JP4902408B2 - ヘリカルアンテナの製造方法、及び、ヘリカルアンテナの一次成形品 - Google Patents

ヘリカルアンテナの製造方法、及び、ヘリカルアンテナの一次成形品 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂成形によるヘリカルアンテナの製造方法に関する。
従来、ヘリカルアンテナの製造方法において、樹脂成形によってヘリカルアンテナを製造する方法が知られている。
この種のヘリカルアンテナの製造方法において、樹脂成形を、一次成形と二次成形の2段階に分け、一次成形において、ヘリカルコイルと絶縁性樹脂とをインサート成形により一体的に成形した一次成形品を製造し、二次成形において、この一次成形品の外周をさらに樹脂で覆って最終的なアンテナの形状を有した二次成形品を製造する、という製造方法がある。
上記二次成形を行う際、二次成形用の金型内で、一次成形品を位置決めする方法としては、一次成形品の外周に複数の突起を設け、この突起を二次成形用金型のキャビティの内周に当接させて一次成形品を支持しつつ、位置決めする方法(例えば、特許文献1参照)(以下、「方法1」という。)や、一次成形品に、先端から基端に至るまで軸方向に延在する中空部を形成し、二次成形の際には、この中空部に支持棒を奥まで挿入し、この支持棒によって一次成形品を支えることによって、金型内において一次成形品を支持しつつ位置決めする方法(例えば、特許文献2参照)(以下、「方法2」という。)が知られている。
特開2004−179791号公報 特開平10−215116号公報
しかしながら、方法1では、一次成形品に複数の突起を成形する必要があり、一時成形用の金型が複雑になるという問題があった。また、一次成形時に、樹脂の充填に偏りが生じ、想定より大きな突起が成形された場合、二次成形時に、この突起に対応する箇所に凸部が現出してしまい、アンテナとしての外観が著しく損なわれる、という問題があった。
また、方法2によって製造された二次成形品は、その中心が空洞であり、せん断力に対し弱い構造なため、この空洞に樹脂製の中心棒を挿入し、二次成形品の強度を補強する必要がある。このため、中心棒を用意する必要がある分製造コストがかかるという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、単純な構造の金型で成形でき、外観に優れ、かつ、製造コストを抑えたヘリカルアンテナの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、基端側に所定のピッチにて略一定に導体が巻き回されて形成された通常巻き部と、先端側に前記通常巻き部におけるピッチより小さいピッチにて導体が巻き回されて形成された密巻部とを有するヘリカルコイルを一次成形用金型の一次キャビティに装着し、一次成形用スライドコアを、前記一次成形用金型に形成された貫通孔を介して、前記ヘリカルコイルの先端部の内周における前記密巻部に対応する箇所に挿入し、前記一次キャビティに樹脂を充填して、先端部に前記密巻部に対応する深さの凹部を有した一次成形品を成形し、前記一次成形品を二次成形用金型の二次キャビティに装着し、二次成形用スライドコアを、前記二次成形用金型に形成された貫通孔を介して、前記一次成形品の先端部に形成された前記凹部に挿入した後に、前記二次キャビティに樹脂を充填して二次成形品を成形することを特徴とする。
この製造方法によって、ヘリカルアンテナを製造した場合、製造過程で成形される一次成形品の先端部に凹部が形成される。二次成形の際には、この凹部にスライドコアを挿入し、このスライドコアによって一次成形品を支持しつつ、二次成形用金型内で一次成形品を支持するため、一次成形品に位置決め用の突起を設ける必要がなく、一次成形用の金型の構造を単純化でき、また、二次成形の際、突起に起因する凸部が現出することがなく、外観に優れたヘリカルアンテナを製造することができる。また、二次成形品に、樹脂製の中心棒を挿入する必要がないため、その分コストの削減を図ることができる。
この発明において、前記二次成形用スライドコアを付勢し、前記二次キャビティにおいて、前記一次成形品を軸方向に押圧しながら、前記二次キャビティに樹脂を充填して二次成形品を成形してもよい。
これによれば、二次キャビティ内で、一次成形品を強固に位置決め、支持できるとともに、二次成形の際、二次キャビティに樹脂が射出された際、成形圧力と逆向きに働くテンションによって、一次成形品の形状が変位するのが留められる。
