JP4893668B2 - 鍛造方法およびピストンの鍛造方法 - Google Patents

鍛造方法およびピストンの鍛造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4893668B2
JP4893668B2 JP2008065546A JP2008065546A JP4893668B2 JP 4893668 B2 JP4893668 B2 JP 4893668B2 JP 2008065546 A JP2008065546 A JP 2008065546A JP 2008065546 A JP2008065546 A JP 2008065546A JP 4893668 B2 JP4893668 B2 JP 4893668B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blank
piston
forging
lubricating oil
pair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008065546A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009220132A (ja
Inventor
嘉弘 野沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Nippon Light Metal Co Ltd
Priority to JP2008065546A priority Critical patent/JP4893668B2/ja
Publication of JP2009220132A publication Critical patent/JP2009220132A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4893668B2 publication Critical patent/JP4893668B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Forging (AREA)

Description

本発明は、例えば、アルミニウム合金からなるピストンのように、薄肉の隆起部分と厚肉の隆起部分とを併有する複雑な形状の製品の鍛造方法、およびピストンの鍛造方法に関する。
一般に、各種エンジン用のピストンは、シリンダの最奥部に面する円盤形のヘッドと、かかるヘッドの反対側に形成され、連接棒とピン結合される厚肉で且つ一対のピンボス部、係るピンボス部の両側から平行に半径方向に延びた一対の突壁と、および、係る一対の突壁の両端部から連接棒側に長く延びた薄肉で且つ一対のスカート部とを、一体に備えた複雑な形状を有している。
上記のような全体の形状が複雑で、且つ各部の肉厚にそれなりの差があるピストンを、アルミニウム合金からなり、且つ偏平な円柱形のブランクから熱間鍛造によって製造する場合、係るブランクから生じるメタルフローをピストンにおける各部の形状に適合させることが必要となる。
例えば、ピストンを鍛造する際に、メタルフローが過大に生じるため、パイピングのような欠陥を生じ易いブランクの表面に接触する型内面に、メタルフローに対して制動力を与える筋、溝、または凹凸を設けたり、あるいは、上記型内面を粗面化した鍛造用金型が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、鍛造中における素材のブランクの塑性流動性を改善し、パイピングの発生を抑えるため、上記素材において凹部を含む上面全体に潤滑剤を0.27mg/mm以下の塗布量で塗布して、上記素材を塑性流動させる、アルミニウム合金鍛造製品の製造方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−218336号公報(第1〜4頁、図1〜6) 特開2003−53468号公報(第1〜13頁、図1〜13)
ところで、ピストンに設ける一対のスカート部は、薄肉で且つ軸方向に沿って比較的長いため、該スカート部となる表面に潤滑油を塗布せず鍛造したり、あるいは、前記特許文献1のように、メタルフローを抑制すると、連接棒側の先端部に肉欠け(欠陥)が生じ易くなる。一方、ピストンに設ける一対のピンボス部は、厚肉で且つ軸方向に沿って比較的短いため、前記特許文献2のように、係る一対のピンボス部となる部分を含むブランクの上面全体に潤滑油を塗布すると、メタルフローが過度に助長され易くなる。その結果、ピンボス部における先端部に沿って「かぶり」と称される薄皮状の剥離部分(欠陥)が形成され易くなる。
