JP4897465B2 - 気化冷却装置 - Google Patents

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本発明は、冷却流体の蒸発潜熱によって冷却室で被冷却物を冷却する気化冷却装置に関する。
気化冷却装置は、気化冷却室に冷却流体管路を接続すると共に、冷却室を吸引手段と接続したもので、冷却物を冷却流体の蒸発潜熱でもって気化冷却することができるものである。
この気化冷却装置においては、気化冷却室へ供給された冷却流体の一部が、気化冷却室の外表面に衝突した反動で飛び跳ねて外表面から離脱してしまい、効率良く気化冷却することができない問題があった。
実公平5−37181号公報
解決しようとする課題は、気化冷却室の外表面での冷却流体の飛び跳ねを防止して、供給する冷却流体のより多くの量が被冷却物から熱を奪って気化することによって、効率良く気化冷却することのできる気化冷却装置を提供することである。
本発明は、被冷却物を冷却する冷却室を形成して、当該冷却室の外壁面の接線方向に冷却流体を供給する冷却流体供給管を接続すると共に、冷却室を吸引手段と接続したものにおいて、冷却流体供給管の冷却室側端部に冷却流体を噴射するノズルを取り付けて、当該ノズルを少なくとも2個の冷却流体噴射口で形成すると共に、一方の冷却流体噴射口を冷却室の外壁面に流体膜を形成する流体膜形成口とし、他方の冷却流体噴射口を冷却室の外壁面の接線方向で且つ上記流体膜上に冷却流体を噴霧する冷却流体噴霧口として、冷却流体の外壁面での飛び跳ねを防止するものである。
本発明の気化冷却装置は、冷却流体噴射ノズルに流体膜形成口と冷却流体噴霧口を形成したことによって、流体膜形成口から供給した冷却流体で冷却室の外表面に流体膜を形成し、その流体膜上に冷却流体噴霧口から冷却流体を供給することにより、冷却流体の飛び跳ねを防止して、効率良く気化冷却することができる。
本発明は、冷却流体噴射ノズルに流体膜形成口と冷却流体噴霧口を形成するものであるが、1個のノズルに流体膜形成口と冷却流体噴霧口を一体に形成することも、あるいは、別体の流体膜形成口と冷却流体噴霧口を組み合わせて1個のノズルとすることもできる。
本実施例においては、冷却室として反応釜1のジャケット部2を用いた例を示す。反応釜1の内部に入れた図示しない被冷却物を、ジャケット部2に供給する冷却源としての冷却流体によって冷却するものである。
反応釜1のほぼ全周にわたりジャケット部2を形成して、このジャケット部2に吸引手段としての組み合わせ真空ポンプ4と、冷却流体供給管5を接続する。冷却流体供給管5には、熱交換部としてのエゼクタ18を介在して、ジャケット部2内に配置した冷却流体管路6と接続する。
エゼクタ18は、ジャケット部2に極力接近した位置に配置すると共に、エゼクタ18の吸引口には加熱用の蒸気供給管19を接続する。冷却流体供給管5から供給される冷却流体と、蒸気供給管19から供給される加熱用の蒸気とが、エゼクタ18内で混合され所定温度に制御されて、冷却流体管路6へと供給される。
エゼクタ18をジャケット部2の近傍に配置したことによって、エゼクタ18で所定温度に制御された冷却流体の温度が変化するまでに、冷却流体を冷却流体管路6へ供給することができ、ジャケット部2内へ温度精度良くコントロールされた冷却流体を供給することができる。
ジャケット部2内に配置した冷却流体管路6の端部は図2に示すようにノズル25として、当該ノズル25を2個の冷却流体噴射口27,28で形成し、一方の冷却流体噴射口を反応釜1の外壁面に流体膜を形成する流体膜形成口27とし、他方の冷却流体噴射口を反応釜1の外壁面の接線方向で且つ上記流体膜上に冷却流体を噴霧する冷却流体噴霧口28とする。
流体膜形成口27と冷却流体噴霧口28からは、図2において直線29,30で示すように冷却流体が噴射され、冷却流体29が反応釜1の外表面に薄膜状の流体膜を形成すると共に、冷却流体30がその流体膜上に噴霧されることによって冷却流体30の反応釜1外表面での飛び跳ねを防止することができる。
冷却流体供給管5の下方部は、組み合わせ真空ポンプ4の循環路15の一部と接続すると共に、上方部を冷却流体管路6の一端部と接続する。冷却流体管路6は、ジャケット部2内に螺旋状に配置して、図2に示すとおりに冷却流体管路6の反応釜1側に複数の冷却流体噴射ノズル25を設ける。
本実施例においては、ジャケット部2の左側上部に流量調節弁7を介在した蒸気供給管8を接続する。この蒸気供給管8から、所定圧力すなわち所定温度の加熱用蒸気を、ジャケット部2へ供給することによって、反応釜1内の被加熱物を加熱することもできるものである。
