以下、本発明の実施の形態による空気圧縮装置としてタンクに対して個別に圧縮空気を供給する4台の圧縮機を用いて構成した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図5は第1の実施の形態を示している。図において、1は4台の圧縮機2A〜2Dによって構成された空気圧縮装置を示している。ここで、圧縮機2Aは、電動モータ3Aと、該電動モータ3Aによって駆動される圧縮機本体4Aと、該圧縮機本体4Aから吐出された圧縮空気を一時的に貯留する一時貯留タンク5Aとによって大略構成されている。また、他の圧縮機2B〜2Dも、圧縮機2Aと同様に、電動モータ3B〜3D、圧縮機本体4B〜4D、一時貯留タンク5B〜5Dによってそれぞれ構成されている。そして、圧縮機2A〜2Dは、全て同じ吐出容量Fa〜Fd(例えばFa〜Fd=605(NL/min))を有している。
また、各一時貯留タンク5A〜5Dには、内部の圧力を検出する圧力センサ6A〜6Dが取付けられている。さらに、各圧縮機2A〜2Dには、電動モータ3A〜3Dの運転、停止を制御する制御回路7A〜7Dがそれぞれ設けられている。そして、制御回路7A〜7Dは、例えばRS485等の通信部をそれぞれ有し、該通信部を通じて相互に通信を行っている。
また、制御回路7A〜7D間には、通信によって機種情報、稼動情報、異常情報、環境設定情報の4種類の情報が相互に伝送されている。これにより、制御回路7A〜7Dは、これら4種類の情報を共有している。このとき、機種情報は、電動モータ3A〜3Dの容量(kW)、圧縮機本体4A〜4Dの吐出流量(NL/min)、一時貯留タンク5A〜5Dの容量(L)等である。また、稼動情報は、各圧縮機2A〜2Dの稼動時間(min)、ON/OFF回数(回)等である。また、異常情報は、サーマルトリップエラー、ドライヤエラー等の圧縮機2A〜2Dの運転に支障を来す情報である。さらに、環境設定情報は、後述するタンク8の容量(L)、台数制御対象となる圧縮機2A〜2Dの台数(台)、マスターとスレーブとを切替えるまでのマスター切替時間(min)、使用者によって設定されるタンク8内の最低圧Pmin(MPa)と最高圧Pmax(MPa)である。そして、環境設定情報は、例えば設置作業者等が圧縮機2A〜2Dを設置するときに、専用の入力端末(図示せず)を制御回路7A〜7Dに接続して入力する。このとき、環境設定情報には、通信用の各圧縮機2A〜2DのID(識別番号)、マスター/スレーブの設定等の情報も含まれる。
なお、環境設定情報は、専用の入力端末を使用せず、例えば制御回路7A〜7Dに搭載された複数のスイッチ(図示せず)のON/OFFの組み合わせ条件によって入力する構成としてもよい。
そして、制御回路7A〜7Dは、分散方式による制御方式が採用され、いずれか1台をマスター(主機)、残余の3台をスレーブ(従機)として圧縮機2A〜2Dの運転、停止を制御する。これにより、制御回路7A〜7Dは、制御手段を構成し、後述するように、タンク8の圧力Pmおよび圧力変化値ΔPに応じて圧縮機2A〜2Dの運転台数を増減させる台数制御処理を行っている。
8は一時貯留タンク5A〜5Dから吐出された圧縮空気を収集して貯留するタンクで、該タンク8は、吐出配管9A〜9Dを通じて一時貯留タンク5A〜5Dに接続されると共に、各吐出配管9A〜9Dの途中には逆止弁10A〜10Dが設けられている。そして、タンク8には、取出し弁12を備えた出力配管11が取付けられている。これにより、タンク8は、出力配管11を介して外部の空圧機器(図示せず)に接続されると共に、取出し弁12を開弁することによって該空圧機器に向けて圧縮空気を供給するものである。
13はタンク8に接続された圧力検出手段としての圧力センサで、該圧力センサ13は、タンク8内の圧縮空気の圧力Pmを検出し、圧力Pmに応じた圧力信号を出力する。
14はタンク8に接続された温度検出手段としての温度センサで、該温度センサ14は、タンク8内の圧縮空気の温度Ttを検出し、温度Ttに応じた温度信号を出力する。
そして、圧力センサ13と温度センサ14とは、圧縮機2A〜2Dの制御回路7A〜7Dにそれぞれ接続されている。これにより、いずれの制御回路7A〜7Dでも、タンク8内の圧力Pmと温度Ttを検知することができる構成となっている。
なお、圧力センサ13と温度センサ14とは、全ての制御回路7A〜7Dにそれぞれ接続する構成に限らず、例えば制御回路7Aにのみ接続する構成としてもよい。この場合、例えば4-20mA電流ループ等のように制御回路7A〜7Dをループ接続することによって、残余の制御回路7B〜7Dに対しても圧力信号、温度信号が出力されるものである。
本実施の形態による空気圧縮装置1は上述の如き構成を有するもので、次に、図1ないし図3を参照しつつ、タンク8の圧力Pm等に応じて圧縮機2A〜2Dの運転台数を増減させる台数制御処理について説明する。
なお、図2に示す台数制御処理は、予め決められたサンプリング周期(例えば100ms)毎に行うものである。
まず、ステップ1では、圧力センサ13からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期で現在のタンク8の圧力Pm(t)を計測する。そして、ステップ2では、温度センサ14からの温度信号を用いて、一定のサンプリング周期で現在のタンク8内の圧縮空気の温度Ttを計測する。
次に、ステップ3では、以下の数1の式に示すように、現在の圧力Pm(t)と前回の圧力Pm(t-1)との差を演算し、圧力変化値ΔPを求める。
次に、ステップ4では、以下の数2の式に示すように、使用者が設定したタンク8の最低圧Pmin(下限圧)と現在の圧力Pm(t)との差を圧力変化値ΔPで割ることによって、現在の運転状況で最低圧Pminに到達するまでの時間td(下限到達時間)を求める。このとき、タンク8内の圧力Pm(t)が上昇するに従って、タンク8内の温度Ttも上昇する。このため、数2の式では、最低圧Pminでの温度T0と現在の温度Ttとを用いて、最低圧Pminに到達するまでの時間tdに対して温度補正を行っている。