ピストンに設けるべきスカート部とピンボス部とは、以上のように、鍛造工程で同じブランクのアルミニウム合金から生じるメタルフローが互いに相反する挙動を示すため、これまでは、スカート部の肉欠けとピンボス部の前記「かぶり」とを、同時に解決した鍛造方法が、見出されていなかった。
本発明は、前記背景技術において説明した問題点を解決し、熱間鍛造によって、例えば、ピストンのスカート部などのような薄肉の隆起部分における肉欠け、およびピンボス部などのような厚肉の隆起部分における「かぶり」の発生を確実に防止できる鍛造方法およびピストンの鍛造方法を提供する、ことを課題とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
本発明は、前記課題を解決するため、発明者らによる鋭意研究および試行の結果、例えば、ピストンを熱間鍛造するためのブランクの表面に対し、スカート部のようにメタルフローが生じにくい部分にのみ、潤滑油を部分的に塗布した状態で鍛造を行う、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の鍛造方法(請求項1)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるブランクの表面において、係る表面のうち鍛造時にメタルフローが比較的生じにくい製品の隆起部分となる部分表面に潤滑油を塗布する塗布工程と、雌型におけるキャビティの底面に、上記部分表面に潤滑油が塗布された上記ブランクをセットするセット工程と、上記雌型のキャビティ内に、雄型を進入させ、係る雄型の底面、あるいは、上記雌型におけるキャビティの底面の凹部を含む形状と反対の反転形状を、上記ブランクの表面側に成形する鍛造工程と、を備える、ことを特徴とする。
これによれば、前記塗布工程のブランクにおいて、鍛造時にメタルフローが比較的生じにくいスカート部のようなピストンの隆起部分となる部分表面にのみ潤滑油が予め塗布される。このため、その後に行う熱間鍛造おいて、上記潤滑油が塗布された部分表面の付近では、ブランクの軸方向に沿ってメタルフローが助長されと共に、上記部分表面を除いた潤滑油が塗布されていない表面では、メタルフローが抑制される。その結果、上記ブランクにおいて、部分表面を除いた位置の表面の部分では、メタルフローが抑制されるため、先端部に沿って薄皮状に剥離した前記「かぶり」のない厚肉で且つ軸方向に沿って短い隆起部分(例えば、ピストンにおける一対のピンボス部)が成形される。一方、潤滑油が塗布された部分表面の付近では、メタルフローが助長されるため、連接棒側の先端部に肉欠けのない薄肉で且つ軸方向に沿って長い隆起部分(例えば、ピストンにおける一対のスカート部)が成形される。従って、複雑な形状の製品を、前記肉欠けや「かぶり」を生じることなく、精度良く確実に熱間鍛造することが可能となる。
尚、本明細書においては、ブランクの材料である「アルミニウム合金」には、アルミニウムも含まれるものとする。
また、前記潤滑油は、特に限定されないが、鉱物性油、脂肪性油、植物性油、グリースなどが含まれる。例えば、ブランクの表面に皮膜状に塗布するため、水溶性の潤滑剤を用いたり、溶媒を併用する難水溶性の潤滑剤を用いても良い。
更に、前記雄型の凹部あるいは雌型の凹部は、雌型における円柱形のキャビティの軸方向に沿った複数個の形態があり、係る凹部には、例えば、ピストンにおける一対のスカート部の成形用、一対のピンボス部の成形用、あるいは一対の突壁の成形用などの各種の凹部が含まれる。
また、本発明には、前記塗布工程は、前記塗布工程は、前記ブランクの表面を下向きとし、該表面のうち前記部分表面に対し、下側から平面視が該部分表面と相似形の油溜め用の凹部を有する箱部を接触させて行われる、鍛造方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、例えば、前記ブランクの表面に位置する一対の対称な部分表面、あるいは帯状の部分表面にのみ潤滑油が過不足なく塗布されるため、係る部分表面の付近では、鍛造時にメタルフローが比較的生じにくなって、薄肉で且つ軸方向に沿って長い隆起部分(例えば、ピストンにおける一対のスカート部)を確実に成形できる。一方、前記部分表面を除いたブランクの表面の付近では、鍛造時にメタルフローが抑制されるため、薄肉で且つ軸方向に沿って短く、先端部に前記「かぶり」のない健全な隆起部分(例えば、ピストンにおける一対のピンボス部や突壁部)を確実に成形できる。
