JP4899943B2 - 保温タンク - Google Patents

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Description

本発明は、液状熱媒体を断熱・保温・貯留する保温タンクであり、例えば車両等の高温のエンジン冷却水をエンジンに供給し、エンジンを暖機するための保温タンクとして使用可能な保温タンクに関するものである。
近年、地球環境問題である温暖化を防止することの重要性から、省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギーの推進が行われている。
自動車のエンジンの循環系に組み込まれる保温貯液容器では、昇温冷却水を保温し、有効活用することで、エンジン動作初期からの燃焼効率を確保できる。また、ジャーポット等の保温容器においては、保温性能をあげることで、省エネルギーに貢献する。冷蔵庫などでは逆に熱の進入を遮断し、冷凍システムの稼働率を下げることで、省エネルギーに寄与する。以上のような観点から、断熱性能を向上した保温タンクが求められている。
ここで、自動車のエンジンの循環系に組み込まれ、冷却水を保温する従来の保温タンクについて図6を参考に説明する。
蓄熱タンク40は、耐食性に優れた材質(例えば、SUS304等のステンレス)製の内筒タンク31と、所定の機械的強度を有する材質(例えば、SUS304等のステンレス)製の外筒タンク32とを具備しており、内筒タンク31と外筒タンク32との間の空間33が略真空に保たれることにより、断熱構造となっている。
蓄熱タンク40は、内部が流体の貯留部Tとなっており、底部を上方に向け、開口部41を下方に向ける形で略垂直に車両に搭載されている。従って、蓄熱タンク40の開口部41が貯留部Tの重力下方部位に位置している。内筒タンク31と外筒タンク32とは開口部41の近辺42において溶接等により固着されている。
蓄熱タンク40の開口部41には、熱伝導率の小さい樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)等の材質よりなるボディバルブ34が螺着、接着等により流体密に固着されている。ボディバルブ34の内部には、エンジン冷却水が流入する流入側流路51と貯留部Tに貯留されたエンジン冷却水(温水)を流出する流出側流路52とが形成されている。
なお、流出側流路2は、タンク40の略軸中心位置でタンク内に開口しており、一方、流入側流路51は、タンクの軸中心位置よりずれた位置でタンク内に開口している。また、これらの流出入側流路51,52には、それぞれ図示しないエンジン冷却水の出入パイプが接続されている。
蓄熱タンク40内に貯留されたエンジン冷却水(温水)の排水を誘導するセンターパイプ35は、その一端がボディバルブ34の流出側流路52に接続し、混合防止板36の貫通穴63を通って、タンク40の中央部を略垂直に延びて、他端がタンク底部近傍の貯留部Tに開口している。
ボディバルブ34の上面34aに混合防止板36が取り付けられている。混合防止板36は、後述するセンターパイプ35を通す貫通穴63が形成された環状の上板62と筒状の側板61とが一体に形成された有底円筒形状又はカップ形状をしていて、開放側を下向きにしてボディバルブ34の上面4aに固定される。また、上板62と側板61には、タンク40内に入ったエンジン冷却水が通る多数の流通孔64が穿設されている。この場合、上板62には、流通孔64を設けなくてもよい。更に、混合防止板36は、タンク40の開口部41の口径D1よりも小さい径(外径)D2になるように形成されている。
蓄熱タンク40内に貯留されたエンジン冷却水(温水)の排水を誘導するセンターパイプ35は、その一端がボディバルブ34の流出側流路52に接続し、混合防止板36の貫通穴63を通って、タンク40の中央部を略垂直に延びて、他端がタンク底部近傍の貯留部Tに開口している。
上記のような構成においては、タンク40と混合防止板36とが独立することで、タンクの生産性が容易となり、かつタンク40の開口部41の口径D1よりも混合防止板36を小さい外径D2で形成しているので、この開口部41から混合防止板36をボディバルブ34と同時に容易に挿入でき、その組み付け性を飛躍的に向上させることができる。
また、上記構成では、ボディバルブ34の流入側流路51を通ってタンク40内に流入したエンジン冷却水は、上方に移動し、混合防止板36(上板62)に衝突し、次いで多数の流通孔64を介して分配した流れになってさらに上方に移動し、センターパイプ35の上方の開口からセンターパイプ35内に入り、下方流れとなって排出される。
