以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態としては、分岐状端子を含む電子部品の一例としてコネクタを示し、電子部品がプリント基板に実装された電子装置の一例としてコネクタがプリント基板に実装された電子制御装置を示す。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子制御装置の概略構成を説明するための、組み付け前の状態を示す分解図である。図2は、コネクタをプリント基板に実装した状態の実装部周辺の平面図である。図3は、コネクタをプリント基板に実装した状態をプリント基板と端子との接続側から見た平面図である。図4は、コネクタをプリント基板に実装した状態を外部コネクタとの接続側から見た平面図である。図5は、図4に示すV−V線に沿う断面図である。図6は、図2の破線で囲まれた領域の電子部品配置面側の拡大平面図である。図7は、図2の破線で囲まれた領域における、プリント基板の電子部品配置面の拡大平面図である。図8は、図2の破線で囲まれた領域における、プリント基板の電子部品配置面の裏面側を電子部品配置面側から示した拡大平面図である。なお、図6においては、便宜上、はんだとコネクタ以外の電子部品を省略して図示している。また、図7,8においては、便宜上、はんだとソルダレジストを省略して図示している。
本実施形態に示す電子制御装置は、非防水構造の電子制御装置であり、例えば車両のエンジンECU(Electric Control Unit)として用いられる。
図1に示す電子制御装置100は、特許請求の範囲に記載の電子装置に相当するものであり、主要部として、プリント基板31に電子部品32が実装された回路基板30と、特許請求の範囲に記載の分岐状端子を含む電子部品に相当し、端子(分岐状端子51及び補強端子59)とハウジング52を有するコネクタ50を含んでいる。また上述の構成要素以外にも、本実施形態においては、回路基板30及びコネクタ50の一部を収容する筐体10を含んでいる。
筐体10は、アルミニウム、鉄等の金属材料や合成樹脂材料からなり、回路基板30及びコネクタ50の一部を収容するものである。筐体10の構成部材の個数は特に限定されるものではなく、1つの部材から構成されても良いし、複数の部材から構成されても良い。本実施形態においては、図1に示すように、一方が開放された箱状のケース11と、ケース11の開放面を閉塞する略矩形板状の底の浅いカバー12との2つの部材により構成される。そして、ケース11とカバー12とを組み付けることで、回路基板30及びコネクタ50の一部を収容する内部空間を有した筐体10を構成する。また、筐体10(ケース11)には、コネクタ50に対応したコネクタ用切り欠き部(図示略)が設けられており、回路基板30を収容するようにケース11とカバー12を締結(図示略)した状態で、回路基板30及びコネクタ50の一部(後述する分岐状端子51の回路基板30との接続側を含む)が筐体10内に収容され、コネクタ50の残りの部分(分岐状端子51の外部コネクタとの接続側を含む)が筐体10外に露出される。
回路基板30は、図1に示すように、電極としてのランドを含む配線、配線間を接続するビアホール等が形成されてなるプリント基板31に、マイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子部品32が実装されたものである。本実施形態においては、電子部品32の1つとして、回路基板30と外部とを電気的に接続するコネクタ50が、プリント基板31に実装されている。
プリント基板31の構成材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、セラミック、ガラス(例えばガラス布)と樹脂との複合体等の公知材料を適用することができる。また、その層数は特に限定されるものではない。プリント基板31には、図5〜図8に示すように、コネクタ50の配置面(ハウジング52の配置される面)からその裏面に貫通し、コネクタ50の端子のうち、分岐状端子51の一部が挿入される貫通孔33が複数設けられている。また、分岐状端子51とはんだを介して機械的且つ電気的に接続されるランドとして、プリント基板31のコネクタ配置面の貫通孔近傍に表面用ランド34がそれぞれ設けられ、貫通孔33の壁面及び開口周辺に挿入用ランド35がそれぞれ設けられている。なお、表面用ランド34は、互いに対向するように、貫通孔33を間に挟んで設けられている。
本実施形態においては、図5に示すように、同一の分岐状端子51に対して接続される表面用ランド34と挿入用ランド35とが、コネクタ配置面において1つのランドとして一体化されている。このような構成とすると、表面用ランド34の挿入用ランド35に対して遠い側の端部位置を一定とした場合、表面用ランド34とはんだ70との接触面積を増やすことができる。また、接触面積を同じとすると、プリント基板31の大きさを小さくすることができる。このように表面用ランド34と挿入用ランド35とが一体化された構成においては、挿入用ランド35のうち、コネクタ配置面の開口周辺の部位が表面用ランド34と連結された構成となるので、本実施形態においては、コネクタ配置面のランドを便宜上表面用ランド34としており、貫通孔33を間に挟んで互いに対向する表面用ランド34が、互いに略等しい長さとされている。
なお、本実施形態においては、図5に示すように、同一の分岐状端子51に対して接続されるランド(表面用ランド34及び挿入用ランド35)において、プリント基板31のコネクタ配置面側に設けられた部位(表面用ランド34)のほうが、コネクタ配置面の裏面に設けられた部位(挿入用ランド35のうち、貫通孔33の開口周辺部位)よりも大きく構成されている。このような構成とすると、表面用ランド34と挿入用ランド35を有するプリント基板31において、コネクタ配置面の裏面に設けられた部位のほうがプリント基板31のコネクタ配置面側に設けられた部位よりも大きいか、両者が等しい構成と比べて、コネクタ配置面の裏面における電子部品32の実装禁止領域を小さくし、ひいては、プリント基板31の体格を小型化することができる。
また、本実施形態においては、複数の表面用ランド34が、端子(分岐状端子51)の配列方向(ハウジング52の長手方向)に対応してハウジング52の長手方向に沿ってプリント基板31に配置されるとともに、千鳥状に配置されている。千鳥の段数は特に限定されるものではない。本実施形態においては、図7に示すように、コネクタ50のハウジング52から離反する方向に2段の千鳥とされている。このような構成とすると、表面用ランド34を一列配置とする構成に比べて、端子(分岐状端子51)の配列方向において、分岐状端子51の側面に形成されるサイドフィレットを大きくとることができ、その結果接続信頼性を向上することができる。また、端子(分岐状端子51)の配列方向において、回路基板30を小さく、ひいては電子制御装置100を小さくすることができる。また、表面用ランド34を格子状配置とする構成に比べて、ランド34,35から引き出される配線36のパターンを簡素化することができる。また、図7及び図8に示すように、貫通孔33(表面用ランド34)の近傍に、コネクタ50以外の電子部品32を配置することも可能である。このような貫通孔33(表面用ランド34)の近傍に配置される電子部品32としては、サージ吸収用のコンデンサや位相固定用抵抗などが効果的である。なお、図7及び図8に示す符号37は、電子部品32が実装される表面用ランドである。
また、本実施形態においては、図7及び図8に示すように、プリント基板31が貫通孔33として径の異なる2種類の貫通孔33を有しており、径の小さい貫通孔33が、分岐状端子51のうち、後述する径の細い第1端子55に対応しており、径の大きい貫通孔33が、第1端子55よりも径の太い第2端子56に対応している。すなわち、本実施形態においては、各貫通孔33の大きさが、対応する分岐状端子51(55,56)の径を考慮して設定されている。なお、後述するように、本実施形態において第1端子55は信号伝送用のシグナル端子であり、第2端子56は電力伝送用のパワー端子である。したがって、貫通孔33の大きさのみならず、流れる電流量に応じて、表面用ランド34の大きさと配線36の幅も設定されている。
コネクタ50は、導電材料からなる複数の端子を、絶縁材料からなるハウジング52(特許請求の範囲に記載の本体部に相当)に対してプリント基板31の平面に沿う一方向に配設してなるものである。ここで、コネクタ50を構成する端子とは、コネクタ50のハウジング52に対し、プリント基板31の平面に沿って配列され、ハウジング52から延出された端部が、プリント基板31のランドとはんだを介して少なくとも機械的に接続されるものである。本実施形態においては、複数の端子として、ハウジング52から延出された一方の端部がプリント基板31のランド34,35とはんだ70を介して電気的且つ機械的に接続され、ハウジング52から延出された他方の端部が筐体10外に露出されて外部コネクタと電気的に接続される端子(すなわち、プリント基板31とコネクタ50(外部コネクタ)との間で電気的な接続機能を果たす複数の端子)と、コネクタ50とプリント基板31との間において電気的な接続機能を提供せず、回路基板30に対するコネクタ50の接続信頼性を向上するための少数(少なくとも1本)の端子を有している。具体的には、電気的な接続機能を果たす複数の端子として表面部53及び挿入部54を備えた分岐状端子51を有しており、接続信頼性を向上するための端子として表面実装構造の補強端子59を有している。
このような分岐状端子51を含む端子としては、予め折曲された所定形状に金属板を打ち抜いてなり、インサート成形によってハウジング52と一体化された所謂打ち抜き端子を採用することができる。本実施形態においては、分岐状端子51を含む全ての端子が黄銅を金属メッキしてなる打ち抜き端子であり、互いに干渉しないようにそれぞれの一部がハウジング52に保持された状態で、図2〜図4に示すように平面矩形状のハウジング52の長手方向に沿って配列されている。このように、端子として打ち抜き端子を採用した場合、金属板の厚さによって端子(分岐状端子51)の配列方向(ハウジング52の長手方向)における各分岐状端子51の幅を決定することができるので、金属板の厚さを適宜選択することで、ハウジング52の長手方向においてプリント基板31やハウジング52の反り等によって生じる応力を分岐状端子51の弾性変形によって緩和し、はんだ接合部に作用する応力を低減することができる。
また、分岐状端子51は、図5に示すように、ハウジング52から延出されてプリント基板31のランド34,35と接続される側の端部の先端付近に、ランド34,35とはんだ70を介して電気的に接続される接続部位として、表面用ランド34と接続される表面部53と、挿入用ランド35と接続される挿入部54とを有している。すなわち、分岐状端子51は、表面実装構造の表面部53と挿入実装構造の挿入部54を1つの端子として併せもっている。そして、分岐状端子51の表面部53が、対応する表面用ランド34上に配置されてはんだ70を介して表面用ランド34と機械的且つ電気的に接続され、分岐状端子51の挿入部54が、対応する貫通孔33内に挿入された状態で、対応する挿入用ランド35とはんだ70を介して機械的且つ電気的に接続されている。
このような構成を採用すると、分岐状端子51の挿入部54が、プリント基板31の貫通孔33内に配置された状態で、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向に対する位置決めの効果を発揮することができる。したがって、プリント基板31とコネクタ50のハウジング52との線膨張係数差によって、例えばリフロー時にプリント基板31及び/又はハウジング52に反り等の変形が生じても、分岐状端子51と対応するランド34,35との接続を確保することができる。また、挿入部54は、その一部が貫通孔33内に配置された状態で、挿入用ランド35の貫通孔33内の部位とはんだ70を介して電気的且つ機械的に接続されている。したがって、ハウジング52の長手方向における端子51の個数が多くても、表面部53と対応する表面用ランド34とのコプラナリティを確保することができる。したがって、所望の接続信頼性を満足するに足る、分岐状端子51(ランド34,35)とはんだ70との接触面積を確保することができる。すなわち、従来の表面実装構造に比べて接続信頼性を向上することができる。特に本実施形態にいては、電気的な接続機能を果たす複数の端子を全て分岐状端子51としているので、接続信頼性をより向上することができる。
