JP4896457B2 - レーザ加工機のレーザ照射用ノズル装置及びこの照射用ノズルによるブロー方法。 - Google Patents
レーザ加工機のレーザ照射用ノズル装置及びこの照射用ノズルによるブロー方法。 Download PDFInfo
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そのため、ダイレクト半導体レーザ溶接機はレーザ発信器やその光学系を含めできる限りコンパクトに構成する事が望まれる。
また、ダイレクト半導体レーザは焦点距離が短い。
これはダイレクト半導体レーザユニットが溶接部に接近しなければならない事を意味しており、このように溶接部に接近した状況では溶接中に発生するスパッタやヒュームから、短距離で、ダイレクト半導体レーザユニットを保護することは難しい。
ダイレクト半導体レーザユニット100は、ロボットアーム3により自在に位置決め可能となっており、ダイレクト半導体レーザユニット100内に収納されているレーザ発信器1で生成した高出力レーザ光を、光学レンズ2で調整し、保護ガラス5を経てワークWに照射する。
照射されたレーザ光Lは、各ワークWの接合部となる溶接線4上に連続的に照射され、ワークが溶接される。
このスパッタSによるダメージにより、短期間で保護ガラス5の交換を余儀なくされてしまうのが一般的に見られる実情である。
ヒュームHは細かく飛散し、保護ガラス5に対し広範囲に少しずつダメージを蓄積していき、保護ガラスのレーザ光の透過効率を少しずつ悪化させることで、レーザ光の照射効率も低下し、溶接不良を引き起こす。
これに伴い保護ガラスの発熱も促進されるので、保護ガラスの割れ等の損傷も起こりやすくなる。
つまり、ダイレクト半導体レーザを使用するレーザ溶接機においては、溶接部に接近せざるを得ないため、スパッタやヒュームに対する防護を短距離で行う必要がある。
そのためには、保護ガラスより先端に位置し、保護ガラスを防護するためのレーザ照射用ノズルが不可欠であり、そのノズル長は、レーザ光の焦点距離に合せ、短くしなければならないが、レーザ照射用ノズルを短くすれば防護機能が低下しまい、十分な効果を期待できない。
更に、高出力なレーザ光が通過する保護ガラスには、少なからず熱の蓄積が起こるため放熱のための冷却が不可欠であり、もし保護ガラスの冷却が適切に行われないと保護ガラスが割れる等の重大な問題を引き起こす事となる。
しかしながら、このような従来方式では、短焦点のレーザ光を照射するダイレクト半導体レーザへの適用は難しく十分な効果は期待できない。
また、高出力なレーザ光により加熱されてしまう保護ガラスの温度上昇を、同時かつ適切に対策できる効果も見られない。
更に、上記対策がアシストガスに悪影響を及ぼすことなく、高い溶接品質を維持するために効果的なエアーブローとアシストガスブローの方法を確立することである。
レーザ光を調整する光学レンズ等をスパッタやヒューム等から隔離し保護するための保護ガラスの近傍に取付けられるレーザ照射用ノズルについて、
上記レーザ照射用ノズルの外周部から上記保護ガラスに向けてエアーブローするための複数個のノズルで構成される第1のエアーブローノズルと、
レーザ照射用ノズルにおける加工用レーザ光が通る内空部が円錐形に形成され、この内空部を形成して加工用レーザ光に直接面するテーパー面の全面に沿ってカーテン状にエアーブローするための第2のエアーブロー用スリットと、
レーザ照射用ノズルの先端部でアルゴンガスまたは窒素ガスからなるアシストガスをブローするための第3のガスブローノズルと、を具備したことを特徴とする。
第3のガスブローノズルは、アシストガスをエアーブローの焦点と加工用レーザ光の焦点の間を通過してワークの溶接部に到達するよう噴射することを特徴とする。
また、本発明の請求項3は、請求項1または請求項2記載のレーザ加工機におけるレーザ照射用ノズル装置において、上記レーザ照射用ノズル装置は、加工用レーザ光の光軸がワーク表面に対して傾斜する姿勢で配置されるとともに、第3のガスブローノズルが上記傾斜したレーザ照射用ノズル装置とワーク表面との間に配置されることを特徴とする。
第3のガスブローノズルからブローされるアシストガスを、上記エアーブローの焦点と加工用レーザ光の焦点の間を通過してワークの溶接部に到達するよう噴射することを特徴とする。
また、本発明の請求項7のレーザ加工機におけるレーザ照射用ノズルは、第1のエアーブロー及び第2のエアーブローが、レーザ照射用ノズルの内空部を形成して加工用レーザ光に直接面する円錐形のテーパー面により収束することにより形成される上記テーパー面の全面に沿ったカーテン状のエアーブローの焦点を加工用レーザ光の光学的な焦点より上部に設定する第1のエアーブローノズル及び第2のエアーブローノズルと、
