JP2004251594A - 蓄熱タンク - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄熱タンクに保温貯蔵された熱媒体の熱量を効率よく使用する。そのために、特に、蓄熱タンクに貯蔵された高温の熱媒体が、この高温の熱媒体を押し出すために取り込まれた低温の熱媒体と混じり合うことを抑制させる。
【解決手段】タンク本体6内の一方側から他方側へ向けて複数設けられて断面形状が略網目状となる空間Cab(a,b=1〜6;流路)と、複数の空間Cabのうち隣接する空間(例えば、空間C14と空間C15)のそれぞれ一方側を連通する連通部Dと、複数の空間Cabのうち隣接する空間(例えば、空間C11と空間C12)のそれぞれ他方側を連通する連通部Eと、を設け、タンク本体6内に取り込まれた熱媒体が、複数の空間Cab及び連通部D,Eによって連通された熱媒体流路をつづら折り状に流れるように構成した。
【選択図】 図3
【解決手段】タンク本体6内の一方側から他方側へ向けて複数設けられて断面形状が略網目状となる空間Cab(a,b=1〜6;流路)と、複数の空間Cabのうち隣接する空間(例えば、空間C14と空間C15)のそれぞれ一方側を連通する連通部Dと、複数の空間Cabのうち隣接する空間(例えば、空間C11と空間C12)のそれぞれ他方側を連通する連通部Eと、を設け、タンク本体6内に取り込まれた熱媒体が、複数の空間Cab及び連通部D,Eによって連通された熱媒体流路をつづら折り状に流れるように構成した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状の熱媒体を保温貯蔵する蓄熱タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などに搭載される内燃機関、特に液冷却式の内燃機関では、その冷却液(熱媒体)の熱を蓄熱すべく内燃機関に併設して蓄熱タンクを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
蓄熱タンクには、機関運転時など、冷却液が高温となるときに、そのタンク本体内に熱媒体たる高温の冷却液が取り込まれる。タンク本体内に取り込まれた冷却液は、タンク本体内に貯蔵されていた低温の冷却液(熱媒体)を、タンク本体内に開口した排水パイプから押し出し、以て高温の冷却液のみをタンク本体内に保温貯蔵する構造となっている。
【0004】
そして、冷間始動時などのように機関本体が冷えているときに、タンク本体内に低温の冷却液を取り込み、タンク本体内に保温貯蔵されていた高温の冷却液を、その低温の冷却液により排水パイプ側へと押し出すことによって、排水パイプを通じて高温の冷却液を機関本体内に流入させる。
【0005】
このように高温の冷却液が機関本体に流入すると、冷却液の熱が機関本体へ伝達され、機関本体の温度上昇が実現される。よって機関本体の始動性向上や暖気促進が図られることになる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−50675号公報
【特許文献2】
特開2000−62860号公報
【特許文献3】
特開2001−133175号公報
【特許文献4】
特開2002−188442号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両において蓄熱タンクが設置されるスペースは限られており、さらに、蓄熱タンクに蓄えられる熱量は限られているので、この限られた熱量を効率よく使用することが重要となる。
【0008】
蓄熱タンクでは、保温貯蔵されていた高温の冷却液を機関本体内に流入させる場合、タンク本体内に低温の冷却液を取り込んで、タンク本体内の高温の冷却液を、その低温の冷却液により排水パイプ側へと押し出す。この時に、取り込まれた低温の冷却液がタンク本体内の高温の冷却液に混じり合ってしまい、機関本体内に流入させる高温の冷却液の温度が低下してしまうことが考えられる。
【0009】
本発明の目的は、蓄熱タンクに保温貯蔵された熱媒体の熱量を効率よく使用することである。そのために、特に、蓄熱タンクに貯蔵された高温の熱媒体が、この高温の熱媒体を押し出すために取り込まれた低温の熱媒体と混じり合うことを抑制させることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用した。
【0011】
すなわち、蓄熱タンク内の少なくとも一部に、熱媒体が流れ、かつ、熱媒体を保温貯蔵する熱媒体流路(熱媒体が流れる経路、水路)を、蓄熱タンク内で断面形状が略網目状(格子状、蜂の巣状)になるように、つづら折り状(幾重にも屈曲している状態、曲折、曲がりくねった状態)に設けたものである。
【0012】
このように構成することにより、蓄熱タンク内において前記流路を狭く設けることができるので、蓄熱タンク内に低温の熱媒体が取り込まれた場合に、前記流路内でその低温の熱媒体が、保温貯蔵されていた熱媒体と混じり合うことを抑制することができる。すなわち、蓄熱タンク内に取り込まれた低温の熱媒体は、保温貯蔵されていた熱媒体と混じり合うことなく、保温貯蔵されていた熱媒体を蓄熱タンク外へ押し出すことができる。したがって、蓄熱タンクに保温貯蔵された熱媒体の熱量を効率よく使用することが可能となる。また、熱媒体流路を蓄熱タンク内につづら折り状に設けることによって、限られた空間で効率よく蓄熱することができる。これにより、蓄熱タンクのみならず、車両内において蓄熱タンクの近傍に配置されるものの設計の自由度を大きくすることができる。
【0013】
本発明の蓄熱タンク内に設けられる熱媒体流路の具体的な構成の一つとしては、
タンク本体内の一方側から他方側へ向けて複数並設された流路と、
前記複数の流路のうち第(2n−1)番目の流路と第(2n)番目の流路との一方側を連通させる一方側連通部と、
前記第(2n)番目の流路と第(2n+1)番目の流路との他方側を連通させる他方側連通部と、
を備え、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記複数の流路を順次連続してつづら折り状に流れることを特徴とする。
【0014】
ここで、nは自然数(1,2,・・)を表している。そして、前記複数の流路を順に連通させて、該複数の流路がつづら折り状に一本道となるように、一方側連通部及び他方側連通部を設けている。
【0015】
また、本発明の蓄熱タンク内に設けられる熱媒体流路の具体的な構成の一つとしては、
中空の部材が幾重にも曲げられることによりつづら折り状に設けられることを特徴とする。
【0016】
このように、断面形状が略網目状となる流路とは、例えば、管やホースなどの中空の部材が幾重にも曲げられたものであってもよく、また、内部を流路とする中空の部材が集まって構成されたものであってもよい。ここで、中空の部材とは、なかが空であればよく円筒状のものに限るものではない。また、断面形状が略網目状となる流路とは、例えば、板状の部材が組まれて構成されたものであってもよく、柱状の空間が複数形成されたものであってもよい。また、断面において略網目状となればよく、一方側から他方側まで全ての流路が整列して(例えば、略平行に)設けられていなくてもよい。
【0017】
また、前記流路は、蓄熱タンクに設けられた熱媒体を取り込む取込口から取出口まで連通して一本道のように設けられ、熱媒体がつづら折り状に一方向(一方通行)に(一筆書き状に)流れることが好ましいが、これに限るものではなく、蓄熱タンク内の一部に設けられていればよい。しかし、取込口近傍に前記流路が設けられていない場合には、取込口から取り込まれた温度の低い熱媒体が、保温貯蔵されている熱媒体と混じり合ってしまうので、取込口と前記流路とは連通していることが好ましい。また、略網目状の前記流路は、タンク本体内の断面全体に設けられることが好ましいが、断面全体のうち少なくとも一部に設けられていればよい。
【0018】
また、蓄熱タンクの取込口から取出口まで、一つの流路が形成されていることが好ましいが、これに限るものではない。例えば、取出口が複数設けられ、その複数の取出口に連通するように前記流路が途中で分岐していてもよい。また、蓄熱タンクの取込口と取出口とが複数組設けられ、それぞれの取込口と取出口とを連通する複数の流路が設けられていてもよい。
【0019】
また、前記流路の断面の大きさ(断面形状)は、可能な限り変化がないように設けることが好ましく、前記流路の断面形状や断面の大きさは、流路内を流れる熱媒体の速度や、熱媒体の特性(例えば、粘性の大きさ)に基づいて適宜設定されるとよい。これにより、通路抵抗が大きくなることはなく、圧力損失を抑制することができ、前記流路内における熱媒体の流れを層状の流れとすることができる。
【0020】
また、熱媒体の取入口及び取出口と、前記取入口及び取出口に連通するタンク本体内の流路との径(断面、断面積の大きさ)については、前記取入口及び取出口よりも前記流路の方を少し大きくするとよい。これにより、タンク本体内に流入する熱媒体の速度が小さくなるので、前記流路内における熱媒体の流れが乱れてしまうことを防止することができる。
【0021】
内燃機関においては、機関本体が冷えている状態で運転されると、燃焼室に供給される燃料が霧化し難くなるとともに、燃焼室の壁面近傍における消炎が発生する場合があるが、本発明の蓄熱タンクが内燃機関に適用されることにより、該蓄熱タンクに保温貯蔵された高温の熱媒体を効率よく機関本体に流すことができるので、始動性の低下や排気エミッションの悪化を防止することが可能となる。
【0022】
また、本発明の蓄熱タンクの具体的な構成の一つとしては、
液状の熱媒体を保温貯蔵するタンク本体を備えた蓄熱タンクにおいて、
前記タンク本体内の一方側から他方側に向かって略平行に設けられ前記タンク本体内の空間を仕切る第1の仕切り部材群,前記タンク本体の一方側から他方側に向かうとともに前記第1の仕切り部材群に交差するように設けられ前記タンク本体内の空間を更に仕切る第2の仕切り部材群,及び前記タンク本体の内壁面により形成される複数の流路と、
前記複数の流路のうち第(2n−1)番目の流路と該第(2n−1)番目の流路に隣設する第(2n)番目の流路との一方側を連通する一方側連通部と、
前記第(2n)番目の流路と該第(2n)番目の流路に隣設する第(2n+1)番目の流路との他方側を連通する他方側連通部と、
を有し、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記複数の流路を順次連続してつづら折り状に流れることを特徴とする。
【0023】
ここで、nは自然数(1,2,・・)を表している。そして、前記複数の流路を順に連通させて、該複数の流路がつづら折り状に一本道となるように、一方側連通部及び他方側連通部を設けている。
【0024】