また、この発明において、前記一次成形用スライドコアを、前記ヘリカルコイルの先端部の内周における前記密巻部に対応させて前記ヘリカルコイルの自由長の3%〜5%の長さ分だけ挿入してもよい。
この製造方法によって、ヘリカルアンテナを製造した場合、製造過程で成形される一次成形品の内周において中空部がほとんど形成されない。さらに、二次成形用金型内で支持する際、二次成形用スライドコアが、一次成形品の先端部に形成された凹部を介して、確実に一次成形品を支持することができる。
また、この発明において、前記一次成形用金型の基端側又は先端側に設けた一次成形用注入口を介して、前記一次キャビティに樹脂を充填し、前記二次成形用金型の基端側又は先端側に設けた二次成形用注入口を介して、前記二次キャビティに樹脂を充填してもよい。
この場合、樹脂成形の際、金型のキャビティ内で基端から先端に向かって、又は、先端から基端に向かって樹脂がスムーズに流動し、反りや曲がりのない一次成形品及び二次成形品を成形することができる。
また、この発明において、前記一次キャビティ及び前記二次キャビティに、絶縁性及び熱可塑性を有する樹脂を充填してもよい。
これによれば、高性能のヘリカルアンテナを容易に樹脂成形することができる。
また、上記目的を達成するために、本発明は、基端側に所定のピッチにて略一定に導体が巻き回されて形成された通常巻き部と、先端側に前記通常巻き部におけるピッチより小さいピッチにて導体が巻き回されて形成された密巻部とを有するヘリカルコイルを一次成形用金型の一次キャビティに装着し、一次成形用スライドコアを、前記一次成形用金型に形成された貫通孔を介して、前記ヘリカルコイルの先端部の内周における前記密巻部に対応する箇所に挿入し、前記一次キャビティに樹脂を充填することによって形成され、先端部に前記密巻部に対応する深さの凹部を有したヘリカルアンテナの一次成形品であって、二次成形用金型の二次キャビティに装着され、二次成形用スライドコアを、前記二次成形用金型に形成された貫通孔を介して、前記先端部に形成された前記凹部に挿入した後に、前記二次キャビティに樹脂を充填して二次成形品が成形されることを特徴とする。
本発明によれば、一次成形品に突起を設ける必要がないため、一次成形用の金型の構造を単純化でき、また、二次成形の際、突起に起因する凸部が現出することがないため、外観に優れたヘリカルアンテナを製造することができる。また、本発明によれば、二次成形品に、樹脂製の中心棒を挿入する必要がないため、その分コストの削減を図ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係るヘリカルアンテナ1が、自動車2のルーフ3に取り付けられた状態を示す図である。このヘリカルアンテナ1は、自動車の外側に取り付けられ、所定の周波数帯域のラジオ放送やテレビ放送等に係る電波を検知するものである。ヘリカルアンテナ1の内部には、螺旋状のヘリカルコイル10(図2参照)が設けられており、ヘリカルアンテナ1は、このヘリカルコイル10の全長及びピッチに基づいた所定の共振周波数を備えている。
図1に示すように、自動車2のルーフ3には、パッキンシート4を介してヘリカルアンテナベース5が取り付けられ、このヘリカルアンテナベース5にヘリカルアンテナ1の基端部が所定の範囲内で上下に揺動可能に支持されている。ヘリカルアンテナ1は、自動車2のルーフ3に取り付けられているため、走行中の空気抵抗や、空気中の塵、風雨等の様々な外力を受ける。このとき、ヘリカルコイル10の形状が、それらの外力によって変形し、それに伴って、ヘリカルアンテナ1に実装された所定の共振周波数が変化してしまわないように、ヘリカルコイル10は、樹脂で覆われることによって、その形状が固定され、かつ、風雨や異物に晒されない構成となっている。
次いで、本実施形態に係るヘリカルアンテナ1の製造方法について説明する。
本実施形態に係るヘリカルアンテナ1は、樹脂成形によって製造されるものであるが、この樹脂成形は、ヘリカルコイル10と絶縁性樹脂とをインサート成形により一体的に成形した一次成形品30(図4参照)を成形するための一次成形と、一次成形品30の外周をさらに絶縁性の樹脂で覆い、ヘリカルアンテナ1の最終的な形状を有した二次成形品70(図6参照)を成形するための二次成形と、の2段階に分かれている。
図2は、一次成形前のヘリカルコイル10を示す図である。
