JP2013069094A - 制御方法および制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも実用性と一般性に優れたB2B制御システムを提供する。
【解決手段】制御装置は、バッチ反応プロセスを制御するPIDコントローラを実現するカスケード制御実行部6と、反応プロセスモデルを記憶するモデル記憶部1と、モデル調整部7と、反応プロセスモデルを線形近似した伝達関数モデルを用いてPIDコントローラのPIDパラメータを調整する制御パラメータ調整部5とを備える。モデル調整部7は、冷媒入口温度Tciの実績データを平滑化して反応プロセスモデルの入力として与え、反応プロセスモデルの出力である反応温度Travの時系列データと反応温度Trの実績データとの2乗誤差を算出し、2乗誤差が最小になる、反応プロセスモデルの適応パラメータを非線形最適化により求め、適応パラメータを用いて反応プロセスモデルのモデルパラメータを調整する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、バッチ反応プロセスをモデル化した反応プロセスモデルを適応的に調整し、調整結果をバッチ反応プロセスのPID制御に反映するB2B制御方式の制御方法および制御装置に関するものである。
容積が数リットルの反応装置を使った試作実験などにより製造処方が確立された高機能性ポリマーを、スケールアップした数m3の反応器で変種変量生産するバッチ反応プロセスを制御対象とする場合、新製品のため品質規格が厳しく、初回のバッチ運転から直ちに、品質を規定する反応温度を精密に制御することが求められる。このため、発明者は、プロセスモデルをベースにしたB2B(Batch to Batch)制御システムを提案した(非特許文献1参照)。
小河 守正,「バッチ重合プロセスのモデルベースB2B制御」,計測自動制御学会論文集,Vol.46,No.3,p.139−148,2010
非特許文献1に開示されたB2B制御システムでは、バッチ反応プロセス制御の主体である反応温度制御にPID制御を採用している。PIDパラメータは、バッチ運転を積み重ね経験的に調整することになる。しかしながら、プロセスの非線形性が強くバッチ経過時間と共にプロセス動特性が大きく変わるので、経験則だけでPIDパラメータを適切に調整することは難しい。また、バッチ運転実績を学習する機能も提案されているが、シミュレーションにより検証されたプロトタイプを与えるもので、実プロセスに適用できる段階に至っていない。以上のように、B2B制御システムは、実用性と一般性のある制御手法として確立されていないという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、従来よりも実用性と一般性に優れたB2B制御方式の制御方法および制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、バッチ反応プロセスをモデル化した反応プロセスモデルを適応的に調整し、調整結果をバッチ反応プロセスのPID制御に反映するB2B制御方式の制御方法であって、過去のバッチ運転の実績データとして、反応の除熱に用いる冷媒の入口温度Tciと反応器内の反応温度Trとの組からなる時系列データを記憶している実績データ記憶手段からデータを取得し、前記冷媒入口温度Tciの時系列データを前記反応プロセスモデルの入力として与える入力ステップと、前記反応プロセスモデルの出力である反応温度Travの時系列データと前記実績データ記憶手段から取得した反応温度Trの時系列データとの2乗誤差を算出する2乗誤差算出ステップと、前記2乗誤差が最小になる、前記反応プロセスモデルの適応パラメータλを非線形最適化により求める非線形最適化ステップと、前記適応パラメータλを用いて前記反応プロセスモデルのモデルパラメータを調整するモデルパラメータ調整ステップと、前記反応プロセスモデルを線形近似して伝達関数モデルを得るプロセス動特性モデル作成ステップと、バッチ反応プロセスにおいて冷媒入口温度Tciが冷媒入口温度目標値と一致し且つ反応温度Trが反応温度目標値と一致するように制御を行うPIDコントローラのPIDパラメータを、前記伝達関数モデルを用いて調整するゲインスケジューリングステップとを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の制御方法の1構成例において、前記モデルパラメータは、反応物質と冷媒との熱交換による除熱量の計算に用いられる総括伝熱係数Uと、この総括伝熱係数Uの計算に用いられる反応物質粘度μであり、前記適応パラメータλは、前記総括伝熱係数Uと前記反応物質粘度μとを調整する複数のスカラー値からなる。
