以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る制御装置を搭載した車両について説明する。この車両は、FR(Front engine Rear drive)車両である。なお、FR以外の車両であってもよい。
車両は、エンジン1000と、オートマチックトランスミッション2000と、トルクコンバータ2100と、オートマチックトランスミッション2000の一部を構成するプラネタリギヤユニット3000と、オートマチックトランスミッション2000の一部を構成する油圧回路4000と、プロペラシャフト5000と、デファレンシャルギヤ6000と、後輪7000と、ECU(Electronic Control Unit)8000とを含む。
エンジン1000は、インジェクタ(図示せず)から噴射された燃料と空気との混合気を、シリンダの燃焼室内で燃焼させる内燃機関である。燃焼によりシリンダ内のピストンが押し下げられて、クランクシャフトが回転させられる。エンジン1000の駆動力により、オルタネータおよびエアコンディショナーなどの補機1004が駆動される。なお、エンジン1000の代わりにもしくは加えて、動力源にモータを用いるようにしてもよい。
オートマチックトランスミッション2000は、トルクコンバータ2100を介してエンジン1000に連結される。オートマチックトランスミッション2000は、所望のギヤ段を形成することにより、クランクシャフトの回転数を所望の回転数に変速する。なお、ギヤ段を形成するオートマチックトランスミッションの代わりに、ギヤ比を無段階に変更するCVT(Continuously Variable Transmission)を搭載するようにしてもよい。さらに、油圧アクチュエータもしくは電動モータにより変速される常時噛合式歯車からなる自動変速機を搭載するようにしてもよい。
オートマチックトランスミッション2000から出力された駆動力は、プロペラシャフト5000およびデファレンシャルギヤ6000を介して、左右の後輪7000に伝達される。
ECU8000には、シフトレバー8004のポジションスイッチ8006と、アクセルペダル8008のアクセル開度センサ8010と、エアフローメータ8012と、電子スロットルバルブ8016のスロットル開度センサ8018と、エンジン回転数センサ8020と、入力軸回転数センサ8022と、出力軸回転数センサ8024と、油温センサ8026と、水温センサ8028とがハーネスなどを介して接続されている。
シフトレバー8004の位置(ポジション)は、ポジションスイッチ8006により検出され、検出結果を表す信号がECU8000に送信される。シフトレバー8004の位置に対応して、オートマチックトランスミッション2000のギヤ段が自動で形成される。また、運転者の操作に応じて、運転者が任意のギヤ段を選択できるマニュアルシフトモードを選択できるように構成してもよい。
アクセル開度センサ8010は、アクセルペダル8008の開度(以下、アクセル開度とも記載する)を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。エアフローメータ8012は、エンジン1000に吸入される空気量を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。
スロットル開度センサ8018は、アクチュエータにより開度が調整される電子スロットルバルブ8016の開度(以下、スロットル開度とも記載する)を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。電子スロットルバルブ8016により、エンジン1000に吸入される空気量(エンジン1000の出力)が調整される。
なお、電子スロットルバルブ8016の代わりにもしくは加えて、吸気バルブ(図示せず)や排気バルブ(図示せず)のリフト量や開閉する位相を変更することにより、エンジン1000に吸入される空気量を調整するようにしてもよい。
エンジン回転数センサ8020は、エンジン1000の出力軸(クランクシャフト)の回転数(以下、エンジン回転数NEとも記載する)を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。入力軸回転数センサ8022は、オートマチックトランスミッション2000の入力軸回転数NI(トルクコンバータ2100のタービン回転数NT)を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。出力軸回転数センサ8024は、オートマチックトランスミッション2000の出力軸回転数NOを検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。
