JP4894445B2 - カルシウムの定量方法、およびカルシウム定量キット - Google Patents
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Shimomura, O et al. , Cell Calcium 14 (1993) 373-378 Blinks, J. R., Wier, W. G., Hess, P., and Prendergast, F.G., Prog. Biopys. Mol. Biol. 40: 1-114
(1)試料液と、キレート剤かつカルシウム受容発光蛋白質からなる発光剤とを混合しその際に発光する光の発光強度を測定することを特徴とする、カルシウムの定量方法。
(2)2以上の濃度の異なる濃度既知のカルシウム溶液をそれぞれ複数調製し、これらのカルシウム溶液と、1つのカルシウム濃度において、最終的に複数かつ任意のキレート剤濃度となるように調製した、キレート剤かつカルシウム受容発光蛋白質からなる発光剤とを混合しその際に発光する光の発光強度を測定して得られたデータを用いて作成された標準曲線を用いることを特徴とする、前記第1項に記載のカルシウムの定量方法。
(3)試料液と、試料液のキレート剤の濃度が最終的に標準曲線の作成において設定した濃度の何れか1種以上になるように調製した、キレート剤かつカルシウム受容発光蛋白質からなる発光剤とを混合しその際に発光する光の発光強度を測定して得られたデータを標準曲線と照合することを特徴とする、前記第2項に記載のカルシウムの定量方法。
(4)カルシウム溶液のキレート剤濃度が1.5×10−4M以上である、前記第2項または第3項に記載のカルシウムの定量方法。
(5)発光剤がキレート剤とカルシウム受容発光蛋白質との混合物である、前記第1項から第4項のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法。
(6)発光剤がキレート剤とカルシウム受容発光蛋白質の混合溶液である、前記第1項から第4項に記載のカルシウムの定量方法。
(7)カルシウム受容発光蛋白質がイクオリン、オベリン、クライチン、マイトロコミン、ミネオプシン、ベルボイン、およびその変異体より選択される、前記第1項から第6項のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法。
(8)キレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩である、前記第1項から第7項のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法。
(9)試料液と、1つの試料液において、最終的に複数かつ任意のキレート剤濃度となるように調製した、キレート剤かつカルシウム受容発光蛋白質からなる発光剤とを混合しその際の発光の有無を検知することを特徴とする、カルシウムの定量方法。
(10)発光剤がキレート剤とカルシウム受容発光蛋白質との混合物である、前記第9項に記載のカルシウムの定量方法。
(11)発光剤がキレート剤とカルシウム受容発光蛋白質の混合溶液である、前記第10項に記載のカルシウムの定量方法。
(12)カルシウム受容発光蛋白質がイクオリン、オベリン、クライチン、マイトロコミン、ミネオプシン、ベルボイン、およびその変異体より選択される、前記第9項から第11項のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法。
(13)キレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩である、前記第9項から第12項の何れか1項に記載のカルシウムの定量方法。
(14)前記第1項から第13項の何れか1項に記載のカルシウムの定量方法のためのキットであって、濃度既知のカルシウム溶液、カルシウム受容発光蛋白質、およびキレート剤を有する、カルシウム定量キット。
(15)前記第1項から第13項の何れか1項に記載のカルシウムの定量方法のためのキットであって、濃度既知のカルシウム溶液、および、キレート剤濃度の異なる、キレート剤とカルシウム受容発光蛋白質とを含有する複数の水溶液を有する、カルシウム定量キット。