この一連の流れにより、蓄熱タンク40の貯留部Tで蓄熱された温水(エンジン冷却水)が順次、センターパイプ35に誘導されることで、タンク40内に流入したエンジン冷却水(冷水)が短絡して排水されることがなく、温水を効率良く排出することが可能となる。
また、混合防止板36自体は、流入側流路51からタンク40内に吹き出す噴流により、タンク40内のエンジン冷却水(温水)が撹拌されて強制対流してしまうことを抑制し、タンク40内の温水と冷水とが混合してしまうことをも防止している(特許文献1参照)。
特開2006−233765号公報
しかし、特許文献1の構成では、混合防止板36により強制対流を抑制でき、温水と冷水が混ざり合うことを防ぐことができるが、これは円筒形の保温タンク40であり、かつ、保温タンク40の下部から冷水が流入するため、円筒形の貯留部Tと同形状の整流板を設置することで、均一に温水を押出すことができるのであり、冷水の流入口が保温タンク側面に設置されたり、円筒形とは異なる形状の保温タンクであれば、この構成では、壁面の形状により乱流が起こったり、温水が押しだされず滞留したりと、均一には冷水は流れず、十分に温水を活用できない問題がある。
また、箱体や整流板が金属材料で構成されているため、金属は高熱伝導率を有し、壁材を通じてのヒートリークが大きくなる問題がある。
また、魔法瓶構造を有しているため、ほぼ円筒形状に限定され形状自由度が低い。箱体の材料もガスバリア性、強度の点から金属材料に限定される。
本発明の目的は、液状熱媒体を断熱・保温・貯留する保温タンクであって、高断熱性能を有し、かつ温水の排出能力に優れた高性能保温タンクを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の保温タンクは、貯留部内の流入口と流出口との間に前記貯留部を複数に区切って前記貯留部内に流路断面積が略一定となる前記液状熱媒体の流路を形成する仕切り板を設けている。
本発明によれば、液状熱媒体の流路断面積を一定とすることで、冷水と温水の強制的な対流が抑制され、貯留部内の温水がスムーズに押出される。これにより、高断熱性能を有し、かつ温水の排出能力に優れた高性能保温タンクを提供することができる。また、仕切り板を設ければよいため、保温タンクの形状に左右されることはない。
また、前記流入口近傍の前記流路に、前記液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔が形成された整流板を有することが好ましい。
前記流入口近傍の前記流路に、上記の整流板を有することで、冷水と温水の混合対流が抑制され、さらに、温水の排出効率が向上する。特に、流入口が存在する階層の排出効率が向上する。
また、前記流出口近傍の前記流路に、前記液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔が形成された整流板を有することが好ましい。
前記流出口近傍の前記流路に、上記の整流板を有することで、冷水と温水の混合対流が抑制され、さらに、温水の排出効率が向上する。特に、排出口が存在する階層の排出効率が向上する。
また、貯留部の断熱構造としては、例えば、それぞれガスバリア性材料からなる外箱と内箱とで構成される空間に芯材を減圧密封した真空断熱構造を用いることができる。
このような真空断熱構造であれば内部に芯材が存在するため、芯材が支持材となり、円筒形でなくとも自由な形状の高性能な保温タンクに形成することが可能となる。
本発明の保温タンクは、保温タンクの断熱性能を向上させ、さらに、温水の排出効率を向上させ、保温能力に優れ、温水の排出効率に優れた保温タンクを提供することができる。
本発明の請求項1に記載の保温タンクの発明は、内部に液状熱媒体を貯留する断熱構造の貯留部と、前記貯留部内に前記液状熱媒体を流入させる流入口と、前記貯留部内の前記液状熱媒体を前記貯留部外部に流出させる流出口と、前記貯留部内の前記流入口と前記流出口との間に前記貯留部を複数に区切って前記貯留部内に流路断面積が略一定となる前記液状熱媒体の流路を形成するように設けられる仕切り板とを有し、前記流入口近傍の前記流路に、前記液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔が形成された整流板を有するとともに、前記連通孔は両端部近傍が中央部近傍と比較して大きいものであり、上記構成の仕切り板を設けていることにより、流入口から流入する冷水と保温タンク内に貯留された温水との強制的な対流が抑制され、貯留部内の温水がスムーズに押出され、貯留された温水の排出効率(保温タンク内の温水のうち冷水と混ざることなく高温を維持したまま排出される温水の割合)を高く使用することができる。これにより、高断熱性能を有し、かつ温水の排出能力に優れた高性能保温タンクを提供することができる。また、貯留部内に仕切り板を設ければよいため、保温タンクの形状に左右されることはない。また、貯留部内を仕切り板で複数の層に仕切った場合は、自然対流が抑制され、保温効率も向上する。
