JP4894490B2 - ガイド装置、ステージ装置及び光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、測定機、光学機器、精密機器などのステージ装置、あるいは上下動機構に適用される、ガイド装置、このガイド装置を採用したステージ装置及び光学機器に関する。
レース案内面間にボール、ローラなどを挟んで転がり接触とし、これらを少なくとも2系列設けて運動自由度を拘束し、一方向に案内する、有限軌道転がり直動案内装置が知られている。
この有限軌道転がり直動案内装置を、例えば、リニアエンコーダなどの位置読み取り手段と、送りねじなどの送り機構と組み合わせて、被検物と被検物検出手段(光学的拡大観察、画像処理、または接触式のプローブ、非接触式のレーザーセンサなど)とを相対移動させて移動量を読み取ることにより、座標、寸法などの測定を行う光学測定機が知られている。また、上述した有限軌道転がり直動案内装置は、各種製造装置や検査装置などの位置決めステージとして利用される。
従来、有限軌道転がり直動案内装置として、例えば、レースの鋼球案内面(レース案内面、V溝面)に鋼板を配置した装置が提案されている(特許文献1)。
上記装置によれば、V溝が形成された部材(ガイドブロック)が十分な硬度を有していない場合、例えば鋳鉄やアルミニウム合金で形成した場合であっても、鋼板によりレース案内面の摩耗を防ぐことが出来る。そのため、比較的小型で安価でありながら高精度なステージの、ボールレース直動案内機構として長年使用されている。
最近、ステージストロークの大型化要求が強まり、ボールレースガイドの長ストローク化が要望されている。
しかし、レース案内面に鋼板を配置する上記装置では、基本的に鋼板の長さ方向の両端を止めて、レース案内面のストローク方向への鋼板のずれを抑えているが、鋼板が長くなる程(長ストローク化する程)、何ら拘束されていない、鋼板の中央付近がストローク方向と交差する方向にずれる(横ずれの)課題が生じる。
実公平2−38247号公報
鋼板がストローク方向と交差する方向にずれるのを防止する手段として、例えば鋼板をレース案内面に接着などの手段により固定してしまうことが検討されたが、ガイドブロックがアルミニウム合金製の場合、鋼板との熱膨張率の差に伴うバイメタル効果により、温度変化によるレース案内面の走り精度が変化する、取り扱いの難しい、新たな課題が生じた。
接着をする代わりに、ガイドブロック自体に横ずれを制限する形状部分を作り込むか、あるいは制限駒を取り付けることも検討されたが、V溝はレース案内面の平行度を確保するためにステージ部材とガイドブロックとを組み合わせた後に仕上げ加工をすることが多く、所定の形状を作り込むことや制限駒を取り付けることは、この仕上げ加工をする際の邪魔になる、あるいは仕上げ加工後の寸法的バラツキが生じるなどの、新たな課題が生じた。
本発明は、レース案内面の走り精度が変化する、レース案内面の仕上げ加工の邪魔になるなどの課題が生じることなく、レース案内面に配置した転動部材が転動するガイド片の横ずれを防止する、ガイド装置、このガイド装置を採用したステージ装置及び光学機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の請求項1に記載のガイド装置は、転動部材を介して2つの被ガイド部材の相対移動をガイド可能なガイド装置であって、前記相対移動の方向と平行な長手方向に延在するガイド溝を有し、前記被ガイド部材と一体化可能なガイドブロックと、前記ガイド溝を形成する面に前記長手方向へ延在して配置され、前記転動部材を受けるガイド片と、前記ガイドブロックに配置され、前記ガイド片の前記長手方向への移動を阻止する第1移動阻止部材と、前記ガイドブロックに配置され、前記ガイド片の前記長手方向に交差する方向への移動を阻止する第2移動阻止部材とを備え、前記第2移動阻止部材は、前記ガイドブロックに対する高さを調整可能に構成され、前記ガイド片の前記長手方向に延在した二辺のうち、少なくとも何れか一方の辺と当接可能に配置されていることを特徴とする。
前記転動部材としては、例えば鋼球などがある。
前記ガイドブロックは、被ガイド部材と一体化可能であるが、別体に形成することも出来る。
前記ガイドブロックを、例えばアルミニウム合金で形成することが可能である。
前記ガイド溝は、例えばV溝があるが、これに限定されるものではない。
前記ガイド片は、例えば、長手方向に延びる二辺を有する細長い方形板状に形成されたものである。
前記第2移動阻止部材は、例えば有頭ネジが使用されるが、これに限定されるものではない。
本発明の請求項に記載のステージ装置は、請求項に記載のガイド装置を装備したことを特徴とする。
