JP4899138B1 - 石見銀山梅花酵母、及びそれを用いて製造される発酵飲食品または飼料 - Google Patents

石見銀山梅花酵母、及びそれを用いて製造される発酵飲食品または飼料 Download PDF

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Abstract

【課題】風味に優れた発酵飲食品を製造することができる酵母、およびそれを用いた発酵飲食品の提供。
【解決手段】上記酵母として、梅の花から採取された酵母であって、サッカロミセス セレビシエに属する「石見銀山梅花酵母−1」(受託番号:NITE P−1056)、またはその継代株を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、梅花から単離した新規酵母に関する。また本発明は、当該新規酵母を用いて製造される各種発酵飲食品、例えばパンや菓子等のベーカリー類;清酒や焼酎などのアルコール飲食品;漬け物等の発酵食品;並びに家畜や養殖魚用の飼料などに関する。
酵母は、従来より発酵飲食品、例えばワイン、ビール、清酒などのアルコール飲料;味噌、醤油、酢及び味醂などの発酵調味料;漬け物やキムチなどの発酵食品;パンや菓子などのベーカリー類等の製造に広く使用されている。
しかし、例えば、現在市販されている製パン用乾燥酵母は、その殆どが外国製のものであるが、これを用いてパンを製造すると、酵母特有の酵母臭が発生し、風味が好ましくない等といった評価がされている。天然酵母については、製パン業界では干しぶどうなどの果実等から種起こしが行なわれているが、発酵力が不安定であるなどの問題がある。さらに市販されている天然酵母は、製造したパンの食感が硬くなるなどといった、出来上がったパンの品質が必ずしもよくないという問題がある。
特開2003-116523号公報 特開2001-178449号公報
前述するように、干ブドウ等の果物などから種起こしをした天然酵母は、発酵力が安定していないので、これを用いてパンを製造するためには熟練した技術を要する。このため、製パン酵母として汎用するにはあまり適していない。また既存の天然酵母や乾燥酵母は、香りなどの風味や食感など、パンの品質に悪影響を与えることが多い。
これらのことから、天然由来でありながらも発酵力に安定性があり、かつパン等の発酵飲食品の品質に悪影響を及ぼすことがなく、逆に風味に優れた発酵飲食品を製造することができる酵母の開発が望まれている。
本発明は、かかる従来の課題を解決することを目的とする。具体的には、安定した発酵力を発揮する天然酵母であって、かつパンやアルコール飲食品等の発酵飲食品の品質に悪影響なく、風味に優れた発酵飲食品を製造することができる酵母を提供することを目的とする。
古来石見銀山では、採掘作業者が防塵マスクとして梅肉を布で挟み込んだマスクを使用し、人体の安全性を確保していた歴史的背景がある。このため、世界遺産に指定された石見銀山地区では現在も梅の木がとても大事にされている。しかしながら、石見銀山地区はもちろん、全国的にも梅の木から酵母などのように発酵食品製造に有用な微生物が分離されて活用されている例はない。
そこで本発明者らは、かかる石見銀山地区の梅の木に着目し、種々検討をしていたところ、梅の花から単離した酵母の中に上記特性を備えた酵母が存在することを見出した。具体的には、当該酵母を用いて製造したパンは、いわゆる酵母臭が少なく、爽やかな香りを有する。また当該酵母は、発酵能力に優れており、現在広く使用されている酒造用酵母に匹敵するため、パンの製造のみならず、清酒や焼酎などのアルコール含有飲食品の製造にも使用できる。また、15重量%未満、好ましくは10重量%以下の塩濃度に対して耐性(耐塩性)があるため、浅漬けなど、食塩濃度が10重量%以下の発酵食品の製造にも広く使用できることを確認した。
本発明は、これらの知見に基づいて、さらなる研究のもとで完成したものであって、以下の実施形態を備えている。
(I)梅花酵母
(I-1)梅の花から採取された酵母であって、サッカロミセス セレビシエに属する「石見銀山梅花酵母−1」(受託番号NITE P−1056)(以下、「寄託酵母」ともいう)、またはその継代株。
(I-2)上記寄託酵母が島根県石見銀山地区(島根県大田市大森町)に自生する梅の木の花(梅花)から採取された酵母である、(I-1)記載の寄託酵母またはその継代株。
(I-3)パン、アルコール飲食品、及び塩濃度10重量%以下の発酵飲食品からなる少なくとも1種の発酵飲食品の製造に使用される、(I-1)または(I-2)に記載の寄託酵母またはその継代株。
(I-4)(I-1)乃至(I-3)記載の寄託酵母またはその継代株を乾燥させてなる乾燥酵母。
(II)発酵飲食品または発酵飼料
(II-1)(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を含むパン製造用の中種。
(II-2)冷凍された中種である、(II-1)に記載するパン製造用の中種。
(II-3)(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を含むパン生地。
(II-4)冷凍パン生地である、(II-3)に記載するパン生地。
(II-5)(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を用いて製造されることを特徴とする発酵飲食品または発酵飼料。
(II-6)発酵飲食品が、パン、アルコール飲食品、及び塩濃度10重量%以下の発酵飲食品からなる群から選択される少なくとも1種の発酵飲食品である、(II-5)に記載する発酵飲食品。
(II-7)アルコール飲食品が、清酒、料理酒、雑酒、濁酒、ビール、発泡酒、果実酒類、ウイスキー、ブランデー、ワイン、スピリッツ類、及びリキュール類からなる群から選択される少なくとも1種の発酵飲食品である、(II-5)に記載する発酵飲食品。
(II-8)塩濃度10重量%以下の発酵飲食品が、味噌、醤油、魚醤油、漬け物の素、漬け物、及び塩辛からなる群から選択される少なくとも1種の発酵飲食品である、(II-5)に記載する発酵飲食品。