(16)キレート剤とカルシウム受容発光蛋白質とを含有する複数の水溶液の各キレート剤濃度が10−3M〜10−1Mの範囲である、前記第15項に記載のカルシウム定量キット。
(17)カルシウム受容発光蛋白質がイクオリンである、前記第14項から第16項の何れか1項に記載のカルシウム定量キット。
(18)キレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩である、前記第14項から17項の何れか1項に記載のカルシウム定量キット。
本発明の定量方法においては、試料液またはカルシウム溶液と、キレート剤かつカルシウム受容発光蛋白質(以下「発光蛋白」ということがある。)からなる発光剤とを混合し、その際に発光する光の発光強度を測定する。発光剤はキレート剤と発光蛋白との混合物であってもよく分離された状態であっても良い。キレート剤と発光蛋白とが分離された状態である場合には、試料液またはカルシウム溶液とキレート剤と発光蛋白とを同時に混合することが好ましい。
なお、本発明に使用する発光剤は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、キレート剤、発光蛋白以外にも必要に応じそれ以外の成分を含んでも良い。
(1)使用する材料
発光蛋白は、カルシウムと特異的に反応して発光する蛋白質であれば特に限定されるものではない。具体的には、イクオリン、オベリン、クライチン、マイトロコミン、ミネオプシン、およびベルボインなどである。本発明においては、天然由来または組換え蛋白質の何れであっても使用することができる。さらに、組換え蛋白質の中で、遺伝子への変異導入により、熱安定性などの機能を付与した組換え蛋白質も使用できる。その中でも、安定した供給が可能である点などを考慮すると、組換えイクオリンが特に好ましい。
更に、発光剤水溶液の量が多いと、発光強度が強すぎてオーバーレンジになる場合があり、逆に少ないと、感度よく発光強度値が得られない場合がある。
発光剤水溶液に含まれる発光蛋白質の濃度にもよるが、高いカルシウム濃度の試料液でもオーバーレンジにならず、低いカルシウム濃度でも感度よく定量できるため、添加する発光剤水溶液の割合は、発光剤水溶液と分注したカルシウム溶液または試料液の合計量に対して5〜50容量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜30容量%の範囲である。
本発明のカルシウムの定量方法のうち、発光剤水溶液を用いた場合について具体的に説明する。なお、本発明のカルシウムの定量方法は下記の方法に限定されるものではない。
1)標準曲線の作成方法
濃度既知のカルシウム溶液を希釈し、2以上の異なる任意の濃度のカルシウム溶液を調製する。1つのカルシウム濃度において複数かつ任意のキレート剤濃度のカルシウム溶液ができるよう、カルシウム溶液に発光剤の水溶液を添加する。発光剤水溶液には発光蛋白が含まれているので、カルシウム溶液に発光剤水溶液を添加すると、添加直後、種類によっても異なるが発光蛋白は450〜480nmの光を発光する。この光の最大発光強度を測定し、得られたデータに基づき標準曲線を作成する。
本発明においては、試料液についても標準曲線の作成時と同様に、試料液に発光剤水溶液を添加、混合し、その際に発する光の最大発光強度を測定する。本発明においては、この測定結果を前述の標準曲線と照合することにより、試料液のカルシウム濃度を求めることができる。
本発明は、試料液に発光剤を混合しその際の発光の有無により、カルシウム標準曲線を作成しなくても、試料液に含まれるカルシウムの濃度範囲を簡易に定量する方法を提供するものである。
表2は各キレート剤濃度において、発光が確認されたカルシウム濃度範囲を示している。このように、発光の有無で、カルシウム標準曲線を作成することなく、試料液中に含まれるカルシウムの濃度範囲を定量できる。
本発明のカルシウム定量キットは、濃度既知のカルシウム溶液、発光蛋白、およびキレート剤を有する、本発明のカルシウムの定量方法のためのキットである。カルシウム溶液、発光蛋白、キレート剤に関しては前述のとおりである。
1)カルシウム標準液の調製