また、本発明の制御方法の1構成例において、前記入力ステップは、前記反応プロセスモデルに入力する前に、前記冷媒入口温度Tciの時系列データを平滑化する平滑化ステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明は、バッチ反応プロセスをモデル化した反応プロセスモデルを適応的に調整し、調整結果をバッチ反応プロセスのPID制御に反映するB2B制御方式の制御装置であって、バッチ反応プロセスにおいて反応の除熱に用いる冷媒の入口温度Tciが冷媒入口温度目標値と一致し且つ反応器内の反応温度Trが反応温度目標値と一致するように制御を行うPIDコントローラと、前記反応プロセスモデルを予め記憶するモデル記憶手段と、過去のバッチ運転の実績データとして、前記冷媒入口温度Tciと前記反応温度Trとの組からなる時系列データを予め記憶する実績データ記憶手段と、この実績データ記憶手段からデータを取得し、前記冷媒入口温度Tciの時系列データを前記反応プロセスモデルの入力として与える入力手段と、前記反応プロセスモデルの出力である反応温度Travの時系列データと前記実績データ記憶手段から取得した反応温度Trの時系列データとの2乗誤差を算出する2乗誤差算出手段と、前記2乗誤差が最小になる、前記反応プロセスモデルの適応パラメータλを非線形最適化により求める非線形最適化手段と、前記適応パラメータλを用いて前記反応プロセスモデルのモデルパラメータを調整するモデルパラメータ調整手段と、前記反応プロセスモデルを線形近似して伝達関数モデルを得るプロセス動特性モデル作成手段と、前記PIDコントローラのPIDパラメータを、前記伝達関数モデルを用いて調整するゲインスケジューリング手段とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、実績データ記憶手段からデータを取得し、冷媒入口温度Tciの時系列データを反応プロセスモデルの入力として与え、反応プロセスモデルの出力である反応温度Travの時系列データと実績データ記憶手段から取得した反応温度Trの時系列データとの2乗誤差を算出し、2乗誤差が最小になる、反応プロセスモデルの適応パラメータλを非線形最適化により求めて、適応パラメータλを用いて反応プロセスモデルのモデルパラメータを調整し、反応プロセスモデルを線形近似した伝達関数モデルを用いて、PIDコントローラのPIDパラメータを調整する。バッチ反応プロセスにおいては、プロセスの非線形性が強くバッチ経過時間と共にプロセス動特性が大きく変わるので、PIDパラメータを経験則だけで適切に調整することは難しい。これに対して、本発明では、バッチ運転の実績データを基に反応プロセスモデルを適応的に調整し、調整後の反応プロセスモデルに基づいてPIDパラメータを適切に調整するので、従来よりも実用性と一般性に優れたB2B制御方式の制御方法を実現することができる。
本発明の実施の形態に係るバッチ反応プロセスの計装図である。 本発明の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る制御系のブロック線図である。 本発明の実施の形態における冷媒入口温度目標値の時間パターンの1例を示す図である。 本発明の実施の形態における反応温度目標値の時間パターンの1例を示す図である。 II2−PDコントローラでプロセスをフィードバック制御する制御系のブロック線図である。 本発明の実施の形態に係るモデル調整部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態における反応プロセスモデルの適応調整結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係るバッチ反応プロセスの計装図である。
バッチ反応プロセスにおいては、完全混合槽型の反応器100に、バルブ105〜107を介して原料モノマーと溶媒と助剤とを定量仕込み、反応温度まで加温する。反応器100は、冷却のためのコイル101と、同じく冷却のためのジャケット102と、反応物質の反応温度を測定する温度センサ103と、反応物質を攪拌する攪拌機104とを備えている。
原料モノマーの加温後に、バルブ108を介して反応器100に開始剤(触媒)を定量加えると、数分以内の誘導時間(induction period)だけ遅れて急激にラジカル重合反応が始まる。反応温度を一定に保つ主反応は約4時間で、その後さらに反応温度を昇温して反応を加速し、開始剤の添加から6時間程度で反応終点となる。生成されたポリマーは、反応器100からバルブ109を介して抜き出される。加温開始からポリマーの抜き出しを完了するまでのバッチ時間は概ね12時間である。
重合反応による発熱量は、反応器100に設けられたコイル101とジャケット102とを一定流量で循環する冷媒(冷水)により除熱される。冷媒は、入口側配管110からコイル101とジャケット102に供給され、出口側配管111に排出される。出口側配管111に排出された冷媒は、一部が冷却塔113によって冷却され、残りが入口側配管110に戻されるようになっている。入口側配管110には、冷媒入口温度を測定する温度センサ112が設けられている。また、入口側配管110には、バルブ114,115を介して蒸気と冷却塔113によって冷却された冷水とが供給される。
制御装置116は、冷媒入口温度が冷媒入口温度目標値の時間パターンと一致し、かつ反応温度が反応温度目標値の時間パターンと一致するように、冷媒入口温度制御と反応温度制御のカスケード制御を行う。また、制御装置116は、バッチ経過時間に対応して冷媒入口温度の目標値を変更する、フィードフォワード制御(Feed-Forward Control)の機能を有している。