(III)梅花酵母を用いた発酵飲食品及び発酵飼料の製造方法
(III-1)(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を用いて発酵する工程を有する、発酵飲食品または発酵飼料の製造方法。
(III-2)上記発酵飲食品がパンであり、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を用いてパン生地を調製し、これを発酵する工程を有する、(III-1)に記載する製造方法。
(III-3)上記発酵飲食品がアルコール飲食品であり、アルコール飲食品の製造原料に(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株を配合し、これを発酵(醸造)する工程を有する、(III-1)に記載する製造方法。
(III-3)上記発酵飲食品が塩濃度10重量%以下の発酵飲食品であり、発酵飲食品の製造原料を、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株の存在下で、発酵する工程を有する、(III-1)に記載する製造方法。
(III-4)上記発酵飲食品が塩濃度10重量%以下の漬け物であり、漬け物の調味液の製造原料を(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する寄託酵母またはその継代株の存在下で発酵(培養)する工程、得られた培養物から酵母菌体を除去し培養液を回収する工程、回収した培養液に野菜を漬け込む工程を有する、(III-1)に記載する製造方法。
なお、本明細書において、上記「石見銀山梅花酵母−1」(受託番号NITE P−1056)(寄託酵母)及びその継代株を総称して、「石見銀山梅花酵母」または単に「梅花酵母」と称する。
本発明が提供する「石見銀山梅花酵母」は、石見銀山地区に自生する梅の花から単離された天然由来の酵母でありながらも、パンの製造や醸造に従来から工業的に用いられている酵母と同様に性質が安定しているとともに、発酵飲食品の製造に使用しても酵母臭が少なく、爽やかな香りを有することを特徴とする。また当該酵母は、発酵能力に優れており、現在広く使用されている酒造用酵母に匹敵するため、パンの製造のみならず、清酒や焼酎などのアルコール飲食品の製造にも使用することができる(実験例8)。このため、本発明の「石見銀山梅花酵母」は、ほのかな爽やかな香りを有するパンやアルコール飲料を製造するために有効に利用することができる(実験例4〜6及び9参照)。さらに、本発明の「石見銀山梅花酵母」は、好ましくは10重量%以下の塩濃度に対して耐性(耐塩性)があるため(実験例10参照)、塩濃度が10重量%以下の、例えば味噌、醤油、調味料または漬け物などの発酵飲食品の製造にも広く使用することができる。
実験例2において、本発明の梅花酵母の生育可能温度(15〜35℃)を評価した結果を示す図である。横軸は培養時間(hr)、縦軸は菌体濃度の指標となる培養液の吸光度(OD595nm)を示す。 実験例2において、本発明の梅花酵母の死滅温度(50〜100℃)を評価した結果を示す図である。横軸は培養日数(日)、縦軸は菌体濃度の指標となる培養液の吸光度(OD595nm)を示す。 実験例2において、本発明の梅花酵母の生育可能pH(pH3〜8)を評価した結果を示す図である。横軸は培養時間(hr)、縦軸は菌体濃度の指標となる培養液の吸光度(OD595nm)を示す。
(I)新規酵母「石見銀山梅花酵母」
本発明が提供する梅花酵母は、石見銀山地区に自生する梅の花から分離した新規酵母であり、下記の科学的性質及び分類学的性質を有するサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する菌株である。
(1)科学的性質
(1-1)YM培地を用いて30℃で2日間培養したときの菌の形態:
・栄養細胞の大きさ:4〜8μm
・栄養細胞の形状:卵型
・増殖の形態:出芽。
(1-2)YM寒天培地を用い、30℃で2日間培養したときのコロニーの形態:
・形態:円
・隆起:凸円状
・周縁:円滑
・大きさ(直径):2〜3mm
・色調:白色で不透明
・表面:円滑で光沢あり。
(1-3)炭素源資化性:
・グルコース、ガラクトース、白糖(サッカロース)、ラフィノース、D-マルトース、パラチノースは資化する。
・シクロヘキシミド、N-アセチル-グルコサミン、乳酸、L-アラビノース、D-セロビオース、トレハロース、2-ケト-グルコン酸カルシウム、α-メチル-α-D-グルコシド、D-マンニトール、乳糖、イノシット、D-ソルビトール、D-キシロース、D-リボース、グリセロール、L-ラムノース、エリスリトール、D-メリビオース、グルクロン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、レブリン酸、L-ソルボース、D-グルコサミン塩酸塩、エスクリンは資化しない。
(1-4)耐塩性:
・10重量%の塩化ナトリウムを含む培地において少なくとも3日間生育可能である。
(1-5)TTC染色性:
・秋山・古川の方法(日本農芸化学会誌No37,398-403(1963))によるTTC染色性試験によりコロニーの染色性を観察してところ、コロニーは薄いピンク色を示した。
(1-6)耐アルコール性:
・8重量%のエタノールを含む1%グルコース含有0.1M酢酸緩衝液(pH4.3)において少なくとも3日間生育可能である。
(2)分類学的性質
遺伝子解析により、上記梅花酵母の28rRNA遺伝子(rDNA)D1/D2領域塩基配列を決定し、NCBIデータベースに登録されている塩基配列と比較した結果、上記梅花酵母は、Saccharomyces cerevisiae に属する酵母であると判断された。
かかる酵母は、微生物の表示(識別の表示)を「石見銀山梅花酵母−1」として、日本国千葉県木更津かずさ鎌足2−5−8に住所を有する独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに、2011年2月8日に「受託番号:NITE P−1056」として寄託されている(受託証:通知番号10-401、通知年月日2011年2月28日)。