この図に示すように、ヘリカルコイル10は、導体が螺旋状に巻き回されて形成されており、基端側に形成され、略一定のピッチで導体が巻き回された通常巻き部11と、先端側に形成され、通常巻き部11におけるピッチよりも小さなピッチで導体が巻き回された密巻き部12と、を有する。ヘリカルコイル10のピッチは、ヘリカルアンテナ1が備えるべき共振周波数によって一定に定められている。
本実施形態において、ヘリカルコイル10の自由長L1は、160mmであり、外径L3は、6mmであり、密巻き部12の軸方向における長さL2は、6.4mmである。なお、長さL2は、自由長L1の3%〜5%であるのが望ましい。
ヘリカルコイル10の基端側の座には、導電性を有した接続金具13が接続されており、この接続金具13の基端側には、雄ねじ部14が形成されている。
図3は、ヘリカルコイル10が一次成形用金型20に配置された状態を示す図である。一次成形用金型20は、図3の上部に示された上一次成形用金型20Aと、下部に示された下一次成形用金型20Bとを有しており、この上下の一次成形用金型20A,20Bの間に一次キャビティ21が形成され、この一次キャビティ21の基端において、接続金具13が一次成形用金型20A,20Bに挟持されて固定されており、この接続金具13に支持されてヘリカルコイル10が一次キャビティ21で位置決めされている。
一次キャビティ21において、ヘリカルコイル10が配置される箇所の軸方向の全長L4は、158.4mmであり、ヘリカルコイル10の自由長L1(160mm)より、1.6mm短くなっている。なお、全長L4は、自由長L1の98%〜99%であるのが望ましい。また、一次キャビティ21において、ヘリカルコイル10が配置される箇所の直径L5は、5.94mmであり、ヘリカルコイル10の外径L3(6mm)より、0.06mm小さくなっている。なお、直径L5は、外径L3の98%〜99%であるのが望ましい。
このような構成のため、ヘリカルコイル10が一次キャビティ21に配置される際は、一次キャビティ21によって軸方向及び周方向に圧迫され、その自由長L1及び外径L3が縮小された状態で、配置される。このとき、圧迫の度合いが、非常に小さいため、ヘリカルコイル10のピッチは、ほとんど変化することはない。
一次成形用金型20の先端には、一次成形用金型20を軸方向に貫通する一次貫通孔22が形成されており、ヘリカルコイル10が一次成形用金型20に配置された後、一次スライドコア23が、この一次貫通孔22を貫通し、ヘリカルコイル10の先端部における内周へ挿入される。この一次スライドコア23は、一次成形において、一次成形品30の先端におけるヘリカルコイル10の密巻き部12に対応する箇所に、軸方向に凹んだ凹部31を形成するためのものであり(図4参照)、一次スライドコア23の一端24は、ヘリカルコイルの内周部を、ヘリカルコイル10の先端から基端に向かって約6.4mm挿入されている。なお、ここで挿入される長さは、ヘリカルコイル10の自由長L1の3%〜5%の長さであるのが望ましい。
図中の符号25は、樹脂を注入するための注入口を示しており、この図に示すように、注入口25は、一次成形用金型20の基端側に設けられている。なお、注入口25は、一次成形用金型20の先端側に設けられていてもよい。
一次成形時には、絶縁性と熱可塑性とを有する溶融した樹脂が、注入口25を介して、一次キャビティ21へ射出される。その際、ヘリカルコイル10には、ヘリカルコイル10を軸方向先端に向かって変位させようとする成形圧力が加わる。しかし、本実施形態では、ヘリカルコイル10の外周が一次キャビティ21の内周に圧迫された状態で接触しているため、ヘリカルコイル10の外周と一次キャビティ21の内周との間に摩擦力が働き、ヘリカルコイル10の形状が成形圧力によって変位するのが留められる。
また、ヘリカルコイル10は、一次キャビティ21内で軸方向に圧迫された状態となっており、絶えず、軸方向先端及び軸方向基端に向ってテンションを加えている。このため、ヘリカルコイル10に、ヘリカルコイル10を軸方向先端へ向かって変位させようとする成形圧力が加わった際は、その成形圧力と逆向きに働くテンションによって、ヘリカルコイル10の形状が変位するのが留められる。
以上の作業の後、一次キャビティ21内に充填された樹脂が、冷却、硬化され、一次スライドコア23が一次成形用金型20から抜かれ、上下の一次成形用金型20A,20Bが上下に割られ一次成形品30が成形される。
図4は、上述した一次成形によって成形された一次成形品30を示す図である。
