JP3609271B2 - 変位測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対移動する一対の部材の相対移動変位量を測定する変位測定装置に関し、詳しくは、相対移動する一方の部材に取付けられて相対移動する方向に沿って目盛りを有するスケールと、相対移動する他方の部材に取付けられてスケールの目盛りを読み取る検出器とを備えた変位測定装置に関する。
【0002】
【背景技術】
被測定物の形状、寸法等の測定を行う測定機としてハイトゲージ(一次元測定機)、三次元測定機、輪郭測定機等が知られている。この種の測定機は被測定物に当接するスクライバーやプローブ等の測定子を支持する移動部材を測定機の案内レールに沿って相対移動させ、それらが被測定物に関与(接触又は非接触)したときの相対移動量を基に被測定物の形状や寸法等を測定するが、この移動部材の相対移動量は、案内レールに密着して装着されたスケールと、光源、受光素子等の光学的な検出器等から構成された変位測定装置によって測定される。
【0003】
変位測定装置を構成するスケールは、通常、ガラス材料で形成され、このスケールが取付けられる測定機の案内レールはグラナイト(はんれい岩)、ステンレス、セラミックス等によって形成されている。すなわち、スケールと、スケールが密着して取付けられる案内レールとは線膨張係数の異なる異種材料で形成されているので、温度変化があった場合には、線膨張係数の差によってスケールと案内レールとの間に熱応力が生じ、この熱応力に伴う歪みがスケールの均一な伸縮を妨げて、測定精度を悪化させる場合がある。
【0004】
そこで、従来、温度変化に伴う測定精度の悪化を防止するために、スケールを板ばねにより押圧することで案内レールに密着させて支持させ、温度変化によって案内レールとスケールとが伸縮する際にスケールと案内レールとを各々独立して伸縮させることでスケールに熱応力が生じないようにしていた。
しかし、この方法では、板ばねによる押圧箇所に大きな摩擦力が生じるため、温度変化があった場合に案内レールとスケールとの間に生じる熱応力を完全に解消することができず、測定誤差の悪化を防止できないという不具合があった。
【0005】
このような不具合を解消する方法として、本出願人は、スケールを弾性部材で案内レールに対して押圧することにより取り付けるとともに、スケールと案内レールとの間に、フッ化炭素重合体と呼ばれる高分子材料からなる板状の摩擦低減材を介装する方法を提案した(特開平6−185950号公報)。この方法によると、スケールと案内レールとの間に生じる摩擦力を低減できるので、温度変化によってスケールと案内レールとが各々異なる伸縮量を示したとしても、それぞれ自由に伸縮することができる上に、熱応力に基づく歪みを低減できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した特開平6−185950号公報の方法は、汎用型の変位測定装置に適用した場合には十分な測定精度が得られるものの、高精度な変位測定装置においては精度の面で不十分であった。すなわち、この方法では、スケールおよび案内レールを摩擦低減材と面接触させるため、比較的摩擦力の大きい滑り摩擦が生じるので、摩擦係数を十分に低減できなかった。このため、スケールと案内レールとの間に生じる熱応力を十分に解消できず、高精度な測定に要求される測定精度が得られないという問題があった。
【0007】
また、高精度な測定装置では、環境温度の変化に対応させるために、温度変化に基づく精度低下を所定の演算処理によって補正する温度補正を行うことが多い。このような温度補正を行うときに、スケールと案内レールとの間に熱応力が生じると、熱的ヒステリシスや線膨張係数における誤差が発生して正確な補正を行えなくなるため、測定精度が低下するおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、相対移動する一対の部材の相対変位量を環境温度の変化に拘わらず高精度に測定できる変位測定装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対移動する一方の部材に取付けられて相対移動する方向に沿って目盛りを有するスケールと、相対移動する他方の部材に取付けられてスケールの目盛りを読み取る検出器とを備えた変位測定装置であって、スケールは、一方の部材に転がり軸受けを介して取り付けられているとともに、転がり軸受けは、スケールを挟持する一対の挟持部と、各挟持部およびスケールの間に介装された複数の針状ころによって構成され、前記複数の針状ころは、スケールの長手方向に沿って並べられて保持されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、転がり軸受けとは、回転可能な複数の転動体を有する軸受けであり、転がり軸受けのころがりの摩擦係数は、通常、滑りの摩擦係数の約1/10程度である。