本発明が対象とする梅花酵母は、本来的に梅花に由来し、上記の科学的性質及び分類学的性質を有するサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する菌株であればよく、上記寄託酵母だけでなく、その継代株も含まれる。
なお、酵母菌の継代は、定法に従って行うことができ、特に制限されない。例えば、小型試験管にYM寒天培地のスラントをつくり、これに継代する対象の酵母を植菌して、30℃程度で18〜48時間程度培養する方法を挙げることができる。培養により継代された酵母は、通常5℃程度の条件で保存することができるが、この場合、保存開始前に殺菌処理した流動パラフィンを、培地が隠れるまで重層しておくことが望ましい。また、酵母の植え継ぎ期間は4〜6ヶ月ごとに行うことが望ましい。
本発明の梅花酵母の培地としては、炭素源、窒素源、無機イオン、さらに必要に応じ有機微量栄養素を含有する通常の培地が使用できる。炭素源としては、資化可能な炭素化合物またはこれを含有するものであればよく、例えば、前述するように、グルコース、ガラクトース、サッカロース、ラフィノース、D−マルトース、及びパラチノースなどの炭水化物が良好に用いられる。窒素源としては、資化可能な窒素化合物またはこれを含有するものであればよく、例えば、硫安、カザミノ酸、ペプトンなどが使用される。また、リン酸、鉄、カリウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、銅、カルシウムなどの無機塩類を適宜使用することができる。さらに必要に応じて、菌の生育に必要なアミノ酸、ビオチン、リボフラビン、ピリドキシン、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、チアミンなどのビタミン類などを培地に添加して用いることができる。
使用できる培地としては、例えば、麦芽汁培地、麦芽汁寒天培地、YM寒天培地(酵母エキス、麦芽エキス、ペプトン、グルコース、寒天、蒸留水、pH 5〜6)、PGY 培地(酵母エキス、ペプトン、グルコース、蒸留水、pH 5〜6)、V−8ジュース培地(V-8 ジュース、圧搾パン酵母、KOH 、寒天、蒸留水)、ゴロドワ(Gorodkowa) 寒天培地(グルコース、ペプトン、NaCl、寒天、蒸留水)などが挙げられる。
特に好適な培地としては、酵母エキス、ポリペプトン、グルコースなどよりなる培地が挙げられる。培養は、温度10〜40℃程度、好ましくは15〜37℃程度で、pH3〜7程度、好ましくは3.5〜6程度で行われる。酵母の培養は、振盪培養、通気培養、攪拌培養、静置培養などの好気的または嫌気的培養など、適宜好ましい方法を選択して行うことができる。
(II)発酵飲食品または発酵飼料及びこれらの製造方法
本発明が対象とする発酵飲食品及び発酵飼料には、酵母を用いて発酵して製造される飲食品及び飼料、並びに酵母で発酵されたものを用いて製造される飲食品及び飼料が広く含まれる。かかる発酵飲食品としては、具体的には、パン(発酵パン)等のベーカリー製品、アルコール飲食品、塩濃度が15重量%未満、好ましくは10重量%以下の発酵飲食品を挙げることができる。
ここでパン(発酵パン)とは、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉)またはその代替粉をパン酵母によって発酵させて製造されるものであり、砂糖を10%以下の割合で含む食パン類、及び砂糖をそれ以上、例えば20〜30%の割合で含む菓子パン類に分類することができる。小麦粉の代替粉としては、米粉、ライ麦または蕎麦粉等の穀物類の粉を挙げることができ、これらの代替粉は、小麦粉に代えて、または小麦粉と共に使用することができる。なお、本発明が対象とするパンには、酒饅頭などの和菓子や中華饅頭等のパン酵母を用いて生地を発酵して製造される食品も含まれる。
アルコール飲食品としては、清酒、料理酒、雑酒、濁酒、焼酎、ビール、発泡酒、果実酒類、ウイスキーやブランデー類、ワイン、スピリッツ類、及びリキュール類等を挙げることができる。好ましくは清酒、料理酒、雑酒、濁酒、発泡酒、リキュール類及び焼酎であり、より好ましくは清酒、料理酒、雑酒、濁酒、焼酎である。
また塩濃度が15重量%未満、好ましくは10重量%以下の発酵食品としては、食塩濃度が上記濃度範囲である味噌、醤油、魚醤油、及び漬け物の素などの調味料;並びに当該調味料を用いて製造される漬け物や塩辛等を挙げることができる。好ましくは味噌、漬け物の素、漬け物、及び塩辛である。
また本発明が対象とする飼料は、飼料原料に酵母自体を含むもの、または酵母によって発酵させて製造されるものであり、例えば、乾燥酵母菌体、また雑草、破棄果物やオカラなどの食品廃棄物を酵母を用いて発酵処理したものを挙げることができる。かかる飼料を供給する対象の動物としては、例えば牛、豚、家禽類等の家畜、並びに魚介類などの養殖魚を挙げることができる。
(1)パンの製造方法
本発明において、パン(発酵パン)は、製パン酵母として本発明の梅花酵母を使用する以外は、通常の製パン方法に従って製造することができる。パンの製法には、全原料を一度に捏ねて発酵させる「直捏法」と、小麦粉または代替粉の一部とパン酵母だけで中種を作り、発酵させた後に、残りの全原料を加えて再度混捏し、仕上げ、焙炉、焼成を行う「中種法」がある。本発明の梅花酵母は、これら両方の製造方法においてパン酵母として使用することができる。
一例を挙げると、「直捏法」の場合、小麦粉またはその代替粉100重量部に対して梅花酵母を乾燥菌体重量として通常2〜6重量部程度の割合で用い、その他の成分として食塩及び砂糖等の副原料、並びに必要に応じて製パン用改良剤(フード)、油脂(バター又はマーガリン)または卵を、水とともに混捏し、これを温度25〜32℃程度、相対湿度70〜90%程度の条件で、60〜120分間程度発酵する(一次発酵)。次いで、ガス抜きをした後、再び温度30〜42℃程度、相対湿度80〜95%程度の条件で、80〜180分間程度発酵する(二次発酵)。斯くして調製した生地を、定法に従って、分割、丸め、ねかし、整形、焙炉(最終発酵)、及び焼成を行うことでパンが製造される。
