JP4901663B2 - ハイブリッド車およびその制御方法並びに駆動装置 - Google Patents

ハイブリッド車およびその制御方法並びに駆動装置 Download PDF

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Description

本発明は、ハイブリッド車およびその制御方法並びに駆動装置に関する。
従来、この種のハイブリッド車としては、エンジンと走行用のモータとを備えるハイブリッド車において、エンジンの運転を停止した状態でモータからの動力だけで走行するモータ走行を指示するEVスイッチと、モータ走行中にエンジンを始動させるエンジン始動スイッチとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド車では、モータ走行中にエンジン始動スイッチを操作すると、トルクを出力することなくエンジンを始動する。
特開2007−90959号公報
上述したハイブリッド車のように、モータ走行を指示するEVスイッチを備えるハイブリッド車では、EVスイッチの操作によってモータ走行しているときには、モータ走行が可能なモータ走行上限駆動力に不感帯を設けてモータ走行駆動力範囲を設定し、走行に要求される駆動力がモータ走行駆動力範囲内のときにはモータ走行上限駆動力の範囲内でモータ走行を継続するよう制御し、走行に要求される駆動力がモータ走行駆動力範囲外となるときにはエンジンを始動してモータ走行を中止し、走行に要求される駆動力により走行するよう制御することにより、モータ走行の継続と運転者の要求とを満たそうとしている。こうした制御では、モータ走行駆動力範囲をモータ走行上限駆動力に不感帯を設けて設定していることから、走行に要求される駆動力がモータ走行駆動力範囲外となったときに走行に要求される駆動力を直ちに出力すると、モータ走行駆動力範囲を超える駆動力だけでなく不感帯に相当する駆動力分も増加することになり、駆動力の急増により運転者に違和感を生じさせてしまう。こうした駆動力の急増に対して、走行に要求される駆動力がモータ走行駆動力範囲内から範囲外に変化したときに実際に出力する駆動力を緩変化させることも考えられるが、この場合、走行に要求される駆動力が出力されるようになるまで時間を要するため、運転者にモタツキ感を与えてしまう。
本発明のハイブリッド車およびその制御方法並びに駆動装置は、内燃機関の運転を停止した状態で電動機からの動力だけで走行する電動走行が指示されて電動走行をしているときに走行に要求される駆動力が急増して電動走行をキャンセルしたときに運転者に違和感を与えないように駆動力を増加することを主目的とする。
本発明のハイブリッド車およびその制御方法並びに駆動装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、
走行用の動力を出力可能な電動機と、
前記内燃機関の運転を停止した状態で前記電動機からの動力だけで走行する電動走行を指示する電動走行指示スイッチと、
走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記設定された要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには該キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で前記設定された要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記設定された要求駆動力が前記キャンセル用駆動力以上となって前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示をキャンセルされたときには実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至るまでは前記第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定すると共に実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至った以降で前記設定された要求駆動力に至るまでは前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定する実行用駆動力設定手段と、
前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされるまでは前記設定された実行用駆動力で電動走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御し、前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされた以降は前記内燃機関の運転を伴って前記設定された実行用駆動力で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車では、電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに走行に要求される要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには、キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、設定した実行用駆動力で電動走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。これにより、要求駆動力がキャンセル用駆動力を超えるまでは、キャンセル用駆動力より小さな電動走行用最大駆動力の範囲内で電動走行を継続することができる。一方、電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに要求駆動力がキャンセル用駆動力以上となって電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには、実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至るまでは第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、内燃機関の運転を伴って設定した実行用駆動力で走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。これにより、実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至るまでは電動走行のときと同様に駆動力を増加するから、運転者にモタツキ感を与えるのを抑制することができる。そして、電動走行の指示がキャンセルされて実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至った以降に要求駆動力に至るまでは第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、内燃機関の運転を伴って設定した実行用駆動力で走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。これにより、要求駆動力と電動走行用最大駆動力との差の駆動力の急増を回避することができるから、駆動力の急増に伴う違和感を運転者に与えることを抑制することができる。これらの結果、要求駆動力が急増して電動走行指示スイッチによる電動走行の指示をキャンセルしたときでも、運転者にモタツキ感や駆動力の急増による違和感を与えるのを抑制して、駆動力をスムーズに増加することができる。
こうした本発明のハイブリッド車において、前記第2の変化程度は、前記設定された要求駆動力と前記電動走行用最大駆動力との差が大きいほど大きくなる傾向の変化程度であるものとすることもできる。こうすれば、走行に要求される要求駆動力が大きく電動走行用最大駆動力との差が大きいときには、迅速に大きくなる実行用駆動力を設定して走行することができる。
また、本発明のハイブリッド車において、前記キャンセル用駆動力は、車速が大きくなるほど小さくなる傾向の駆動力であるものとすることもできる。こうすれば、要求されるパワーの増大に迅速に対応することができる。
