JP4901486B2 - Pid制御方法及びpid制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、PID制御方法及びPID制御装置に関し、特に詳しくは、オーバーシュートが少なく、かつ計算工程が少ないPID制御方法及びその方法を実施するのに最適のPID制御装置に関する。
特許文献1には、「・・・フィードバック制御方法において、前記偏差e(i)と、・・・Δe(i)と、・・・Δu(i)とを・・・ファジイ変数で表し、・・・e(i)と、・・・Δe(i)とから・・・Δu(i)をファジイ集合演算により算出し、これを前回のプロセス制御出力値に加算して新しい制御出力値とすることを特徴とするファジイ規則によるフィードバック制御方法」が記載されている。
また、特許文献2には、「・・・ファジイ推論によるPID制御方法において、前記入力変数のファジイ集合は、・・・ファジイ集合のメンバーシップ関数のグレードが最大になる偏差と偏差の変化速度を、前記目標値の変化に対する前記測定値の望ましい応答モデルから求めた偏差とこの変化速度の値とし、前記ファジイ推論の前件部を偏差とこの変化速度の論理積とし、前記ファジイ推論の後件部を前記各PID係数の・・・修正量のファジイ集合とするファジイ制御ルール群であって、前記前件部の偏差とこの変化速度のファジイ集合のラベルが等しい前記後件部を・・・ファジイ集合としたファジイ制御ルール群を用い、前記応答モデルのメンバーシップ関数に基づいて前記ファジイ推論を行い、前記各PID係数の少なくとも1つ又は前記PID演算結果を修正することを特徴とするファジイ推論によるPID制御方法」が記載されている。
更に、特許文献3には、「・・・PID制御方法において、前記制御対象に係る既知の特性における変曲点を複数選定し、これら選定点における運転の条件の値を最大グレードとするメンバーシップ関数を求めて入力のファジィ集合とし、前記選定点における前記運転の条件に対応するPID係数を求めるとともにこのPID係数を最大グレードとするメンバーシップ関数を求めて出力のファジィ集合とし、前記入力のファジィ集合を前件部とし前記出力のファジィ集合を後件部としたファジィ推論ルールを用いてファジィ推論し、・・・前記PID係数を決定することを特徴とするファジィ推論によるPID制御方法」が記載されている。
上述のように、従来においてPID制御といえばッファジイ(「ファジィ」と記載することもある。)理論を採用するものではなかったが、近年におけるPID制御を改良するという方法においては、ファジィ推論を適用する技術が用いられることが多かった。
しかし、ファジィ推論を適用して演算を行う場合、計算工程が多くなる。特にマイコンを用いて演算を行う際には、マイコンの種類に応じて、そのROM容量、クロック数及びマイコンに用意されたアセンブラ命令の種類等が限定され、除算命令一つで大きく処理速度が変動する。そこで、よりオーバーシュートの発生を少なくしつつ、より少ない計算工程で制御することのできるPID制御装置及びPID制御方法が望まれていた。
特開平1−76202 特開平7−281710 特開平9−311703
この発明が解決しようとする課題は、ファジィ理論を採用することなく、オーバーシュートが少なく、かつ計算工程が少ないPID制御方法及びPID制御装置を提供することである。
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、予め設定される目標値SVと制御対象から得られる測定値PVとの偏差により操作量を算出するPID制御方法において、
前記制御対象に基づいて設定されるパラメータにより決定された制御可能範囲内において、前記目標値SV前記測定値PVとの前記偏差より偏差変化速度Δeを決定し、
前記偏差変化速度Δeから偏差変化速度の最大値Δe max を決定し、
前記偏差変化速度の最大値Δe max 、一次遅れ定数T、及び前記測定値PVが前記制御可能範囲に達してからの時間t、から以下の数式により、前記偏差変化速度の最大値Δe max 、前記偏差、ARW及び比例帯に基づいてオーバーシュートを生じさせないで前記目標値SVに到達することのできる理想偏差変化速度R IDEAL を算出し、前記偏差変化速度Δeと前記理想偏差変化速度R IDEAL とに基づいて補正偏差e’を算出してこの補正偏差e’をI演算に用いることを特徴とするPID制御方法であり、