油温センサ8026は、オートマチックトランスミッション2000の作動や潤滑に用いられるオイル(ATF:Automatic Transmission Fluid)の温度(油温)を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。
水温センサ8028は、エンジン1000の冷却水の温度(水温)を検出し、検出結果を表わす信号をECU8000に送信する。
ECU8000は、ポジションスイッチ8006、アクセル開度センサ8010、エアフローメータ8012、スロットル開度センサ8018、エンジン回転数センサ8020、入力軸回転数センサ8022、出力軸回転数センサ8024、油温センサ8026、水温センサ8028などから送られてきた信号、ROM(Read Only Memory)8002に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両が所望の走行状態となるように、機器類を制御する。なおECU8000により実行されるプログラムをCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記録して市場に流通させてもよい。
本実施の形態において、ECU8000は、シフトレバー8004がD(ドライブ)ポジションであることにより、オートマチックトランスミッション2000のシフトレンジにD(ドライブ)レンジが選択された場合、前進1速〜8速ギヤ段のうちのいずれかのギヤ段が形成されるように、オートマチックトランスミッション2000を制御する。前進1速〜8速ギヤ段のうちのいずれかのギヤ段が形成されることにより、オートマチックトランスミッション2000は後輪7000に駆動力を伝達し得る。なおDレンジにおいて、8速ギヤ段よりも高速のギヤ段を形成可能であるようにしてもよい。形成するギヤ段は、車速とアクセル開度とをパラメータとして実験等により予め作成された変速線図に基づいて決定される。なお、ECUは複数のECUに分割するようにしてもよい。
図2を参照して、プラネタリギヤユニット3000について説明する。プラネタリギヤユニット3000は、クランクシャフトに連結された入力軸2102を有するトルクコンバータ2100に接続されている。
プラネタリギヤユニット3000は、フロントプラネタリ3100と、リアプラネタリ3200と、C1クラッチ3301と、C2クラッチ3302と、C3クラッチ3303と、C4クラッチ3304と、B1ブレーキ3311と、B2ブレーキ3312と、ワンウェイクラッチ(F)3320とを含む。
フロントプラネタリ3100は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構である。フロントプラネタリ3100は、第1サンギヤ(S1)3102と、1対の第1ピニオンギヤ(P1)3104と、キャリア(CA)3106と、リングギヤ(R)3108とを含む。
第1ピニオンギヤ(P1)3104は、第1サンギヤ(S1)3102および第1リングギヤ(R)3108と噛合っている。第1キャリア(CA)3106は、第1ピニオンギヤ(P1)3104が公転および自転可能であるように支持している。
第1サンギヤ(S1)3102は、回転不能であるようにギヤケース3400に固定される。第1キャリア(CA)3106は、プラネタリギヤユニット3000の入力軸3002に連結される。
リアプラネタリ3200は、ラビニヨ型の遊星歯車機構である。リアプラネタリ3200は、第2サンギヤ(S2)3202と、第2ピニオンギヤ(P2)3204と、リアキャリア(RCA)3206と、リアリングギヤ(RR)3208と、第3サンギヤ(S3)3210と、第3ピニオンギヤ(P3)3212とを含む。
第2ピニオンギヤ(P2)3204は、第2サンギヤ(S2)3202、リアリングギヤ(RR)3208および第3ピニオンギヤ(P3)3212と噛合っている。第3ピニオンギヤ(P3)3212は、第2ピニオンギヤ(P2)3204に加えて、第3サンギヤ(S3)3210と噛合っている。