さらに、本発明のハイブリッド車において、前記電動機からの動力を変速して車軸側に出力する油圧駆動の変速機と、前記変速機に必要な油圧を発生する電動油圧ポンプと、を備え、前記電動走行用最大駆動力は、前記電動油圧ポンプにより発生する油圧により前記電動機から前記変速機を介して車軸側に動力を安定して出力することができる上限または上限近傍の駆動力として設定されてなる、ものとすることもできる。また、本発明のハイブリッド車において、動力を入出力可能な発電機と、前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸と車軸に連結された駆動軸との3軸に連結され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備え、前記制御手段は、前記設定された実行用駆動力で走行するよう前記内燃機関と前記電動機と前記発電機とを制御する手段である、ものとすることもできる。
本発明の駆動装置は、
走行用の動力を出力可能な電動機を有し、走行用の動力を出力可能な内燃機関および前記内燃機関の運転を停止した状態で前記電動機からの動力だけで走行する電動走行を指示する電動走行指示スイッチと共にハイブリッド車に搭載される駆動装置であって、
前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記設定された要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには該キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で前記設定された要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記設定された要求駆動力が前記キャンセル用駆動力以上となって前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至るまでは前記第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定すると共に実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至った以降に前記設定された要求駆動力に至るまでは前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定する実行用駆動力設定手段と、
前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされるまでは前記設定された実行用駆動力で電動走行するよう前記内燃機関の制御と共に前記電動機を制御し、前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされた以降は前記内燃機関の運転を伴って前記設定された実行用駆動力で走行するよう前記内燃機関の制御と共に前記電動機を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の駆動装置では、電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに走行に要求される要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには、キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、設定した実行用駆動力で電動走行するよう内燃機関の制御と共に電動機を制御する。これにより、要求駆動力がキャンセル用駆動力を超えるまでは、キャンセル用駆動力より小さな電動走行用最大駆動力の範囲内で電動走行を継続することができる。一方、電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに要求駆動力がキャンセル用駆動力以上となって電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには、実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至るまでは第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、内燃機関の運転を伴って設定した実行用駆動力で走行するよう内燃機関の制御と共に電動機を制御する。これにより、実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至るまでは電動走行のときと同様に駆動力を増加するから、運転者にモタツキ感を与えるのを抑制することができる。そして、電動走行の指示がキャンセルされて実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至った以降に要求駆動力に至るまでは第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、内燃機関の運転を伴って設定した実行用駆動力で走行するよう内燃機関の制御と共に電動機を制御する。これにより、要求駆動力と電動走行用最大駆動力との差の駆動力の急増を回避することができるから、駆動力の急増に伴う違和感を運転者に与えることを抑制することができる。これらの結果、要求駆動力が急増して電動走行指示スイッチによる電動走行の指示をキャンセルしたときでも、運転者にモタツキ感や駆動力の急増による違和感を与えるのを抑制して、駆動力をスムーズに増加することができる。
本発明のハイブリッド車の制御方法は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関の運転を停止した状態で前記電動機からの動力だけで走行する電動走行を指示する電動走行指示スイッチと、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに走行に要求される要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには該キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で前記要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記要求駆動力が前記キャンセル用駆動力以上となって前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至るまでは前記第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定すると共に実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至った以降に前記要求駆動力に至るまでは前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、
前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされるまでは前記設定した実行用駆動力で電動走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御し、前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされた以降は前記内燃機関の運転を伴って前記設定した実行用駆動力で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明のハイブリッド車の制御方法では、電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに走行に要求される要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには、キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、設定した実行用駆動力で電動走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。これにより、要求駆動力がキャンセル用駆動力を超えるまでは、キャンセル用駆動力より小さな電動走行用最大駆動力の範囲内で電動走行を継続することができる。