JP2017126220A - プラント評価装置及びプラント評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラント評価における計算コストを抑える。【解決手段】プラント評価装置5は、プラントのプロセス制御における実機操作量と、前記プロセス制御の制御対象である実機状態量とを受け付ける受付部51と、前記プロセス制御における操作量と状態量との数学的関係を定めたプロセスモデルを用いて、前記実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求める推定部52と、前記推定状態量と前記実機状態量とを比較する比較部53とを備えている。【選択図】図4

Description

本発明はプラント評価装置及びプラント評価方法に関する。
化学プラントなどのプラントの最適運転を目的として、プラントモデルを用いたシミュレーションが行われる場合がある。特許文献1には、トラッキングモデル部と同定モデル部と解析モデル部と比較判定部とを備えたシミュレーション装置が記載されている。
特開2009−282804号公報
特許文献1においては、バルブ開度などのプラント操作量についての明確な記述がなされていないが、シミュレーションを行うためにはプラント操作量を計算する必要があると考えられる。特にオンラインで動作させる場合には、プラント操作量を計算するためのモデルが必要となり、全体的な計算コストが増加するおそれがある。
本発明は、かかる不都合を解消し、プラント評価における計算コストを抑えることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係るプラント評価装置は、プラントのプロセス制御における実機操作量と、前記プロセス制御の制御対象である実機状態量とを受け付ける受付部と、前記プロセス制御における操作量と状態量との数学的関係を定めたプロセスモデルを用いて、前記実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求める推定部と、前記推定状態量と前記実機状態量とを比較する比較部とを備えている。
前記プラント評価装置は、前記受付部により受け付けられた実機操作量を平滑化する平滑化処理部をさらに備えていてもよい。この場合、前記推定部は、前記平滑化処理部により平滑化された実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求める。
前記プラント評価装置は、前記受付部により受け付けられた実機操作量に基づいて将来の操作量を予測するとともに、前記将来の操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を将来の状態量として求める予測部をさらに備えていてもよい。
前記プラント評価装置は、前記平滑化処理部により平滑化された実機操作量に基づいて将来の操作量を予測するとともに、前記将来の操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を将来の状態量として求める予測部をさらに備えていてもよい。
上記の目的を達成するために、本発明に係るプラント評価方法は、プラントのプロセス制御における実機操作量と、前記プロセス制御の制御対象である実機状態量とを受け付ける受付ステップと、前記プロセス制御における操作量と状態量との数学的関係を定めたプロセスモデルを用いて、前記実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求める推定ステップと、前記推定状態量と前記実機状態量とを比較する比較ステップとを含む。
前記プラント評価方法は、前記受付ステップにおいて受け付けられた実機操作量を平滑化する平滑化処理ステップをさらに含んでいてもよい。この場合、前記推定ステップは、前記平滑化処理ステップにおいて平滑化された実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求めるステップである。
前記プラント評価方法は、前記受付ステップにおいて受け付けられた実機操作量に基づいて将来の操作量を予測するとともに、前記将来の操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を将来の状態量として求める予測ステップをさらに含んでいてもよい。
前記プラント評価方法は、前記平滑化処理ステップにおいて平滑化された実機操作量に基づいて将来の操作量を予測するとともに、前記将来の操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を将来の状態量として求める予測ステップをさらに含んでいてもよい。
本発明によれば、プラント評価における計算コストを抑えることができる。
実プラントの構成を示す説明図である。 プラントモデルの説明図である。 プラント評価の流れを示す説明図である。 プラント評価装置の機能構成例を示す説明図である。 プラント評価装置のコンピュータハードウェア構成例を示す説明図である。 推定部及び比較部による処理を示す説明図である。 推定部及び比較部による処理を示す説明図である。 平滑化処理前後の実機操作量の経時的な変化を示すグラフである。 予測された操作量及び状態量を示すグラフである。
[実プラント]
