JP4902380B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンタ装置等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
電子写真法による画像形成は、次のような手順で行う。まず、像担持体である感光体を帯電手段により一定の電位に帯電し(主帯電)、次いで画像露光を行って感光体表面に原稿像に対応する静電潜像を形成する。次いで、この静電潜像を現像してトナー像を形成し、トナー像を所定の用紙等の記録材に転写する。トナー像転写後においては、クリーニングにより感光体表面に付着残存しているトナーや紙粉を除去し、さらに除電を行って残留電位の除去が行われる。これにより画像形成の一サイクルが完了する。
ここで、感光体の帯電電圧を適切に得るため、前述の帯電手段に関しては次のような従来例がある(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1では、帯電手段の除電について工夫をしている。具体的には、除電光量をどの程度に設定するかという問題に対し、光除電の光量を、感光体の両対数プロット光減衰特性曲線の変曲点に相当する露光量の2〜3倍に設定している。これにより、感光体の種類を問わず一定の効率で安定して除電を行う。
特許文献2では、帯電手段として制御しやすいことで広く用いられているスコロトロン・タイプのコロナ帯電器を用いている。尚、コロナ帯電器には、コロナ放電電極と導電性シールドからなるコロトロン・タイプと、それらにグリッド電極を加えたスコロトロン・タイプがある。そして、スコロトロン・タイプのコロナ帯電器を用い、まず、グリッド電極に、所定の二点或いは複数点の電圧を印加する。そして、それらの印加電圧における感光体ドラム電位をそれぞれ検知し、それらの検知値より、感光体表面電位を目標電位にするために必要とされるグリッド印加電圧を求め、グリッド電極に印加する。これらの制御を、電源投入後又はウォーミングアップ後からの一定時間経過後に行うことで装置内部の温度変化、感光体に起因する帯電能力の変動を防止する。
また、従来では、画像形成を行うにあたり、以下のように暗減衰量を測定し、画像形成条件を決定していた。即ち、予め帯電手段により感光体ドラムを帯電させ、この帯電面が電位センサを通過したときの第一の電位と、更にドラムを一周させた後の第二の電位から暗減衰量を測定していた。
特開平08−335013号公報 特開平10−288874号公報
しかしながら、次のような問題があった。
特許文献1では、感光体の両対数プロット光減衰特性曲線の変曲点を、ある特定の環境において測定し、その測定環境においての適正な光除電の光量を設定している。しかし、画像形成装置がおかれている使用環境の変化に対応することをしていないため、使用環境に応じて適切に帯電電圧を得ることは困難である。
また、特許文献2のように、グリッド印加電圧を求めるまでに、複数のグリッド印加電圧に対する感光体ドラム電位を測定する方法では、その測定回数分だけ生産性の低下を招くこととなる。
また、従来の暗減衰量の測定では、ドラムを一周させるため、測定時間分生産性が低下してしまう。また、ドラムを一周させる為、ドラムの周辺に当接した部材の影響で、精度の高い暗減衰量を測定することが困難であった。
そこで本発明の目的は、画像形成を行うにあたり、使用環境に応じた画像形成条件を短時間に得ることが可能な画像形成装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、回転可能な感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体に露光して静電像を形成する露光手段と、前記静電像をトナーで現像する現像手段と、前記感光体上に形成されたトナー像をシートに転写する転写手段と、前記感光体を除電する除電手段と、前記感光体の表面電位を検知する検知手段と、画像形成終了後の後回転時に、前記帯電手段によって帯電された非画像領域のうち、前記除電手段によって除電された領域を前記検知手段で検知して得た残留電位と、所定の帯電バイアスを前記帯電手段に印加したときの前記感光体の表面電位と、に基いて画像形成条件を制御する制御手段と、を有することを特徴とする