また、本実施形態においては、例えば図5に示すように、全ての分岐状端子51において、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向において、挿入部54が、表面部53における表面用ランド34との対向部位の間に挟まれた部位からプリント基板31の表面に対して略垂直に延びている。より詳しくは、表面部53がプリント基板31の表面に対して略平行とされ、表面部53の長手方向に沿って、表面用ランド34との対向部位、挿入部54との接続部位、表面用ランド34との対向部位の順で構成されている。すなわち、分岐状端子51は、表面部53によって挿入部54が挟まれた略T字構造とされている。本実施形態においては、この分岐状端子51の形状を主特徴としており、略T字構造の効果については、後述にて詳細に説明する。
また、分岐状端子51は、図1,図3〜図5に示すように、プリント基板31の表面に対して垂直な方向にも多段に配列されている。そして、例えば図5に示すように、全ての分岐状端子51において、ハウジング52に最も近い表面用ランド34を除く表面用ランド34と接続された分岐状端子51の、ハウジング52からの延出位置のコネクタ配置面に対する高さが、ハウジング52に最も近い表面用ランド34と接続された分岐状端子51の、ハウジング52からの延出位置のコネクタ配置面に対する高さと同じ(図5に示す破線位置)とされている。このような構成とすると、リフロー時において、全ての分岐状端子51に効率よく熱を行き渡らせることができる。なお、ハウジング52に最も近い表面用ランド34を除く表面用ランド34と接続された分岐状端子51の、ハウジング52からの延出位置のコネクタ配置面に対する高さが、ハウジング52に最も近い表面用ランド34と接続された分岐状端子51の、ハウジング52からの延出位置のコネクタ配置面に対する高さよりもコネクタ配置面に近い高さとされた構成においても、同様の効果を期待することができる。また、構成によっては、ハウジング52に最も近い表面用ランド34と接続された分岐状端子51のハウジング52からの延出位置をプリント基板31に対してもっとも近い位置とする構成に比べて、ハウジング52から延出される端部の長さを長くすることも可能である。例えば、プリント基板31に対して近い(低い)位置から延出された分岐状端子51を、ハウジング52から離れた表面用ランド34と接続し、プリント基板31に対して遠い(高い)位置から延出された分岐状端子51を、ハウジング52に近い表面用ランド34と接続した構成としても良い。これによれば、はんだ接合部にかかる応力を緩和する機能を向上し、ひいては接続信頼性を向上することができる。しかしながら、接続信頼性が確保される範囲であれば、ハウジング52における分岐状端子51の段位置とプリント基板31におけるランド(34,35)との対応関係は上記例に限定されるものではない。本実施形態においては、図5に示すように、ハウジング52に対する分岐状端子51の挿通方向において、全ての分岐状端子51のうち、プリント基板31表面に略垂直とされ、ハウジング52に保持される部位が、互いに重なって配置される例を示した。しかしながら、例えばハウジング52の長手方向(端子51の配列方向)において隣り合う分岐状端子51の、プリント基板31表面に略垂直とされ、ハウジング52に保持される部位が、ハウジング52に対する分岐状端子51の挿通方向においてずれて配置される構成としても良い。このような構成とすると、分岐状端子51間の距離を稼ぐことができるので、ハウジング52の長手方向において分岐状端子51間を狭くした場合に耐ノイズ性を向上することができる。また、隣り合う分岐状端子51がずれて配置される構成においては、ハウジング52に対する分岐状端子51の挿通方向において、外部コネクタ側にずれた分岐状端子51がハウジング52に近いランド34,35と接続され、ハウジング52の手前側にずれた端子51がハウジング52に遠いランド34,35と接続された構成とすると良い。このような構成とすると、ハウジング52に対する分岐状端子51の挿通方向において、隣り合う分岐状端子51同士の重なりを完全に無くし、耐ノイズ性がより向上された構成とすることもできる。なお、隣り合う分岐状端子51がずれて配置される構成において、外部コネクタ側にずれた分岐状端子51がハウジング52に遠いランド34,35と接続され、ハウジング52の手前側にずれた端子51がハウジング52に近いランド34,35と接続された構成としても良い。このような構成とすると、上述の構成に比べて、外部コネクタ側にずれた分岐状端子51のハウジング52から露出される長さを稼ぐことができ、接続信頼性を向上することができる。
また、本実施形態においては、例えば図5に示すように、全ての分岐状端子51において、分岐状端子51とランド34,35とが電気的に接続された状態で、挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出した構成とされている。このような構成とすると、例えばリフロー時にプリント基板31及び/又はハウジング52に反り等の変形が生じても、分岐状端子51と対応するランド34,35との接続をより確実に確保することができる。
また、本実施形態においては、分岐状端子51として、径の異なる複数種類の端子をそれぞれ複数本含んでいる。具体的には、図2〜図8に示すように、径の細い第1端子55と第1端子55よりも径の太い第2端子56の2種類の端子51を含んでいる。また、第1端子55を信号伝送用の所謂シグナル端子として用い、第2端子56を電力伝送用の(パワー素子に電気的に接続され、大電流を伝達する)所謂パワー端子として用いている。そして、コネクタ50は、図2〜図4に示すように、ハウジング52の長手方向において、複数の第1端子55のみが集められた第1端子ブロック57と、複数の第1端子55と複数の第2端子56が集められた第2端子ブロック58とを、外部コネクタとの接続に供せられる端子ブロックとしてそれぞれ少なくとも1つ有している。具体的には、エンジン関係の各系統と電気的に接続される3つの外部コネクタと接続され、この接続に供せられる端子ブロックとして、1つの第1端子ブロック57と2つの第2端子ブロック58を有している。そして、図4に示すように、外部コネクタとの接続側において、各端子ブロック57,58がハウジング52によって分離されている。したがって、ハウジング52の長手方向において、ハウジング52の反りを低減することができる。
このように、外部コネクタとの接続に供せられる複数の端子ブロックとして、第1端子ブロック57と第2端子ブロック58を有する構成とすると、例えば第2端子56を流れる大電流信号からのノイズの影響を考慮して、信号伝送用の第1端子55を振り分けることができる。本実施形態においては、第1端子55のうち、ノイズを受けやすいアナログ信号(ノックセンサ信号やその他アナログセンサ信号)を伝達する第1端子55を第1端子ブロック57に含め、ノイズを受けにくいデジタル信号を伝達する第1端子55を第2端子ブロック58に含めている。なお、第2端子ブロック58に対応するランドにおいては、第1端子55と第2端子56との端子径の違いや上述したノイズの影響などを考慮してランドを配置したり、ランドからの配線を引き出す必要がある。これに対し、第1端子ブロック57に対応するランドおいては、第2端子ブロック58のような制約が少ない(又は、無い)ため、ランドの配置やランドからの配線の引き出しを効率化することができる。すなわち、第2端子ブロック58とともに第1端子ブロック57を併せ持つ構成とすることで、回路基板30の厚さ方向に対して垂直な方向における電子制御装置100の体格を小型化することができる。
ハウジング52の長手方向において、外部コネクタとの接続に供せられる複数の端子ブロックの配置(第1端子ブロック57と第2端子ブロック58の並び方)は特に限定されるものではない。本実施形態においては、図2〜図4に示すように、3つの端子ブロック57,58のうち、両端に第2端子ブロック58が構成され、第2端子ブロック58に挟まれる中央領域に第1端子ブロック57が構成されている。一般的に、パワー端子がランド及び配線を介して電気的に接続されるパワー素子は、放熱性の観点(電子制御装置100外部への放熱距離の短縮及び他部品(素子)への放熱の影響低減)から、回路基板30において縁部近傍に配置される。したがって、ハウジング52の長手方向において、複数の端子ブロック57,58の少なくとも一方の端部を第2端子ブロック58とすると、第2端子56に対応するランドとパワー素子とを電気的に接続する配線パターンを簡素化することができる。
また、第2端子56は、第2端子ブロック58において、ハウジング52の長手方向における端部側に配置されている。すなわち、1つのコネクタ50において、ハウジング52の長手方向における両方の端部領域に第2端子56が配置され、端部領域に挟まれる中央領域に第1端子55が配置されている。第1端子55よりも端子径の太い第2端子56の挿入部54に対応する貫通孔33の孔径及びその公差は、第1端子55の挿入部54に対応する貫通孔33の孔径及びその公差よりも大きい。貫通孔33の位置精度と分岐状端子51の位置精度によって、端子数が増えるほど挿入部54が対応する貫通孔33に入りにくくなることが考えられるが、上述の構成とすると、精度が若干悪くても、プリント基板31とコネクタ50の製造誤差を端部領域の貫通孔33にて吸収することができる。すなわち接続信頼性を確保することができる。
また、各端子ブロック57,58を構成する分岐状端子51(55,56)の配置は特に限定されるものではない。本実施形態において、第1端子ブロック57は、図3及び図4に示すように、ハウジング52に対して複数の第1端子55を千鳥状に配置して構成されている。具体的には、第1端子55がプリント基板31の平面に垂直な方向に3段配列されている。また、第2端子ブロック58は、図3及び図4に示すように、ハウジング52に対して複数の第1端子55と複数の第2端子56とを千鳥状に配置して構成されている。具体的には、2つの第2端子ブロック58において、プリント基板31の平面に垂直な方向に第1端子55が3段配列され、第1端子55に隣接して第2端子56が2段配列されている。そして、第2端子ブロック58を構成する第1端子55が、第1端子ブロック57を構成する第1端子55であって回路基板30側から同一段(本実施形態においては、第1段〜第3段のそれぞれ)の第1端子55と同一形状を有している。すなわち、同一種類の分岐状端子51を用いている。このような構成とすると、分岐状端子51の種類を少なくし、製造コストを低減することができる。
なお、図2及び図3に示すように、本実施形態においては、補強端子59が、分岐状端子51とともに、ハウジング52の長手方向に沿って配列されている。そして、ハウジング52の長手方向において、互いに離間して複数箇所(4箇所)に設けられることで、補強効果を高めるようにしている。しかしながら、本実施形態においては、分岐状端子51が、対応するランド34,35との接続部位として表面部53と挿入部54を有しているので、補強端子59のない構成としても、接続信頼性を確保することができる。
次に、このように構成される電子制御装置100の製造方法について、図5,図9,及び図10を用いて説明する。図9は、電子制御装置の製造工程のうち、特徴部分である塗布工程を示す図であり、(a)は塗布工程のうち第1工程、(b)は塗布工程のうち第2工程、(c)は塗布工程完了後を示している。図10は、端子と接続されるランドと、塗布工程において用いられるスクリーンのランドに対応した開口部との位置関係を示す平面図である。