リアキャリア(RCA)3206は、第2ピニオンギヤ(P2)3204および第3ピニオンギヤ(P3)3212が公転および自転可能であるように支持している。リアキャリア(RCA)3206は、ワンウェイクラッチ(F)3320に連結される。リアキャリア(RCA)3206は、1速ギヤ段の駆動時(エンジン1000から出力された駆動力を用いた走行時)に回転不能となる。リアリングギヤ(RR)3208は、プラネタリギヤユニット3000の出力軸3004に連結される。
ワンウェイクラッチ(F)3320は、B2ブレーキ3312と並列に設けられる。すなわち、ワンウェイクラッチ(F)3320のアウターレースはギヤケース3400に固定され、インナーレースはリアキャリア(RCA)3206に連結される。
図3に、各変速ギヤ段と、各クラッチおよび各ブレーキの作動状態との関係を表した作動表を示す。この作動表に示された組み合わせで各ブレーキおよび各クラッチを作動させることにより、前進1速〜8速のギヤ段と、後進1速および2速のギヤ段が形成される。
図4を参照して、油圧回路4000の要部について説明する。なお、油圧回路4000は、以下に説明するものに限られない。
油圧回路4000は、オイルポンプ4004と、プライマリレギュレータバルブ4006と、マニュアルバルブ4100と、ソレノイドモジュレータバルブ4200と、SL1リニアソレノイド(以下、SL(1)と記載する)4210と、SL2リニアソレノイド(以下、SL(2)と記載する)4220と、SL3リニアソレノイド(以下、SL(3)と記載する)4230と、SL4リニアソレノイド(以下、SL(4)と記載する)4240と、SL5リニアソレノイド(以下、SL(5)と記載する)4250と、SLTリニアソレノイド(以下、SLTと記載する)4300と、B2コントロールバルブ4500とを含む。
オイルポンプ4004は、エンジン1000のクランクシャフトに連結されている。クランクシャフトが回転することにより、オイルポンプ4004が駆動し、油圧を発生する。オイルポンプ4004で発生した油圧は、プライマリレギュレータバルブ4006により調圧され、ライン圧が生成される。
プライマリレギュレータバルブ4006は、SLT4300により調圧されたスロットル圧をパイロット圧として作動する。ライン圧は、ライン圧油路4010を介してマニュアルバルブ4100に供給される。
マニュアルバルブ4100は、ドレンポート4105を含む。ドレンポート4105から、Dレンジ圧油路4102およびRレンジ圧油路4104の油圧が排出される。マニュアルバルブ4100のスプールがDポジションにある場合、ライン圧油路4010とDレンジ圧油路4102とが連通させられ、Dレンジ圧油路4102に油圧が供給される。このとき、Rレンジ圧油路4104とドレンポート4105とが連通させられ、Rレンジ圧油路4104のRレンジ圧がドレンポート4105から排出される。
マニュアルバルブ4100のスプールがRポジションにある場合、ライン圧油路4010とRレンジ圧油路4104とが連通させられ、Rレンジ圧油路4104に油圧が供給される。このとき、Dレンジ圧油路4102とドレンポート4105とが連通させられ、Dレンジ圧油路4102のDレンジ圧がドレンポート4105から排出される。
マニュアルバルブ4100のスプールがNポジションにある場合、Dレンジ圧油路4102およびRレンジ圧油路4104の両方と、ドレンポート4105とが連通させられ、Dレンジ圧油路4102のDレンジ圧およびRレンジ圧油路4104のRレンジ圧がドレンポート4105から排出される。
Dレンジ圧油路4102に供給された油圧は、最終的には、C1クラッチ3301、C2クラッチ3302およびC3クラッチ3303に供給される。Rレンジ圧油路4104に供給された油圧は、最終的には、B2ブレーキ3312に供給される。
ソレノイドモジュレータバルブ4200は、ライン圧を元圧とし、SLT4300に供給する油圧(ソレノイドモジュレータ圧)を一定の圧力に調圧する。
SL(1)4210は、C1クラッチ3301に供給される油圧を調圧する。SL(2)4220は、C2クラッチ3302に供給される油圧を調圧する。SL(3)4230は、C3クラッチ3303に供給される油圧を調圧する。SL(4)4240は、C4クラッチ3304に供給される油圧を調圧する。SL(5)4250は、B1ブレーキ3311に供給される油圧を調圧する。