図2は制御装置116の構成を示すブロック図、図3は制御装置116の動作を示すフローチャートである。制御装置116は、反応プロセスのダイナミクスモデルである反応プロセスモデルをあらかじめ記憶するモデル記憶部1と、バッチ反応プロセスの実験データから重合の反応速度定数を推定する反応速度定数推定部2と、反応温度を反応温度目標値の時間パターン{t,Tr set}に一致させる冷媒入口温度目標値の時間パターン{t,Tci set}をシミュレーションにより定める冷媒入口温度時間パターン設定部3と、フィードフォワード制御を実行するフィードフォワード制御実行部4と、カスケード制御のための制御パラメータを調整する制御パラメータ調整部5と、カスケード制御を実行するカスケード制御実行部6と、反応プロセスモデルを適応的に調整するモデル調整部7とを備えている。
バッチ運転を開始する前に、モデル調整部7は、バッチ運転実績データを用いて反応プロセスモデルのモデルパラメータを調整し(図3ステップS1)、制御パラメータ調整部5は、反応プロセスモデルを線形近似した伝達関数モデルを用いて制御パラメータ(PIDパラメータ)を調整する(ステップS2)。上記のようなバッチ反応プロセスを制御対象とするバッチ運転が開始されると、フィードフォワード制御実行部4は、冷媒入口温度目標値の時間パターン{t,Tci set}に応じて冷媒入口温度目標値Tci setを出力するフィードフォワード制御を実行し(ステップS3)、カスケード制御実行部6は、冷媒入口温度Tciが冷媒入口温度目標値と一致し且つ反応温度Trが反応温度目標値と一致するようにカスケード制御(PID制御)を実行する(ステップS4)。以上のようなステップS3,S4の処理を、バッチ反応プロセスが終了するまで(ステップS5においてYES)、一定間隔のバッチ経過時間t毎に実行する。
反応プロセスモデルは、ラジカル重合の重合反応モデル10と、熱収支モデル11とからなる。重合反応モデル10は、開始剤の重量濃度(残存量の仕込量に対する分率)xiの時間変化および原料モノマーの重量濃度xmの時間変化を表すものである。ここで、開始剤の反応速度定数kiおよび原料モノマーの反応速度定数kmは共に0より大である。そして、反応温度Trと冷媒温度Tcとに関する熱収支モデル11では、反応物質の熱容量をCr、冷媒の熱容量をCc、重合反応熱(−ΔHr)>0による発熱量をQr、反応物質と冷媒との熱交換による除熱量をQc1、循環冷媒による除熱量をQc2とする。このとき、バッチ経過時間tにおける反応プロセスモデルは式(1)〜式(4)のようになる。
Figure 2013069094
Figure 2013069094
Figure 2013069094
Figure 2013069094
式(1)、式(2)が重合反応モデル10を表し、式(3)、式(4)が熱収支モデル11を表している。開始剤の反応速度定数は一定とし、原料モノマーの反応速度定数だけに温度依存性があるとする。この原料モノマーの反応速度定数をアレニウス式(Arrhenius rate expression)で表す。
Figure 2013069094
ここで、Tr0は反応温度Trの基準状態値、km0は反応速度定数kmの基準状態値、bmは温度依存定数である。重合レートRmは、原料モノマー濃度の変化速度の絶対値にモノマー仕込量Wmを乗じた式(6)で与えられる。
Figure 2013069094
熱収支モデル11の発熱量と除熱量は次のようになる。コイル101とジャケット102を循環する冷媒の入口温度Tciと冷媒の出口温度Tcoとの差が小さいので、冷媒温度TcはTciとTcoの算術平均(Tci+Tco)/2とした。重合反応熱(−ΔHr)>0による発熱量Qr(t)、反応物質と冷媒との熱交換による除熱量Qc1(t)、循環冷媒による除熱量Qc2(t)は、式(7)、式(8)、式(9)のようになる。
Figure 2013069094
Figure 2013069094
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ここで、ccは冷媒の比熱、fcは冷媒の循環流量である。また、Atは全伝熱面積であり、コイル101の伝熱面積をAc、ジャケット102の伝熱面積をAjとすると、At=Ac+Ajとなる。また、コイル101の総括伝熱係数をUc、ジャケット102の総括伝熱係数をUjとすると、総括伝熱係数Uc,Ujをコイル101とジャケット102のそれぞれの伝熱面積Ac,Ajで加重平均した総括伝熱係数U(t)は、U(t)=(Uc(t)Ac+Uj(t)Aj)/Atとなる。総括伝熱係数Uc,Ujは、モノマー濃度などから推算することができる。
反応速度定数推定部2は、原料モノマーの重量濃度(残存量の仕込量に対する分率)xmの実験データから、開始剤の反応速度定数kiおよび原料モノマーの反応速度定数kmを推定する。この反応速度定数ki,kmの推定方法は、非特許文献1に開示されているので、詳細な説明は省略する。反応速度定数推定部2の処理は、事前に1回だけ行っておけばよい。
冷媒入口温度時間パターン設定部3は、シミュレーション実行部30と、時系列テーブル記憶部31とを有する。シミュレーション実行部30は、反応プロセスモデルを用いたシミュレーションにより、反応温度Trが所望の反応温度目標値の時間パターン{t,Tr set}と一致するように冷媒入口温度目標値の時間パターン{t,Tci set}を定める。時系列テーブル記憶部31は、シミュレーション実行部30が定めた冷媒入口温度目標値の時間パターン{t,Tci set}を記憶する。冷媒入口温度時間パターン設定部3の処理は、事前に1回だけ行っておけばよい。