以上の構成により、使用環境の変動下にあっても、良好な画像を得るための画像形成条件を、短時間に得ることが可能な画像形成装置を提供することができる。
〔第1実施形態〕
図を用いて本発明の第1実施形態を説明する。
図1に画像形成装置を示す。同図に示す画像形成装置は、記録材(例えば紙)の最大通紙サイズがA3サイズのレーザビームプリンタであり、電子写真方式、転写方式、コロナ帯電方式、反転現像方式、を採用している。
(画像形成装置の全体構成)
本実施形態に係る画像形成装置は、図1に示すように、像担持体としての感光体ドラム1を備えている。そして、この感光体ドラム1の周囲には、その回転方向(矢印R1方向)に沿ってプロセス手段が配置される。プロセス手段としては、帯電手段としてコロナ帯電器2、露光装置(露光手段)3、電位測定手段10、現像手段として現像器4、がある。またプロセス手段としては、転写手段として転写ローラ5、クリーニングブレード8、除電手段としての除電ユニット9及び温湿度検知手段(不図示)が配設される。また、記録材Pの搬送方向に沿っての転写ローラ5の下流側には、定着手段としての定着器6が配設されている。尚、除電ユニット9は、転写ローラ5より感光体ドラム1の回転方向下流側で且つコロナ帯電器2より感光体ドラム1の回転方向上流側において感光体ドラム1の除電をする。
(感光体ドラム)
画像形成装置は、像担持体として感光体ドラム1(回転ドラム型の電子写真感光体)を備える。感光体ドラム1は、負帯電特性のOPC(有機光半導体)で形成された感光層を有する。感光体ドラム1は、直径50mmに形成されていて、中心支軸(不図示)を中心に100mm/secのプロセススピード(周速度)をもって矢示R1方向に回転駆動される。
図2に感光体ドラム1の層構成を模式的に示す。同図に示すように、感光体ドラム1は、内側(同図中の下側)に導電性ドラム基体(導電性基体:例えば、アルミニウム製シリンダ)1aを有する。導電性ドラム基体1aの表面には、内側から順に、光の干渉を抑えるとともに上層の接着性を向上させる下引き層1bと、電荷発生層1cと、電荷輸送層1dとの3層を塗り重ねた構成である。このうち電荷発生層1cと電荷輸送層1dとによって感光層を構成している。
(コロナ帯電器)
図1に示す画像形成装置は、帯電手段としてコロナ帯電器2を有する。コロナ帯電器2は、コロナ放電電極と導電性シールド及びグリッド電極を備えたスコロトロン・タイプである。コロナ帯電器2は、コロナ放電電極に電圧を印加する電圧印加手段(不図示)とグリッド電極に電圧を印加する帯電バイアス印加電源S1とを有し、感光体ドラム1表面(外周面)を所定の極性・電位に一様に帯電処理する。
上述の帯電バイアス印加電源S1によってコロナ帯電器2のグリッド電極に印加される印加電圧は、制御手段7によって制御される。制御手段7には、コロナ帯電器2による感光体ドラム1への帯電が終了する直前の帯電領域が、除電ユニット9により除電された後の残留電位を電位測定手段(電位検知手段)10により検知し、その検知結果からの情報が入力されるようになっている。
(露光装置)
図1の画像形成装置は、帯電処理された感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する情報書き込む露光手段として露光装置3を備えている。露光装置3は、本実施形態では、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。露光装置3は、画像読み取り装置(不図示)等のホスト処理から画像形成装置本体側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光Lを出力する。このレーザ光Lは、帯電処理済みの回転中の感光体ドラム1表面を、露光位置bにおいて走査露光(イメージ露光)する。この走査露光により、感光体ドラム1表面の帯電面のうち、レーザ光Lが照射された部分の電位が低下し、画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。
(現像器)
現像器4は、感光体ドラム1上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し、静電潜像をトナー像として可視化する。本実施形態の現像器4は、二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。