更に、本発明には、前記鍛造方法の前記塗布工程において、潤滑油が塗布される前記ブランクの部分表面は、追ってピストンのスカート部となる部分である、ピストンの鍛造方法(請求項3)も含まれる。
これによれば、先端部に肉欠けのない所定形状および寸法を有する一対のスカート部と、先端部に沿って前記「かぶり」のない一対のピンボス部とを含む健全なピストンを、精度良く確実に鍛造成形することが可能となる。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
尚、以下では、ピストンの鍛造方法に沿って、本発明の鍛造方法を説明する。
図1は、アルミニウム合金(例えば、JIS:4000系合金)からなり、円周面rを有する円盤形状のブランクB0において、追って鍛造工程において上面側となる表面b1に対し、潤滑油jを部分的に塗布する工程の概略を示す斜視図である。
図1に示すように、ブランクB0の裏面b2を上向きとし且つ表面b1を下向きとして、表面b1における図1で前後方向に位置する一対の円弧部分を、図示しない水平で且つ互いに平行な一対の水平部材の上に載置して、当該ブランクB0を水平姿勢に保持する。
前記ブランクB0の下側には、図示しない油槽から潤滑油jを汲み上げて、ブランクB0の表面b1における所定部分に潤滑油jを塗布するための塗布治具1が配置されている。係る塗布治具1は、図1に示すように、昇降可能な垂直のロッド2、その上端部3から半径方向に沿って対称に延びた一対のアーム4、および、係るアーム4ごとの先端に取り付けられ、且つ内側に油溜め用の凹部8を有する一対の箱部6を備えている。尚、前記潤滑油jには、例えば、黒鉛系水溶性潤滑油が用いられる。
前記治具1における箱部6ごとの凹部8は、図1で左右方向の長さが、ブランクB0の表面b1において、潤滑油jを塗布すべき後述する部分表面f1,f2の半径方向の長さより長く、且つ図1で前後方向の幅が、部分表面f1,f2の幅とほぼ同等となる平面サイズに予め設定されている。また、一対の凹部8,8の間隔は、部分表面f1,f2間の距離とほぼ同等に設定されている。
予め、塗布治具1の箱部6ごとの凹部8に潤滑油jを充填しておき、図1中の実線の矢印で示すように、ロッド2と共に、一対の箱部6を前記ブランクB0の表面b1に向かって上昇させ、各箱部6の上面をブランクB0の表面b1において、該表面b1の中心に対し互いに対称となる位置の部分表面f1,f2に接触させる。係る接触状態を約1〜数秒間保持した後、前記ロッド2と共に各箱部6を下降させて、塗布治具1をブランクB0から離す(塗布工程)。
その結果、表面b1と裏面b2とを上下逆にした図2で示すように、前記塗布治具1の各箱部6における凹部8ごとの開口部まで充填されていた潤滑油jが部分的に塗布されたブランクB0の表面b1に、一対の部分表面f1,f2が形成される。係る一対の部分表面f1,f2は、表面b1の中心に対し互いに対称で、中心側が矩形(角形)で且つ周辺側が円周面rに沿った円弧形である。尚、係る一対の部分表面f1,f2は、追って鍛造成形されるピストンにおける一対のスカート部(隆起部分)となる部分に相当し、且つ該スカート部の幅とほぼ同等の幅を有している。
次に、図3の垂直断面図で示すように、雌型10の本体11に内設された円柱形のキャビティCの底面14に、潤滑油jが塗布された一対の部分表面f1,f2を含む表面b1を上向きにして、ブランクB0をセットする(セット工程)。
図3に示すように、雌型10の底部12の中心部には、キャビティC側に拡径したテーパ部を上端に有する垂直な貫通孔13が形成され、係る貫通孔13には、細径のノックアウトピンkが昇降可能に挿入されている。
尚、潤滑油jが部分的に塗布されたブランクB0は、上記セットに先だって、予め、約420〜500℃に加熱される。また、雌型10は、予め、約300〜400℃に加熱され、そのキャビティCの内周面および底面14には、例えば、黒鉛含有オイルからなる離型剤が塗布されている。更に、前記ブランクB0の円周面rとキャビティCの内周面との間には、図示しない所定のクリアランスが形成されている。