電子制御装置100を製造するに当たって、先ず上述した構成の回路基板30と上述した構成のコネクタ50を、公知の製造方法を用いてそれぞれ準備する。例えば貫通孔33は、プリント基板31の厚さや貫通孔33の径に応じて、プリント基板31における分岐状端子51の挿入部54に対応する位置に、ドリル等の機械的加工やレーザ加工等によって形成することができる。また、表面用ランド34及び挿入用ランド35は、めっきや金属箔のエッチング等の公知技術によって形成することができる。なお、本実施形態においては、コネクタ50を回路基板30に実装した状態で、分岐状端子51の挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出するように、金属板を打ち抜いて分岐状端子51を形成する際に、挿入部54の長さを設定する。また、同一の分岐状端子51に対応する表面用ランド34と挿入用ランド35とを、一体的に形成する。
次に、準備されたプリント基板31に対し、コネクタ配置面側の実装を行う。先ず、図9(a)〜(c)に示すように、スクリーン印刷法を用いて、貫通孔33内(挿入用ランド35上)、表面用ランド34上,及び表面用ランド37上に、所定粘度に調整されたペースト状のはんだ70を塗布する。塗布工程においては、貫通孔33内(挿入用ランド35上)、表面用ランド34上,及び表面用ランド37上に一括ではんだ70を塗布することも可能であるが、本実施形態においては、異なるマスク形状のスクリーンをそれぞれ用いた第1工程と第2工程の2回に分けて塗布を実施する。
第1工程においては、図9(a)及び図10に示すように、貫通孔33に対応する位置に、貫通孔33とほぼ一致(大きさ及び形状)するように開口部111(特許請求の範囲に記載の第1開口部に相当する)が設けられた第1スクリーン110を用いる。そして、第1スクリーン110上にペースト状のはんだ70を供給し、スキージ112を走行させて、スクリーン印刷を実行する。これにより、開口部111を通してはんだ70がプリント基板31側に転写され、コネクタ配置面側からペースト状のはんだ70が貫通孔33内に充填される。このとき、貫通孔33内の空気は、プリント基板31の裏面側開口部から外部へ逃げるので、貫通孔33内にはんだ70を効率よく充填することができる。なお、第1スクリーン110の厚さ(マスク厚さ)は、貫通孔33内にはんだ70を充填するために、できる限り薄いほうが好ましい。
第1工程終了後、第2工程を実施する。第2工程においては、図9(b)及び図10に示すように、貫通孔33及び表面用ランド34に対応する位置に、表面用ランド34とほぼ一致(大きさ及び形状)するように開口部114(特許請求の範囲に記載の第2開口部に相当する)が設けられるとともに、表面用ランド37に対応する位置に、表面用ランド37とほぼ一致(大きさ及び形状)するように開口部115が設けられた第2スクリーン113を用いる。そして、第2のスクリーン113上にペースト状のはんだ70を供給し、スキージ112を走行させて、スクリーン印刷を実行する。これにより、開口部114,115を通してはんだ70がプリント基板31側に転写され、コネクタ配置面側からペースト状のはんだ70が表面用ランド34上と表面用ランド37上に配置されるとともに、第1工程で配置されたはんだ70上にも積層配置される。なお、第2スクリーン113の厚さ(マスク厚さ)は、表面用ランド34上にはんだ70を配置するために、できる限り厚いほうが好ましい。本実施形態においては、第1スクリーン110の厚さを第2スクリーンの厚さ113の厚さよりも薄くすることで、貫通孔33内にはんだ70を効率よく充填しつつ、表面用ランド34上のはんだ厚さを確保するようにしている。
このように塗布工程を、複数回のスクリーン印刷工程によって構成すると、1回のスクリーン印刷工程のように部分的なマスク厚さや印圧等の調整をしなくとも、貫通孔33内により多くのはんだ70を供給することができ、ひいては、表面用ランド34上に配置されるはんだ70を厚くすることができる。したがって、表面部53及び挿入部54とはんだ70、ランド34,35とはんだ70との接触面積を増やすことができる。また、複数回スクリーン印刷を行う構成でありながら、スクリーン裏面の汚れ(プリント基板側からの転写)を防ぐことができる。さらには、予め貫通孔33内にもはんだ70を充填するので、後述するリフロー工程において、表面用ランド34上から貫通孔33内に流れ込むはんだ70を低減する、又は、貫通孔33内に流れ込むはんだ70を無くすことができる。
なお、複数回に分けてスクリーン印刷を実行する場合、前段のスクリーン印刷(第1工程)によってプリント基板31に転写されたはんだ70が、後段のスクリーン印刷(第2工程)時にスクリーンの裏面に付着して、汚れ等の不具合が生じる恐れがある。これに対し、本実施形態においては、図10に示すように、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向において、第1工程で用いる第1スクリーン110の開口部111よりも第2工程で用いる第2スクリーン113の開口部114のほうが大きく、開口部111を開口部114内に含むようにしている。したがって、上述の汚れの問題を防ぐことができる。また、同一の分岐状端子51に対応する貫通孔33と表面用ランド34を含む領域を1つの開口部114とすることで、開口部の数が少なくしており、これによっても汚れが生じるのを低減するようにしている。また、第2工程において、コネクタ50以外の電子部品32に対応する表面用ランド37上にはんだ70を塗布することで印刷工程を少なくしており、これによっても汚れが生じるのを低減するようにしている。また、表面用ランド37上のはんだ厚を確保するようにしている。
第1工程及び第2工程(塗布工程)が終了すると、図9(c)に示すように、表面用ランド34上、貫通孔33内の挿入用ランド35上、及び表面用ランド37上にはんだ70が配置されたプリント基板31が準備される。そして、コネクタ50を含む電子部品32をプリント基板31のコネクタ配置面上に位置決め配置する。これにより、各挿入部54が、はんだ70を突き抜けて貫通孔33内に挿入される。また、各表面部53が対応する表面用ランド34上に配置されたはんだ70と接触する。このように本実施形態においては、挿入部54を貫通孔33内に挿入するので、プリント基板31に対するコネクタ50の位置決めが容易である。また、挿入部54がアンカーの役割を果たすので、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向における分岐状端子51と対応するランド34,35との位置ずれを抑制することができる。
そして、コネクタ50を含む電子部品32をプリント基板31上に配置した状態で、リフローを実施する。溶融されたはんだ70は濡れ広がり、好ましくは表面部53との間にフィレットを形成した状態で冷却・固化される。
本実施形態においては、挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出しており、塗布工程において、貫通孔33の途中まではんだ70が充填される。また、表面用ランド34と挿入用ランド35が一体化されている。したがって、表面部53が表面用ランド34上のはんだ70と接触している場合、リフロー時に、表面用ランド34上のはんだ70の一部が、貫通孔33の壁面に形成された挿入用ランド35と挿入部54とが互いに対向して構成される隙間(以下、貫通孔33と挿入部54との隙間と示す)に毛細管現象及び/又は重力によって流れ込む。図5は、この状態ではんだ70が冷却・固化された構造を示している。また、コネクタ配置面に対する分岐状端子51の高さ方向のばらつきによって、リフロー前の状態で表面部53とはんだ70との接触が十分でない場合、貫通孔33と挿入部54との隙間を介して、溶融されたはんだ70が表面部53に毛細管現象によって濡れあがり、接続信頼性を確保するに足る、分岐状端子51とはんだ70との所望の接触面積を確保することができる。すなわち、いずれの場合も、はんだ70を介して分岐状端子51とランド34,35とを電気的且つ機械的に接続(接合)することができる。特に本実施形態においては、塗布工程において貫通孔33内に効率よくはんだ70を充填し、表面用ランド34上のはんだ70の厚さを確保するので、接続信頼性をより向上することができる。また、貫通孔33内に予めはんだ70を充填するので、リフロー工程において、表面用ランド34上から貫通孔33内に流れ込むはんだ70の量を、貫通孔33内にはんだ70が予め充填されない構成に比べて低減することができる。したがって、これによっても、表面用ランド34上のはんだ70の厚さを確保し、接続信頼性をより向上することができる。また、貫通孔33内に十分な量のはんだ70が配置されるので、ボイドの発生を抑制することができる。
なお、リフロー時において、プリント基板31とコネクタ50のハウジング52との線膨張係数差により、はんだ70が冷却・固化される前の状態(溶融状態)で、プリント基板31及びハウジング52の少なくとも一方に反り等の変形が生じることがある。特に、本実施形態に示すコネクタ50のように、プリント基板31の厚さ方向に垂直な方向において、一方向に長い形状を有し、複数の端子(分岐状端子51)がその長手方向に沿って配列された構成においては、上述の変形量が長手方向の端部側ほど大きくなる。すなわち、分岐状端子51と対応するランド34,35との接続において、端部側ほど接続信頼性が低下しやすい。しかしながら、本実施形態においては、上述したように、貫通孔33に挿入される挿入部54がアンカーとしての役割を果たすので、はんだ70が冷却・固化される前の状態(溶融状態)で、分岐状端子51と対応するランド34,35との間に位置ずれが生じるのを防ぐことができる。
プリント基板31のコネクタ配置面側のリフロー終了後、プリント基板31の裏面において、同様に電子部品32のリフロー実装を実行する。これにより、図1に示す電子制御装置100が形成される。
このように、本実施形態においては、コネクタ50が、電気的な接続機能を提供する端子として表面部53と挿入部54を有する分岐状端子51を含み、分岐状端子51の挿入部54が貫通孔33に対して挿入された状態で、リフローが実行される。したがって、従来の表面実装構造に比べて接続信頼性を向上することができる。
また、貫通孔33に挿入部54を挿入する構成でありながら、フローはんだ付けを不要とするので、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面において、電子部品32の実装禁止領域を小さくすることができる。すなわち、従来の挿入実装構造に比べて実装密度を向上することができる。