塩化カルシウム2水和物(和光純薬社製)1.47gを50mM Tris−HCl(pH7.6)10mlに溶解し、1M 塩化カルシウム溶液を作製した。この1M 塩化カルシウム溶液を1ml取り、9mlの50mM Tris−HCl(pH7.6)で希釈して10−1M 塩化カルシウム溶液を作製し、同様に10−1M 塩化カルシウム溶液を10倍希釈して、10−2M 塩化カルシウム溶液を調製した。
炭酸カルシウム標準液(和光純薬社製)1mlを50mM Tris−HCl(pH7.6)9mlに溶解し、10−3M 炭酸カルシウム溶液を調製した。
得られた10−3M 炭酸カルシウム溶液を1ml取り、50mM Tris−HCl(pH7.6)9mlに加えて、10−4M 炭酸カルシウム溶液を調製した。更に10−5M カルシウム溶液を3ml取り、50mM Tris−HCl(pH7.6)6mlに加えて、3×10−4M 炭酸カルシウム溶液を調製した。
得られた10−4M 炭酸カルシウム溶液を1ml取り、50mM Tris−HCl(pH7.6)9mlに加えて、10−5M 炭酸カルシウム溶液を調製した。更に10−4M 炭酸カルシウム溶液を3ml取り、50mM Tris−HCl(pH7.6)6mlに加えて、3×10−5M 炭酸カルシウム溶液を調製した。
上記のように順次希釈系列を作製し、10−3M〜3×10−9Mカルシウム標準液を調製し、それぞれを各1mlチューブに入れ、カルシウム標準液としてキット化した。
1.2M 硫酸アンモニウムと0.1mM EDTAを含む50mM Tris−HClに溶解された1.45mg/mlの組換えイクオリン(チッソ社製)100μlを、10−5M EDTA、0.1%牛血清アルブミン(生化学工業社製、以下BSAと表記)、150mM NaClを含む20mM Tris−HCl(pH7.6)900μlにて希釈。これをイクオリン濃縮液として、キット化した。
別に10−5M、10−4M、10−3、10−2、10−1M と濃度の異なるEDTAを含有する0.1%BSA、150mM NaClを含む20mM Tris−HCl(pH7.6)を各20ml準備して、これをイクオリン希釈緩衝液としてキット化した。
このイクオリン濃縮液4μlをイクオリン希釈緩衝液10mlに加えてイクオリン溶液を作製した。
このイクオリン溶液をチューブに2μl入れ、発光測定装置AB−2200(アトー社製)にセットし、50mM CaCl2を含む50mM Tris−HCl(pH7.6)を注入して発光強度を5秒間測定し、最大発光強度値を求めた。あらかじめ同装置にて作成したイクオリン標準曲線よりイクオリン濃度を算出したところ、500ng/mlであった。
上記のように作製したカルシウム標準液を96穴マイクロプレート(Nunc、#236108)に50μl/ウェル分注し、発光プレートリーダーCentro LB960(Berthold社製)にて、各EDTA濃度のイクオリン溶液を10μl/ウェル注入して発光強度を10秒間測定し、最大発光強度値(Imax)で示した。
得られたImaxから、各EDTA濃度のイクオリン溶液毎に、カルシウム標準曲線を作成した。
神奈川県横浜市金沢区内の水道水をサンプリングし、50μl/ウェル分注し、発光プレートリーダーCentro LB960(Berthold社製)にて、10−3M EDTAを含むイクオリン溶液を10μl/ウェル注入して発光強度を10秒間測定し、最大発光強度値(Imax)で示した。
図1に各EDTA濃度におけるカルシウム標準曲線を示し、各EDTA濃度におけるイクオリンによるカルシウムの検出可能な濃度範囲を表3に示した。10−5M EDTA時の検出可能なカルシウム濃度範囲は10−7〜3×10−6M、同様に10−4M EDTAは3×10−7〜10−5M、10−3M EDTAは10−6〜10−4M、10−2M EDTAは3×10−5〜10−3M、10−1M EDTAは3×10−4〜10−2Mであり、EDTA濃度を変えることで、イクオリンによる検出可能なカルシウム濃度範囲が10−7〜10−2M まで広がった。
10−3M EDTAを含有するイクオリン溶液で、水道水中のカルシウムを測定したところ、Imaxは26056を示し、作成した標準曲線より、8×10−5M のカルシウムが含まれることが示唆された。
Claims (16)
- 濃度既知のカルシウム溶液を、2以上のカルシウム濃度で、かつ各カルシウム濃度につき複数調製し、
調製したカルシウム溶液と、キレート剤およびカルシウム受容発光蛋白質からなる発光剤とを混合し、その際に発光する光の発光強度を、調製したカルシウム溶液の各カルシウム濃度につき複数のキレート剤の終濃度のそれぞれで測定し、