第1の仕切り部材群と第2の仕切り部材群とを組む(組み合わせる)ことによって、前記複数の流路を形成することができるので、容易にタンク本体内に熱媒体の流路を狭く形成することができる。また、一方側連通部や他方側連通部は、例えば、第1の仕切り部材群と第2の仕切り部材群とを組んだ時の端部が切り欠かれていたり、長さが短く形成されることにより設けられていてもよいし、また、タンク本体内の内壁に設けられた凹部(溝)により構成されてもよい。
【0025】
また、本発明の蓄熱タンクの具体的な構成の一つとしては、
液状の熱媒体を保温貯蔵するタンク本体を備えた蓄熱タンクにおいて、
前記タンク本体内にそれぞれ平行に設けられて該タンク本体内を仕切る複数の仕切り部材と、
前記仕切り部材と前記タンク本体の内壁面とによって仕切られた空間内を、熱媒体がつづら折り状に流れる流路を少なくとも形成するように更に仕切る流路形成部材と、
前記流路形成部材により形成された流路であって、かつ、前記仕切り部材で仕切られた隣接する二つの空間にそれぞれ設けられた流路を連通させる連通部と、
を備え、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記流路及び前記連通部によって連通された熱媒体流路をつづら折り状に流れることを特徴とする。
【0026】
ここでは、タンク本体内の空間を仕切り部材によって大きく仕切り、仕切り部材によって仕切られた空間を更に流路形成部材で仕切ることにより、熱媒体の流路を形成している。流路形成部材が、仕切り部材に交差すると考えれば、仕切り部材は上述した第1の仕切り部材群と同様の部材と捉えることができ、流路形成部材は上述した第2の仕切り部材群と同様の部材と捉えることができる。
【0027】
また、流路形成部材は、熱媒体がつづら折り状に流れる流路を少なくとも形成するように、仕切り部材とタンク本体の内壁面とによって仕切られた空間内を更に仕切るものである。ここで、少なくともとあるのは、例えば、流路形成部材によって形成された流路が、仕切り部材によって仕切られた空間であって一方側と他方側とにそれぞれ隣接する空間のうち、一方側との連通部と、他方側との連通部とを連通する流路であってもよいことを意味するものである。
【0028】
また、タンク本体と、第1の仕切り部材群と、第2の仕切り部材群とは、樹脂製であると好ましい。樹脂製とすることにより、例えば振動溶着や接着などの方法により容易にタンク本体内に流路を形成することができる。
【0029】
ここで、蓄熱タンクに熱媒体を保温貯蔵している間においても、蓄熱タンク内の熱媒体に温度差が生じてしまうと自然対流が発生してしまい、蓄熱タンク内の熱媒体の温度が低下してしまうことが考えられる。タンク本体と、第1の仕切り部材群と、第2の仕切り部材群とを熱伝導率の低い樹脂製とし、タンク本体と、第1の仕切り部材群と、第2の仕切り部材群とにより狭い流路を形成することにより、保温性の向上を図ることができるので、自然対流の発生を抑制することができる。
【0030】
また、熱媒体に温度差が生じて自然対流が発生してしまう現象は、特に、タンク本体内と外部とを連通して熱媒体を出し入れする取入口や取出口近傍において起こり得る。
【0031】
このような場合には、一方側と他方側とを、上下方向(鉛直方向、天地方向)に設定し、タンク本体内で外部に最も近い取入口及び取出口をタンク本体の下側に設けるとよい。これにより、タンク本体内で外部に最も近い取入口及び取出口近傍の熱媒体から温度の低下が生じ、タンク本体内の取入口及び取出口近傍の熱媒体の温度が低下してしまった場合、温度の低下した熱媒体が温度差によって移動する方向は下側(鉛直方向)となる。
【0032】
したがって、蓄熱タンク内に保温貯蔵されている熱媒体に自然対流が発生することを抑制し、自然対流が発生しても蓄熱タンク内に保温貯蔵されている熱媒体の温度の低下を防止することができる。なお、タンク本体内への熱媒体の出入口となる取入口及び取出口近傍の流路がタンク本体の下側であって、上下方向に設けられていれば、タンク本体内の流路の方向に関係なく、効果を得ることはできる。
【0033】
また、タンク本体の内部を仕切る第1の仕切り部材群及び第2の仕切り部材群は、タンク本体を補強する役割も果たすことになるので、内圧上昇や内圧変動などによるタンクの破壊を防止することができる。
【0034】
また、熱媒体としては、例えば、冷却水や潤滑油が挙げられ、自動車に使用される冷却水としては例えばLLC(ロングライフクーラント)が挙げられる。このため、その冷却水を貯蔵するために、耐久信頼性、耐薬品性、断熱性などが要求されるが、タンク本体と、第1の仕切り部材群と、第2の仕切り部材群とを樹脂製、例えば、ポリフェニレンサルファイドやポリアミド樹脂などで構成することによってこれらの要求を満たすことができる。
【0035】
また、タンク本体を被覆する断熱部を備えるとよい。断熱部とは、熱伝導率の低い材料で構成されていれば特に限定されるものではないが、例えばポリプロピレンなどの樹脂製であるとよい。また、断熱部は真空の層を表すものであってもよく、タンク本体と蓄熱タンクの外側容器との間が真空状態となるように構成しても蓄熱タンクの保温性を確保することができる。このように、蓄熱タンクをタンク本体と断熱部との二重構造とすることによって、蓄熱効果をさらに向上させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施態様について図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態においては、本発明の実施の形態に係る蓄熱タンクを車両駆動用の内燃機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態に係る蓄熱タンク1を適用するエンジン100と、蓄熱タンク1に保温貯蔵される熱媒体としての冷却水が循環する冷却水通路(循環通路)X、Y、Zとを併せ示す概略構成図である。
【0038】
エンジン100内には、冷却水が循環するための通路であるウォータジャケット101が設けられている。このウォータジャケット101の入口には、冷却水をエンジン100外部から吸い込み、エンジン100内部に吐出させるウォータポンプ102が設けられている。このウォータポンプ102は、エンジン100の出力軸の回転トルクを駆動源として作動するポンプである。即ち、ウォータポンプ102は、エンジン100が運転されているときに限り作動する。
【0039】
循環通路Xは、主に、冷却水の熱をラジエータ103から放出させることにより、冷却水の温度を低下させる機能を有する。循環通路Xは、ラジエータ103、ラジエータ103に接続するラジエータ入口側通路X1及びラジエータ出口側通路X2、ウォータジャケット101で構成されている。ラジエータ入口側通路X1は、ウォータジャケット101の出口に接続され、ラジエータ入口側通路X1の途中にはECU104からの信号により開閉する遮断弁105が介在する。
【0040】
ラジエータ出口側通路X2は、ウォータポンプ102を介してウォータジャケット101の入口に接続されており、ラジエータ出口側通路X2上には、冷却水の温度が所定温度になると開弁するサーモスタット107が設けられている。
【0041】
循環通路Yは、主に、冷却水の熱をヒータコア106から放出させることにより、車室内雰囲気温度を上昇させる機能を有する。循環通路Yは、ヒータコア106、ヒータコア106に接続するヒータコア入口側通路Y1及びヒータコア出口側通路Y2で構成されている。ヒータコア入口側通路Y1は、ラジエータ入口側通路X1の途中に接続される。ヒータコア出口側通路Y2は、ラジエータ出口側通路X2の途中であってサーモスタット107とウォータポンプ102との間に接続されている。
【0042】
循環通路Zは、主に、冷却水の熱を蓄え、又、この蓄えた熱を放出してエンジン100を温める機能を有する。循環通路Zは、蓄熱タンク1、蓄熱タンク1に接続する蓄熱タンク入口側通路Z1及び蓄熱タンク出口側通路Z2で構成されている。蓄熱タンク入口側通路Z1は、ラジエータ入口側通路X1の途中に接続される。蓄熱タンク出口側通路Z2は、エンジン100に接続されている。
【0043】
エンジン100の内部では、循環通路X及びYとウォータジャケット101を一部共用する。又、蓄熱タンク1の入口及び出口には、冷却水を図1中の矢印方向にのみ流通させるためのワンウェイバルブ108が設けられている。蓄熱タンク入口側通路Z1の途中で、且つ、ワンウェイバルブ108の上流側には、電動ウォータポンプ109が介在している。
【0044】
このように構成された循環通路では、循環通路Xにおいては、エンジン100が運転中には、図示しないクランクシャフトの回転トルクがウォータポンプ102の入力軸へ伝達されると、ウォータポンプ102は、図示しないクランクシャフトから該ウォータポンプ102の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で冷却水を吐出する。エンジン100が停止中にはウォータポンプ102が停止するので、冷却水が循環通路Xを循環することはない。
【0045】
前記ウォータポンプ102から吐出された冷却水は、ウォータジャケット101を流通する。このときに、エンジン100と冷却水との間で熱の移動が行われ、温度が上昇した冷却水は、エンジン100からラジエータ入口側通路X1へ流出する。
【0046】
ラジエータ入口側通路X1へ流出した冷却水は、当該ラジエータ入口側通路X1を流通し遮断弁105に到達する。遮断弁105は、ECU104からの信号により、エンジン100の運転中には開弁され、エンジン100の停止中には閉弁される。エンジン100の運転中には、冷却水は遮断弁105を通過してラジエータ入口側通路X1を流通した後ラジエータ103に流入する。ラジエータ103では、外気と冷却水との間で熱の移動が行われ、温度が低下した冷却水は、ラジエータ103から流出する。
【0047】
ラジエータ103から流出した冷却水は、ラジエータ出口側通路X2を流通してサーモスタット107に到達する。ここで、サーモスタット107は、ヒータコア出口側通路Y2を流通する冷却水の温度が所定温度に達すると自動的に開弁する。即ち、ヒータコア出口側通路Y2を流通する冷却水の温度が所定温度に達していなければ、ラジエータ出口側通路X2は遮断され冷却水は流通しない。サーモスタット107が開弁しているときには、当該サーモスタット107を通過した冷却水はウォータポンプ102に流入する。
【0048】
このようにして、ラジエータ103で温度が下降した冷却水は、再びウォータポンプ102からウォータジャケット101へ吐出され温度が上昇する。
【0049】