Figure 0004901486
(式(5)中、eは、ネイピア数を表す。)

請求項2は、

予め設定される目標値SVと制御対象から得られる測定値PVとの偏差により操作量を算出するPID制御装置において、
前記制御対象に基づいて設定されるパラメータより制御可能範囲を決定するアンチリセットワインドアップ記憶器及び比例帯記憶器と、
前記制御可能範囲内において、前記目標値SV前記測定値PVとの前記偏差より偏差変化速度Δeを決定する偏差変化速度算出器と、
前記偏差変化速度Δeから偏差変化速度の最大値Δe max を決定する最大偏差変化速度記憶器と、
前記偏差変化速度の最大値Δe max 、前記偏差e、一次遅れ定数T、及び前記測定値PVが前記制御可能範囲に達してからの時間t、から以下の数式により、前記偏差変化速度の最大値Δe max 、前記偏差、ARW及び比例帯に基づいてオーバーシュートを生じさせないで前記目標値SVに到達することのできる理想偏差変化速度R IDEAL を算出する理想偏差変化速度算出器と、
前記偏差変化速度Δeと前記理想偏差変化速度R IDEAL とに基づいて補正偏差e’を算出してこの補正偏差e’をI演算に出力する偏差補正器とを備えることを特徴とするPID制御装置である。

Figure 0004901486
(式(5)中、eは、ネイピア数を表す。)
この発明は、制御対象において時々刻々と測定される測定値と目標値とに基づいて、その測定時点における偏差を求め、更にオーバーシュートを発生させないで目標値を達成させるための補正偏差を算出し、その補正偏差に基づいてI演算し、このI演算、前記偏差に基づいてP演算及びD演算して得られるP、D及びIの制御量にもとづいて制御対象を制御するので、オーバーシュートを防ぐことができ、また仮にオーバーシュートが生じた場合にも目標値に到達する所要時間を小さくすることのできるPID制御方法及びPID制御装置を提供することができる。
更に、この発明は、ファジィ推論を適用したPID制御方法及びPID制御装置に比べて、メンバーシップ関数等を設定する必要がないので計算工程を少なくすることができ、これによりプログラム量を減らすことができ、かつ演算時間を短縮することのできるPID制御方法及びPID制御装置を提供することができる。
この発明のPID制御装置及びPID制御方法の一実施例を図1に示されるブロック図を用いて説明する。
図1において、PVは制御対象における測定値を示し、SVは予め設定される目標値を示し、eは前記PVと前記SVとの偏差を示し、Δeは前記eの変化速度を示し、Δemaxは前記Δeの最大値を示し、IはI制御を可能とする範囲の値を目標値SV±Iとしたときの該Iである。このIは、例えば制御対象によって決定される比例帯Pbと、アンチリセットワインドアップ(以下、「ARW」と称することがある)との積として与えられる。また、RIDEALはオーバーシュートを防ぎつつ目標値に到達することのできるΔe(以下、「理想偏差変化速度」と称することがある)を示し、e’は前記Δeと前記RIDEALとの割合に応じて重み付けを行った補正偏差を示し、かつMVは操作量を示す。なおここで、「理想」と言う用語は「オーバーシュートを生じさせないように、また、オーバーシュートを生じることがあってもそのオーバーシュートは無視可能な程度に小さくなるようにして目標値に到達することができること、を言う。
先ず、図1のブロック図に従って制御演算を行う前に、演算に用いる値の定義を作成する。以下にその定義を示す。
(1)目標値SVを中心に規定値Iを加算又は減算した範囲を制御可能範囲とする。
(2)Iは、例えばPbとARWとの積であり、ARWが最大値100%をとるとき、Pbと同値となるとする。
(3)前記条件を前提において、制御可能範囲での最適な測定値の変化は一次遅れに従う形であると仮定する。
(4)前記(3)を満たす場合、測定値PVが制御可能範囲に達してからの時間tと測定値y(t)の関係式は以下の式となる。これが、オーバーシュートを防ぎつつ目標値に到達することのできる測定値の条件となり、図2に式(1)のグラフを示す。
Figure 0004901486
(式(1)中、Iは目標値と制御可能範囲内の下限値又は上限値との偏差、すなわち制御可能範囲の1/2であり、eはネイピア数を表し、Tは一次遅れ時定数を表す。)