制御パラメータ調整部5は、プロセス動特性モデル作成部50と、ゲインスケジューリング部51とを有する。本実施の形態では、冷媒入口温度制御と反応温度制御のカスケード制御のアルゴリズムとしてPIDを用いるが、PIDによる制御を設計するには、操作量(冷媒入口温度)と制御量(反応温度)との関係を表わす、線形のプロセス動特性モデルが必要になる。
プロセス動特性モデル作成部50は、このような線形のプロセス動特性モデルを作成するものである。具体的には、プロセス動特性モデル作成部50は、モデル記憶部1に記憶されている反応プロセスモデルを逐次線形化して状態方程式モデルを作成し、さらに状態方程式モデルを伝達関数モデルに変換する。ゲインスケジューリング部51は、プロセス動特性モデル作成部50が作成した伝達関数モデルを用いて、制御パラメータ(PIDパラメータ)を調整する。
以下、プロセス動特性モデル作成部50の動作について説明する。バッチプロセスの状態変数は常に変化し、連続プロセスでは一般的な定常状態(すべての状態変数が一定の状態)が存在しない。そこで、バッチ経過時間tに対応して与えられる反応温度目標値軌道{t,Tr set}に、反応温度Trを完全に追従制御できると仮定する。そのときの重合レートは式(1)〜式(4)の重合反応モデルと式(5)、式(6)から定まり、さらに総括伝熱係数も決まる。
そして、反応温度目標値軌道{t,Tr set}に沿った重合レートのもとで、式(1)〜式(4)における熱収支モデルの左辺=0となる状態、すなわち反応温度Trが目標値軌道{t,Tr set}に常に一致するように冷媒入口温度Tciが調節されている状態を、仮想的な平衡状態と呼ぶことにする。この平衡状態のまわりで熱収支モデルだけを逐次線形化することにより、反応温度のプロセス動特性モデルを得る。
例えば、バッチ経過時間tの平衡状態における重合レートを*Rmのように表わす。このとき、反応温度の微小変化ΔTr(t)による重合レート変化量ΔRm(t)は式(10)で表わされる。
Figure 2013069094
ここで、*Trはバッチ経過時間tの平衡状態における反応時間、Δkmは原料モノマーの反応速度定数kmの変化量である。バッチ経過時間tの平衡状態における重合反応熱(−ΔHr)>0による発熱量を*Qrとすると、発熱量の変化量ΔQr(t)は、*Qr=*Rm(−ΔHr)より、式(11)のようになる。
Figure 2013069094
逐次線形化したうえで、平衡状態からの変化量をΔTr(t)→Tr(t)のように書き換えると、状態方程式モデルは式(12)、式(13)のように表わされる。
Figure 2013069094
Figure 2013069094
状態量x(t)、操作量u(t)、制御量y(t)は、それぞれ式(14)、式(15)、式(16)のようになる。
Figure 2013069094
Figure 2013069094
Figure 2013069094
さらに、式(12)、式(13)の係数A,b,cは式(17)のようになる。ここで、*Uはバッチ経過時間tの平衡状態における総括伝熱係数である。
Figure 2013069094
次に、伝達関数モデルの作成方法について説明する。状態方程式モデルから、伝達関数モデルP(s)は式(18)のようになる。なお、sはラプラス演算子である。
Figure 2013069094
式(18)の係数n0,d2,d1は式(19)のようになる。
Figure 2013069094
式(18)の分母多項式の根の逆数である時定数Tp1,Tp2は式(20)のようになる。
Figure 2013069094
ゲインKpは式(21)で表される。
Figure 2013069094
時定数Tp1,Tp2のうち動特性を支配する時定数をTp1(|Tp1|>Tp2>0)とする。時定数Tp1が負のとき不安定プロセスとなり、不安定プロセスとなる条件は式(22)のように表される。
Figure 2013069094
不安定プロセスとなるときは式(21)で表わされるゲインKpも負になる。重合反応の進行に伴い、不安定から安定なシステムに移行していくプロセスを、伝達関数モデルで見通しよく表現するために、ゲインと時定数は絶対値を取り常に正の値にする。すなわち、|Kp|→Kp、|Tp1|→Tp1とする。そして、プロセスむだ時間TLを付加した伝達関数モデルは式(23)のようになる。
Figure 2013069094
制御システムを構成する温度センサ、操作部さらにカスケード制御2次ループの遅れなどが重なったものを、プロセスむだ時間TLとして付加することができる。式(23)の分母第1項の±符号が、正のとき安定プロセス、負になると不安定プロセスである。ゲインKpおよび時定数Tp1の計算値が負になる場合に、このゲインKpおよび時定数Tp1を絶対値に置き換え、±符号を負にする。
不安定条件を物理的に解釈するために状態方程式モデルに戻ると、a11<0のとき不安定プロセスになる。すなわち、式(24)が成立する。
Figure 2013069094