現像器4は、現像容器4a、現像スリーブ4b、マグネットローラ4c、現像剤コーティングブレード4d、現像剤攪拌部材4f、トナーホッパー4gを有する。なお、図1中の符号4eは、現像容器4a内に収納された二成分現像剤4eを示している。
現像容器4aは、二成分現像剤4eを収納するとともに、現像スリーブ4b等を回転可能に支持する。現像スリーブ4bは、非磁性の円筒状の部材であり、外周面の一部を外部に露出させて現像容器4a内に回転可能に配置される。マグネットローラ4cは、非回転に固定された状態で、現像スリーブ4bの内側に挿設される。現像剤コーティングブレード4dは、現像スリーブ表面にコートされる二成分現像剤4eの層厚を規制する。現像剤攪拌部材4fは、現像容器4a内の底部側に配設されて、二成分現像剤4eを攪拌するとともに現像スリーブ4bに向けて搬送する。トナーホッパー4gは、現像容器4aに補給する補給用トナーを収納した容器である。
現像容器4a内の二成分現像剤4eは、トナーと磁性キャリアとの混合物であり、現像剤攪拌部材4fにより攪拌される。本実施形態において、磁性キャリアの抵抗は約1013Ω・cm、粒径は40μmである。トナーは磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。
上述の現像スリーブ4bは、感光体ドラム1との最近接距離(S−Dgap)を350μmに保持した状態で、感光体ドラム1に近接するように対向配設される。この感光体ドラム1と現像スリーブ4bとの対向部が現像位置cとなる。現像スリーブ4bはその表面が、現像位置cにおいて感光体ドラム1表面の移動方向とは逆方向に移動する方向に回転駆動される。つまり、感光体ドラム1の矢印R1方向の回転に対して、矢印R4方向に回転駆動されている。
この現像スリーブ4bの外周面に、内側のマグネットローラ4cの磁力により現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が磁気ブラシ層として吸着保持され、現像スリーブ4bの回転に伴って回転搬送される。磁気ブラシ層は、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層され、現像位置cにおいて感光体ドラム1表面に対して接触して感光体ドラム表面を適度に摺擦する。現像器4の現像スリーブ4bに印加される印加バイアス(現像バイアス)は、印加電源S2より印加され、制御手段7によって制御される。この制御手段7には、除電ユニット9により除電された後の感光体ドラム1の残留電位を、電位測定手段10により検知し、その検知結果からの情報が入力される。ここで、感光体ドラム1の残留電位を測る具体的な領域は、コロナ帯電器2による感光体ドラム1における帯電面のうち、コロナ帯電器2による感光体ドラム1への帯電が終了する直前の領域を示す。
上述の現像器4において、現像容器4a中の現像剤は回転する現像スリーブ4b表面に薄層としてコーティングされて現像位置cに搬送される。ここで現像剤中のトナーは、現像バイアス印加電源S2によって現像スリーブ4bに印加された現像バイアスによる電界により、感光体ドラム1上の静電潜像に対応して選択的に付着される。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。本実施形態の場合は感光体ドラム1上の露光明部(レーザ光照射部分)にトナーが付着されて静電潜像が反転現像される。このとき、感光体ドラム1上に現像されたトナーの帯電量は−25μC/gである。
現像位置cを通過した現像スリーブ4b上の現像剤薄層は、引き続く現像スリーブ4bの回転に伴い現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を所定のほぼ一定範囲内に維持させるため、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度が例えば光学式トナー濃度センサ(不図示)によって検知される。そして、その検知情報に応じてトナーホッパー4gが駆動制御されて、トナーホッパー内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは攪拌部材4fにより攪拌される。
(転写手段、定着手段)