(5)前記式(1)から、時間tでの測定値の変化速度Rは以下の式となる。
Figure 0004901486
(式(2)中、eはネイピア数を表す)
(6)前記式(2)から、測定値PVが制御可能範囲に達した時点での測定値変化速度Rは以下の式となる。
Figure 0004901486
(7)前記式(1)及び前記式(2)から、次式を導出する。
Figure 0004901486
(8)一次遅れの式に従い、図2より前記式(3)におけるR 0 はΔe max に等しいため、前記式(4)は、次のように表される。
Figure 0004901486
(9)前記式(5)を理想的な偏差変化速度とし、制御範囲内における実際の偏差変化速度の割合に応じてI演算に用いる偏差を補正するとする。
上述の(1)〜(9)の定義により算出される値を図1に示されるブロック図に従って演算を行う。
ここで、この発明のPID制御装置及びPID制御方法において、P演算器、I演算器及びD演算器で行われる演算は、図4に一例で示されるような従来のPID制御装置及びPID制御方法で行われる演算とほぼ同様である。前記従来のPID制御装置及びPID制御方法で行われる演算とは、詳しくは、P演算器では、比例帯Pb及び測定値PVと目標値SVとの偏差eに基づいて制御操作量を決定し、I演算器では、偏差eを積分した積分値、すなわち偏差の総和と積分時間Itとに基づいて制御操作量を決定し、D演算器では、予め設定される微分サンプリング時間ΔDt毎の偏差eを微分した微分値と微分時間とに基づいて制御操作量を決定するという演算である。この発明のPID制御装置及びPID制御方法においては、I演算器に入力される偏差eが補正偏差e’に変更されている点が重要である。
先ず、図1に示されるように、目標値記憶手段2から出力される目標値SVと測定値記憶手段3から出力される測定値PVとが偏差算出器4に入力され、SVからPVを減算することにより偏差eを算出する。
ここで目標値は、制御対象における制御される物理量についての、実現しようとする値である。その物理量として例えば温度、圧力等を挙げることができる。制御対象としては、例えば温度の制御を必要とする装置例えば恒温槽、反応槽、一定温度に維持されねばならない部屋例えば冷凍室、リビングルーム、又は寝室等、一定温度の環境に維持されねばならない機械、器具、装置その他の物等を挙げることができる。
目標値は、通常、この目標値を入力する入力手段により入力されて目標値記憶手段に格納される。言い換えると、この目標値記憶手段は、例えば通信又はキーボード等の入力手段を通じて目標値として入力された設定値を記憶するメモリーを具えて成る。
測定値記憶手段は、測定対象において経時的に測定される物理量を測定値として一定期間一時的に記憶するメモリーを具えて成る。測定対象における物理量の測定は各種のセンサーにより行われる。例えば測定対象において測定されるべき物理量が温度である場合には、測定値は、温度を電気信号として出力することのできる温度センサーにより測定される。偏差算出器は、目標値記憶手段に格納されている測定対象についての設定された目標値と、測定値とを比較してその偏差を出力する。偏差は、測定値毎に演算されて偏差算出器に備えられたメモリーに一定期間格納される。
次に、前記偏差算出器4から偏差eがP演算器5、D演算器6、偏差変化速度算出器10及び理想偏差変化速度算出器12に出力される。上述のようにP演算器では、比例帯Pbと前記偏差演算器4から入力される偏差eとを用いて、比例帯Pbに対する偏差eの割合に応じた制御出力量を出力する。また、同じく上述のようにD演算器では、微分時間Dtと前記偏差演算器4から入力される偏差eとを用いて、微分サンプリング時間ΔDt毎の偏差変化量を演算し、その変化量に応じた制御出力量を出力する。
前記偏差変化速度算出器10は、入力された前記偏差eから偏差変化速度Δeを算出する。この偏差変化速度Δeは、一般的には、測定時点における偏差とその測定時点より一つ前の測定時点における偏差との差分を、測定時点とその測定時点より一つ前の測定時点との時間差で除した値である。前記偏差変化速度算出器10で算出された偏差変化速度Δeは、最大偏差変化速度記憶器11と偏差補正器15とに出力される。