他の例を挙げると、「中種法」の場合、小麦粉またはその代替粉70重量部程度に対して梅花酵母を乾燥菌体重量として通常2〜6重量部程度の割合で用い、これを水、及び必要に応じて製パン用改良剤(フード)とともに混捏し(中種)、これを温度20〜30℃程度、相対湿度70〜90%程度の条件で、120〜600分間程度発酵する(中種発酵)。生成した中種に、小麦粉またはその代替粉30重量部程度、食塩及び砂糖等の副原料、並びに必要に応じて油脂(バターやマーガリン)または卵を、水とともに混捏し、斯くして調製した生地を、定法に従って、分割、丸め、ねかし、整形、焙炉(最終発酵)、及び焼成を行うことでパンが製造される。
斯くして製造されるパンは、発酵に使用する梅花酵母に起因して、爽やかな香りを有している(実施例3〜5)。
(2)アルコール飲食品の製造方法
本発明の梅花酵母を用いて芳香を持つ清酒などのアルコール飲食品を製造する場合、梅花酵母は予め前培養しておくことが好ましい。例えば、寒天斜面培地などに保持されている梅花酵母は、適当な液体栄養培地で静置培養され、それを酵母源とすることができる。
清酒製造などでは、例えばもろみの約7%にあたる米と麹を用いて酒母の製造がなされる。発酵の原料としては、糖質を含有するもの、セルロース質あるいはデンプン質のもの、例えば、サトウキビやこれから採った糖蜜、サツマイモ、ジャガイモ、トウモロコシ、キャサバ、テンサイなど、果物あるいは野菜の汁、例えば、麦芽汁、ブドウ、リンゴ、マルメロ、グレープフルーツ、オレンジ、ミカンなどの柑橘類、カリン、ナシ、西洋ナシ、ビワ、アンズ、ウメ、カキ、サクランボ、スモモ、ナツメ、モモ、ネクタリン、イチジク、キイチゴ、グミ、ザクロ、キウイフルーツ、マンゴー、バナナ、パインアップル、パパイヤ、グアバ、ヤシなどの果汁、穀物、例えば、米、小麦などから調整されたもろみなど、小麦粉を主として含むもの、例えば、パン生地、菓子パン生地、饅頭生地などが挙げられる。穀物、例えば、米、小麦など、ジャガイモ、サツマイモなどのイモ類などに含まれるセルロース質あるいはデンプン質のものを利用する場合、それらセルロース質あるいはデンプン質のものを予め発酵可能な糖類に変換しておくことが好ましい。清酒用のもろみは特に好ましく用いられる。
アルコール飲食品を製造する場合、目的とする飲料の種類に応じ、酒税法及び酒税法施行令や規則などの法令に定められた原料を用いることが好ましい。例えば、清酒や雑酒では、米、麦、ヒエ、アワ、トウモロコシ、コウリャン、キビ、及びこれらから得られる糖質を用いることができる。糖質は酵母によりそのまま発酵するが、デンプン質、セルロース質などは、まず液化酵素や糖化酵素などにより発酵可能な糖質に転化された後、酵母の作用を受けて発酵する。このような酵素源としては当該分野で公知のもののうちから選択して用いることができ、例えば、麦芽や麹などに含まれる酵素、具体的には、乳酸菌、糸状菌;例えば、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)などの麹生産菌などが生産する酵素、具体的にはα−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ジアスターゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、ラクターゼなどの酵素を挙げることができる。
醸造は、アルコール飲食品の種類により異なるが、例えば、清酒では温度5 〜25℃程度、好ましくは10〜20℃程度で行われる。
例えば、清酒では、まずもろみの約7%にあたる蒸米と麹を用い酵母の培養物たる酒母の製造がなされる。次に炭素源とする原料、水及び無機塩類を温度管理のできるタンクに仕込み、酒母を添加して発酵を開始する。一般に清酒、焼酎などの製造では、発酵の始めに炭素源の一部を仕込み、発酵に伴い残りの炭素源を追加していく段仕込みが行われる。もろみの製造は、清酒では、おおよそ約15℃を中心に10℃〜約18℃で管理されるが、より低温で処理し香りを重視した方法を採ることもできる。もろみの発酵は、約15日〜45日程度で終了するのが一般的である。焼酎製造では、清酒よりやや高い温度で処理され、かつもろみの期間も短縮できる。もろみは発酵が順調に進むように攪拌することもできるし、その温度も各段階に応じて変化調整することができる。
清酒では、こうして得られたもろみは圧搾濾過などにより酒粕と分離されて原酒となる。本発明の梅花酵母を用いて得られる芳香を持つアルコール飲食品としては、ビール、発泡酒、ワイン、清酒、料理酒、雑酒、濁酒、老酒、紹興酒など、また発酵製品をさらに蒸留して得られるウイスキー、ブランデー、焼酎、ジン、テキーラ、ウォッカ、その他の酒類などが挙げられる。特に好ましいものとしては清酒、料理酒、雑酒、濁酒、焼酎が挙げられる。果実から得られる果汁、例えば、ブドウ果汁、ミカン果汁を利用すれば、ワインが得られる。
なお、アルコール飲食品の製造に使用する梅花酵母の割合としては、制限はされないが、例えばアルコール飲食品として清酒またはワインを製造する場合、酒母1ml(g)に対して、純粋培養した酵母の割合が約105cell/ml(g)〜約107cell/ml(g)程度になるように設定し調整することが好ましい。
斯くして製造されるアルコール飲食品、発酵に使用する梅花酵母に起因して、フルーティーな爽やかな香りを有している(実施例8)。
(3)塩濃度が10重量%以下の発酵飲食品の製造方法
ここで対象とする発酵飲食品としては、前述するように、食塩濃度が10重量%以下にある味噌、醤油、魚醤油、及び漬け物の素などの調味料;並びに当該調味料を用いて製造される漬け物や塩辛等を挙げることができる。