次いで、図4,図5の垂直断面図で示すように、雌型10のキャビティC内に、該キャビティCと外形がほぼ相似形の雄型15を、図示の矢印に沿って垂直に進入させて、前記ブランクB0に対して熱間鍛造を施す(鍛造工程)。
雄型15は、図4に示すように、円柱形の本体16と、その底面17の半径方向の両端部付近から軸方向に沿って長く延び且つ幅が狭い一対の凹部18と、図4での視覚から水平方向に90度回転した位置の図5に示すように、前記一対の凹部18,18間の中間で且つ底面17の中心に対し対称な位置から軸方向に沿って短く延び且つ幅が広い一対の凹部19と、係る凹部19と上記凹部18との間を連通する図示しない溝状で一対の凹部と、を備えている。
雄型15の各凹部18は、側面視が長方形で且つ平面視が円弧形を呈すると共に、前記ブランクB0の部分表面f1,f2の真上に位置してる。尚、係る凹部18と凹部19とは、互いにほぼ直交する方向に延びている。また、雄型15は、予め、約240〜300℃に加熱され、且つ前記底面17や凹部18,19などには、前記同様の離型剤が塗布されている。
図4,図5に示すように、雄型15の底面17がブランクB0の前記表面b1を下向きに押圧して、キャビティCの底面14側に接近する下死点付近に達すると、ブランクB0を形成するアルミニウム合金は、塑性流動して各図中の矢印で示すメタルフローFを生じる。この際、雄型15の各凹部18内には、ブランクB0の表面b1において、潤滑油jが塗布された部分表面f1,f2付近のアルミニウム合金が、潤滑油jによって助長されたメタルフローFに沿って流入する。
その結果、図4中の一点鎖線部分Xの部分拡大図で示すように、雌型10のキャビティCの内周面と雄型15の各凹部18との間には、薄肉で軸方向に長い曲面板形状のスカート部(隆起部分)s1,s2が形成される。しかも、係るスカート部s1,s2は、前記部分表面f1,f2の潤滑油jによってメタルフローFが助長されているため、それらの先端部には、アルミニウム合金の流入不足に起因する肉欠けが生じにくくなる。
一方、図5に示すように、雄型15の底面17が下死点付近に達した際に、雄型15の各凹部19内には、ブランクB0の表面b1において、潤滑油jが塗布されていない中央付近の表面b1から、アルミニウム合金が一対の凹部19内に比較的緩く且つ隙間なく流入して、厚肉で且つ軸方向に短い一対のピンボス部(隆起部分)pbを成形する。係るピンボス部pbは、潤滑作用を受けず、メタルフローFが抑制されたアルミニウム合金の塑性流動によって成形されるため、その上端部の内外側面に沿って、後述するような薄皮状の「かぶり」が生じにくくなる。
更に、一対のピンボス部pbと前記一対のスカート部s1,s2との間には、前述した一対の溝状の凹部によって、上記「かぶり」のない平行な一対の突壁が成形される。
前記のように、鍛造工程では、図4,図5に示すように、前記ブランクB0の表面b1側に、雄型15の底面17側に位置する凹部18,19などの形状と相似形で且つこれらを反転させた形状のスカート部s1,s2、ピンボス部pb、および突壁が成形される。尚、ブランクB0の前記裏面b2は、次述するピストンPのヘッドhとなる。
そして、前記ノックアウトピンkを上昇させて、キャビティC内からピストンPを抜き出す。尚、前記貫通孔13のテーパ部内に進入した前記アルミニウム合金の一部により形成されるほぼ円錐形の凸部は、研磨などによって除去される。
以上の鍛造方法によって、図6に示すようなピストン(製品)Pが成形される。
係るピストンPは、図6に示すように、円周面r、その一端に位置する円形のヘッドh、係るヘッドhの反対(連接棒)側に延びる曲面板形状を呈する一対のスカート部s1,s2、これらの中間に位置する一対のピンボス部pb、およびスカート部s1,s2とピンボス部pb,pbとの間を接続し、上面がカーブする一対の突壁wを一体に備えている。尚、スカート部s1,s2と一対のピンボス部pbと一対の突壁wとの間には、箱形状の溝gが同時に形成される。
しかも、スカート部s1,s2は、前記ブランクB0の表面b1において、潤滑油jが塗布された部分表面f1,f2付近のアルミニウム合金が、メタルフローFを助長されて成形されるため、先端部側に肉欠けを生じにくくなる。これに対し、一対のピンボス部pbと一対の突壁wとは、部分表面f1,f2を除いた潤滑油jが塗布されていないブランクB0の表面b1付近のアルミニウム合金が、メタルフローFを抑制されて成形されるため、先端部の両側面に沿って「かぶり」を生じにくくなる。