一方、ラジエータ入口側通路X1を流通する冷却水の一部は、ヒータコア入口側通路Y1に流入する。ヒータコア入口側通路Y1に流入した冷却水は、ヒータコア106に到達し、ヒータコア106により空気と熱交換が行われ、熱の移動により昇温された空気により車室内雰囲気温度が上昇する。その後、冷却水は、ヒータコア106から流出してラジエータ出口側通路X2に到達する。このときに、サーモスタット107が開弁しているときには、循環通路Xを流通する冷却水と合流してウォータポンプ102へ流入する。一方、サーモスタット107が閉弁しているときには、循環通路Yを流通してきた冷却水のみがウォータポンプ102に流入する。
【0050】
このようにして、ヒータコア106で温度が下降した冷却水は、再びウォータポンプ102からウォータジャケット101へ吐出される。
【0051】
また、ラジエータ入口側通路X1を流通する冷却水の一部は、蓄熱タンク入口側通路Z1に流入する。蓄熱タンク入口側通路Z1に流入した冷却水は、当該蓄熱タンク入口側通路Z1を流通して電動ウォータポンプ109に到達する。電動ウォータポンプ109は、ECU104からの信号により作動して、所定の圧力で冷却水を吐出する。
【0052】
電動ウォータポンプ109が作動している場合には、冷却水は所定の圧力で吐出され、蓄熱タンク入口側通路Z1を流通してワンウェイバルブ108を通過し、蓄熱タンク1に到達する。蓄熱タンク1内への冷却水の取入口となる冷却水注入管4から蓄熱タンク1の内部に流入した冷却水は、外部から断熱された状態となり保温貯蔵される。蓄熱タンク1において冷却水の取出口となる冷却水注出管5から蓄熱タンク1外へ流出した冷却水は、ワンウェイバルブ108を通過し、蓄熱タンク出口側通路Z2を流通してエンジン100に流入する。
【0053】
次に、エンジン100の昇温制御(エンジンプレヒート制御)について説明する。
【0054】
エンジン100には、当該エンジン100を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)104が併設されており、このECU104により、エンジン100の運転停止中にエンジン100の昇温制御(エンジンプレヒート制御)が行われる。
【0055】
エンジン100の運転中に、ECU104が電動ウォータポンプ109に信号を送り、当該電動ウォータポンプ109を作動させると、循環通路Zに冷却水が循環する。すると、蓄熱タンク1の内部には、エンジン100で昇温された冷却水が流通し、蓄熱タンク1の内部は温度の高い冷却水で満たされる。そして、エンジン100が停止した後、ECU104が電動ウォータポンプ109の作動を停止すれば、蓄熱タンク1に温度の高い冷却水を蓄えることができる。蓄えられた冷却水は、蓄熱タンク1の保温効果により温度の低下が抑制される。
【0056】
ECU104は、蓄熱タンク1に蓄えられた温度の高い冷却水をエンジン100の停止中にエンジン100に循環させ、エンジン100の昇温制御を行う。ここで、エンジン100が停止するとウォータポンプ102も停止するために、エンジン100の停止中には電動ウォータポンプ109を作動させて冷却水を循環させることとする。
【0057】
電動ウォータポンプ109は、エンジン100の停止中においてもECU104からの信号に基づいて作動し、所定の圧力で冷却水を吐出する。吐出された冷却水は、蓄熱タンク入口側通路Z1を流通してワンウェイバルブ108を通過し、蓄熱タンク1に到達する。このときに蓄熱タンク1に流入する冷却水は、エンジン100の停止中に温度が低下した冷却水である。
【0058】
蓄熱タンク1の内部に貯留された冷却水は、冷却水注出管5を介して蓄熱タンク1から流出する。このときに蓄熱タンク1から流出する冷却水は、エンジン100の運転中に蓄熱タンク1に流入し、当該蓄熱タンク1により保温された温度の高い冷却水である。蓄熱タンク1から流出した冷却水は、ワンウェイバルブ108を通過し、蓄熱タンク出口側通路Z2を流通してエンジン100内に流入する。
【0059】
このように、ECU104は、エンジン100の始動に先立ち電動ウォータポンプ109を作動させることにより、エンジン100の昇温(エンジンプレヒート制御)を行う。
【0060】
次に、蓄熱タンク1について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る蓄熱タンク1の概略断面図である。
【0061】
本実施の形態に係る蓄熱タンク1は、その外観において、略四角柱状に形成され耐圧性を有する外側容器2と、外側容器2の底部に外側容器2に対して気密状態に設けられたパイプホルダ3と、熱媒体としての冷却水の取入口となる冷却水注入管4と、冷却水の取出口となる冷却水注出管5とを備えるものである。
【0062】
そして、外側容器2内にはタンク本体6が設けられており、外側容器2は、このタンク本体6を内包するように設けられている。ここで、外側容器2は、例えば、耐食性に優れたステンレスやアルミニウムなどの金属、プラスチックなどの非金属で形成することができ、熱伝導率の小さい材質で形成されるのが好ましい。
【0063】
また、タンク本体6と外側容器2との間には、断熱材7が設けられている。断熱材7は、平板状の断熱材が接合されてなるもので、外側容器2の内壁の全面を被覆するように設けられている。そして、この断熱材7はタンク本体6を包囲するものであり、タンク本体6は断熱材7に包囲されることによって、高温の冷却水を貯留して蓄熱する能力が増大されている。
【0064】
断熱材7は、タンク本体6の底部(下側)においては、冷却水注入管4及び冷却水注出管5を貫通させ、冷却水注入管4及び冷却水注出管5の外周面に密接して取り付けられている。なお、パイプホルダ3は断熱材7の底部を貫通するように設けられていてもよい。この場合には、断熱材7は、冷却水注入管4及び冷却水注出管5の外周面に密接しパイプホルダ3を覆うように設けられるとよいが、断熱材7を貫通しているパイプホルダ3の外周面にのみ密接して取り付けられていてもよい。
【0065】
ここで、断熱材7を構成する材料は熱伝導率の低い材料であれば特に限定されるものではないが、例えばポリプロピレンなどの樹脂製であるとよい。また、断熱材7を設けることなく、タンク本体6と外側容器2との間を真空状態としてもよく、このように構成しても外側容器2内の保温性を確保することができる。
【0066】
パイプホルダ3には、冷却水がタンク本体内部へ流入するときに通過する冷却水注入管4と、冷却水がタンク本体内部から外部へ流出するときに通過する冷却水注出管5とが支持されている。また、パイプホルダ3は、図に示すようにタンク本体の底部(下側)に設けられており、冷却水注入管4と冷却水注出管5とは冷却水が上下方向(鉛直方向)に流れるように配置されている。なお、ワンウェイバルブ108は、冷却水注入管4及び冷却水注出管5の近傍に設けられているとよく、また、冷却水注入管4と冷却水注出管5との少なくともいずれか一方において、更なる弁(ワンウェイバルブ)が設けられていてもよい。
【0067】
次に、内燃機関の高温の冷却水を貯留して蓄熱するタンク本体6について説明する。本実施の形態に係るタンク本体6は、その内部に断面形状が略網目状となるような複数の空間(流路)が設けられ、この複数の空間を冷却水が一方向に流れるように構成されている。
【0068】
すなわち、タンク本体6の内部には、上下方向(タンク本体6内の一方側から他方側に向かう方向)にのびてタンク本体6の内部の空間を略平行に仕切る第1の仕切り部材群Aと、上下方向にのびるとともに第1の仕切り部材群Aに対してそれぞれ略直交して設けられ第1の仕切り部材群A及びタンク本体6の内壁面によって形成された空間内をさらに仕切る第2の仕切り部材群Bとが設けられている。
【0069】
そして、第1の仕切り部材群Aと第2の仕切り部材群Bとタンク本体6の内壁面とによって上下方向にのびる複数の空間が成形され、その複数の空間のうちの1つの空間において、上側の端部で隣接する空間と連通され、下側の端部で隣接する空間と連通されることによって、タンク本体6内に設けられた複数の空間は、つづら折り状の一本道の冷却水流路(熱媒体流路)を構成するものである。以下に、図を用いて説明する。
【0070】
図3は、タンク本体6内に設けられた、第1の仕切り部材群Aと第2の仕切り部材群Bとを模式的に示す斜視図である。また、図4は、第1の仕切り部材群A,第2の仕切り部材群B及びタンク本体6を模式的に示す上視図である。
【0071】
図において、第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bには、それぞれ5つの仕切り部材(A1〜A5,B1〜B5)が設けられた場合について示している。そして、第1の仕切り部材群Aと第2の仕切り部材群Bとタンク本体6の内壁面とにより形成された複数の空間をCab(a,b=1〜6;aは第1の仕切り部材群Aに対応するもの、bは第2の仕切り部材群Bに対応するもの)と示している。
【0072】
すなわち、タンク本体6の内壁面と仕切り部材A1とで仕切られた空間をC1b、仕切り部材A1と仕切り部材A2とで仕切られた空間をC2b、仕切り部材A2と仕切り部材A3とで仕切られた空間をC3b、仕切り部材A3と仕切り部材A4とで仕切られた空間をC4b、仕切り部材A4と仕切り部材A5とで仕切られた空間をC5b、仕切り部材A5とタンク本体6の内壁面とで仕切られた空間をC6bとしている。
【0073】
そして、タンク本体6の内壁面と仕切り部材B1とで仕切られた空間をCa1、仕切り部材B1と仕切り部材B2とで仕切られた空間をCa2、仕切り部材B2と仕切り部材B3とで仕切られた空間をCa3、仕切り部材B3と仕切り部材B4とで仕切られた空間をCa4、仕切り部材B4と仕切り部材B5とで仕切られた空間をCa5、仕切り部材B5とタンク本体6の内壁面とで仕切られた空間をCa6とすることにより、第1の仕切り部材群Aと第2の仕切り部材群Bとタンク本体6の内壁面とで形成された複数の空間をCabで示している。
【0074】
そして、空間C52と空間C53との間,空間C54と空間C55との間,空間C56と空間C66との間,空間C65と空間C64との間,空間C63と空間C62との間,空間C61と空間C51との間,空間C41と空間C42との間,空間C43と空間C44との間,空間C45と空間C46との間,空間C36と空間C35との間,空間C34と空間C33との間,空間C32と空間C31との間,空間C21と空間C11との間,空間C12と空間C13との間,空間C14と空間C15との間,空間C16と空間C26との間,空間C25と空間C24との間,空間C23と空間C22との間,にはそれぞれ上側の端部で連通する連通部(一方側連通部)Dが設けられている。なお、図3の符号Dにおいては、空間C14と空間C15との間,及び空間C52と空間C53との間に設けられた連通部を示している。
【0075】