本発明の請求項に記載の光学機器は、試料台と、該試料台に対して光学系を接離させる上下動機構とを装備した光学機器であって、前記試料台と前記上下動機構の少なくとも一方に請求項に記載のガイド装置を装備したことを特徴とする。
本発明によれば、レース案内面の走り精度が変化する、レース案内面の仕上げ加工の際の邪魔になるなどの課題が生じることなく、レース案内面に配置したガイド片の横ずれを防止することが出来る。
以下、本発明のガイド装置、このガイド装置を採用したステージ装置及び光学機器の一実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。
図1は本発明のガイド装置の一実施形態を示す平面図、図2は図1の2−2線に沿う拡大断面図、図3は図1の3−3線に沿う拡大断面図、図4は図3の要部の拡大断面図、図5は本発明のガイド装置を採用したステージ装置の断面図、図6は本発明のガイド装置を採用した光学機器の斜視図である。
本実施形態のガイド装置Aは、転動部材としての鋼球20を介して2つの被ガイド部材(例えば図5に示すベース部材50とスライド部材60)の相対移動をガイド可能にするように構成される。なお、鋼球20はリテーナ21により保持される。
被ガイド部材と一体化可能なガイドブロックとしてのレース10には、それと対向する他のレース10と向かい合う一側面11にガイド溝としてのV溝12が形成される。このV溝12は、被ガイド部材の相対移動の方向と平行なレース10の長手方向に沿って延びる。V溝12を形成する面としての2つのレース案内面13には、その長手方向全体にわたってガイド片としてのリボン鋼板14がそれぞれ配置される。レース10は軽量化などを図るためにアルミニウム合金製である。
リボン鋼板14は、その長手方向に沿って延びる二辺(側部)14a、14bを有する細長い方形板状に形成され、レース案内面13の略全面を覆い、鋼球20を受け、鋼球20の転動でレース案内面13が摩耗、変形、破損などするのを防止する。したがって、レース10自体がアルミニウム合金製であっても何ら支障はない。
レース10の長手方向両端箇所のV溝12には、リボン鋼板14が鋼球20の転動に伴って長手方向に移動するのを阻止する第1移動阻止部材としての両端止め部材30がそれぞれ配置される。
両端止め部材30は、図2に示すように、V溝12内に密着するように嵌め込まれる三角柱コマ31と、この三角柱コマ31をV溝11内に固定する有頭ネジ32とを有する。
三角柱コマ31は、有頭ネジ32による締め付けにより、リボン鋼板14の長手方向端部の箇所をレース案内面13に押し付けて、リボン鋼板14の長手方向の移動(ずれ)を阻止する。有頭ネジ32は、三角柱コマ31を貫通してV溝12の底部に形成したネジ孔15に螺合する。有頭ネジ32の締め付け度合いにより、三角柱コマ31によるリボン鋼板14のレース案内面13への押し付け度合いを調整することが出来る。
レース10の長手方向中央部には、リボン鋼板14が長手方向と交差する方向(横方向)に移動するのを(横ずれを起こすのを)阻止する第2移動阻止部材としての中間止め部材40が配置される。
中間止め部材40は、図4に詳細に示すように、各リボン鋼板14の外側の側部14aに当接(接触)可能となるようにV溝11の短辺方向両端付近のネジ孔16に螺合する2本の外側有頭ネジ41と、各リボン鋼板14の内側の側部14bに接触可能となるようにV溝11の底部のネジ孔17に螺合する1本の内側有頭ネジ42とを有する。
中間止め部材40は、リボン鋼板14の側部14a、14bを外側有頭ネジ41と内側有頭ネジ42で挟むようにして、リボン鋼板14がレース案内面13に対して横ずれを起こすのを阻止するだけで、リボン鋼板14をレース案内面13に押し付けて固定するなどせずに緩やかな拘束を行うようにしてある。換言すると、リボン鋼板14が横ずれを起こすと、その側部14a又は側部14bが外側有頭ネジ41の頭部41a又は内側有頭ネジ42の頭部42aに接触し、それ以上横ずれしないようにしてある。
したがって、レース10をアルミニウム合金など、リボン鋼板14と熱膨張率の差が大きい材料で構成した場合であってもバイメタル効果が生じるおそれがなく、リボン鋼板14(レース案内面13)上を鋼球20がスムーズに転動する。
外側有頭ネジ41、内側有頭ネジ42は、ネジ孔16、17にねじ込んでレース10に取り付けるようにしてあるので、ネジ孔16、17へのねじ込み量により、ともにリボン鋼板14の側部14a、14bと接触する頭部41a、42aのレース案内面13からの高さ位置が調整可能になっている。また、頭部42aは、側部14bとの接触に際して支障が生じないように円錐台形状に形成される。