SLT4300は、アクセル開度センサ8010により検出されたアクセル開度に基づいたECU8000からの制御信号に応じて、ソレノイドモジュレータ圧を調圧し、スロットル圧を生成する。スロットル圧は、SLT油路4302を介して、プライマリレギュレータバルブ4006に供給される。スロットル圧は、プライマリレギュレータバルブ4006のパイロット圧として利用される。
SL(1)4210、SL(2)4220、SL(3)4230、SL(4)4240、SL(5)4250およびSLT4300は、ECU8000から送信される制御信号により制御される。
B2コントロールバルブ4500は、Dレンジ圧油路4102およびRレンジ圧油路4104のいずれか一方からの油圧を選択的に、B2ブレーキ3312に供給する。B2コントロールバルブ4500に、Dレンジ圧油路4102およびRレンジ圧油路4104が接続されている。B2コントロールバルブ4500は、SLUソレノイドバルブ(図示せず)から供給された油圧とスプリングの付勢力とにより制御される。
SLUソレノイドバルブがオンの場合、B2コントロールバルブ4500は、図4において左側の状態となる。この場合、B2ブレーキ3312には、SLUソレノイドバルブから供給された油圧をパイロット圧として、Dレンジ圧を調圧した油圧が供給される。
SLUソレノイドバルブがオフの場合、B2コントロールバルブ4500は、図4において右側の状態となる。この場合、B2ブレーキ3312には、Rレンジ圧が供給される。
図5を参照して、ECU8000についてさらに説明する。なお、以下に説明するECU8000の機能は、ハードウエアにより実現するようにしてもよく、ソフトウエアにより実現するようにしてもよい。
ECU8000は、アクセル開度検出部8100と、回転数検出部8102と、スロットル開度検出部8104と、アイドル判定部8106と、目標値設定部8108と、制限部8110と、制御部8112とを備える。
アクセル開度検出部8100は、アクセル開度センサ8010から送信された信号に基づいて、アクセル開度を検出する。
回転数検出部8102は、エンジン回転数センサ8020から送信された信号に基づいてエンジン回転数NEを検出する。
スロットル開度検出部8104は、スロットル開度センサ8018から送信された信号に基づいて、スロットル開度を検出する。
アイドル判定部8106は、図6に示すように、スロットル開度が第1しきい値TA(1)以上である場合に、エンジン1000がアイドル状態でないと判定し、第2しきい値TA(2)以下である場合に、エンジン1000がアイドル状態であると判定する。第1しきい値TA(1)から第2しきい値TA(2)までの領域は、ヒステリシス領域である。
目標値設定部8108は、アクセル開度およびエンジン回転数NEに応じて目標スロットル開度TATを設定する。より具体的には、実験およびシミュレーションの結果などに基づいて予め定められたマップに従って、アクセル開度、エンジン回転数NEおよび車速などに基づいて車両の目標駆動力が設定される。設定された目標駆動力が目標エンジントルクに変換される。たとえば、後輪7000の半径、デファレンシャルギヤ6000のギヤ比、オートマチックトランスミッション2000の現在のギヤ比およびトルクコンバータ2100のトルク比などを用いて、駆動力がトルクに変換される。なお、駆動力をエンジントルク(エンジンの出力トルク)に変換する方法は周知の一般的な技術を利用すればよいため、ここではさらなる詳細な説明は繰り返さない。
目標駆動力から変換された目標エンジントルクを実現するスロットル開度が目標スロットル開度TATとして設定される。たとえば、目標エンジントルクをパラメータに有するマップに従って、目標スロットル開度TATが設定される。
制限部8110は、アクセル開度の変動量が予め定められた値以下であり、かつエンジン1000がアイドル状態でないと判定されていると、目標スロットル開度TATが第1しきい値TA(1)以上になるように制限する。また、制限部8110は、アクセル開度の変動量が予め定められた値以下であり、かつエンジン1000がアイドル状態であると判定されていると、目標スロットル開度TATが第2しきい値TA(2)以下になるように制限する。