この図に示すように、一次成形品30は、ヘリカルコイル10全体を樹脂が覆った状態で、ヘリカルコイル10と樹脂とが一体的に成形されており、一次成形品30に外力を加えても、ヘリカルコイル10の形状が変位しないようになっている。また、一次成形品30の先端の密巻き部12に対応する箇所には、上述した一次スライドコア23によって、凹部31が形成されている。なお、一次成形品30の外周においては、ヘリカルコイル10の外表面が露出している。
本実施形態では、一次成形品30において、通常のピッチより小さなピッチで導体が巻き回された密巻き部12に対応する箇所に、凹部31が形成されている。ここで、一次成形品30において、凹部31に対応する箇所(以下、「凹部対応箇所32」という。)は、通常巻き部11に対応する箇所と比較して、樹脂が肉薄であり、強度が低い。このため、凹部対応箇所32は、他の部分と比べて、一次成形の際に、樹脂の収縮により長さが伸縮しやすく、また、外力によって、変形しやすい。しかし、本実施形態では、この肉薄の凹部対応箇所32には、通常よりも多く導体が巻き回されているため、この部分の強度が補強され、一次成形の際の樹脂収縮により長さが伸縮したり、また、外力によって、凹部対応箇所32が変形したりすることがない。したがって、一次成形品30の凹部対応箇所32が変形し、この変形に起因して二次成形用金型50(図5参照)に一次成形品30が収納できなかったり、また、この凹部対応箇所32の変形に由来して完成品の形状に歪みが生じたりすることがない。さらに、凹部対応箇所32の変形に応じて、ヘリカルコイル10のピッチが変形することがない。
図5は、一次成形品30が、二次成形用金型50に配置された状態を示す図である。
二次成形用金型50は、図中の上部に示す上二次成形用金型50Aと、下部に示す下二次成形用金型50Bとを有し、この上下の二次成形用金型50A,50Bの間に二次キャビティ51が形成され、この二次キャビティ51に一次成形品30が配置されている。二次キャビティ51の基端部には、一次成形品30の基端を固定かつ支持するための固定駒52が設けられており、この固定駒52の先端側には、雌ねじ部53が形成されている。一次成形品30が、二次キャビティ51に配置される際は、一次成形品30の基端の雄ねじ部14が、この雌ねじ部53に螺合される。
二次成形用金型50の先端には、二次成形用金型50を軸方向に貫通する二次貫通孔54が形成されており、一次成形品30が二次成形用金型50の二次キャビティ51に配置された後、二次スライドコア55がこの二次貫通孔54を貫通し、一次成形品30の凹部31に挿入される。この二次スライドコア55は、二次成形用金型50の基端側に配置されたばね機構58によって、絶えず、図中の矢印Y1方向へ付勢されており、二次スライドコア55の一端56は、凹部31の底部を、絶えず矢印Y1方向へ押圧している。なお、二次スライドコア55が一次成形品30を付勢する際、二次スライドコア55は、一次成形品30におけるヘリカルコイル10が存在する箇所の長さL6が図4に示すL4と比較し少し縮む程度に、一次成形品30を付勢する。
このように、一次成形品30は、基端がねじ止めによって支持され、先端が二次スライドコア55によって基端側に付勢されて支持されることにより、二次キャビティ51内で強固に支持されつつ、位置決めされている。
二次成形用金型50には固定駒52の先端側を挟んで一対の注入口57,57が設けられており、二次成形時には、絶縁性及び熱可塑性を有する溶融した樹脂が、注入口57,57を介して、二次キャビティ51内へ射出される。なお、本実施形態では、注入口57,57は、二次成形用金型50の基端側に設けられているが、これは、先端側に設けられていてもよい。
このとき、一次成形品30には、軸方向先端へ向う成形圧力がかかるが、本実施形態では、一次成形品30の基端が、ねじ止めによって支持され、また、その先端が、二次スライドコア55に付勢されて支持されることによって、一次成形品30が二次キャビティ51内で強固に位置決めされているため、二次成形時の成形圧力によって、二次キャビティ51内における一次成形品30の位置がずれることがない。
また、一次成形品30は、二次スライドコア55によって矢印Y1方向に付勢されており、この方向へ常にテンションを付加した状態となっている。このため、二次成形時に、一次成形品30に成形圧力が加わった際は、この成形圧力と逆向きに働くテンションによって、一次成形品30の形状が変位するのが留められる。
また、一次成形品30の内部は、凹部31を除いては、樹脂が充填された状態で成形されている。このため、一次成形品30の強度は高く、二次成形時の成形圧力によって、一次成形品30の反りや曲がりが起こりにくい。