一方、電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに要求駆動力がキャンセル用駆動力以上となって電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには、実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至るまでは第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、内燃機関の運転を伴って設定した実行用駆動力で走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。これにより、実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至るまでは電動走行のときと同様に駆動力を増加するから、運転者にモタツキ感を与えるのを抑制することができる。そして、電動走行の指示がキャンセルされて実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至った以降に要求駆動力に至るまでは第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、内燃機関の運転を伴って設定した実行用駆動力で走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。これにより、要求駆動力と電動走行用最大駆動力との差の駆動力の急増を回避することができるから、駆動力の急増に伴う違和感を運転者に与えることを抑制することができる。これらの結果、要求駆動力が急増して電動走行指示スイッチによる電動走行の指示をキャンセルしたときでも、運転者にモタツキ感や駆動力の急増による違和感を与えるのを抑制して、駆動力をスムーズに増加することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、変速機60を介して動力分配統合機構30に接続されたモータMG2と、車両の駆動系全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32には変速機60を介してモータMG2がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力とを統合してリングギヤ32に出力する。リングギヤ32は、ギヤ機構37,デファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに機械的に接続されている。したがって、リングギヤ32に出力された動力は、ギヤ機構37,デファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに出力されることになる。
モータMG1およびモータMG2は、共に発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の一方で発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2から生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1とモータMG2とにより電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、共にモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
変速機60は、モータMG2の回転軸48とリングギヤ軸32aとの接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をモータMG2の回転軸48の回転数を2段に減速してリングギヤ軸32aに伝達可能に構成されている。変速機60の構成の一例を図2に示す。この図2に示す変速機60は、ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bと二つのブレーキB1,B2とにより構成されている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛合する複数の第1ピニオンギヤ63aと、この第1ピニオンギヤ63aに噛合すると共にリングギヤ62に噛合する複数の第2ピニオンギヤ63bと、複数の第1ピニオンギヤ63aおよび複数の第2ピニオンギヤ63bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備えており、サンギヤ61はブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっている。シングルピニオンの遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛合すると共にリングギヤ66に噛合する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ67を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えており、サンギヤ65はモータMG2の回転軸48に、キャリア68はリングギヤ軸32aにそれぞれ連結されていると共にリングギヤ66はブレーキB2のオンオフによりその回転が自由にまたは停止できるようになっている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bとは、リングギヤ62とリングギヤ66、キャリア64とキャリア68とによりそれぞれ連結されている。変速機60は、ブレーキB1,B2を共にオフとすることによりモータMG2の回転軸48をリングギヤ軸32aから切り離すことができ、ブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的大きな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達し(以下、この状態をLoギヤの状態という)、ブレーキB1をオンとすると共にブレーキB2をオフ状態としてモータMG2の回転軸48の回転を比較的小さな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達する(以下、この状態をHiギヤの状態という)。なお、ブレーキB1,B2を共にオンとする状態は回転軸48やリングギヤ軸32aの回転を禁止するものとなる。
ブレーキB1,B2は、図3に例示する油圧回路100からの油圧によりオンオフされる。油圧回路100は、図示するように、エンジン22からの動力によりオイルを圧送する機械式ポンプ102と、内蔵されたモータ103からの動力によりオイルを圧送する電動ポンプ104と、機械式ポンプ102や電動ポンプ104から圧送されたオイルの圧力(ライン圧)の高低を切替可能な3ウェイソレノイド105およびプレッシャーコントロールバルブ106と、ライン圧を調節可能な圧力をもってブレーキB1,B2側に個別に供給可能なリニアソレノイド110,111およびコントロールバルブ112,113と、ライン圧を降圧して3ウェイソレノイド105やリニアソレノイド110,111の入力ポートに供給するモジュレータバルブ108と、コントロールバルブ112,113とブレーキB1,B2との間の油路に各々設けられコントロールバルブ112,113のいずれか一方から油圧が供給されるときには対応するブレーキへの油路を開放すると共に他方のブレーキへの油路を遮断しコントロールバルブ112,113の両方から油圧が供給される異常時にはブレーキB1,B2への油路の両方を遮断するフェールセーフバルブ114,115と、フェールセーフバルブ114,115とブレーキB1,B2との間の油路に設けられたアキュムレータ116,117と、から構成されている。