また、流入口の後(下流側)に整流板を有することで、冷水の勢いが減衰され、かつ整流板の形状により均一な流量とすることが可能となり、それによって冷水と温水の混合対流が抑制され、従って、温水の排出効率がさらに向上する。特に、流入口が存在する階層の排出効率が向上する。
請求項に記載の保温タンクの発明は、請求項に記載の発明に加えて、前記流出口近傍の前記流路に、前記液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔が形成された整流板を有するものであり、流出口の前(上流側)に整流板を有することで、押出されて流入してきた冷水の勢いが減衰され、かつ整流板の形状により均一な流量とすることが可能となり、それによって流出口付近で対流し、押出されなかった温水が効率よく押出され、従って、温水の排出効率がさらに向上する。特に、流出口が存在する階層の排出
効率が向上する。
請求項に記載の保温タンクの発明は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記断熱構造が真空断熱構造であることを特徴とするものであり、真空断熱構造であれば、断熱性能に優れ、保温特性が著しく向上する。
請求項に記載の保温タンクの発明は、請求項に記載の発明における前記真空断熱構造が、それぞれガスバリア性材料からなる外箱と内箱とで構成される空間に芯材を減圧密封した構造を有するものであり、このような真空断熱構造であれば断熱性能に優れるだけでなく、内部に芯材が存在するため、芯材が支持材となり、円筒形でなくとも自由な形状の高性能な保温タンクに形成することが可能となる。
請求項に記載の保温タンクの発明は、請求項に記載の発明における前記ガスバリア性材料が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイドからなる樹脂材料群から少なくとも一つを用いるものであり、気体成分の浸入を抑制し、断熱性能を長期間維持することができる。さらに、樹脂材料を基材に用いているため、保温タンクの固体熱伝導率が低減され、保温性能が向上する。さらに、樹脂で形成するため形状自由度も向上する。
請求項に記載の保温タンクの発明は、請求項に記載の発明における前記樹脂材料に金属、SiO、Al、ダイヤモンドライクカーボンからなる群から少なくとも一つが皮膜形成されているものであり、上記の皮膜形成されていないものに較べて、さらに気体成分の侵入を抑制することができる。特に水分のバリア性、高温バリア性が著しく向上する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら自動車のエンジンの循環系に組み込まれ、冷却水を保温する保温タンクについて説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における保温タンクの縦断面図である。図1を用いて本実施の形態1における保温タンクの構成について説明する。
保温タンク1は、内箱2と外箱3とで形成され、内箱2と外箱3は外周部で溶着し、内箱2と外箱3の間に芯材4を封入し、形成されている。また、内箱2内には温水(エンジン冷却水)を保温し貯留するための貯留部5を有する。
また、保温タンク1の重力下方層に冷水(エンジン冷却水)が流れ込む流入口6が設けられ、外箱3および芯材4を貫通し、内箱2とつながっている。流入口6は外箱3および内箱2との接触部で溶着され、固定されている。また、芯材4は流入口5の周囲を取り囲むように設置されている。
また、保温タンク1の重力上方層に温水(エンジン冷却水)が排出される流出口7が設けられ、内箱2および芯材4を貫通し、外箱3とつながっている。流出口7は内箱2および外箱3との接触部で溶着され、固定されている。また、芯材4は流出口7の周囲を取り囲むように設置されている。
また、貯留部5内には、エンジン冷却水(温水あるいは冷水)の流路断面積がほぼ一定になるように区切るための仕切り板8が設置されている。仕切り板8は内箱2と溶着され固定されている。
このようにして作製した保温タンク1は冷水と温水の強制対流が抑制され、排出効率に優れた保温タンクを形成することができる。
芯材4は、材料系を特に限定するものではなく、有機あるいは無機繊維、粉末、粉末を固形化したもの、発泡樹脂など、特に限定するものではない。