以上の作業後、二次キャビティ51内で充填された樹脂が冷却、硬化された後、ばね機構58による二次スライドコア55への付勢が解かれ、二次スライドコア55が二次成形用金型50から抜かれ、上下の二次成形用金型50A,50Bが上下に割られ二次成形品70が成形される。
図6は、二次成形によって成形された二次成形品70の側面図である。
この図に示すように、二次成形品70において、二次スライドコア55が存在していた箇所には、先端凹部71が形成されており、この先端凹部71には、キャップ72が圧入される。このキャップ72よって、先端凹部71が塞がれ、異物の侵入を防止すると共に、二次成形品70の外観性を高めている。
また、二次成形品70は、一次成形品30が樹脂に覆われつつ、これらが一体的に形成されている。一次成形品30では、ヘリカルコイル10の外表面が露出していたが、二次成形品70においては、ヘリカルコイル10の露出部分がなくなり、すべてが覆われ異物の衝突等によってヘリカルコイル10の形状が変形することがないようになっている。また、二次成形品70は、一次成形品30を樹脂によって覆うことによって、より外力に対して強い構造となっている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、一次成形の際、ヘリカルコイル10の外周が一次キャビティ21の内周に圧迫された状態で接触しているため、ヘリカルコイル10の外周と一次キャビティ21の内周との間に摩擦力が働き、ヘリカルコイル10の形状が成形圧力によって変位するのが留められる。また、ヘリカルコイル10は、キャビティ内で軸方向に圧迫された状態となっており、絶えず、軸方向先端及び軸方向基端に向ってテンションを加えている。このため、ヘリカルコイル10に、ヘリカルコイル10を軸方向先端へ向って変位させようとする成形圧力が加わった際は、その成形圧力と逆向きに働くテンションによって、ヘリカルコイル10の形状が変位するのが留められる。
このため、ヘリカルコイル10が所定のピッチを保ったまま一次成形され、ヘリカルコイル10に所望の共振周波数を確実に備えさせることができる。このため、本実施形態に係るヘリカルコイル10を備えるヘリカルアンテナ1は、ラジオ放送やテレビ放送等に係る電波を安定的に検知することができる。
また、ヘリカルコイル10が所定のピッチを保ったまま製造されない場合、一次成形品30に曲がりや反りが発生し、ヘリカルアンテナ1の外観に悪影響を与えるが、本実施の形態では、ヘリカルコイル10は、所定のピッチを維持したまま、一次成形されるため、一次成形品30に曲がりや反りが発生せず、ヘリカルアンテナ1の外観を損なうことがない。
また、一次成形用金型20にヘリカルコイル10を固定するための螺旋状の溝を形成する必要がなく、一次成形用金型20の構造を簡単化でき、一次成形用金型20の製造コストを削減することができる。
また、本実施の形態によれば、全長L4は、自由長L1の98%〜99%であり、直径L5は、外径L3の98%〜99%である。このため、ヘリカルコイル10が一次キャビティ21に装着された際、ヘリカルコイル10は、一次キャビティ21に圧迫され、かつ、その形状がほとんど変形することなく、一次成形用金型20に装着される。
また、本実施の形態によれば、一次成形において一次スライドコア23が、ヘリカルコイル10の先端から基端に向かって挿入される長さ、及び、凹部31の軸方向における長さは、ヘリカルコイル10の自由長L1の3%〜5%の長さである。このため、一次成形品30の内周において中空部がほとんど形成されず、さらに、二次成形の際、二次スライドコア55が、一次成形品30の先端部に形成された凹部31を介して、確実に一次成形品30を支持することができる。
また、本実施の形態によれば、一次成形品30の凹部対応箇所32には、通常よりも多く導体が巻き回されているため、この部分の強度が補強され、一次成形の際の樹脂の収縮により長さが伸縮したり、また、外力によって変形したりすることがない。したがって、一次成形品30の凹部対応箇所32が変形し、この変形に起因して二次成形用金型50に一次成形品30が収納できなかったり、また、この凹部対応箇所32の変形に由来して完成品の形状に歪みが生じたりすることがない。さらに、凹部対応箇所32の変形に応じて、ヘリカルコイル10のピッチが変形することがない。このため、本実施形態に係るヘリカルコイル10を備えるヘリカルアンテナ1は、ラジオ放送やテレビ放送等に係る電波を安定的に検知することができる。
