JP4899138B1 - 石見銀山梅花酵母、及びそれを用いて製造される発酵飲食品または飼料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記酵母として、梅の花から採取された酵母であって、サッカロミセス セレビシエに属する「石見銀山梅花酵母−1」(受託番号:NITE P−1056)、またはその継代株を用いる。
【選択図】なし
Description
(I-1)梅の花から採取された酵母であって、サッカロミセス セレビシエに属する「石見銀山梅花酵母−1」(受託番号NITE P−1056)(以下、「寄託酵母」ともいう)、またはその継代株。
(I-2)上記寄託酵母が島根県石見銀山地区(島根県大田市大森町)に自生する梅の木の花(梅花)から採取された酵母である、(I-1)記載の寄託酵母またはその継代株。
(I-3)パン、アルコール飲食品、及び塩濃度10重量%以下の発酵飲食品からなる少なくとも1種の発酵飲食品の製造に使用される、(I-1)または(I-2)に記載の寄託酵母またはその継代株。
(I-4)(I-1)乃至(I-3)記載の寄託酵母またはその継代株を乾燥させてなる乾燥酵母。
(II-1)(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を含むパン製造用の中種。
(II-2)冷凍された中種である、(II-1)に記載するパン製造用の中種。
(II-3)(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を含むパン生地。
(II-4)冷凍パン生地である、(II-3)に記載するパン生地。
(II-5)(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を用いて製造されることを特徴とする発酵飲食品または発酵飼料。
(II-6)発酵飲食品が、パン、アルコール飲食品、及び塩濃度10重量%以下の発酵飲食品からなる群から選択される少なくとも1種の発酵飲食品である、(II-5)に記載する発酵飲食品。
(II-7)アルコール飲食品が、清酒、料理酒、雑酒、濁酒、ビール、発泡酒、果実酒類、ウイスキー、ブランデー、ワイン、スピリッツ類、及びリキュール類からなる群から選択される少なくとも1種の発酵飲食品である、(II-5)に記載する発酵飲食品。
(II-8)塩濃度10重量%以下の発酵飲食品が、味噌、醤油、魚醤油、漬け物の素、漬け物、及び塩辛からなる群から選択される少なくとも1種の発酵飲食品である、(II-5)に記載する発酵飲食品。
(III-1)(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を用いて発酵する工程を有する、発酵飲食品または発酵飼料の製造方法。
(III-2)上記発酵飲食品がパンであり、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を用いてパン生地を調製し、これを発酵する工程を有する、(III-1)に記載する製造方法。
(III-3)上記発酵飲食品がアルコール飲食品であり、アルコール飲食品の製造原料に(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を配合し、これを発酵(醸造)する工程を有する、(III-1)に記載する製造方法。
(III-3)上記発酵飲食品が塩濃度10重量%以下の発酵飲食品であり、発酵飲食品の製造原料を、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株の存在下で、発酵する工程を有する、(III-1)に記載する製造方法。
(III-4)上記発酵飲食品が塩濃度10重量%以下の漬け物であり、漬け物の調味液の製造原料を(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株の存在下で発酵(培養)する工程、得られた培養物から酵母菌体を除去し培養液を回収する工程、回収した培養液に野菜を漬け込む工程を有する、(III-1)に記載する製造方法。