従って、本発明の鍛造方法によれば、各部の形状および寸法精度が安定し、且つ肉欠けや「かぶり」などの欠陥がないか、ほぼ皆無であるピストンPなどを確実に鍛造成形することが可能となる。
尚、前記スカート部やピンボス部を成形する各凹部は、雌型のキャビティにおける底面付近に設けても良い。係る形態の場合、上記キャビティの底面に出没可能となるように細径のノックアウトピンを昇降可能にして配置すると共に、当該キャビティ内に平坦な底面の雄型を進入させるようにする。更に、係る形態では、前記ブランクB0は、潤滑油jが塗布された前記部分表面f1,f2を含む表面b1を、上記雌型のキャビティの底面側に面するようにしてセットされる。
以下において、本発明の具体的な実施例を、比較例と併せて説明する。
同じアルミニウム合金(JIS:4000系合金)からなり、表面b1,裏面b2の直径:78mm×軸方向の長さ:14.65mmである円柱形のブランクB0を、合計300個用意した。係る300個のブランクB0を100個ずつ3等分して3組とし、1つ目の組のブランクB0の表面b1には、前記塗布治具1を用いて、追ってピストンのスカート部となる位置の部分表面f1,f2に、黒鉛系水溶性潤滑油jを同じ条件により塗布して、実施例とした。
また、2つ目の組のブランクB0の表面b1には、上記潤滑油jを全面に塗布して、比較例1とした。更に、3つ目の組のブランクB0の表面b1には、潤滑油jを塗布せず、比較例2とした。
前記各例ごとの全ブランクB0に対し、前記雌型10および雄型15を用いて、熱間鍛造(鍛造圧力:350ton)を順次行って、前記ピストンPを成形した。この際、ブランクB0の加熱温度は、460℃、雌型10の加熱温度は、350℃、雄型15の加熱温度は、270℃とした。また、雌型10のキャビティC内と雄型15の底面17や凹部18,19などには、同じ離型剤を塗布した。
前記熱間鍛造によって得られた全てのピストンPについて、ピンボス部pbの先端部を各例別に観察した。即ち、前記図6中のY−Y線の矢視に沿った図7の部分断面図で示すように、次述する「かぶりq」のない健全なピンボス部pbであるか、あるいは、図8の部分断面図で示すように、上端部に「かぶりq」を有するピンボス部pbであるか、を判定した。係る「かぶりq」を有するピンボス部pbのうち、「かぶりq」とピンボス部pbの本体部分との断面ほぼV字形の谷部vの深さdが100μm以下のものは、修理可能のものとし、100μmよりも深いものは、NGとして、表1に各例別に示した。
更に、全てのピストンPについて、前記図6で示した一対のスカート部s1,s2の先端部を各例別に目視で観察し、1箇所でも肉欠けを有していたを「有り」カウントして、表1に各例別に示した。
Figure 0004893668
表1によれば、実施例のピストンPは、ピンボス部pbに「かぶりq」のない健全なものが92個で、且つ残り8個は全て修理可能なものであった。
これに対し、比較例1のピストンPは、「かぶりq」のない健全なものが12個、修理可能なものが43個、NGが45個であった。また、比較例2のピストンPは、「かぶりq」のない健全なものが89個、残り11個は修理可能なものであった。
係る結果は、実施例および比較例2のピストンPでは、ピンボス部pbとなる表面には、潤滑油jが塗布されず、前記アルミニウム合金によるメタルフローFが過度に助長されなかったため、厚肉で且つ軸方向に沿って短い一対のピンボス部pbに「かぶりq」が生じにくくなった、ものと推定される。
これらに対し、比較例1のピストンPでは、ピンボス部pbとなる表面を含む前記ブランクB0の表面b1の全面に潤滑油jが塗布されたことに起因して、メタルフローFが過度に助長されたため、ピンボス部pbで「かぶりq」が生じ易くなり、約半数がNGになった、ものと推定される。
更に、表1に示すように、実施例および比較例1のピストンPには、スカート部s1,s2の先端部に肉欠けが全く生じなかったのに対し、比較例2のピストンPでは、約3分の2のものに肉欠けが生じていた。
係る結果は、実施例のピストンPでは、前記ブランクB0の表面b1でスカート部s1,s2となる部分表面f1,f2のみに潤滑油jが塗布され、比較例1のピストンPでは、上記表面b1全体に潤滑油jが塗布されたため、前記アルミニウム合金によるメタルフローFが助長され、薄肉で軸方向に沿って長いスカート部s1,s2の先端部にまで十分にメタルが充填された、ものと推定される。