アシストガスを、上記エアーブローの焦点と加工用レーザ光の焦点の間を通過してワークの溶接部に到達するよう噴射する第3のガスブローノズルとを備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項8は、請求項7記載のレーザ加工機におけるレーザ照射用ノズルにおいて、上記レーザ照射用ノズルは、加工用レーザ光の光軸がワーク表面に対して傾斜する姿勢で配置されるとともに、第3のガスブローノズルが上記傾斜したレーザ照射用ノズルとワーク表面との間に配置されることを特徴とする。
また、照射ノズルから噴射されたエアーは円錐形となり、該照射ノズルの更に先端部で収束するので、スパッタのような重い粒子であっても、その収束部で強力に弾かれ軌道が曲げられるので保護ガラスに到達する可能性を著しく低減させる。
上記エアーブローの収束部から先においては、速やかに拡散し、更に先端に位置するアシストガスを包み込むことで、アシストガスを適切に溶接部に案内する事ができ、溶接品質の低下を招かない。
また、エアーを対向させた場合は、エアーの衝突によりエアークッションが生成されるので、保護ガラス中心部を特に保護しながら、上記とは異なり、強い指向性を持たない拡散エアーを生成するバリエーションを設定可能であるから、各種局面で適宜効果的な運用が可能となり、ダイレクト半導体レーザの適用がしやすくなる。
また、レーザ照射用ノズル装置のノズルから噴射するエアーを、乱れることなく円錐形に収束しまとめることで、スパッタの浸入を効果的に防ぎつつ、収束後の拡散によって適度にアシストガスを溶接部に案内できる利点がある。
レーザ照射用ノズル装置110にはエアーとアシストガスの供給口が設けられ、その内部には円筒形と円錐形の組み合わせからなる内空部が形成され、先端に開口部11が設けられている。
これにより、第1のエアーA1は、それぞれ分配されたエアーブローA1’、A1’’・・・として噴射され、該エアーブローによる保護ガラス5の防護と共に保護ガラス5の適度な冷却が行われる。
そして、上記第1のエアーA1と第2のエアーA2は、レーザ照射用ノズル装置の内空部で合流し、先端の開口部11から円錐形になって吐出され、そのエアーブローの焦点(エアーブローの収束部)はF2となる。
上記により、アシストガスGは、ノズル13から浅い角度で噴射され、上記エアーブローの焦点F2とレーザ光の焦点F1の間を収束流G1となって通過し、ワークWの溶接部に到達する。
一方、第2のエアーブローA2は、レーザ照射用ノズルの内空部に設けられたテーパー面10に沿いながら先端部の開口部11に向かう。
上記第1、第2のエアーブローA1、A2は、レーザ照射用ノズル装置110の内空部においてその流れが乱れる事は無く、適度な指向性を持って開口部11を通過した後に、その先端で収束する事が可能となる。
しかも、図7に示すように、F2で収束した後はそのまま拡散したエアーブローDとなるので、アシストガスGは、上記拡散したエアーブローDにより斜線部に適切な圧力で押され、ワークWの溶接部に穏やかに案内されるので、レーザの溶接部がアシストガスGにより十分に保護され、溶接品質の低下を招く事がない。
ここで、第1のエアーブローを保護ガラス上に投影し2次元的に見ると、図9のようになるが、これを図10に示すように螺旋状に角度をつけることで、第1のエアーブローは保護ガラスの外周上から旋回流が形成され、これらの旋回流が合流しながら保護ガラスの中央付近で合流する。
レーザ照射用ノズル装置の内部に進入したヒュームHについても、第1のエアーブローによって生成した中央部の旋回流の遠心力で外周に追いやられ、そこで第2のエアーブローにより内空部のテーパー面に沿いながら速やかに外部に排出される事となる。
その様子は図13に示した通りであり、噴射された第1のエアーA1’は対向し、保護ガラス5の直下でエアーの衝突部12を形成する。
衝突後、エアーは速やかに拡散するが、その際、内部に侵入したヒュームHやスパッタ等は外周部に追いやられ、そこで第2のエアーブローA2’に沿って速やかに外部に排出される。
この第2の実施の形態となるレーザ照射用ノズル装置120の場合は、内空部に侵入してしまったヒュームやスパッタについては、その排出能力は劣るが、先端部に形成されたエアーカーテンにより異物の浸入を強力に防ぐ事ができる。
いずれにしろ、溶接状況に合わせカスタマイズ可能な自由度を持つ。
つまり、単一のエアーブローや単純な混合エアーとは違い、特殊な機能性を持つエアーブローが形成可能である。
もし、上記エアーが拡散することなく層流に近い状態ならば、噴射力が十分に減少しないためアシストガスに強く接してしまい、アシストガスの流れを乱してしまう。
つまり、短距離でエアーを円錐形で収束させていく事により、収束点以降でのエアーの減衰促進できる。
図15に、それぞれのブロー角度を図示しているが、保護ガラスの表面を基準とした場合、第1のエアーブローノズルの噴射角度θ1は仰角30度から60度のうちに設定するのが良いかと思われる。仰角が小さすぎると保護ガラスの中心部付近しか積極的に冷却できないし、仰角が大きすぎれば保護ガラスの外周部から中心への流れが弱くなると共に、エアーブローの流れも乱れやすくなる。
レーザ照射用ノズル先端から噴射されるエアーブローの角度については、テーパー面の角度の設定により、エアーの流れを大きく乱すことなく適宜調整可能であり、θ4に示す最終的な角度は、50度から100度が実用的であると考えられる。