なお、制御回路7A〜7Dは、図3に示すように、タンク8内の圧力Pm(t)と温度T0との関係を示す温度テーブルを予め記憶しておく。これにより、制御回路7A〜7Dは、最低圧Pminが使用者によって設定されると、この最低圧Pminに対応した温度T0を読み出すものである。
また、数2において、Sはサンプリング周期を示し、圧力変化値ΔPをサンプリング周期S(例えば0.1秒)で割ることによって、単位時間(1秒)当たりの圧力変化に換算しているものである。これにより、時間tdも秒単位の値として算出される。
次に、ステップ5では、ステップ4と同様に、以下の数3の式に示すように、使用者が設定したタンク8の最高圧Pmax(上限圧)と現在の圧力Pm(t)との差を圧力変化値ΔPで割ることによって、現在の運転状況で最高圧Pmaxに到達するまでの時間tu(上限到達時間)を求める。このときも、数2の式と同様に、温度T0,Ttを用いた温度補正を行うと共に、サンプリング周期Sを用いた秒単位への時間tuへの換算を行うものである。
次に、ステップ6では、現在のタンク8内の圧力Pm(t)が最低圧Pminよりも高圧か否か(Pm(t)>Pmin)を判定する。そして、ステップ6で「NO」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)が最低圧Pminよりも低圧だから、ステップ7に移って4台の圧縮機2A〜2Dが全て運転状態になるまで圧縮機2A〜2Dを順次起動し、ステップ14でリターンする。
一方、ステップ6で「YES」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)は最低圧Pminよりも高圧になっている。このため、ステップ8に移行して、現在の圧縮機2A〜2Dの運転状態で最低圧Pminに到達するまでの時間tdが0秒から2秒までの間か否か(0<td<2)を判定する。
そして、ステップ8で「YES」と判定したときには、圧縮空気の消費量が供給量よりも多く、2秒以内にタンク8内の圧力Pm(t)が最低圧Pminよりも低下するものと考えられる。このため、ステップ9に移って、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台増加させる。このとき、マスター圧縮機2Aが停止中の場合は、この圧縮機2Aから起動する。一方、マスター圧縮機2Aが運転中の場合は、予め決められた順番(例えば圧縮機2B→圧縮機2C→圧縮機2Dの順番)で停止中のスレーブ圧縮機2B〜2Dを起動する。そして、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台増加した後は、ステップ14に移ってリターンする。
一方、ステップ8で「NO」と判定したときには、圧力Pm(t)が上昇しているか、低下していても最低圧Pminに到達するまで2秒以上かかるものと考えられる。即ち、圧縮空気の消費量に見合った供給量が確保され、最低圧Pminに到達するまで十分に時間的な余裕が生じているものと考えられる。このため、ステップ10に移って、現在のタンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも低圧か否か(Pm(t)<Pmax)を判定する。
そして、ステップ10で「NO」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも高圧だから、ステップ11に移って4台の圧縮機2A〜2Dを全て停止状態になるまで圧縮機2A〜2Dを順次停止し、ステップ14でリターンする。
一方、ステップ10で「YES」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)は最高圧Pmaxよりも低圧になっている。このため、ステップ12に移行して、現在の圧縮機2A〜2Dの運転状態で最高圧Pmaxに到達するまでの時間tuが0秒から10秒までの間か否か(0<tu<10)を判定する。
そして、ステップ12で「YES」と判定したときには、圧縮空気の供給量が消費量よりも過剰に多く、10秒以内にタンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも上昇するものと考えられる。このため、ステップ13に移って、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台減少させる。このとき、スレーブ圧縮機2B〜2Dのいずれかが運転中の場合は、予め決められた順番(例えば圧縮機2D→圧縮機2C→圧縮機2Bの順番)で運転中のスレーブ圧縮機2B〜2Dを停止する。一方、スレーブ圧縮機2B〜2Dのいずれも停止中の場合は、マスター圧縮機2Aを停止する。そして、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台減少させた後は、ステップ14に移ってリターンする。
一方、ステップ12で「NO」と判定したときには、圧力Pm(t)が低下しているか、上昇していても最高圧Pmaxに到達するまで10秒以上かかるものと考えられる。即ち、圧縮空気の消費量に見合った供給量が確保され、最高圧Pmaxに到達するまで十分に時間的な余裕が生じているものと考えられる。このため、圧縮機2A〜2Dの現在の運転状況を維持し、ステップ14に移ってリターンする。
以上の台数制御処理では、圧縮機2Aをマスター、圧縮機2B〜2Dをスレーブとして説明した。しかし、マスターとスレーブは、例えば使用者が設定した一定時間毎に順次切替わるものである。即ち、マスターは、圧縮機2A→圧縮機2B→圧縮機2C→圧縮機2Dの順番で切替わり、圧縮機2Dの次は再び圧縮機2Aに戻るものである。そして、マスターの切替えに伴って、スレーブの運転順序も順次切替わる。これにより、圧縮機2A〜2Dの運転頻度が偏るのを防止することができ、耐久性を向上させることができる。