まず、評価対象となるプラントの一例を説明する。図1に示すように、実際のプラントである実プラント1は、流体の流量を調節するバルブ2と流量計3とフローコントローラ4とを備えている。バルブ2と流量計3とフローコントローラ4とはいずれも、プラント機器である。
バルブ2は、フローコントローラ4により操作される。まず、フローコントローラ4は、外部から設定値SPの入力を受けるとともに、流量計3により測定された実機流量PVの入力を流量計3から受ける。実機流量PVは、実プラント1の状態を表す実機状態量の一つである。そして、フローコントローラ4は、次式に基づいて偏差e及びバルブ2の実機操作量MVを計算する。
Figure 2017126220
ただし、Kは、比例ゲインと呼ばれる定数であり、Tは積分時間である。
フローコントローラ4は、計算された実機操作量MVをバルブ2に送る。バルブ2は、フローコントローラ4から受け取った実機操作量MVに基づいて操作される。
このように、実プラント1のプロセス制御において、フローコントローラ4は、偏差eがゼロになるように、すなわち実機流量PVが設定値SPに等しくなるように実機操作量MVを算出する。
[プラントモデルの例]
プラントモデルを用いて実プラント1を評価する手法の一例について以下に説明する。図2及び図3に、実プラント1の動きを模擬するプラントモデル1mを示している。プラントモデル1mは、プロセスモデル2mとコントローラモデル4mとを有している。
プロセスモデル2mは、プラントのプロセス制御における操作量MVと、プロセス制御の制御対象である流量(状態量)PVとの数学的関係を次式のように定めたモデルである。
Figure 2017126220
ただし、ΔPは、バルブ2における差圧である。
コントローラモデル4mは、実プラント1におけるフローコントローラ4の動きを模擬するモデルである。このコントローラモデル4mにおいて、操作量の推定値(推定操作量)MVは、実プラント1における設定値SPと、プロセスモデル2mを用いて後述するようにして得られる流量の推定値(推定流量)PVとを用いて以下のように表される。
Figure 2017126220
ただし、eは、偏差の推定値である。
また、流量の推定値PVは、式(3)のプロセスモデル2mにおける操作量MVに、操作量の推定値MVを代入することにより得られる流量PVとして求められる。すなわち、以下の通りである。
Figure 2017126220
そして、コントローラモデル4mにより得られた操作量の推定値MVと、実プラント1における実機操作量MVとが比較される。この比較は、操作量の推定値MVと実機操作量MVとの差分を計算することなどにより行うことができる。また、プロセスモデル2mにより得られた流量の推定値PVと、実プラント1における実機流量PVとが比較される。この比較は、流量の推定値PVと実機流量PVとの差分を計算することなどにより行うことができる。このようにして、実プラント1が評価される。
以上のようなプラント評価においては、プラント機器の操作量の推定値を得るためにコントローラモデルが必要である。通常、プラントには複数のプラント機器が存在するため、コントローラモデルもプラント機器と同じ数だけ必要である。その結果、プラント評価の全体的な計算コストが増加するおそれがある。
本発明者は、以上のように想定した不都合に対し、鋭意検討を行った。これを踏まえた本発明の実施形態を以下に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではない。
[第1実施形態]
図4に示すように、プラント評価装置5は、実プラント1からデータを受け付ける受付部51と、推定部52と、比較部53とを備えている。推定部52及び比較部53の機能の詳細は後述する。
図5は、プラント評価装置5のコンピュータハードウェア構成例を示している。プラント評価装置5は、CPU510と、インタフェース装置520と、表示装置530と、入力装置540と、ドライブ装置550と、補助記憶装置560と、メモリ装置570とを備えており、これらがバス580により相互に接続されている。
プラント評価装置5の機能を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体590によって提供される。プログラムを記録した記録媒体590がドライブ装置550にセットされると、プログラムが記録媒体590からドライブ装置550を介して補助記憶装置560にインストールされる。あるいは、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体590により行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータからダウンロードすることもできる。補助記憶装置560は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置570は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置560からプログラムを読み出して格納する。CPU510は、メモリ装置570に格納されたプログラムにしたがってプラント評価装置5の機能を実現する。インタフェース装置520は、ネットワークを通して他のコンピュータに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置530はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置540はキーボード及びマウス等である。