また、空間C53と空間C54との間,空間C55と空間C56との間,空間C66と空間C65との間,空間C64と空間C63との間,空間C62と空間C61との間,空間C51と空間C41との間,空間C42と空間C43との間,空間C44と空間C45との間,空間C46と空間C36との間,空間C35と空間C34との間,空間C33と空間C32との間,空間C31と空間C21との間,空間C11と空間C12との間,空間C13と空間C14との間,空間C15と空間C16との間,空間C26と空間C25との間,空間C24と空間C23との間,にはそれぞれ下側の端部で連通する連通部(他方側連通部)Eが設けられている。なお、図3の符号Eにおいては、空間C11と空間C12との間に設けられた連通部を示している。
【0076】
図に示す連通部D,Eは、第1の仕切り部材群Aや第2の仕切り部材群Bの端部が短く、タンク本体6の内壁面まで達することなく設けられることによって形成されている。
【0077】
そして、空間C52の下側端部が冷却水注入管4に接続され、空間C22の下側端部が冷却水注出管5に接続されている。これにより、以下に示す一本道となる冷却水流路がつづら折り状に形成される。
【0078】
すなわち、冷却水注入管4→空間C52(空間内を上方向に流れる、以下、上と記す)→連通部D→空間C53(空間内を下方向に流れる、以下、下と記す)→連通部E→空間C54(上)→連通部D→空間C55(下)→連通部E→空間C56(上)→連通部D→空間C66(下)→連通部E→空間C65(上)→連通部D→空間C64(下)→連通部E→空間C63(上)→連通部D→空間C62(下)→連通部E→空間C61(上)→連通部D→空間C51(下)→連通部E→空間C41(上)→連通部D→空間C42(下)→連通部E→空間C43(上)→連通部D→空間C44(下)→連通部E→空間C45(上)→連通部D→空間C46(下)→連通部E→空間C36(上)→連通部D→空間C35(下)→連通部E→空間C34(上)→連通部D→空間C33(下)→連通部E→空間C32(上)→連通部D→空間C31(下)→連通部E→空間C21(上)→連通部D→空間C11(下)→連通部E→空間C12(上)→連通部D→空間C13(下)→連通部E→空間C14(上)→連通部D→空間C15(下)→連通部E→空間C16(上)→連通部D→空間C26(下)→連通部E→空間C25(上)→連通部D→空間C24(下)→連通部E→空間C23(上)→連通部D→空間C22(下)→冷却水注出管5となる。
【0079】
ここで、冷却水注入管4,冷却水注出管5にそれぞれ接続されている空間C52,空間C22の径(断面の大きさ)は、冷却水注入管4,冷却水注出管5の径よりも少し大きく設けられている。
【0080】
図5は、仕切り部材A3と仕切り部材A4との間を第1の仕切り部材群Aと平行に切断した場合の断面図を模式的に示したものである。
【0081】
空間C41から空間C46までは図5に示すようなつづら折り状の流路に形成され、冷却水は、図5に示す矢印のように一本道となった流路を一方向に流れていく。
【0082】
ここで、冷却水の流路を構成する、タンク本体6,第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bの材質について説明する。タンク本体6,第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bは、熱伝導率の低い樹脂、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)やPA66(ポリアミド樹脂)で構成している。樹脂製とすることにより、振動溶着・接着などの方法によってタンク本体6内に第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bを容易に形成することができ、タンク本体6を容易に形成することができる。
【0083】
上述したように、本実施の形態に係る蓄熱タンク1は、タンク本体6の内部の空間を、第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bによって仕切り、つづら折り状に一本道となる空間を形成することによって、冷却水の流路を適度に狭く形成することができる。
【0084】
したがって、冷却水注入管4から温度の低い冷却水が蓄熱タンク1内に流入した場合、温度の低い冷却水と、蓄熱タンク1内に保温貯蔵されている高温の冷却水との混合を抑制することができる。これにより、蓄熱タンク1内に保温貯蔵されている高温の冷却水は、冷却水注入管4から流入される温度の低い冷却水によって下流側へと押され、冷却水注出管5から押し出されることとなり、すなわち、蓄熱タンク1に保温貯蔵されていた高温の冷却水を蓄熱タンク1から効率よく取り出すことができる。
【0085】
また、第1の仕切り部材群A,第2の仕切り部材群B,及びタンク本体6を熱伝導率の低い樹脂で構成しているので、タンク本体6内に貯蔵された冷却水を効率よく保温することができる。そして、熱伝導率の低い樹脂で構成された第1の仕切り部材群A,第2の仕切り部材群B,及びタンク本体6により形成される冷却水の流路が、適度に狭く形成されることによって、保温性をさらに向上することができる。これにより、高温の冷却水を保温貯蔵している間(保温中)でも、自然対流の発生を抑制することができる。
【0086】
また、冷却水の流路となる複数の空間は仕切り部材を介して隣接しているが、仕切り部材の熱伝導率は低いため、冷却水注入管4から温度の低い冷却水がタンク本体6の内部に流入した場合、温度の低い冷却水が流入している空間(例えば、図2に示すC52)に隣接する空間(前記C52に対するC42)に保温貯蔵された高温の冷却水の温度が低下してしまうようなことはない。
【0087】
また、冷却水の出入口となる冷却水注入管4及び冷却水注出管5をタンク本体の下側に設けたので、内燃機関本体が冷えることにより、冷却水の保温中に冷却水注入管4や冷却水注出管5の温度が低下してしまう場合でも、冷却水注入管4や冷却水注出管5の近傍で冷やされてしまった冷却水は比重差により重力にしたがって下側(冷却水注入管4や冷却水注出管5に向かう方向)に移動するのでタンク本体6内に入り込んでしまうことはない。
【0088】
また、空間C52,空間C22の径(断面の大きさ)は、冷却水注入管4,冷却水注出管5の径よりも少し大きく設けられているので、タンク本体内に流入する冷却水の速度が小さくなり、冷却水流路内における冷却水の流れを乱すことを防止することができる。
【0089】
また、タンク本体6の内部を仕切る第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bは、タンク本体6を補強する役割も果たすことになるので、内圧上昇や内圧変動などによるタンクの破壊を防止することができる。
【0090】
また、タンク本体6,第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bが熱伝導率の低い樹脂で構成され、さらにタンク本体6が断熱材7で覆われるという二重構造とすることによって、内燃機関の高温の冷却水を長時間保温することができる。
【0091】
なお、本実施の形態では、蓄熱タンクの一実施態様として、タンク本体6内を仕切る第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bによって冷却水流路を構成させた場合について説明したが、管やホースなどの中空の部材を幾重にも曲げることによってタンク本体6内に冷却水流路を構成させてもよい。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、蓄熱タンクに保温貯蔵された高温の熱媒体が、この高温の熱媒体を押し出すために取り込まれた低温の熱媒体と混じり合うことを抑制することができ、蓄熱タンクに保温貯蔵された熱媒体の熱量を効率よく使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る蓄熱タンクを適用するエンジンと、蓄熱タンクに保温貯蔵される熱媒体が循環する通路(循環通路)とを併せ示す概略構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る蓄熱タンクの概略断面図。
【図3】タンク本体内に設けられた、第1の仕切り部材群と第2の仕切り部材群とを模式的に示す斜視図。
【図4】第1の仕切り部材群,第2の仕切り部材群及びタンク本体を模式的に示す上視図。
【図5】図3,4に示す仕切り部材A3と仕切り部材A4との間を切断した場合の模式的断面図。
【符号の説明】
1 蓄熱タンク
2 外側容器
3 パイプホルダ
4 冷却水注入管
5 冷却水注出管
6 タンク本体
7 断熱材
100 エンジン
101 ウォータジャケット
102 ウォータポンプ
103 ラジエータ
104 ECU
105 遮断弁
106 ヒータコア
107 サーモスタット
108 ワンウェイバルブ
109 電動ウォータポンプ
A 第1の仕切り部材群
A1〜A5 仕切り部材
B 第2の仕切り部材群
B1〜B5 仕切り部材
Cab(a,b=1〜6) 空間(流路)
X,Y,Z 冷却水通路(循環通路)
X1 ラジエータ入口側通路
X2 ラジエータ出口側通路
Y1 ヒータコア入口側通路
Y2 ヒータコア出口側通路
Z1 蓄熱タンク入口側通路
Z2 蓄熱タンク出口側通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状の熱媒体を保温貯蔵する蓄熱タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などに搭載される内燃機関、特に液冷却式の内燃機関では、その冷却液(熱媒体)の熱を蓄熱すべく内燃機関に併設して蓄熱タンクを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
蓄熱タンクには、機関運転時など、冷却液が高温となるときに、そのタンク本体内に熱媒体たる高温の冷却液が取り込まれる。タンク本体内に取り込まれた冷却液は、タンク本体内に貯蔵されていた低温の冷却液(熱媒体)を、タンク本体内に開口した排水パイプから押し出し、以て高温の冷却液のみをタンク本体内に保温貯蔵する構造となっている。
【0004】
そして、冷間始動時などのように機関本体が冷えているときに、タンク本体内に低温の冷却液を取り込み、タンク本体内に保温貯蔵されていた高温の冷却液を、その低温の冷却液により排水パイプ側へと押し出すことによって、排水パイプを通じて高温の冷却液を機関本体内に流入させる。
【0005】
このように高温の冷却液が機関本体に流入すると、冷却液の熱が機関本体へ伝達され、機関本体の温度上昇が実現される。よって機関本体の始動性向上や暖気促進が図られることになる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−50675号公報
【特許文献2】
特開2000−62860号公報
【特許文献3】
特開2001−133175号公報
【特許文献4】