また、本実施の形態によれば、一次成形品30の外周に突起を成形する必要がなく、したがって、一次成形用金型20が突起を形成するための構造を有する必要がなく、一次成形用金型20の構造が簡単になる。さらに、二次成形品70の外周面に、上記突起に由来する凸部が現出することがなく、ヘリカルアンテナ1の外観が損なわれることがない。また、突起は、二次成形用金型50の二次キャビティ51内で一次成形品30を位置決めするためのものであるため、正確に一次成形品30の位置決めができるよう、その寸法及び形状について非常に高い精度が要求されており、一次成形品30の成形に相当な労力を要し、製造にかかる工数も増大していたが、本実施形態では、突起を成形する必要がないため、この労力が軽減され、製造にかかる工数も減少する。
また、従来の二次成形においては、一次成形品30の外周に突起が存在し、この突起が、二次キャビティ51の内周に当接して、一次成形品30がキャビティ内で位置決めされていたが、この構成の場合、二次成形時において樹脂が射出された際、この突起が障害物となって、二次キャビティ51内における樹脂の流動が乱れ、二次成形品70が基端から先端にかけて順次硬化せず、二次成形品70に曲がり変形や先端部収縮変化が発生しやすかった。しかし、本実施形態では、二次キャビティ51内において樹脂の流動が乱れず、したがって、二次成形品70が基端から先端にかけて順次硬化し、曲がり変形や先端部収縮変化が発生しない。
また、他の従来の二次成形においては、一次成形品30の内部に先端から基端に亘って中空が存在しており、この中空部に支持棒を挿入し、一次成形品30の位置決めをしていたが、この構成の場合、二次成形時において樹脂が射出された際、この中空部と支持棒との間に介在する間隙に、樹脂が流入し、二次成形用金型50内における樹脂の流動が乱れ、二次成形品70が基端から先端にかけて順次硬化せず、曲がり変形や先端部収縮変化が発生しやすかった。しかし、本実施形態では、一次成形品30の内部において、凹部31のみが中空構造であり、大部分は中空ではないため、二次成形時において樹脂が射出された際、突起や、凹部31と二次スライドコア55との間に介在する間隙等により、二次キャビティ51内において樹脂の流動が乱れず、したがって、二次成形品70が基端から先端にかけて順次硬化し、曲がり変形や先端部収縮変化が発生しない。
また、本実施の形態によれば、一次成形品30に、先端から基端に亘って軸方向に延在する中空部を形成する必要がなく、また、二次成形において、二次成形用金型50の二次キャビティ51内で一次成形品30位置決めするための支持棒が必要ない。このため、一次成形及び二次成形が簡易になる。
また、二次成形品には、先端から基端に亘って軸方向に延在する中空部が形成されていない。このため、従来のように二次成形品70に、二次成形品70の強度を補強するための樹脂製の中心棒を挿入する必要がなく、その分製造コストの削減を図ることができる。さらに、中空部に中心棒を挿入し強度を高める従来の構成では、中空部と中心棒が衝突した際、異音が発生し、また、中空部と中心棒が衝突する際の摩擦によって、ヘリカルコイル10に劣化が生じていたが、本実施形態では、これらの心配がない。
また、本実施形態では、一次成形用金型20の注入口25が基端側に存在しているため、一次成形において、一次キャビティ21内で基端から先端に向かって、樹脂がスムーズに流動し、反りや曲がりのない一次成形品30を成形することができる。同様に、二次成形用金型50の注入口57が基端側に存在しているため、二次成形において、二次キャビティ51内で基端から先端に向かって、樹脂がスムーズに流動し、反りや曲がりが少なく、外観に優れた二次成形品70を成形することができる。
また、本実施形態では、二次成形の際、二次成形用金型50の二次キャビティ51内で、一次成形品30は、基端がねじ止めによって支持され、先端が二次スライドコア55によって基端側に付勢されて支持されることにより、二次キャビティ51内で強固に支持されつつ、位置決めされている。このため、成形圧力によって、二次キャビティ51内で、一次成形品30の位置がずれることがない。また、一次成形品30は、二次スライドコア55によって基端方向に付勢されており、この方向へ常にテンションを付加した状態となっている。このため、二次成形時に、一次成形品30に成形圧力が加わった際は、この成形圧力と逆向きに働くテンションによって、一次成形品30の形状が変位するのが留められる。
また、本実施形態では、絶縁性及び熱可塑性を有する樹脂を、一次キャビティ21及び二次キャビティ51に充填している。このため、高性能のヘリカルアンテナを容易に樹脂成形することができる。