なお、実施例では、ライン圧としては3ウェイソレノイド105およびプレッシャーコントロールバルブ106により高低二つの圧力(以下、高圧系,低圧系という)を調整してブレーキB1,B2のオンオフ状態を形成する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,油圧回路100におけるライン圧によりオンオフする油圧スイッチ120からのライン圧PL,機械式ポンプ102や電動ポンプ104により圧送されたオイルの温度を検出する温度センサ121からの油温To,ブレーキB1に作用する油圧によりオンオフする油圧スイッチ122からのブレーキ圧Pb1,ブレーキB2に作用する油圧によりオンオフする油圧スイッチ123からのブレーキ圧Pb2,リングギヤ軸32aに取り付けられた回転数センサ32bからの駆動軸回転数Nr,運転席近傍に設けられエンジン22の運転を停止した状態でモータMG2からの動力だけで走行するモータ走行を指示するためのEVスイッチ89からのEVスイッチ信号などが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、3ウェイソレノイド105やリニアソレノイド110,111への駆動信号などが出力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、EVスイッチ89が操作されてモータ走行しているときの動作について説明する。図4は実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるEV走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、EVスイッチ89の操作によるモータ走行がキャンセルされて実行用トルクT*が要求トルクTr*に至って通常制御が開始される処理(ステップS460)が実行されるまで所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
EV走行時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS110)、要求トルクTr*が大きくなってモータ走行を中止するか否かを判定するためのトルクであるEVキャンセルトルクTcanを車速Vに基づいて設定する(ステップS120)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。EVキャンセルトルクTcanは、実施例では、電動ポンプ104により生じる油圧によりモータMG2からのトルクを変速機60を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに安定して連続して伝達することができる最大のトルクより若干小さなトルクであるモータ走行上限トルクTevmaxに車速Vに応じた不感帯を設けて予め定めて車速Vと共にEVキャンセルトルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、車速Vが与えられるとマップから対応するEVキャンセルトルクTcanを導出することにより設定するものとした。図6にEVキャンセルトルク設定用マップの一例をモータ走行上限トルクTevmaxと共に示す。図中、実線がEVキャンセルトルクTcanであり、破線がモータ走行上限トルクTevmaxである。ここで、モータ走行上限トルクTevmaxに不感帯を設けてEVキャンセルトルクTcanを設定するのは、モータ走行の継続を図るためである。
続いて、こうして設定した要求トルクTr*とEVキャンセルトルクTcanとを比較し(ステップS130)、要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan未満のときには、モータ走行を継続すると判断し、要求トルクTr*と前回このルーチンで設定された実行用トルクT*とを比較する(ステップS140)。ここで、実行用トルクT*は、モータMG1やモータMG2,エンジン22を制御するために用いるトルクである。要求トルクTr*が実行用トルクT*以上のときには、前回の実行用トルクT*にモータ走行用のレート値Trt1を加えて仮トルクTtmpを設定すると共に(ステップS150)、設定した仮トルクTtmpとモータ走行上限トルクTevmaxとのうち小さい方を実行用トルクT*として設定し(ステップS160)、要求トルクTr*が実行用トルクT*未満のときには、前回の実行用トルクT*からレート値Trt1を減じて仮トルクTtmpを設定すると共に(ステップS170)、設定した仮トルクTtmpと要求トルクTr*とのうち大きい方を実行用トルクT*として設定する(ステップS180)。ここで、レート値Trt1は、このルーチンの起動間隔の時間内にモータMG2から出力するトルクを変化させてもよい最大トルクやこれより若干小さいトルクとして定められているものであり、モータMG2からのトルク変化を滑らかに且つ迅速に行なうためのものである。上述の処理は、要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan未満のときには、EVキャンセルトルクTcanより小さなモータ走行上限トルクTevmaxの範囲内で要求トルクTr*に向けてレート値Trt1の変化程度をもって実行用トルクT*を設定することになる。
こうして実行用トルクT*を設定すると、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS190)、バッテリ50の入出力制限Win,WoutをモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを計算すると共に(ステップS200)、実行用トルクT*を変速機60のギヤ比Grで除してモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを計算し(ステップS210)、計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS220)。そして、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータMG2を制御することにより、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で駆動軸としてのリングギヤ軸32aに実行用トルクT*を出力してモータ走行を行なうことができる。モータ走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図7に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を変速機60のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。
ステップS130で要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan以上であると判定されると、モータ走行を中止すべきと判断し、エンジン22の始動が開始されていないときには(ステップS240)、EVスイッチ89によるモータ走行の指示をキャンセルすると共にエンジン22の始動を開始する(ステップS250)。そして、実行用トルクT*と要求トルクTr*とを比較する(ステップS260)。モータ走行がキャンセルされた直後は、要求トルクTr*はEVキャンセルトルクTcan以上であるため、EVキャンセルトルクTcanより小さいモータ走行上限トルクTevmax以下に設定されている実行用トルクT*より大きいから、実行用トルクT*は要求トルクTr*に一致していないと判定される。
実行用トルクT*が要求トルクTr*に一致していないと判定されたときには、実行用トルクT*とモータ走行上限トルクTevmaxとを比較する(ステップS270)。実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmax未満のときには、実行用トルクT*に要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan未満のときに用いたレート値Trt1を加えて仮トルクTtmpを設定すると共に(ステップS280)、設定した仮トルクTtmpとモータ走行上限トルクTevmaxとのうち小さい方を実行用トルクT*として設定し(ステップS290)、エンジン22が始動中であるか始動が完了しているかを図示しない始動完了フラグの値に基づいて判断する(ステップS330)。一方、実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmax以上のときには、要求トルクTr*とモータ走行上限トルクTevmaxとの差分に基づいてレート値Trt1より小さなレート値Trt2を設定し(ステップS300)、実行用トルクT*に設定したレート値Trt2を加えて仮トルクTtmpを設定すると共に(ステップS310)、設定した仮トルクTtmpと要求トルクTr*とのうち小さい方を実行用トルクT*として設定し(ステップS320)、エンジン22が始動中であるか始動が完了しているかを図示しない始動完了フラグの値に基づいて判断する(ステップS330)。