特開2002−188442号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両において蓄熱タンクが設置されるスペースは限られており、さらに、蓄熱タンクに蓄えられる熱量は限られているので、この限られた熱量を効率よく使用することが重要となる。
【0008】
蓄熱タンクでは、保温貯蔵されていた高温の冷却液を機関本体内に流入させる場合、タンク本体内に低温の冷却液を取り込んで、タンク本体内の高温の冷却液を、その低温の冷却液により排水パイプ側へと押し出す。この時に、取り込まれた低温の冷却液がタンク本体内の高温の冷却液に混じり合ってしまい、機関本体内に流入させる高温の冷却液の温度が低下してしまうことが考えられる。
【0009】
本発明の目的は、蓄熱タンクに保温貯蔵された熱媒体の熱量を効率よく使用することである。そのために、特に、蓄熱タンクに貯蔵された高温の熱媒体が、この高温の熱媒体を押し出すために取り込まれた低温の熱媒体と混じり合うことを抑制させることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用した。
【0011】
すなわち、蓄熱タンク内の少なくとも一部に、熱媒体が流れ、かつ、熱媒体を保温貯蔵する熱媒体流路(熱媒体が流れる経路、水路)を、蓄熱タンク内で断面形状が略網目状(格子状、蜂の巣状)になるように、つづら折り状(幾重にも屈曲している状態、曲折、曲がりくねった状態)に設けたものである。
【0012】
このように構成することにより、蓄熱タンク内において前記流路を狭く設けることができるので、蓄熱タンク内に低温の熱媒体が取り込まれた場合に、前記流路内でその低温の熱媒体が、保温貯蔵されていた熱媒体と混じり合うことを抑制することができる。すなわち、蓄熱タンク内に取り込まれた低温の熱媒体は、保温貯蔵されていた熱媒体と混じり合うことなく、保温貯蔵されていた熱媒体を蓄熱タンク外へ押し出すことができる。したがって、蓄熱タンクに保温貯蔵された熱媒体の熱量を効率よく使用することが可能となる。また、熱媒体流路を蓄熱タンク内につづら折り状に設けることによって、限られた空間で効率よく蓄熱することができる。これにより、蓄熱タンクのみならず、車両内において蓄熱タンクの近傍に配置されるものの設計の自由度を大きくすることができる。
【0013】
本発明の蓄熱タンク内に設けられる熱媒体流路の具体的な構成の一つとしては、
タンク本体内の一方側から他方側へ向けて複数並設された流路と、
前記複数の流路のうち第(2n−1)番目の流路と第(2n)番目の流路との一方側を連通させる一方側連通部と、
前記第(2n)番目の流路と第(2n+1)番目の流路との他方側を連通させる他方側連通部と、
を備え、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記複数の流路を順次連続してつづら折り状に流れることを特徴とする。
【0014】
ここで、nは自然数(1,2,・・)を表している。そして、前記複数の流路を順に連通させて、該複数の流路がつづら折り状に一本道となるように、一方側連通部及び他方側連通部を設けている。
【0015】
また、本発明の蓄熱タンク内に設けられる熱媒体流路の具体的な構成の一つとしては、
中空の部材が幾重にも曲げられることによりつづら折り状に設けられることを特徴とする。
【0016】
このように、断面形状が略網目状となる流路とは、例えば、管やホースなどの中空の部材が幾重にも曲げられたものであってもよく、また、内部を流路とする中空の部材が集まって構成されたものであってもよい。ここで、中空の部材とは、なかが空であればよく円筒状のものに限るものではない。また、断面形状が略網目状となる流路とは、例えば、板状の部材が組まれて構成されたものであってもよく、柱状の空間が複数形成されたものであってもよい。また、断面において略網目状となればよく、一方側から他方側まで全ての流路が整列して(例えば、略平行に)設けられていなくてもよい。
【0017】
また、前記流路は、蓄熱タンクに設けられた熱媒体を取り込む取込口から取出口まで連通して一本道のように設けられ、熱媒体がつづら折り状に一方向(一方通行)に(一筆書き状に)流れることが好ましいが、これに限るものではなく、蓄熱タンク内の一部に設けられていればよい。しかし、取込口近傍に前記流路が設けられていない場合には、取込口から取り込まれた温度の低い熱媒体が、保温貯蔵されている熱媒体と混じり合ってしまうので、取込口と前記流路とは連通していることが好ましい。また、略網目状の前記流路は、タンク本体内の断面全体に設けられることが好ましいが、断面全体のうち少なくとも一部に設けられていればよい。
【0018】
また、蓄熱タンクの取込口から取出口まで、一つの流路が形成されていることが好ましいが、これに限るものではない。例えば、取出口が複数設けられ、その複数の取出口に連通するように前記流路が途中で分岐していてもよい。また、蓄熱タンクの取込口と取出口とが複数組設けられ、それぞれの取込口と取出口とを連通する複数の流路が設けられていてもよい。
【0019】
また、前記流路の断面の大きさ(断面形状)は、可能な限り変化がないように設けることが好ましく、前記流路の断面形状や断面の大きさは、流路内を流れる熱媒体の速度や、熱媒体の特性(例えば、粘性の大きさ)に基づいて適宜設定されるとよい。これにより、通路抵抗が大きくなることはなく、圧力損失を抑制することができ、前記流路内における熱媒体の流れを層状の流れとすることができる。
【0020】
また、熱媒体の取入口及び取出口と、前記取入口及び取出口に連通するタンク本体内の流路との径(断面、断面積の大きさ)については、前記取入口及び取出口よりも前記流路の方を少し大きくするとよい。これにより、タンク本体内に流入する熱媒体の速度が小さくなるので、前記流路内における熱媒体の流れが乱れてしまうことを防止することができる。
【0021】
内燃機関においては、機関本体が冷えている状態で運転されると、燃焼室に供給される燃料が霧化し難くなるとともに、燃焼室の壁面近傍における消炎が発生する場合があるが、本発明の蓄熱タンクが内燃機関に適用されることにより、該蓄熱タンクに保温貯蔵された高温の熱媒体を効率よく機関本体に流すことができるので、始動性の低下や排気エミッションの悪化を防止することが可能となる。
【0022】
また、本発明の蓄熱タンクの具体的な構成の一つとしては、
液状の熱媒体を保温貯蔵するタンク本体を備えた蓄熱タンクにおいて、
前記タンク本体内の一方側から他方側に向かって略平行に設けられ前記タンク本体内の空間を仕切る第1の仕切り部材群,前記タンク本体の一方側から他方側に向かうとともに前記第1の仕切り部材群に交差するように設けられ前記タンク本体内の空間を更に仕切る第2の仕切り部材群,及び前記タンク本体の内壁面により形成される複数の流路と、
前記複数の流路のうち第(2n−1)番目の流路と該第(2n−1)番目の流路に隣設する第(2n)番目の流路との一方側を連通する一方側連通部と、
前記第(2n)番目の流路と該第(2n)番目の流路に隣設する第(2n+1)番目の流路との他方側を連通する他方側連通部と、
を有し、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記複数の流路を順次連続してつづら折り状に流れることを特徴とする。
【0023】
ここで、nは自然数(1,2,・・)を表している。そして、前記複数の流路を順に連通させて、該複数の流路がつづら折り状に一本道となるように、一方側連通部及び他方側連通部を設けている。
【0024】
第1の仕切り部材群と第2の仕切り部材群とを組む(組み合わせる)ことによって、前記複数の流路を形成することができるので、容易にタンク本体内に熱媒体の流路を狭く形成することができる。また、一方側連通部や他方側連通部は、例えば、第1の仕切り部材群と第2の仕切り部材群とを組んだ時の端部が切り欠かれていたり、長さが短く形成されることにより設けられていてもよいし、また、タンク本体内の内壁に設けられた凹部(溝)により構成されてもよい。
【0025】
また、本発明の蓄熱タンクの具体的な構成の一つとしては、
液状の熱媒体を保温貯蔵するタンク本体を備えた蓄熱タンクにおいて、
前記タンク本体内にそれぞれ平行に設けられて該タンク本体内を仕切る複数の仕切り部材と、
前記仕切り部材と前記タンク本体の内壁面とによって仕切られた空間内を、熱媒体がつづら折り状に流れる流路を少なくとも形成するように更に仕切る流路形成部材と、
前記流路形成部材により形成された流路であって、かつ、前記仕切り部材で仕切られた隣接する二つの空間にそれぞれ設けられた流路を連通させる連通部と、
を備え、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記流路及び前記連通部によって連通された熱媒体流路をつづら折り状に流れることを特徴とする。
【0026】
ここでは、タンク本体内の空間を仕切り部材によって大きく仕切り、仕切り部材によって仕切られた空間を更に流路形成部材で仕切ることにより、熱媒体の流路を形成している。流路形成部材が、仕切り部材に交差すると考えれば、仕切り部材は上述した第1の仕切り部材群と同様の部材と捉えることができ、流路形成部材は上述した第2の仕切り部材群と同様の部材と捉えることができる。
【0027】
また、流路形成部材は、熱媒体がつづら折り状に流れる流路を少なくとも形成するように、仕切り部材とタンク本体の内壁面とによって仕切られた空間内を更に仕切るものである。ここで、少なくともとあるのは、例えば、流路形成部材によって形成された流路が、仕切り部材によって仕切られた空間であって一方側と他方側とにそれぞれ隣接する空間のうち、一方側との連通部と、他方側との連通部とを連通する流路であってもよいことを意味するものである。
【0028】
また、タンク本体と、第1の仕切り部材群と、第2の仕切り部材群とは、樹脂製であると好ましい。樹脂製とすることにより、例えば振動溶着や接着などの方法により容易にタンク本体内に流路を形成することができる。
【0029】
ここで、蓄熱タンクに熱媒体を保温貯蔵している間においても、蓄熱タンク内の熱媒体に温度差が生じてしまうと自然対流が発生してしまい、蓄熱タンク内の熱媒体の温度が低下してしまうことが考えられる。タンク本体と、第1の仕切り部材群と、第2の仕切り部材群とを熱伝導率の低い樹脂製とし、タンク本体と、第1の仕切り部材群と、第2の仕切り部材群とにより狭い流路を形成することにより、保温性の向上を図ることができるので、自然対流の発生を抑制することができる。
【0030】
また、熱媒体に温度差が生じて自然対流が発生してしまう現象は、特に、タンク本体内と外部とを連通して熱媒体を出し入れする取入口や取出口近傍において起こり得る。
【0031】