プラント評価装置5が行う処理について、図4〜図7を参照しながら以下に説明する。受付部51は、実プラント1から実機操作量MVと実機流量PVとを受け付ける。受け付けられた実機操作量MVと実機流量PVは、必要に応じて補助記憶装置560に記憶することができる。
次に、推定部52は、式(3)のプロセスモデル2mにおける操作量MVに、実機操作量MVを代入することにより得られる流量PVを、流量の推定値PVとして求める。すなわち以下の通りである。
Figure 2017126220
続いて、比較部53は、流量の推定値PVと実機流量PVとを比較し、比較結果に基づいてプラントを評価する。この比較は、流量の推定値PVと実機流量PVとの差分を計算することにより行うことができる。
以上のように、流量の推定値を計算する際に、実機操作量をプロセスモデルへ入力する。このようにすることで、操作量の推定値を計算する必要がなくなる。結果として、コントローラモデルが不要となり、流量推定値の計算コストを抑えることができる。さらに、流量推定値の計算をコントローラモデルを用いる場合に比べて高速に行うことができる。過去のプラント運転データの解析など、オフラインで動作させる場合は特に効果的である。なお、オフラインとは、プラント評価装置5が実プラント1に通信可能に接続されていない状態を指す。
プラント評価装置の演算周期(1秒、100ミリ秒など)が、実機操作量のサンプリング周期(10秒、1分など)よりも短い場合がある。この場合は、実機操作量を補間すればよい。
なお、本実施形態では、実機操作量を用いて流量の推定値を計算するため、現在及び過去の流量推定値を計算することはできるものの、将来の流量を予測することはできない。
[第2実施形態]
プラント評価装置5は、平滑化処理部54をさらに備えていてもよい。この平滑化処理部54は、実機操作量MVにノイズのような経時的微小変動が含まれる場合に、実機操作量MVを平滑化する。図8に、平滑化処理前の実機操作量MVの経時的変化を表すグラフG1と、平滑化処理後の実機操作量の経時的変化を表すグラフG2とを示している。そして、推定部52は、平滑化処理部54により平滑化された実機操作量を式(3)の操作量MVに代入することにより得られる流量PVを、流量の推定値PVとして求める。
平滑化処理部54による平滑化の方法として、時間平均、移動平均などを用いることができる。実機操作量のサンプリング周期を長くすることによる平滑化を行ってもよい。
このような形態によれば、実機操作量に含まれる経時的微小変動により、流量の推定値が発散してしまうことを防ぐことができる。なお、プラントは定格負荷一定で運転することが多いことから、操作量が大きく変化することはない。そのため、平滑化処理部により平滑化を行った場合でも、推定部による推定に大きな影響はない。
[第3実施形態]
プラント評価装置5は、受付部51と推定部52と比較部53とに加えて、予測部55をさらに備えていてもよい。この予測部55は、受付部51により受け付けられた実機操作量MVの過去のデータから将来の操作量を予測する。予測にあたり、スプライン補間を用いることができる。図9に、実機操作量MVの過去の経時的変化を表すグラフG11と、予測部55により予測された将来の操作量を表すグラフG13とを示している。
予測部はさらに、予測された将来の操作量を式(3)の操作量MVに代入することにより得られる流量PVを、将来の流量として求める。このように計算された将来の流量を図9のグラフG14として示している。
本実施形態によれば、コントローラモデルを用いることなく、将来の操作量及び状態量を予測することができる。さらに、直前のプラント操作量データを反映した予測を行うことができる。
なお、予測部による処理は、推定部による処理及び比較部による処理とは無関係に行うことができる。
プラント評価装置5は、受付部51と推定部52と比較部53と平滑化処理部54とに加えて、予測部55をさらに備えていてもよい。この場合、予測部55は、平滑化処理部により平滑化された実機操作量の過去のデータから、将来の操作量を予測する。予測部はさらに、予測された将来の操作量を式(3)の操作量MVに代入することにより得られる流量PVを、将来の流量として求める。この場合も、予測部による処理は、推定部による処理及び比較部による処理とは無関係に行うことができる。
[その他]
状態量の例として流量を挙げたが、これに限られない。温度、圧力など測定可能な任意の量を状態量として用いることができる。また、プロセス制御における操作対象は、バルブに限られず、任意のプラント機器とすることができる。
前述したプラント評価装置5の機能的構成は、前述の態様に限られるものではなく、例えば、各手段を統合して実装したり、逆に、さらに分散して実装したりすることも可能である。
前述した実施形態は、プラント評価装置5により実行されるプラント評価方法としての側面をも有している。
本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づく種々の変更は本発明の概念に含まれる。
1 実プラント
2 バルブ
3 流量計
4 フローコントローラ

