JP6017265B2 - 制御方法および制御装置 - Google Patents
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Description
また、本発明の制御方法の1構成例において、前記制御パラメータ設定則は、ランプ状の目標値変更に対する前記定常制御偏差を規定値に保つ条件で、晶析温度Tcのアンダーシュート最大値が前記アンダーシュート許容値に最も近づくようにPIパラメータを求めるPI設定則、または前記PI設定則により求めたPIパラメータをPIDパラメータに換算するPID設定則のいずれかである。
バッチ冷却晶析プロセスにおいては、バルブ104を介して攪拌晶析器100に原料液を定量仕込み、所定の温度まで昇温後、晶析温度目標値の時間パターン(目標値軌道)に従い定速度で冷却する。攪拌晶析器100は、加熱・冷却のためのジャケット101と、原料液の晶析温度を測定する温度センサ102と、原料液を攪拌する攪拌機103とを備えている。
(a)晶析器内の晶析液は攪拌機で完全混合されている。
(b)攪拌熱と晶析器表面からの放熱は無視できる。
(c)ジャケットの伝熱面積は一定とする。
(d)晶析器壁の熱容量は微小なので無視する。
(e)晶析温度のカスケード制御2次ループの冷媒入口温度制御は、目標値応答特性が十分に速く動特性を無視できる。
Qw1(t)=UA(Tc(t)−Tw(t)) ・・・(3)
Qw2(t)=cwfw(Two(t)−Twi(t))
=2cwfw(Tw(t)−Twi(t)) ・・・(4)
モデル調整部2は、バッチ運転実績データを晶析プロセスモデル10の入力として与え、モデルパラメータである総括伝熱係数Uを求めると共に、不確定外乱である発熱量Qcを求める。本実施の形態で用いるバッチ運転実績データは、攪拌晶析器100で生成しようとする晶析液と同種の晶析液を過去に生産したときの実績データ(前回の実績データ)であり、バッチ経過時間t、晶析温度Tc、冷媒入口温度Twi、冷媒出口温度Two、循環流量fwの時系列データ{t,Tc,Twi,Two,fw}である。このようなバッチ運転実績データが晶析プロセスモデル10の入力として与えられ、モデルパラメータが調整される。なお、伝熱面積A、晶析液の比熱cc、晶析器内部滞留量Wc、冷媒の比熱cw、ジャケット内部滞留量Wjについては既知の値を用いる。
Twi=Ruu2 ・・・(7)
Tc=Ryy ・・・(8)
Tw=Rxx ・・・(9)
バッチ冷却晶析プロセスの運転条件と伝達関数モデルパラメータの数値例を表1に示す。Ry=Ruのとき常にKp=1になり、長い時定数Tp1がバッチ冷却晶析プロセスの動特性を支配し、Tp2(≪Tp1)は無視できることが分かる。
ここでは、目標値をr(s)、制御量をy(s)、制御偏差をe(s)=r(s)−y(s)、操作量をu(s)、PIDパラメータを{Kc,Ti,Td}とする。このとき、PIDコントローラC(s)は次式のように定まる。
F(s)=1 ・・・(19)
また、PI−Dアルゴリズムの目標値フィルターF(s)は式(20)のようになり、I−PDアルゴリズムの目標値フィルターF(s)は式(21)のようになる。
{Kc,Ti}=argmin(emax−eu)2 ・・・(26)
こうして、制御パラメータ調整部4は、モデル調整部2が求めた伝達関数モデルと式(26)〜式(28)を用いることにより、晶析温度コントローラC1のPIパラメータである比例ゲインKcと積分時間Tiを得ることができる(図3ステップS2)。上記のとおり、PI設定則では、微分時間Tdを0とする。なお、晶析温度目標値r1については晶析温度目標値の時間パターン{t,r1}で予め定められた値を使用することができ、目標値変更速度vrも既知の値であるが、式(28)のアンダーシュート最大値emaxを求めるためには、晶析温度目標値r1が一定値に移行した後(t≧Tr)の制御量y(晶析温度Tc)の応答が必要になる。以下、この制御量yの応答の求め方について説明する。
晶析温度制御の目標値変更速度vrのとき、dTc(t)/dtに関する状態方程式モデルをさらに時間微分すれば、冷媒平均温度Twの変更速度もvrに等しいことがわかる。すなわち、次式が成立する。
PIDカスケード制御とフィードフォワード補償による制御シミュレーション結果を図8に示す。この図8によれば、制御システム設計の要求性能(目標値±0.50℃以内)を満たす高い制御性能を実現できていることが分かる。
Claims (6)