最大偏差変化速度記憶器は、一般的にいうと、測定開始時点から測定時間における各時点で算出された偏差変化速度から最大値を選択的に記憶することができる。また、次の測定時間における偏差変化速度が現時点での最大偏差変化速度を上回る値である場合は、最大偏差変化速度の値をこの時点での偏差変化速度の値に更新され、したがってこの最大偏差変化速度記憶器は前記値に更新する演算器を内蔵する。
つまり、図1に示されるように、最大偏差変化速度記憶器11により最大偏差変化速度Δemaxが算出される。実際の様々な制御系において、制御対象によっては、測定値PVの上昇する速度と下降する速度とが同じとは限らないので、最大偏差変化速度Δemaxは上昇時と下降時とに分ける。詳しく言うと、目標値SVが測定値PVより大きく、偏差eが正の場合は上昇時の最大偏差変化速度Δemaxを採用し、目標値SVが測定値PVより小さく、偏差eが負の場合は下降時の最大偏差変化速度Δemaxを採用する。なお、算出された偏差変化速度Δeがそれまでの最大偏差変化速度Δemaxを越えていれば、最大偏差変化速度Δemaxをその偏差変化速度Δeに更新する。
最大偏差変化速度記憶器11から最大偏差変化速度Δemaxが理想偏差変化速度算出器12に入力される
理想偏差変化速度算出器12では、前記偏差e、前記最大偏差変化速度Δemax、制御可能範囲を示す値I(例えば比例帯記憶器13で制御対象9によって決定される比例帯及びARW記憶器14から出力されるARWとの積)が入力され、式(5)より理想的な偏差変化速度RIDEALを算出する。ここで、比例帯記憶器は、一般的にいうと、予め設定された比例帯を記憶するメモリーである。この比例帯は、比例制御、すなわちP制御と呼ばれる制御の制御範囲を示し、測定対象によって予め決定される値である。この比例帯は入力手段、例えば通信又はキーボード等を通じて比例帯記憶器に格納される。また、ARW記憶器は、一般的にいうと、積分動作を有効とする範囲を限定してオーバーシュートを未然に防ぐために積分動作における偏差の積算を開始する偏差の値を記憶するメモリーであり、測定対象に応じて予め決定される値である。このARWは、例えば通信又はキーボード等の入力手段により入力されている。ここで、前記比例帯及びARWは、自動的にPID制御のパラメータを算出するオートチューニング等により決定され、例えばこの発明のPID制御装置及びPID制御方法を温度制御に用いる場合には、制御対象の加熱又は放熱特性等を考慮して決定される。
更に、偏差補正器15では、得られたRIDEALと前記偏差変化速度Δeとが入力され、それらの割合に応じて補正偏差e’を算出する。このとき、偏差変化速度が理想偏差変化速度を超える場合はe’<eとなり、I演算器に入力される補正偏差を小さいものにし、偏差変化速度が理想偏差変化速度を下回る場合はe’>eとなり、補正偏差を大きくするように演算を行う。その一例として、式(6)を挙げる。
Figure 0004901486
(式(6)中、Cは重み付けを示す定数であり、Fは制御対象によって決定される定数Cの補助係数を表す)
式(6)の補助係数Fは、式(5)から導出される理想的な偏差変化速度RIDEALが、実際の偏差変化速度Δeと比べてどの程度差異があるかに応じて決定される。例えば、前記補正偏差e’を算出する場合に、仮に偏差eが正の値であっても、重み付けを大きくすることにより補正偏差e’を負にすることができ、偏差変化速度Δeを理想的な偏差変化速度RIDEALに近づけることができる。
次いで、補正偏差e’を用いてI演算器7で演算を行う。
I演算器では、該I演算器に入力される補正偏差e’に基づいて、偏差の総和を算出し、その偏差の総和及び積分時間ItからI演算器における制御出力量を出力する。
更に、I演算器7の演算結果と、前記偏差eを用いて算出されるP演算器5及びD演算器6の演算結果とを合計することにより、制御演算器8で制御操作量MVを決定する。
算出された制御操作量MVは0〜100%の値を有し、電力調整器等の出力を調整する手段により制御対象を制御する。前記電力調整器としては、例えば時分割制御出力による電磁リレー、ソリッドステートリレーの制御又は電流出力等によるサイリスタ等を挙げることができる。