このような場合には、一方側と他方側とを、上下方向(鉛直方向、天地方向)に設定し、タンク本体内で外部に最も近い取入口及び取出口をタンク本体の下側に設けるとよい。これにより、タンク本体内で外部に最も近い取入口及び取出口近傍の熱媒体から温度の低下が生じ、タンク本体内の取入口及び取出口近傍の熱媒体の温度が低下してしまった場合、温度の低下した熱媒体が温度差によって移動する方向は下側(鉛直方向)となる。
【0032】
したがって、蓄熱タンク内に保温貯蔵されている熱媒体に自然対流が発生することを抑制し、自然対流が発生しても蓄熱タンク内に保温貯蔵されている熱媒体の温度の低下を防止することができる。なお、タンク本体内への熱媒体の出入口となる取入口及び取出口近傍の流路がタンク本体の下側であって、上下方向に設けられていれば、タンク本体内の流路の方向に関係なく、効果を得ることはできる。
【0033】
また、タンク本体の内部を仕切る第1の仕切り部材群及び第2の仕切り部材群は、タンク本体を補強する役割も果たすことになるので、内圧上昇や内圧変動などによるタンクの破壊を防止することができる。
【0034】
また、熱媒体としては、例えば、冷却水や潤滑油が挙げられ、自動車に使用される冷却水としては例えばLLC(ロングライフクーラント)が挙げられる。このため、その冷却水を貯蔵するために、耐久信頼性、耐薬品性、断熱性などが要求されるが、タンク本体と、第1の仕切り部材群と、第2の仕切り部材群とを樹脂製、例えば、ポリフェニレンサルファイドやポリアミド樹脂などで構成することによってこれらの要求を満たすことができる。
【0035】
また、タンク本体を被覆する断熱部を備えるとよい。断熱部とは、熱伝導率の低い材料で構成されていれば特に限定されるものではないが、例えばポリプロピレンなどの樹脂製であるとよい。また、断熱部は真空の層を表すものであってもよく、タンク本体と蓄熱タンクの外側容器との間が真空状態となるように構成しても蓄熱タンクの保温性を確保することができる。このように、蓄熱タンクをタンク本体と断熱部との二重構造とすることによって、蓄熱効果をさらに向上させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施態様について図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態においては、本発明の実施の形態に係る蓄熱タンクを車両駆動用の内燃機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態に係る蓄熱タンク1を適用するエンジン100と、蓄熱タンク1に保温貯蔵される熱媒体としての冷却水が循環する冷却水通路(循環通路)X、Y、Zとを併せ示す概略構成図である。
【0038】
エンジン100内には、冷却水が循環するための通路であるウォータジャケット101が設けられている。このウォータジャケット101の入口には、冷却水をエンジン100外部から吸い込み、エンジン100内部に吐出させるウォータポンプ102が設けられている。このウォータポンプ102は、エンジン100の出力軸の回転トルクを駆動源として作動するポンプである。即ち、ウォータポンプ102は、エンジン100が運転されているときに限り作動する。
【0039】
循環通路Xは、主に、冷却水の熱をラジエータ103から放出させることにより、冷却水の温度を低下させる機能を有する。循環通路Xは、ラジエータ103、ラジエータ103に接続するラジエータ入口側通路X1及びラジエータ出口側通路X2、ウォータジャケット101で構成されている。ラジエータ入口側通路X1は、ウォータジャケット101の出口に接続され、ラジエータ入口側通路X1の途中にはECU104からの信号により開閉する遮断弁105が介在する。
【0040】
ラジエータ出口側通路X2は、ウォータポンプ102を介してウォータジャケット101の入口に接続されており、ラジエータ出口側通路X2上には、冷却水の温度が所定温度になると開弁するサーモスタット107が設けられている。
【0041】
循環通路Yは、主に、冷却水の熱をヒータコア106から放出させることにより、車室内雰囲気温度を上昇させる機能を有する。循環通路Yは、ヒータコア106、ヒータコア106に接続するヒータコア入口側通路Y1及びヒータコア出口側通路Y2で構成されている。ヒータコア入口側通路Y1は、ラジエータ入口側通路X1の途中に接続される。ヒータコア出口側通路Y2は、ラジエータ出口側通路X2の途中であってサーモスタット107とウォータポンプ102との間に接続されている。
【0042】
循環通路Zは、主に、冷却水の熱を蓄え、又、この蓄えた熱を放出してエンジン100を温める機能を有する。循環通路Zは、蓄熱タンク1、蓄熱タンク1に接続する蓄熱タンク入口側通路Z1及び蓄熱タンク出口側通路Z2で構成されている。蓄熱タンク入口側通路Z1は、ラジエータ入口側通路X1の途中に接続される。蓄熱タンク出口側通路Z2は、エンジン100に接続されている。
【0043】
エンジン100の内部では、循環通路X及びYとウォータジャケット101を一部共用する。又、蓄熱タンク1の入口及び出口には、冷却水を図1中の矢印方向にのみ流通させるためのワンウェイバルブ108が設けられている。蓄熱タンク入口側通路Z1の途中で、且つ、ワンウェイバルブ108の上流側には、電動ウォータポンプ109が介在している。
【0044】
このように構成された循環通路では、循環通路Xにおいては、エンジン100が運転中には、図示しないクランクシャフトの回転トルクがウォータポンプ102の入力軸へ伝達されると、ウォータポンプ102は、図示しないクランクシャフトから該ウォータポンプ102の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で冷却水を吐出する。エンジン100が停止中にはウォータポンプ102が停止するので、冷却水が循環通路Xを循環することはない。
【0045】
前記ウォータポンプ102から吐出された冷却水は、ウォータジャケット101を流通する。このときに、エンジン100と冷却水との間で熱の移動が行われ、温度が上昇した冷却水は、エンジン100からラジエータ入口側通路X1へ流出する。
【0046】
ラジエータ入口側通路X1へ流出した冷却水は、当該ラジエータ入口側通路X1を流通し遮断弁105に到達する。遮断弁105は、ECU104からの信号により、エンジン100の運転中には開弁され、エンジン100の停止中には閉弁される。エンジン100の運転中には、冷却水は遮断弁105を通過してラジエータ入口側通路X1を流通した後ラジエータ103に流入する。ラジエータ103では、外気と冷却水との間で熱の移動が行われ、温度が低下した冷却水は、ラジエータ103から流出する。
【0047】
ラジエータ103から流出した冷却水は、ラジエータ出口側通路X2を流通してサーモスタット107に到達する。ここで、サーモスタット107は、ヒータコア出口側通路Y2を流通する冷却水の温度が所定温度に達すると自動的に開弁する。即ち、ヒータコア出口側通路Y2を流通する冷却水の温度が所定温度に達していなければ、ラジエータ出口側通路X2は遮断され冷却水は流通しない。サーモスタット107が開弁しているときには、当該サーモスタット107を通過した冷却水はウォータポンプ102に流入する。
【0048】
このようにして、ラジエータ103で温度が下降した冷却水は、再びウォータポンプ102からウォータジャケット101へ吐出され温度が上昇する。
【0049】
一方、ラジエータ入口側通路X1を流通する冷却水の一部は、ヒータコア入口側通路Y1に流入する。ヒータコア入口側通路Y1に流入した冷却水は、ヒータコア106に到達し、ヒータコア106により空気と熱交換が行われ、熱の移動により昇温された空気により車室内雰囲気温度が上昇する。その後、冷却水は、ヒータコア106から流出してラジエータ出口側通路X2に到達する。このときに、サーモスタット107が開弁しているときには、循環通路Xを流通する冷却水と合流してウォータポンプ102へ流入する。一方、サーモスタット107が閉弁しているときには、循環通路Yを流通してきた冷却水のみがウォータポンプ102に流入する。
【0050】
このようにして、ヒータコア106で温度が下降した冷却水は、再びウォータポンプ102からウォータジャケット101へ吐出される。
【0051】
また、ラジエータ入口側通路X1を流通する冷却水の一部は、蓄熱タンク入口側通路Z1に流入する。蓄熱タンク入口側通路Z1に流入した冷却水は、当該蓄熱タンク入口側通路Z1を流通して電動ウォータポンプ109に到達する。電動ウォータポンプ109は、ECU104からの信号により作動して、所定の圧力で冷却水を吐出する。
【0052】
電動ウォータポンプ109が作動している場合には、冷却水は所定の圧力で吐出され、蓄熱タンク入口側通路Z1を流通してワンウェイバルブ108を通過し、蓄熱タンク1に到達する。蓄熱タンク1内への冷却水の取入口となる冷却水注入管4から蓄熱タンク1の内部に流入した冷却水は、外部から断熱された状態となり保温貯蔵される。蓄熱タンク1において冷却水の取出口となる冷却水注出管5から蓄熱タンク1外へ流出した冷却水は、ワンウェイバルブ108を通過し、蓄熱タンク出口側通路Z2を流通してエンジン100に流入する。
【0053】
次に、エンジン100の昇温制御(エンジンプレヒート制御)について説明する。
【0054】
エンジン100には、当該エンジン100を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)104が併設されており、このECU104により、エンジン100の運転停止中にエンジン100の昇温制御(エンジンプレヒート制御)が行われる。
【0055】
エンジン100の運転中に、ECU104が電動ウォータポンプ109に信号を送り、当該電動ウォータポンプ109を作動させると、循環通路Zに冷却水が循環する。すると、蓄熱タンク1の内部には、エンジン100で昇温された冷却水が流通し、蓄熱タンク1の内部は温度の高い冷却水で満たされる。そして、エンジン100が停止した後、ECU104が電動ウォータポンプ109の作動を停止すれば、蓄熱タンク1に温度の高い冷却水を蓄えることができる。蓄えられた冷却水は、蓄熱タンク1の保温効果により温度の低下が抑制される。
【0056】
ECU104は、蓄熱タンク1に蓄えられた温度の高い冷却水をエンジン100の停止中にエンジン100に循環させ、エンジン100の昇温制御を行う。ここで、エンジン100が停止するとウォータポンプ102も停止するために、エンジン100の停止中には電動ウォータポンプ109を作動させて冷却水を循環させることとする。
【0057】
電動ウォータポンプ109は、エンジン100の停止中においてもECU104からの信号に基づいて作動し、所定の圧力で冷却水を吐出する。吐出された冷却水は、蓄熱タンク入口側通路Z1を流通してワンウェイバルブ108を通過し、蓄熱タンク1に到達する。このときに蓄熱タンク1に流入する冷却水は、エンジン100の停止中に温度が低下した冷却水である。