これは、ガイドブロック10をステージ装置(図5参照)の部材と組み合わせた後にレース案内面13の平行度を確保するための仕上げ加工を行うことが多いためである。例えば、内側有頭ネジ42の場合、一旦内側有頭ネジ42をネジ孔17内に深くねじ込んで仕上げ加工時の邪魔にならないようにしておき、仕上げ加工終了後に、レース案内面13の高さ位置が変わり、それに合わせてリボン鋼板14の高さ位置も変わるので、リボン鋼板14の側部14bと接触可能となるように(図4に示すような状態になるように)、ねじ込んでいた内側有頭ネジ42を引き出すように内側有頭ネジ42の頭部42aの高さ位置を調整する。ここで、内側有頭ネジ42の頭部42aは、上述の如く円錐台形状となっているため、頭部42aの高さでリボン鋼板14との間隔を調整することが出来る。すなわち、内側有頭ネジ42をネジ孔17内にねじ込むと、頭部42aの高さが低くなり(直径が大きい部分はネジ孔17内に隠れ、直径が小さい部分のみが露出し)、頭部42aとリボン鋼板14との間の間隔が広くなり、またネジ孔17から引き出すと、頭部42aの高さが高くなり(直径が大きい部分が露出するようになり)、頭部42aとリボン鋼板14との間の間隔が狭くなるので、頭部42aの高さにより、頭部42aとリボン鋼板14との間の間隔を調整することが出来る。
ちなみに、レース案内面13にストッパーの作用をする隆起部を一体に形成する場合には仕上げ加工の邪魔になり、またレース案内面13の高さ位置の変化により隆起部とリボン鋼板14の側部14a、14bとの接触状態が変化してしまうおそれがある。本実施形態のガイド装置ではネジ孔15,16にねじ込む外側有頭ネジ41、内側有頭ネジ42を採用していることから、このようなおそれは生じない。
上述した両端止め部材30と中間止め部材40をレース10に取り付けるには、先ず両端止め部材30をレース10に取り付け、次いで中間止め部材40のうち、外側有頭ネジ41を、その後内側有頭ネジ42をレース10に取り付ける、順序で行う。また、リボン鋼板14を取付ける際は、内側有頭ネジ42をネジ孔17内に隠れる程度にねじ込んだ状態でリボン鋼板14を配置し、次いで内側有頭ネジ42を引き出すことにより、リボン鋼板14を取付けることが出来る。
本実施形態のガイド装置Aによれば、レース案内面13(リボン鋼板14)上を転動する鋼球20の走り精度が変化する、レース案内面13の仕上げ加工の邪魔になるなどの支障が生じることなく、リボン鋼板14の側部14a、14bに接触可能な状態で配置した外側有頭ネジ41、内側有頭ネジ42という極めて簡単な構成により、リボン鋼板14の横ずれを防止することが出来る。
図5は上述したガイド装置Aを採用したステージ装置を示す。このステージ装置は、ベース部材50に対してスライド部材60が図5の紙面の表側から裏側に又は裏側から表側に移動するように構成してあり、例えば各種製造装置や検査装置の位置決めステージとして利用されるものである。
ベース部材50はアルミニウム合金製で、その上面に一体に形成した互いに平行な一対のレース51,52が図5の紙面の表側から裏側に延びるように配置される。スライド部材60も同じくアルミニウム合金製で、その下面の両側位置に同じく図5の紙面の表側から裏側に延びてレース51,52に対向するようにしてレース61,62が配置される。レース61,62はスライド部材60とは別体に構成され、固定ネジ61a,62aによりスライド部材60にそれぞれ固定され一体化している。なお、レース61,62をスライド部材60と一体に形成するようにしてもよい。
レース51,52とレース61,62の互いに対向する側面にはそれぞれ上述したガイド装置がされる。すなわち、各レース51,52,61,62にはその長手方向に沿ってV溝53,54,63,64が形成され、各V溝53,54,63,64を形成するレース案内面にはリボン鋼板70が配置される。
各リボン鋼板70は、図示しないが、V溝53,54,63,64の長手方向両端位置に配置した第1移動阻止部材としての両端止め部材30(図2参照)により、長手方向(スライド方向)への移動が阻止され、またV溝53,54,63,64の長手方向中央位置に配置した第2移動阻止部材としての中間止め部材(図3、図4参照)により、横ずれが阻止される。このようにしてレース案内面に固定されることなく、比較的緩やかな拘束状態で配置されたリボン鋼板70上をリテーナ21に保持された鋼球20が転動することにより、ベース部材50に対してスライド部材60を一方向にスライドさせることが出来る。
なお、レース62とスライド部材60との間には僅かな隙間65があり、レース62はスライド部材60の適度な間隔で複数箇所設けられたネジ孔66に螺合した調整ネジ67により図5の左右方向に与圧微調整可能になっている。調整ネジ67は、固定ネジ62aと同数、同位置にすることが望ましい。