本実施形態では、転写手段として転写ローラ5が使用されている。この転写ローラ5は感光体ドラム1表面に所定の押圧力をもって圧接されており、その圧接ニップ部が転写位置dとなる。この転写位置dに給送機構部(不図示)から所定の制御タイミングにて記録材P(例えば、紙、透明フィルム)が給送される。
転写位置dに給送された記録材Pは回転中の感光体ドラム1と転写ローラ5との間に挟持されて搬送される。記録材Pは、その間、転写ローラ5に対して、転写バイアス印加電源S3からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス(本実施形態では、+2kV)が印加される。これにより、表面に感光体ドラム1上のトナー像が順次に静電転写されていく。
転写位置dを通ってトナー像の転写を受けた記録材Pは、感光体ドラム1表面から順次分離されて定着器6に搬送される。記録材Pは定着器6において、定着ローラ6aと加圧ローラ6bとによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。そして、画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
(絶対水分量による帯電特性)
ここで、グリッド印加電圧に対する感光体の帯電電位の特性を示す。図3に示すように、帯電特性は画像形成装置がおかれている使用環境の絶対水分量により変化する。即ち、絶対水分量が少ない環境では、絶対水分量が多い環境と比較し、グリッド印加電圧に対する感光体帯電電位が低下し、且つ感光体ドラム1の残留電位が増加する傾向を示す。
これは、一般的に絶対水分量が少ない環境ほど放電効率が悪く、帯電電位が低下し、また感光体自体のインピーダンスが高くなるため、電荷の保持能力が高まり残留電位を増加させることによる。また、絶対水分量が少ない環境では現像剤の帯電量が高く、絶対水分量が多い環境と同等の濃度を得るためには、いわゆる現像コントラストを大きく、感光体ドラム1の表面電位を高く設定する必要がある。この場合、その電位状態で帯電、除電を繰り返すことは、感光体表層内の蓄積キャリアの増加による表面電位の暗減衰を悪化させ、光疲労の蓄積が起因の除電効果の低下による残留電位を増加させることとなる。尚、暗減衰とは、帯電された感光体の表面電位が、暗所においても注入キャリア、熱励起キャリア等により減衰していく現象である。
[残留電位による暗減衰量の決定]
本実施形態の特徴部分について説明する。本実施形態は、電位測定手段10の位置(所定の第一の位置)から現像位置(所定の第二の位置)までの暗減衰量を、前回の画像形成時に予め測定した感光体ドラムの残留電位から求めることにある。こうすることで、従来の暗減衰量の測定時間よりも短い時間で測定ができ、生産性の低下を防止することができる。
以下、残留電位による暗減衰量の決定方法に関して、順を追って説明する。
(画像形成枚数による帯電特性)
また、図4に示すように、帯電特性は感光体の画像形成枚数によっても変化する。即ち、感光体ドラムの画像形成枚数が多い時は、感光体ドラムの画像形成枚数が少ない時と比較し、グリッド印加電圧に対する感光体帯電電位が低下し、且つ感光体ドラム1の残留電位が増加する傾向を示す。この感光体帯電電位の低下及び残留電位の増加は、一般的に画像形成枚数が多いほど、感光体自体の膜厚減少などによるインピーダンスの変化により帯電しにくくなることに起因する。また、上記の蓄積キャリアの増加、光疲労の蓄積によって前露光による電位減衰量が減少することに起因する。
これらの特性から、本実施形態では、前回の画像形成時の残留電位の検知値から、使用環境、画像形成枚数などの状況を判断し、更に残留電位と暗減衰量との関係から得られる値を予め設定し当該値に基づいて次回の画像形成条件を設定する。具体的には次のとおりである。
コロナ帯電器2から現像器4までの暗減衰量は、使用環境、画像形成枚数により異なり、例えば画像形成枚数が少ない場合や、絶対水分量が多い環境では暗減衰量が少なくなる。この場合、感光体ドラム1の表面電位と、現像器4に印加する現像バイアスの直流成分との間の電位差(以降Vbackと称す)を必要以上に増加させると、キャリアの付着を発生させる要因となるためできない。このため、使用環境や画像形成枚数などの条件で、暗減衰量が増加する分だけ、Vbackを増加させる必要がある。