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。例えば、本実施形態では、符号L1〜L6において、具体的な長さを記載しているが、この長さは、あくまで一例であり、任意に設計可能である。
本実施形態に係るヘリカルアンテナが自動車のルーフに取り付けられたときの状態を示す図である。 一次成形前のヘリカルコイルを示す図である。 ヘリカルコイルが一次成形用金型に装着された状態を示す図である。 一次成形品を示す図である。 一次成形品が二次成形用金型に装着された状態を示す図である。 二次成形品を示す図である。
符号の説明
10 ヘリカルコイル
11 通常巻き部
12 密巻き部
20 一次成形用金型
21 一次キャビティ
22 一次貫通孔
23 一次スライドコア
25 注入口
30 一次成形品
31 凹部
50 二次成形用金型
51 二次キャビティ
52 固定駒
54 二次貫通孔
55 二次スライドコア
57 注入口
70 二次成形品
71 先端凹部
L1 自由長

Claims (6)

  1. 基端側に所定のピッチにて略一定に導体が巻き回されて形成された通常巻き部と、先端側に前記通常巻き部におけるピッチより小さいピッチにて導体が巻き回されて形成された密巻部とを有するヘリカルコイルを一次成形用金型の一次キャビティに装着し、
    一次成形用スライドコアを、前記一次成形用金型に形成された貫通孔を介して、前記ヘリカルコイルの先端部の内周における前記密巻部に対応する箇所に挿入し、
    前記一次キャビティに樹脂を充填して、先端部に前記密巻部に対応する深さの凹部を有した一次成形品を成形し、
    前記一次成形品を二次成形用金型の二次キャビティに装着し、
    二次成形用スライドコアを、前記二次成形用金型に形成された貫通孔を介して、前記一次成形品の先端部に形成された前記凹部に挿入した後に、前記二次キャビティに樹脂を充填して二次成形品を成形する
    ことを特徴とするヘリカルアンテナの製造方法。
  2. 前記二次成形用スライドコアを付勢し、
    前記二次キャビティにおいて、前記一次成形品を軸方向に押圧しながら、前記二次キャビティに樹脂を充填して二次成形品を成形する
    ことを特徴とする請求項1に記載のヘリカルアンテナの製造方法。
  3. 前記一次成形用スライドコアを、前記ヘリカルコイルの先端部の内周における前記密巻部に対応させて前記ヘリカルコイルの自由長の3%〜5%の長さ分だけ挿入する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘリカルアンテナの製造方法。
  4. 前記一次成形用金型の基端側又は先端側に設けた一次成形用注入口を介して、前記一次キャビティに樹脂を充填し、
    前記二次成形用金型の基端側又は先端側に設けた二次成形用注入口を介して、前記二次キャビティに樹脂を充填する
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のヘリカルアンテナの製造方法。
  5. 前記一次キャビティ及び前記二次キャビティに、絶縁性及び熱可塑性を有する樹脂を充填する
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のヘリカルアンテナの製造方法。
  6. 基端側に所定のピッチにて略一定に導体が巻き回されて形成された通常巻き部と、先端側に前記通常巻き部におけるピッチより小さいピッチにて導体が巻き回されて形成された密巻部とを有するヘリカルコイルを一次成形用金型の一次キャビティに装着し、
    一次成形用スライドコアを、前記一次成形用金型に形成された貫通孔を介して、前記ヘリカルコイルの先端部の内周における前記密巻部に対応する箇所に挿入し、
    前記一次キャビティに樹脂を充填することによって形成され、
    先端部に前記密巻部に対応する深さの凹部を有したヘリカルアンテナの一次成形品であって、
    二次成形用金型の二次キャビティに装着され、
    二次成形用スライドコアを、前記二次成形用金型に形成された貫通孔を介して、前記先端部に形成された前記凹部に挿入した後に、前記二次キャビティに樹脂を充填して二次成形品が成形される
    ことを特徴とするヘリカルアンテナの一次成形品。
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