本実施形態のステージ装置によれば、図1ないし図4に示すガイド装置Aを採用していることから、レース51,52,61,62とリボン鋼板70との間に熱膨張率の差があっても温度変化によるバイメタル効果が生じるおそれはなく、スライド部材60をベース部材50に対して安定した状態でスライドさせることが可能となる。
また、レース51,52,61,62を鋼材により構成し、レース案内面に焼き入れ加工などを施して硬度を高める場合に比して大幅なコストダウンを図ることが可能である。
図6は上述したガイド装置Aを採用した光学機器としての顕微鏡を示す。この顕微鏡は観察や検査対象の試料が載置される試料台80と、この試料台80上の試料を観察する、対物レンズや接眼レンズなどを備えた光学系81と、この光学系81を支持して光学系81を試料に対して接離させる上下動機構82とを備える。
本実施形態では、試料台80の部分にガイド装置Aを採用している。試料台80はこのガイド機構Aにより図6に示すX方向とY方向に安定した状態で移動可能である。
なお、上下動機構82にもガイド機構Aを装備してもよく、この場合、図6に示すZ方向に安定した状態で移動可能になる。
また、ガイド装置Aを、顕微鏡の代わりに別の光学機器である、光学測定機の測長ステージに採用してもよい。
本発明は上記実施形態に示したものに限定されるものではない。
例えば、第2移動阻止部材としての中間止め部材40をレース10(リボン鋼板14)の長手方向中央部分に1箇所配置した場合を示したが、レース10(リボン鋼板14)の長手方向に沿って適宜間隔をあけて複数箇所に配置してもよい。
また、第2移動阻止部材としての中間止め部材40を外側有頭ネジ41と内側有頭ネジ42とにより構成した場合を示したが、何れか一方だけで構成し、リボン鋼板14の側部14a又は側部14bの何れか一方にだけ接触するようにしてもよい。
また、レース10の一側面11にV溝12を形成した場合を示したが、これに限定されるものではなく、別の断面形状を有する溝を形成してもよい。
また、ガイド片としてリボン鋼板14を使用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、少なくとも長手方向に延びる二辺を有したものであればよい。また、ガイド片は鋼球20などの転動部材が直接レース案内面13上を転動しないようにするためのものであり、レース10に比して硬度の高い材質のもの(リボン鋼板14)を選択することは好ましいが、必ずしも硬度の高い材質に限定されるものではない。
また、転動部材として鋼球20を使用した場合を示したが、これに限定されず、ローラのようなものであってもよい。
本発明のガイド装置の一実施形態を示す平面図である。 図1の2−2線に沿う拡大断面図である。 図1の3−3線に沿う拡大断面図である。 図3の要部の拡大断面図である。 本発明のガイド装置を採用したステージ装置の断面図である。 本発明のガイド装置を採用した光学機器(顕微鏡)の斜視図である。
符号の説明
10 レース(ガイドブロック)
11 一側面
12 V溝(ガイド溝)
13 レース案内面
14 リボン鋼板(ガイド片)
14a、14b 側部(二辺)
20 鋼球(転動部材)
30 両端止め部材(第1移動阻止部材)
40 中間止め部材(第2移動阻止部材)
41 外側有頭ネジ
42 内側有頭ネジ

Claims (3)

  1. 転動部材を介して2つの被ガイド部材の相対移動をガイド可能なガイド装置であって、
    前記相対移動の方向と平行な長手方向に延在するガイド溝を有し、前記被ガイド部材と一体化可能なガイドブロックと、
    前記ガイド溝を形成する面に前記長手方向へ延在して配置され、前記転動部材を受けるガイド片と、
    前記ガイドブロックに配置され、前記ガイド片の前記長手方向への移動を阻止する第1移動阻止部材と、
    前記ガイドブロックに配置され、前記ガイド片の前記長手方向に交差する方向への移動を阻止する第2移動阻止部材と、
    を備え、
    前記第2移動阻止部材は、前記ガイドブロックに対する高さを調整可能に構成され、前記ガイド片の前記長手方向に延在した二辺のうち、少なくとも何れか一方の辺と当接可能に配置されていることを特徴とするガイド装置。
  2. 請求項1に記載のガイド装置を装備したことを特徴とするステージ装置
  3. 試料台と、該試料台に対して光学系を接離させる上下動機構とを装備した光学機器であって、
    前記試料台と前記上下動機構の少なくとも一方に請求項1に記載のガイド装置を装備したことを特徴とする光学機器
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