当該発酵飲食品は、食塩を10重量%以下の割合で含むこれら飲食品の原材料を、梅花酵母の存在下、発酵条件におくことによって製造することができる。発酵条件としては、空気存在下(好気条件下)、温度25〜30℃程度を例示することができる。例えば、漬け物の素は、梅花酵母を糖度10(Brix:10)の麹汁中で培養し、その後、酵母菌体を除去することにより調製することができ、回収した培養液はそのまま若しくは希釈した状態で液状の漬け物の素としてもよいし、また凍結乾燥若しくは噴霧乾燥した乾燥物の状態で漬け物の素とすることもできる。
本発明の発酵飲食品には、上記漬け物の素を調味液として、これに野菜を漬け込むことによって製造される漬け物(浅漬けを含む)が含まれる。例えば、浅漬けとしてハクサイ漬けやダイコン漬けを調製する方法として、上記漬け物の素を2.5〜5%(乾燥重量)の割合で含む食塩濃度3%の浸漬液に、原料の白菜や大根10kgを漬ける方法;キュウリ漬けやナス漬けを調製する方法として、上記漬け物の素を5〜7%(乾燥重量)の割合で含む食塩濃度3%の浸漬液に、原料の胡瓜や茄子10kgを漬ける方法などを例示することができる。
実験例1
(1)梅花酵母の単離
本発明に用いられる酵母「石見銀山梅花酵母−1」は、次の方法で梅花より分離した。
島根県大田市大森町(石見銀山地区)に自生する梅の木に咲いていた花を採取し、この花全体を10輪ずつ250mlのYM培地(ペプトン5g、酵母エキス3g、麦芽エキス3g、ブドウ糖10g、蒸留水1Lの割合)に入れ、25℃で5日間静置培養した。このうちガスの発生が確認されたものについて、適宜希釈して0.1mlずつ真菌(酵母)測定用培地(ポテトデキストロース寒天培地1L当たりにクロラムフェニコール100mg、塩化ナトリウム50g、プロピオン酸ナトリウム2g、pH5.4)に塗抹して、25℃で5日間培養した。この培地において成育したコロニーを、100mlの麹汁培地(米麹に3倍の水を添加して55℃で5時間糖化した後、ろ過して得られた液汁を水で糖度8(Brix:8)に調製したもの)に接種して、30℃で5日間培養した。これらのうち、ガス発酵、表面膜の発生が無いこと、官能的に立ち香が良いことなどを確認して、特に香りが優れていると判断された酵母について、再度500ml麹汁培地で培養して香りなどの確認を行った。
以上の作業を、梅花の採取場所を変えて3回行い、特に香りが優れていると判断した酵母を「石見銀山梅花酵母」とした。
(2)梅花酵母の同定
上記方法で単離した酵母「石見銀山梅花酵母」の分類学的な性質は次のとおりであった。
(2-1).科学的性質
(i)YM培地を用い30℃で2日間培養したときの菌の形態
(a)栄養細胞の大きさ:4〜8μm、
(b)栄養細胞の形状:卵形、
(c)増殖の形態:出芽。
(ii)YM培地を用い30℃で2日間培養したときのコロニーの形態
(a)形状:円、
(b)隆起:凸型、
(c)コロニーの直径:2〜3mm、
(d)色調:白色で不透明、
(e)表面:円滑で光沢有り。
(iii)炭素源資化性
酵母同定検査キット(「アピID32シリーズ(ID32C)」シスメックス(株)製)を用い、30℃で2日間培養して表1に記載する炭素源の資化性を評価した。比較のため、市販パン酵母(「スーパーカメリア ドライイースト」日清製粉(株)製)の炭素源資化性、及びこの同定検査キットに記載されているSaccharomyces cerevisiaeの炭素源資化性と併せて、結果を表1に示す。
Figure 0004899138
(iv)耐塩性
10重量%の塩化ナトリウムを含む培地において少なくとも3日間生育可能である。
(v)アルコール耐性:
8重量%のエタノールを含む1%グルコース含有0.1M酢酸緩衝液(pH4.3)において少なくとも3日間生育可能である。
(vi)TTC染色性
秋山・古川の方法(日本農芸化学会誌No37,398-403(1963))により、TTC染色性試験を行った。具体的には、菌体を適当に希釈し(1プレートに約200程度となるよう)、TTC下層培地(1リットルに44.17gの割合で使用。44.17gの内容はブドウ糖10.0g、ペプトン2.0g、酵母エキス1.5g、酸性リン酸カリウム1.0g、硫酸マグネシウム0.4g、クエン酸0.27g、寒天30.0g、pH4.5±0.1)に30℃で2日間プレート培養したコロニーへ、TTC上層培地(100mlに2g使用。2gの内容は、TTC0.05g、ブドウ糖0.5g、寒天1.5g)を溶解後45℃程度にしてから静かに重層し、固まった後30℃に2〜3時間放置し、コロニーの染色を観察した。この染色結果、本発明の酵母は薄いピンク色を示した。これに対して、日本醸造協会の頒布酵母(協会7号及び9号)は赤色を示したので、本発明の酵母は日本醸造協会の酵母とは異なることが確認された。
(2-2).部分塩基配列
寄託菌の部分塩基配列を解析し、NCBIデータベースに登録されている塩基配列と比較した。その結果、Saccharomyces cerevisiae に属すると判断された(ID%=99.9%、T index=0.89)(委託検査先:ビジョンバイオ株式会社、食品検査センター:福岡県久留米市)。
以上のことから、「石見銀山梅花酵母」は、安全性が確認され、広くパン製造や酒造などの食品製造に使用されている、Saccharomyces cerevisiaeに属する酵母であり、また清酒製造において島根県で最も普及している協会酵母(協会7号、9号)とも、また市販の製パン酵母とも異なるものであると判断された。
実験例2 梅花酵母の生理的性質に関する実験
本発明の「石見銀山梅花酵母」(梅花酵母)について、生理的性質(生育可能温度、死滅温度、生育可能pH)を評価した。
1.生存可能温度の評価
(1)測定方法
YPD培地(1%Yeast Extract,2%Polypeptone,2%Glucose)50mLを入れ殺菌した100mL容三角フラスコに、液体培養した梅花酵母の懸濁液(1mL)を加え、15℃〜35℃の温度条件(15℃、20℃、25℃、30℃、35℃)で培養し、経時的に培養液を採取して菌体濃度を測定し、梅花酵母の発育状況を確認した。培養液中の菌体濃度の測定は、経時的に採取した培養液を96穴プレートに200μLを取り、マルチラベルカウンタ(Wallac 1420 ARVOsx マルチラベルカウンタ(PerkinElmer))で595nmの吸光度(OD595)を計測することにより行った(サンプルOD595)。具体的には、同時に菌体を植菌していない培地(対照培地)を同様に培養し、それから経時的に採取した培養液の吸光度(OD595)を「ブランクOD595」とし、当該ブランクOD595を上記サンプルOD595から差し引くことで、培養液中の菌体濃度を算出した。