本発明が提供する梅花酵母は、石見銀山地区に自生する梅の花から分離した新規酵母であり、下記の科学的性質及び分類学的性質を有するサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する菌株である。
(1-1)YM培地を用いて30℃で2日間培養したときの菌の形態:
・栄養細胞の大きさ:4〜8μm
・栄養細胞の形状:卵型
・増殖の形態:出芽。
・形態:円
・隆起:凸円状
・周縁:円滑
・大きさ(直径):2〜3mm
・色調:白色で不透明
・表面:円滑で光沢あり。
・グルコース、ガラクトース、白糖(サッカロース)、ラフィノース、D-マルトース、パラチノースは資化する。
・シクロヘキシミド、N-アセチル-グルコサミン、乳酸、L-アラビノース、D-セロビオース、トレハロース、2-ケト-グルコン酸カルシウム、α-メチル-α-D-グルコシド、D-マンニトール、乳糖、イノシット、D-ソルビトール、D-キシロース、D-リボース、グリセロール、L-ラムノース、エリスリトール、D-メリビオース、グルクロン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、レブリン酸、L-ソルボース、D-グルコサミン塩酸塩、エスクリンは資化しない。
・10重量%の塩化ナトリウムを含む培地において少なくとも3日間生育可能である。
・秋山・古川の方法(日本農芸化学会誌No37,398-403(1963))によるTTC染色性試験によりコロニーの染色性を観察してところ、コロニーは薄いピンク色を示した。
・8重量%のエタノールを含む1%グルコース含有0.1M酢酸緩衝液(pH4.3)において少なくとも3日間生育可能である。
遺伝子解析により、上記梅花酵母の28rRNA遺伝子(rDNA)D1/D2領域塩基配列を決定し、NCBIデータベースに登録されている塩基配列と比較した結果、上記梅花酵母は、Saccharomyces cerevisiae に属する酵母であると判断された。
本発明が対象とする発酵飲食品及び発酵飼料には、酵母を用いて発酵して製造される飲食品及び飼料、並びに酵母で発酵されたものを用いて製造される飲食品及び飼料が広く含まれる。かかる発酵飲食品としては、具体的には、パン(発酵パン)等のベーカリー製品、アルコール飲食品、塩濃度が15重量%未満、好ましくは10重量%以下の発酵飲食品を挙げることができる。
本発明において、パン(発酵パン)は、製パン酵母として本発明の梅花酵母を使用する以外は、通常の製パン方法に従って製造することができる。パンの製法には、全原料を一度に捏ねて発酵させる「直捏法」と、小麦粉または代替粉の一部とパン酵母だけで中種を作り、発酵させた後に、残りの全原料を加えて再度混捏し、仕上げ、焙炉、焼成を行う「中種法」がある。本発明の梅花酵母は、これら両方の製造方法においてパン酵母として使用することができる。
本発明の梅花酵母を用いて芳香を持つ清酒などのアルコール飲食品を製造する場合、梅花酵母は予め前培養しておくことが好ましい。例えば、寒天斜面培地などに保持されている梅花酵母は、適当な液体栄養培地で静置培養され、それを酵母源とすることができる。
ここで対象とする発酵飲食品としては、前述するように、食塩濃度が10重量%以下にある味噌、醤油、魚醤油、及び漬け物の素などの調味料;並びに当該調味料を用いて製造される漬け物や塩辛等を挙げることができる。
(1)梅花酵母の単離
本発明に用いられる酵母「石見銀山梅花酵母−1」は、次の方法で梅花より分離した。
上記方法で単離した酵母「石見銀山梅花酵母」の分類学的な性質は次のとおりであった。
(i)YM培地を用い30℃で2日間培養したときの菌の形態
(a)栄養細胞の大きさ:4〜8μm、
(b)栄養細胞の形状:卵形、
(c)増殖の形態:出芽。
(a)形状:円、
(b)隆起:凸型、
(c)コロニーの直径:2〜3mm、
(d)色調:白色で不透明、
(e)表面:円滑で光沢有り。
