランク軸10の回転位相で0度の時に上死点に位置する場合を想定している。オイル圧送ユニット40の吐出圧は、−45度の時に最高圧となるようにそのタイミングを設定している。
このため、図6(a)に示したように、油路60及び油穴61aと、油路62とが連通するタイミングで、オイルギャラリ8、油路60及び油穴61aを介して油路62及び油路63にオイルが最高圧で進入し、ピン部12周面にオイルが供給される。このとき、開口部63aがピストン20側(本実施形態では上側)を指向しているから、ピン部12の周面のうち、そのピストン20側の領域に特にオイルが供給される。その後、ピストン20が上死点に達して燃焼室内で燃焼が起こり、ピン部12とコンロッド30との間に荷重が作用したときには、ピン部12周面にオイルが十分に供給される。よって、ピン部12とコンロッド30との間に作用する荷重が高まる、ピストン20が上死点付近において、ピン部12の周面への給油量をより確実に高めてピン部12とコンロッド30との連結部分の潤滑性を向上できる。
本実施形態では、油路60及び油穴61aと、油路62とが連通するタイミング並びにオイルが最高圧となるタイミングを上死点前45度としたが、例えば、上死点前20度〜60度の範囲であれば、ピストン20が上死点に達して燃焼室内で燃焼が起こったときに、ピン部12周面の潤滑性を確保できよう。
なお、本実施形態のエンジンAは直列4気筒エンジンであり、オイル圧送ユニット40は吐出圧の脈動周期がクランク軸10の回転周期の1/2であることから、全気筒のピン部12の周面の潤滑について、上記のオイル供給を行うことができる。そして、気筒数を変えた場合は、それに応じてオイル圧送ユニット40の吐出圧の脈動周期を変えることで、やはり全気筒のピン部周面について同様にオイルの供給が可能となる。
なお、ジャーナル部11とメタル軸受15との間の荷重について見れば、やはり、気筒が燃焼行程初期において最も強い荷重が作用する。よって、気筒が燃焼行程初期に至ったときに、ジャーナル部11のピストン20と反対側の部分(本実施形態では下側)の周面に十分なオイルが供給されていることが望ましい。図6(b)は、油路60及び油穴61aと、油路62とが連通するタイミングでのクランク軸10の位置(回転位相)の他の例をを示す図である。
図6(a)の構成との違いは、ジャーナル部11内の油路62の位置を変えて油路62'としたものである。開口部62a'、62b'は、油路62'の端部であって、ジャーナル部11周面に開口した部分であり、開口部62a、62bに相当する。
開口部62b'は、ピストン20の位置が上死点手前のタイミング(45度手前)で、ピストン20と反対側を指向するように形成されている。油路63'、開口部63a'は、それぞれ油路63、63aに相当し、開口部63a'は、開口部63aと同様にピストン20の位置が上死点手前のタイミングで、ピストン20側を指向している。
この構成によれば、ピストン20が上死点に達して燃焼室内で燃焼が起こった時のピン部12周面の潤滑性のみならず、ジャーナル部11周面の潤滑性も確保できる。
A エンジン
8 オイルギャラリ
10 クランク軸
40 オイル圧送ユニット
41 オイルポンプ
42 動力伝達機構
8 オイルギャラリ
10 クランク軸
40 オイル圧送ユニット
41 オイルポンプ
42 動力伝達機構
Claims (7)
- エンジンのクランク軸の駆動力により駆動され、該クランク軸の回転周期に同期した周期で吐出圧を脈動させてオイルを圧送するオイル圧送手段と、
前記回転周期に同期した周期で運動するエンジン構成部品の要給油部に、前記オイル圧送手段から圧送されるオイルを導くオイル通路と、を備え、
前記オイル圧送手段の吐出圧が予め定めた圧力以上となる圧力タイミングが、前記エンジン構成部品が特定の位置に位置するタイミングに合わせて設定されていることを特徴とするエンジンの給油装置。 - 前記エンジンが、
環状のクーリングチャネルを内蔵し、該クーリングチャネルに連通して下面に開口したオイル導入穴及びオイル排出穴を備えたピストンを備え、
前記エンジン構成部品が前記ピストンであり、
前記要給油部が前記オイル導入穴であり、
前記オイル通路が、
前記ピストンの移動方向下死点側に配設され、前記オイル導入穴へ向けてオイルを噴出するオイルジェット部を備え、
前記圧力タイミングが、前記ピストンが下死点に位置するタイミングに合わせて設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの給油装置。 - 前記オイル通路が、
前記クランク軸のジャーナル部を支持する軸受部に設けた第1油路と、
前記ジャーナル部の周面に開口した第1開口部と連通し、該ジャーナル部内に設けた第2油路と、
コンロッドが連結された、前記クランク軸のピン部の周面に開口した第2開口部と連通して前記クランク軸内に設けられ、前記第2油路と連通した第3油路と、を備え、
前記エンジン構成部品が前記クランク軸であり、
前記要給油部が前記ピン部の周面であり、
前記圧力タイミングが、前記第1油路と前記第1開口部とが連通するタイミングに合わせて設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの給油装置。 - 前記第1油路と前記第1開口部とは、ピストンの位置が上死点手前のタイミングで連通し、
前記ピストンの位置が前記上死点手前のタイミングにおいて、前記第2開口部が前記ピストン側を指向するように、前記第2開口部を形成したことを特徴とする請求項3に記載のエンジンの給油装置。 - 前記オイル圧送手段が、
オイルポンプと、
前記クランク軸の駆動力を前記オイルポンプに伝達する動力伝達機構と、
を備え、
前記動力伝達機構が、前記クランク軸の駆動力により回転する第1の楕円歯車と、
前記第1の楕円歯車と噛合し、前記オイルポンプの駆動軸に前記クランク軸の駆動力を伝達する第2の楕円歯車と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエンジンの給油装置。 - 前記オイル圧送手段が、容量可変型のオイルポンプを備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエンジンの給油装置。
- 前記圧力タイミングが、前記吐出圧が最高圧となるタイミングであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエンジンの給油装置。
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---|---|---|---|
JP2008055037A JP2009209835A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | エンジンの給油装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008055037A JP2009209835A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | エンジンの給油装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019176270A1 (ja) * | 2018-03-16 | 2019-09-19 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 可変容量オイルポンプの制御装置及び制御方法 |
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2008
- 2008-03-05 JP JP2008055037A patent/JP2009209835A/ja not_active Withdrawn
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