Figure 0004899138
(2)測定結果
結果を図1に示す。図1に示すように、梅花酵母は35℃の培養温度で最も増殖の立ち上がりが早かった。30℃、25℃、20℃及び15℃と培養温度が低くなるにつれて増殖速度に遅延が見られたが、いずれも24〜48時間培養することで(15℃の場合は、48時間)、ほぼ同じ菌体濃度に達することが確認された。この結果から、梅花酵母は15℃〜35℃のいずれの温度条件でも生育可能であること、最適生育温度は30℃〜35℃であることが確認された。
2.死滅温度の測定
(1)測定方法
YPD培地10mLを入れ殺菌した試験管を、50℃〜100℃の各種温度の湯浴中に浸しておき、この状態の試験管に、新しくYPD培地にて培養した梅花酵母の懸濁液を0.5mLずつ無菌的に移植した。10分後、直ちに30℃前後まで冷やして、引き続き30℃の定温器中で培養した。培養から2日目に、培養液を採取して菌体濃度を測定して、梅花酵母が増殖しなかった試験管の適用温度を死滅温度とした。対照試験として、高温処理をしない試験管に梅花酵母の懸濁液を移植し、同様に菌体濃度を測定した。培養液中の菌体濃度は、1と同様に、採取した培養液を96穴プレートに200μLを取り、マルチラベルカウンタで595nmの吸光度(OD595)を計測することにより行い(サンプルOD595)、ブランクOD595を上記サンプルOD595から差し引くことで算出した。
(2)測定結果
結果を図2に示す。図2に示すように、梅花酵母は50℃の高温処理を行ってもコントロールと同様の生育を示した。しかし、60℃以上の高温になると菌体の増殖が見られず死滅していた。このことから、梅花酵母は50℃まで生育可能であり、60℃以上で死滅することが確認された。
3.生育可能pHの測定
(1)測定方法
YPD培地に酸またはアルカリを加えてpH3.0〜8.0に調節したもの10mLずつを試験管に入れて殺菌し、これに、YPD培地にて培養した梅花酵母の懸濁液を0.5mLずつ無菌的に移植し、30℃にて培養を行った。培養から24時間目及び48時間目に、培養液を採取して1及び2と同様に、菌体濃度を測定して、梅花酵母の発育状況から、生育可能pHを評価した。
(2)測定結果
結果を図3に示す。図3に示すように、梅花酵母はpH3.0〜8.0のいずれのpH条件でも生育可能であった。ただ、pH7〜8の弱アルカリ性に比べ、pH4〜6の弱酸性側で比較的早く増殖する傾向が認められた。最も増殖が良いpH条件はpH5であった。また、アルカリ性条件下よりも、酸性条件下の方が炭酸ガスの発生が多く、よく効率的に発酵している傾向が認められた。
以上の試験結果を纏めると、梅花酵母の生育に適した温度は30℃〜35℃であり、これは一般的な酵母の最適温度(30℃前後)と一致していた。梅花酵母の死滅温度は、一般の酵母と同様に60℃以上であった。パン酵母の場合、酸性側でよく発酵し、最適pHは4.5〜4.8とされるが、上記生存可能pHの試験結果から、本発明の梅花酵母もアルカリ性よりも酸性側を好み、よく発酵することが判明した。以上のことから、梅花酵母の生理的性質は、パンの製造や醸造に従来から工業的に用いられている酵母と同様に、性質が安定していることが確認された。特に梅花酵母は、特にパン酵母として相応しい性質を備えていると考えられた。
実験例3 パン酵母としての発酵試験
日本イースト工業会の定めたパン用酵母試験法(平成8年8月)に基づき、本発明の「石見銀山梅花酵母」及び市販の乾燥酵母を用いて、発酵試験を行った。
「石見銀山梅花酵母」は、前記した麹汁培地で30℃、7日間静置培養してから8000rpmで遠心分離を行い、回収したものを用いた(水分含量78%)。また比較用の乾燥酵母は市販品(商品名「スーパーカメリア ドライイースト」、日清製粉(株)製)(水分含量3%)を使用した。
1.低糖生地膨張力試験
各酵母(石見銀山梅花酵母5g、乾燥酵母1g:いずれも乾燥重量が約1gになるように調整)、小麦粉100g、ショ糖5g、食塩2g、及び水62mlを用いてパン用生地を調製した(糖濃度約3%)。この生地を、直径6.7cm、高さ24.0cmで10ml刻みの目盛りのついた両端が開いたシリンダーへ、底から詰めた。これを30℃のインキュベーター内に60分静置し1次発酵させた。次いで室温で手作業により生地のガス抜きをし、それから再び同じく30℃のインキュベーター内に40分静置し、2次発酵させた。
1次発酵後及び2次発酵後にそれぞれ生地の膨張率をシリンダーの目盛り(体積)を読むことで測定した。乾燥酵母の膨張率を100として、石見銀山梅花酵母の膨張率の相対値を求めた結果を表2に示す。
Figure 0004899138
2.高糖生地膨張力試験
各酵母(石見銀山梅花酵母5g(乾燥重量1.1g)、乾燥酵母1.5g(乾燥重量1.45g))、小麦粉100g、ショ糖30g、食塩0.5g、及び水52mlを用いてパン用生地を調製した(糖濃度約16%)。この生地をシリンダーに詰めて、30℃のインキュベーター内に80分静置し1次発酵させた。次いでガス抜きした後、30℃で40分2次発酵させた。
1次発酵後及び2次発酵後にそれぞれ生地の膨張率は体積を測定して求めた。乾燥酵母の膨張率を100として、石見銀山梅花酵母の膨張率の相対値を求めた結果を表3に示す。
Figure 0004899138
3.無糖生地膨張力試験
各酵母(石見銀山梅花酵母5g(乾燥重量1.1g)、乾燥酵母1.5g(乾燥重量約1g))、小麦粉100g、食塩2g、及び水65mlを用いてパン用生地を調製した(糖濃度0%)。これを30℃のインキュベーター内に60分静置し1次発酵させた。次いでガス抜きをし、それから再び同じく30℃のインキュベーター内に40分静置し2次発酵させた。