例えば繊維を用いた芯材4では、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール、炭化ケイ素繊維等の無機繊維、あるいは木綿等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維等の有機繊維など、公知の材料を使用することができる。
繊維を使用するには、繊維を圧縮もしくは加熱圧縮、水やバインダーを用いての圧縮もしくは加熱圧縮、ニードリング、スパンレース、抄造等の方法がある。
一方、粉末を用いた芯材4ではシリカ、パーライト、カーボンブラック等の無機粉末、あるいは合成樹脂粉末等の有機粉末、あるいはそれらの混合物などを、粉末そのままで充填、あるいは通気性のある袋に充填して用いる、あるいは繊維バインダーあるいは無機や有機の液状バインダーにて固形化する等の方法がある。
また、発泡樹脂ではウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォーム等を使用することができる。
また、本実施の形態1では流入口6は保温タンク1の重力下方部に設置し、流出口7は重力上方部に設置したが、特に場所を限定するものではない。ただし、保温能力からすると流入口6および流出口7は重力下方部に設置する方が望ましい。
また、保温タンク1の構成材料は特に限定するものではない。耐食性、耐熱性、強度の点からはステンレス等の金属材料が優れるが、成形性、低熱伝導性の観点からは樹脂材料の方が優れる。樹脂材料の場合、少なくとも保温水以上の耐熱性は必要である。また、固定方法も限定することはなく、熱溶着、ロウ材、機械的結合、接着剤等用いても構わない。
また、仕切り板8は、枚数、形状、材質を限定するものではないが、区切り面積が小さいほど、自然対流が少なくなり、対流による温度低下は抑制できる。一方で、仕切り板8が多すぎると、仕切り板8を伝わり、熱伝導が多くなり、かつ、貯留部5の体積効率が低下するため、多すぎても効果は大きくなく、仕切り板8により形成される断面積が貯留部5断面積の1/3〜1/30程度が望ましい。
また、仕切り板8の設置は溶着に限らず、接合、接着、はめ込み等でもかまわない。
また、溶着方法は特に限定するものではなく、工数、設備の差はあるが接合には十分であり、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着、IRAM、DSI、溶接、ホットメルト、電磁誘導、熱風溶着、インパルス溶着、熱風溶着、近赤溶着、拡散結合等が用いられる。また、これらを複合しても構わない。
また、溶着部はあらかじめフランジ部を設けていると溶着シロができるため、溶着が容易になる。
また、流路断面積を一定とあるが、平均流路断面積の±30%以内であれば、排出量の効率は十分得られ、一定とみなせる。ただし、その誤差は小さければ小さいほど、排出効率は高い。
本実施の形態の保温タンク1は、内部に液状熱媒体を貯留する断熱構造の貯留部5と、貯留部5内に液状熱媒体を流入させる流入口6と、貯留部5内の液状熱媒体を貯留部5外部に流出させる流出口7と、貯留部5内の流入口6と流出口7との間に貯留部5を複数に区切って貯留部5内に流路断面積が略一定となる液状熱媒体の流路を形成するように設けられる仕切り板8とを有するものであり、上記構成の仕切り板8を設けていることにより、流入口6から流入する冷水と保温タンク1(貯留部5)内に貯留された温水との強制的な対流が抑制され、貯留部5内の温水がスムーズに押出され、貯留された温水の排出効率(保温タンク1(貯留部5)内の温水のうち冷水と混ざることなく高温を維持したまま排出される温水の割合)を高く使用することができる。これにより、高断熱性能を有し、かつ温水の排出能力に優れた高性能保温タンク1を提供することができる。また、貯留部5内に仕切り板8を設ければよいため、保温タンク1の形状に左右されることはない。また、貯留部5内を仕切り板8で複数の層に仕切ったので、自然対流が抑制され、保温効率も向上する。
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2における保温タンクの断面図である。また、図3は本発明の実施の形態2における保温タンクの整流板の平面図である。なお、実施の形態1と同構成のものについては説明を省略する。
図2に示すように、整流板9aは流入口6から貯留部5内側にあり、流入口6が存在する階層に仕切り板8aと内箱2とに接合され、固定している。また、整流板9bは流出口7から貯留部5内側にあり、流入口6が存在する階層に仕切り板8bと内箱2とに接合され、固定している。また、図3に示すように整流板9は、連通孔10を設けている。