バッチ経過時間tの平衡状態における反応物質と冷媒との熱交換による除熱量を*Qc1、平衡状態における冷媒温度をTcとすると、平衡状態*Qr=*Qc1=*UAt(*Tr−*Tc)から*UAt=*Qr/(*Tr−*Tc)なので、不安定条件は次の簡単な関係式で与えられる。
Figure 2013069094
このように、反応速度定数に温度催存性があり、反応温度Trと冷媒温度Tcの温度差が式(25)の条件を満たすとき、重合反応プロセスは不安定になる。この不安定さは、重合レートが高く発熱量が大きい反応初期において、ポリマーの生成により総括伝熱係数Uが急激に低下するため、冷媒温度Tcを下げ反応温度Trとの温度差を大きくとり除熱量を確保している状態を意味する。
以上で、プロセス動特性モデル作成部50による伝達関数モデルの作成処理が終了する。
次に、フィードフォワード制御実行部4とカスケード制御実行部6の動作について説明する。図4は本実施の形態の制御系のブロック線図である。図4におけるFはフィードフォワード制御実行部4が実現するフィードフォワードコントローラである。フィードフォワード制御実行部4は、冷媒入口温度時間パターン設定部3の時系列テーブル記憶部31に予め記憶されている冷媒入口温度目標値の時間パターン{t,Tci set}を参照し、現在のバッチ経過時間tに対応する冷媒入口温度目標値Tci setを出力する。図5に冷媒入口温度目標値の時間パターン{t,Tci set}の1例を示す。このように冷媒入口温度目標値の時間パターンは、バッチ経過時間tと冷媒入口温度目標値Tci setとの組からなる時系列データである。
また、図4におけるC1はカスケード制御実行部6が実現する反応温度コントローラ(I−PDコントローラまたはII2−PDコントローラ)、C2は同じくカスケード制御実行部6が実現する冷媒入口温度コントローラ(PI−Dコントローラ)、P1は反応プロセス、P2は冷却プロセス、d1,d2は外乱である。
反応温度コントローラC1には、反応温度目標値Tr setが与えられる。図6に反応温度目標値の時間パターン{t,Tr set}の1例を示す。このように反応温度目標値の時間パターンは、バッチ経過時間tと反応温度目標値Tr setとの組からなる時系列データである。反応温度コントローラC1は、反応温度Trと反応温度目標値Tr setとが一致するように操作量u1を演算する。操作量u1と冷媒入口温度目標値Tci setとは加算され、この加算結果が冷媒入口温度目標値r2として冷媒入口温度コントローラC2に与えられる。冷媒入口温度コントローラC2は、冷媒入口温度Tciと冷媒入口温度目標値r2とが一致するように操作量u2を演算する。この操作量u2に応じて、図1に示したバルブ114,115の開度が決定される。
次に、カスケード制御実行部6が実現する反応温度コントローラC1について説明する。まず、反応温度コントローラC1としてI−PDコントローラを用いる場合について説明する。カスケード制御2次ループの冷媒入口温度制御は、混合プロセスが制御対象なので、非常に速い応答特性を持つ。さらに、式(23)の伝達関数モデルにおける、冷媒の熱容量による遅れに対応する時定数とむだ時間はそれぞれ0.2min程度なので、時定数Tp2およびプロセスむだ時間TLは(Tp1/10)に対して十分に小さい。そこで、時定数Tp2およびプロセスむだ時間TLを無視して、プロセス動特牲を式(26)に示すように1次遅れ特性と見なす。
Figure 2013069094
I−PDコントローラは、PIDパラメータを{Kc,Ti,Td}、微分ゲインを1/γ、目標値をr(s)、制御量をy(s)、制御量偏差をe(s)=r(s)−y(s)、操作量をu(s)とすると、式(27)で表される。
Figure 2013069094
cは比例ゲイン、Tiは積分時間、Tdは微分時間である。また、目標値r(s)は図4の反応温度目標値Tr setに相当し、制御量y(s)は図4の反応温度Trに相当し、操作量u(s)は図4の操作量u1に相当する。I−PDコントローラの目標値応答特性Wc(s)=y(s)/r(s)は式(28)のようになる。
Figure 2013069094
望ましい目標値応答特性Wd(s)を2次臨界制動とし、応答の速さを規定するチューニングパラメータTFを用いる。
Figure 2013069094
目標値応答特性Wc(s),Wd(s)の分母多項式の係数相等条件から、微分時間Tdがゼロとなる条件を付加して、比例ゲインKcと積分時間Tiが求まる。そして、微分時間Tdは、経験的に積分時間Tiの1/8に設定する。このようにして得られるPID設定則を表1に示す。ここで、q≡TF/Tp1<1である。
Figure 2013069094
表1に示すPIDパラメータ{Kc,Ti,Td}および微分ゲイン1/γがカスケード制御実行部6に予め設定されており、カスケード制御実行部6は反応温度コントローラC1(I−PDコントローラ)の動作を実現することができる。
次に、反応温度コントローラC1としてII2−PDコントローラを用いる場合について説明する。I−PDコントローラは良い制御性能を示すが、反応温度目標値Tr setと反応温度Trとの間に微小な定常偏差が生じることがある。この定常偏差は、バッチ経過時間を通して、ランプ状外乱が作用していることによる。プロセスの伝達関数が原点に極をもたない場合、フィードバック制御システムがランプ状外乱にオフセットフリーとなるには、内部モデル原理から、コントローラは自身の極にランプ状外乱の原点の2位極を含まなければならない。すなわち、2重積分動作が必要になる。