1次発酵後及び2次発酵後にそれぞれ生地の膨張率は体積を測定して求めた。乾燥酵母の膨張率を100として、石見銀山梅花酵母の膨張率の相対値を求めた結果を表4に示す。
Figure 0004899138
4.発酵温度と発酵時間の検討
(1)発酵温度の検討
各酵母(石見銀山梅花酵母、乾燥酵母)について、発酵温度を33℃、35℃、及び38℃に設定して、上記「2.低糖生地膨張力試験」を行った。1次発酵後及び2次発酵後にそれぞれの生地の膨張率を測定した。乾燥酵母の膨張率を100として、石見銀山梅花酵母の膨張率の相対値を求めた結果を表5に示す。
Figure 0004899138
(2)発酵時間の検討
各酵母(石見銀山梅花酵母、乾燥酵母)について、発酵温度を30℃、33℃、35℃、38℃に設定して、上記「2.低糖生地膨張力試験」を行った。乾燥酵母については、低糖生地膨張力試験における発酵時間を通常の1次発酵60分、2次発酵40分に設定した。一方、石見銀山梅花酵母については、生地の膨張度(体積)が上記乾燥酵母を用いた生地と同じになるまで1次発酵も2次発酵も発酵時間を延長し、延長に要した追加時間を測定した。
その結果、石見銀山梅花酵母を用いて乾燥酵母と同様の生地膨張度を得るには、1次発酵で30分間の延長(合計90分)、2次発酵で10分間の延長(合計50分)が必要であった。なお膨張度(体積)が2次発酵で最も大きくなったのは、30℃での膨脹度の1.2倍になった38℃であった。
以上のことから、石見銀山梅花酵母は乾燥酵母と比較して、高糖耐性は低いが、食パンなどの仕込み配合と同様な低糖生地では、発酵温度が38℃で、発酵時間を乾燥酵母より若干長くすれば、同等な発酵能力を示すことがわかった。
実験例4 パンの製造試験とパンの評価
表6に示す配合割合を用いて、定法に従ってパンを製造した。
1.パンの製造
Figure 0004899138
1次発酵は30℃で、乾燥酵母については60分間、石見銀山梅花酵母については70分間行った。次いで、ガス抜きをした後、30℃で15分間のベンチタイムをとり、その後、生地を食パン型のケースに入れ、38℃に設定したインキュベーター内で、乾燥酵母については80分間、石見銀山梅花酵母については100分間、発酵させた(2次発酵)。こうすることで体積が発酵開始時の約2倍に膨れた。次にこれらを180℃にセットした電気オーブンで30分間焼成した。なおパンの膨れた状況を比較するために、パン切断面(山の一番膨れた部分を切断した)の面積を求めた結果、比較例1のパン切断面の面積を100として、比較例2は107、実施例は102となり、「石見銀山梅花酵母」によるパンの膨脹度は、乾燥酵母によるそれとほぼ同等であることが示された。
2.パンの評価
(1)官能評価
上記で製造した各パンについて官能評価を行った。パンの種類が分からない状態にして、パネラーの4名で、パンの香り、味、及び総合評価(香味全体のバランス)について、3段階(A:好ましい、B:どちらでもない、C:好ましくない)で検査した。その結果を表7に示す。
Figure 0004899138
上記の結果からわかるように「石見銀山梅花酵母」を用いて製造したパンは、酵母特有の臭いがなく、爽やかな香りがするという評価が得られた。
(2)焼き色の評価
焼成後のパンについて、表面の焼き色を、色差計(日本電色工業製:NF333)を用いてL*a*b*を測定し、評価した。
結果を表8に示す。
Figure 0004899138
実施例1のパンのL*の値(明るさ)が有意に低いことから判るように、「石見銀山梅花酵母」を用いて製造したパンは、乾燥酵母を用いて製造したパンと比べて、焼き色が濃く、香ばしい色に焼けることが判明した。
実験例5 米粉パンの製造試験と米粉パンの評価
各酵母(石見銀山梅花酵母、乾燥酵母)と市販のグルテン入りの米粉を用いて米粉パンを製造し、出来上がった米粉パンについて官能試験を行った。
1.米粉パンの製造
表9に示す配合割合を用いて、米粉用のホームベーカリー(サンヨー(株)製、米粉ベーカリー:SPM-MP3)を用いて、パンを製造した。
Figure 0004899138
1次発酵は30℃で40分間行った。次いで、ガス抜きをした後、30℃で15分間のベンチタイムをとり、その後、生地を食パン型のケースに入れ、38℃に設定したインキュベーター内で、乾燥酵母については50分間、石見銀山梅花酵母については70分間、発酵させた(2次発酵)。こうすることで体積が発酵開始時の約2倍に膨れた。次にこれらを180℃にセットした電気オーブンで30分間焼成した。いずれのパンもきつね色に焼き上がった。
2.パンの評価
(1)官能評価
上記で製造した米粉パン(実施例3、比較例3)について官能評価を行った。パンの種類が分からない状態にして、パネラー14名で、パンの香り、味、及び総合評価(香味のバランス)について、3段階(A:好ましい、B:どちらでもない、C:好ましくない)で検査した。結果を表10に示す。
Figure 0004899138
以上のように、石見銀山梅花酵母で作った米パンの方が、香りが爽やかであるなど、乾燥酵母のパンよりも風味が優れているという評価が得られた。
実験例6 パンの香気成分の分析
実験例5で香り及び味を評価した米粉パン(比較例3及び実施例3)について、それに含まれる香気成分を分析した。
1.分析方法
焼成した2種類の米粉パン(比較例3及び実施例3)を細かく切り刻み、5gずつサンプル瓶に密閉し、ヘッドスペースガスクロマトグラフ(ガスクロマトグラフ:GC-2014、島津製作所製+ヘッドスペースサンプラ:TurboMatrix40、パーキンエルマー社製、カラム:TC-WAX)で揮発成分を測定した。サンプル瓶は50℃で15分間保持してから、瓶内のヘッドスペースガスを採取して、分析に用いた。
2.分析結果
パン100g当たりのエタノール、およびイソブチルアルコール、イソアミルアルコールの量を表11に示す。
Figure 0004899138
この結果から、梅花酵母を用いて製造したパンは、市販パン酵母を用いて製造したパンと比較して、エタノール含有量が1.3倍高く、一方、油臭と表現される香気成分であるイソブチルアルコールとイソアミルアルコールの含有量は、それぞれ0.54倍(45/84)及び0.67倍(48/72)低いことが判明した。