次に、本実施形態に係る電子制御装置100の主特徴部分である、分岐状端子51の形状の効果について、図11〜図21を用いて詳細に説明する。図11及び図12は、実装密度向上の効果を示す図であり、図11は、本実施形態に係る電子制御装置を示す図であって、(a)は分岐状端子の拡大側面図、(b)は表面用ランド付近の拡大平面図である。図12は、比較対象として、逆L字構造の分岐状端子を備えた電子制御装置を示す図であって、(a)は分岐状端子の拡大側面図、(b)は表面用ランド付近の拡大平面図である。図13及び図14は、位置ずれ量抑制の効果を示す図であり、図13は、本実施形態に係る電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大平面図である。図14は、比較対象として、逆L字構造の分岐状端子を備えた電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大平面図である。図15及び図16は、接続信頼性向上の効果を示す図であり、図15は、本実施形態に係る電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大断面図である。図16は、比較対象として、逆L字構造の分岐状端子を備えた電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大断面図である。図17及び図18も、接続信頼性向上の効果を示す図であり、図17は、本実施形態に係る電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大断面図である。図18は、比較対象として、逆L字構造の分岐状端子を備えた電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大断面図である。図19も、接続信頼性向上の効果を示す、本実施形態に係る電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大断面図である。図20及び図21は、応力緩和の効果を示す図であり、図20は、本実施形態に係る電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大断面図である。図21は、比較対象として、逆L字構造の分岐状端子を備えた電子制御装置のうち、表面用ランド付近の拡大断面図である。なお、比較対象としての電子制御装置においては、本実施形態に示す電子制御装置と同一の構成要素について、下2桁が同じ二百番台の数字としている。具体的には、符号231がプリント基板、符号233が貫通孔、符号234が表面用ランド、符号235が挿入用ランド、符号251が分岐状端子、符号253が表面部、符号254が挿入部、符号270がはんだである。
図11及び図12に示すように、プリント基板31,231と略平行な部分の長さをともにL1(換言すれば、表面部53,253の長さを同じ長さ)、径の同じ貫通孔33,233に挿入部54,254をそれぞれ挿入した際の、表面部53,253の端部と表面用ランド34,234の端部とのクリアランスをともにL2、貫通孔33,233の公差をL3とする。すると、略T字構造の分岐状端子51に対応する表面用ランド34の長さL4(図11(b)に示すように表面部53の長手方向に沿う長さ)は、L1にL2の2倍を加えた値となる。これに対し、逆L字構造の分岐状端子251に対応する表面用ランド234の長さL5(図12(b)に示すように表面部53の長手方向に沿う長さ)は、L1とL2に、さらにL2とL3のうち、大きいほうを加えた値となる。したがって、表面用ランド34の長さL4を表面用ランド234の長さL5以下とすることができる。なお、一般的には、図11(b),図12(b)に示すように、L2<L3である。すなわち、本実施形態に示すように、略T字構造の分岐状端子51を採用すると、プリント基板31,231の厚さ方向に対して垂直な方向における大きさが同じであれば、電子部品32の実装密度を逆L字構造の分岐状端子251よりも向上することが可能である。また、実装密度が同じであれば、プリント基板31,231の厚さ方向に対して垂直な方向の大きさを逆L字構造の分岐状端子251よりも小型化することが可能である。なお、上述した略T字構造の分岐状端子51の効果は、挿入部54が、表面部53の略中心位置から延びた構造において効果がより大きくなる。
また、図13及び図14に示すように、プリント基板31,231の貫通孔33,233に挿入部54,254をそれぞれ挿入したリフロー前の状態で、挿入部54を回転中心として角度θ回転し、表面用ランド34,234に対して表面部53,253が表面用ランド34,234の長手方向から位置ずれしたとする。なお、プリント基板31,231と略平行な部分の長さは、ともにL1(換言すれば、表面部53,253の長さを同じ長さ)とし、表面用ランド34,234の幅も、ともに同じ幅であるL6とする。このとき、逆L字構造の分岐状端子251においては、図14に示すように、表面部253の長手方向端部における長手方向とは垂直な方向の位置ずれ量Yは、L1×sinθにほぼ等しい値となる。これに対し、略T字構造の分岐状端子51においては、図13に示すように、表面部53の長手方向において、挿入部54を間に挟んだ2つの領域のうち、長さの長い領域側の表面部53がより多く位置ずれすることとなるが、表面部53の長手方向端部における長手方向とは垂直な方向の位置ずれ量Xは、上述した位置ずれ量Yよりも小さくなる。例えば、挿入部54が表面部53の中心位置から延びている場合、位置ずれ量YはL1×sinθ/2にほぼ等しい値となる。したがって、略T字構造の分岐状端子51のほうが逆L字構造の分岐状端子251よりも、位置ずれ量を小さくすることができる。すなわち、略T字構造の分岐状端子51(表面部53)のほうが表面用ランド34からはみ出にくく、サイドフィレットも形成されやすいので、接続信頼性(品質)を確保しやすい。なお、上述した略T字構造の分岐状端子51の効果は、挿入部54が、表面部53の略中心位置から延びた構造において効果がより大きくなる。
また、図15及び図16に示すように、プリント基板31,231の表面に対して、分岐状端子51,251が同一方向に傾いた状態で、貫通孔33,233に挿入部54,254がそれぞれ挿入されてはんだ接合され、表面部53,253の表面用ランド34,234との対向面の一部が、表面用ランド34,234上のはんだ70,270と接触せずに露出されているとする。なお、図15及び図16においては、表面部53,253の長手方向端部(コネクタのハウジングに対して遠い側)がプリント基板31,231の表面から離反する方向に同一角度で傾いている。また、分岐状端子51,251の、プリント基板31,231と略平行な部分の長さが、ともにL1(換言すれば、表面部53,253の長さを同じ長さ)とされている。このような構造においては、表面部53,253の表面用ランド34,234との対向面と、はんだ70,270との接触端の角部(外部雰囲気との境界部)で、はんだ接合部にクラックが生じやすい。したがって、図16に示す逆L字構造の分岐状端子251においては、接続信頼性が低下しやすい。これに対し、図15に示す略T字構造の分岐状端子51においては、挿入部54を間に挟む一方の表面部53(ハウジングに対して遠い側)でクラックが生じることがあっても、他方の表面部53(ハウジングに対して近い側)は、傾いた状態で表面用ランド34との対向距離が狭く、表面用ランド34との対向面が表面用ランド34上のはんだ70と接触してサイドフィレットも形成される。すなわち、略T字構造の分岐状端子51のほうが、接続信頼性(品質)を確保しやすい。なお、上述した略T字構造の分岐状端子51の効果は、挿入部54が、表面部53の略中心位置から延びた構造において効果がより大きくなる。
また、図17に示すように、略T字構造の分岐状端子51の場合、プリント基板31の表面用ランド34は、貫通孔33を間に挟んで対向するそれぞれの部位が表面部53に対応して大きく形成される。したがって、表面用ランド34上のはんだ70がリフロー時に貫通孔33内に流れ込んでも、貫通孔33を挟んで対向するそれぞれの表面用ランド34上のはんだ厚をほぼ等しい厚さに保つことができる。これに対し、図18に示すように、逆L字構造の分岐状端子251の場合、プリント基板231の表面用ランド234は、貫通孔33を間に挟んで対向する部位のうち、表面部253に対応する部位は大きく形成されるものの、表面部253と対向しない部位(挿入用ランド254の貫通孔開口周辺部位)は実装密度の向上を考慮して小さく形成される。したがって、表面用ランド234上のはんだ70がリフロー時に貫通孔33内に流れ込む場合、貫通孔33を挟んで対向するそれぞれの表面用ランド34上のはんだ厚がばらつく恐れがある。すなわち、略T字構造の分岐状端子51のほうが、接続信頼性(品質)を確保しやすい。
また、図19に示すように、略T字構造の分岐状端子51の場合、リフロー前の状態で、表面部53の表面用ランド34との対向面がはんだ70と接触していなくとも、表面部53と表面用ランド34との対向領域における毛細管現象によって、表面部53の表面用ランド34との対向面にはんだ70が濡れ上がり、フィレットが形成される。このフィレットは、挿入部54を間に挟んで対向するそれぞれの表面部53において形成される。これに対し、図示しないが、逆L字構造の分岐状端子251の場合、挿入部254に対して片側にしか表面部253がないので、表面部253に対して形成されるフィレット箇所が少ない。すなわち、略T字構造の分岐状端子51のほうが、接続信頼性を向上することができる。
また、略T字構造の分岐状端子51の場合、ハウジングから延出された部位の先端が折曲されて、プリント基板31の表面に略平行な表面部53が構成され、表面部53のうち、表面用ランド34と対向する部位に挟まれる部位からプリント基板31の表面に略垂直にプリント基板31に向けて挿入部54が延びている。図20に示すように、分岐状端子51とプリント基板31とのはんだ接合部にプリント基板31の表面に垂直な方向の応力(図20中の矢印)が作用した場合、表面部53を介してプリント基板31、又は、表面部53を経た後、挿入部54を介してプリント基板31に伝達される。したがって、表面部53において応力を緩和することができる。これに対し、逆L字構造の分岐状端子251の場合、ハウジングから延出された部位の延長上に、プリント基板31の表面に略垂直な挿入部254が構成され、挿入部254(又はハウジングから延出された部位)からプリント基板31の表面に略平行に表面部253が延びている。図21に示すように、分岐状端子251とプリント基板231とのはんだ接合部にプリント基板231の表面に垂直な方向の応力(図21中の矢印)が作用した場合、ほとんど表面部253を介することなく、挿入部254を介してプリント基板231に伝達される。すなわち、略T字構造の分岐状端子51のほうが、接続信頼性を向上することができる。
なお、本実施形態においては、塗布工程を、異なるマスク形状のスクリーン110,113をそれぞれ用いた第1工程と第2工程の2回に分ける例を示した。しかしながら、スクリーン印刷の回数は2回に限定されるものではない。3回以上としても良い。また、1回のスクリーン印刷によって、貫通孔33内(ランド35上)、ランド34上,及び表面用ランド37上に一括ではんだ70を塗布することも可能である。例えば、図22に示すように、スクリーン116の厚さ(マスク厚さ)を部分的に変えても良い。貫通孔33内にはんだ70を充填するために多くのはんだ70を必要とするランド34,35の対応する部位を、電子部品32の表面用ランド37に対応する部位よりも厚くすることで、接続信頼性を向上することができる。図22は、塗布工程の変形例を示す断面図である。また、それ以外にも、スキージ112の走行速度を調整(ランド34,35上において表面用ランド37よりも遅く)したり、印圧を調整(ランド34,35上において表面用ランド37よりも強く)することで、接続信頼性を向上することもできる。
また、本実施形態においては、表面用ランド34が2段の千鳥配置とされ、プリント基板31の平面に垂直な方向において、ハウジング52に対し、第1端子55が3段配置され、第2端子56が2段配置される例を示した。しかしながら、千鳥の段数は2段に限定されるものではない。分岐状端子51の種類は、分岐状端子51の段数と表面用ランド34の段数によって決定されるので、分岐状端子51(第1端子55及び第2端子56)の段数を千鳥配置された表面用ランドの段数のn倍(nは2以上の整数)とすると、端子種類を少なくすることができる。