【0058】
蓄熱タンク1の内部に貯留された冷却水は、冷却水注出管5を介して蓄熱タンク1から流出する。このときに蓄熱タンク1から流出する冷却水は、エンジン100の運転中に蓄熱タンク1に流入し、当該蓄熱タンク1により保温された温度の高い冷却水である。蓄熱タンク1から流出した冷却水は、ワンウェイバルブ108を通過し、蓄熱タンク出口側通路Z2を流通してエンジン100内に流入する。
【0059】
このように、ECU104は、エンジン100の始動に先立ち電動ウォータポンプ109を作動させることにより、エンジン100の昇温(エンジンプレヒート制御)を行う。
【0060】
次に、蓄熱タンク1について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る蓄熱タンク1の概略断面図である。
【0061】
本実施の形態に係る蓄熱タンク1は、その外観において、略四角柱状に形成され耐圧性を有する外側容器2と、外側容器2の底部に外側容器2に対して気密状態に設けられたパイプホルダ3と、熱媒体としての冷却水の取入口となる冷却水注入管4と、冷却水の取出口となる冷却水注出管5とを備えるものである。
【0062】
そして、外側容器2内にはタンク本体6が設けられており、外側容器2は、このタンク本体6を内包するように設けられている。ここで、外側容器2は、例えば、耐食性に優れたステンレスやアルミニウムなどの金属、プラスチックなどの非金属で形成することができ、熱伝導率の小さい材質で形成されるのが好ましい。
【0063】
また、タンク本体6と外側容器2との間には、断熱材7が設けられている。断熱材7は、平板状の断熱材が接合されてなるもので、外側容器2の内壁の全面を被覆するように設けられている。そして、この断熱材7はタンク本体6を包囲するものであり、タンク本体6は断熱材7に包囲されることによって、高温の冷却水を貯留して蓄熱する能力が増大されている。
【0064】
断熱材7は、タンク本体6の底部(下側)においては、冷却水注入管4及び冷却水注出管5を貫通させ、冷却水注入管4及び冷却水注出管5の外周面に密接して取り付けられている。なお、パイプホルダ3は断熱材7の底部を貫通するように設けられていてもよい。この場合には、断熱材7は、冷却水注入管4及び冷却水注出管5の外周面に密接しパイプホルダ3を覆うように設けられるとよいが、断熱材7を貫通しているパイプホルダ3の外周面にのみ密接して取り付けられていてもよい。
【0065】
ここで、断熱材7を構成する材料は熱伝導率の低い材料であれば特に限定されるものではないが、例えばポリプロピレンなどの樹脂製であるとよい。また、断熱材7を設けることなく、タンク本体6と外側容器2との間を真空状態としてもよく、このように構成しても外側容器2内の保温性を確保することができる。
【0066】
パイプホルダ3には、冷却水がタンク本体内部へ流入するときに通過する冷却水注入管4と、冷却水がタンク本体内部から外部へ流出するときに通過する冷却水注出管5とが支持されている。また、パイプホルダ3は、図に示すようにタンク本体の底部(下側)に設けられており、冷却水注入管4と冷却水注出管5とは冷却水が上下方向(鉛直方向)に流れるように配置されている。なお、ワンウェイバルブ108は、冷却水注入管4及び冷却水注出管5の近傍に設けられているとよく、また、冷却水注入管4と冷却水注出管5との少なくともいずれか一方において、更なる弁(ワンウェイバルブ)が設けられていてもよい。
【0067】
次に、内燃機関の高温の冷却水を貯留して蓄熱するタンク本体6について説明する。本実施の形態に係るタンク本体6は、その内部に断面形状が略網目状となるような複数の空間(流路)が設けられ、この複数の空間を冷却水が一方向に流れるように構成されている。
【0068】
すなわち、タンク本体6の内部には、上下方向(タンク本体6内の一方側から他方側に向かう方向)にのびてタンク本体6の内部の空間を略平行に仕切る第1の仕切り部材群Aと、上下方向にのびるとともに第1の仕切り部材群Aに対してそれぞれ略直交して設けられ第1の仕切り部材群A及びタンク本体6の内壁面によって形成された空間内をさらに仕切る第2の仕切り部材群Bとが設けられている。
【0069】
そして、第1の仕切り部材群Aと第2の仕切り部材群Bとタンク本体6の内壁面とによって上下方向にのびる複数の空間が成形され、その複数の空間のうちの1つの空間において、上側の端部で隣接する空間と連通され、下側の端部で隣接する空間と連通されることによって、タンク本体6内に設けられた複数の空間は、つづら折り状の一本道の冷却水流路(熱媒体流路)を構成するものである。以下に、図を用いて説明する。
【0070】
図3は、タンク本体6内に設けられた、第1の仕切り部材群Aと第2の仕切り部材群Bとを模式的に示す斜視図である。また、図4は、第1の仕切り部材群A,第2の仕切り部材群B及びタンク本体6を模式的に示す上視図である。
【0071】
図において、第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bには、それぞれ5つの仕切り部材(A1〜A5,B1〜B5)が設けられた場合について示している。そして、第1の仕切り部材群Aと第2の仕切り部材群Bとタンク本体6の内壁面とにより形成された複数の空間をCab(a,b=1〜6;aは第1の仕切り部材群Aに対応するもの、bは第2の仕切り部材群Bに対応するもの)と示している。
【0072】
すなわち、タンク本体6の内壁面と仕切り部材A1とで仕切られた空間をC1b、仕切り部材A1と仕切り部材A2とで仕切られた空間をC2b、仕切り部材A2と仕切り部材A3とで仕切られた空間をC3b、仕切り部材A3と仕切り部材A4とで仕切られた空間をC4b、仕切り部材A4と仕切り部材A5とで仕切られた空間をC5b、仕切り部材A5とタンク本体6の内壁面とで仕切られた空間をC6bとしている。
【0073】
そして、タンク本体6の内壁面と仕切り部材B1とで仕切られた空間をCa1、仕切り部材B1と仕切り部材B2とで仕切られた空間をCa2、仕切り部材B2と仕切り部材B3とで仕切られた空間をCa3、仕切り部材B3と仕切り部材B4とで仕切られた空間をCa4、仕切り部材B4と仕切り部材B5とで仕切られた空間をCa5、仕切り部材B5とタンク本体6の内壁面とで仕切られた空間をCa6とすることにより、第1の仕切り部材群Aと第2の仕切り部材群Bとタンク本体6の内壁面とで形成された複数の空間をCabで示している。
【0074】
そして、空間C52と空間C53との間,空間C54と空間C55との間,空間C56と空間C66との間,空間C65と空間C64との間,空間C63と空間C62との間,空間C61と空間C51との間,空間C41と空間C42との間,空間C43と空間C44との間,空間C45と空間C46との間,空間C36と空間C35との間,空間C34と空間C33との間,空間C32と空間C31との間,空間C21と空間C11との間,空間C12と空間C13との間,空間C14と空間C15との間,空間C16と空間C26との間,空間C25と空間C24との間,空間C23と空間C22との間,にはそれぞれ上側の端部で連通する連通部(一方側連通部)Dが設けられている。なお、図3の符号Dにおいては、空間C14と空間C15との間,及び空間C52と空間C53との間に設けられた連通部を示している。
【0075】
また、空間C53と空間C54との間,空間C55と空間C56との間,空間C66と空間C65との間,空間C64と空間C63との間,空間C62と空間C61との間,空間C51と空間C41との間,空間C42と空間C43との間,空間C44と空間C45との間,空間C46と空間C36との間,空間C35と空間C34との間,空間C33と空間C32との間,空間C31と空間C21との間,空間C11と空間C12との間,空間C13と空間C14との間,空間C15と空間C16との間,空間C26と空間C25との間,空間C24と空間C23との間,にはそれぞれ下側の端部で連通する連通部(他方側連通部)Eが設けられている。なお、図3の符号Eにおいては、空間C11と空間C12との間に設けられた連通部を示している。
【0076】
図に示す連通部D,Eは、第1の仕切り部材群Aや第2の仕切り部材群Bの端部が短く、タンク本体6の内壁面まで達することなく設けられることによって形成されている。
【0077】
そして、空間C52の下側端部が冷却水注入管4に接続され、空間C22の下側端部が冷却水注出管5に接続されている。これにより、以下に示す一本道となる冷却水流路がつづら折り状に形成される。
【0078】
すなわち、冷却水注入管4→空間C52(空間内を上方向に流れる、以下、上と記す)→連通部D→空間C53(空間内を下方向に流れる、以下、下と記す)→連通部E→空間C54(上)→連通部D→空間C55(下)→連通部E→空間C56(上)→連通部D→空間C66(下)→連通部E→空間C65(上)→連通部D→空間C64(下)→連通部E→空間C63(上)→連通部D→空間C62(下)→連通部E→空間C61(上)→連通部D→空間C51(下)→連通部E→空間C41(上)→連通部D→空間C42(下)→連通部E→空間C43(上)→連通部D→空間C44(下)→連通部E→空間C45(上)→連通部D→空間C46(下)→連通部E→空間C36(上)→連通部D→空間C35(下)→連通部E→空間C34(上)→連通部D→空間C33(下)→連通部E→空間C32(上)→連通部D→空間C31(下)→連通部E→空間C21(上)→連通部D→空間C11(下)→連通部E→空間C12(上)→連通部D→空間C13(下)→連通部E→空間C14(上)→連通部D→空間C15(下)→連通部E→空間C16(上)→連通部D→空間C26(下)→連通部E→空間C25(上)→連通部D→空間C24(下)→連通部E→空間C23(上)→連通部D→空間C22(下)→冷却水注出管5となる。
【0079】
ここで、冷却水注入管4,冷却水注出管5にそれぞれ接続されている空間C52,空間C22の径(断面の大きさ)は、冷却水注入管4,冷却水注出管5の径よりも少し大きく設けられている。
【0080】
図5は、仕切り部材A3と仕切り部材A4との間を第1の仕切り部材群Aと平行に切断した場合の断面図を模式的に示したものである。
【0081】
空間C41から空間C46までは図5に示すようなつづら折り状の流路に形成され、冷却水は、図5に示す矢印のように一本道となった流路を一方向に流れていく。
【0082】
ここで、冷却水の流路を構成する、タンク本体6,第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bの材質について説明する。タンク本体6,第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bは、熱伝導率の低い樹脂、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)やPA66(ポリアミド樹脂)で構成している。樹脂製とすることにより、振動溶着・接着などの方法によってタンク本体6内に第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bを容易に形成することができ、タンク本体6を容易に形成することができる。