酵母同定検査キット(「アピID32シリーズ(ID32C)」シスメックス(株)製)を用い、30℃で2日間培養して表1に記載する炭素源の資化性を評価した。比較のため、市販パン酵母(「スーパーカメリア ドライイースト」日清製粉(株)製)の炭素源資化性、及びこの同定検査キットに記載されているSaccharomyces cerevisiaeの炭素源資化性と併せて、結果を表1に示す。
10重量%の塩化ナトリウムを含む培地において少なくとも3日間生育可能である。
8重量%のエタノールを含む1%グルコース含有0.1M酢酸緩衝液(pH4.3)において少なくとも3日間生育可能である。
秋山・古川の方法(日本農芸化学会誌No37,398-403(1963))により、TTC染色性試験を行った。具体的には、菌体を適当に希釈し(1プレートに約200程度となるよう)、TTC下層培地(1リットルに44.17gの割合で使用。44.17gの内容はブドウ糖10.0g、ペプトン2.0g、酵母エキス1.5g、酸性リン酸カリウム1.0g、硫酸マグネシウム0.4g、クエン酸0.27g、寒天30.0g、pH4.5±0.1)に30℃で2日間プレート培養したコロニーへ、TTC上層培地(100mlに2g使用。2gの内容は、TTC0.05g、ブドウ糖0.5g、寒天1.5g)を溶解後45℃程度にしてから静かに重層し、固まった後30℃に2〜3時間放置し、コロニーの染色を観察した。この染色結果、本発明の酵母は薄いピンク色を示した。これに対して、日本醸造協会の頒布酵母(協会7号及び9号)は赤色を示したので、本発明の酵母は日本醸造協会の酵母とは異なることが確認された。
寄託菌の部分塩基配列を解析し、NCBIデータベースに登録されている塩基配列と比較した。その結果、Saccharomyces cerevisiae に属すると判断された(ID%=99.9%、T index=0.89)(委託検査先:ビジョンバイオ株式会社、食品検査センター:福岡県久留米市)。
本発明の「石見銀山梅花酵母」(梅花酵母)について、生理的性質(生育可能温度、死滅温度、生育可能pH)を評価した。
(1)測定方法
YPD培地(1%Yeast Extract,2%Polypeptone,2%Glucose)50mLを入れ殺菌した100mL容三角フラスコに、液体培養した梅花酵母の懸濁液(1mL)を加え、15℃〜35℃の温度条件(15℃、20℃、25℃、30℃、35℃)で培養し、経時的に培養液を採取して菌体濃度を測定し、梅花酵母の発育状況を確認した。培養液中の菌体濃度の測定は、経時的に採取した培養液を96穴プレートに200μLを取り、マルチラベルカウンタ(Wallac 1420 ARVOsx マルチラベルカウンタ(PerkinElmer))で595nmの吸光度(OD595)を計測することにより行った(サンプルOD595)。具体的には、同時に菌体を植菌していない培地(対照培地)を同様に培養し、それから経時的に採取した培養液の吸光度(OD595)を「ブランクOD595」とし、当該ブランクOD595を上記サンプルOD595から差し引くことで、培養液中の菌体濃度を算出した。
結果を図1に示す。図1に示すように、梅花酵母は35℃の培養温度で最も増殖の立ち上がりが早かった。30℃、25℃、20℃及び15℃と培養温度が低くなるにつれて増殖速度に遅延が見られたが、いずれも24〜48時間培養することで(15℃の場合は、48時間)、ほぼ同じ菌体濃度に達することが確認された。この結果から、梅花酵母は15℃〜35℃のいずれの温度条件でも生育可能であること、最適生育温度は30℃〜35℃であることが確認された。
(1)測定方法
YPD培地10mLを入れ殺菌した試験管を、50℃〜100℃の各種温度の湯浴中に浸しておき、この状態の試験管に、新しくYPD培地にて培養した梅花酵母の懸濁液を0.5mLずつ無菌的に移植した。10分後、直ちに30℃前後まで冷やして、引き続き30℃の定温器中で培養した。培養から2日目に、培養液を採取して菌体濃度を測定して、梅花酵母が増殖しなかった試験管の適用温度を死滅温度とした。対照試験として、高温処理をしない試験管に梅花酵母の懸濁液を移植し、同様に菌体濃度を測定した。培養液中の菌体濃度は、1と同様に、採取した培養液を96穴プレートに200μLを取り、マルチラベルカウンタで595nmの吸光度(OD595)を計測することにより行い(サンプルOD595)、ブランクOD595を上記サンプルOD595から差し引くことで算出した。
