JP4901799B2 - 表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
Cは、鋼板の強度を確保するために必要な元素である。しかしながら、このC含有量が0.001%未満では、高い強度の要求に応えることができない。これに対して、C含有量が0.05%を超えると、熱間圧延の過程において発生するスケールの部分的な厚みが不均一となり、酸洗後の部分的なスケールの残存により、均一な表面処理が実現できなくなる。このため、上限を0.05%としている。
Siは、固溶強化元素として、延性を低下させることなく強度の上昇に寄与する。Siは、鋳造段階において鋼板中のFeとともに酸化されたフェライトが、熱延、酸洗後においても鋼板表面に残存してしまう場合もあり、また固溶状態で鋼板表面に濃化してしまう場合がある。酸化したSiが鋼板表面近傍において濃化すると、即ち、このSi含有量が0.2%を超えると、酸洗の際に、スケールが充分に除去されず残存しやすくなり、微量に残存するスケールによって表面処理性が低下するため、その量は少ないほうが好ましい。このため、Siの上限を0.2%とした。またSi含有量が0.001未満では、固溶強化の効果が得られないことから、下限を0.001%としている。
Mnは、鋼板の強度を確保すると共に、鋼中のSに起因する熱間圧延時の割れを防止する効果がある。Mnを添加することにより生成するMnS自体は、表面濃化することなく、ほぼランダムに分布する。しかしながら、生成するMnSのサイズが大きい場合には、これが表面に露出すると、化成処理やメッキを施す上でのムラとなりやすい。このため、生成されるMnSのサイズは0.5μm以下とすることが好ましく、そのためには、Mnの上限を0.4%としている。なお、Mn含有量が0.01%未満である場合には、熱間圧延時の割れを防止することができず、外観性状が低下してしまう。このため、Mnの下限を0.01%としている。
Pは、不純物として鋼中に不可避的に含有される元素である。このP含有量が0.100%を超えると、熱延後の巻き取り温度を高くしても、局部的な偏析が発生して鋼板表面にスジ状模様が形成され、外観性状が低下し、表面処理性が低下してしまう。このため、Pの上限を0.100%としている。また、P含有量を0.001未満とするには、製造コストが上昇してしまい好ましくない。このため、Pの下限を0.001%としている。
Sは、Pと同様に不純物として含有される元素であり、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用元素である。しかしながら、上述したように生成されるMnSのサイズが大きい場合には、これが表面に露出すると、化成処理やメッキを施す上でのムラとなりやすい。このため、生成されるMnSのサイズを0.5μm以下とするために、Sの上限を0.02%としている。これに対して、このS含有量を0.001未満とするには、製造コストが上昇してしまい好ましくないため、下限を0.001%としている。
Alは、鋼を製造する上での脱酸元素として必要であり、Nによる延性低下を防止して鋼板の加工性を確保するために使用される。このAlが0.005%未満では上述した効果を十分に発揮することができず0.03%以上が好ましい。また、Alが0.09%を超えると上述した効果が飽和してしまう。このため、Al含有量は、0.005〜0.09%とする。
Nは、溶鋼処理中に空気中の窒素が取り込まれることから、鋼中に不可避的に混入する元素である。このNは、鋼板の延性低下原因となるため、少ないほうが望ましい。ちなみに、このNは、強化元素としても有効である。Nは、AlやB等と窒化物を形成して母材組織の細粒化を促進し、ひいては鋼板の加工性の向上にも寄与する。しかしながら、このN含有量が0.015%を超えると延性低下が著しくなるため、0.015%を上限としている。また、N含有量が0.001未満では、鋼板の結晶粒が局部的に異常成長を起こす場合があり、その場合は局部的に強度が低下する等のデメリットがある。また、このNが0.015%を超えると、鋼板の延性低下が著しくなる。このため、N含有量は、0.001〜0.015%とする。
Niは、スケールの均一性を確保する機能を発揮する元素である。このNiが0.002%未満では上述した効果を十分に発揮することができない。0.1%を超えると鋼板表面に局所的に濃化して表面処理性が低下してしまうため、0.1%を上限としている。
Crは、強度上昇に有効であり、耐食性を向上させるためにも必要に応じて添加するが、0.5%を超えると表面性状が低下して表面処理性が悪化するため、上限を0.5%としている。
Cuは、鋼板の強度上昇とともに、スケールの密着度を向上させる効果がある。このCuが0.5%を超えると熱延における鋼板表面の荒れが発生して表面処理性が低下してしまうため、上限を0.5%としている。
Tiは、C,Nとの親和力が強く、凝固時にTiC、TiNとして析出して、C,Nによる延性低下を防止するために用いられる。しかしながら、このTiが0.1%を超えるとその効果が飽和するため、上限を0.1%としている。
Nbは、組織の微細粒化により靭性を向上させる。Nbは、Nによる延性低下を防止する役割も果たすが、Nb含有量0.05%を超えるとその効果が飽和する。このため、Nbの上限を0.05%としている。
Vは、母材の強度を増加させるとともに靭性を向上させる元素である。しかしながら、このV含有量が0.05%を超えると、その効果が飽和してしまう。このため、Vの上限を0.05%としている。
Moは、鋼の強度向上に有用なだけでなく、靭性も大幅に向上させる。しかし、このMo含有量が0.05%を超えるとその効果は飽和するため、上限を0.05%としている。
Caは、MnS生成による鋼板の強度低下を防止するために添加されるが、Ca添加量が0.005%を超えるとその効果が飽和するため、上限を0.005%としている。
Bは、NをBNとして固着する作用もあることから、Nによる鋼板の延性低下を防止する役割を果たすとともに、ロウ付け強度を向上させる作用もある。しかしながら、このB含有量が0.005%を超えるとその効果が飽和してしまうため、上限を0.005%としている。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.001〜0.05%、Si:0.001〜0.2%、Mn:0.01〜0.4%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.02%、Al:0.005〜0.09%、N:0.001〜0.015%、Ni:0.002〜0.1%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼組成のスラブを1150℃以上の温度に加熱する工程と、
前記加熱したスラブに対して熱間圧延を施すことにより得られた熱延鋼板を700℃〜850℃の巻取温度で巻き取る工程と、
前記巻き取った熱延鋼板を冷間加工率1〜2.5%で冷間圧延する工程と、
前記冷間圧延した熱延鋼板を、HCl濃度10〜15質量%である酸洗液により酸洗温度85〜95℃、酸洗時間45〜120秒で酸洗する工程とを有すること
を特徴とする表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法。 - 前記スラブは、更に質量%で、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.05%以下、V:0.05%以下、Mo:0.05%以下、Ca:0.005%以下、B:0.005%以下の1種または2種以上を、さらに含有すること
を特徴とする請求項1記載の表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法。
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