JP4898591B2 - コンクリート版およびコンクリート版の接合構造 - Google Patents
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Description
このようにPC版に中空孔を形成した理由は、以下の通りである。
すなわち、PC版は、比重の高いコンクリートで形成されるため、荷重が大きくなる。よって、工場から現場に運搬する際に大型のトレーラが必要であり、また、現場での揚重時に大型の揚重機が必要である。そこで、PC版に中空孔を形成することで、曲げ剛性を低下させることなく、軽量化を実現する。
すなわち、スリットの位置を墨出ししておき、コンクリートカッタ用いて、スリットの縁のラインに沿って、直線状の切り込みを入れる。この切り込みを連続させることでPC版のコンクリートを切り欠いて、スリットを形成する。
また、コンクリート版の隅角部に連通部を設けたので、この連通部をコンクリートカッタ用いて形成しても、従来に比べて、コンクリートカッタによる切り込みの数を低減できるから、コンクリート版の剛性の低下を抑制できる。
また、中空孔に充填したコンクリートにより断面積を増加できるので、鉛直方向の剪断力に対する耐力を向上できる。
また、このようなスリットにコンクリートを打設して目地を形成すると、目地のつぎはぎを少なくでき、美観を損ねない。さらに、PC版の表面の凹凸を減らして、表面を平滑にでき、PC版を直床として用いることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリート版が適用された建物1の一部の斜視図である。
建物1の互いに対向する鉄骨梁10には、床スラブ20が形成されている。
床スラブ20は、鉄骨梁10同士の間に架け渡された複数のコンクリート版30と、これらコンクリート版30同士の間に形成された接合目地40と、で構成される。
図5は、コンクリート版30の斜視図である。
コンクリート版30は、図5に示すように、矩形状であり、短手方向に並んで配置されて、長手方向の両端側で鉄骨梁10に支持される。
このコンクリート版30には、長手方向に延在する4つの断面積の等しい中空孔31が形成され、また、これら中空孔31と同一方向に沿って延在するプレストレス鋼材32が設けられている。
ここで、4つの中空孔31のうち短手方向中央側に位置する2本を中空孔31Aとし、短手方向両端側に位置する2本を中空孔31Bとする。
なお、本実施形態では、4つの中空孔31を形成したが、これに限らず、中空孔の数は適宜設定されてよい。
これらスリット33は、外部と中空孔31Aとを連通している。
これらスリット34は、外部と中空孔31Bの長手側面とを連通している。
中空孔31Aの一部には、スリット33を介してコンクリートが充填されて、コンクリート充填部35となっている。これは、このような中空孔31を有するコンクリート版30では、鉛直方向に大きな剪断力が端部に作用するため、コンクリート充填部35によりコンクリート版30の端部の断面積を増大させて、この剪断力に対する耐力を向上させるためである。
中空孔31Bの一部には、スリット34を介してコンクリートが充填されて、コッタ36となり、コンクリート版30と接合目地40Bとが一体化している。
また、コンクリート充填部35およびコッタ36は、この接合目地40にコンクリートを打設する際、中空孔31A、31Bに、型枠37でコンクリート止めを設けておき、コンクリート版30同士の間隙からスリット33を通して中空孔31Aにコンクリートを充填するとともに、スリット34を通して中空孔31Bにコンクリートを充填することで形成される。なお、型枠37の代わりにスチレンフォームを用いてもよい。
(1)コンクリート版30の隅角部に、外部と中空孔31Bの長手側面とを連通するスリット34を設けた。よって、コンクリート版30の長手方向に延びる接合目地40Bを形成する際に、コンクリート版30同士の間隙からこのスリット34を通して中空孔31Bにコンクリートを充填することにより、このコンクリート版30を接合目地40Bと一体化させる。これにより、このコンクリートを充填した部分が面内方向の剪断力に対するコッタ36として機能するので、コンクリート版30の相対位置のずれを防止できる。よって、剛床が成立し、地震力を耐震要素であるブレースやラーメン柱梁に伝達できる。
また、コンクリート版30の隅角部にスリット34を設けたので、このスリット34をコンクリートカッタ用いて形成しても、従来に比べて、コンクリートカッタによる切り込みの数を低減できるから、コンクリート版30の剛性の低下を抑制できる。
また、コッタ36により断面積を増加できるので、鉛直方向の剪断力に対する耐力を向上できる。
また、このようなスリット34にコンクリートを打設して接合目地40を形成すると、目地のつぎはぎを少なくでき、美観を損ねない。さらに、コンクリート版30の表面の凹凸を減らして、表面を平滑にでき、コンクリート版30を直床として用いることができる。
例えば、本実施形態では、コンクリート版30の隅角部の長手側面にスリット34を設けたが、これに限らない。すなわち、図7に示すように、コンクリート版30Aの長手側面に加えて上面を含んでスリット34Aを形成してもよい。
また、この場合、補強筋をメッシュ状としてもよく、さらに、コンクリート版30Cを梁上に配置すると、複数のコンクリート版30Cの隅角部が寄せ集められることになるため、これら複数の隅角部に跨って1枚のメッシュ状の補強筋を配置してもよい。
このようにすれば、コンクリート版30D同士の間隙からスリット34を通して中空孔31Bにコンクリートを充填する場合に、このコンクリートの充填量を低減できる。
31、31A、31B 中空孔
32 プレストレス鋼材
33、34、34A スリット(連通部)
38 補強筋
39 連通孔(連通部)
40、40A、40B 接合目地
Claims (4)
- 長手方向に延在する複数の中空孔が形成され、かつ、前記中空孔と同一方向に沿って延在するプレストレス鋼材が設けられたコンクリート版であって、
少なくとも前記コンクリート版の隅角部には、外部と前記中空孔の長手側面とを連通する連通部が形成され、
前記連通部は、前記コンクリート版の長手側面に設けられて表面と連通しないスリットであることを特徴とするコンクリート版。 - 前記中空孔は、前記コンクリート版の短手方向に複数並んで形成され、
前記中空孔のうち端部側に位置するものの断面積は、少なくとも前記中空孔のうち中央部側に位置するものより小さいことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート版。 - 長手方向に延在する複数の中空孔が形成され、かつ、前記中空孔と同一方向に沿って延在するプレストレス鋼材が設けられたコンクリート版の接合構造であって、
前記コンクリート版の4つの隅角部には、外部と前記中空孔の長手側面とを連通し、かつ表面と連通しない連通部が形成され、
前記中空孔の少なくとも一部には、前記コンクリート版同士の間隙に打設されたコンクリートが前記連通部を介して充填され、
前記コンクリート版の長手方向に延びる接合目地と前記コンクリート版が一体化されていることを特徴とするコンクリート版の接合構造。 - 前記接合目地および前記コンクリートが充填された中空孔に跨って、補強筋が設けられることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート版の接合構造。
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