図5は、測定環境の絶対水分量及び画像形成枚数の異なる感光体ドラムに対して測定した、残留電位VD_0と電位測定手段10から現像位置cまでの暗減衰量との関係を示したグラフである。本実施形態では、感光体ドラム1の表面電位を電位測定手段10の位置で−800Vになるようにコロナ帯電器2により帯電した。
残留電位VD_0は、次のように測定する。まず、上記の帯電状態で画像形成を行い、画像形成が終了する。画像形成終了後も感光体ドラム1は回転し、画像形成終了直前にコロナ帯電器2による感光体ドラム1への帯電が行われた領域において、除電ユニット9により除電される。前記領域が除電ユニット9を通過した後、感光体ドラム1の前記領域のうち非画像形成領域の表面電位を、コロナ帯電器2より感光体ドラム1の回転方向下流側に設けられた電位測定手段10にて測定する。
また、電位測定手段10から現像位置cまでの暗減衰量とは、電位測定手段10の位置での表面電位(−800V)と現像位置cでの表面電位の実測値の差分である。図5の結果から、暗減衰量は、残留電位VD_0にほぼ比例して増加していると言える。このため、この傾向を勘案して、残留電位VD_0の測定値から、電位測定手段10から現像位置cまでの暗減衰量を算出し、算出された暗減衰量を画像形成のVbackにフィードバックする。このようにすることで、常に現像位置cでのVbackを一定に保つことが可能となる。
図6は、残留電位VD_0の測定値に対するVback補正量を表す説明図である。横軸には残留電位VD_0を、縦軸にはVbackの補正量を取る。本実施形態では、使用環境の絶対水分量を0.9〜21.5、画像形成枚数の設定を20万枚とした。このため、図6の実線分に対応する部分が、測定された残留電位VD_0に対するVback補正量となる。
図7は、図6より残留電位VD_0の測定値から算出した画像形成時のVback補正量を示すテーブル(図表)である。このテーブルの情報は、予め本体のメモリに格納されている。残留電位VD_0の測定値が制御手段7に入力した後、所望のバイアス制御がなされることで、所望のVbackを得る。ここで、所望のバイアス制御においては、帯電バイアス印加電源S1によってコロナ帯電器2のグリッド電極に印加される印加電圧を制御してもよい。また、現像バイアス印加電源S2による現像スリーブ4bに印加される現像バイアスを制御してもよい。また、それらの両方のバイアスを制御してもよい。
本実施形態では、電位測定手段10の位置での表面電位を−800V一定にする制御をしている。このため、Vbackの補正として、現像バイアス側を制御している。また、明部電位と現像バイアスとの差であるVcontは、現像バイアスが決定されてから所定のVcontが得られるように露光量を調整することで所定の値に制御される。
図8を用いて、Vbackを決定するまでの流れを説明する。図8に本実施形態におけるVbackを決定するまでの制御フローチャートを示す。
まず、電源投入後又はウォーミングアップ後、電位測定手段10の位置での表面電位を−800V、現像バイアス−650V(Vback=−150V)、絶対水分量21.5の環境下であるとする。この場合において、2万枚の画像形成後の感光体ドラム1の残留電位VD_0を電位測定手段10にて測定する(S1)。本実施形態では−10Vであった。
残留電位VD_0の検知値は、制御手段7に入力され、本体のメモリに格納された図7のテーブルによりVback補正量が算出される(S2)。本実施形態では−10Vである。すると、次の画像形成時のVback(本実施形態では−160V)にフィードバックされる(S3)。このように、残留電位VD_0の絶対値が大きい程、Vback補正量が大きくなるように制御する。
さらに、本実施形態において、電源投入後又はウォーミングアップ後、電位測定手段10の位置での表面電位を−800V、現像バイアス−650V(Vback=−150V)、絶対水分量21.5の環境下から、上記の制御を行う。そして制御を行いながら、絶対水分量と形成枚数をそれぞれ0.9(1万枚)、12.3(1万枚)、21.5(1万枚)として順不同に変化させつつ計20万枚の画像形成を行なった。
一方、比較例として、Vbackを−150Vと一定にして画像形成を行なった。(電位測定手段10の位置での表面電位を−800V、現像バイアス−650V(Vback=−150V)として固定させて画像形成を行った。)このとき、上記と同様に絶対水分量と形成枚数をそれぞれ0.9(1万枚)、12.3(1万枚)、21.5(1万枚)として順不同に変化させつつ計20万枚の画像形成を行なった。