測定した発光強度から、キレート剤の終濃度毎に標準曲線を作成し、
試料液と、キレート剤およびカルシウム受容発光蛋白質からなる発光剤とを混合し、その際に発光する光の発光強度を、前記標準曲線の作成において用いた複数のキレート剤の終濃度の全てでそれぞれ測定し、
測定した発光強度を前記作成した標準曲線と照合して試料液中のカルシウム濃度を求める
ことを特徴とする、カルシウムの定量方法。 - カルシウム溶液のキレート剤濃度が1.5×10−4M以上である、請求項1に記載のカルシウムの定量方法。
- 発光剤がキレート剤とカルシウム受容発光蛋白質との混合物である、請求項1または2に記載のカルシウムの定量方法。
- 発光剤がキレート剤とカルシウム受容発光蛋白質の混合溶液である、請求項1または2に記載のカルシウムの定量方法。
- カルシウム受容発光蛋白質がイクオリン、オベリン、クライチン、マイトロコミン、ミネオプシン、ベルボイン、およびその変異体より選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法。
- キレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩である、請求項1から5のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法。
- 複数のキレート剤の終濃度の全てでそれぞれについて、キレート剤およびカルシウム受容発光蛋白質からなる発光剤をカルシウム溶液に添加しても発光が認められないカルシウム溶液の最大のカルシウム濃度を求め、
試料液と、キレート剤およびカルシウム受容発光蛋白質からなる発光剤とを混合しその際の発光の有無を、前記発光が認められない最大のカルシウム濃度を求めるために用いたキレート剤の終濃度の全てでそれぞれ検知し、
キレート剤の終濃度毎に検知した発光の有無と前記発光が認められない最大のカルシウム濃度から、カルシウム濃度範囲を定量する
ことを特徴とする、カルシウムの定量方法。 - 発光剤がキレート剤とカルシウム受容発光蛋白質との混合物である、請求項7に記載のカルシウムの定量方法。
- 発光剤がキレート剤とカルシウム受容発光蛋白質の混合溶液である、請求項7に記載のカルシウムの定量方法。
- カルシウム受容発光蛋白質がイクオリン、オベリン、クライチン、マイトロコミン、ミネオプシン、ベルボイン、およびその変異体より選択される、請求項7から9のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法。
- キレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩である、請求項7から10のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法。
- 請求項1から11のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法のためのキットであって、カルシウム濃度の異なる濃度既知の2以上のカルシウム溶液、カルシウム受容発光蛋白質、および濃度の異なる濃度既知の複数のキレート剤を有する、カルシウム定量キット。
- 請求項1から11のいずれか1項に記載のカルシウムの定量方法のためのキットであって、カルシウム濃度の異なる濃度既知の2以上のカルシウム溶液、および、キレート剤とカルシウム受容発光蛋白質とを含有するキレート剤濃度の異なる複数の水溶液を有する、カルシウム定量キット。
- キレート剤とカルシウム受容発光蛋白質とを含有するキレート剤濃度の異なる複数の水溶液の各キレート剤濃度が10−3M〜10−1Mの範囲である、請求項13に記載のカルシウム定量キット。
- カルシウム受容発光蛋白質がイクオリンである、請求項12から14のいずれか1項に記載のカルシウム定量キット。
- キレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩である、請求項12から15のいずれか1項に記載のカルシウム定量キット。
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