1m プラントモデル
2m プロセスモデル
4m コントローラモデル

SP 設定値
MV 実機操作量
PV 実機流量(実機状態量)
偏差

MV 操作量
PV 状態量

MV 操作量の推定値(推定操作量)
PV 流量の推定値(推定流量)
偏差の推定値

5 プラント評価装置
51 受付部
52 推定部
53 比較部
54 平滑化処理部
55 予測部

Claims (8)

  1. プラントのプロセス制御における実機操作量と、前記プロセス制御の制御対象である実機状態量とを受け付ける受付部と、
    前記プロセス制御における操作量と状態量との数学的関係を定めたプロセスモデルを用いて、前記実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求める推定部と、
    前記推定状態量と前記実機状態量とを比較する比較部と
    を備えたプラント評価装置。
  2. 前記受付部により受け付けられた実機操作量を平滑化する平滑化処理部をさらに備え、
    前記推定部は、前記平滑化処理部により平滑化された実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求めるものである、請求項1に記載のプラント評価装置。
  3. 前記受付部により受け付けられた実機操作量に基づいて将来の操作量を予測するとともに、前記将来の操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を将来の状態量として求める予測部をさらに備えた請求項1に記載のプラント評価装置。
  4. 前記平滑化処理部により平滑化された実機操作量に基づいて将来の操作量を予測するとともに、前記将来の操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を将来の状態量として求める予測部をさらに備えた請求項2に記載のプラント評価装置。
  5. プラントのプロセス制御における実機操作量と、前記プロセス制御の制御対象である実機状態量とを受け付ける受付ステップと、
    前記プロセス制御における操作量と状態量との数学的関係を定めたプロセスモデルを用いて、前記実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求める推定ステップと、
    前記推定状態量と前記実機状態量とを比較する比較ステップと
    を含むプラント評価方法。
  6. 前記受付ステップにおいて受け付けられた実機操作量を平滑化する平滑化処理ステップをさらに含み、
    前記推定ステップは、前記平滑化処理ステップにおいて平滑化された実機操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を推定状態量として求めるステップである、請求項5に記載のプラント評価方法。
  7. 前記受付ステップにおいて受け付けられた実機操作量に基づいて将来の操作量を予測するとともに、前記将来の操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を将来の状態量として求める予測ステップをさらに含む請求項5に記載のプラント評価方法。
  8. 前記平滑化処理ステップにおいて平滑化された実機操作量に基づいて将来の操作量を予測するとともに、前記将来の操作量を前記プロセスモデルの操作量に代入することにより得られる状態量を将来の状態量として求める予測ステップをさらに含む請求項6に記載のプラント評価方法。
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