また、本実施形態においては、例えば図7に示すように、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向において、表面用ランド34の外形形状が矩形状である例を示した。すなわち、挿入用ランド35のうち、貫通孔33の開口周辺部位(表面用ランド34の一部として図示)が矩形状の表面用ランド34に含まれる例を示した。しかしながら、分岐状端子51の径(貫通孔33の径)によっては、図23に示すように、挿入用ランド35のうち、貫通孔33の開口周辺部位(表面用ランド34の一部として図示)が表面用ランド34よりもハウジング52の長手方向において大きい構成としても良い。この場合、図23に示すように、ハウジング52から遠い2段目(紙面上側)の貫通孔33及び表面用ランド34の位置を、ハウジング52の離反方向においてずらした構成とすると、ハウジング52の長手方向におけるプリント基板31の体格、ひいては電子制御装置100の体格を小型化することができる。なお、図23は、変形例を示すプリント基板31の平面図である。この場合、ハウジング52から延出される分岐状端子51の長さが異なるので、端子種類が増えることとなる。しかしながら、上述したように、分岐状端子51の段数を千鳥配置された表面用ランド34の段数のn倍(nは2以上の整数)とすると、端子種類を少なくすることができる。例えば、図23に示すように表面用ランド34が2段においては、分岐状端子51の段数を例えば4段とすると、2段目の表面用ランド34の位置をずらした構成としても、分岐状端子51の種類を4種類のままととすることができる。具体的には、図23に示す4つの表面用ランド34に対し、図23の右(2段目の表面用ランド34)から左へ順に、4段目の分岐状端子51、1段目の分岐状端子51、3段目の分岐状端子51、2段目の分岐状端子51を対応させることができる。なお、図23においては、便宜上、はんだとソルダレジストを省略して図示している。
また、本実施形態においては、プリント基板31におけるコネクタ配置面側のリフロー終了後、裏面側のリフロー実装を実行する例を示した。しかしながら、プリント基板31におけるコネクタ配置面の裏面側のリフロー終了後、コネクタ配置面側のリフロー実装を実行しても良い。この場合、挿入部54がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出する構成であっても、挿入部54によってリフローの熱を妨げることはない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図24及び図25に基づいて説明する。図24は、第1実施形態に示した構造における懸念を説明するための、プリント基板とコネクタの実装部周辺の拡大断面図である。図25は、第2実施形態に係る電子制御装置のうち、プリント基板とコネクタの実装部周辺の拡大断面図である。
第2実施形態における電子制御装置及びその製造方法は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態においては、分岐状端子51の挿入部54が、リフロー実装された状態で、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出される例を示した。このような構成においては、貫通孔33と挿入部54との隙間(対向領域)がプリント基板31の厚さ方向全体にわたって形成されるので、プリント基板31の厚さにもよるが、塗布工程における貫通孔33内へのはんだ70の充填によって、隙間を完全に埋めることは困難である。隙間がはんだ70で完全に埋まっていない場合、リフロー時において、表面用ランド34上に配置されたはんだ70の一部が、毛細管現象及び/又は重力によって、貫通孔33内に流れ込むことが考えられる。そして、その結果、表面用ランド34上のはんだ70の厚さが薄くなり、例えば図24に示すように、表面部53の側面に形成されるサイドフィレットが小さくなったり、場合によってはフィレットが形成されないことも起こりえる。また、隙間に充填されるはんだ70が不足し、例えば図24に示すように、貫通孔33内に空洞部71(ボイド)が生じる恐れがある。
これに対し、本実施形態においては、分岐状端子51の挿入部54の先端が、リフロー実装された状態で、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面と同じ位置(面一)、又は、電子部品配置面とその裏面との間の位置とされる点を特徴とする。なお、図25においては、一例として、分岐状端子51の挿入部54の先端が、電子部品配置面とその裏面との間の位置とされた例を示している。
このように、挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出しない構成とすると、挿入部54の先端がコネクタ配置面の裏面側に突出する構成よりもプリント基板31の厚さ方向において隙間の長さが短いので、表面用ランド34上から貫通孔33内に流れ込むはんだ70の量を少なくすることができる。すなわち、表面用ランド34上のはんだ厚さが確保され、図25に示すように、表面部53に良好なフィレット(サイドフィレット)が形成されやすくなる。また、プリント基板31の厚さ方向において隙間の長さが短いので、隙間を埋めるために必要なはんだ量を、挿入部54の先端がコネクタ配置面の裏面側に突出する構成よりも少なくすることができる。すなわち、貫通孔33内に空洞部71が形成されにくくなる。したがって、表面用ランド34を大きくしてはんだ70量を増やさなくとも、接続信頼性を向上することができる。
また、挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出しないので、プリント基板31の裏面側に配置された電子部品を実装するに当たり、挿入部54がリフローの熱を遮ることはない。したがって、プリント基板31の裏面側における接続信頼性を向上することができる。
なお、挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出しない構成において、貫通孔33と挿入部54の隙間に毛細管現象が作用すると、図25に示すように、この隙間に配置されたはんだ70の、コネクタ配置面の裏面側の端面72(換言すれば、プリント基板31の裏面側に露出する面)が、プリント基板31の厚さ方向において、挿入用ランド35との接触部位及び挿入部54との接触部位よりも、コネクタ配置面に近い部位を有するような形状(弓状)となる。これに対し、挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出する構成においては、貫通孔33と挿入部54の対向領域(隙間)においては毛細管現象が作用するものの、挿入部54の貫通孔33からの突出部位については、毛細管現象が作用せず、重力によってはんだ70が濡れ広がる。したがって、図24に示すように、上述した端面72に相当する面は、プリント基板31の厚さ方向において、挿入用ランド35との接触部位から挿入部54との接触部位に向けてコネクタ配置面に近づくような形状となる。
また、本実施形態においては、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に先端が突出しない分岐状端子51が、第1実施形態と同じ略T字構造を有している例を示した。このように、略T字構造の分岐状端子51を採用すると、第1実施形態に示した効果に加えて、上述した効果を示すことができる。したがって、実装密度と接続信頼性をより向上することができる。しかしながら、第2実施形態に示す効果をもつ分岐状端子51の構造としては、上述した略T字構造に限定されるものでなく、例えば図26、図27に示すような逆L字構造の分岐状端子51を採用することもできる。図26と図27は、ともに分岐状端子51の変形例を示す拡大断面図である。図26においては、ハウジングから延出された部位の延長上に、プリント基板31の表面に略垂直な挿入部54が構成され、挿入部54(又はハウジングから延出された部位)からプリント基板31の表面に略平行に表面部53が延びている。図27においては、ハウジングから延出された部位の先端が折曲されて、プリント基板31の表面に略平行な表面部53が構成され、表面部53の先端が折曲されて、プリント基板31の表面に略垂直に挿入部54が構成されている。
また、本実施形態においては、図25に示すように、挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面とその裏面との間に位置となるように、挿入部54の長さが設定されてた例を示した。しかしながら、挿入部54の先端がプリント基板31のコネクタ配置面の裏面とほぼ同じ位置とされた構成においても、同様の効果を期待することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図28に基づいて説明する。図28は、第3実施形態に係る電子制御装置において、コネクタをプリント基板に実装した状態の実装部周辺の平面図である。
第3実施形態における電子制御装置100及びその製造方法は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態においては、電気的な接続機能を提供する全ての端子が分岐状端子51である例を示した。これに対し、本実施形態においては、例えば図28に示すように、コネクタ50が、電気的な接続機能を提供する端子として、分岐状端子51とともに表面実装型端子60を含む点を特徴とする。すなわち、はんだと接続される端子が、分岐状端子51、補強端子59、及び表面実装型端子60を有する点を特徴とする。なお、表面実装型端子60とは、ランドとの接続部位として、分岐状端子51の表面部53のみを有するものである。すなわち、挿入部54がないだけで、後の構成は分岐状端子51とほぼ同じである。また、プリント基板31の表面実装型端子60に対応する部位には貫通孔33が形成されておらず、コネクタ配置面に表面実装型端子60に対応して表面用ランド34が形成されている。
第1実施形態に示したように、電気的な接続機能を提供する全ての端子を分岐状端子51とすると、分岐状端子51の数だけ、プリント基板31に貫通孔33を設けなければならないが、分岐状端子51とともに表面実装型端子60を含む構成とすると、貫通孔33の個数を低減することができる。したがって、端子本数が同じであれば、全てが分岐状端子51である構成よりも接続信頼性は若干劣るものの、従来の表面実装構造や挿入実装構造よりは向上することができる。また、全てが分岐状端子51である構成と比べて、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向において、プリント基板31を小型化、ひいては電子制御装置100を小型化することができる。また、プリント基板31に形成される配線36の自由度を向上することができる。
なお、本実施形態においては、図28に示すように、第2端子56を分岐状端子51とし、第1端子55を表面実装型端子60としており、ハウジング52の長手方向(プリント基板31の表面に沿う端子の配列方向)において、表面実装型端子60を間に挟むように複数の分岐状端子51が配置されている。また、ハウジング52の長手方向において、両方の端部領域が、少なくとも1つの分岐状端子51によってそれぞれ構成されている。
このように、表面実装型端子60を間に挟むように分岐状端子51を配置すると、端子と対応するランドとの間の位置ずれ抑制に効果的である。また、端子数が増加するほど、端子のランドとの接続部位のコプラナリティの確保が困難となることは上述したが、例えばプリント基板31の変形量は、ハウジング52の長手方向においてハウジング52の中心から離れるほど大きくなる。したがって、両方の端部領域を分岐状端子51によって構成すると、端子と対応するランドとの間の位置ずれをより効果的に抑制することができる。
また、両方の端部領域に配置される第2端子56を分岐状端子51としているので、第1実施形態同様、プリント基板31とコネクタ50の製造誤差を端部領域の貫通孔33にて吸収することができる。すなわち接続信頼性を確保することができる。
なお、分岐状端子51と表面実装型端子60の配置は、上記例に限定されるものではない。任意の組合せが可能である。本実施形態においては、第1端子55を表面実装型端子60とし、第2端子56を分岐状端子51とする例を示したが、第1端子55の少なくとも一部を分岐状端子51とし、第2端子56の少なくとも一部を表面実装型端子60としても良い。また、ハウジング52の長手方向において、表面実装型端子60を間に挟むように複数の分岐状端子51が配置される構成も、上記例に限定されるものではない。例えば、ハウジング52の長手方向において、分岐状端子51と表面実装型端子60を交互に配置しても良い。