この発明のPID制御装置及びPID制御方法は、ファジィ推論による複数のメンバーシップ関数及び推論ルールを作成する必要がなく、大幅に計算工程を減らすことができる。これにより、制御対象の変化に迅速に対応することができ、計算工程が少ないので演算能力の低い計算機でもこの発明のPID制御装置及びPID制御方法を実施することができる。
更に、ファジィ推論によって複数のメンバーシップ関数及び推論ルールを作成する場合は、実験的に多くのデータを積算して作成し、かつ複雑な計算工程を経て偏差を算出するのに対し、この発明のPID制御装置及びPID制御方法は、ある時点での偏差及びその偏差変化速度を得ることにより単純な計算式で理想的な偏差変化速度が決定され、その理想的な偏差変化速度と偏差変化速度とを比較することでI演算に用いる偏差を補正して算出できる。
また測定値が目標値を超える場合、又は最初から測定値が目標値を超えている場合は、ファジィ推論を適用するPID制御装置及びPID制御方法では、初期設定のメンバーシップ関数及び推論ルールに加えて、更に複数のメンバーシップ関数及び推論ルールを作成して対応する必要があるが、この発明のPID制御装置及びPID制御方法では、偏差eが正と負との場合に分けて適宜に最大偏差変化速度Δemaxを用いることにより、測定値が目標値を超えている条件下でも対応することが出来る。
更に言うと、この発明のPID制御装置及びPID制御方法は、図2に示されるグラフに沿って制御するのではなく、実際の偏差変化速度Δeと理想的な偏差変化速度RIDEALとを比較し、その測定時点における偏差eを補正することにより、結果的に測定値PVが図2に示されるグラフの変位に漸近していくこととなる。
(実施例)
この発明のPID制御装置及びPID制御方法を用いて、図1に従って温度制御を行った。
制御条件
・制御対象 25×20×100mmの真鍮製角型ブロック
・ヒーター容量 200W
・初期温度 25〜28℃
・制御機器設定 目標値(SV) 100℃
比例帯(Pb) 30℃
積分時間(It) 100秒
微分時間(Dt) 12.5秒
ARW 100%
制御レベル(重み付け) 5
実施例の操作手順を以下に説明する。
制御対象から得られた測定値3と目標値2との偏差eを、偏差算出器4で算出し、P演算器5、D演算器6、偏差変化速度算出器10、理想偏差変化速度算出器12に出力する。
P演算器5は、一般的なP制御を行う。
D演算器6は、一般的なD制御を行う。
偏差変化速度算出器10は、前回のサンプリングで得た偏差と今回得た偏差を比較し、偏差変化速度Δeを算出し、最大偏差変化速度記憶器11、偏差補正器15に出力する。
最大偏差変化速度記憶器11は、現時点で最も大きい偏差変化速度と今回得た偏差変化速度を比較し、今回の偏差変化速度が大きければ、最大偏差変化速度を更新し、理想偏差変化速度算出器に出力する。
理想偏差変化速度算出器12は、偏差、偏差変化速度、最大偏差変化速度及びI(この場合はARW記憶器14と比例帯記憶器13の積)から、理想的な偏差変化速度RIDEALを算出し、偏差補正器15に出力する。
偏差補正器15は、偏差変化速度と理想的な偏差変化速度とを比較し、制御レベル記憶器16で得られた重み付けをもって補正偏差e’を得、I演算器に出力する。
I演算器は、得られた偏差e’を偏差の総和Σeに加算し、積分時間It、偏差の総和Σe、比例帯PbからI制御による操作量を算出し、制御演算器8に出力する。
制御演算器8は、比較例と同じ、一般的なPID制御の処理を行う。
(比較例)
図4に示される従来のPID制御方法及びPID制御装置を用いてシミュレーションを行った。詳しくは、図1における偏差変化速度算出器10、最大偏差変化速度算出器11、理想偏差変化速度算出器12及び偏差補正器15を採用せず、偏差算出器4から偏差eを補正することなくI演算器7に直接出力して温度制御シミュレーションを行った。
制御条件
・制御対象 25×20×100mmの真鍮製角型ブロック
・ヒーター容量 200W
・初期温度 25〜28℃
・制御機器設定 目標値(SV) 100℃
比例帯(Pb) 30℃
積分時間(It) 100秒
微分時間(Dt) 12.5秒
ARW 100%
比較例の操作手順を以下に説明する。
制御対象から得られた測定値3と目標値2の偏差eを、偏差算出器4で算出し、P演算器5、D演算器6、I演算器7に出力する。
P演算器5は、得られた偏差eと比例帯記憶器13に記憶された比例帯(Pb)とを比較し、P演算による操作量を算出し、制御演算器8に出力する。