流入口6から流れ込む冷水は流れを持っているため、流入口6直後では乱流を生じやすく、特に流入口6が存在する階層では冷水と温水が混ざりやすい。そのため、連通孔10を設けた整流板9aを設置することで、乱流を抑制し、流入口6が存在する階層でも均一に冷水が温水を押出せるようにする。
また、流出口7の手前では、流路断面積と流出口7の断面積が異なるため、どうしても滞留する箇所が生じる。そこで、連通孔10を設けた整流板9bを設置することで、流出口7手前の流量を均一にすることができ、滞留温水の割合を低下させ、排水効率を向上させることができる。
連通孔10の孔の大きさ、数、分布には制限はなく、これらは保温タンク1の形状に応じ、最適を図る。
整流板9a,9bの材質も特に制限はなく、金属でも樹脂でも構わない。整流板9a,9bの固定方法も溶着だけでなく、接着、物理的結合等でよく、また、樹脂材料であれば内箱成形時に同時成形しても構わない。
また、整流板9a,9bは、必ずしも流れ方向に対して垂直である必要はなく、斜め、湾曲、波型等限定するものではない。
本実施の形態の保温タンク1は、内部に液状熱媒体を貯留する断熱構造の貯留部5と、貯留部5内に液状熱媒体を流入させる流入口6と、貯留部5内の液状熱媒体を貯留部5外部に流出させる流出口7と、貯留部5内の流入口6と流出口7との間に貯留部5を複数に区切って貯留部5内に流路断面積が略一定となる液状熱媒体の流路を形成するように設けられる仕切り板8とを有するものであり、上記構成の仕切り板8を設けていることにより、流入口6から流入する冷水と保温タンク1(貯留部5)内に貯留された温水との強制的な対流が抑制され、貯留部5内の温水がスムーズに押出され、貯留された温水の排出効率(保温タンク1(貯留部5)内の温水のうち冷水と混ざることなく高温を維持したまま排出される温水の割合)を高く使用することができる。これにより、高断熱性能を有し、かつ温水の排出能力に優れた高性能保温タンク1を提供することができる。また、貯留部5内に仕切り板8を設ければよいため、保温タンク1の形状に左右されることはない。また、貯留部5内を仕切り板8で複数の層に仕切ったので、自然対流が抑制され、保温効率も向上する。
また、本実施の形態の保温タンク1は、流入口6近傍の流路に、液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔10が形成された整流板9aを有するものであり、流入口6の後(下流側)に整流板9aを有することで、冷水の勢いが減衰され、かつ整流板9aの形状により均一な流量とすることが可能となり、それによって冷水と温水の混合対流が抑制され、従って、温水の排出効率がさらに向上する。特に、流入口6が存在する階層の排出効率が向上する。
また、本実施の形態の保温タンク1は、流出口7近傍の流路に、液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔10が形成された整流板9bを有するものであり、流出口7の前(上流側)に整流板9bを有することで、押出されて流入してきた冷水の勢いが減衰され、かつ整流板9bの形状により均一な流量とすることが可能となり、それによって流出口7付近で対流し、押出されなかった温水が効率よく押出され、従って、温水の排出効率がさらに向上する。特に、流出口7が存在する階層の排出効率が向上する。
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3における保温タンクの断面図である。なお、実施の形態1、実施の形態2と同構成のものについては説明を省略する。
図4に示すように、保温タンク1は、ガスバリア性材料からなる内箱11と外箱12に囲まれ、芯材4が存在する空間を減圧し、真空断熱構造を有する。減圧は排気口13から行う。
真空断熱構造は非常に高い断熱性能を有するため、保温性能が向上するとともに、内部に芯材4が存在するため、形状自由度が高い。また、外箱、内箱がガスバリア性材料で構成されているため真空断熱材の信頼性が高い。
芯材4は、材料系を特に限定するものではなく、有機あるいは無機繊維、粉末、粉末を固形化したもの、発泡樹脂など、特に限定するものではない。
例えば繊維を用いた芯材4では、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール、炭化ケイ素繊維等の無機繊維、あるいは木綿等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維等の有機繊維など、公知の材料を使用することができる。