なお、圧縮機2A〜2Dのうち1台に異常が生じたときには、異常が発生した圧縮機(例えば圧縮機2D)を台数制御から切離し、残余の3台の圧縮機(例えば圧縮機2A〜2C)で台数制御を行う。2台の圧縮機に異常が生じた場合も同様に、残余の2台の圧縮機で台数制御を行うものである。
次に、本実施の形態による台数制御処理を行ったときのタンク8内の圧力と圧縮空気の供給量および消費量との関係を検討した。その一例を図4に示す。なお、図4は予めタンク8内の圧力Pmを最低圧Pmin(使用者が設定した設備圧力)以上に昇圧した状態を示している。
図4に示すように、タンク8内の圧力Pmがゆっくり減少する場合(時間Aまで)、即ち圧縮空気の供給量と消費量とがほぼ釣合っているものの僅かに消費量が上回っている場合は、現在の運転状態を維持しても圧力Pmが最低圧Pminよりも急激に低下することは無いものと予想できる。このため、この場合は、時間Aまで後2秒で最低圧Pminに達すので、圧縮機2Aに加え圧縮機2Bを起動する。そして、時間Bまでタンク8内の圧力Pmが上昇する。一方、時間B−C間のように、タンク8内の圧力Pmが時間Aまでより大きく減少する場合、即ち圧縮空気の供給量に対して消費量が多い場合は、現在の運転状態を維持すると、圧力Pmが最低圧Pminよりも低下して空圧機器が使用できなくなるものと予想される。このため、この場合には、時間Aの圧力より高い圧力で圧縮機2Cが起動される。
また、時間D−E間のようにタンク8内の圧力Pmが急激に上昇する場合、即ち圧縮空気の供給量が消費量を大きく上回っている場合は、起動中の圧縮機を停止しても大きな圧力減少が無いことが予想できる。このため、この場合は、10秒後に最高圧Pmaxに達すると予想される比較的低い圧力で圧縮機2Aを停止する。その後、時間E−F間のようにタンク8内の圧力Pmがゆっくり上昇する場合、起動中の圧縮機を停止すると、消費量と供給量とのバランスが崩れて大きく圧力Pmが減少することが予想される。このため、この場合は、最高圧Pmax付近の比較的高い圧力でスレーブ圧縮機2Bを停止している(時間F)。
なお、上記説明においては、圧縮機2A〜2Dのうち、同一圧縮機が短時間でON、OFFを繰り返すことを防止するため、圧縮機を起動する場合は、最も停止時間の長い圧縮機を起動させるようにしている。
また、従来技術による圧力しきい値によって圧縮機の台数を決定する制御と、本実施の形態による台数制御処理とを比較した。その結果を図5に示す。なお、図5中の実線は、本実施の形態による台数制御処理を行った場合のタンク8内の圧力Pmを示している。一方、図5中の点線は、従来技術による台数制御を行った場合のタンク8内の圧力Pm′を示している。
図5に示すように、本実施の形態による台数制御処理では、全体的に圧力Pmが低い領域、即ち消費電力が少ない領域で圧縮機2A〜2Dを運転していることが分かる。また、図5中で電力同士を比較すると、本実施の形態による電力が従来技術の電力よりも下回っている(図5中で斜線模様部分)。
かくして、本実施の形態によれば、制御回路7A〜7Dは、圧力センサ13を用いて所定時間(サンプリング周期S)の前,後でタンク8内の圧力Pmの差を演算すると共に、この圧力変化値ΔPを用いて空気圧縮装置1の吐出容量を設定している。具体的には、圧力変化値ΔPを用いて最低圧Pminまでの時間td(下限到達時間)と最高圧Pmaxまでの時間tu(上限到達時間)を演算し、これらの時間tu,tdを用いて圧縮機2A〜2Dの運転台数を設定している。このとき、圧力変化値ΔPは圧縮空気の供給量と消費量とに応じて変化するから、制御回路7A〜7Dは、圧縮空気の消費量に応じて空気圧縮装置1の吐出容量を調整することができる。
また、従来技術では、タンク8内の圧力Pmと予め決められた圧力しきい値と比較して空気圧縮装置1の吐出容量を制御するのに対し、本実施の形態では、圧力変化値ΔPに基づいて空気圧縮装置1の吐出容量を制御している。このため、本実施の形態では、圧力下降時でも圧縮空気の消費量が少ないときには、使用者の設備圧力(最低圧Pmin)付近まで圧縮機2A〜2Dの起動を遅らせることができる。また、本実施の形態では、圧力上昇時に圧縮空気の消費量が少ないときには、最高圧Pmaxに到達する前に圧縮機2A〜2Dを停止させることができる。この結果、空気圧縮装置1は圧縮空気の消費量を超えた不要な圧縮空気の吐出を抑制することができるから、空気圧縮装置1の消費電力を低減することができる。
また、制御回路7A〜7Dは圧力変化値ΔPを用いて空気圧縮装置1の吐出容量を設定するから、タンク8の出力配管11に流量センサを設ける必要がない。また、タンク8に設けられた既存の圧力センサ13を用いて空気圧縮装置1の吐出容量を制御することができるから、装置全体の製造コストを低減することができる。
また、制御回路7A〜7Dは、圧力変化値ΔPに加えて温度センサ14による温度Tt(温度検出値)を用いて空気圧縮装置1の吐出容量を設定するから、温度Ttを用いて圧縮空気の消費量を正確に把握することができる。このため、制御回路7A〜7Dは、最低圧Pmin、最高圧Pmaxまでの時間tu,tdを高精度に求めることができるから、空気圧縮装置1の吐出容量をより的確に設定することができ、省電力効果を高めることができる。
さらに、制御回路7A〜7Dは、圧縮機2A〜2Dの運転台数を増減させることによって空気圧縮装置1の吐出容量を設定する構成としたから、圧縮空気の消費量が供給量よりも多いときには圧縮機の運転台数を増加し、圧縮空気の消費量が供給量よりも少ないときには圧縮機の運転台数を減少させることができる。
また、圧縮機2A〜2Dは1台ずつ起動することができる。このため、複数台の圧縮機2A〜2Dが同時に起動したときには電源負荷が急激に増大するのに対し、このような電源負荷の急激な増大を防止することができる。