結果を図2に示す。図2に示すように、梅花酵母は50℃の高温処理を行ってもコントロールと同様の生育を示した。しかし、60℃以上の高温になると菌体の増殖が見られず死滅していた。このことから、梅花酵母は50℃まで生育可能であり、60℃以上で死滅することが確認された。
(1)測定方法
YPD培地に酸またはアルカリを加えてpH3.0〜8.0に調節したもの10mLずつを試験管に入れて殺菌し、これに、YPD培地にて培養した梅花酵母の懸濁液を0.5mLずつ無菌的に移植し、30℃にて培養を行った。培養から24時間目及び48時間目に、培養液を採取して1及び2と同様に、菌体濃度を測定して、梅花酵母の発育状況から、生育可能pHを評価した。
結果を図3に示す。図3に示すように、梅花酵母はpH3.0〜8.0のいずれのpH条件でも生育可能であった。ただ、pH7〜8の弱アルカリ性に比べ、pH4〜6の弱酸性側で比較的早く増殖する傾向が認められた。最も増殖が良いpH条件はpH5であった。また、アルカリ性条件下よりも、酸性条件下の方が炭酸ガスの発生が多く、よく効率的に発酵している傾向が認められた。
日本イースト工業会の定めたパン用酵母試験法(平成8年8月)に基づき、本発明の「石見銀山梅花酵母」及び市販の乾燥酵母を用いて、発酵試験を行った。
各酵母(石見銀山梅花酵母5g、乾燥酵母1g:いずれも乾燥重量が約1gになるように調整)、小麦粉100g、ショ糖5g、食塩2g、及び水62mlを用いてパン用生地を調製した(糖濃度約3%)。この生地を、直径6.7cm、高さ24.0cmで10ml刻みの目盛りのついた両端が開いたシリンダーへ、底から詰めた。これを30℃のインキュベーター内に60分静置し1次発酵させた。次いで室温で手作業により生地のガス抜きをし、それから再び同じく30℃のインキュベーター内に40分静置し、2次発酵させた。
各酵母(石見銀山梅花酵母5g(乾燥重量1.1g)、乾燥酵母1.5g(乾燥重量1.45g))、小麦粉100g、ショ糖30g、食塩0.5g、及び水52mlを用いてパン用生地を調製した(糖濃度約16%)。この生地をシリンダーに詰めて、30℃のインキュベーター内に80分静置し1次発酵させた。次いでガス抜きした後、30℃で40分2次発酵させた。
各酵母(石見銀山梅花酵母5g(乾燥重量1.1g)、乾燥酵母1.5g(乾燥重量約1g))、小麦粉100g、食塩2g、及び水65mlを用いてパン用生地を調製した(糖濃度0%)。これを30℃のインキュベーター内に60分静置し1次発酵させた。次いでガス抜きをし、それから再び同じく30℃のインキュベーター内に40分静置し2次発酵させた。
(1)発酵温度の検討
各酵母(石見銀山梅花酵母、乾燥酵母)について、発酵温度を33℃、35℃、及び38℃に設定して、上記「2.低糖生地膨張力試験」を行った。1次発酵後及び2次発酵後にそれぞれの生地の膨張率を測定した。乾燥酵母の膨張率を100として、石見銀山梅花酵母の膨張率の相対値を求めた結果を表5に示す。
各酵母(石見銀山梅花酵母、乾燥酵母)について、発酵温度を30℃、33℃、35℃、38℃に設定して、上記「2.低糖生地膨張力試験」を行った。乾燥酵母については、低糖生地膨張力試験における発酵時間を通常の1次発酵60分、2次発酵40分に設定した。一方、石見銀山梅花酵母については、生地の膨張度(体積)が上記乾燥酵母を用いた生地と同じになるまで1次発酵も2次発酵も発酵時間を延長し、延長に要した追加時間を測定した。
表6に示す配合割合を用いて、定法に従ってパンを製造した。
(1)官能評価
上記で製造した各パンについて官能評価を行った。パンの種類が分からない状態にして、パネラーの4名で、パンの香り、味、及び総合評価(香味全体のバランス)について、3段階(A:好ましい、B:どちらでもない、C:好ましくない)で検査した。その結果を表7に示す。
焼成後のパンについて、表面の焼き色を、色差計(日本電色工業製:NF333)を用いてL*a*b*を測定し、評価した。