II2−PDコントローラでプロセスP(s)をフィードバック制御する制御系のブロック線図を図7に示す。図7において、Kcは比例ゲイン、Ti1は積分時間、Ti2は2重積分時間、Tdは微分時間、1/γは微分ゲイン、dは外乱である。図7に示すS(s)はカスケード制御実行部6が実現する目標値補償器であり、式(30)のように表される。
Figure 2013069094
2重積分動作による目標値応答の行き過ぎを抑えるため、目標値r(s)を目標値補償器S(s)に通し、目標値補償器S(s)の出力rs(s)をコントローラに与える。外乱d(s)は操作量u(s)に加法的に作用するプロセス入力等価外乱とする。II2−PDコントローラは、積分動作と2重積分動作が制御偏差e(s)=rs(s)−y(s)に作用し、比例動作と微分動作(微分ゲイン1/γ)は制御量y(s)だけに働く。これにより、1組のPII2Dパラメータ{Kc,Ti1,Ti2,Td}で、目標値追従性と外乱抑制性を同時に満たす2自由度制御システムを構成する。
プロセス伝達関数モデルとして式(23)を用い、一般性のあるPII2D設定則を与える。ランプ状外乱は、持続時間trの間に操作量等価な外乱量drだけ、定速度a≡dr/trで変化する。
Figure 2013069094
この外乱に対する制御量y(s)の望ましい応答特性Wd(s)を一般化臨界制御応答とする。制御システムの因果律を保つため、プロセス動特性モデルの相対次数jに対して一般化臨界制動の次数n=j+2とし、制御量応答をプロセスむだ時間だけ遅らせる。ここには、制御性能を調整する2つのパラメータがある。整定時間を決めるパラメータTFと、制御量の減衰比を規定するパラメータαKpである。
Figure 2013069094
ランプ状外乱に対する望ましい制御量応答を実現するPII2D設定則を導く。II2−PD制御に内在する目標値補償器S(s)を図7のように目標値入力側に設けると、コントローラを次式のPII2DコントローラC1(s)としてPII2D設定則を設計できる。
Figure 2013069094
外乱応答が望ましい制御量応答に一致する条件から、このPII2Dコントローラは式(34)のように定まる。
Figure 2013069094
式(34)に、次数n=4とした式(32)のWd(s)と式(23)のP(s)とを代入し、むだ時間をマクローリン(Maclaurin)展開近似すると、分数多項式表現は次のようになる。αは無次元で、ランプ状外乱速度aが時間の逆数の次元h−1を持つので、分数多項式の係数の次元はいずれも一致する。
Figure 2013069094
式(33)のPII2Dアルゴリズムの不完全微分項を無視したものと式(35)を分数多項式で表し、係数相等条件から表2のPII2D設定則を得る。
Figure 2013069094
表2に示すPIDパラメータ{Kc,Ti1,Ti2,Td}および微分ゲイン1/γがカスケード制御実行部6に予め設定されており、カスケード制御実行部6は反応温度コントローラC1(II2−PDコントローラ)の動作を実現することができる。
冷媒入口温度コントローラC2については一般的なPI−Dコントローラなので、説明は省略する。
次に、モデル調整部7の動作について説明する。B2B制御は、バッチ運転の実績データを用いて反応プロセスモデルを適応的に調整し、その結果をモデルベース制御に反映するものである。同品種の実績データを使うので、重合反応モデル10を固定し、熱収支モデル11を適応させる。熱収支モデル11の主な変動要因は、反応物質粘度とコイル・ジャケット総括伝熱係数Uの推算誤差、および伝熱面の汚れによる総括伝熱係数Uの変化である。
図8はモデル調整部7の構成を示すブロック図である。モデル調整部7は、実績データ記憶部70と、平滑化部71と、2乗誤差算出部72と、非線形最適化部73と、モデルパラメータ調整部74とを有する。本実施の形態で用いるバッチ運転実績データは、反応器100で生成しようとするポリマーと同種のポリマーを過去に生産したときの実績データ(前回の実績データ)であり、バッチ経過時間t、冷媒入口温度Tci、反応温度Trの時系列データ{t(k),Tci(k),Tr(k)}である。ここで、kはサンプリング周期τ(τは例えば10sec)の離散時間tkの時点である。実績データ記憶部70は、このバッチ運転実績データを予め記憶している。つまり、実績データ記憶部70は、前回のバッチ運転における開始から終了までのnサンプルの時系列データを記憶している。
入力手段となる平滑化部71は、冷媒入口温度Tci(k)を平滑化した冷媒入口温度Tciav(k)を、重合反応モデル10と熱収支モデル11とからなる反応プロセスモデルの入力として与える。これにより、反応プロセスモデルからは、出力である反応温度Trav(k)が得られる。平滑化部71は、nサンプルの冷媒入口温度Tciav(k)を反応プロセスモデルに順次入力するので、反応プロセスモデルからは、nサンプルの反応温度Trav(k)が順次得られることになる。冷媒入口温度Tci(k)を平滑化する理由は、冷媒入口温度Tci(k)の変動が大きいからである。平滑化の手法としては、例えばローパスフィルタがある。