また、制御回路7A〜7Dは、圧縮機2A〜2Dの異常情報も通信により共有する構成としたから、異常が発生した圧縮機2A〜2Dを台数制御から切離すことができる。このため、一部の圧縮機(例えば圧縮機2D)に異常が生じた場合でも、残余の圧縮機(例えば圧縮機2A〜2C)を用いて台数制御を行うことができる。
なお、ステップ8の下限到達時間tdの所定範囲0から2秒と、ステップ12の上限到達時間tuの所定範囲0から10秒という値は、特にこの値に限らず、任意に設定すればよい。この下限側の時間(2秒)を大きくすることにより、タンクの平均圧力が増加し、上限側の時間(10秒)を大きくすることにより、タンクの平均圧力が減少する。よって、この上限側の時間と下限側の時間の設定により、平均タンク圧が設定できる。
また、前記第1の実施の形態では、上限到達時間tuと下限到達時間tdとにより制御しているが、この制御は、タンク圧の時間当たりの増加率が大きい場合、上限到達時間tuが短くなり、タンク圧が低い状態であっても運転台数を減少させることになり、実質的に、変化率(増加率及び減少率)の大きさに応じて、圧縮機の運転台数を増減させることになっている。
なお、前記第1の実施の形態では、一時貯留タンク5Aから5Dを設けた例を示したが、特に必要ではなく、タンク8のみとしてもよい。また、この場合、すべての機器を1つのパッケージに納め、一台の制御基板で制御してもよい。
また、前記第1の実施の形態では、ステップ2で温度を計測し、ステップ4、ステップ5で(T0−Tt)/Ttという値を掛けることにより温度補正を行ったが、この温度補正はなくてもよく、この場合、ステップ2を削除し、ステップ4、ステップ5の(T0−Tt)/Ttの掛算部分を削除すればよい。
次に、図6ないし図9は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、制御回路は、圧力変化値とタンクの容量とを用いて圧縮空気の消費量を演算し、この消費量演算値よりも多く、かつ消費電力が最小となる圧縮機の組み合わせを選択して空気圧縮装置の吐出容量を設定する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
21は本実施の形態による空気圧縮装置で、該空気圧縮装置21は、第1の実施の形態による空気圧縮装置1とほぼ同様に、4台の圧縮機22A〜22Dによって構成されている。そして、これらの圧縮機22A〜22Dは、電動モータ23A〜23D、圧縮機本体24A〜24D、一時貯留タンク25A〜25D、圧力センサ26A〜26D、制御回路27A〜27Dを備える構成となっている。
但し、第2の実施の形態による空気圧縮装置21は、4台の圧縮機22A〜22D(圧縮機本体24A〜24D)の吐出容量Fa〜Fd(NL/min)が互いに異なる点で、第1の実施の形態による空気圧縮装置1とは相違している。具体的には、圧縮機22Aの吐出容量Faは605(NL/min)、圧縮機22Bの吐出容量Fbは830(NL/min)、圧縮機22Cの吐出容量Fcは1225(NL/min)、圧縮機22Dの吐出容量Fdは1750(NL/min)にそれぞれ設定されている。これに伴い、圧縮機22A〜22D(電動モータ23A〜23D)の容量(kW)もそれぞれ異なる構成となっている。
本実施の形態による空気圧縮装置21は上述の如き構成を有するもので、次に、本実施の形態による台数制御処理を図6ないし図8を参照しつつ説明する。
なお、図6に示す台数制御処理は、第1の実施の形態と同様に、予め決められたサンプリング周期S(例えば100ms)毎に行うものである。
まず、ステップ21では、圧力センサ13からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期で現在のタンク8の圧力Pm(t)を計測する。そして、ステップ22では、温度センサ14からの温度信号を用いて、一定のサンプリング周期で現在のタンク8内の圧縮空気の温度Ttを計測する。
次に、ステップ23では、前述した数1の式を用いて、現在の圧力Pm(t)と前回の圧力Pm(t-1)との差を演算し、圧力変化値ΔPを求める。
次に、ステップ24では、以下の数4の式に示すように、現在稼動している圧縮機22A〜22Dの吐出容量Fa〜Fd(NL/min)を加算し、空気圧縮装置21から吐出されている1秒当たりの圧縮空気の供給量n(mol/s)を算出する。
次に、ステップ25では、以下の数5の式に示すように、タンク8および一時貯留タンク25A〜25Dのすべての容量を加えた全容量Vallとしたときに、この全容量Vall、圧力変化値ΔP、サンプリング周期S、気体定数R、温度Ttに基づいて1秒当たりの圧縮空気の変化量Δn(mol/s)を算出する。
次に、ステップ26では、以下の数6の式に示すように、圧縮空気の供給量nと変化量Δnとの差を用いて圧縮空気の消費量ΔF(NL/min)を演算する。
次に、ステップ27では、現在のタンク8内の圧力Pm(t)が最低圧Pminよりも高圧か否か(Pm(t)>Pmin)を判定する。そして、ステップ27で「NO」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)が最低圧Pminよりも低圧だから、ステップ28に移って4台の圧縮機22A〜22Dが全て運転状態になるまで圧縮機22A〜22Dを順次起動し、ステップ32でリターンする。
一方、ステップ27で「YES」と判定したときには、ステップ29に移って、現在のタンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも低圧か否か(Pm(t)<Pmax)を判定する。
そして、ステップ29で「NO」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも高圧だから、ステップ30に移って4台の圧縮機22A〜22Dを全て停止状態になるまで圧縮機22A〜22Dを順次停止し、ステップ32でリターンする。