これらに対し、比較例2のピストンPでは、前記ブランクB0の表面b1に潤滑油jが全く塗布されなかったため、前記メタルフローFが不十分となって、過半数のものに肉欠けが生じた、ものと推定される。
以上のような実施例の鍛造方法によれば、潤滑油jを各部分の形状および寸法ごとに対応して塗布したことで、「かぶりq」が殆どないピンボス部pb、および肉欠けのないスカート部s1,s2を有する健全なピストンPを確実に鍛造成形できることが確認され、本発明の効果が裏付けられた。
本発明は、以上において説明した形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の塗布工程は、前記塗布治具1の箱部6を別の細長い1つの箱部としたり、あるいは、前記金属薄板の中央部に細長い長方形の切り欠きを設けたマスクを塗布工程で用いることによって、図9に示すように、ブランクB1の表面b1に、その中心部を含めて直径方向に通過する帯状の部分表面f3を形成することも可能である。
また、係る部分表面f3を有するブランクB1は、前述した潤滑油jによるメタルフローFの作用に応じた形状および寸法のピストンの鍛造に用いられる。
更に、ブランクB0の表面b1に潤滑油jを塗布すべき部分表面は、3箇所以上としても良い。
加えて、本発明の鍛造方法は、ピストン以外のアルミニウム製品の熱間鍛造にも適用することが可能である。
本発明における潤滑油の塗布工程の概略を示す斜視図。 部分表面に潤滑油が塗布されたブランクを示す斜視図。 本発明におけるセット工程を示す垂直断面図。 本発明における鍛造工程を示す垂直断面図。 図4と水平方向に90度回転した位置での鍛造工程を示す垂直断面図。 本発明によって得られたピストンを示す斜視図。 図6中のY−Y線の矢視に沿ったピンボス部を示す部分断面図。 図7と同様で且つかぶりを有するピンボス部を示す部分断面図。 異なる部分表面を有するブランクを示す斜視図。
符号の説明
B0,B1…ブランク
b1…………表面
f1〜f3…部分表面
j……………潤滑油
6……………箱部
8……………油溜め用の凹部
10…………雌型
C……………キャビティ
14,17…底面
15…………雄型
18,19…凹部
s1,s2…スカート部(隆起部分)
pb…………ピンボス部
P……………ピストン(製品)

Claims (3)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるブランクの表面において、係る表面のうち鍛造時にメタルフローが比較的生じにくい製品の隆起部分となる部分表面に潤滑油を塗布する塗布工程と、
    雌型におけるキャビティの底面に、上記部分表面に潤滑油が塗布された上記ブランクをセットするセット工程と、
    上記雌型のキャビティ内に、雄型を進入させ、係る雄型の底面、あるいは上記雌型におけるキャビティの底面の凹部を含む形状と反対の反転形状を、上記ブランクの表面側に成形する鍛造工程と、を備える、
    ことを特徴とする鍛造方法。
  2. 前記塗布工程は、前記ブランクの表面を下向きとし、該表面のうち前記部分表面に対し、下側から平面視が該部分表面と相似形の油溜め用の凹部を有する箱部を接触させて行われる、
    請求項1に記載の鍛造方法。
  3. 請求項1または2に記載の鍛造方法における前記塗布工程において、潤滑油が塗布される前記ブランクの部分表面は、追ってピストンのスカート部となる部分である、
    ことを特徴とするピストンの鍛造方法。
JP2008065546A 2008-03-14 2008-03-14 鍛造方法およびピストンの鍛造方法 Active JP4893668B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008065546A JP4893668B2 (ja) 2008-03-14 2008-03-14 鍛造方法およびピストンの鍛造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008065546A JP4893668B2 (ja) 2008-03-14 2008-03-14 鍛造方法およびピストンの鍛造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009220132A JP2009220132A (ja) 2009-10-01