【0083】
上述したように、本実施の形態に係る蓄熱タンク1は、タンク本体6の内部の空間を、第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bによって仕切り、つづら折り状に一本道となる空間を形成することによって、冷却水の流路を適度に狭く形成することができる。
【0084】
したがって、冷却水注入管4から温度の低い冷却水が蓄熱タンク1内に流入した場合、温度の低い冷却水と、蓄熱タンク1内に保温貯蔵されている高温の冷却水との混合を抑制することができる。これにより、蓄熱タンク1内に保温貯蔵されている高温の冷却水は、冷却水注入管4から流入される温度の低い冷却水によって下流側へと押され、冷却水注出管5から押し出されることとなり、すなわち、蓄熱タンク1に保温貯蔵されていた高温の冷却水を蓄熱タンク1から効率よく取り出すことができる。
【0085】
また、第1の仕切り部材群A,第2の仕切り部材群B,及びタンク本体6を熱伝導率の低い樹脂で構成しているので、タンク本体6内に貯蔵された冷却水を効率よく保温することができる。そして、熱伝導率の低い樹脂で構成された第1の仕切り部材群A,第2の仕切り部材群B,及びタンク本体6により形成される冷却水の流路が、適度に狭く形成されることによって、保温性をさらに向上することができる。これにより、高温の冷却水を保温貯蔵している間(保温中)でも、自然対流の発生を抑制することができる。
【0086】
また、冷却水の流路となる複数の空間は仕切り部材を介して隣接しているが、仕切り部材の熱伝導率は低いため、冷却水注入管4から温度の低い冷却水がタンク本体6の内部に流入した場合、温度の低い冷却水が流入している空間(例えば、図2に示すC52)に隣接する空間(前記C52に対するC42)に保温貯蔵された高温の冷却水の温度が低下してしまうようなことはない。
【0087】
また、冷却水の出入口となる冷却水注入管4及び冷却水注出管5をタンク本体の下側に設けたので、内燃機関本体が冷えることにより、冷却水の保温中に冷却水注入管4や冷却水注出管5の温度が低下してしまう場合でも、冷却水注入管4や冷却水注出管5の近傍で冷やされてしまった冷却水は比重差により重力にしたがって下側(冷却水注入管4や冷却水注出管5に向かう方向)に移動するのでタンク本体6内に入り込んでしまうことはない。
【0088】
また、空間C52,空間C22の径(断面の大きさ)は、冷却水注入管4,冷却水注出管5の径よりも少し大きく設けられているので、タンク本体内に流入する冷却水の速度が小さくなり、冷却水流路内における冷却水の流れを乱すことを防止することができる。
【0089】
また、タンク本体6の内部を仕切る第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bは、タンク本体6を補強する役割も果たすことになるので、内圧上昇や内圧変動などによるタンクの破壊を防止することができる。
【0090】
また、タンク本体6,第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bが熱伝導率の低い樹脂で構成され、さらにタンク本体6が断熱材7で覆われるという二重構造とすることによって、内燃機関の高温の冷却水を長時間保温することができる。
【0091】
なお、本実施の形態では、蓄熱タンクの一実施態様として、タンク本体6内を仕切る第1の仕切り部材群A及び第2の仕切り部材群Bによって冷却水流路を構成させた場合について説明したが、管やホースなどの中空の部材を幾重にも曲げることによってタンク本体6内に冷却水流路を構成させてもよい。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、蓄熱タンクに保温貯蔵された高温の熱媒体が、この高温の熱媒体を押し出すために取り込まれた低温の熱媒体と混じり合うことを抑制することができ、蓄熱タンクに保温貯蔵された熱媒体の熱量を効率よく使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る蓄熱タンクを適用するエンジンと、蓄熱タンクに保温貯蔵される熱媒体が循環する通路(循環通路)とを併せ示す概略構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る蓄熱タンクの概略断面図。
【図3】タンク本体内に設けられた、第1の仕切り部材群と第2の仕切り部材群とを模式的に示す斜視図。
【図4】第1の仕切り部材群,第2の仕切り部材群及びタンク本体を模式的に示す上視図。
【図5】図3,4に示す仕切り部材A3と仕切り部材A4との間を切断した場合の模式的断面図。
【符号の説明】
1 蓄熱タンク
2 外側容器
3 パイプホルダ
4 冷却水注入管
5 冷却水注出管
6 タンク本体
7 断熱材
100 エンジン
101 ウォータジャケット
102 ウォータポンプ
103 ラジエータ
104 ECU
105 遮断弁
106 ヒータコア
107 サーモスタット
108 ワンウェイバルブ
109 電動ウォータポンプ
A 第1の仕切り部材群
A1〜A5 仕切り部材
B 第2の仕切り部材群
B1〜B5 仕切り部材
Cab(a,b=1〜6) 空間(流路)
X,Y,Z 冷却水通路(循環通路)
X1 ラジエータ入口側通路
X2 ラジエータ出口側通路
Y1 ヒータコア入口側通路
Y2 ヒータコア出口側通路
Z1 蓄熱タンク入口側通路
Z2 蓄熱タンク出口側通路
Claims (7)
- 液状の熱媒体を保温貯蔵するタンク本体を備えた蓄熱タンクにおいて、
前記タンク本体内の少なくとも一部に、熱媒体が流れ、かつ、熱媒体を保温貯蔵する熱媒体流路を、前記タンク本体内で断面形状が略網目状になるように、つづら折り状に設けたことを特徴とする蓄熱タンク。 - 前記熱媒体流路は、
前記タンク本体内の一方側から他方側へ向けて複数並設された流路と、
前記複数の流路のうち第(2n−1)番目の流路と第(2n)番目の流路との一方側を連通させる一方側連通部と、
前記第(2n)番目の流路と第(2n+1)番目の流路との他方側を連通させる他方側連通部と、
を備え、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記複数の流路を順次連続してつづら折り状に流れることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱タンク。 - 前記熱媒体流路は、中空の部材が幾重にも曲げられることによりつづら折り状に設けられることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱タンク。
- 液状の熱媒体を保温貯蔵するタンク本体を備えた蓄熱タンクにおいて、
前記タンク本体内にそれぞれ平行に設けられて該タンク本体内を仕切る複数の仕切り部材と、
前記仕切り部材と前記タンク本体の内壁面とによって仕切られた空間内を、熱媒体がつづら折り状に流れる流路を少なくとも形成するように更に仕切る流路形成部材と、
前記流路形成部材により形成された流路であって、かつ、前記仕切り部材で仕切られた隣接する二つの空間にそれぞれ設けられた流路を連通させる連通部と、
を備え、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記流路及び前記連通部によって連通された熱媒体流路をつづら折り状に流れることを特徴とする蓄熱タンク。 - 液状の熱媒体を保温貯蔵するタンク本体を備えた蓄熱タンクにおいて、
前記タンク本体内の一方側から他方側に向かって略平行に設けられ前記タンク本体内の空間を仕切る第1の仕切り部材群,前記タンク本体の一方側から他方側に向かうとともに前記第1の仕切り部材群に交差するように設けられ前記タンク本体内の空間を更に仕切る第2の仕切り部材群,及び前記タンク本体の内壁面により形成される複数の流路と、
前記複数の流路のうち第(2n−1)番目の流路と該第(2n−1)番目の流路に隣設する第(2n)番目の流路との一方側を連通する一方側連通部と、
前記第(2n)番目の流路と該第(2n)番目の流路に隣設する第(2n+1)番目の流路との他方側を連通する他方側連通部と、
を有し、
前記タンク本体内に取り込まれた熱媒体は、前記複数の流路を順次連続してつづら折り状に流れることを特徴とする蓄熱タンク。 - 前記タンク本体と、前記第1の仕切り部材群と、前記第2の仕切り部材群とは、樹脂製であることを特徴とする請求項5に記載の蓄熱タンク。
- 前記タンク本体を被覆する断熱部を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の蓄熱タンク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003044826A JP2004251594A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 蓄熱タンク |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003044826A JP2004251594A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 蓄熱タンク |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004251594A true JP2004251594A (ja) | 2004-09-09 |
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Family Applications (1)
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JP2003044826A Pending JP2004251594A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 蓄熱タンク |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004251594A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-02-21 JP JP2003044826A patent/JP2004251594A/ja active Pending
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