一方、ステップ29で「YES」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)は最高圧Pmaxよりも低圧になっている。このため、ステップ31に移行して、制御回路27A〜27Dは、図8に示すように、予めメモリー(図示せず)に記憶された消費量ΔFと圧縮機22A〜22Dの組み合わせテーブルに基づき、圧縮空気の消費量ΔFに応じた圧縮機22A〜22Dの組み合わせを選択する。そして、制御回路27A〜27Dは、選択した圧縮機22A〜22Dを運転状態にし、ステップ32でリターンする。
本実施の形態による空気圧縮装置21は上述のような台数制御処理を用いて駆動するものであり、次に、従来技術による圧力しきい値によって圧縮機の台数を決定する制御と、第2の実施の形態による台数制御処理とを比較した。その結果を図9に示す。
なお、図9中の実線は、本実施の形態による台数制御処理を行った場合のタンク8内の圧力Pmと消費電力PWとをそれぞれ示している。一方、図9中の点線は、従来技術による台数制御を行った場合のタンク8内の圧力Pm′と消費電力PW′とをそれぞれ示している。
図9の結果より、本実施の形態による台数制御処理では、全体的に圧力Pmが低い領域、即ち消費電力が少ない領域で圧縮機22A〜22Dを運転していることが分かる。また、従来技術による消費電力PW′に比べて、本実施の形態による消費電力PWは全体的に少ないことが分かる。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、制御回路27A〜27Dは圧力変化値ΔPとタンク8等の全容量Vallとを用いて圧縮空気の消費量ΔFを演算する構成としたから、消費量ΔFに基づいて必要最小限の圧縮空気を吐出する圧縮機22A〜22Dの組み合わせを選択することができる。この結果、任意の組み合わせで圧縮機22A〜22Dの運転台数を増減させた場合に比べて、空気圧縮装置1の吐出容量をより適切に設定でき、消費電力の低減効果を高めることができる。
次に、図10および図11は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、各圧縮機の圧力センサを用いてタンク内の圧力を検出できる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
本実施の形態による空気圧縮装置1および台数制御処理は、第1の実施の形態とほぼ同様である。但し、台数制御処理において、ステップ1の圧力Pm(t)の計測処理とステップ2の温度Ttの計測処理との間に、ステップ41の圧力センサ13の故障診断処理を行う点で、第1の実施の形態とは異なっている。
ここで、本実施の形態では、イニシャル処理として、タンク8内の圧力Pm(t)を圧力センサ13を用いて計測すると共に、例えば圧縮機2Aの一時貯留タンク5Aの圧力Paを圧力センサ6Aを用いて計測し、これらの圧力差ΔPa(ΔPa=Pm(t)-Pa)を予めメモリー等に記憶しておく。
そして、ステップ41の圧力センサ13の故障診断処理に移行すると、図11に示すように、まずステップ42では、圧力センサ6Aを用いて一時貯留タンク5Aの圧力Pa(t)を計測する。
次に、ステップ43では、タンク8内の圧力Pm(t)が一時貯留タンク5Aの圧力Pa(t)に予め記憶しておいた圧力差ΔPaを加えた値(Pa(t)+ΔPa)と同じ程度か否か(Pm(t)≒Pa(t)+ΔPa)を判定する。
そして、ステップ43で「YES」と判定したときには、圧力センサ13は正常に動作しているものと考えられるから、ステップ44に移って演算用の圧力Pm(t)には圧力センサ13による圧力Pm(t)を入力し、ステップ45に移ってリターンする。これにより、制御回路7A〜7Bは、圧力センサ13による圧力Pm(t)を用いてステップ2以降の処理を行う。
一方、ステップ43で「NO」と判定したときには、圧力センサ13が故障している可能性があるから、ステップ46に移って演算用の圧力Pm(t)には一時貯留タンク5Aの圧力Pa(t)に予め記憶しておいた圧力差ΔPaを加えた値(Pa(t)+ΔPa)を入力し、ステップ45に移ってリターンする。これにより、制御回路7A〜7Bは、一時貯留タンク5Aの圧力Pa(t)に基づく圧力Pm(t)を用いてステップ2以降の処理を行う。
なお、一時貯留タンク5Aの圧力Pa(t)に代えて、他の一時貯留タンク5B〜5Dの圧力Pb(t)〜Pd(t)を用いる構成としてもよい。また、圧力センサ13による圧力Pm(t)が仕様範囲外の圧力(例えば1.3MPa)を検出した場合には、直ちにステップ46以降の処理を行う構成としてもよい。さらに、ステップ41の圧力センサ13の故障診断処理は、サンプリング周期毎に行う構成としてもよく、一定周期(例えば数秒ないし数時間)毎に行う構成としてもよい。
かくして、本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、圧力センサ13の故障診断処理を行うから、圧力センサ13に故障が生じたときには、各圧縮機2A〜2Dの圧力センサ6A〜6Dを用いてタンク8内の圧力Pm(t)を求めることができる。このため、圧力センサ13に故障が生じたときでも、圧縮機2A〜2Dの台数制御を行うことができ、信頼性を高めることができる。
なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態による台数制御処理に圧力センサ13の故障診断処理を適用する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第2の実施の形態による台数制御処理に圧力センサ13の故障診断処理を適用する構成としてもよい。