- 晶析器内の原料の晶析温度Tcと原料の冷却に用いる冷媒の入口温度Twiと冷媒の出口温度Twoと冷媒の循環流量fwとの組からなる時系列データである実績データを、バッチ冷却晶析プロセスをモデル化した晶析プロセスモデルの入力として、前記晶析プロセスモデルのモデルパラメータを調整し、前記晶析プロセスモデルを線形近似した伝達関数モデルを得るモデル調整ステップと、
晶析温度Tcが晶析温度目標値と一致するように第1の操作量を算出する第1のコントローラの制御パラメータを、前記伝達関数モデルと予め定められた制御パラメータ設定則とを用いて、ランプ状に変化する晶析温度目標値に対する定常制御偏差と晶析温度目標値がランプ状の変化から一定値に移行した後の晶析温度Tcのアンダーシュート許容値とを調整指標として調整する制御パラメータ調整ステップと、
予め定められたフィードフォワード補償則により、晶析温度Tcが所望の晶析温度目標値と一致するように冷媒の入口温度目標値の変更量の時間パターンを求める目標値変更量演算ステップと、
前記冷媒の入口温度目標値の変更量の時間パターンを基にバッチ経過時間に応じた冷媒の入口温度目標値の変更量を出力し、この冷媒の入口温度目標値の変更量と前記第1の操作量との加算結果を冷媒の入口温度目標値とするフィードフォワード補償ステップと、
冷媒の入口温度Twiが前記冷媒の入口温度目標値と一致するように第2のコントローラが第2の操作量を算出して冷媒の注入量を調節する制御ステップとを備えることを特徴とする制御方法。 - 請求項1記載の制御方法において、
前記第1のコントローラの制御アルゴリズムとしてPI−Dアルゴリズムが予め選定されていることを特徴とする制御方法。 - 請求項1または2記載の制御方法において、
前記制御パラメータ設定則は、ランプ状の目標値変更に対する前記定常制御偏差を規定値に保つ条件で、晶析温度Tcのアンダーシュート最大値が前記アンダーシュート許容値に最も近づくようにPIパラメータを求めるPI設定則、または前記PI設定則により求めたPIパラメータをPIDパラメータに換算するPID設定則のいずれかであることを特徴とする制御方法。 - バッチ冷却晶析プロセスにおいて晶析器内の原料の晶析温度Tcが晶析温度目標値と一致するように第1の操作量を算出する第1のコントローラと、
原料の冷却に用いる冷媒の入口温度Twiが冷媒の入口温度目標値と一致するように第2の操作量を算出して冷媒の注入量を調節する第2のコントローラと、
バッチ冷却晶析プロセスをモデル化した晶析プロセスモデルの式を予め記憶するモデル記憶手段と、
晶析温度Tcと冷媒の入口温度Twiと冷媒の出口温度Twoと冷媒の循環流量fwとの組からなる時系列データである実績データを前記晶析プロセスモデルの入力として、前記晶析プロセスモデルのモデルパラメータを調整し、前記晶析プロセスモデルを線形近似した伝達関数モデルを得るモデル調整手段と、
前記伝達関数モデルと予め定められた制御パラメータ設定則とを用い、ランプ状に変化する晶析温度目標値に対する定常制御偏差と晶析温度目標値がランプ状の変化から一定値に移行した後の晶析温度Tcのアンダーシュート許容値とを調整指標として、前記第1のコントローラの制御パラメータを調整する制御パラメータ調整手段と、
予め定められたフィードフォワード補償則により、晶析温度Tcが所望の晶析温度目標値と一致するように冷媒の入口温度目標値の変更量の時間パターンを求める目標値変更量演算手段と、
前記冷媒の入口温度目標値の変更量の時間パターンを基にバッチ経過時間に応じた冷媒の入口温度目標値の変更量を出力し、この冷媒の入口温度目標値の変更量と前記第1の操作量との加算結果を前記冷媒の入口温度目標値として前記第2のコントローラに与えるフィードフォワード補償手段とを備えることを特徴とする制御装置。 - 請求項4記載の制御装置において、
前記第1のコントローラの制御アルゴリズムとしてPI−Dアルゴリズムが予め選定されていることを特徴とする制御装置。 - 請求項4または5記載の制御装置において、
前記制御パラメータ設定則は、ランプ状の目標値変更に対する前記定常制御偏差を規定値に保つ条件で、晶析温度Tcのアンダーシュート最大値が前記アンダーシュート許容値に最も近づくようにPIパラメータを求めるPI設定則、または前記PI設定則により求めたPIパラメータをPIDパラメータに換算するPID設定則のいずれかであることを特徴とする制御装置。
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