ここで、レート値Trt2は、実施例では、レート値Trt1より小さくなる範囲内で、要求トルクTr*とモータ走行上限トルクTevmaxとの差分とレート値Trt2との関係を予め定めてレート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、要求トルクTr*とモータ走行上限トルクTevmaxとの差分が与えられるとマップから対応するレート値Trt2を導出することにより設定するものとした。レート値設定用マップの一例をレート値Trt1と共に図8に示す。図中、実線がレート値Trt2であり、破線がレート値Trt1である。図示するように、レート値Trt2は、レート値Trt1より小さく、要求トルクTr*とモータ走行上限トルクTevmaxとの差分が大きいほど大きくなるよう設定される。これらの処理は、要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan以上のときには、実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmaxに至るまでは要求トルクTr*に向けてレート値Trt1の変化程度をもって実行用トルクT*を設定し、実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmaxに至った以降で要求トルクTr*に至るまでは要求トルクTr*に向けてレート値Trt1より小さく要求トルクTr*とモータ走行上限トルクTevmaxとの差分が大きいほど大きくなるよう設定されたレート値Trt2の変化程度をもって実行用トルクT*を設定することになる。
ステップS330でエンジン22が始動中であると判断されると、エンジン22を始動するときに用いる始動時トルクマップとエンジン22のモータリングを開始してからのモータリング経過時間tとに基づいてモータMG1から出力すべき始動用トルクTstartをモータMG1のトルク指令Tm1*として設定し(ステップS340)、バッテリ50の入出力制限Win,WoutとモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることにより次式(1)および式(2)によりトルク制限Tmin,Tmaxを計算すると共に(ステップS350)、実行用トルクT*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(3)により計算し(ステップS360)、式(4)に示すように計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS370)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS380)、本ルーチンを終了する。始動時トルクマップとエンジン22の回転数Neの時間変化の様子の一例を図9に示す。図示するように、モータMG1のトルク指令Tm1*は、始動開始直後の時間t1からはレート処理を用いてエンジン22の回転数Neを迅速に増加させるために比較的大きなトルクが設定され、エンジン22の始動時に生じ得る車両の共振回転数体(例えば、400rpm〜500rpm)を通過した時間t2からはレート処理を用いてエンジン22を点火開始回転数Nref(例えば、1000rpmや1200rpmなど)以上で安定してモータリングすることができるトルクが設定され、エンジン22の回転数Neが点火開始回転数Nrefに至った時間t3からはレート処理を用いて値0が設定される。このようにモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータMG1,MG2を制御することにより、エンジン22をモータリングしながらバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で駆動軸としてのリングギヤ軸32aに実行用トルクT*を出力して走行することができる。エンジン22を始動している最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図10に示す。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (1)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (2)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (3)
Tm2*=min(max(Tm2tmp,Tmin),Tmax) (4)
ステップS330でエンジン22の始動が完了していると判断されると、実行用トルクT*にリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)を乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和としてエンジン22に要求される要求パワーPe*を設定し(ステップS390)、設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS400)。目標回転数Ne*と目標トルクTe*の設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図11に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
そして、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(5)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(6)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS410)。ここで、式(5)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン22を運転している最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図12に示す。式(5)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が変速機60を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(6)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(6)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (5)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (6)
こうしてモータMG1のトルク指令Tm1*を計算すると、上述した式(1)〜式(4)を用いてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS420〜S440)、設定したエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS450)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40の制御については上述した。このようにエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*やモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22やモータMG1,MG2を制御することにより、エンジン22を効率よく運転しながらバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で駆動軸としてのリングギヤ軸32aに実行用トルクT*を出力して走行することができる。