次に、図12および図13は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、タンクに圧縮空気を充填するときの圧力変化に基づいてタンクの容量を演算する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第2の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
本実施の形態による空気圧縮装置21および台数制御処理は、第2の実施の形態とほぼ同様である。但し、台数制御処理において、ステップ21の前にステップ51のタンク容量演算処理を行う点で、第2の実施の形態とは異なっている。
そして、ステップ51のタンク容量演算処理に移行すると、図13に示すように、まずステップ52では、タンク8の容量および一時貯留タンク25A〜25Dの容量とを加えた全容量Vallが既知か否かを確認する。ここで、ステップ52で「YES」と判定したときには、全容量Vallが予め入力または演算によって得られているから、ステップ59に移ってそのままリターンする。
一方、ステップ52で「NO」と判定したときには、タンク8の容量等が不明のために全容量Vallが不明な状態にあると考えられる。このため、ステップ53に移って、取出し弁12を閉弁し、圧縮機2A〜2Dの一部または全部を起動してタンク8内を昇圧する。
次に、ステップ54では、圧力センサ13を用いて所定時間(例えばサンプリング周期S)の前,後でタンク8内の圧力Pm(t-1),Pm(t)を計測する。そして、ステップ55では、温度センサ14を用いてタンク8内の圧縮空気の温度Ttを計測する。
次に、ステップ56では、数1の式を用いて、圧力センサ13による圧力Pm(t-1),Pm(t)の差を演算し、圧力変化値ΔPを算出する(ΔP=Pm(t)-Pm(t-1))。そして、ステップ57では、数4の式を用いて、現在稼動している圧縮機22A〜22Dの吐出容量Fa〜Fd(NL/min)を加算し、空気圧縮装置21から吐出されている1秒当たりの圧縮空気の供給量n(mol/s)を算出する。
次に、ステップ58では、以下の数7の式を用いて、圧力変化値ΔP、サンプリング周期S、気体定数R、温度Ttに基づいて全容量Vallを算出する。そして、全容量Vallを算出した後は、ステップ59に移ってリターンする。これにより、制御回路27A〜27Dは、演算によって求めて全容量Vallを用いてステップ21以降の処理を行うことができる。
なお、タンク8の容量を求める場合には、ステップ58で求めた全容量Vallから各圧縮機22A〜22Dの容量を差し引けばよい。
かくして、本実施の形態でも、第1,第2の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、タンク容量演算処理を行う構成としたから、タンク8に圧縮空気を充填するときに生じるタンク8の圧力変化を用いてタンク8等の全容量Vallを演算することができる。このため、タンク8等の容量が不明な場合でも、この全容量Vallと圧力変化値ΔPとを用いて圧縮空気の消費量ΔFを演算することができ、消費量ΔFに基づいて圧縮機22A〜22Dの台数制御を行うことができる。
なお、前記第1〜第4の実施の形態では、ステップ3,23が圧力変化演算手段の具体例を示し、ステップ4〜13,24〜31が吐出容量設定手段の具体例を示している。また、ステップ24〜26が消費量演算手段の具体例を示し、ステップ31および図8の組み合わせテーブルが圧縮機選択手段の具体例を示している。さらに、ステップ51(ステップ52〜59)がタンク容量演算手段の具体例を示している。
また、前記第1〜第4の実施の形態では、空気圧縮装置1,21は4台の圧縮機2A〜2D,22A〜22Dによって構成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば空気圧縮装置は2台または3台の圧縮機によって構成してもよく、5台以上の圧縮機によって構成してもよい。
また、前記第1〜第4の実施の形態では、空気圧縮装置1,21は4台の圧縮機2A〜2D,22A〜22Dによって構成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば空気圧縮装置を可変容量型の1台の圧縮機を用いて構成してもよい。また、空気圧縮装置として可変容量ポンプを用いる構成としてもよい。
さらに、前記第1〜第4の実施の形態では、制御回路7A〜7D,27A〜27Dを用いて分散方式の台数制御処理を行う構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば各圧縮機2A〜2D,22A〜22Dの制御回路7A〜7D,27A〜27Dとは別に全体を集中的に管理する制御装置を設け、該制御装置を用いて集中方式の台数制御処理を行う構成としてもよい。
次に図14に本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、制御方法が図2のものと異なるものである。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
図14は第5の実施の形態による台数制御処理を示し、図14に示す台数制御処理も、第1の実施の形態と同様に、予め決められたサンプリング周期S(例えば100ms)毎に行うものである。
まず、ステップ61では、圧力センサ13からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期で現在のタンク8の圧力Pm(t)を計測する。
次に、ステップ62では、現在の圧力Pm(t)と前回の圧力Pm(t-1)との差を演算し、圧力変化値ΔPを求める。この圧力変化値ΔPは、正の値であればサンプリング周期当たりの圧力の増加率、負の値であればサンプリング周期当たりの圧力の減少率となる。
次に、ステップ63では、圧力Pm(t)が最低圧Pminよりも高圧か否かを判定する。そして、ステップ63で「NO」と判定したときには、ステップ64に移って4台の圧縮機2A〜2Dが全て運転状態になるまで圧縮機2A〜2Dを順次起動し、ステップ72でリターンする。