繊維を使用するには、繊維を圧縮もしくは加熱圧縮、水やバインダーを用いての圧縮もしくは加熱圧縮、ニードリング、スパンレース、抄造等の方法がある。
一方、粉末を用いた芯材4ではシリカ、パーライト、カーボンブラック等の無機粉末、あるいは合成樹脂粉末等の有機粉末、あるいはそれらの混合物などを、粉末そのままで充填、あるいは通気性のある袋に充填して用いる、あるいは繊維バインダーあるいは無機や有機の液状バインダーにて固形化する等の方法がある。
また、発泡樹脂ではウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォーム等を使用することができる。
しかし、特に良好な芯材4は、平均一次粒子径が100nm以下の乾式シリカに、平均繊維径が10μm以下の無機繊維材料を、芯材4における無機繊維材料の含有量が0.5〜40wt%となるように混合し、加圧して成形されたものである。
芯材4材料は空隙間距離が短くなる粉体材料の方が、圧力依存性に優れるため、長期信頼性を得るためには繊維系材料よりも有利である。また、粉体材料を固形化して、封入することが工程上、望ましい。粉体材料としてはシリカ系材料が真空断熱材用芯材として優れている。
固形化手段として、一般的なシリカ粉末と繊維材料を混合撹拌し、加圧成形しても成形体にはならないが、平均一次粒子径が100nm以下の乾式シリカと、繊維材料とを混合、加圧成形することで、成形体を形成することができる。
この要因として、粒子径の小さい粉末同士であるため分子間力が働き粉末同士が付着する、あるいは乾式であるため表面官能基が少なく相互反発が少ないため粉末同士が付着しやすいこと等が考えられ、したがって、加圧等の成形方法により成形体を作製するためには、平均一次粒子径100nm以下の乾式シリカと繊維材料を用いる必要がある。
また、無機繊維材料を、平均繊維径10μm以下とすることで、無機繊維の繊維径が小さいため比表面積が大きくなるすなわち表面エネルギーが大きくなり粉末と結びつきやすくなる、また、シリカ粉末は無機繊維と親和性のよい組合せであるため相互に付着しやすい、あるいはそれらの相互作用によること等が考えられ、したがって、加圧等の成形方法により成形体を作製する際に、平均繊維径10μm以下の無機繊維材料を用いることで、より強固な成形体を作製することができる。
さらに、粒子径の非常に細かい乾式シリカと繊維径の小さい無機繊維材料を用いることにより、粉立ちのほとんどない成形体が得られる。この理由は、上記のように粒子径の小さい粉末同士の分子間力、表面官能基が少ないことによる粉末同士の付着、シリカと無機繊維との良好な親和性、細い繊維材料の大きな表面エネルギー等が考えられる。
また、上記組合せにより強固な成形体を得るとともに、弾性も有しているため可撓性をも有する成形体を得ることができる。
この理由は、平均繊維径が10μm以下の繊維を用いているため曲げ弾性が向上し、可とう性を有することができる等が考えられる。
繊維添加量が0.5〜40wt%であるのは、添加量が少なすぎると成形体形状を保てないし、多すぎると断熱性能が繊維に依存するようになり断熱性能が悪化するからである。
さらに、芯材にカーボンブラック1〜30wt%を混合すると断熱性能がさらに向上する。これにより、従来のシリカ粉末成形体を用いた真空断熱材よりも断熱性能は向上する。
断熱性能向上のためにシリカに添加する粉末として、例えばカーボンブラックや酸化チタンなどは高温域で輻射防止材として働くことが知られているが、低温域でもカーボンブラック添加により大きな断熱性能向上が見られる。この理由は定かではないが、シリカ粉末とカーボンブラックとの何らかの作用により固体熱伝導が低減されるためと考える。
粉末状カーボン材料の添加量は、1〜30wt%がよい。これは、添加量が少なすぎると断熱性能向上の効果がなく、多すぎると断熱性能が粉末状カーボン材料に依存するようになり断熱性能が悪化することや、減圧下でガス発生が多くなり経時的に断熱性能が悪化するからである。
また、真空断熱材内部に空気成分や水分を吸着する吸着材を備えている方が好ましい。吸着材を備えておくことで、溶着部分等から侵入する空気および水分を吸着し、高性能を維持することができる。
吸着材の種類は特に限定するものではなく、その吸着機構は、物理吸着、化学吸着、および吸蔵、収着等のいずれでもよいが、非蒸発型ゲッターとして作用する物質が良好である。
具体的には、合成ゼオライト、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、金属錯体等の物理吸着剤である。