2乗誤差算出部72は、nサンプルの反応温度Trav(k)とnサンプルの反応温度の実績値Tr(k)との2乗誤差Eを式(36)のように計算する。
Figure 2013069094
非線形最適化部73は、2乗誤差Eを最小とする非線形最適化問題を数値的に解き、反応プロセスモデルの伝熱特性適応パラメータλ∈{λ1,λ2,λ3}を得る。伝熱特性適応パラメータλ∈{λ1,λ2,λ3}は、次の意味を持つ。まず、総括伝熱係数Uは反応物質粘度μや攪拌機回転数Nなどにより変化する。伝熱特性適応パラメータλ1は、この総括伝熱係数Uを調整するためのものである。すなわち、総括伝熱係数Uは、伝熱特性適応パラメータλ1により式(37)のように調整される。
Figure 2013069094
g()は関数である。具体的には、コイル101の総括伝熱係数Uc、ジャケット102の総括伝熱係数Ujは、それぞれ式(38)、式(39)のように調整される。
Figure 2013069094
Figure 2013069094
反応物質粘度μは原料モノマー濃度xmにより変わる。伝熱特性適応パラメータλ2,λ3は、この反応物質粘度μを調整するためのものである。すなわち、反応物質粘度μは、伝熱特性適応パラメータλ2,λ3により式(40)のように調整される。
Figure 2013069094
f()は関数である。具体的には、初期粘度μ0とモノマー濃度依存定数μ1と上記の次数nとパラメータλ2,λ3とを用いて、反応物質粘度μは式(41)のように調整される。
Figure 2013069094
コイル101の総括伝熱係数Ucと総括伝熱係数Ucの境膜伝熱係数hcとは、式(42)のような関係にある。
Figure 2013069094
ジャケット102の総括伝熱係数Ujと総括伝熱係数Ujの境膜伝熱係数hjとは、式(43)のような関係にある。
Figure 2013069094
そして、境膜伝熱係数hcは、反応物質粘度μと攪拌機回転数Nを用いて式(44)のように表される。
Figure 2013069094
μwは境膜面におけるモノマー粘度である。境膜伝熱係数hjは、式(45)のように表される。
Figure 2013069094
なお、式(42)〜式(45)は実験的に求めた1例の式であって、これに限るものではない。
モデルパラメータ調整部74は、非線形最適化部73が求めた伝熱特性適応パラメータλ1を用いて、モデルパラメータである総括伝熱係数Uを式(37)、式(38)、式(39)のように調整すると共に、非線形最適化部73が求めた伝熱特性適応パラメータλ2,λ3を用いて、モデルパラメータである反応物質粘度μを式(40)、式(41)のように調整する。こうして、反応プロセスモデルが適応的に調整され、モデル調整部7の動作が終了する。
図9(A)〜図9(D)に本実施の形態の反応プロセスモデルの適応調整結果を示す。図9(A)は初期の反応プロセスモデルによる反応温度Trのシミュレーション結果と反応温度Trの実績データとを対比した図である。80が反応温度Trのシミュレーション結果を示し、81が反応温度Trの実績データを示している。図9(B)は初期の反応プロセスモデルによる冷媒入口温度Tciのシミュレーション結果と冷媒入口温度Tciの実績データとを対比した図である。82が冷媒入口温度Tciのシミュレーション結果を示し、83が冷媒入口温度Tciの実績データを示している。
図9(C)は調整後の反応プロセスモデルによる反応温度Trのシミュレーション結果と反応温度Trの実績データとを対比した図である。84が反応温度Trのシミュレーション結果を示し、85が反応温度Trの実績データを示している。図9(D)は調整後の反応プロセスモデルによる冷媒入口温度Tciのシミュレーション結果と冷媒入口温度Tciの実績データとを対比した図である。86が冷媒入口温度Tciのシミュレーション結果を示し、87が冷媒入口温度Tciの実績データを示している。
このとき、伝熱特性適応パラメータλ∈{λ1,λ2,λ3}は、λ1=1.30、λ2=0.134、λ3=0.767となり、総括伝熱係数Uc,Ujをそれぞれ初期値の1.3倍にし、反応物質粘度μを初期値の1/5にするものとなった。調整後の反応プロセスモデルによると、初期の反応プロセスモデルと比較して、反応温度Trおよび冷媒入口温度Tciのシミュレーション結果が実績データに接近していることが分かる。
次に、制御パラメータ調整部5のゲインスケジューリング部51の動作について説明する。前述のとおり、制御パラメータ調整部5のプロセス動特性モデル作成部50は、モデル記憶部1に記憶されている反応プロセスモデルを線形近似して伝達関数モデルを作成する。
ゲインスケジューリング部51は、プロセス動特性モデル作成部50が作成した伝達関数モデルを用いて、制御パラメータ(PIDパラメータ)を調整する。反応温度コントローラC1としてI−PDコントローラを用いる場合、ゲインスケジューリング部51は、PIDパラメータ{Kc,Ti,Td}を調整する。また、反応温度コントローラC1としてII2−PDコントローラを用いる場合、ゲインスケジューリング部51は、PIDパラメータ{Kc,Ti1,Ti2,Td}を調整する。ゲインスケジューリングについては、例えば文献「D.E.Seborg et al.,“Process Dynamics and Control”,Second Edition,John Wiley & Sons,Inc.,pp.428-430,2003」に開示されているので、詳細な説明は省略する。