なお、たとえば、アクセル開度の変化率がしきい値以下である状態が予め定められた時間以上継続すると、アクセル開度の変動量が予め定められた値以下であると判定される。予め定められた時間内におけるアクセル開度の最大値と最小値との差がしきい値以下であると、アクセル開度の変動量が予め定められた値以下であると判定するようにしてもよい。なお、アクセル開度の変動量が予め定められた値以下であるか否かを判定する方法はこれらに限らない。
制御部8112は、スロットル開度が目標スロットル開度TATになるように電子スロットルバルブ8016を制御する。
図7を参照して、ECU8000が実行するプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、ECU8000は、アクセル開度センサ8010から送信された信号に基づいて、アクセル開度を検出する。S102にて、ECU8000は、エンジン回転数センサ8020から送信された信号に基づいてエンジン回転数NEを検出する。
S104にて、ECU8000は、アクセル開度およびエンジン回転数NEに応じて目標エンジントルクを設定する。S106にて、ECU8000は、目標エンジントルクを実現するスロットル開度を目標スロットル開度TATとして設定する。
S108にて、ECU8000は、アクセル開度の変動量がしきい値以下であるか否かを判定する。すなわち、アクセル開度が略一定であるか否かが判定される。アクセル開度の変動量がしきい値以下であると(S108にてYES)、処理はS110に移される。もしそうでないと(S108にてNO)、処理はS140に移される。
S110にて、ECU8000は、スロットル開度センサ8018から送信された信号に基づいて、スロットル開度を検出する。S112にて、ECU8000は、エンジン1000がアイドル状態であるか否かを判定する。エンジンがアイドル状態であると(S112にてYES)、すなわち、スロットル開度が第2しきい値TA(2)以下であると、処理はS120に移される。エンジンがアイドル状態でないと(S112にてNO)、すなわちスロットル開度が第1しきい値TA(1)以上であると、処理はS130に移される。
S120にて、ECU8000は、目標スロットル開度TATが第2しきい値TA(2)以下であるか否かを判定する。目標スロットル開度TATが第2しきい値TA(2)以下であると(S120にてYES)、処理はS140に移される。目標スロットル開度TATが第2しきい値TA(2)より大きいと(S120にてNO)、処理はS122に移される。
S122にて、ECU8000は、第2しきい値TA(2)を目標スロットル開度TATに設定する。すなわち、目標スロットル開度TATが第2しきい値TA(2)以下になるように制限される。
S130にて、ECU8000は、目標スロットル開度TATが第1しきい値TA(1)以上であるか否かを判定する。目標スロットル開度TATが第1しきい値TA(1)以上であると(S130にてYES)、処理はS140に移される。目標スロットル開度TATが第1しきい値TA(1)より小さいと(S130にてNO)、処理はS132に移される。
S132にて、ECU8000は、第1しきい値TA(1)を目標スロットル開度TATに設定する。すなわち、目標スロットル開度TATが第1しきい値TA(1)以上になるように制限される。
S140にて、ECU8000は、スロットル開度が目標スロットル開度TATになるように電子スロットルバルブ8016を制御する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置の作用について説明する。
車両の走行中、アクセル開度センサ8010から送信された信号に基づいて、アクセル開度が検出される(S100)。エンジン回転数センサ8020から送信された信号に基づいてエンジン回転数NEが検出される(S102)。
さらに、アクセル開度およびエンジン回転数NEに応じて目標エンジントルクが設定される(S104)。目標エンジントルクを実現するスロットル開度が目標スロットル開度TATとして設定される(S106)。
アクセル開度の変動量がしきい値より大きいと(S108にてNO)、すなわちアクセル開度が変化していると、スロットル開度が目標スロットル開度TATになるように電子スロットルバルブ8016が制御される(S140)。これにより、ドライバの意思に沿ってエンジン1000を制御することができる。
アクセル開度の変動量がしきい値以下であると(S108にてYES)、すなわち、アクセル開度が略一定であると、スロットル開度センサ8018から送信された信号に基づいてスロットル開度が検出され(S110)、エンジン1000がアイドル状態であるか否かが判定される(S112)。