その結果、本実施形態のように、残留電位の検出結果に応じてVbackの設定を変化させた場合、良質な画像を維持できる寿命が延びた。具体的には、かぶりが発生しないレベルで良質な画像を維持できる寿命は、比較例の場合では約5万枚だったのに対し、本実施形態では20万枚まで延長することができた。
ここでは、感光体ドラム1の残留電位VD_0の測定のタイミングを、生産性に関与しない、いわゆる後回転での測定とした。即ち、電源投入後又はウォーミングアップ後から一定時間経過後における画像形成が終了する直前、コロナ帯電器2による感光体ドラム1への帯電が終了する直前の領域が除電ユニットにより除電された後の感光体ドラム1の残留電位とした。しかしながら、感光体ドラム1の残留電位VD_0の測定のタイミングは画像形成が終了する直前に限るものではなく、グリッド印加電圧がオフされる直前の全てのタイミングの数だけ存在する。このため、それらいずれのタイミングとしてもよい。
例えば、仮に後回転での測定後に電源OFFやスリープ状態となっていたとしても、電源投入後又はウォーミングアップ後から目標グリッド電圧決定制御時までに、グリッド印加電圧がオフされる直前のタイミングが存在するとする。その場合、そこでの測定値を目標グリッド電圧決定制御に用いることもできる。
また、感光体ドラム1の残留電位VD_0を後回転にて測定した後、電源OFFやスリープ状態となっていた時、電源OFF前に測定された残留電位VD_0を上記の目標グリッド電圧決定制御時に用いることも可能である。これは、残留電位VD_0を測定したタイミングと、その後の目標グリッド電圧決定制御時の絶対水分量の変化量が2〜3程度であれば、電源OFF時と目標グリッド電圧決定制御時の環境変化に対する残留電位VD_0の変化量はごくわずかであるからである。
以上のように、まず、上記のような後回転やその他グリッド印加電圧がオフされる直前のタイミングにおいて残留電位VD_0を予め測定しておく。これにより、生産性に関わるタイミングでの制御時間を短縮することができ、生産性の低下を抑えながら、高い精度で目標電位を得ることができる。
また、本実施形態では、残留電位から暗減衰量を測定し、それを現像バイアスを変更することで、Vbackを所定の値に制御してるが、この限りではない。例えば、帯電バイアスを変更することでVbackを所定の値に制御してもよく、それらの組合せであっても良い。例えば、Vbackの補正量が−10Vだったとき、Vbackを−150Vから−160Vにひろげる際、現像バイアスを変えずに電位測定手段10の位置での感光体ドラム1の表面電位を−800Vから−810Vとなるように帯電バイアスを変更してもよい。
ここで、本実施形態では、後回転時とは、画像形成動作が終了してから次の画像形成開始信号までの時間をさす。
〔第2実施形態〕
図を用いて本発明の第2実施形態を説明する。前述した実施形態と同様の構成については同符号を付し、説明を省略する。
[残留電位による目標帯電バイアスの決定]
本実施形態では、電位測定手段10の位置での感光体ドラム1の表面電位(目標となる帯電電位となる帯電条件)を、残留電位を用いて決定するものである。より詳しくは、本実施形態は、電位測定手段10の位置での感光体ドラム1の表面電位を目標電位とするためのグリッドバイアスを、画像形成にあたって測定される残留電位と、予め定められた一点の電圧をグリッドに印加したときの帯電電位から決定することにある。本実施形態によれば、従来のように予め定められた二点の電圧をグリッドに印加したときの帯電電位から目標グリッドバイアスを決定する方法に比べて、短時間に画像形成条件を決定することができ、生産性の低下を防止することができる。
尚、電位測定手段10の位置での感光体ドラムの表面電位は、環境に応じて予め装置本体がテーブルとして所持している。以下、本実施形態における画像形成条件の決定方法に関して、順を追って説明する。
図9に本実施形態に係る画像形成装置の概略を示す。図9において、スコロトロン・タイプのコロナ帯電器2は、感光体ドラム1に面して配置されている。電圧印加装置2Aからグリッド電圧を印加し、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる。感光体ドラム1は図示の例ではドラム型であり、図9において反時計周り方向に回転可能となる。