上記で述べてきた第1のエアーブローと第2のエアーブローにより形成される高機能なエアーブローは、高出力なダイレクト半導体レーザ溶接システムを安定的に運用するために非常に有用である。
本発明は、ダイレクト半導体レーザに限らず、一般的なレーザ加工機にも広くに適用できる技術である。
2 光学レンズ
3 ロボットアーム
4 溶接線
5 保護ガラス
6 円形溝(第1のエアー用)
7 円形溝(第2のエアー用)
8 ノズル(第1のエアーブロー)
9 スリット(第2のエアーブロー)
10 テーパー面
11 開口部
12 エアーの衝突部
13 アシストガス用ノズル(第3のガスブロー)
100 ダイレクト半導体レーザユニット
110 レーザ照射用ノズル装置
120 レーザ照射用ノズル装置
A1 エアー
A2 エアー
D 拡散したエアーブロー
F1 レーザ光の焦点
F2 エアーブローの焦点(エアーブローの収束部分)
G ガス(アシストガス等)
H ヒューム
L レーザ光
S スパッタ
W ワーク
Claims (8)
- 加工用レーザ光を照射するレーザ加工機の、
レーザ光を調整する光学レンズ等をスパッタやヒューム等から隔離し保護するための保護ガラスの近傍に取付けられるレーザ照射用ノズルについて、
上記レーザ照射用ノズルの外周部から上記保護ガラスに向けてエアーブローするための複数個のノズルで構成される第1のエアーブローノズルと、
レーザ照射用ノズルにおける加工用レーザ光が通る内空部が円錐形に形成され、この内空部を形成して加工用レーザ光に直接面するテーパー面の全面に沿ってカーテン状にエアーブローするための第2のエアーブロー用スリットと、
レーザ照射用ノズルの先端部でアルゴンガスまたは窒素ガスからなるアシストガスをブローするための第3のガスブローノズルと、を具備したことを特徴とするレーザ加工機におけるレーザ照射用ノズル装置。 - 第2のエアーブロー用スリットは、カーテン状のエアーブローの焦点が加工用レーザ光の光学的な焦点より上部になるよう設定され、
第3のガスブローノズルは、アシストガスをエアーブローの焦点と加工用レーザ光の焦点の間を通過してワークの溶接部に到達するよう噴射することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工機におけるレーザ照射用ノズル装置。 - 上記レーザ照射用ノズル装置は、加工用レーザ光の光軸がワーク表面に対して傾斜する姿勢で配置されるとともに、第3のガスブローノズルが上記傾斜したレーザ照射用ノズル装置とワーク表面との間に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーザ加工機におけるレーザ照射用ノズル装置。
- 第1のエアーブローを構成する複数個のエアーブローノズルをレーザ光の照射方向に対して螺旋状に傾斜配置させ、レーザ照射用ノズル内の内空部で旋回流を発生させることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載のレーザ加工機におけるレーザ照射用ノズル装置。
- 第1のエアーブローを構成する複数のエアーブローノズルのブロー方向は、各エアーブローノズルをレーザ光の照射中心側に向けて対向配置させ、上記第1のエアーブローが保護ガラス中心部直下付近で衝突(収束・交叉)するように配置したことを特徴とする請求項1ないし請求項3記載のレーザ加工機におけるレーザ照射用ノズル装置。
- 第1のエアーブロー及び第2のエアーブローが、レーザ照射用ノズルの内空部を形成して加工用レーザ光に直接面する円錐形のテーパー面により収束することにより形成される上記テーパー面の全面に沿ったカーテン状のエアーブローの焦点を加工用レーザ光の光学的な焦点より上部に設定し、
第3のガスブローノズルからブローされるアシストガスを、上記エアーブローの焦点と加工用レーザ光の焦点の間を通過してワークの溶接部に到達するよう噴射することを特徴とするレーザ加工機のレーザ照射用ノズルによるブロー方法。 - レーザ照射用ノズルの内空部を形成して加工用レーザ光に直接面する円錐形のテーパー面により収束することにより形成される上記テーパー面の全面に沿ったカーテン状のエアーブローの焦点を加工用レーザ光の光学的な焦点より上部に設定する第1のエアーブローノズル及び第2のエアーブローノズルと、
アシストガスを、上記エアーブローの焦点と加工用レーザ光の焦点の間を通過してワークの溶接部に到達するよう噴射する第3のガスブローノズルとを備えたことを特徴とするレーザ加工機のレーザ照射用ノズル。 - 上記レーザ照射用ノズルは、加工用レーザ光の光軸がワーク表面に対して傾斜する姿勢で配置されるとともに、第3のガスブローノズルが上記傾斜したレーザ照射用ノズルとワーク表面との間に配置されることを特徴とする請求項7記載のレーザ加工機のレーザ照射用ノズル。
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