本発明においては、スケールが転がり軸受けを介して一方の部材に取り付けられているため、スケールと一方の部材との間に生じる摩擦力を大幅に低減できる。例えば、特開平6−185950号公報の摩擦低減材を介在させた場合よりも摩擦力を低減できるので、環境温度の変化によりスケールと一方の部材とが各々異なる伸縮量を示したとしても、スケールと一方の部材とを相互に拘束されることなく自由に伸縮させることができる。従って、熱応力に基づく歪みを低減できるので、一対の部材の相対移動量を検出するときの測定精度を向上させることができ、高精度な測定装置に適用しても十分な測定精度を確保できる。
また、温度補正を行う場合にも、転がり軸受けによってスケールと一方の部材との摩擦係数を大幅に低減できるので、熱応力による熱的ヒステリシスや線膨張係数における誤差を低減できる。従って、正確な補正を行うことができるので、高精度な測定にも十分に対応できる優れた測定精度が得られる。
【0011】
た、転がり軸受けは、スケールを挟持する一対の挟持部と、各挟持部およびスケールの間に介装された複数の針状ころとを有する針状ころ軸受けとする。このように転動体として針状ころを用いた針状ころ軸受け(ニードルローラベアリング)を用いれば、玉軸受け(ボールベアリング)やころ軸受け(ローラベアリング)等の他の軸受けよりも接触面積が大きいので大荷重に耐えられる上に、針状ころの径寸法は通常のころ(ローラ)の径寸法よりも小さいから、装置の小型化を実現できる。さらに、玉が任意の方向に転がる玉軸受けと比較して、ころ軸受けの転がり方向は制約されるため、スケールところとの間で転がり方向以外の方向(スケールの幅方向)に摩擦力が生じ、スケールの固定に十分な力が働くから、測定中等におけるスケールの幅方向へのずれを防止できる。
【0012】
この場合、一方の挟持部は一方の部材に固定され、スケールは、弾性部材により他方の挟持部を一方の挟持部に対して押圧することによって一方の部材に取り付けられていることが望ましい。
このようにすれば、スケールと一方の部材とをそれぞれ独立して自由に伸縮させることができるので、熱応力の発生を一層抑制できる。
また、弾性部材とスケールとの間にも針状ころを介在させるので、これらの間で発生する摩擦力も確実に低減できる。
【0013】
以上において、転がり軸受けは、スケールの長手方向に沿って間欠的に設けられていることが好ましい。
このようにすると、スケールおよび一方の部材と軸受けとの接触面積を少なくすることができるので、摩擦力を一層低減できる。
【0017】
以上において、スケールは、長手方向の一部分が板ばねを介して一方の部材に固定されていることをが望ましい。この場合、板ばねは、近接した位置であれば、1つに限らず、数個でもよい。
このようにすると、スケールを一方の部材に対して位置調整しつつ簡単に固定することができる。つまり、これが取り付けられる機械や装置の所定位置に正確かつ簡単に取り付けでき、しかも、取り付けられた状態にあっては、これら機械や装置の駆動によって振動等が発生しても、その振動等によってスケールが動くことがないから、いわゆる原点ずれを防止しつつ、熱応力に基づく歪みを低減できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の変位測定装置1を組み込んだ三次元測定機20が示されている。
三次元測定機20は、被測定物に当接する測定子としてのプローブ21をXYZ方向に移動させて、プローブ21が被測定物に接触したときの相対移動量を基に被測定物の形状や寸法等を測定するものであり、定盤22と、この定盤22上をY軸方向に移動可能な門型フレーム24とを備えている。
【0019】
定盤22の上面にはY軸方向に延びる案内レール26が取付けられ、この案内レール26に沿って門型フレーム24の一方の脚部24AがY軸方向に摺動しながら移動するようになっている。なお、門型フレーム24の他方の脚部24Aの下面には、図示しないエアベアリングが配設され、このエアベアリングによって脚部24Aが定盤22上に摺動自在に支持されている。
門型フレーム24のブリッジ部24Bには、X軸スライダ41がX軸方向に摺動自在に配設されている。このX軸スライダ41には、Z軸支持部材42が設けられ、このZ軸支持部材42にZ軸方向に摺動しながら移動するプローブ21が配設されている。
【0020】