本実施形態に係る構成は、感光体ドラム1に面して配置されているコロナ帯電器2と、コロナ帯電器2のグリッドに電圧を印加する電圧印加装置2Aと、コロナ帯電器2への印加バイアス(印加電圧)を制御する制御手段7と、電位測定手段10を有する。そして、画像形成が終了する直前等、コロナ帯電器2による感光体ドラム1への帯電が終了する直前の帯電領域(非画像領域)を除電ユニット9により除電する。そして、この除電された後の感光体ドラム1の残留電位及び予め定められた一点の電圧をグリッドに印加したときの帯電電位を検知する。そして、その検知値より、感光体帯電電位を目標電位にするために必要とされる印加電圧を求めるものである。本実施形態のように、残留電位と所定の1点の電圧をグリッドに印加した時の帯電電位から目標印加グリッドバイアスが求められる理由としては、上記残留電位を、「グリッド印加バイアスが0Vの時の帯電電位」と考えることができるからである。よって、従来のように、2点のグリッドバイアスを印加した時の帯電電位を得ることができるため、目標の帯電電位を得るために印加するグリッドバイアスを得ることができる。
次に、本実施形態における、電源投入後又はウォーミングアップ後からの一定時間経過後、感光体ドラム1の帯電電位を目標電位にするグリッド印加電圧Vg_targetを決定する制御(以後、目標グリッド電圧決定制御と称す)について詳細に説明する。図10は制御手順を説明するためのフローチャートであり、図11は感光体帯電電位とグリッド印加電圧の関係を示すグラフである。
まず、画像形成終了直前にコロナ帯電器2による感光体ドラム1への帯電が行われた領域は、除電ユニットにより除電される。その領域の感光体ドラム1の残留電位VD_0(本実施形態では−80V)を、コロナ帯電器2より感光体ドラム1の回転方向下流側に設けられている電位測定手段10にて測定しておく(S1)。
そして、目標グリッド電圧決定制御を開始する(S2)。このタイミングには、予め定められた一点のグリッド印加電圧Vg_rough(本実施形態では−750V)(S3)における感光体帯電電位VD_rough(本実施形態では−670V)(S4)のみを検知する。
ここで、帯電電位を目標値VD_target(本実施形態では−700V)にする為に必要とされる印加電圧Vg_targetは、Vg_rough、VD_rough及びVD_0と、図11に示すような感光体帯電電位と印加電圧との関係にある。このため、目標とするグリッド印加電圧Vg_targetは、下式によって求められる。
Vg_target={Vg_rough /(VD_rough−VD_0)}×(VD_target−VD_0)
(Vg_rough:目標電位に対する粗調時のグリッド印加電圧、
VD_rough:粗調時のグリッド印加電圧Vg_roughを印加した時の粗調電位、
Vg_target:補正後のグリッド印加電圧、
VD_target:感光体ドラム1の目標電位、
VD_0:感光体ドラム1の残留電位)
上式から、感光体ドラム1の帯電電位を目標電位にするグリッド印加電圧Vg_targetは−788Vとなり(S5)、その算出された電圧をグリッドに印加した時の実際の電位は、帯電電位の目標値とほぼ一致した。
ここでは、感光体ドラム1の残留電位VD_0の測定のタイミングを、生産性に関与しない、いわゆる後回転での測定とした。即ち、電源投入後又はウォーミングアップ後から一定時間経過後における画像形成が終了する直前、コロナ帯電器2による感光体ドラム1への帯電が終了する直前の領域が除電ユニットにより除電された後の感光体ドラム1の残留電位とした。しかしながら、感光体ドラム1の残留電位VD_0の測定のタイミングは画像形成が終了する直前に限るものではなく、グリッド印加電圧がオフされる直前の全てのタイミングの数だけ存在する。このため、それらいずれのタイミングとしてもよい。
例えば、仮に後回転での測定後に電源OFFやスリープ状態となっていたとしても、電源投入後又はウォーミングアップ後から目標グリッド電圧決定制御時までに、グリッド印加電圧がオフされる直前のタイミングが存在するとする。その場合、そこでの測定値を目標グリッド電圧決定制御に用いることもできる。