D演算器6は、微分サンプリングΔDt(D制御が独自に持つサンプリング時間である。)ごとに、偏差eと、前回サンプリング時に得た前回の偏差eから、微分サンプリングごとの偏差の変化量を演算し、その変化量と微分時間Dt、前回のD制御による操作量Der、比例帯PbからD制御による操作量を算出し、制御演算器8に出力する。
I演算器は、得られた偏差eを偏差の総和Σeに加算し、積分時間It、偏差の総和Σe、比例帯PbからI制御による操作量を算出し、制御演算器8に出力する。
制御演算器8は、P,D,I演算器から出力された操作量を加算し、リミットなどの処理を経て制御対象に出力する。
実施例及び比較例の結果を図3に示した。なお、実線が実施例であり、破線が比較例で示される。
図3では、この発明のPID制御装置及びPID制御方法を用いることによりオーバーシュートを防ぐことができたとわかる。また、比較例に比べて目標値に短時間で達し、更にその後も安定している。
図1は、この発明のPID制御装置及びPID制御方法の一実施例である操作手順のブロック図を示す。 図2は、図式化したオーバーシュートを防ぎつつ目標値に到達することのできる測定値の条件を示す。 図3は、実施例及び比較例のシミュレーション結果を示す。 図4は、この発明の範囲外にあるPID制御装置を示すブロック図である。
符号の説明
1 PID制御装置
2 目標値記憶手段
3 測定値記憶手段
4 偏差算出器
5 P演算器
6 D演算器
7 I演算器
8 制御演算器
9 制御対象
10 偏差変化速度算出器
11 最大偏差変化速度算出器
12 理想偏差変化速度算出器
13 比例帯記憶器
14 ARW記憶器
15 偏差補正器
16 制御レベル記憶器

Claims (2)

  1. 予め設定される目標値SVと制御対象から得られる測定値PVとの偏差により操作量を算出するPID制御方法において、
    前記制御対象に基づいて設定されるパラメータにより決定された制御可能範囲内において、前記目標値SV前記測定値PVとの前記偏差より偏差変化速度Δeを決定し、
    前記偏差変化速度Δeから偏差変化速度の最大値Δe max を決定し、
    前記偏差変化速度の最大値Δe max 、一次遅れ定数T、及び前記測定値PVが前記制御可能範囲に達してからの時間t、から以下の数式により、前記偏差変化速度の最大値Δe max 、前記偏差、ARW及び比例帯に基づいてオーバーシュートを生じさせないで前記目標値SVに到達することのできる理想偏差変化速度R IDEAL を算出し、前記偏差変化速度Δeと前記理想偏差変化速度R IDEAL とに基づいて補正偏差e’を算出してこの補正偏差e’をI演算に用いることを特徴とするPID制御方法。

    Figure 0004901486
    (式(5)中、eは、ネイピア数を表す。)
  2. 予め設定される目標値SVと制御対象から得られる測定値PVとの偏差により操作量を算出するPID制御装置において、
    前記制御対象に基づいて設定されるパラメータより制御可能範囲を決定するアンチリセットワインドアップ記憶器及び比例帯記憶器と、
    前記制御可能範囲内において、前記目標値SV前記測定値PVとの前記偏差より偏差変化速度Δeを決定する偏差変化速度算出器と、
    前記偏差変化速度Δeから偏差変化速度の最大値Δe max を決定する最大偏差変化速度記憶器と、
    前記偏差変化速度の最大値Δe max 、前記偏差e、一次遅れ定数T、及び前記測定値PVが前記制御可能範囲に達してからの時間t、から以下の数式により、前記偏差変化速度の最大値Δe max 、前記偏差、ARW及び比例帯に基づいてオーバーシュートを生じさせないで前記目標値SVに到達することのできる理想偏差変化速度R IDEAL を算出する理想偏差変化速度算出器と、
    前記偏差変化速度Δeと前記理想偏差変化速度R IDEAL とに基づいて補正偏差e’を算出してこの補正偏差e’をI演算に出力する偏差補正器とを備えることを特徴とするPID制御装置。

    Figure 0004901486
    (式(5)中、eは、ネイピア数を表す。)
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