このような三次元測定機20は、相対移動する一対の部材の相対変位量を測定する変位測定装置1により、案内レール26と脚部24Aとの相対移動量、ブリッジ部24BとX軸スライダ41との相対移動量、およびプローブ21とZ軸支持部材42との相対移動量をそれぞれ測定して、被測定物の形状や寸法等を求めるように構成されている。
変位測定装置1は、図2に示すように、相対移動する一方の部材に取付けられて相対移動する方向に沿って目盛りを有する板状のスケール11と、相対移動する他方の部材に取付けられてスケール11の目盛りを読み取る変位検出器12とを備えている。
【0021】
スケール11は、例えば、ガラス等で形成されたものであり、スケール精度および温度特性を向上させるためには、線膨張係数ゼロの特殊ガラスにより形成することが好ましい。
このスケール11には、一対の部材の相対移動方向となる長手方向に沿って目盛りが設けられている。なお、スケール11の目盛りは、一定幅の光反射帯および光吸収帯をY軸方向に交互に形成したもの、或いは光遮断帯および光透過帯をY軸方向に交互に形成したもの等、検出器12によって変位を検出できればどのようなものでもよい。
変位検出器12の種類は特に制限されないが、例えば、光源、受光素子等を備えた光学的な検出器を採用できる。
また、本実施形態の変位測定装置1は、環境温度の変化に対応させるために、温度変化に基づく精度低下を所定の演算処理によって補正する温度補正を行うように構成されている。この温度補正は、熱的ヒステリシスや線膨張係数に基づく補正係数を用い、温度変化に応じて測定値を補正するものである。
【0022】
このような本実施形態の変位測定装置1は、案内レール26と脚部24AとのY軸方向の相対移動量を測定するために、案内レール26と門型フレーム24の脚部24Aとの間に設けられている。
すなわち、本実施形態の案内レール26には、図1および図2に示すように、グラナイト(はんれい岩)、ステンレス、アルミナセラミックス等からなるスケールベース28が長手方向に沿って間欠的に設けられている。
スケールベース28は、図3、図4および図5にも示すように、案内レール26に固定される固定面28Aとこの固定面28Aの端部から立ち上がる立上部28Bと、この立上部28Bから固定面28Aと平行に延びる保持面28Cとを有して断面略コ字状に形成されている。
【0023】
このようなスケールベース28内には、スケール11の一側縁が案内レール26と平行に挿入され、スケール11の長手方向に沿って設けられた目盛が、案内レール26および脚部24Aの相対移動方向と平行にされている。
このスケール11は、長手方向の一部分(一端側部分)がスケール11の表裏面を挟持する比較的ばね性の強い断面コ字状の板ばね58(図3参照)を介して前記案内レール26に固定されているとともに、その部分を除く長手方向の数箇所においては、立上部28Bに突設されたピン281(図2参照)に当接されて位置決めされ、かつ、針状ころ軸受け5を介してスケールベース28に取り付けられている。なお、スケール11を案内レール26に固定する場所は、スケールの他端側や中間部でもよく、あるいは、それ以外の場所でもよい。
針状ころ軸受け5は、図4に示すように、スケール11を挟持する一対の挟持部51,52と、各挟持部51,52およびスケール11の間に介装された複数の針状ころ53とを備えている。
一方の挟持部51は、スケールベース28の固定面28Aに兼用され、具体的には、固定面28Aに設けられた一対の保持部282,283(図2参照)間に複数の針状ころ53を保持するように構成されている。
【0024】
他方の挟持部52は、スケール11側に突出する一対の保持部521,522(図3参照)を備え、これらの保持部521,522間に複数の針状ころ53を保持するようになっている。
この挟持部52は、スケールベース28の保持面28Cと直交する一対のプランジャ54によって一方の挟持部51に向かって押圧され、これにより、スケール11がスケールベース28の固定面28Aに押圧されて保持されている。プランジャ54は、図6に示すように、シリンダ55に挿入された状態で保持面28Cにねじ56固定され、シリンダ55内に収納された弾性部材としての圧縮コイルばね57により、先端部が一方の挟持部52に向かって突出する方向に付勢されている。
【0025】
このような一対の挟持部51,52に各々保持される針状ころ53は、図2および図4に示すように、案内レール26および脚部24Aの相対移動方向、つまり、スケール11の長手方向に沿って並べられて保持され、スケール11に当接されている。これにより、スケール11およびスケールベース28がそれぞれ独立して伸縮できるようになっている。
【0026】