ジャケット部2の右側下方に排出管9を接続して、組み合わせ真空ポンプ4のエゼクタ10と接続する。排出管9には、開閉弁11と気液分離器12をそれぞれ取り付ける。気液分離器12は、排出管9から流下してくる蒸気と液体をそれぞれ分離することができるものであり、分離された蒸気は蒸気エゼクタ3へ吸引され、一方、分離された液体は管路20を通って下方のエゼクタ10へ吸引される。
蒸気エゼクタ3は、蒸気供給管8を分岐した分岐管21に入口側を接続し、出口側を管路22によって再度、蒸気供給管8の流量調節弁7の手前側に接続したもので、排出管9から流下してくるジャケット部2内の一部の蒸気を、蒸気エゼクタ3で吸引して再度、蒸気供給管8からジャケット部2へ供給することによって、ジャケット部2内の加熱用蒸気を強制的に循環させることができるものである。
組み合わせ真空ポンプ4を、エゼクタ10とタンク13と循環ポンプ14を順次に循環路15で連通して形成する。タンク13の上部には、冷却流体としての冷却水を補給する冷却水補給管16を接続する。循環路15の一部を分岐して余剰水排出管17と、上述した冷却流体供給管5をそれぞれ接続する。冷却流体供給管5は、組み合わせ真空ポンプ4を循環する循環流体の一部を、ジャケット部2の冷却流体管路6へ供給することによって、反応釜1を気化冷却することができるものである。
ジャケット部2の左側面に、管路23と開閉弁24を介在して組み合わせ真空ポンプ4のエゼクタ10と接続する。この管路23は、ジャケット部2内で発生した冷却流体の気化蒸気をエゼクタ10へ吸引するためのものである。
反応釜1内の被冷却物を冷却する場合は、冷却流体供給管5及びエゼクタ18から所定温度に制御された冷却流体を冷却流体管路6内へ供給して、冷却流体管路6内を冷却流体で満たすと同時に、冷却流体管路6の反応釜1側に設けた複数の冷却流体噴射ノズル25から反応釜1の外表面の接線方向へ冷却流体を噴霧する。噴霧された冷却流体は、流体膜形成口27から供給された図2における直線29で示す冷却水による流体膜によって飛び跳ねることがない。
一方、組み合わせ真空ポンプ4の循環ポンプ14を駆動して、エゼクタ10の発生する吸引力で排出管9または管路23を介してジャケット部2内を所定の圧力状態、例えば、大気圧以下の真空状態、とすることにより、反応釜1の外表面へ噴霧される冷却流体が反応釜1内の被冷却物の熱を奪って蒸発気化することにより、その蒸発潜熱によって被冷却物を気化冷却することができる。
このように反応釜1を冷却する場合に、冷却流体管路6の冷却流体噴射ノズル25から接線方向へ噴霧される冷却流体30が、反応釜1の外表面で飛び跳ねることがないために、効率良く気化冷却を実施することができる。
ジャケット部2で被冷却物を冷却した冷却流体の気化蒸気及び気化しきれなかった冷却流体の一部は、排出管9または管路23を通ってエゼクタ10に吸引されタンク13に至る。
エゼクタ10で発生することのできる吸引力は、エゼクタ10を流下する流体の温度によって決まるために、冷却水補給管16から適宜所定温度の冷却水をタンク13へ補給することによって、エゼクタ10を流下する流体温度を調節して、エゼクタ10の吸引力をコントロールすることができる。
本発明の気化冷却装置の実施例を示す構成図。 図1におけるA−A線断面の拡大図。
符号の説明
1 反応釜
2 ジャケット部
4 吸引手段
5 冷却流体供給管
6 冷却流体管路
9 排出管
10 エゼクタ
13 タンク
14 循環ポンプ
15 循環路
18 熱交換部
19 蒸気供給管
25 ノズル
27 流体膜形成口
28 冷却流体噴霧口

Claims (1)

  1. 被冷却物を冷却する冷却室を形成して、当該冷却室の外壁面の接線方向に冷却流体を供給する冷却流体供給管を接続すると共に、冷却室を吸引手段と接続したものにおいて、冷却流体供給管の冷却室側端部に冷却流体を噴射するノズルを取り付けて、当該ノズルを少なくとも2個の冷却流体噴射口で形成すると共に、一方の冷却流体噴射口を冷却室の外壁面に流体膜を形成する流体膜形成口とし、他方の冷却流体噴射口を冷却室の外壁面の接線方向で且つ上記流体膜上に冷却流体を噴霧する冷却流体噴霧口として、冷却流体の外壁面での飛び跳ねを防止することを特徴とする気化冷却装置。
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