エンジン1000がアイドル状態であると(S112にてYES)、すなわち、スロットル開度が第2しきい値TA(2)以下であると、目標スロットル開度TATが第2しきい値TA(2)以下であるか否かが判定される(S120)。
目標スロットル開度TATが第2しきい値TA(2)以下であると(S120にてYES)、スロットル開度が目標スロットル開度TATになるように電子スロットルバルブ8016が制御される(S140)。
目標スロットル開度TATが第2しきい値TA(2)より大きいと(S120にてNO)、第2しきい値TA(2)が目標スロットル開度TATに設定され(S122)、スロットル開度が目標スロットル開度TATになるように電子スロットルバルブ8016が制御される(S140)。
これにより、アクセル開度が略一定であって、かつエンジン1000がアイドル状態であると判定されている場合には、スロットル開度が第2しきい値TA(2)より大きくならないようにすることができる。そのため、エンジン1000の運転状態をアイドル状態に維持することができる。
一方、エンジンがアイドル状態でないと(S112にてNO)、すなわちスロットル開度が第1しきい値TA(1)以上であると、目標スロットル開度TATが第1しきい値TA(1)以上であるか否かが判定される(S130)。
目標スロットル開度TATが第1しきい値TA(1)以上であると(S130にてYES)、スロットル開度が目標スロットル開度TATになるように電子スロットルバルブ8016が制御される(S140)。
目標スロットル開度TATが第1しきい値TA(1)より小さいと(S130にてNO)、第1しきい値TA(1)が目標スロットル開度TATに設定され(S132)、スロットル開度が目標スロットル開度TATになるように電子スロットルバルブ8016が制御される(S140)。
これにより、アクセル開度が略一定であって、かつエンジン1000がアイドル状態でないと判定されている場合には、スロットル開度が第1しきい値TA(1)より小さくならないようにすることができる。そのため、エンジン1000の運転状態をアイドル状態ではない状態に維持することができる。
その結果、アクセル開度が略一定である場合には、第1しきい値TA(1)以上の領域から第2しきい値TA(2)以下の領域にスロットル開度が変化したり、逆に第2しきい値TA(2)以下の領域から第1しきい値TA(1)以上の領域にスロットル開度が変化したりしないようにすることができる。そのため、エンジンがアイドル状態であるか否かの判定結果を安定化することができる。
以上のように、本実施の形態に係る制御装置によれば、アクセル開度が略一定であって、かつエンジンがアイドル状態でないと判定されている場合には、スロットル開度が第1しきい値TA(1)以上に制限される。アクセル開度が略一定であって、かつエンジンがアイドル状態であると判定されている場合には、スロットル開度が第2しきい値TA(2)以下に制限される。これにより、アクセル開度が略一定である場合には、第1しきい値TA(1)以上の領域から第2しきい値TA(2)以下の領域にスロットル開度が変化したり、逆に第2しきい値TA(2)以下の領域から第1しきい値TA(1)以上の領域にスロットル開度が変化したりしないようにすることができる。そのため、エンジンがアイドル状態であるか否かの判定結果を安定化することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、目標スロットル開度TATの代わりに目標エンジントルクを制限する点で前述の第1の実施の形態と相違する。その他の構成については、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、ここではそれらの詳細な説明は繰り返さない。
図8を参照して、本実施の形態におけるECU8000の制限部8114は、アクセル開度の変動量が予め定められた値以下であり、かつエンジン1000がアイドル状態でないと判定されていると、目標エンジントルクが図9において一点鎖線で示す第3しきい値TE(3)以上になるように制限する。第3しきい値TE(3)は、スロットル開度が第1しきい値TA(1)である場合におけるエンジントルクである。