JP4893668B2 true JP4893668B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=41237496

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008065546A Active JP4893668B2 (ja) 2008-03-14 2008-03-14 鍛造方法およびピストンの鍛造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4893668B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015188924A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 美和ロック株式会社 プレス金型、及びこれを用いた凸状部品の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5886928A (ja) * 1981-11-19 1983-05-24 Hitachi Ltd 前方押出し加工用金型
JP3369009B2 (ja) * 1994-10-07 2003-01-20 ヤマハ発動機株式会社 ピストンの鍛造方法
JP4885384B2 (ja) * 2001-08-22 2012-02-29 昭和電工株式会社 鍛造製品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009220132A (ja) 2009-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3314278A (en) Forging process and product therefrom
CN103596724B (zh) 活塞和制造活塞的方法
JP6132030B2 (ja) 鍛造クランク軸の製造方法
JPS6087946A (ja) 自動車のトランスミツシヨン用クラツチギヤの加工方法
JP4893668B2 (ja) 鍛造方法およびピストンの鍛造方法
KR20150132153A (ko) 슬라이딩 면
JP5376669B2 (ja) 金属部材のプレス加工方法およびプレス加工用金型
JP4673090B2 (ja) 等速ジョイント用外輪部材の製造方法及びパンチ
JP2016007644A (ja) 鍛造クランク軸の製造方法
JP2016083689A (ja) シリンダブロックの製造方法
JP5992064B1 (ja) クランクシャフトの製造方法
US8087279B2 (en) Method and apparatus for manufacturing a legged annular member
JP6682395B2 (ja) 鍛造加工装置
CN204267122U (zh) 用于凸轮轴的端件
JPH04356324A (ja) スプラインシャフトの鍛造方法及び鍛造装置
JP4893670B2 (ja) 鍛造用金型およびピストン鍛造用金型
JP5651353B2 (ja) シェービング金型
JP3942907B2 (ja) 継手部材の製造方法
JP4939455B2 (ja) 一体型クランク軸の成形装置
JP5081083B2 (ja) ピストン素材の製造方法
CN107377944B (zh) 镶铸用构件
RU2703075C1 (ru) Пуансон для закрытой матрицы горячего штампа
JP2009148792A (ja) コンロッドの製造方法及びコンロッド鍛造用金型
US20210190136A1 (en) Sliding bearing
JP2006132708A (ja) すべり軸受の製造方法およびすべり軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100818

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111122

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4893668

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350