一方、ステップ63で「YES」と判定したときには、ステップ65に移行して、圧力変化値ΔPがあらかじめ設定された負の所定値(−A)より大きいかを否かを判定する。ここで、ステップ65で「YES」と判定した場合は、圧力変化値ΔPが負の小さな値であり、これは、タンク圧の時間当たりの減少率が所定値Aより小さいことを意味する。
ここで、所定値Aは、タンク圧が最低圧Pmin付近における圧縮機一台がサンプリング周期稼動した際に変化する圧力変化値より若干小さい値とすることにより、一台稼動することによりタンク圧を増加方向にすることが可能となる。
そして、ステップ65で「NO」と判定したときには、圧縮空気の消費量が供給量よりも多い場合であり、ステップ66に移って、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台増加させる。
一方、ステップ65で「YES」と判定したときには、圧力Pm(t)が上昇しているか、低下していても減少率が小さいと考えられる。即ち、圧縮空気の消費量に見合った供給量が確保され、最低圧Pminに到達するまで十分に時間的な余裕が生じているものと考えられる。このため、ステップ67に移って、現在のタンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも低圧か否かを判定する。
そして、ステップ67で「NO」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも高圧だから、ステップ68に移って4台の圧縮機2A〜2Dを全て停止状態になるまで圧縮機2A〜2Dを直ちに停止し、ステップ72でリターンする。
一方、ステップ67で「YES」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)は最高圧Pmaxよりも低圧になっている。このため、ステップ69に移行して、圧力変化値ΔPがあらかじめ設定された所定値Bより小さいかを否かを判定する。ここで、ステップ69で「NO」と判定した場合は、圧力変化値ΔPが正の大きな値であり、これは、タンク圧の時間当たりの増加率が所定値Bより大きいことを意味する。
ここで、所定値Bは、タンク圧が最高圧Pmax付近における圧縮機一台がサンプリング周期稼動した際に変化する圧力変化値より若干大きい値とすることにより、一台運転を中止したとしてもタンク圧が減少することなく、増加方向を維持することが可能となる。
そして、ステップ69で「NO」と判定したときには、圧縮空気の供給量が消費量よりも過剰に多いものと考えられる。このため、ステップ71に移って、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台減少させるのであるが、その前にステップ70で、ステップ71で停止させる停止圧縮機が、前回停止したときからの時間を積算した時間(運転時間と停止時間とからなる1周期)が所定時間(例えば1分)を経過したか否かを確認し、経過するまでは、前述の停止圧縮機を停止させない。
これは、あまりに短時間に停止運転を繰り返すと、モータやスイッチなどの機器の寿命が短くなってしまうためである。このため、ステップ70で「NO」と判定したときには、停止圧縮機を保護するために所定時間が経過するまで、そのままの状態で待機する。
これに対し、ステップ70で「YES」と判定したときには、停止圧縮機が前回停止したときから所定時間が経過しているから、ステップ71に移行する。そして、ステップ71では、スレーブ圧縮機2B〜2Dのいずれかが運転中の場合は、予め決められた順番(例えば圧縮機2D→圧縮機2C→圧縮機2Bの順番)で運転中のスレーブ圧縮機2B〜2Dを停止する。一方、スレーブ圧縮機2B〜2Dのいずれも停止中の場合は、マスター圧縮機2Aを停止する。そして、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台減少させた後は、ステップ72に移ってリターンする。
一方、ステップ69で「YES」と判定したときには、圧力Pm(t)が低下しているか、上昇していても最高圧Pmaxに到達するまでまだ時間がかかるものと考えられる。即ち、圧縮空気の消費量に見合った供給量が確保され、最高圧Pmaxに到達するまで十分に時間的な余裕が生じているものと考えられる。このため、圧縮機2A〜2Dの現在の運転状況を維持し、ステップ72に移ってリターンする。
かくして、本第5の実施の形態においては、タンク8内の圧力の増加率や減少率に応じて、運転台数を増加、減少させるので、増加率や減少率が小さくなり、結果として圧縮空気の供給量と消費量とが近い値に制御されるので、空気圧縮装置1の消費電力を低減することができる。
また、ステップ70によって停止圧縮機の前回停止時から所定時間経過するまでは、次回の停止を行わないので、一の圧縮機が短時間に起動停止を繰り返すことを防止し、機器の寿命を延長させることができる。
なお、前記第5の実施の形態のステップ70は、第1の実施の形態のステップ13の前に入れてもよい。
次に図15および図16に本発明の第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、制御方法が図2および図14と異なるものである。なお、本実施の形態では、前述した第1及び第5の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
図15は第6の実施の形態による台数制御処理を示し、図15に示す台数制御処理も、第1の実施の形態と同様に、予め決められたサンプリング周期S(例えば100ms)毎に行うものである。
まず、ステップ81では、圧力センサ13からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期で現在のタンク8の圧力Pm(t)を計測する。