なお、実行用トルクT*が要求トルクTr*に一致すると、エンジン22の始動が完了した以降の制御と同様の通常制御を開始し(ステップS460)、次にEVスイッチ89によりモータ走行が指示されるまでEV走行時駆動制御ルーチンの所定時間毎の実行を停止する。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、EVスイッチ89の操作によりモータ走行が指示されてモータ走行している最中にアクセルペダル83が踏み込まれて要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan以上となってモータ走行がキャンセルされたときには、駆動軸に実際に出力すべきトルクとして制御に用いる実行用トルクT*がEVキャンセルトルクTcanより小さなモータ走行上限トルクTevmaxに至るまでは要求トルクTr*に向けてモータ走行時に実行用トルクT*を設定する際に用いるレート値Trt1を用いて実行用トルクT*を設定してエンジン22とモータMG1とMG2とを制御するから、実行用トルクT*の上昇が遅れることによるモタツキ感を運転者に与えないようにすることができる。また、実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmaxに至った以降で要求トルクTr*に至るまでは要求トルクTr*に向けてレート値Trt1より小さいレート値Trt2を用いて実行用トルクT*を設定してエンジン22とモータMG1とMG2とを制御するから、トルクの急増に伴う違和感を運転者に与えることを抑制することができる。これらの結果、要求トルクTr*が急増してモータ走行をキャンセルしたときでも、運転者にモタツキ感やトルクの急増による違和感を与えるのを抑制して、トルクをスムーズに増加することができる。しかも、要求トルクTr*とモータ走行上限トルクTevmaxとの差分が大きいほど大きくなるようレート値Trt2を設定するから、要求トルクTr*が大きいときには迅速に実行用トルクT*を増加することができ、運転者の要求に迅速に対応することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、レート値Trt2については要求トルクTr*とモータ走行上限トルクTevmaxとの差分が大きいほど大きくなるよう設定するものとしたが、モータ走行時に用いるレート値Tr1より小さいものであればよいから、要求トルクTr*とモータ走行上限トルクTevmaxとの差分に拘わらずに一定の値を設定するものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、EVキャンセルトルクTcanについては車速Vが大きくなるほど小さくなる傾向に設定するものとしたが、モータ走行上限トルクTevmaxに対して不感帯をもって設定されていればよいから、車速Vに拘わらずに一定の値に設定するものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータ走行上限トルクTevmaxについては電動ポンプ104により生じる油圧によりモータMG2からのトルクを変速機60を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに安定して連続して伝達することができる最大のトルクより若干小さなトルクとして設定するものとしたが、安定して電動走行することができるトルクであればよいから電動ポンプ104により生じる油圧に基づかないものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、Hi,Loの2段の変速段をもって変速可能な変速機60を介してモータMG2からの動力を出力するものとしたが、変速機60の変速段は2段に限られるものではなく、3段以上の変速段としてもよい。また、変速機60を備えないものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図13の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図13における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図14の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22と動力分配統合機構30と二つのモータMG1,MG2とを備える構成としたが、走行用の動力を出力することができるエンジンと、走行用の動力を出力することができるモータと、モータ走行を指示するEVスイッチとを備えるものであれば、如何なる構成のハイブリッド自動車としても構わない。
実施例では、ハイブリッド自動車20の形態として説明したが、こうしたハイブリッド自動車20にエンジン22と共に搭載される駆動装置の形態としてもよいし、ハイブリッド自動車の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。ハイブリッド車としては、実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、EVスイッチ89が「電動走行指示スイッチ」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定する図4のEV走行時駆動制御ルーチンのステップS110の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan未満のときには実行用トルクT*とモータ走行時のレート値Trt1を用いてモータ走行上限トルクTevmaxの範囲内で実行用トルクT*を設定する図4のEV走行時駆動制御ルーチンのステップS140〜S180の処理を実行し、要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan以上となってモータ走行がキャンセルされたときには、実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmaxに至るまでは実行用トルクT*にモータ走行時のレート値Trt1を加えて実行用トルクT*を設定し、実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmaxに至った以降で実行用トルクT*が要求トルクTr*に至るまでは実行用トルクT*にレート値Trt1より小さなレート値Trt2を加えて実行用トルクT*を設定する図4のEV走行時駆動制御ルーチンのステップS270〜S320の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「実行用駆動力設定手段」に相当し、モータ走行がキャンセルされるまではエンジン22の運転を停止した状態で実行用トルクT*によりモータ走行するようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する図4のEV走行時駆動制御ルーチンのステップS190〜S230の処理を実行し、モータ走行がキャンセルされた以降はエンジン22の始動および運転を伴って実行用トルクT*により走行するようエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信する図4のEV走行時駆動制御ルーチンのステップS330〜S450の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、目標回転数Ne*,目標トルクTe*を受信してエンジン22を制御するエンジンECU24と、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信してモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。また、変速機60が「変速機」に相当し、電動ポンプ104が「電動油圧ポンプ」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。駆動装置としては、実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、EVスイッチ89が「電動走行指示スイッチ」に相当し、図4のEV走行時駆動制御ルーチンのステップS140〜S180の処理やステップS270〜S320の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「実行用駆動力設定手段」に相当し、モータ走行がキャンセルされるまではエンジン22の運転を停止した状態で実行用トルクT*によりモータ走行するようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する図4のEV走行時駆動制御ルーチンのステップS190〜S230の処理を実行し、モータ走行がキャンセルされた以降はエンジン22の始動および運転を伴って実行用トルクT*により走行するようエンジン22の目標回転数Ne*,目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンECU24やモータECU40に送信する図4のEV走行時駆動制御ルーチンのステップS330〜S450の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、目標回転数Ne*,目標トルクTe*を受信してエンジン22を制御するエンジンECU24と共にトルク指令Tm1*,Tm2*を受信してモータMG1,MG2を制御するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。