化学吸着剤としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物や、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物等が利用でき、特に、酸化リチウム、水酸化リチウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸グネシウム、水酸化マグネシウム、酸化バリウム、水酸化バリウムが効果的に作用する。
また、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩化カルシウム、炭酸リチウム、不飽和脂肪酸、鉄化合物等も効果的に作用する。
また、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、リチウム等の物質を単独、もしくは合金化したゲッター物質を適用するのがより効果的である。
また、排気口13の数は1箇所である必要はなく、複数個設置し、減圧する方が減圧時間を短縮することができる。
また、排気口13は減圧しながら封止することで、芯材4は減圧を維持することができる。
また、ガスバリア性材料は金属材料でもよいが、樹脂材料の方が熱伝導率が低く、かつ成形性が高い。樹脂材料であるならばガスバリア性が高い、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイドからなる樹脂材料群から少なくとも一つを用いることが望ましい。
この場合、気体成分の浸入を抑制し、断熱性能を長期間維持することができる。さらに、樹脂材料を基材に用いているため、保温タンクの固体熱伝導率が低減され、保温性能が向上する。さらに、樹脂で形成するため形状自由度も向上する。
さらに、これらの高ガスバリア性樹脂材料は多層化し、表面はオレフィン系樹脂を多層化することが望ましい。理由として、オレフィン系樹脂は耐水性に富み、かつ安価であるため、樹脂材料の耐久性が向上するためである。
本実施の形態の保温タンク1は、内部に液状熱媒体を貯留する断熱構造の貯留部5と、貯留部5内に液状熱媒体を流入させる流入口6と、貯留部5内の液状熱媒体を貯留部5外部に流出させる流出口7と、貯留部5内の流入口6と流出口7との間に貯留部5を複数に区切って貯留部5内に流路断面積が略一定となる液状熱媒体の流路を形成するように設けられる仕切り板8とを有するものであり、上記構成の仕切り板8を設けていることにより、流入口6から流入する冷水と保温タンク1(貯留部5)内に貯留された温水との強制的な対流が抑制され、貯留部5内の温水がスムーズに押出され、貯留された温水の排出効率(保温タンク1(貯留部5)内の温水のうち冷水と混ざることなく高温を維持したまま排出される温水の割合)を高く使用することができる。これにより、高断熱性能を有し、かつ温水の排出能力に優れた高性能保温タンク1を提供することができる。また、貯留部5内に仕切り板8を設ければよいため、保温タンク1の形状に左右されることはない。また、貯留部5内を仕切り板8で複数の層に仕切ったので、自然対流が抑制され、保温効率も向上する。
また、本実施の形態の保温タンク1は、流入口6近傍の流路に、液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔10が形成された整流板9aを有するものであり、流入口6の後(下流側)に整流板9aを有することで、冷水の勢いが減衰され、かつ整流板9aの形状により均一な流量とすることが可能となり、それによって冷水と温水の混合対流が抑制され、従って、温水の排出効率がさらに向上する。特に、流入口6が存在する階層の排出効率が向上する。
また、本実施の形態の保温タンク1は、流出口7近傍の流路に、液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔10が形成された整流板9bを有するものであり、流出口7の前(上流側)に整流板9bを有することで、押出されて流入してきた冷水の勢いが減衰され、かつ整流板9bの形状により均一な流量とすることが可能となり、それによって流出口7付近で対流し、押出されなかった温水が効率よく押出され、従って、温水の排出効率がさらに向上する。特に、流出口7が存在する階層の排出効率が向上する。
また、本実施の形態の保温タンク1は、保温タンク1(貯留部5)の断熱構造が真空断熱構造であるので、断熱性能に優れ、保温特性が著しく向上する。
また、本実施の形態の保温タンク1は、真空断熱構造が、それぞれガスバリア性材料からなる外箱12と内箱11とで構成される空間に芯材4を減圧密封した構造を有するものであり、このような真空断熱構造であれば断熱性能に優れるだけでなく、内部に芯材4が存在するため、芯材4が支持材となり、円筒形でなくとも自由な形状の高性能な保温タンク1に形成することが可能となる。