また、本実施形態に示すように、コネクタ50が複数の端子ブロック57,58に分けられた構成においては、それぞれの端子ブロック57,58が異なる外部コネクタと接続される。したがって、各端子ブロック57,58において、それぞれの端部領域を分岐状端子51によって構成し、中央領域を表面実装型端子60によって構成しても良い。これにより、それぞれの端子ブロック57,58において接続信頼性を向上することができる。
なお、本実施形態に示す構成を、第1実施形態に示した構成だけでなく、第2実施形態に示した構成とも組み合わせることが可能である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図29及び図30に基づいて説明する。図29は、第1実施形態に示した製造方法により、第2実施形態に示す電子制御装置を製造する際の懸念を説明するための図であり、(a)はリフロー工程前、(b)はリフロー工程後を示している。図30は、第4実施形態に係る電子制御装置の製造工程の一部を示しており、(a)はリフロー工程、(b)はリフロー後の除去工程を示している。
第4実施形態における電子制御装置及びその製造方法は、第2実施形態に示す構成(第1実施形態に示した製造方法を第2実施形態に示す構成に適用したもの)と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第2実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態に示した製造方法によって第2実施形態に示す電子制御装置100(挿入部54の先端が、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に突出しない構成)を製造する場合、例えば貫通孔33(挿入用ランド35)と挿入部54との隙間の大きさ、溶融したはんだ70の粘性、比重などの関係によっては、図29(a)に示すように、リフロー前の状態で、貫通孔33内のコネクタ配置面よりに、接続信頼性を確保するのに十分な量のはんだ70を充填したとしても、リフロー時において、溶融したはんだ70が、例えば図29(b)に示すように、コネクタ配置面の裏面側に流れて貫通孔33外へ逃げることも考えられる。このような現象が生じることの一因としては、例えば挿入部54の径に対して貫通孔33の径が非常に大きいなど、毛細管現象によって隙間にはんだ70を留めようとする力を、重力などの下向き(プリント基板31の裏面方向)の力が上回ることが考えられる。このような現象が生じると、表面用ランド34上のはんだ70の量が減少したり、貫通孔33内に空洞部71が生じたりして、接続信頼性が低下する恐れがある。また、挿入部54とはんだ70との接触面積が減少して、接続信頼性が低下する恐れがある。さらには、はんだ70が貫通孔33からプリント基板31外へ落下して、不具合の原因となる恐れがある。なお、はんだ70の粘度によっては、リフロー時だけでなく、塗布工程において、ペースト状のはんだ70がコネクタ配置面の裏面側に流れて貫通孔33外へ逃げることも考えられる。この場合の不具合も上述と同様である。
これに対し、本実施形態においては、リフロー工程が終了するまで、はんだ70が貫通孔33外へ逃げるのを抑制する点を特徴とする。具体的には、塗布工程が終了後、リフロー工程を実施する前に、図30(a)に示すように、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面に対し、貫通孔33の裏面側開口部を塞ぐように絶縁部材130を固定する(例えば樹脂フィルムを貼着する)蓋工程を実施する。そして、貫通孔33の裏面側開口部を絶縁部材130によって塞いだ状態で、リフロー工程を実施するので、図30(a)に示すように、溶融したはんだ70が貫通孔33内に留まることとなる。そして、リフロー工程終了後、図30(b)に示すように、絶縁部材130を除去する。
このように本実施形態に係る電子制御装置100の製造方法によれば、リフロー時に溶融したはんだ70が貫通孔33外に逃げるのを抑制することができる。したがって、接続信頼性を確保することができる。
なお、絶縁部材130によって、貫通孔33内を気密に封止した状態とすると、リフロー時の冷熱によって貫通孔33内(空洞部71)の空気の膨張・収縮が生じた際に、はんだ接合部に応力が作用して、接続信頼性が低下する(例えばクラックが生じる)ことが考えられる。これに対し、本実施形態においては、図30(a)に示すように、絶縁部材130の開口部を蓋する部分の一部に、貫通孔33とプリント基板31外部とを通気可能とし、はんだ70を通過させない通気部131として、貫通孔33よりも小径の穴部を1つ設けている。したがって、接続信頼性の低下を抑制することができる。
また、通気部131を有する絶縁部材130を用いる場合には、リフロー工程を実施する前でなく、塗布工程を実施する前に、蓋工程を実施することも可能である。この場合、通気部131を介して貫通孔33内の空気を外部へ逃がすことができるので、貫通孔33内にはんだ70を効率よく充填することができる。また、ペースト状のはんだ70が、貫通孔33外に逃げるのを抑制することができる。したがって、接続信頼性を確保することができる。
なお、絶縁部材130の形態は上記例に限定されるものではない。例えば、図31に示すように通気部132としてメッシュ部や多孔部を有する構成としても良い。また、通気部131,132のない構成としても良い。図31は、絶縁部材130の変形例を示す断面図である。
また、本実施形態においては、リフロー工程後に絶縁部材130を除去する例を示した。しかしながら、絶縁部材130を除去せずに、電子制御装置100として、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面に絶縁部材が固定された構成とすることもできる。例えば図32においては、絶縁部材133として例えばプリント基板31を構成する基材と同一の材料を用い、貫通孔33にはんだ70が充填されたプリント基板31に対し、貫通孔33の裏面側開口部を塞ぐように絶縁部材133を固定している。このように、絶縁部材133をプリント基板31の裏面にビルドアップすることにより、リフロー時に溶融したはんだ70が貫通孔33外に逃げるのを抑制することができる。この場合、絶縁部材133を、プリント基板31の一部として利用することができるが、絶縁部材133によって貫通孔33が封止されるので非貫通孔となる。図32は、絶縁部材133の変形例を示す断面図である。また、プリント基板31の裏面に絶縁部材133をビルドアップした状態で、図33に示すように、絶縁部材133の開口部を蓋する部分の一部に通気部134(図18においてはレーザ加工による穴部)を設けると、上述したように接続信頼性の低下を抑制することができる。このように、通気部134として、図33に示すような穴部を設けると、プリント基板31は、コネクタ配置面側の開口径のほうが裏面の開口径よりも小さい貫通孔33を有することとなる。図33は、絶縁部材133の変形例を示す断面図である。なお、予め通気部134の設けられた絶縁部材133をプリント基板31の裏面にビルドアップしても良い。また、絶縁部材133を別途ビルドアップしなくとも、プリント基板31に対して貫通孔33を形成する際に、貫通孔33内に挿入部54が配置可能であり、且つ、コネクタ配置面側の裏面の開口径のほうがコネクタ配置面側の開口径よりも小さく、より好ましくはコネクタ配置面側の裏面の開口径のほうが挿入部54の端子径よりも小さくなるように、貫通孔33を形成しても良い。これによっても、接続信頼性の低下を抑制し、接続信頼性を確保することができる。例えば、プリント基板31の厚さ方向において、コネクタ配置面側から所定深さまで穴を開けた後、この穴よりも小径で裏面側から穴を開け、両穴を連通させることによって実現することができる。
また、プリント基板31において、コネクタ配置面の裏面側のリフローを活用することにより、リフロー時に溶融したはんだ70が貫通孔33を介してプリント基板31の裏面側に逃げるのを抑制することも可能である。具体的には、プリント基板31のコネクタ配置面側の塗布工程を行う前に、先ず図34(a)に示すようにプリント基板31の裏面側の塗布工程を実施し、その後リフロー工程を実施する。これにより、貫通孔33の裏面側開口部をはんだ70によって塞ぐ。そして、はんだ70によって貫通孔33の裏面側開口部を蓋した状態で、図34(b)に示すようにプリント基板31のコネクタ配置面側の塗布工程を実施し、その後リフロー工程を実施する。これにより、リフロー時に溶融したはんだ70が貫通孔33を介してプリント基板31の裏面側に逃げるのを抑制することができる。なお、この製造方法によれば、コネクタ配置面側の塗布を行う際に、貫通孔33の裏面側開口部がはんだ70によって塞がれているので、コネクタ配置面側から貫通孔33内にはんだ70を充填するのが難しくなるが、コネクタ配置面の裏面側からも貫通孔33内にはんだ70を充填するので、分岐状端子51の挿入部54とはんだ70との接触面積を増やすことが可能である。図34は、製造工程の変形例を示す図であり、(a)裏面側の塗布工程、(b)はコネクタ配置面側の塗布工程である。なお、図34(a),(b)に示す符号117,118は、それぞれスクリーンである。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図35及び図36に基づいて説明する。図35は、第5実施形態に係る電子制御装置のうち、プリント基板とコネクタの実装部周辺の拡大断面図である。図36は、プリント基板のコネクタ配置面におけるコネクタとの実装部周辺の拡大平面図である。
第5実施形態における電子制御装置及びその製造方法は、第1実施形態及び第2実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態及び第2実施形態においては、表面用ランド34と挿入用ランド35とが、分岐状端子51とはんだ接合される1つのランドとして一体的に形成される例を示した。これに対し、本実施形態においては、例えば図35及び図36に示すように、同一の分岐状端子51に対応する表面用ランド34と挿入用ランド35とが、プリント基板31のコネクタ配置面において分離されている点を特徴とする。
このような構成とすると、リフロー時において、表面用ランド34と挿入用ランドとの間で、はんだ70の濡れ広がりを抑制することができる。すなわち、リフロー時に、表面用ランド34上に配置されたはんだ70の一部が、毛細管現象及び/又は重力によって貫通孔33内(貫通孔33と挿入部54の隙間)に流れ込み、表面用ランド34上のはんだ量が減少するのを抑制することができる。その結果、表面用ランド34上において、分岐状端子51の表面部53に良好なはんだフィレットが形成されるので、接続信頼性を向上することができる。
なお、表面用ランド34と挿入用ランド35とが分離された構成ではあるものの、塗布工程において、挿入用ランド35上(貫通孔33内)にはんだ70を配置するので、分岐状端子51とランド34,35との間で、表面用ランド34の大型化を抑制しつつ所望の接続信頼性を確保することができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を、図37〜図43に基づいて説明する。図37は、第6実施形態に係る電子制御装置において、コネクタをプリント基板に実装した状態をプリント基板と端子との接続側から見た平面図である。図38は、コネクタをプリント基板に実装した状態を外部コネクタとの接続側から見た平面図である。図39は、図38に示すXXXIX−XXXIX線に沿う断面図である。図40は、図38に示すXL−XL線に沿う断面図である。図41は、リフロー工程におけるプリント基板の反りを示す平面図である。図42は、図41に示すXLII−XLII線に沿う断面図である。図43は、図41に示すXLIII−XLIII線に沿う断面図である。
第6実施形態における電子制御装置及びその製造方法は、上述した各実施形態と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、上述した各実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