各酵母(石見銀山梅花酵母、乾燥酵母)と市販のグルテン入りの米粉を用いて米粉パンを製造し、出来上がった米粉パンについて官能試験を行った。
表9に示す配合割合を用いて、米粉用のホームベーカリー(サンヨー(株)製、米粉ベーカリー:SPM-MP3)を用いて、パンを製造した。
(1)官能評価
上記で製造した米粉パン(実施例3、比較例3)について官能評価を行った。パンの種類が分からない状態にして、パネラー14名で、パンの香り、味、及び総合評価(香味のバランス)について、3段階(A:好ましい、B:どちらでもない、C:好ましくない)で検査した。結果を表10に示す。
実験例5で香り及び味を評価した米粉パン(比較例3及び実施例3)について、それに含まれる香気成分を分析した。
焼成した2種類の米粉パン(比較例3及び実施例3)を細かく切り刻み、5gずつサンプル瓶に密閉し、ヘッドスペースガスクロマトグラフ(ガスクロマトグラフ:GC-2014、島津製作所製+ヘッドスペースサンプラ:TurboMatrix40、パーキンエルマー社製、カラム:TC-WAX)で揮発成分を測定した。サンプル瓶は50℃で15分間保持してから、瓶内のヘッドスペースガスを採取して、分析に用いた。
パン100g当たりのエタノール、およびイソブチルアルコール、イソアミルアルコールの量を表11に示す。
本発明の石見銀山梅花酵母が、清酒などのアルコール飲食品の製造に使用できるかどうかを調べるために、耐アルコール性について調べた。
実験例7でアルコール耐性が確認された協会701号と本発明の石見銀山梅花酵母を使用して、清酒の仕込み試験を行った。
仕込み配合を表13に示す。原料米は精米歩合50%の五百万石を用い、2000ml綿栓三角フラスコに三段仕込み(麹歩合22%、汲み水歩合145%)を行った。なお各酵母(石見銀山梅花酵母、協会701号)は30mlの麹汁培地で5日間培養したものを、初添に添加した。仕込み温度は、初添15℃、仲添と留添10℃とし、もろみ最高温度13℃、もろみ日数25日とした。
仕込み期間中、フラスコの重量変化を経時的に測定した。重量変化は、協会701号を用いた場合も、また石見銀山梅花酵母を用いた場合もほぼ同様の傾向を示した。いずれも留添後7日間は約10gずつ減少したが、減少の程度は徐々に少なくなり、14日目以降は1日約2gずつの減少ペースとなった。
実験例8で製造した清酒(比較例4及び実施例4)について、それに含まれる香気成分と有機酸を分析した。
(1-1)香気成分の分析
2種類の清酒(実施例4及び比較例4)は、それぞれ5mlずつサンプル瓶に充填密閉し、ヘッドスペースガスクロマトグラフ(ガスクロマトグラフ:島津製作所製GC-2014+ヘッドスペースサンプラ:パーキンエルマー社製TurboMatrix40、カラム:TC-WAX)で揮発成分を測定した。サンプル瓶は50℃で15分間保持してから、瓶内のヘッドスペースガスを採取して、分析に用いた。
有機酸は、高速液体クロマトグラフ(島津製作所製:LC-10、カラム:Shim-pack SCR-102H)で行った。
香気成分及び有機酸の分析結果をそれぞれ表15及び表16に示す。
本発明の石見銀山梅花酵母が、漬物などの塩蔵食品の発酵(製造)に使用できるかどうかを調べるために、耐塩性について調べた。
Claims (6)
- 梅の花から採取された酵母であって、サッカロミセス セレビシエに属する「石見銀山梅花酵母−1」(受託番号:NITE P−1056)、またはその継代株。
- 請求項1に記載する寄託酵母またはその継代株を含むことを特徴とするパン製造用の中種。
- 請求項1に記載する寄託酵母またはその継代株を含むことを特徴とするパン生地。
- 請求項1に記載する寄託酵母またはその継代株を用いて製造されることを特徴とする発酵飲食品または発酵飼料。
- 上記発酵飲食品が、パン、アルコール飲食品、及び塩濃度10重量%以下の発酵飲食品からなる少なくとも1種である、請求項4に記載する発酵飲食品。
- 請求項1に記載する寄託酵母またはその継代株を用いて発酵する工程を有する、発酵飲食品または発酵飼料の製造方法。
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