次に、ステップ82では、現在の圧力Pm(t)と前回の圧力Pm(t-1)との差を演算し、圧力変化値ΔPを求める。この圧力変化値ΔPは、正の値であればサンプリング周期当たりの圧力の増加率、負の値であればサンプリング周期当たりの圧力の減少率となる。
ステップ83では、圧力変化値ΔPから、圧縮機台数減少圧力閾値Hと、圧縮機台数増加圧力閾値Lとを決定する。これは、予め制御装置に図16に示すマップを用意しておく。このマップにより圧力変化値ΔPが正の値、すなわち増加しているときは、圧縮機台数減少圧力閾値Hを設定し、ΔPが負の値、すなわち減少しているときは、圧縮機台数増加圧力閾値Lを設定する。圧縮機台数減少圧力閾値Hについては、圧力変化値ΔPが大きい程(タンク圧の増加率が大きい程)、小さい値に設定される。一方、圧縮機台数増加圧力閾値Lについては、圧力変化値ΔPが小さい程(タンク圧の減少率が大きい程)、大きい値に設定される。これは、変化率が大きいほど、早く、圧縮機の増減を行うことにより、圧縮空気の供給量と消費量とが近い値となるように制御するためである。
次に、ステップ84では、圧力Pm(t)が最低圧Pminよりも高圧か否かを判定する。そして、ステップ84で「NO」と判定したときには、ステップ85に移って4台の圧縮機2A〜2Dが全て運転状態になるまで圧縮機2A〜2Dを順次起動し、ステップ93でリターンする。
一方、ステップ84で「YES」と判定したときには、ステップ86に移行して、現在の圧力Pm(t)が圧縮機台数増加圧力閾値Lより高いかを否かを判定する。
そして、ステップ86で「NO」と判定したときには、圧縮空気の消費量が供給量よりも多く、タンク圧の下限に近づきつつある場合であり、ステップ87に移って、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台増加させる。
一方、ステップ86で「YES」と判定したときには、圧力Pm(t)が上昇しているか、低下していてもタンク圧がまだ高い状態にあると考えられる。即ち、圧縮空気の消費量に見合った供給量が確保され、最低圧Pminに到達するまで十分に時間的な余裕が生じているものと考えられる。このため、ステップ88に移って、現在のタンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも低圧か否かを判定する。
そして、ステップ88で「NO」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)が最高圧Pmaxよりも高圧だから、ステップ89に移って4台の圧縮機2A〜2Dを全て停止状態になるまで圧縮機2A〜2Dを直ちに停止し、ステップ93でリターンする。
一方、ステップ88で「YES」と判定したときには、タンク8内の圧力Pm(t)は最高圧Pmaxよりも低圧になっている。このため、ステップ90に移行して、現在の圧力Pm(t)が圧縮機台数減少圧力閾値Hより低いかを否かを判定する。
そして、ステップ90で「NO」と判定したときには、圧縮空気の供給量が消費量よりも過剰に多いものと考えられる。このため、ステップ92に移って、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台減少させるのであるが、その前にステップ91で、ステップ92で停止させる停止圧縮機が、前回停止したときからの時間を積算した時間(運転時間と停止時間とからなる1周期)が所定時間(例えば1分)を経過したかを確認し、経過するまでは、前述の停止圧縮機を停止させない。
これは、あまりに短時間に停止運転を繰り返すと、モータやスイッチなどの機器の寿命が短くなってしまうためである。このため、ステップ91で「NO」と判定したときには、停止圧縮機を保護するために所定時間が経過するまで、そのままの状態で待機する。
これに対し、ステップ91で「YES」と判定したときには、停止圧縮機が前回停止したときから所定時間が経過しているから、ステップ92に移行する。そして、ステップ92では、スレーブ圧縮機2B〜2Dのいずれかが運転中の場合は、予め決められた順番(例えば圧縮機2D→圧縮機2C→圧縮機2Bの順番)で運転中のスレーブ圧縮機2B〜2Dを停止する。一方、スレーブ圧縮機2B〜2Dのいずれも停止中の場合は、マスター圧縮機2Aを停止する。そして、圧縮機2A〜2Dの運転台数を1台減少させた後は、ステップ93に移ってリターンする。
一方、ステップ90で「YES」と判定したときには、圧力Pm(t)が低下しているか、上昇していても最高圧Pmaxに到達するまでまだ時間がかかるものと考えられる。即ち、圧縮空気の消費量に見合った供給量が確保され、最高圧Pmaxに到達するまで十分に時間的な余裕が生じているものと考えられる。このため、圧縮機2A〜2Dの現在の運転状況を維持し、ステップ93に移ってリターンする。
かくして、本第6の実施の形態においては、タンク8内の圧力の増加率や減少率(圧力変化値ΔP)に応じて、運転台数を増加、減少させるための閾値L,Hを変更するので、増加率や減少率が小さくなり、結果として圧縮空気の供給量と消費量とが近い値に制御されるので、空気圧縮装置1の消費電力を低減することができる。
なお、前記第1,第3,第5,第6の実施の形態による空気圧縮装置は、4台の圧縮機の吐出容量Fa〜Fdを同一としたが、これに限らず、圧縮機毎に吐出容量の異なる圧縮を用いてもよい。この場合、圧縮機の組み合わせにより、より細かい制御が可能となる。
また、本発明の圧縮機として、レシプロ、スクリュウ、スクロール等の圧縮機を用いることができ、また、これらの圧縮機を組み合わせて用いてもよい。
さらに、上記各実施の形態では、圧縮機を運転と停止のいずれかとした例を示したが、レシプロ等アンロード運転が可能な圧縮機においては、運転台数を減少させる際に、所定時間は、アンロード運転を行い、その後、停止するように構成してもよい。