ハイブリッド車において、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、走行用の動力を出力可能なものであれば、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を出力可能であれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「電動走行指示スイッチ」としては、運転席近傍に設けられたEVスイッチ89に限定されるものではなく、内燃機関の運転を停止した状態で電動機からの動力だけで走行する電動走行を指示するものであれば如何なるスイッチとしても構わない。
「要求駆動力設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものや走行経路が予め設定されているものにあっては走行経路における走行位置に基づいて要求トルクを設定するものなど、走行に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「実行用駆動力設定手段」としては、要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan未満のときには実行用トルクT*とモータ走行時のレート値Trt1を用いてモータ走行上限トルクTevmaxの範囲内で実行用トルクT*を設定し、要求トルクTr*がEVキャンセルトルクTcan以上となってモータ走行がキャンセルされたときには、実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmaxに至るまでは実行用トルクT*にモータ走行時のレート値Trt1を加えて実行用トルクT*を設定し、実行用トルクT*がモータ走行上限トルクTevmaxに至った以降で実行用トルクT*が要求トルクTr*に至るまでは実行用トルクT*にレート値Trt1より小さなレート値Trt2を加えて実行用トルクT*を設定するものに限定されるものではなく、電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときにはキャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに要求駆動力がキャンセル用駆動力以上となって電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至るまでは第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定すると共に実行用駆動力が電動走行用最大駆動力に至った以降に要求駆動力に至るまでは第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、モータ走行がキャンセルされるまではエンジン22の運転を停止した状態で実行用トルクT*によりモータ走行するようエンジン22とモータMG2を制御し、モータ走行がキャンセルされた以降はエンジン22の始動および運転を伴って実行用トルクT*により走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものに限定されるものではなく、電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされるまでは実行用駆動力で電動走行するよう内燃機関と電動機とを制御し、電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされた以降は内燃機関の運転を伴って実行用駆動力で走行するよう内燃機関と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしてもよい。駆動装置における「内燃機関」,「電動機」,「電動走行指示スイッチ」,「実行用駆動力設定手段」についてはハイブリッド車における「内燃機関」,「電動機」,「電動走行指示スイッチ」,「実行用駆動力設定手段」と同様である。駆動装置における「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、駆動装置における「制御手段」としては、モータ走行がキャンセルされるまではエンジン22の運転を停止した状態で実行用トルクT*によりモータ走行するようエンジン22の制御と共にモータMG2を制御し、モータ走行がキャンセルされた以降はエンジン22の始動および運転を伴って実行用トルクT*により走行するようエンジン22の制御と共にモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされるまでは実行用駆動力で電動走行するよう内燃機関の制御と共に電動機を制御し、電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされた以降は内燃機関の運転を伴って実行用駆動力で走行するよう内燃機関の制御と共に電動機を制御するものであれば如何なるものとしてもよい。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車や駆動装置の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施形態としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 変速機60の構成の概略を示す構成図である。 油圧回路100の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるEV走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 EVキャンセルトルク設定用マップの一例を示す説明図である。 モータ走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 レート値設定用マップの一例を示す説明図である。 始動時トルクマップとエンジン22の回転数Neの時間変化の様子の一例を示す説明図である。 エンジン22を始動している最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子を示す説明図である。 エンジン22を運転している最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、32b 回転数センサ、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、60a ダブルピニオンの遊星歯車機構、60b シングルピニオンの遊星歯車機構、61 サンギヤ、62 リングギヤ、63a 第1ピニオンギヤ、63b 第2ピニオンギヤ、64 キャリア、65 サンギヤ、66 リングギヤ、67 ピニオンギヤ、68 キャリア、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 EVスイッチ、100 油圧回路、102 機械式ポンプ、103 モータ、104 電動ポンプ、105 3ウェイソレノイド、106 プレッシャコントロールバルブ、108 モジュレータバルブ、110,111 リニアソレノイド、112,113 コントロールバルブ、114,115 フェールセーフバルブ、116,117 アキュムレータ、121 温度センサ、120,122,123 油圧スイッチ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、B1,B2 ブレーキ。