実験例7 耐アルコール性試験
本発明の石見銀山梅花酵母が、清酒などのアルコール飲食品の製造に使用できるかどうかを調べるために、耐アルコール性について調べた。
具体的には、石見銀山梅花酵母および協会701号を、それぞれYPD培地で30℃で2日間培養した後、集菌し、これを各種エタノール濃度(8%、11%、14%)の1%グルコース含有0.1M酢酸緩衝液(pH4.3)6mlにそれぞれ懸濁して、30℃で3日間静置し、生存率%を測定した。
結果を表12に示す。
Figure 0004899138
これからわかるように、石見銀山梅花酵母は、アルコール耐性が予め確認されている日本醸造協会が頒布している協会701号と同等のアルコール耐性を備えていることが確認された。
実験例8 清酒の小仕込み試験
実験例7でアルコール耐性が確認された協会701号と本発明の石見銀山梅花酵母を使用して、清酒の仕込み試験を行った。
1.清酒の仕込み
仕込み配合を表13に示す。原料米は精米歩合50%の五百万石を用い、2000ml綿栓三角フラスコに三段仕込み(麹歩合22%、汲み水歩合145%)を行った。なお各酵母(石見銀山梅花酵母、協会701号)は30mlの麹汁培地で5日間培養したものを、初添に添加した。仕込み温度は、初添15℃、仲添と留添10℃とし、もろみ最高温度13℃、もろみ日数25日とした。
Figure 0004899138
2.清酒製造能の評価
仕込み期間中、フラスコの重量変化を経時的に測定した。重量変化は、協会701号を用いた場合も、また石見銀山梅花酵母を用いた場合もほぼ同様の傾向を示した。いずれも留添後7日間は約10gずつ減少したが、減少の程度は徐々に少なくなり、14日目以降は1日約2gずつの減少ペースとなった。
協会701号及び石見銀山梅花酵母を用いて、それぞれもろみ日数25日目に遠心分離して得られた清酒(比較例4、実施例4)の成分を測定した。その結果を表14に示す。
Figure 0004899138
これからわかるように、石見銀山梅花酵母は、日本酒醸造において多く使用されている酵母(協会701号)と比較して、もろみ経過、またアルコール生成能力(アルコール分、日本酒度)や酸度及びアミノ酸度等の成分についてほぼ同じ値を示した。このことから、石見銀山梅花酵母は、清酒に対しても十分な製造能力を有すると考えられた。
実験例9 清酒の香気成分及び有機酸の分析
実験例8で製造した清酒(比較例4及び実施例4)について、それに含まれる香気成分と有機酸を分析した。
1.分析方法
(1-1)香気成分の分析
2種類の清酒(実施例4及び比較例4)は、それぞれ5mlずつサンプル瓶に充填密閉し、ヘッドスペースガスクロマトグラフ(ガスクロマトグラフ:島津製作所製GC-2014+ヘッドスペースサンプラ:パーキンエルマー社製TurboMatrix40、カラム:TC-WAX)で揮発成分を測定した。サンプル瓶は50℃で15分間保持してから、瓶内のヘッドスペースガスを採取して、分析に用いた。
(1-2)有機酸の分析
有機酸は、高速液体クロマトグラフ(島津製作所製:LC-10、カラム:Shim-pack SCR-102H)で行った。
2.分析結果
香気成分及び有機酸の分析結果をそれぞれ表15及び表16に示す。
Figure 0004899138
Figure 0004899138
この結果からわかるように、実施例4と比較例4の清酒に含まれる香気成分と有機酸成分の含有量に大きな差は見られなかった。しかし、梅花酵母で製造した実施例4の清酒には、協会701号で製造した比較例4の清酒よりも、果物のリンゴ様の香りであるカプロン酸エチルが1.2倍高い割合で含まれていた。カプロン酸エチルの匂いの閾値は、3ppmと言われているので、これが要因で、実施例4の清酒のほうが比較例4の清酒よりも、フルーティーで爽やかな印象を与えているものと考えられる。
また有機酸の含有量は、梅花酵母で製造した実施例4の清酒の方が、協会701号で製造した比較例4の清酒よりも若干低く、酸度がわずかに低いことから、これが、実施例4の清酒がフルーティーで爽やかな風味を有する一つの要因になっていると考えられる。
実施例10 耐塩性試験
本発明の石見銀山梅花酵母が、漬物などの塩蔵食品の発酵(製造)に使用できるかどうかを調べるために、耐塩性について調べた。
糖度10(Brix:10)に調整した麹汁培地に対して、塩濃度が0%、2%、5%、10%、15%、20%になるように食塩を加え、この液に5日間培養した石見銀山梅花酵母を10%添加して(1.9×10cfu/ml)、30℃、3日間静置して、それぞれの培養液の生菌数を測定した。
結果を表17に示す。
Figure 0004899138
表17に示すように、石見銀山梅花酵母は食塩濃度が10重量%の培地中で、少なくとも30℃で3日生存することが確認された。このことから、石見銀山梅花酵母は、食塩濃度が15%を超える醤油などの発酵調味料の製造には使用できないが、食塩濃度が15%未満、好ましくは10%以下の発酵調味料の製造や、サラダ感覚で消費される浅漬けのような漬物類の製造には使用が可能であると判断された。
NITE P−1056

Claims (6)

  1. 梅の花から採取された酵母であって、サッカロミセス セレビシエに属する「石見銀山梅花酵母−1」(受託番号:NITE P−1056)、またはその継代株。
  2. 請求項1に記載する寄託酵母またはその継代株を含むことを特徴とするパン製造用の中種。
  3. 請求項1に記載する寄託酵母またはその継代株を含むことを特徴とするパン生地。
  4. 請求項1に記載する寄託酵母またはその継代株を用いて製造されることを特徴とする発酵飲食品または発酵飼料。
  5. 上記発酵飲食品が、パン、アルコール飲食品、及び塩濃度10重量%以下の発酵飲食品からなる少なくとも1種である、請求項4に記載する発酵飲食品。
  6. 請求項1に記載する寄託酵母またはその継代株を用いて発酵する工程を有する、発酵飲食品または発酵飼料の製造方法。
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