また、感光体ドラム1の残留電位VD_0を後回転にて測定した後、電源OFFやスリープ状態となっていた時、電源OFF前に測定された残留電位VD_0を上記の目標グリッド電圧決定制御時に用いることも可能である。これは、残留電位VD_0を測定したタイミングと、その後の目標グリッド電圧決定制御時の絶対水分量の変化量が2〜3程度であれば、電源OFF時と目標グリッド電圧決定制御時の環境変化に対する残留電位VD_0の変化量はごくわずかであるからである。
以上のように、まず、上記のような後回転やその他グリッド印加電圧がオフされる直前のタイミングにおいて残留電位VD_0を予め測定しておく。そして、電源投入後又はウォーミングアップ後からの一定時間経過後に行う目標グリッド電圧決定制御時に、グリッド印加電圧に対する感光体帯電電位を一点のみの測定に留める。これにより、生産性に関わるタイミングでの制御時間を短縮することができ、生産性の低下を抑えながら、高い精度で目標電位を得ることができる。
この制御方法によれば、画像形成装置がおかれている使用環境の絶対水分量の変化や、感光体の画像形成枚数の増加など、それぞれのタイミングに応じて適切に目標グリッド電圧を算出することができる。
尚、ここでは感光体ドラム表面電位を所定の電位に設定する手段として帯電手段としてグリッド電極を備えたスコロトロン式のコロナ帯電器を併用し、グリッドバイアスを用いたが、これに限るものではない。例えば、グリッドバイアスと同様に感光体ドラムを所定の表面電位に設定する手段であれば本実施形態の構成を適用することができる。
また、スコロトロン式のコロナ帯電器を用いる場合、コロナ放電電極を定電流制御したり、グリッド電極を定電圧制御すると好ましい。
画像形成装置の一例を模式的に示す縦断面図。 感光体ドラムの層構成を模式的に示す縦断面図。 感光体帯電電位と使用環境の絶対水分量の関係を示すグラフ。 感光体帯電電位と感光体の画像形成枚数の関係を示すグラフ。 残留電位と暗減衰量の関係を示すグラフ(第1実施形態)。 残留電位とVback補正量の関係を示すグラフ(第1実施形態)。 残留電位とVback補正量の関係を示す図表(第1実施形態)。 制御を説明するためのフローチャート(第1実施形態)。 画像形成装置の概略図(第2実施形態)。 制御手順を説明するためのフローチャート(第2実施形態)。 感光体帯電電位とグリッド印加電圧の関係を示すグラフ(第2実施形態)。
符号の説明
L…レーザ光、P…記録材、S1…帯電バイアス印加電源、S2…現像バイアス印加電源、S3…転写バイアス印加電源、b…露光位置、c…現像位置、d…転写位置、1…感光体ドラム、1a…導電性ドラム基体、1b…層、1c…電荷発生層、1d…電荷輸送層、2…コロナ帯電器、2A…電圧印加装置、3…露光装置、4…現像器、4a…現像容器、4b…現像スリーブ、4c…マグネットローラ、4d…現像剤コーティングブレード、4e…二成分現像剤、4f…現像剤攪拌部材、4g…トナーホッパー、5…転写ローラ、6…定着器、7…制御手段、8…クリーニングブレード、9…除電ユニット、10…電位測定手段

Claims (2)

  1. 回転可能な感光体と、
    前記感光体を帯電する帯電手段と、
    前記感光体に露光して静電像を形成する露光手段と、
    前記静電像をトナーで現像する現像手段と、
    前記感光体上に形成されたトナー像をシートに転写する転写手段と、
    前記感光体を除電する除電手段と、
    前記感光体の表面電位を検知する検知手段と、
    画像形成終了後の後回転時に、前記帯電手段によって帯電された非画像領域のうち、前記除電手段によって除電された領域を前記検知手段で検知して得た残留電位と、所定の帯電バイアスを前記帯電手段に印加したときの前記感光体の表面電位と、に基いて画像形成条件を制御する制御手段と、を有す画像形成装置。
  2. 前記帯電手段は、放電電極とシールドとグリッド電極を備えた帯電器であって、
    前記制御手段は、感光体を目標電位に帯電させるために、前記所定の帯電バイアスをグリッドに印加したときの感光体表面の電位から前記残留電位を引いた値を前記目標電位から前記残留電位を引いた値で除算した値と前記所定の帯電バイアスを積算した電圧をグリッドに印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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