Claims (7)

  1. 走行用の動力を出力可能な内燃機関と、
    走行用の動力を出力可能な電動機と、
    前記内燃機関の運転を停止した状態で前記電動機からの動力だけで走行する電動走行を指示する電動走行指示スイッチと、
    走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記設定された要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには該キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で前記設定された要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記設定された要求駆動力が前記キャンセル用駆動力以上となって前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至るまでは前記第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定すると共に実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至った以降に前記設定された要求駆動力に至るまでは前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定する実行用駆動力設定手段と、
    前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされるまでは前記設定された実行用駆動力で電動走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御し、前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされた以降は前記内燃機関の運転を伴って前記設定された実行用駆動力で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備えるハイブリッド車。
  2. 前記第2の変化程度は、前記設定された要求駆動力と前記電動走行用最大駆動力との差が大きいほど大きくなる傾向の変化程度である請求項1記載のハイブリッド車。
  3. 前記キャンセル用駆動力は、車速が大きくなるほど小さくなる傾向の駆動力である請求項1または2記載のハイブリッド車。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一つの請求項に記載のハイブリッド車であって、
    前記電動機からの動力を変速して車軸側に出力する油圧駆動の変速機と、
    前記変速機に必要な油圧を発生する電動油圧ポンプと、
    を備え、
    前記電動走行用最大駆動力は、前記電動油圧ポンプにより発生する油圧により前記電動機から前記変速機を介して車軸側に動力を安定して出力することができる上限または上限近傍の駆動力として設定されてなる、
    ハイブリッド車。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一つの請求項に記載のハイブリッド車であって、
    動力を入出力可能な発電機と、
    前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸と車軸に連結された駆動軸との3軸に連結され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記設定された実行用駆動力で走行するよう前記内燃機関と前記電動機と前記発電機とを制御する手段である、
    ハイブリッド車。
  6. 走行用の動力を出力可能な電動機を有し、走行用の動力を出力可能な内燃機関および前記内燃機関の運転を停止した状態で前記電動機からの動力だけで走行する電動走行を指示する電動走行指示スイッチと共にハイブリッド車に搭載される駆動装置であって、
    前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記設定された要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには該キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で前記設定された要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記設定された要求駆動力が前記キャンセル用駆動力以上となって前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至るまでは前記第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定すると共に実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至った以降に前記設定された要求駆動力に至るまでは前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定する実行用駆動力設定手段と、
    前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされるまでは前記設定された実行用駆動力で電動走行するよう前記内燃機関の制御と共に前記電動機を制御し、前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされた以降は前記内燃機関の運転を伴って前記設定された実行用駆動力で走行するよう前記内燃機関の制御と共に前記電動機を制御する制御手段と、
    を備える駆動装置。
  7. 走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関の運転を停止した状態で前記電動機からの動力だけで走行する電動走行を指示する電動走行指示スイッチと、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
    前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに走行に要求される要求駆動力が電動走行をキャンセルするキャンセル用駆動力未満のときには該キャンセル用駆動力より小さい電動走行用最大駆動力以下の範囲内で前記要求駆動力に向けて第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、前記電動走行指示スイッチの操作により電動走行を実行しているときに前記要求駆動力が前記キャンセル用駆動力以上となって前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされたときには実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至るまでは前記第1の変化程度をもって実行用駆動力を設定すると共に実行用駆動力が前記電動走行用最大駆動力に至った以降に前記要求駆動力に至るまでは前記第1の変化程度より小さな第2の変化程度をもって実行用駆動力を設定し、
    前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされるまでは前記設定した実行用駆動力で電動走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御し、前記電動走行指示スイッチによる電動走行の指示がキャンセルされた以降は前記内燃機関の運転を伴って前記設定した実行用駆動力で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
    ことを特徴とするハイブリッド車の制御方法。
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