第2実施形態においては、はんだ接続される端子のうち、電気的な接続機能を提供する全ての端子が分岐状端子51とされ、その挿入部54の先端が、リフロー実装された状態で、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面と同じ位置(面一)、又は、電子部品配置面とその裏面との間の位置とされる例を示した。このような構成とすると、リフロー実装された状態で、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面側に挿入部54が突出されない。したがって、プリント基板31のコネクタ配置面側から、表面部53とはんだ70との接続状態を外観検査することで、分岐状端子51と対応するランド34,35との接続状態を判定し、ひいては接続信頼性を保証することとなる。しかしながら、分岐状端子51の本数が多く、表面部53が密集しているほど外観検査が困難となる。
そこで、本実施形態においては、はんだ接続される複数の端子として、第2実施形態に示す構成の端子、すなわち、挿入部54の脚の長さが短い脚短端子とともに、脚短端子よりも挿入部54の脚の長さが長く、少なくともリフロー実装前の状態で、挿入部54の先端がプリント基板31の裏面側に突出する脚長端子を有する点を特徴とする。なお、挿入部54の脚の長さとは、表面部53から延出される挿入部54の起点から先端までの長さである。
本実施形態においては、はんだ接続される端子のうち、図37〜図40に示すように、径の細い第1端子55、第1端子55よりも径の太い第2端子56、及び補強端子59を分岐状端子51としている。すなわち、はんだ接続される全ての端子を分岐状端子51としている。そして、プリント基板31とコネクタ50(外部コネクタ)との間で電気的な接続機能を提供する第1端子55及び第2端子56は、リフロー実装された状態で、図39に示すように、挿入部54の先端がプリント基板31の電子部品配置面の裏面と同じ位置、又は、電子部品配置面とその裏面との間の位置とされるように構成されている。すなわち、脚短端子として構成されている。より詳しくは、第1端子55及び第2端子56は、挿入部54の脚の長さが、ともに等しい所定長さL7(図39においては、第1端子55を代表して図示)とされている。そして、この所定長さL7は、プリント基板31の厚さt以下の長さ(図39においては、厚さtよりも短い長さ)に設定されている。また、第1端子55及び第2端子56の挿入部54のうち、ハウジング52から最も遠い貫通孔33に挿入された挿入部54の例えば中心までの距離が、所定距離L8に設定されている。なお、このような構成の第1端子55及び第2端子56をリフロー実装する場合には、上述した実施形態の製造方法や構成を適用することができる。
また、プリント基板31とコネクタ50(外部コネクタ)との間で電気的な接続機能を提供せず、プリント基板31に対するコネクタ50の接続強度を向上する補強端子59は、挿入部54が対応する貫通孔33に挿入され、且つ、少なくともリフロー実装される前の状態(図40において、リフロー後の状態を図示)において、挿入部54の先端がプリント基板31の電子部品配置面の裏面側に突出されるように構成されている。すなわち、脚長端子として構成されている。なお、リフロー後においても、挿入部54の先端がプリント基板31の電子部品配置面の裏面側に突出されている場合は、第1実施形態に示した構成(図5参照)と同じとなる。より詳しくは、補強端子59は、挿入部54の脚の長さがプリント基板31の厚さtよりも長い所定長さL9に設定されている。さらに、本実施形態においては、補強端子59の挿入部54の長さL9が、第1端子55及び第2端子56の挿入部54の長さL7とプリント基板31の厚さtの長さの和以下(図40においては、和未満を図示)とされている。また、補強端子59の挿入部54のうち、ハウジング52から最も遠い貫通孔33に挿入された挿入部54の例えば中心までの距離が、所定距離L8よりも長い所定距離L10に設定されている。なお、所定距離L8,L10は、ハウジング52のうち、端子が延出された面の同一位置を基準として設定されている。
なお、端子径が同じ場合、挿入部54の長さが長いほど、挿入部54の剛性は低下し、変形しやすくなる。したがって、脚長端子の端子径を脚短端子の端子径よりも太くすると良い。本実施形態においては、脚長端子としての補強端子59は、その端子径(断面積)が第1端子55及び第2端子56の端子径よりも太く(断面積よりも大きく)されている。そして、ハウジング52の長手方向において、両方の端部領域に少なくとも1本(図37及び図38においては、両端部の各1本)の補強端子59が配置され、端部領域に挟まれた中央領域に少なくとも1本(図37及び図38においては、互いに離間して2本)の補強端子59が配置されている。すなわち、脚長端子としての補強端子59は、互いに離間して4本配置されている。
また、プリント基板31において、貫通孔33の開口径は、対応する挿入部54の端子径に応じて設定されている。すなわち、脚長端子である補強端子59に対応する貫通孔33の方が、脚短端子である第1端子55及び第2端子56に対応する貫通孔33よりも大きく設定されている。また、表面用ランド34は、補強端子59のほうが大きく設定されている。この貫通孔33や表面用ランド34の設定に際しては、リフロー時において、溶融したはんだ70を貫通孔33内にボイドが生じないように供給でき、且つ、貫通孔33内にはんだ70を留めることのできるように設定することが好ましい。
このように、本実施形態によれば、分岐状端子51のうち、電気的な接続機能を提供する第1端子55及び第2端子56を脚短端子としている。すなわち、複数の分岐状端子51のほとんどを脚短端子としており、はんだ70の量を多く必要とする脚長端子はごく一部である。したがって、表面用ランド34を大きくしてはんだ70の量を増やさなくとも、接続信頼性を向上することができる。また、プリント基板31の裏面側における接続信頼性を向上することができる。このような効果は、第2実施形態(図25参照)に示した効果と同様乃至それに準ずる効果である。
特に本実施形態においては、脚長端子として補強端子59が、互いに離間して4本配置されているだけであるので、リフロー時において、プリント基板31の裏面側に突出する脚長端子の挿入部54によるリフロー熱の妨げの影響を小さくすることができる。
また、本実施形態においては、複数の分岐状端子51の一部として、少なくともリフロー実装前の状態で、挿入部54の先端がプリント基板31の裏面側に突出するように構成(具体的には、挿入部54の脚の長さL9が少なくともプリント基板31の厚さtよりも長く構成)された脚長端子を有している。したがって、はんだ接続される端子が対応するランドと接続された状態で、プリント基板31の裏面側から、補強端子59の挿入部54の露出状態(露出有無及び露出している場合にはどの程度露出しているか)を外観検査することにより、脚長端子以外の端子(本実施形態においては、第1端子55及び第2端子56)とはんだ70との接続状態を検査せずとも、脚長端子以外の端子とはんだ70との接続状態を判定し、ひいては接続信頼性を保証することができる。
特に本実施形態においては、補強端子59の挿入部54の脚の長さL9を、第1端子55及び第2端子56の挿入部54の脚の長さL7とプリント基板31の厚さtの長さの和以下としている。したがって、リフロー後において、プリント基板31の裏面側に補強端子59の挿入部54が突出された場合、第1端子55及び第2端子56の挿入部54の一部が貫通孔33内に配置されており(はんだ70との接続状態が良好)、プリント基板31の裏面側に補強端子59の挿入部54が突出されていない場合、第1端子55及び第2端子56の挿入部54が貫通孔33から浮いている(はんだ70との接続状態が悪い)と判定することができる。したがって、プリント基板31の裏面側からの外観検査による補強端子59の挿入部54の確認をもって、第1端子55及び第2端子56の挿入部54とはんだ70との接続状態を判定し、ひいては接続信頼性を保証することができる。
また、コネクタ50が傾いても、補強端子59(脚長端子)の挿入部54が貫通孔33の壁面に当たるので、第1端子55及び第2端子56(脚短端子)の挿入部54が貫通孔33から抜けるのを抑制することができる。これによっても、はんだ接続される端子の接続信頼性を向上することができる。特に本実施形態においては、補強端子59の挿入部54のうち、ハウジング52から最も遠い貫通孔33に挿入された挿入部54の例えば中心までの距離L10が、第1端子55及び第2端子56の挿入部54のうち、ハウジング52から最も遠い貫通孔33に挿入された挿入部54の例えば中心までの距離L8よりも長く設定されている。したがって、補強端子59(脚長端子)の挿入部54が貫通孔33の壁面に当たることで制限されるコネクタ50の傾き量(ハウジング52のがたつき量)を、距離L10が距離L8以下である場合よりも小さくすることができる。すなわち、脚長端子以外の端子とはんだ70との接続信頼性をより向上することができる。
また、少なくともリフロー前において挿入部54がプリント基板31の裏面側に突出される脚長端子自身の接続信頼性を確保するためには、上述した実施形態にて示したように、脚短端子に比べて、貫通孔33内へより多くのはんだ70を供給してやる必要がある。このためには、上述したように、例えば脚長端子の表面部53に対応する表面用ランド34の大きさを大きくすることが好ましく、これにより脚長端子の本数が多いほどプリント基板31の体格が大きくなる。これに対し、本実施形態においては、補強端子59を脚長端子として兼用している。プリント基板31に対するコネクタ50の接続信頼性向上を目的とする補強端子59の機能を果たすためには、補強端子59の表面部53に対応する表面用ランド34の大きさを大きくすることが好ましい。このように、補強端子59に対応する表面ようランド34は、いずれにせよ(補強端子59が脚長端子としての機能を果たさないにせよ)、大きく設定されるので、補強端子59が脚長端子を兼用しても、それによってプリント基板31の体格を大きくしなくとも良い。すなわち、脚長端子を含む構成としても、プリント基板31、ひいては電子制御装置100の体格が大きくなるのを抑制することができる。
また、本実施形態においては、ハウジング52の長手方向において、脚長端子である補強端子59を、両端部に各1本配置している。例えば端子数が増加するほど、端子のランドとの接続部位のコプラナリティの確保が困難となることは上述したが、プリント基板31の変形量(プリント基板31の表面に沿う変形量)は、ハウジング52の長手方向において、ハウジング52の中心から離れるほど大きくなる。したがって、端部領域に少なくとも1本の脚長端子(補強端子59)を配置すると、端子と対応するランドとの間の位置ずれをより効果的に抑制することができる。また、脚長端子を端部領域に配置すると、貫通孔33への挿入部54の挿入状態を確認しやすいので、脚長端子を貫通孔33に対して位置決め挿入しやすくなる。また、上述したように、脚長端子の挿入部54は、脚短端子の挿入部54よりも端子径が太く、対応する貫通孔33の開口径も大きくされている。したがって、開口径の大きい貫通孔33はランドからの配線の引き出しの邪魔となるので、端部領域に配置したほうが、ランドからの配線の引き出しの自由度を向上することができる。