一方、図2に示すように、スケール11の目盛りを読み取る変位検出器12は、Y軸方向に移動する他方の部材としての脚部24Aに設けられ、これにより、案内レール26と脚部24Aとの相対移動量を検出できるようになっている。
図1に戻って、以上に述べたY軸方向の場合と同様に、ブリッジ部24BとX軸スライダ41との間、および、プローブ21とZ軸支持部材42との間にも、図示しないが、それぞれ変位測定装置が設けられ、ブリッジ部24BとX軸スライダ41とのX軸方向の相対移動量およびプローブ21とZ軸支持部材42とのZ軸方向の相対移動量をそれぞれ測定するようになっている。
【0027】
このように構成された本実施形態においては、スケール11と、スケール11が取付けられているスケールベース28とがそれぞれ異種材料により形成されている場合、環境温度が変化すると、スケール11およびスケールベース28は、材料の線膨張係数の違いによって異なる伸縮量を示す。
このとき、針状ころ軸受け5の針状ころ53は、スケール11およびスケールベース28の伸縮に応じて転動するので、スケール11およびスケールベース28は、互いに独立してそれぞれに伸縮する。
特に、本実施形態のスケール11は、圧縮ばね57の付勢力によりプランジャ54に押圧されて取り付けられているので、止着具等でスケールベース28に固定した場合よりも、各々の伸縮が一層自由に行われる。
【0028】
この際、スケール11とスケールベース28との間の摩擦係数に応じた摩擦力、つまり、熱応力が、スケール11とスケールベース28との間に生じるが、本実施形態では、スケール11とスケールベース28との間に針状ころ軸受け5を介在させているので、その間に生じる摩擦力は極めて低くなる。特に、圧縮コイルばね57により付勢されるプランジャ54とスケール11との間にも軸受け5が介在するので、付勢力が大きくてもプランジャ54とスケール11との間に生じる摩擦力は小さい。
従って、環境温度が変化した場合でもスケール11とスケールベース28とは相互に拘束しあうことなく自由に伸縮するため、熱応力はスケール11にほとんど働かず、熱応力によってスケール11に生じる歪みは極めて少なくなる。
また、温度補正を行うにあたっては、熱応力による熱的ヒステリシスや線膨張係数における誤差がほとんどなくなって高精度な温度補正を行うことができる。
【0029】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
すなわち、スケール11が針状ころ軸受け5を介してスケールベース28に取り付けられているため、スケール11とスケールベース28との間に生じる摩擦力を大幅に低減できるから、環境温度の変化によりスケール11とスケールベース28とが各々異なる伸縮量を示したとしても、スケール11とスケールベース28とを相互に拘束させることなく自由に伸縮させることができる。従って、熱応力に基づく歪みを低減できるので、スケールベース28と門型フレーム24の脚部24Aとの相対移動量、ブリッジ部24BとX軸スライダ41とのX軸方向の相対移動量およびプローブ21とZ軸支持部材42とのZ軸方向の相対移動量をそれぞれ検出するときの測定精度を向上させることができ、高い精度を要求される測定にも対応できる十分な測定精度を確保できる。
また、温度変化に応じて温度補正が行う際に、針状ころ軸受け5によってスケール11とスケールベース28との摩擦係数を大幅に低減できるので、熱応力による熱的ヒステリシスや線膨張係数における誤差を低減できるから、正確な補正を行うことができ、高精度な測定にも十分に対応できる優れた測定精度が得られる。
【0030】
そして、針状ころ53を用いた針状ころ軸受け5が用いられているので、玉軸受けやころ軸受け等の他の軸受けよりも大荷重に耐えられる上に、針状ころ53は、通常のころよりも径寸法が小さいから装置20の小型化を実現できる。
【0031】
さらに、スケールベース28に固定された一方の挟持部51に対して他方の挟持部52を圧縮ばね57により押圧することによって、スケール11がスケールベース28に取り付けられているので、スケール11とスケールべース28とをそれぞれ独立して確実に伸縮させることができるので、熱応力の発生を一層抑制できる。
また、圧縮ばね57とスケール11との間にも針状ころ53が介在するので、これらの間で発生する摩擦力も確実に低減できる。
【0032】
そして、軸受け5は間欠的に設けられているので、スケール11およびスケールベース28と軸受け5との接触面積を少なくすることができるから、摩擦力を一層低減できる。
【0037】
前記実施形態では、スケールベースを案内レールに対して間欠的に設けたが、案内レールに沿って連続した長尺のスケールベースを設けてもよい。この場合、軸受けは、前記実施形態と同様に間欠的に設けてもよく、スケールベースに沿って延びる長尺のものとしてもよい。