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4における保温タンクの断面図である。なお、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3と同構成のものについては説明を省略する。
図5に示すように、本実施の形態は、実施の形態3の構成に加えて、ガスバリア性材料からなる内箱11と外箱12の表面に無機ガスバリア層14(皮膜)を形成したものである。
また、無機ガスバリア層14は、金属、SiO、Al、ダイヤモンドライクカーボンからなる群から少なくとも一つを皮膜形成することが良い。皮膜形成方法は蒸着でもメッキでもかまわない。これらの皮膜はガスバリア性をさらに向上させるだけでなく、特に耐湿性・耐水性・耐薬品性を向上させることができ、保温タンクの信頼性を向上させることができる。
ガスバリア層は、断熱体の内側、外側どちらでもよく、もちろん両面に形成してもよい。
金属蒸着の場合、金属の熱伝導率が高いため表面熱伝導が大きくなることから、断熱体外側に蒸着する際は、不連続な構成にし、熱的な障壁を設けるほうがよい。
また、蒸着ではなく、金属シートを成型時にインサート成形して、ガスバリア性を向上させても構わない。金属シートの種類は限定するものではないが、コストや汎用性の点からAl、Fe、Cu、ステンレスもしくはこれらを複合して用いるのが好ましい。
また、金属シートは厚いほどガスバリア性は高まるが、ヒートリークが増え、加工性が低下する。逆に金属シートが薄いと、ヒートリークは減少するが、ピンホールが増えたりし、ガスバリア性は劣る。従って好ましくは5μm〜50μmの厚さが良い。
また、金属の被覆に関してはメッキ法を用いても構わない。
本発明にかかる保温タンクは、エンジン冷却水の流路断面積を一定とすることで温水の排出効率を向上させるとともに、真空断熱構造を有することで保温性の向上も図るものであり、自動車用の蓄熱式暖気装置の効率向上や同様の技術を用いることでヒートポンプ用保温タンク等の温熱機器や、熱や寒さから保護したい物象などのあらゆる断熱用途に適用できる。
本発明の実施の形態1における保温タンクの断面図 本発明の実施の形態2における保温タンクの断面図 本発明の実施の形態2における保温タンクの整流板の平面図 本発明の実施の形態3における保温タンクの断面図 本発明の実施の形態4における保温タンクの断面図 従来例の保温タンクの断面図
符号の説明
1 保温タンク
2,11 内箱
3,12 外箱
4 芯材
5 貯留部
6 流入口
7 流出口
8,8a,8b 仕切り板
9,9a,9b 整流板
10 連通孔
14 無機ガスバリア層(皮膜)

Claims (6)

  1. 内部に液状熱媒体を貯留する断熱構造の貯留部と、前記貯留部内に前記液状熱媒体を流入させる流入口と、前記貯留部内の前記液状熱媒体を前記貯留部外部に流出させる流出口と、前記貯留部内の前記流入口と前記流出口との間に前記貯留部を複数に区切って前記貯留部内に流路断面積が略一定となる前記液状熱媒体の流路を形成するように設けられる仕切り板とを有し、前記流入口近傍の前記流路に、前記液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔が形成された整流板を有するとともに、前記連通孔は両端部近傍が中央部近傍と比較して大きいものとする保温タンク。
  2. 前記流出口近傍の前記流路に、前記液状熱媒体を流入方向から流出方向へ連通する複数の連通孔が形成された整流板を有することを特徴とする請求項に記載の保温タンク。
  3. 前記断熱構造が真空断熱構造であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の保温タンク。
  4. 前記真空断熱構造が、それぞれガスバリア性材料からなる外箱と内箱とで構成される空間に芯材を減圧密封した構造を有することを特徴とする請求項に記載の保温タンク。
  5. 前記ガスバリア性材料が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイドからなる樹脂材料群から少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項に記載の保温タンク。
  6. 前記樹脂材料に金属、SiO、Al、ダイヤモンドライクカーボンからなる群から少なくとも一つが皮膜形成されていることを特徴とする請求項に記載の保温タンク。
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