したがって、エンジントルクが第3しきい値TE(3)以上である場合には、スロットル開度が第1しきい値TA(1)以上である。そのため、エンジン1000がアイドル状態でないと判定され得る。
また、制限部8114は、アクセル開度の変動量が予め定められた値以下であり、かつエンジン1000がアイドル状態であると判定されていると、目標エンジントルクが図9において二点鎖線で示す第4しきい値TE(4)以下になるように制限する。第4しきい値TE(4)は、スロットル開度が第2しきい値TA(2)である場合におけるエンジントルクである。
したがって、エンジントルクが第4しきい値TE(4)以下である場合には、スロットル開度が第2しきい値TA(2)以下である。そのため、エンジン1000がアイドル状態であると判定され得る。
図10を参照して、ECU8000が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、前述の第1の実施の形態と同じ処理には同じステップ番号を付してある。したがって、ここではそれらの詳細な説明は繰り返さない。
S220にて、ECU8000は、目標エンジントルクが第4しきい値TE(4)以下であるか否かを判定する。目標エンジントルクが第4しきい値TE(4)以下であると(S220にてYES)、処理はS106に移される。目標エンジントルクが第4しきい値TE(4)より大きいと(S220にてNO)、処理はS222に移される。
S222にて、ECU8000は、第4しきい値TE(4)を目標エンジントルクに設定する。すなわち、目標エンジントルクが第4しきい値TE(4)以下になるように制限される。
S230にて、ECU8000は、目標エンジントルクが第3しきい値TE(3)以上であるか否かを判定する。目標エンジントルクが第3しきい値TE(3)以上であると(S230にてYES)、処理はS106に移される。目標エンジントルクが第3しきい値TE(3)より小さいと(S230にてNO)、処理はS232に移される。
S232にて、ECU8000は、第3しきい値TE(3)を目標エンジントルクに設定する。すなわち、目標エンジントルクが第3しきい値TE(3)以上になるように制限される。
このようにすれば、図11において実線で示すように、アクセル開度が略一定であって、かつエンジン1000がアイドル状態であると判定されている場合には、エンジントルクが第4しきい値TE(4)より大きくならないようにすることができる。そのため、スロットル開度が第2しきい値TA(2)より大きくならないようにすることができる。その結果、エンジン1000の運転状態をアイドル状態に維持することができる。
一方、アクセル開度が略一定であって、かつエンジン1000がアイドル状態でないと判定されている場合には、図12において実線で示すように、エンジントルクが第3しきい値TE(3)より小さくならないようにすることができる。そのため、スロットル開度が第1しきい値TA(1)より小さくならないようにすることができる。その結果、エンジン1000の運転状態をアイドル状態ではない状態に維持することができる。
よって、アクセル開度が略一定である場合には、第1しきい値TA(1)以上の領域から第2しきい値TA(2)以下の領域にスロットル開度が変化したり、逆に第2しきい値TA(2)以下の領域から第1しきい値TA(1)以上の領域にスロットル開度が変化したりしないようにすることができる。そのため、エンジンがアイドル状態であるか否かの判定結果を安定化することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1000 エンジン、2000 オートマチックトランスミッション、2100 トルクコンバータ、3000 プラネタリギヤユニット、4000 油圧回路、6000 デファレンシャルギヤ、7000 後輪、8000 ECU、8002 ROM、8004 シフトレバー、8006 ポジションスイッチ、8008 アクセルペダル、8010 アクセル開度センサ、8012 エアフローメータ、8016 電子スロットルバルブ、8018 スロットル開度センサ、8020 エンジン回転数センサ、8022 入力軸回転数センサ、8024 出力軸回転数センサ、8026 油温センサ、8028 水温センサ、8100 アクセル開度検出部、8102 回転数検出部、8104 スロットル開度検出部、8106 アイドル判定部、8108 目標値設定部、8110,8114 制限部、8112 制御部。