本実施の形態で説明した制御装置116は、CPU、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、バッチ反応プロセス制御に適用することができる。
1…モデル記憶部、2…反応速度定数推定部、3…冷媒入口温度時間パターン設定部、4…フィードフォワード制御実行部、5…制御パラメータ調整部、6…カスケード制御実行部、7…モデル調整部、10…重合反応モデル、11…熱収支モデル、30…シミュレーション実行部、31…時系列テーブル記憶部、50…プロセス動特性モデル作成部、51…ゲインスケジューリング部、70…実績データ記憶部、71…平滑化部、72…2乗誤差算出部、73…非線形最適化部、74…モデルパラメータ調整部。

Claims (6)

  1. バッチ反応プロセスをモデル化した反応プロセスモデルを適応的に調整し、調整結果をバッチ反応プロセスのPID制御に反映するB2B制御方式の制御方法であって、
    過去のバッチ運転の実績データとして、反応の徐熱に用いる冷媒の入口温度Tciと反応器内の反応温度Trとの組からなる時系列データを記憶している実績データ記憶手段からデータを取得し、前記冷媒入口温度Tciの時系列データを前記反応プロセスモデルの入力として与える入力ステップと、
    前記反応プロセスモデルの出力である反応温度Travの時系列データと前記実績データ記憶手段から取得した反応温度Trの時系列データとの2乗誤差を算出する2乗誤差算出ステップと、
    前記2乗誤差が最小になる、前記反応プロセスモデルの適応パラメータλを非線形最適化により求める非線形最適化ステップと、
    前記適応パラメータλを用いて前記反応プロセスモデルのモデルパラメータを調整するモデルパラメータ調整ステップと、
    前記反応プロセスモデルを線形近似して伝達関数モデルを得るプロセス動特性モデル作成ステップと、
    バッチ反応プロセスにおいて冷媒入口温度Tciが冷媒入口温度目標値と一致し且つ反応温度Trが反応温度目標値と一致するように制御を行うPIDコントローラのPIDパラメータを、前記伝達関数モデルを用いて調整するゲインスケジューリングステップとを備えることを特徴とする制御方法。
  2. 請求項1記載の制御方法において、
    前記モデルパラメータは、反応物質と冷媒との熱交換による除熱量の計算に用いられる総括伝熱係数Uと、この総括伝熱係数Uの計算に用いられる反応物質粘度μであり、
    前記適応パラメータλは、前記総括伝熱係数Uと前記反応物質粘度μとを調整する複数のスカラー値からなることを特徴とする制御方法。
  3. 請求項1または2記載の制御方法において、
    前記入力ステップは、前記反応プロセスモデルに入力する前に、前記冷媒入口温度Tciの時系列データを平滑化する平滑化ステップを含むことを特徴とする制御方法。
  4. バッチ反応プロセスをモデル化した反応プロセスモデルを適応的に調整し、調整結果をバッチ反応プロセスのPID制御に反映するB2B制御方式の制御装置であって、
    バッチ反応プロセスにおいて反応の徐熱に用いる冷媒の入口温度Tciが冷媒入口温度目標値と一致し且つ反応器内の反応温度Trが反応温度目標値と一致するように制御を行うPIDコントローラと、
    前記反応プロセスモデルを予め記憶するモデル記憶手段と、
    過去のバッチ運転の実績データとして、前記冷媒入口温度Tciと前記反応温度Trとの組からなる時系列データを予め記憶する実績データ記憶手段と、
    この実績データ記憶手段からデータを取得し、前記冷媒入口温度Tciの時系列データを前記反応プロセスモデルの入力として与える入力手段と、
    前記反応プロセスモデルの出力である反応温度Travの時系列データと前記実績データ記憶手段から取得した反応温度Trの時系列データとの2乗誤差を算出する2乗誤差算出手段と、
    前記2乗誤差が最小になる、前記反応プロセスモデルの適応パラメータλを非線形最適化により求める非線形最適化手段と、
    前記適応パラメータλを用いて前記反応プロセスモデルのモデルパラメータを調整するモデルパラメータ調整手段と、
    前記反応プロセスモデルを線形近似して伝達関数モデルを得るプロセス動特性モデル作成手段と、
    前記PIDコントローラのPIDパラメータを、前記伝達関数モデルを用いて調整するゲインスケジューリング手段とを備えることを特徴とする制御装置。
  5. 請求項4記載の制御装置において、
    前記モデルパラメータは、反応物質と冷媒との熱交換による除熱量の計算に用いられる総括伝熱係数Uと、この総括伝熱係数Uの計算に用いられる反応物質粘度μであり、
    前記適応パラメータλは、前記総括伝熱係数Uと前記反応物質粘度μとを調整する複数のスカラー値からなることを特徴とする制御装置。
  6. 請求項4または5記載の制御装置において、
    前記入力手段は、前記反応プロセスモデルに入力する前に、前記冷媒入口温度Tciの時系列データを平滑化する平滑化手段を含むことを特徴とする制御装置。
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