また、本実施形態においては、ハウジング52の長手方向において、脚長端子である補強端子59を、端部領域に挟まれた中央領域にも配置している。リフロー工程において、プリント基板31は対向する端部が支持された状態で搬送されつつ加熱されるので、配置された電子部品の重みや自重などにより、例えば図41に示すように、端部に挟まれた中央部が下方に垂れた形状となる。すなわち、リフロー時において、プリント基板31の厚さ方向における変形は、端部よりも中央部のほうが大きくなる。したがって、ハウジング52の長手方向において、中央領域に少なくとも1本の脚長端子を配置しておけば、中央領域に脚長端子が配置されない構成に比べて、中央領域に配置された脚長端子の露出具合により、脚長端子以外の全ての端子とはんだ70との接続状態を判定することができる。例えば図43に示すように、中央領域に配置された脚長端子である補強端子59の挿入部54がプリント基板31の裏面側に露出されていない場合、図42に示すように、中央領域に配置された脚短端子である第1端子55の挿入部54が、貫通孔33から浮いた状態となる。この第1端子55の挿入部54の浮き状態は、上述したように、プリント基板31の端部よりも中央部側で大きいので、中央領域に配置された脚長端子である補強端子59の外観検査によって、脚長端子以外の端子とはんだ70との接続状態を精度よく判定し、ひいては接続信頼性を保証することができる。
なお、本実施形態においては、脚長端子である補強端子59の挿入部54の長さL9を、脚短端子である第1端子55及び第2端子56の挿入部54の長さL7とプリント基板31の厚さtの長さの和以下とする例を示した。しかしながら、第1端子55及び第2端子56の挿入部54の長さL7は、プリント基板31の厚さt以下とされ、補強端子59の挿入部54の長さL9は、少なくともプリント基板31の厚さtよりも長くされれば良い。すなわち、脚長端子の挿入部54が貫通孔33に挿入され、且つ、リフロー前の状態で、プリント基板31の裏面側への脚長端子の挿入部が露出されてさえいれば、リフロー後における脚長端子の挿入部の露出具合によって、脚長端子以外の端子とはんだ70との接続状態を判定し、ひいては接続信頼性を保証することができる。例えば、脚長端子の挿入部54の長さL9が、脚短端子の挿入部54の長さL7と厚さtの長さの和よりも大きい場合であっても、脚長端子の挿入部54にメモリ(ゲージ)や基準マークなどを設けることで、脚長端子以外の端子とはんだ70との接続状態を判定することができる。
また、本実施形態においては、分岐状端子51(第1端子55、第2端子56、及び補強端子59)が、略T字構造とされる例を示した。しかしながら、分岐状端子51の形状は、上記例に限定されるものではない。例えば図26,図27に示した構成としても良い。
また、本実施形態においては、補強端子59において、1つの表面部53から2本の挿入部54が延出される例を示した。しかしながら、1つの表面部53から延出される挿入部54の本数は少なくとも1本であれば良く、特に限定されるものではない。
また、本実施形態においては、はんだ接続される端子のうち、電気的な接続機能を提供しない補強端子59を脚長端子として兼用する例を示した。しかしながら、電気的な接続機能を提供する端子の一部を、脚長端子として兼用しても良い。本実施形態においては、電気的な接続機能を提供する端子として、径が細い信号伝送用の所謂シグナル端子である第1端子55と第1端子55よりも径が太く電力伝送用の所謂パワー端子である第2端子56を有している。また、端子径に応じて表面用ランド34の大きさも第2端子56に対応するものの方が大きくされている。したがって、第2端子56の少なくとも一部を脚長端子としたほうが、貫通孔33内へより多くのはんだ70を供給し、脚長端子とはんだ70との接続信頼性を向上することができる。また、ハウジング52の長手方向において、端子径の大きい第2端子56が第1端子55よりも端部に配置された場合には、ランドからの配線の引き出しの自由度も向上することができる。例えば図44においては、第1端子55を脚短端子とし、第2端視56を脚長端子としている。図44は、変形例を示す断面図である。
また、本実施形態においては、脚短端子の挿入部54の長さL7と脚長端子の挿入部54の長さL9がそれぞれ1つの値とされる例を示した。しかしながら、脚短端子の挿入部54の長さ及び脚長端子の挿入部54の長さの少なくとも一方が、上述の関係を満たす範囲で、多段(複数種類)に設定されても良い。例えば、本実施形態に示した構成(補強端子59を脚長端子とする構成)において、図45に示すように、第1端子55の挿入部54の長さを多段としても良い。挿入部54は、対応する貫通孔33に対して挿入部54の長さごとに多段階で挿入されるので、貫通孔33に挿入される挿入部54の長さを多段とするほど、挿入部54を貫通孔33に挿入する際の応力を低減する(応力を分散する)ことができる。すなわち、挿入時の端子曲がり(挿入部54の曲がり)などを抑制することができる。図45は、変形例を示す断面図である。
また、本実施形態においては、分岐状端子51の一部を、脚長端子とする例を示した。しかしながら、コネクタ50が、はんだ接続される端子とは別部材として、少なくとも端子がランドと接続される前の状態で、先端がプリント基板31の裏面側に突出される位置決めピンを有する構成としても良い。すなわち、はんだ接続される脚長端子に代えて、はんだ接続されない位置決めピンを用いても良い。例えば、図46においては、中央領域に配置された2本の補強端子59に代えて、位置決めピン61を採用している。この位置決めピン61は、はんだ70とは接続されないものの、貫通孔33に挿入されることにより、端子とランドが接続される前の状態(はんだ70が溶融状態)で、端子と対応するランドとの間に位置ずれが生じるのを効果的に抑制することができる。また、端子がランドと接続された状態において、プリント基板31の裏面側への位置決めピン61の露出具合により、はんだ接続される端子(分岐状端子51)とはんだ70との接続状態を判定し、ひいては接続信頼性を保証することができる。図46は、変形例を示す平面図である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
上述した実施形態においては、プリント基板31における貫通孔33及び表面用ランド34の配置が千鳥状である例を示した。しかしながら、貫通孔33、及び/又は、表面用ランド34の配置は千鳥配置に限定されるものではない。また、ハウジング52から離反する方向において、複数段に限定されるものではない。複数の貫通孔33が1列に配置され、1列に配置された複数の貫通孔33のうち、少なくとも一部の貫通孔33が互いに隣接して配置される構成においては、以下に示すような構成とすると良い。例えば、ハウジング52の長手方向において、貫通孔33の径及び/又は挿入用ランド35の開口周囲部位の外径よりも表面用ランド34の幅のほうが大きい場合、図47に示すように、互いに隣接配置された貫通孔33に対応する表面用ランド34が、貫通孔33の配列方向において、対応する貫通孔33よりもハウジング52に対して近い側と、対応する貫通孔33よりもハウジング52に対して遠い側とに交互に配置されると良い。すなわち、隣接する表面用ランド34が貫通孔33の列を跨いで配置された構成とすると良い。このような構成とすると、ハウジング52の長手方向におけるプリント基板31の大きさを小型化することができる。また、貫通孔33が一列に配置されるので、プリント基板31のコネクタ配置面の裏面側において、他の電子部品32の配置や挿入用ランド35から引き出される配線36の自由度を向上することができる。図47は、プリント基板の変形例を示す平面図である。
また、複数の表面用ランド34が1列に配置され、1列に配置された複数の表面用ランド34,37のうち、分岐状端子51に対応する少なくとも一部の表面用ランド34が互いに隣接して配置される構成においては、以下に示す構成とすると良い。例えば、ハウジング52の長手方向において、表面用ランド34の幅よりも貫通孔33の径及び/又は挿入用ランド35の開口周囲部位の外径のほうが大きい場合、図48に示すように、互いに隣接配置された表面用ランド34に対応する貫通孔33が、表面用ランド34の配列方向において、対応する表面用ランド34よりもハウジング52に対して近い側と、対応する表面用ランド34よりもハウジング52に対して遠い側とに交互に配置された構成とすると良い。すなわち、隣接する貫通孔33が表面用ランド34の列を跨いで配置された構成とすると良い。このような構成とすると、ハウジング52の長手方向におけるプリント基板31の大きさを小型化することができる。また、表面用ランド34が一列に配置されるので、リフロー時において、表面部53と表面用ランド34との全ての接合部に熱が均等に行き渡りやすい。図48は、プリント基板の変形例を示す平面図である。
また、プリント基板31における貫通孔33及び表面用ランド34の配置が千鳥状である(ハウジング52から離反する方向に多段に配置された)場合、例えば図49に示すように、ハウジング52から離反する方向の各段の貫通孔33及び表面用ランド34の一部が重なるようにしても良い。図49においては、4段構成とされており、第1段目の表面用ランド34と第2段目の表面用ランド34、第3段目の表面用ランド34と第4段目の表面用ランド34が、ハウジング52から離反する方向においてそれぞれ一部重なるように構成されている。このような構成とすると、ハウジング52から離反する方向においてプリント基板31の体格、ひいては電子装置の体格を小型化することができる。また、図49に示す構成においては、ハウジング52の長手方向において、表面用ランド34の幅よりも貫通孔33の径及び/又は挿入用ランド35の開口周囲部位(図49においては、便宜上、この部位も表面用ランド34として示す)の外径のほうが大きくされている。このような構成の場合、図49に示すように、表面用ランド34のうち、貫通孔33の開口周囲部位とは重ならない構成とすると、ハウジング52の長手方向においてプリント基板31の体格、ひいては電子装置の体格を小型化することができる。また、図49においては、ハウジング52の長手方向において、各貫通孔33及び表面用ランド34の位置(貫通孔33の中心位置)をずらして設けられている。より詳しくは、3段目、1段目、4段目、2段目の順にずらして設けられている。図49は、プリント基板の変形例を示す平面図である。
本実施形態においては、分岐状端子を含む電子部品の一例としてコネクタ50を示し、電子部品をプリント基板に実装してなる電子装置の一例として、コネクタ50をプリント基板31に実装してなる電子制御装置100を示した。しかしながら、複数の端子が本体部から延出される構成の電子部品であれば上述した構成及び製造方法を採用することができ、上述した各実施形態に示した効果と同等の効果乃至それに準ずる効果を期待することができる。例えば、図1に示したコネクタ50以外の電子部品32(例えばマイコン)に適用しても良い。
また、本実施形態においては、コネクタ50(電子部品)のハウジング52(本体部)の一面から、回路基板30に実装される側の端部が延出されている例を示した。しかしながら、本体部の複数の面から回路基板30に実装される側の端部が延出された構成においても、上述した構成及び製造方法を採用することができる。
本実施形態においては、電気的な接続機能を提供する端子として、第1端子55と第1端子55よりも径の太い第2端子56を含む例を示した。しかしながら、電気的な接続機能を提供する端子の種類は特に限定されるものではない。また、端子ブロックの個数も特に限定されるものではない。
本実施形態においては、電子制御装置100として非防水構造の電子制御装置の例を示した。しかしながら、防水構造の電子制御装置にも適用することができる。
本実施形態においては、塗布工程において、貫通孔33内にはんだ70を充填する例を示した。しかしながら、表面用ランド34と挿入用ランド35とを1つのランドとして一体的に形成する場合には、貫通孔33内にはんだ70を充填せず、表面用ランド34上のみにはんだ70を配置しても良い。この場合、リフロー工程において、表面用ランド34上のはんだ70が、毛細管現象及び/又は重力によって、貫通孔33(の壁面に形成された挿入用ランド35)と挿入部54との隙間(対向領域)に流れ込むので、挿入用ランド35と挿入部54とがはんだ接合された構成とすることができる。しかしながら、表面用ランド34上のはんだ70のみによって、表面用ランド34と表面部53、及び、挿入用ランド35と挿入部54の良好な接合状態を確保するのは困難であるので、上述したように、塗布工程において、貫通孔33内にはんだ70を充填することが好ましい。