【0038】
前記実施形態では、スケールを圧縮コイルばねにより押圧してスケールベースに取り付けたが、スケールを押圧する弾性部材はこれに限定されず、例えば、板ばね等の他の弾性部材を用いてもよい。
【0039】
そして、前記実施形態では、案内レール26にスケール11を取り付けて、案内レール26に対して移動する門型フレーム24にスケール11の目盛りを読みとる変位検出器12を取り付けたが、これとは逆に、門型フレーム24にスケール11を取り付けて、案内レール26に変位検出器12を設けてもよい。この場合、スケールベース28を門型フレーム24に取り付けて、前記実施形態と同様に、このスケールベース28に転がり軸受けを介してスケール11を保持させればよい。
【0040】
前記実施形態では、本発明を三次元測定機に適用した場合について説明したが、これに限らずハイトゲージ(一次元測定機)、輪郭測定機や工作機械等の相対移動する2つの部材間の変位測定に適用してもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、相対移動する一方の部材に取付けられて相対移動する方向に沿って目盛りを有するスケールと、相対移動する他方の部材に取付けられてスケールの目盛りを読み取る検出器とを備えた変位測定装置において、スケールを転がり軸受けを介して一方の部材に取り付けることで、スケールと一方の部材との間に生じる摩擦力を大幅に低減できるから、環境温度の変化によりスケールと一方の部材とが各々異なる伸縮量を示したとしても、スケールと一方の部材とを相互に拘束されることなく自由に伸縮させることができる。従って、熱応力に基づく歪みを低減できるので、一方の部材と他方の部材との相対移動量を検出するときの測定精度を向上させることができ、高精度な測定装置においても十分な測定精度を確保できる。
また、温度補正を行う場合にも、転がり軸受けによってスケールと一方の部材との摩擦係数を大幅に低減できるので、熱応力による熱的ヒステリシスや線膨張係数における誤差を低減できるから、高精度な測定にも十分に対応できる優れた測定精度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】前記実施形態の変位測定装置の要部を示す断面図。
【図3】前記実施形態の変位測定装置のスケールの取付け状態を示す斜視図。
【図4】前記実施形態の変位測定装置のスケールの取付け状態を示す断面図。
【図5】前記実施形態の変位測定装置のスケールの取付け状態を示す図。
【図6】前記実施形態の変位測定装置の弾性部材による押圧状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 変位測定装置
5 針状ころ軸受け
11 スケール
12 変位検出器
20 三次元測定器
24 門型フレーム
24A 脚部(他方の部材)
24B ブリッジ部
26 案内レール
28 スケールベース(一方の部材)
51,52 挟持部
53 針状ころ
54 プランジャ
57 圧縮コイルばね(弾性部材)

Claims (4)

  1. 相対移動する一方の部材に取付けられて相対移動する方向に沿って目盛りを有するスケールと、前記相対移動する他方の部材に取付けられて前記スケールの目盛りを読み取る検出器とを備えた変位測定装置であって、
    前記スケールは、前記一方の部材に転がり軸受けを介して取り付けられ
    前記転がり軸受けは、前記スケールを挟持する一対の挟持部と、各挟持部およびスケールの間に介装された複数の針状ころによって構成され、
    前記複数の針状ころは、前記スケールの長手方向に沿って並べられて保持されていることを特徴とする変位測定装置。
  2. 請求項1に記載した変位測定装置において、
    前記一方の挟持部は前記一方の部材に固定され、
    前記スケールは、弾性部材により他方の前記挟持部を前記一方の挟持部に対して押圧することによって前記一方の部材に取り付けられていることを特徴とする変位測定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載した変位測定装置において、
    前記転がり軸受けは、前記スケールの長手方向に沿って間欠的に設けられていることを特徴とする変位測定装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載した変位測定装置において、
    前記スケールは、長手方向の一部分が板ばねを介して前記一方の部材に固定されていることを特徴とする変位測定装置。
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